JPH0530406U - バランサ装置付きエンジンにおける飛沫潤滑装置 - Google Patents

バランサ装置付きエンジンにおける飛沫潤滑装置

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JPH0530406U JP8692791U JP8692791U JPH0530406U JP H0530406 U JPH0530406 U JP H0530406U JP 8692791 U JP8692791 U JP 8692791U JP 8692791 U JP8692791 U JP 8692791U JP H0530406 U JPH0530406 U JP H0530406U
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Abstract

(57)【要約】 【構成】バランサ装置付きエンジンにおいて、飛沫潤滑
装置が次のように構成されている。すなわち、バランサ
軸3がクランク軸2の下方で軸架されている。バランサ
軸3の回転中心4が、クランク室1内下部に溜められた
潤滑油6の規定油面7付近に配置され、バランサウェイ
ト5が潤滑油6の規定油面7の上下にわたって回転する
ように構成されている。バランサ軸3の回転中心4側か
ら周囲方向に延びたバランサウェイト肩面8で、潤滑油
6が上記クランク室1内に跳ね上げられるように構成さ
れ、バランサウェイト5の横側方のうち、潤滑油跳ね上
げ側で、潤滑油6の規定油面7付近に遮蔽板9が設けら
れている。 【効果】跳ね上げられようとする潤滑油6の一部は遮蔽
板9に当たり、クランク室1への跳ね上がりが邪魔され
るので、バランサウェイト5の回転数の増加で潤滑油6
の飛沫量が異常に増加することがなく、ブレザ室73か
らの潤滑油の吹き出しを防止できる。

Description

【考案の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】
本考案は、バランサ装置付きエンジンにおける飛沫潤滑装置に関する。
【0002】
【従来技術】
エンジンに用いられるバランサ装置は、ピストンの往復慣性力をバランサウェ イトの遠心力で釣り合わせ、エンジンの振動の軽減を図る装置である。この装置 は、単気筒エンジンのように、ピストン相互の往復慣性力の釣り合いによっては 振動の軽減ができない場合に有益である。このため、この装置は、単気筒エンジ ン等に広く採用されている。一方、飛沫潤滑装置は、クランク室内の下部に溜め られた潤滑油を跳ね上げ装置でクランク室内に跳ね上げ、潤滑油を飛沫にして、 クランク軸等に供給する装置である。この装置は、圧送潤滑装置のように潤滑油 ポンプや潤滑油供給通路を必要とせず、簡易に構成することができる。このため 、この装置は、低コスト化が要請される汎用エンジンに広く採用されている。
【0003】 バランサ装置付きエンジンの従来技術として、図7に示すものがある。これは 、クランク室101内に架設されたクランク軸102と平行にバランサ軸103 が架設され、このバランサ軸103にその回転中心104から偏心したバランサ ウェイト105が形成され、バランサ軸103が調時伝動装置を介してクランク 軸102から回転連動されるように構成されている。このバランサ軸103は、 クランク軸102の横側に軸架され、バランサウェイト105が潤滑油106の 規定油面107の上方で回転するように構成されている。
【0004】 上記従来技術では、次のような飛沫潤滑装置が設けられている。すなわち、コ ンロッドキャップ108からオイルスプーン109が下向きに突設され、このオ イルスプーン109の先端部が回動軌跡110に沿って、潤滑油106の規定油 面107の上下にわたって回動するように構成され、潤滑油106がオイルスプ ーン109の先端部でクランク室101内に跳ね上げられるようになっている。 このオイルスプーン109はコンロッドキャップ108と一体鋳造で形成されて いる。また、他に、オイルスプーン109が板金で形成され、コンロッドボルト 111でコンロッドキャップ108に固定されたものもある。
