JPH05299365A - Cvd法による酸化物系誘電体薄膜の製法 - Google Patents

Cvd法による酸化物系誘電体薄膜の製法

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JPH05299365A
JPH05299365A JP4289780A JP28978092A JPH05299365A JP H05299365 A JPH05299365 A JP H05299365A JP 4289780 A JP4289780 A JP 4289780A JP 28978092 A JP28978092 A JP 28978092A JP H05299365 A JPH05299365 A JP H05299365A
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俊久 本多
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久男 渡井
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Abstract

(57)【要約】 【構成】 CVD法により酸化物系誘電体薄膜を製造す
るにあたって、金属原子が酸素原子を介して有機基と結
合した原料化合物の気化工程および輸送工程の少なくと
も一方の工程において、前記原料化合物に沸点100℃
以下の有機溶剤の蒸気を接触させる。 【効果】 酸化物系誘電体薄膜の原料化合物を従来より
も低温で、かつ安定に気化、反応部へ輸送ができるの
で、均一な組成制御が可能となり、すぐれた性能を有す
る酸化物系誘電体薄膜が製造できる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、誘電体メモリーなどに
用いる酸化物系誘電体薄膜の化学気相成長(CVD)法
による製法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】近年、半導体におけるメモリーデバイス
の集積化が急速に進んでいる。たとえば、ダイナミック
ランダムアクセスメモリー(DRAM)では、3年間に
ビット数が4倍という急激なペースで集積化が進んでき
た。これはデバイスの高速化、低消費電力化、低コスト
化などの目的のためである。しかし、いかに集積度が向
上しても、DRAMの構成要素であるキャパシタは、一
定の容量をもたねばならない。このため、キャパシタ材
料の膜厚を薄くする必要があり、それまで用いられてい
たSiO2では薄膜化の限界が生じた。そこで材料を変
更して誘電率を上げることができれば、薄膜化と同様に
容量を確保することができるため、高誘電率の誘電体材
料をメモリーデバイス用として利用する研究が最近注目
を集めている。
【0003】このようなキャパシタ用材料に要求される
性能としては、上記のように高誘電率を有する薄膜であ
ることおよびリーク電流が小さいことが最も重要であ
る。すなわち、高誘電率材料を用いる限りにおいては、
できる限り薄い膜で、かつリーク電流を最小にする必要
がある。大まかな開発目標としては、一般的にSiO2
換算膜厚で1nm以下および1.65V印加時のリーク
電流密度として10-8A/cm2オーダー以下が望まし
いとされている。また、段差のあるDRAMのキャパシ
タ用電極上に薄膜として形成するためには、複雑な形状
の物体への付き周り性が良好なCVD法による成膜の可
能なことがプロセス上非常に有利である。このような観
点から、酸化タンタル、チタン酸ジルコン酸鉛(PZ
T)、チタン酸ジルコン酸ランタン鉛(PLZT)、チ
タン酸ストロンチウム、チタン酸バリウムなどの酸化物
系誘電体薄膜が各種成膜法を用いて検討されている。し
かし、CVD法によって成膜することが最も有利である
にもかかわらず、現在CVD用原料化合物(以下、原料
という)として安定で良好な気化特性を有するものが存
在しないことが大きな問題となっている。これは、主と
してCVD用原料として多用されているβ−ジケトン系
のジピバロイルメタン(DPM)化合物の加熱による気
