JPH05299058A - 高圧放電灯 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 （修正有） 【目的】高圧放電灯における封止管部の内部構造を改良
することにより、封止工程において封止管部内の石英ガ
ラスを充分に溶融させ、封止部の内部の不溶着部分を無
くし、気密漏洩やランプ破裂の起こり得ない高圧放電灯
を提供する。 【構成】大電流点灯用の封止部構造を持つ発光管におい
て、封止管部２と共に箔７を気密封着する閉塞筒体８
に、石英ガラスよりも高融点且つ前記閉塞筒体よりも熱
容量の小さい内接部材９か、もしくは石英ガラスよりも
高融点且つ前記閉塞筒体よりも熱容量の小さい外部導入
体１０を内接させる。 【効果】封止工程において石英ガラスが充分に溶融する
ので、封止部内の石英ガラスの不溶着部分がなくなり、
封止部の気密漏洩やランプの破裂を防止することができ
る。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明は、大電流点灯用として使
用するために、特にその封止管部構造に特徴を有する高
圧放電灯に関する。

【０００２】

【従来の技術】例えば、キセノンランプやショートアー
ク水銀ランプ等の高圧放電灯は、映写装置や半導体露光
用の光源などの用途として多用されており、この高圧放
電灯の封止管部は、図４に例示する様に構成されてい
る。

【０００３】この高圧放電灯は、球体状の中央部を発光
空間（１）として、その両端部には封止管部（２）が形
成された、石英ガラス製のバルブ（３）を備えており、
ここでバルブ（３）の封止管部（２）は完全に塞がれて
おらず、発光空間（１）に連なるその付け根部分は特に
細く形成してある。このバルブ（３）の封止工程を以下
に記載する。

【０００４】封止管部（２）の管内には、まず一方の端
部に電極（４）を有しもう一方の端部に石英ガラス製の
保持管（５）を外装した内部導入体（６）を挿入し、前
記保持管（５）を当接して封止管部（２）の付け根部分
で一時固定する。

【０００５】次に使用するランプ電流に基づいた所定枚
数の金属箔（７）を、一方の端部に開口部を有する石英
ガラス製の閉塞筒体（８）の外周面に、その軸方向に沿
わせると共に互いに離間して密着させ、この閉塞筒体
（８）を封止管部（２）内に挿入する。この時に前記の
内部導入体（６）が閉塞筒体（８）に押され所定の位置
に収められる。

【０００６】閉塞筒体（８）を挿入した状態では、図４
に示した様に金属箔（７）が封止管部（２）と閉塞筒体
（８）に挟まれ、また金属箔（７）と内部導入体（６）
は接触して電気的に接続されている。前記金属箔（７）
は後の工程で封止管部（２）内に気密封着されるため極
めて薄く形成されているが、その反面、大電流を流すに
あたって大きな総断面積を必要とするため、閉塞筒体
（８）の外周面のほとんどが金属箔（７）に覆われた状
態となる。ただし封着した金属箔が封止管部の溶融時に
たわんで、その部分に隙間が生じると気密封着が行えな
くなるので、前述した様に金属箔（７）は円周方向に対
して数枚に分けられている。

【０００７】そして最後に、封止管部（２）の開口を封
止する様な円盤状の突起部を有する外部導入体（１０）
に、石英ガラス製の筒体（１１）を装着して封止管部
（２）内に挿入する。前記筒体（１１）は、封止工程に
おいて石英ガラスを溶融する際に、内側から閉塞筒体
（８）を支えて、閉塞筒体（８）が変形して金属箔
（７）の気密封着を阻害するのを防止するものである。
また、ここで外部導入体（１０）と金属箔（７）とが接
触することにより、封止管部（２）内で内部導入体
（６）と外部導入体（１０）とが金属箔を介して電気的
に接続された状態となる。

【０００８】以上の様な内部構造の封止部は、金属箔等
の金属部材の酸化を防止するために真空に排気するか、
不活性ガスを流通させながら、バーナー等の加熱手段に
より外部から加熱して、封止管部（２）と閉塞筒体
（８）を溶融して金属箔（７）を気密封着し、封止部を
完全に封止している。また閉塞筒体（８）と筒体（１
１）、及び封止管部（２）と保持管（５）も溶着してい
る。

【０００９】以上の様な構成の高圧放電灯は、前述した
様に内部導入体（６）と外部導入体（１０）とが、閉塞
筒体（８）の外周面を覆う数枚の金属箔（７）を介して
通電しているため、大きなランプ電流に対応できる。

【００１０】しかしながら、この様な高圧放電灯におい
ても、所定のランプ電流値を流すために封止管部（２）
の断面積を大型化する必要があり、それに伴って石英ガ
ラス製の筒体の容積も大きくなっていた。

【００１１】これにより上記の封止工程において、封止
部を加熱しても熱容量が大きいため、石英ガラスが充分
に溶融する温度にまで昇温せず、金属箔（７）を介した
封止管部（２）と閉塞筒体（８）との接合面や、その他
の石英ガラス同士の接合面に不溶着部分が発生し、ラン
プ点灯時に発生する気密漏洩やクラックの原因となって
いた。そして、このクラックはしばしばランプを破裂さ
せることもあった。