【0005】
【考案が解決しようとする課題】
上記従来技術では、次の問題がある。 バランサ軸103がクランク軸102の横側に軸架されているので、バラン サウェイト105との干渉を避けるために、クランク室101の横幅を広くする 必要があり、エンジンが大型化する。
【0006】 オイルスプーン109がコンロッドキャップ108と一体鋳造で形成されて いるので、このコンロッドキャップ108を圧送潤滑式エンジンと共用すること ができない。圧送潤滑式エンジンにこのコンロッドキャップ108を用いると、 オイルスプーン109との干渉を避けるために他の部品(例えば、オイル吸い込 み口のオイルストレーナ)の配置選定が制限される等、圧送潤滑式エンジンを設 計する上で大きな不利益が生じるからである。このように、オイルスプーン10 9がコンロッドキャップ108と一体鋳造で形成されている場合には、このコン ロッドキャップ108は飛沫潤滑式エンジンの専用部品としてしか用いられず、 コスト高となる。
【0007】 オイルスプーン109が板金で形成されたものの場合には、オイルスプーン 109とコンロッドキャップ108とが別部品となるため、オイルスプーン10 9がコンロッドキャップ108と一体鋳造されている場合に比べ、部品点数が多 くなる。また、コンロッドキャップ108を固定する際に、オイルスプーン10 9をコンロッドボルト111で同時に固定しなければならないため、コンロッド キャップ108の固定作業が繁雑となり、エンジンの製造能率が低下する。
【0008】 クランク軸102の回転数が高まると、オイルスプーン109の回転数も高 まり、潤滑油106の飛沫量が適量以上に増加し、これがブレザ室(図外)の潤 滑油分離能力を越え、ブレザ室から大気中に潤滑油が吹き出す場合がある。
【0009】 本考案は、クランク室の横幅を狭くでき、コンロッドキャップを圧送潤滑式エ ンジンにも共用でき、少ない部品点数で能率的に製造でき、ブレザ室からの潤滑 油の吹き出しを防止できる、バランサ装置付きエンジンにおける飛沫潤滑装置を 提供することを、その課題とする。
【0010】
【課題を解決するための手段】
本考案は、図1に例示するように、クランク室1内に架設されたクランク軸2 と平行にバランサ軸3が架設され、このバランサ軸3にその回転中心4から偏心 したバランサウェイト5が形成され、上記バランサ軸3が調時伝動装置を介して クランク軸2から回転連動されるように構成された、バランサ装置付きエンジン において、飛沫潤滑装置が次のように構成されていることを特徴とする。
【0011】 すなわち、上記バランサ軸3が上記クランク軸2の下方で軸架され、上記バラ ンサ軸3の回転中心4が、上記クランク室1内下部に溜められた潤滑油6の規定 油面7付近に配置され、上記バランサウェイト5が上記潤滑油6の規定油面7の 上下にわたって回転するように構成され、上記バランサ軸3の回転中心4側から 周囲方向に延びたバランサウェイト肩面8で、上記潤滑油6が上記クランク室1 内に跳ね上げられるように構成され、上記バランサウェイト5の横側方のうち、 潤滑油跳ね上げ側で、上記潤滑油6の規定油面7付近に遮蔽板9が設けられた、 ことを特徴とする。
【0012】
【作用】
クランク軸2が回転すると、調時伝動装置を介してバランサ軸3が回転連動さ れ、バランサ軸3に形成されたバランサウェイト5の回転で遠心力が発生し、こ の遠心力がピストン9の往復慣性力と釣り合ってエンジンの振動を低減させる。
【0013】 また、バランサウェイト5が回転すると、潤滑油6がバランサウェイト肩面8 でクランク室1内に飛沫になって跳ね上げられ、この潤滑油6がクランク軸2等 に跳ね掛けられ、潤滑が行われる。この場合、バランサウェイト肩面8で跳ね上 げられようとする潤滑油6の一部は遮蔽板9に当たり、クランク1室への跳ね上 がりが邪魔されるので、バランサウェイト5の回転数の増加で潤滑油6の飛沫量 が異常に増加することがない。