化特性が良好でないことによるものである。この点はた
とえば第52回応用物理学会学術講演会予稿集講演番号
9a−P−11などで指適されており、金属のDPM化
合物の本質的な不安定性に起因する欠点であると考えら
れる。それにもかかわらず、たとえば第52回応用物理
学会学術講演会予稿集講演番号9a−P−6にあるよう
に、CVD法が盛んに検討されており、上記のような原
料の不安定性のため、極端なばあいには原料を使い捨て
にして成膜せざるをえないという事態も生じている。し
たがって、上記の原料に起因する欠点のために、性能の
良好かつ製造再現性のよい誘電体薄膜を製造する技術は
確立されていない現状にある。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】前記のように、従来の
CVD法による酸化物系誘電体薄膜の製造においては、
酸化物系誘電体を生成する原料の気化性および高温にお
ける安定性がよくないので、原料を低温で加熱してCV
D反応部へ安定に輸送することは不可能である。そのた
め、組成制御を行いにくく、良好な特性を有する誘電体
薄膜の安定製造ができないという大きな問題がある。一
方原料の気化効率をあげるために高い温度で加熱する
と、原料の輸送中に熱分解などが起きるので、膜の結晶
性不良や組成ズレが不可避である。そればかりか、前記
のように原料を使い捨てにしなければならないという不
都合も起こっている。また、気化速度を抑えて反応時間
を長くすると、原料の気化状態が経時的に変化するため
に形成した膜の厚さ方向の組成が不均質になって、リー
ク電流が増大することが避けられない。そのため、低温
で安定かつ良好に気化させうる原料の開発が強く望まれ
ているが、これに関してはいまだ進展はない現状にあ
る。
【0005】本発明の製法は、前記従来のCVD法によ
る酸化物系誘電体薄膜の製法における欠点を解消するた
めになされたものであり、原料を従来よりも低い加熱温
度で気化せしめ安定に反応部へ輸送するとともに、良好
な性能を有するキャパシタ用酸化物系誘電体薄膜を製造
することを目的とするものである。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、前記のC
PM化合物のような金属原子が酸素原子を介して有機基
と結合した化合物の気化性について詳細に検討を加えた
結果、これらの化合物のうちとくにBaやSrなどのア
ルカリ土類金属およびPbやTiなどの化合物が気化性
も高温における安定性も良好でないことが判明した。し
たがって、これらの金属の酸化物を主成分とする酸化物
系誘電体膜をCVD法によって製造するばあい、とくに
目的とする組成への制御性がむつかしくなることが避け
られないことが分かった。そこで本発明者らは、これら
の化合物を従来よりも低温で加熱し、熱分解することな
く安定に気化させることによって、組成の制御性が向上
し、所望の特性を有する酸化物系誘電体薄膜を再現性よ
く製造する方法を見いだし、本発明を完成するに至っ
た。
【0007】本発明のCVD法による酸化物系誘電体薄
膜の製法は、金属原子が酸素原子を介して有機基と結合
した原料化合物の気化工程および輸送工程の少なくとも
一方の工程において、前記原料化合物に沸点100℃以
下の有機溶剤の蒸気を接触させることを特徴とするもの
である。
【0008】本発明の方法に使用する、金属原子が酸素
原子を介して有機基と結合した原料化合物の金属原子
が、Pb、Ti、Zr、Taおよびアルカリ土類金属か
ら選ばれた少なくとも一種であること好ましい。
【0009】本発明の方法に使用する、金属原子が酸素
原子を介して有機基と結合した原料化合物の金属原子
が、Srおよび/またはBaであることが好ましい。
【0010】本発明の方法に使用する、金属原子が酸素
原子を介して有機基と結合した化合物が、金属のアセチ
ルアセトネート、ジピバロイルメタネート、アルコキシ
ド、ヘキサフルオロアセチルアセトネート、ペンタフル
オロプロパノイルピバロイルメタネートおよびそれらの
誘導体から選ばれた少なくとも一種であることが好まし
い。
【0011】本発明の方法に使用する、金属原子が酸素