【００１２】

【発明が解決しようとする課題】以上の様に、従来の高
圧放電灯における封止部は、封止工程において封止管部
内の石英ガラスが充分に溶融せず、封止部内に不溶着部
分が生じ易く、気密漏洩やランプ破裂が起こるという欠
点があった。そこで本発明は、上記欠点を除去すること
により、気密漏洩やランプ破裂の起こり得ない高圧放電
灯を提供することを目的とする。

【００１３】

【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため
に、本発明は、発光空間の両端に中空状の封止管部を有
するガラス製のバルブと、一方の端部の開口部が塞がれ
た円筒形であり、前記端部が前記発光空間側に位置して
前記封止管部に内装されるガラス製の閉塞筒体と、前記
バルブの軸方向に沿って配設され、前記封止管部と前記
閉塞筒体との間に気密封着される、一枚もしくは数枚の
金属箔と、一端が前記金属箔と電気的に接続して前記封
止管部内に固持され、他端が前記発光空間内に位置する
電極を有する内部導入体と、前記金属箔と電気的に接続
して前記封止管部内に固持され、一端が前記バルブより
外方へ突出した外部導入体とを有する高圧放電灯におい
て、前記閉塞筒体に、前記ガラスよりも高融点且つ前記
閉塞筒体よりも熱容量の小さい内接部材か、もしくは前
記ガラスよりも高融点且つ前記閉塞筒体よりも熱容量の
小さい前記外部導入体を内接させたことを特徴としてい
る。

【００１４】

【作用】筒体に換えて、石英ガラス製の閉塞筒体よりも
高融点且つ熱容量の小さい内接部材もしくは外部導入体
を、閉塞筒体に内接させることにより、封止工程におい
て封止管部と閉塞筒体の溶融によるこれらの変形を防
ぎ、しかも熱容量が小さいために石英ガラスが充分に溶
融する。これにより封止管部内の石英ガラスの不溶着部
分がなくなる。

【００１５】

【実施例】以下図面を参照して本発明の実施例を説明す
る。本発明の高圧放電灯の一実施例において、その模式
図と封止部の断面図をそれぞれ図１、図２に示す。この
高圧放電灯の構造を、封止管部の形成方法を通して説明
する。

【００１６】この高圧放電灯は、中央部に発光物質を封
入した発光空間（１）が形成され、その両端部には封止
管部（２）が形成されている。この石英ガラス製のバル
ブ（３）の封止管部（２）は完全に塞がれておらず、そ
の付け根部分は特に細く形成してある。

【００１７】この封止管部（２）の管内には、まず一方
の端部に電極（４）を有し、もう一方の端部に石英ガラ
ス製の保持管（５）に内挿された内部導入体（６）を挿
入し、前記保持管（５）は封止管部（２）の付け根部分
で一時固定される。

【００１８】次に、最大ランプ電流に対応する様に所定
枚数のモリブデンの金属箔（７）を、一方の端部に開口
部を有する石英ガラス製の閉塞筒体（８）の外周面にそ
の軸方向に沿わせると共に互いに離間して密着させ、こ
の閉塞筒体（８）を封止管部（２）内に挿入する。この
時に前記の内部導入体（６）が閉塞筒体（８）に押され
所定の位置に収められる。

【００１９】この状態においては、図１に示した様に金
属箔（７）が封止管部（２）と閉塞筒体（８）に挟ま
れ、また金属箔（７）と内部導入体（６）は接触して電
気的に接続されている。

【００２０】ここで、本実施例で使用する金属箔（７）
は、後の工程で封止管部（２）内に気密封着するため極
めて薄く形成されているが、その反面、大電流を流すに
あたって大きな総断面積を必要とするため、閉塞筒体
（８）の外周面のほとんどが金属箔（７）に覆われた状
態となっている。ただし、封着した金属箔が封止管部の
溶融時にたわんで、その部分に隙間が生じると気密封着
が行えなくなるので、前述した様に金属箔（７）は数枚
に分けられている。

【００２１】次に直径が閉塞筒体（８）の内径よりもわ
ずかに小さく、閉塞筒体（８）の円柱状の部分とほぼ等
しいの長さであり、石英ガラスよりも高融点、且つ熱容
量の小さい材質よりなる内接部材、例えばニッケルやス
テンレス製等の金属円筒（９）を、閉塞筒体（８）の内
部に内接する様に挿入する。そして、この場合、必ずし
も金属円筒（９）が閉塞筒体（８）に密接する必要はな
く遊挿状態でも良い。

【００２２】最後に、封止管部（２）の開口を封止する
様な円盤状に形成した外部導入体（１０）が、閉塞筒体
（８）を押さえつける様に封止管部（２）内にはめ込み
固持される。これにより外部導入体（１０）と金属箔
（７）とが接触するので、封止管部（２）内において内
部導入体（６）と外部導入体（１０）とが、金属箔
（７）を介して電気的に接続して固持された状態とな
る。ところで、以上であげたガラス部材には全て石英ガ
ラスを使用しているが、本発明は、これに限られること
はなく耐熱性のガラスであれば良い。