【0014】 また、バランサ軸3がクランク軸2の下方に軸支されているため、バランサ軸 3がクランク軸2の横側に軸支されて場合に比べ、クランク室1の横幅を狭く形 成することができる。しかも、バランサウェイト5が潤滑油6の規定油面7の上 下にわたって回転するようになっているため、クランク室1内の空間を上下方向 に拡張する必要もない。
【0015】 また、バランサウェイト肩部8で潤滑油6を跳ね上げるので、オイルスプーン は不要となる。
【0016】
【考案の効果】
バランサ軸がクランク軸の下方で軸支されているので、クランク室の横幅を 狭くすることができ、エンジンの小型化を図ることができる。。
【0017】 バランサウェイトが潤滑油の規定油面の上下にわたって回転するように構成 され、バランサ軸の回転中心側から周囲方向に延びたバランサウェイト肩面で、 潤滑油がクランク室内に跳ね上げられるように構成されているので、オイルスプ ーンが不要となる。このため、コンロッドキャップを圧送潤滑式エンジンと共用 することができ、コンロッドキャップのコストの低下を図ることができる。
【0018】 オイルスプーンが不要となるので、部品点数が少なくなる。また、オイルス プーンの取付作業を要しないので、エンジンの作業能率が高まる。
【0019】 バランサウェイトの横側方のうち、潤滑油跳ね上げ側で、潤滑油の規定油面 付近に遮蔽板が設けられているので、バランサウェイト肩面で跳ね上げられよう とする潤滑油の一部は遮蔽板に当たり、クランク室への跳ね上がりが邪魔される 。このため、バランサウェイトの回転数の増加で潤滑油の飛沫量が異常に増加す ることがなく、ブレザ室からの潤滑油の吹き出しを防止できる。
【0020】
【実施例】
本考案の実施例を図面に基づいて説明する。図1は本考案の実施例に係るバラ ンサ装置を備えた飛沫潤滑式空冷単気筒ガソリンエンジンの縦断面正面図である 。図2は図1のエンジンの下部の縦断面正面図である。図3は図1のエンジンの 横断面平面図である。図4は図1のエンジンに用いられている遠心式ガバナ装置 の横断面平面図である。図5は図1のエンジンに用いられている飛沫潤滑装置の 斜視図である。
【0021】 図1に示すエンジンは次のように構成されている。シリンダ本体10の下側に クランク室1が一体成型されてシリンダブロック11が形成されている。クラン ク室1の前側にクランク室カバー12(図3参照)が組み付けられている。シリ ンダ本体10の上側にシリンダヘッド13とヘッドカバー14とが順に組み付け られている。ヘッドカバー14上に燃料タンク15が配置されている。クランク 室1の下部に潤滑油6が溜められている。
【0022】 また、シリンダ本体10にシリンダライナ16が内嵌され、シリンダライナ1 6にピストン28が昇降摺動自在に内嵌されている。シリンダヘッド13の底面 とピストンヘッド18にそれぞれ窪みが設けられ、この窪みで燃焼室20が構成 されている。ピストン28にコンロッド21を介してクランク軸2が連動連結さ れている。図3に示すように、クランク軸2は、一対の前後クランクアーム22 ・23の間にクランクピン24が架設され、前後クランクアーム22・23から 前後方向に前後クランクジャーナル25・26が突設されて構成されている。こ の前後クランクジャーナル25・26がクランク室カバー11とクランク室1の 後壁27とにそれぞれベアリング軸受を介して軸受され、これによりクランク軸 2がクランク室1内で前後方向に軸架されている。図1に示すように、クランク ピン24はコンロッド大端部57に内嵌され、図1に示すようにコンロッド大端 部57にはコンロッドキャップ17がコンロッドボルト19で固定されている。
【0023】 また、図1に示すように、燃焼室20には、点火プラグ30、吸気バルブ31 、排気バルブ(図外)が臨まされている。吸気バルブ31が設けられた吸気ポー ト32は、気化器33と連通されている。吸気バルブ31は、動弁カム34から 動弁機構を介して動弁作動されるようになっている。気化器33は調速機構で調 節されるようになっている。