原子を介して有機基と結合した化合物が、Pb、および
アルカリ土類金属の、ジピバロイルメタネート、ヘキサ
フルオロアセチルアセトネート、ペンタフルオロプロパ
ノイルピバロイルメタネートとTiおよびZrのアルコ
キシドとから選ばれた少なくとも一種であることが好ま
しい。
【0012】本発明の方法に使用する、金属原子が酸素
原子を介して有機基と結合した化合物が、Srおよび/
またはBaのジピバロイルメタネートであることが好ま
しい。
【0013】本発明の方法に使用する沸点100℃以下
の有機溶剤が炭化水素類、アルコール類、エーテル類、
ケトン類およびアミン類から選ばれた少なくとも一種で
あることが好ましい。
【0014】本発明の方法に使用する沸点100℃以下
の有機溶剤がジエチルエーテル、ジメチルケトン、テト
ラヒドロフランから選ばれたすくなくとも一種であるこ
とが好ましい。
【0015】
【作用】本発明において、金属原子が酸素を介して有機
基と結合した化合物に接触させる沸点100℃以下の有
機溶剤の蒸気の作用の詳細については不明であるが、前
記有機溶剤の蒸気は、前記化合物に作用してある種の低
沸点の付加体を形成することによって低温加熱において
もその気化性が良好になり、かつ気化物の安定性を高め
て反応部へ送り込むことを可能ならしめるという働きを
なすものと考えられる。
【0016】
【実施例】[実施例1]三元の原料加熱系統を有する通
常のホットウォールタイプのCVD装置を用い、本発明
の方法によるチタン酸ストロンチウム系酸化物(SrT
iO3)誘電体薄膜を酸化マグネシウム基板上に製造す
る実験を行った。原料としては、SrとTiのアセチル
アセトナート誘導体を用い、これに加熱時において、有
機溶剤であるジメチルケトン(沸点57℃)の蒸気をそ
れぞれ流入接触させた。反応条件としては、原料の加熱
温度をSr化合物は185℃、Ti化合物は190℃に
設定し、キャリアガスはアルゴン、反応ガスは酸素で反
応部(炉)内圧力は8Torr、基板温度700℃、反
応時間10分とした。反応後、酸素気流中で室温まで自
然放冷を行ったところ、膜厚約60nmの酸化物誘電体
薄膜がえられた。X線回析により結晶性を調べ、誘電率
および直流電圧1.65V印加時のリーク電流密度を測
定した。結果を表1に示す。
【0017】[比較例1]実施例1と同様の原料および
反応条件を用いて有機溶剤の混入を行わない従来のCV
D法により、酸化物系誘電体薄膜の製造を実施した。T
iについては基板上への堆積が認められたが、Srにつ
いては堆積が認められず、185℃の加熱では気化がほ
とんど生じないことが判明した。そこで、比較例1では
原料の加熱温度をSr化合物は230℃、Ti化合物は
250℃に設定して30分間反応を行い、本発明の方法
のばあいと同様に反応後酸素気流中で室温まで自然放冷
を行って200nmの厚さの膜をえた。この膜について
も同様に、その性能を調べた。結果を表1に示す。
【0018】
【表1】 表1から明らかなように、本発明の方法によれば加熱温
度を従来の製法より低くしても性能の良好な誘電体薄膜
をうることが可能である。とくに従来法による膜と比べ
ると、1/3以下の膜厚で、しかもリーク電流を1/5
0以下に抑えることができた。また、実施例、比較例そ
れぞれを前記と同一の条件で10回のくり返しを実施
し、再現性について調べたところ、本発明の方法による
薄膜は比誘電率ならびにリーク電流密度とも大きなばら
つきは見られず、再現性が良好であることが判明した。
これに対して、従来法による膜は比誘電率、リーク電流
密度とも表1の値に対して±20%以上の大きなばらつ
きが見られた。
【0019】[実施例2]実施例1と同一のCVD装置
を用い、Pb、ZrおよびTiのジピバロイルメタネー
ト誘導体を原料として用い、チタン酸鉛ジルコニウム系
酸化物誘電体薄膜の製造を行った。原料をそれぞれ20
0℃、190℃および180℃に加熱しながら、この中
にキャリアガスのアルゴンとともに有機溶剤としてジエ
チルエーテル(沸点35℃)の蒸気を流入させて接触さ
せた。基板として、酸化マグネシウムを用い、基板温度
