JPH0529762Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 この考案は、NC旋盤における旋盤チヤツク等
に工作物を装着することができる工作物自動供給
装置に関する。

〔従来の技術〕

近年、VTR、パソコン、小形電機部品等の製
造技術分野において、これら装置に内蔵されるド
ライブモータ等の小形化及び軽量化が進み、これ
らに部品として使用される軸受ホルダ等を旋削加
工することが多くなつている。そのため、このよ
うな軸受ホルダ等の小形で且つ軽量の円筒形状の
工作物を、NC旋盤における旋盤チヤツク等に自
動的に装着することが要望されている。

従来、NC旋盤における旋盤チヤツク等に工作
物を逐次に送込んで取付けるためには、作業者が
工作物を手動で旋盤チヤツク等にいちいち１個宛
取付けるか、又はNC旋盤等の機械本体とは別に
オートローデイング装置等を用いて、工作物を旋
盤チヤツク等に取付けているのが現状である。

〔考案が解決しようとする問題点〕

しかしながら、上記のように作業者が工作物を
手動で旋盤チヤツク等に取付けるような作業で
は、工作物が小形部品であるため、タクトタイム
が短く、また大量生産の製造分野であり、その作
業時間にも限度があつた。更に、人手に頼るた
め、取付けの所要時間もまちまちであり、そのた
め１日当たりの生産量にもバラツキがあつた。

また、上記のようなNC旋盤等の機械本体とは
別にオートローデイング装置等を用いて、工作物
を旋盤チヤツク等に装着するものについては、機
械設備が大形化になり、切削油飛散防止の目的で
設置するガード類も同様に大形化になり、装置自
体のコストアツプになつていた。

更に、装置自体が大形化されると、装置の動作
速度にも限度があり、アイドルタイム即ち正味切
削時間以外の時間で１サイクル中に占める付随時
間が長くなつてしまう等の問題を有していた。

そこで、この考案の目的は、上記の問題点を解
決することであり、NC旋盤における旋盤チヤツ
クに工作物を自動的に装着するため、工作物繰出
手段から間歇的に落下状態で繰り出される工作物
を工作物に損傷を与えることなく弾力的に受け取
つて方向変換し、旋盤チヤツクにたとえ慣性力で
回転していたとしても確実に且つスムースに装着
でき、装置自体を小形化すると共に、装置自体の
製造コストを下げ、更に工作物の旋盤チヤツクへ
の装着をスムースにしてアイドルタイムを短縮
し、機械効率即ち生産効率を上げることができる
工作物自動供給装置を提供することである。

〔問題点を解決するための手段〕

この考案は、上記の目的を達成するために、次
のように構成されている。即ち、この考案は、工
作物を落下状態で間歇的に繰り出す工作物繰出手
段、刃物台を取付けるスライドベース、該スライ
ドベース上に設置された回転装置、前記工作物繰
出手段から繰り出される前記工作物を受け取る位
置と旋盤チヤツクに対向する位置との間を前記回
転装置によつて方向変換される回転体、及び前記
工作物繰出手段から落下状態で繰り出される前記
工作物を受け取り且つ前記旋盤チヤツクに装着す
るため前記回転体にスプリングを介して弾性的に
支持された工作物受取ピン、を有することを特徴
とする工作物自動供給装置に関する。

更に、この工作物自動供給装置において、前記
工作物受取ピンは前記回転体にベアリングを介し
て回転自在に支持されているものである。

また、この工作物自動供給装置において、前記
工作物繰出手段は前記工作物を整列状態にする工
作物整列装置、前記工作物を収容して順次に落下
状態で送出できる工作物搬送チユーブ、及び該工
作物搬送チユーブから前記工作物を間歇的に繰り
出す工作物間歇送出装置から構成されているもの
である。

また、この工作物自動供給装置において、前記
工作物搬送チユーブには工作物通過センサーが設
置されているものである。

或いはこの工作物自動供給装置において、前記
工作物繰出手段は工作物を整列状態に収容した工
作物収容マガジン及び該工作物収容マガジンから
前記工作物を間歇的に繰り出す工作物間歇送出装
置から構成されているものである。

〔作用〕

この考案は、上記のように構成されており、次
のように作用する。即ち、この考案による工作物
自動供給装置は、工作物を順次に繰り出すための
工作物搬送チユーブを備えた工作物繰出手段、及
び刃物台を取付けたスライドベースに設置された
工作物受取手段を有し、前記工作物受取手段は前
記工作物搬送チユーブからの工作物を受取り且つ
旋盤チヤツクに前記工作物を装着できるように構
成されているので、１個宛自動的に繰り出された
前記工作物を確実に前記工作物受取ピンで受取
り、前記工作物を前記旋盤チヤツクに自動的に確
実に装着することができる。