【００２３】以上の様な内部構造の封止部は、金属箔等
の金属部材の酸化を防止するために真空に排気するか、
不活性ガスを流通させながら、バーナー等の加熱手段に
より外部から加熱して、封止管部（２）と閉塞筒体
（８）を溶融して金属箔（７）を気密封着し、封止部を
完全に封止している。また封止管部（２）と保持管
（５）も溶着して、封止部を構成する石英ガラスを一体
的な構造にして、内部導入体（６）をバルブに固着させ
ている。

【００２４】そして、この様に封止された高圧放電灯の
バルブ（３）内には、その発光空間（１）に取着された
図示しない排気管を介して、所定量の不活性ガス及び発
光物質が封入されて高圧放電灯が完成する。

【００２５】以上で説明した高圧放電灯の封止管部
（２）構造によれば、内接部材が石英ガラスよりも熱容
量の小さい材質により形成されているため、封止部の熱
容量が小さくなり、同じ火力で加熱しても昇温し易く、
よって溶融しやすい。つまり例えば、従来技術の封止工
程で使用したものと同じ火力のバーナーで加熱した場
合、石英ガラス同士の接合面における不溶着部分の発生
を、大幅に減少させることができる。

【００２６】ところで、上記実施例においては、内接部
材として金属円筒（９）を使用したが、この様なものに
限らず、例えばコイルや中空多角柱など閉塞筒体（８）
の筒状部分の内壁をほぼ一様に押さえることができる形
状であれば良い。また材質においては、金属に限らず、
例えばセラミック等の様に、石英ガラスよりも高融点、
且つ熱容量の小さいのものであれば良い。

【００２７】また、上記実施例においては、内接部材と
外部導入体とを別体に形成したものについて説明してい
るが、例えば図３に示す様に、円筒形の内接部材が外部
導入体（１０）と一体構造となったものを使用すれば、
組立工程における部品点数を減らすことができる。

【００２８】さらに、特定の部分に限り石英ガラスが不
溶着となる高圧放電灯の封止管部（２）においては、内
接部材が必ずしも閉塞筒体（８）の筒状部分全域に亘っ
て接する必要はなく、不溶着の発生する部分のみを押さ
える様な形状の、例えばリング状のものでも良い。

【００２９】

【発明の効果】以上で詳述した様に本発明によれば、封
止工程において石英ガラスが充分に溶融するので、封止
部内の石英ガラスの不溶着部分がなくなり、封止部の気
密漏洩やランプの破裂を防止することができる。

【図面の簡単な説明】

【図１】従来技術における高圧放電灯の模式図である。

【図２】本発明における高圧放電灯の第一の実施例の封
止管部の断面図である。

【図３】本発明における高圧放電灯の第二の実施例の封
止管部の断面図である。

【図４】従来技術における高圧放電灯の封止管部の断面
図である。

【符号の説明】

１・・・発光空間 ２・・・封止管部 ３・・・バ
ルブ ４・・・電極 ５・・・保持管 ６・・・内部導入体 ７・・・金
属箔 ８・・・閉塞筒体 ９・・・金属円筒 １０・・・外部導入体 １１・
・・筒体

Claims (2)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】発光空間の両端に中空状の封止管部を有す
   るガラス製のバルブと、 一方の端部の開口部が塞がれた円筒形であり、前記端部
   が前記発光空間側に位置して前記封止管部に内装される
   ガラス製の閉塞筒体と、 前記閉塞筒体に内接して配設され、前記ガラスよりも高
   融点であると共に、前記閉塞筒体よりも熱容量の小さい
   内接部材と、 前記バルブの軸方向に沿って配設され、前記封止管部と
   前記閉塞筒体との間に気密封着される、一枚もしくは数
   枚の金属箔と、 一端が前記金属箔と電気的に接続して前記封止管部内に
   固持され、他端が前記発光空間内に位置する電極を有す
   る内部導入体と、 前記金属箔と電気的に接続して前記封止管部内に固持さ
   れ、一端が前記バルブより外方へ突出した外部導入体と
   を有することを特徴とする高圧放電灯。
2. 【請求項２】発光空間の両端に中空状の封止管部を有す
   るガラス製のバルブと、 一方の端部の開口部が塞がれた円筒形であり、前記端部
   が前記発光空間側に位置して前記封止管部に内装される
   ガラス製の閉塞筒体と、 前記バルブの軸方向に沿って配設され、前記封止管部と
   前記閉塞筒体との間に気密封着される、一枚もしくは数
   枚の金属箔と、 一端が前記金属箔と電気的に接続して前記封止管部内に
   固持され、他端が前記発光空間内に位置する電極を有す
   る内部導入体と、 前記ガラスよりも高融点且つ前記閉塞筒体よりも熱容量
   が小さく、前記閉塞筒体に内接して配設されると共に、
   前記金属箔と電気的に接続して前記封止管部内に固持さ
   れる外部導入体とを有することを特徴とする高圧放電
   灯。