を630℃に設定した。その他の条件は実施例1と同様
にして、PZT系酸化物誘電体薄膜の製造を行った。え
られた膜の厚さは127nmであった。性能を表2に示
す。
【0020】[比較例2]実施例2と同様にして、ただ
し有機溶剤を添加せず、また実施例1のばあいと同様の
理由により、各原料の加熱温度はそれぞれ実施例2のば
あいよりも高い、それぞれ250℃、220℃、230
℃に保持した。このばあいの膜厚は381nmであっ
た。えられた薄膜の性能を表2に示す。
【0021】
【表2】 表2から実施例1のばあいと同様に、本発明の方法によ
ると、従来の製法によるものよりも低温加熱であるにも
かかわらず、従来法によるものより薄い膜で比誘電率、
リーク電流密度ともはるかに良好な酸化物系誘電体薄膜
がえられることが分かる。また、実施例1と同様に実施
例2および比較例2についてもそれぞれ同一の条件で1
0回のくり返しを実施し、再現性について調べたとこ
ろ、本発明の方法による膜は比誘電率ならびにリーク電
流密度とも大きなばらつきは見られず、従来法による薄
膜と比較して再現性が良好であることが分かった。
【0022】[実施例3]実施例1と同一のCVD装置
を用い、Sr、Baのジピバロイルメタネート誘導体お
よびTiイソプロポキシドを原料として用い、チタン酸
バリウムストロンチウム系酸化物誘電体薄膜の製造を行
った。この際、SrおよびTi原料は、それぞれ200
℃、210℃に加熱しながら、この中にキャリアガスの
アルゴンとともに有機溶剤であるテトラヒドロフラン
(沸点62℃)の蒸気を流入させて接触させた。Tiイ
ソプロポキシドは液体なので、そのまま180℃に加熱
して気化させた。基板として、酸化マグネシウムを用
い、基板温度を635℃に設定した。その他の条件は実
施例1と同様にして、80nmの膜厚を有する酸化物誘
電体薄膜の製造を行った。えられた酸化物誘電体薄膜の
性能を表3に示す。
【0023】[比較例3]実施例3と同様にして、ただ
し、有機溶剤を添加せず、また実施例1と同様の理由に
より、SrおよびTi原料の加熱温度はそれぞれのばあ
いよりも高い240℃、260℃に保持した。このばあ
いえられた薄膜の膜厚は150nmであった。えられた
薄膜の性能を表3に示す。
【0024】
【表3】 表3から、実施例1および2のばあいと同様に本発明の
方法によると、従来の製造方法によるものよりも低温加
熱であるにもかかわらず、従来法によるものより薄い膜
で比誘電率、リーク電流密度ともはるかに良好な酸化物
系誘電体薄膜がえられることが分かる。また、実施例1
と同様に実施例3、比較例3についてもそれぞれを同一
の条件で10回のくり返しを実施し、再現性について調
べたところ、本発明の方法による膜は比誘電率ならびに
リーク電流密度とも大きなばらつきは見られず、従来法
による膜と比較して再現性が良好であることが分かっ
た。
【0025】[実施例4]シリコン集積回路用のキャパ
シタ絶縁膜への応用を検証するため破壊電圧を調べた。
Si基板上に厚さ100nmの酸化シリコン膜を形成
し、さらにその上に下部電極として厚さ100nmの白
金膜を設けたものの上に実施例3と同様にして80nm
の膜厚を有するチタン酸バリウムストロンチウム系酸化
物誘電体薄膜を製造した。比較のため、比較例3と同様
にして有機溶剤を添加しない従来の方法による製造も行
った。このとき、比較を容易にするため膜厚を前記本発
明の方法によるものと同じ80nmとした。えられたそ
れぞれの酸化物系誘電体薄膜の上に直径1.0mmの白
金電極を形成し、破壊電圧を測定した。
【0026】図1(a)は実施例4において、本発明の
方法によってSi基板上にえられたチタン酸バリウムス
トロンチウム系誘電体薄膜の耐圧特性を示す図であり、
図1(b)は同じく従来法によってえられた、同様の薄
膜の耐圧特性を示す図である。
【0027】図1(a)、(b)から分かるように本発
明の方法によってえられた薄膜は、従来法によってえら
れた薄膜にくらべて、低電圧での破壊が少なくなり、破
壊電圧が向上した。
【0028】前記実施例1〜3では原料の気化工程で、
原料を加熱しながら100℃以下の沸点を有する有機溶