【0024】 動弁機構の構成は次の通りである。ヘッドカバー14内にロッカアーム35が 設けられ、このロッカアーム35の出力端部が吸気バルブ31の弁軸頭部に接当 され、入力端部がプッシュロッド36の頭部に接当されている。プッシュロッド 36の下端部はタペット37上に載置され、タペット37の下端部は動弁カム3 4のカム面上に載置されている。動弁カム34が付設された動弁カム軸38は、 図3に示すように、その前後端部がクランク室カバー12の壁とクランク室1の 後壁27とにそれぞれ軸受けされ、これにより動弁カム軸38がクランク室1内 で前後方向に軸架されている。動弁カム軸38は、後述する調時伝動装置を介し てクランク軸2から連動されるようになっている。
【0025】 調速機構の構成は次の通りである。図1に示すように、調速レバー39にガバ ナスプリング40を介してガバナレバー41が連動連結され、ガバナレバー41 に連動ロッド42を介して気化器33のスロットルバルブアーム43が連動連結 されている。ガバナレバー41の下端部はガバナレバー軸44の基端部に取り付 けられ、ガバナレバー軸44はクランク室1の横壁45に回転自在に挿通され、 ガバナレバー41が揺動できるように構成されている。ガバナレバー軸44の先 端部は遠心式ガバナ46に連携されている。
【0026】 遠心式ガバナ46の構成は次の通りである。図4に示すように、ガバナ軸47 に椀状のガバナケース48が回転自在が軸支されている。ガバナケース48の内 底部にフライウェイト49の基端部が枢支され、回転によってフライウェイト4 9の先端部が外向きに揺動するように構成されている。フライウェイト49の基 端部に爪50がガバナ軸47に向けて突設されている。ガバナ軸47の先端部に スライドキャップ51が摺動自在に嵌められスライドキャップ51の先端面にガ バナレバー軸44の先端部52が接当されている。スライドキャップ51の基端 にフランジ部53が設けられ、このフランジ部53にフライウェイト49の爪5 0が接当されている。ガバナ軸47の基端部はクランク室カバー12の壁に片持 ちで支持され、遠心式ガバナ46がクランク室カバー12から後ろ向きに突設さ れている。
【0027】 この遠心式ガバナ46によれば、フライウェイト49の回転速度が増加すると 、フライウェイト49の先端部が矢印54のように揺動し、爪50が起き、スラ イドキャップ51が摺動され、ガバナレバー軸の先端部52が、矢印55のよう に押されて、図1に示すガバナレバー41が揺動され、気化器33のスロットル バルブの開度が小さく調節されることになる。遠心式ガバナ46は、後述する調 時伝動装置を介してクランク軸2から連動されるようになっている。
【0028】 このエンジンはバランサ装置を備えており、これは次のようになっている。図 3に示すように、クランク室1内にクランク軸2と平行にバランサ軸3が架設さ れ、このバランサ軸3にその回転中心から偏心したバランサウェイト5が形成さ れている。バランサウェイト5は前後に分配された半円柱状のブロック56・5 6として形成され、図5に示すように、その上面にバランサ軸3の回転中心4側 から周囲方向に向かうバランサウェイト肩面8が形成されている。図3に示すよ うに、バランサウェイト5を構成する両ブロック56・56は、コンロッド大端 部57と対向する小径部59で連接され、バランサウェイト5とコンロッド大端 部57との干渉が避けられるようになっている。バランサ軸3の両端部はクラン ク室1の後壁27とクランク室カバー12の壁とにそれぞれ軸受けされ、これに よりバランサ軸3がクランク室1で前後方向に軸架されるようになっている。
【0029】 このバランサ装置によれば、回転によって発生するバランサウェイト5の遠心 力がピストン9(図1参照)の往復慣性力と釣り合わされ、エンジンの振動が低 減されることになる。バランサ軸3は調時伝動装置を介してクランク軸2から連 動されるようになっている。