剤の蒸気を直接またはキャリガスとともに原料に接触さ
せたが、原料を加熱気化せしめたのち、該気化物を反応
部へ輸送する際に前記有機溶剤の蒸気を接触せしめる態
様や、原料を加熱気化せしめる工程でのみ前記有機溶剤
の蒸気を接触せしめる態様でも有効である。これらのば
あい、前記気化物は高温での輸送中にも分解などの変化
が起りにくく安定な状態で反応部へ送られるので、実施
例1〜3でえられたと同様のすぐれた性能を有する酸化
物系誘電体薄膜がえられる。
【0029】比較例1、2、3や実施例4中の従来法で
えられた酸化物系誘電体薄膜が、X線回析によれば結晶
が配向しているにもかかわらず、良好な性質を示さない
理由は確かではないが、前記原料化合物の熱による気化
が困難で、かつ高い温度に加熱し輸送するために、気化
あるいは気化物を反応部まで輸送する間に原料化合物の
分解など種々の反応が生じるので、反応によって基板上
にえられる薄膜中での組成に不均質性が生じたためであ
ろうと推定される。
【0030】本発明の方法によって、PLZT、チタン
酸バリウム、酸化タンタル、チタン酸鉛などの誘電材料
の薄膜製造も行った結果、いずれのばあいにも従来法よ
りも良好な性能を有する誘電体薄膜を再現性よく製造す
ることができた。
【0031】本発明の方法で用いられる有機溶剤につい
て、各種のものを検討したが、たとえばn−ブタノー
ル、シクロヘキサノン、ジブチルアミン、n−オクタン
などのように沸点が100℃を超えるものは原料化合物
と接触させても、本発明のような低温での気化性の向上
や気化した原料化合物の高温における安定化という効果
は現われず、えられた薄膜の性能は溶剤を全く使用しな
い従来の方法によってえられたものと同様の性能であっ
た。
【0032】本発明においては、原料化合物に接触させ
る有機溶剤として、沸点が100℃以下のものであれ
ば、特別の限定はないが、好ましいものとしてメタノー
ル、エタノール、イソプロパノールなどのアルコール
類、ジメチルエーテル、ジエチルエーテル、メチルエチ
ルエーテル、ジオキサン、テトラヒドロフランなどの鎖
状および環状エーテル類、ジメチルケトン、メチルエチ
ルケトンなどのケトン類、ジメチルアミン、ジエチルア
ミンなどのアミン類、n−ヘキサン、ジメチルブタン、
シクロヘキサンなどの炭化水素類など脂肪族系溶剤をあ
げることができる。
【0033】また、本発明で用いる原料としては、金属
原子が酸素原子を介して有機基と結合した化合物であれ
ば、前記の有機溶剤の効果が発揮される。その中でも金
属としては、Pb、Ti、Zr、Taおよびアルカリ土
類金属が好ましく、前記金属類のアセチルアセトネー
ト、ジピバロイルメタネート、アルコキシド、ヘキサフ
ルオロアセチルアセトネート、ペンタフルオロプロパノ
イルピバロイルメタネートおよびそれらの誘導体などが
好ましく用いられる。
【0034】
【発明の効果】以上のように、本発明のCVD法による
酸化物系誘電体薄膜の製法によれば、原料化合物を低温
の加熱で気化させることができ、かつ安定に反応部へ輸
送することができ、その結果えられた酸化物系誘電体薄
膜が良好な性能を有するという効果がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の方法および従来技術の方法によってえ
られたチタン酸バリウムストロンチウム系誘電体薄膜の
耐圧特性を示す図である。
フロントページの続き (72)発明者 本多 俊久 尼崎市塚口本町8丁目1番1号 三菱電機 株式会社材料デバイス研究所内 (72)発明者 黒岩 丈晴 尼崎市塚口本町8丁目1番1号 三菱電機 株式会社材料デバイス研究所内 (72)発明者 渡井 久男 尼崎市塚口本町8丁目1番1号 三菱電機 株式会社材料デバイス研究所内 (72)発明者 檜垣 孝志 伊丹市瑞原4丁目1番地 三菱電機株式会 社エル・エス・アイ研究所内

Claims (8)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 金属原子が酸素原子を介して有機基と結
    合した原料化合物を用いてCVD法により酸化物系誘電