【0030】 調時伝動装置は次のように構成されている。図3に示すように、クランク軸2 に大径クランクギヤ59と小径クランクギヤ60とが嵌着されている。バランサ 軸3にバランサギヤ61が嵌着されている。動弁カム軸38に動弁ギヤ62が嵌 着されている。図4に示すように、ガバナケース48の周囲にガバナギヤ63が 形成されている。図3に示すように、大径クランクギヤ59とバランサギヤ61 とが噛合され、小径クランクギヤ60と動弁ギヤ62とが噛合されている。また 、図2に示すように、動弁ギヤ62とガバナギヤ63とが噛合されている。
【0031】 この調時伝動装置では、図2に示すように、クランク軸2とともに大径クラン クギヤ59と小径クランクギヤ60とが矢印64のように時計回りに回転すると 、バランサギヤ61が矢印65のように反時計回りに回転連動され、また、動弁 ギヤ62が矢印66のように反時計回りに回転連動されるとともに、ガバナギヤ 63が矢印67のように時計回りに回転連動される。このため、クランク軸2が 回転すると、バランサ軸3が反時計回りに回転連動され、動弁カム軸38が反時 計回りに回転連動され、遠心式ガバナ46が時計回りに回転連動される。
【0032】 このエンジンの飛沫潤滑装置は次のように構成されている。図2に示すように 、バランサ軸3がクランク軸2の下方で軸支され、バランサ軸3の回転中心4が 、潤滑油6の規定油面7付近に配置され、バランサウェイト5が潤滑油6の規定 油面7の上下にわたって回転するように構成されている。これにより、バランサ 軸3の回転中心4側から周囲方向に延びたバランサウェイト肩面8で、潤滑油6 がクランク室1内に跳ね上げられる。また、バランサギヤ61の下半部と遠心式 ガバナ46の下半部が潤滑油6に漬けられている。潤滑油跳ね上げ側であるバラ ンサウェイト5の右側で、潤滑油6の規定油面7から下向きに遮蔽板9が設けら れている。図5に示すように、この遮蔽板9はクランク室1の後壁からバランサ ギヤ61の右側を経てガバナギヤ63の左側にまで導出されている。この遮蔽板 9はシリンダブロック11と一体鋳造で形成されている。
【0033】 この飛沫潤滑装置では、図2に示すように、潤滑油6が次のように跳ね上げら れる。矢印68のように反時計回りに回転するバランサウェイト5のバランサ肩 面8で、潤滑油6が矢印69のように跳ね上げられる。また、矢印65のように 反時計回りに回転するバランサギヤ61で、潤滑油6が矢印70のように跳ね上 げられる。また、矢印67のように時計回りに回転するガバナギヤ63で、潤滑 油6が矢印71のように跳ね上げられる。この潤滑油6の跳ね上げ状態は図5に も示されている。
【0034】 この飛沫潤滑装置によれば、図2に示すように、跳ね上げられた潤滑油6の飛 沫は、クランク軸2や動弁カム軸38に跳ね掛けられて、コンロッド大端部57 とクランクピン24との潤滑や、動弁カム34とタペット37との潤滑等が行わ れることになる。また、飛沫の一部はシリンダライナ16の内周面に跳ね掛けら れ、ピストン9(図1参照)とシリンダライナ16との間の潤滑が行われる。ま た、飛沫の一部はピストン9の内側に跳ね掛けられ、ピストン9の冷却が行われ る。この場合、バランサウェイト肩面8、バランサギヤ61、ガバナギヤ63で それぞれ跳ね上げられようとする潤滑油6の一部は遮蔽板9に当たり、クランク 1室への跳ね上がりが邪魔されるので、バランサウェイト5、バランサギヤ61 、ガバナギヤ63の回転数の増加で潤滑油6の飛沫量が異常に増加することがな い。
【0035】 このエンジンはブレザ装置を備えており、これは次のように構成されている。 図1に示すように、クランク室1がプッシュロッド室72を介してブレザ室73 に連通されている。ブレザ室73内にはリード弁74が設けられている。ブレザ 室73はリード弁74の流路下手側にある大気連通パイプ75を介して大気中に 解放されている。ブレザ室73はシリンダヘッド13とヘッドカバー14とにわ たって形成され、リード弁74はシリンダヘッド13とヘッドカバー14とに挟 まれて固定されている。尚、プッシュロッド室72はロッカアーム室76とも連 通されている。