    体薄膜を製造する際に、前記原料化合物の気化工程およ
    び輸送工程の少なくとも一方の工程において、前記原料
    化合物に、沸点100℃以下の有機溶剤の蒸気を接触さ
    せることを特徴とするCVD法による酸化物系誘電体薄
    膜の製法。
  2. 【請求項2】 金属原子が酸素原子を介して有機基と結
    合した原料化合物の金属原子が、Pb、Ti、Zr、T
    aおよびアルカリ土類金属から選ばれた少なくとも一種
    であることを特徴とする請求項1記載の酸化物系誘電体
    薄膜の製法。
  3. 【請求項3】 金属原子が酸素原子を介して有機基と結
    合した原料化合物の金属原子が、Srおよび/またはB
    aであることを特徴とする請求項1または2記載の酸化
    物系誘電体薄膜の製法。
  4. 【請求項4】 金属原子が酸素原子を介して有機基と結
    合した原料化合物が、金属のアセチルアセトネート、ジ
    ピバロイルメタネート、アルコキシド、ヘキサフルオロ
    アセチルアセトネート、ペンタフルオロプロパノイルピ
    バロイルメタネートおよびそれらの誘導体から選ばれた
    少なくとも一種であることを特徴とする請求項1、2ま
    たは3記載の酸化物系誘電体薄膜の製法。
  5. 【請求項5】 金属原子が酸素原子を介して有機基と結
    合した原料化合物が、Pb、およびアルカリ土類金属
    の、ジピバロイルメタネート、ヘキサフルオロアセチル
    アセトネート、ペンタフルオロプロパノイルピバロイル
    メタネートとTiおよびZrのアルコキシドとから選ば
    れた少なくとも一種であることを特徴とする請求項1、
    2、3または4記載の酸化物系誘電体薄膜の製法。
  6. 【請求項6】 金属原子が酸素原子を介して有機基と結
    合した原料化合物が、Srおよび/またはBaのジピバ
    ロイルメタネートであることを特徴とする請求項1、
    2、3、4または5記載の酸化物系誘電体薄膜の製法。
  7. 【請求項7】 沸点100℃以下の有機溶剤が炭化水素
    類、アルコール類、エーテル類、ケトン類およびアミン
    類から選ばれた少なくとも一種であることを特徴とする
    請求項1記載の酸化物系誘電体薄膜の製法。
  8. 【請求項8】 沸点100℃以下の有機溶剤がジエチル
    エーテル、ジメチルケトン、テトラヒドロフランから選
    ばれたすくなくとも一種であることを特徴とする請求項
    1または7記載の酸化物誘電体薄膜の製法。
JP4289780A 1992-02-17 1992-10-28 Cvd法による酸化物系誘電体薄膜の製法 Expired - Lifetime JP2790581B2 (ja)

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US6101085A (en) * 1996-02-13 2000-08-08 Mitsubishi Denki Kabushiki Kaisha High dielectric constant thin film structure, method for forming high dielectric constant thin film, and apparatus for forming high dielectric constant thin film
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US6764916B1 (en) 1999-03-23 2004-07-20 Hitachi Kokusai Electric Inc. Manufacturing method for semiconductor device
JP2020123729A (ja) * 2013-02-11 2020-08-13 日本テキサス・インスツルメンツ合同会社 強誘電性誘電材料の多段階堆積

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