【0036】 このブレザ装置によれば、燃焼室20からクランク室1内に漏れ出たブローバ イガスが潤滑油6の飛沫を巻き込み、この飛沫をミスト状にし、これを伴いなが ら、プッシュロッド室72を介してブレザ室73に流入する。そして、ブレザ室 内73のリード弁74でブローバイガスから潤滑油が分離され、潤滑油が除去さ れたブローバイガスが大気連通パイプ75から大気中に放出される。この場合、 上述のように、バランサウェイト5等の回転増加によって潤滑油6の飛沫量が異 常に増加することがないので、ブレザ室73から潤滑油が吹き出すことがない。 尚、ミスト状の潤滑油を伴ったブローバイガスはプッシュロッド室72からロッ カアーム室76にも流入し、ロッカアーム35に潤滑油が供給され、ロッカアー ム35の潤滑が行われる。
【0037】 図6は図1のエンジンの変更例の要部縦断面図である。この変更例のものは、 バランサウェイト5とバランサギヤ61とが矢印77・78のように時計回り方 向に回転する構造のものであり、これに合わせて遮蔽板9がバランサウェイト5 及びバランサギヤ61の左側で、潤滑油6の規定油面7に沿って横向きに設けら れている。この遮蔽板9もシリンダブロックと一体鋳造で形成されている。この 場合にも、バランサウェイト肩面8、バランサギヤ61でそれぞれ跳ね上げられ ようとする潤滑油6の一部は遮蔽板9に当たり、クランク1室への跳ね上がりが 邪魔されるので、バランサウェイト5、バランサギヤ61の回転数の増加で潤滑 油6の飛沫量が異常に増加することがない。
【図面の簡単な説明】
【図1】本考案の実施例に係るバランサ装置を備えた飛
沫潤滑式空冷単気筒ガソリンエンジンの縦断面正面図で
ある。
【図2】図1のエンジンの下部の縦断面正面図である。
【図3】図1のエンジンの横断面平面図である。
【図4】図1のエンジンに用いられている遠心式ガバナ
装置の横断面平面図である。
【図5】図1のエンジンに用いられている飛沫潤滑装置
の斜視図である。
【図6】図1のエンジンの変更例の要部縦断面図であ
る。
【図7】従来技術に係るバランサ装置を備えた飛沫潤滑
式エンジンの縦断面正面図である。
【符号の説明】
1…クランク室、2…クランク軸、3…バランサ軸、4
…3の回転中心、5…バランサウェイト、6…潤滑油、
7…6の規定油面、8…バランサウェイト肩面、9…遮
蔽板。

Claims (1)

    【実用新案登録請求の範囲】
  1. 【請求項1】 クランク室(1)内に架設されたクランク
    軸(2)と平行にバランサ軸(3)が架設され、このバラン
    サ軸(3)にその回転中心(4)から偏心したバランサウェ
    イト(5)が形成され、上記バランサ軸(3)が調時伝動装
    置を介してクランク軸(2)から回転連動されるように構
    成された、バランサ装置付きエンジンにおいて、 上記バランサ軸(3)が上記クランク軸(2)の下方で軸架
    され、上記バランサ軸(3)の回転中心(4)が、上記クラ
    ンク室(1)内下部に溜められた潤滑油(6)の規定油面
    (7)付近に配置され、上記バランサウェイト(5)が上記
    潤滑油(6)の規定油面(7)の上下にわたって回転するよ
    うに構成され、上記バランサ軸(3)の回転中心(4)側か
    ら周囲方向に延びたバランサウェイト肩面(8)で、上記
    潤滑油(6)が上記クランク室(1)内に跳ね上げられるよ
    うに構成され、上記バランサウェイト(5)の横側方のう
    ち、潤滑油跳ね上げ側で、上記潤滑油(6)の規定油面
    (7)付近に遮蔽板(9)が設けられた、ことを特徴とする
    バランサ装置付きエンジンにおける飛沫潤滑装置。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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