前記工作物が円筒状である場合には、前記工作
物受取手段が工作物受取ピンを備えているので、
前記工作物は前記工作物受取ピンに確実に嵌合で
き、前記工作物を工作物受取位置から前記旋盤チ
ヤツクに挿入する位置へと移動させるのに、前記
工作物を前記工作物受取ピンから落下させること
なく、前記工作物を方向変換及び移動させること
ができる。

前記工作物搬送チユーブには工作物通過センサ
ーが設置されており、更に、前記工作物繰出手段
を工作物整列装置、工作物間歇送出装置及び前記
工作物搬送チユーブから構成し、又は前記工作物
繰出手段を工作物を順次に整列状態に収容した工
作物収容マガジン及び工作物間歇送出装置から構
成しているので、前記工作物を確実に前記工作物
受取ピンに繰り出すことができる。

〔実施例〕

以下、図面を参照して、この考案による工作物
自動供給装置の実施例を詳述する。

第１図において、この考案による工作物自動供
給装置が符号１０によつて全体的に示されてい
る。工作物自動供給装置１０は、主として工作物
繰出手段１、及びテーブル即ちスライドベース６
上に取付けられた工作物受取手段１１から成る。
スライドベース６には、刃物台７が取付けられて
おり、刃物台７にはバイト８が着脱可能に取付け
られる。工作物繰出手段１は、工作物搬送チユー
ブ３、工作物整列装置１４及び工作物間歇送出装
置２から成る。搬送チユーブ３に対しては、光学
式工作物通過センサー４が設置されている。

工作物受取手段１１は、工作物受取ピン５、工
作物受取ピン５を支持する回転体１２、及び工作
物受取ピン５の方向変換のための工作物受取ピン
５を設置した回転体１２を回転させる回転装置１
３を有する。回転装置１３はスライドベース６上
に固定されており、適当な駆動手段（図示省略）
によつて回転作用を行い、その回転装置１３から
回転軸１６が伸長し、回転軸１６に回転体１２が
固定されている。

従つて、回転体１２は、スライドベース６の上
方に位置しており、回転装置１３の駆動によつて
回転させられる。スライドベース６は、旋盤の旋
盤チヤツク９に対して、Ｘ方向及びＺ方向に往復
運動できるように構成されている。

第２図において、工作物受取手段１１における
回転体１２に工作物受取ピン５が取付けられた構
造が示されている。回転体１２は、フレーム２
５、及びそのフレーム２５にボルト（図示省略）
等によつて取外し可能に固定されたフレーム２６
によつて形成されたケースを有し、該ケースに工
作物受取ピン５が設置されている。工作物受取ピ
ン５は、工作物１５の受部２７及び取付ステム２
８を有する。フレーム２５内には、円筒状のスリ
ーブ１７がスライドベアリング１９を介して摺動
自在に嵌め込まれている。

スリーブ１７内にはベアリング１８の外レース
が固定されており、ベアリング１８の内レースに
は工作物受取ピン５の取付ステム２８が、ワツシ
ヤ２３及びボルト２４によつて固定されている。
スリーブ１７は、回転体１２内にスプリング２１
によつて弾性的に支持されている。

従つて、工作物受取ピン５は、回転体１２にス
プリング２１によつて弾性的に支持されているの
で、搬送チユーブ３から落下状態で繰り出される
工作物１５を弾力的に受け取ることができ、工作
物１５に損傷を与えることがない。更に、工作物
受取ピン５は、ベアリング１８によつて回転自在
に回転体１２に支持されているので、たとえ旋盤
チヤツク９が慣性力で回転していたとしても、工
作物受取ピン５に支持された工作物１５を旋盤チ
ヤツク９に装着することができ、工作物１５及び
工作物受取手段を損傷することがない。

工作物受取ピン５の大きさは、工作物１５の内
径よりも小さい径であり、隙間Ｌが生じるように
形成されている。回転体１２は、回転装置１３に
よつてＡ方向に所定の角度、例えば、約90度回転
できるように構成されている。符号Ｂは工作物受
取ピン５が工作物１５を搬送チユーブ３から受取
る方向を示し、また、符号Ｃは工作物受取手段１
１が旋盤チヤツク９に工作物１５を挿入する方向
を示している。図中、２０，２２はカラーであ
る。

第３図には、工作物繰出手段３０の別の例が示
されている。この工作物繰出手段３０は、工作物
間歇送出装置３３が組込まれている取付台３１、
及び工作物を順次に整列状態に収容した工作物収
容マガジン３２から成る。工作物収容マガジン３
２はカセツト式であり、且つ所定の長さｌに形成
され、他のものと取り換え可能に設置できるよう
に構成されている。

工作物１５は工作物収容マガジン３２の中に順
次に配置されて収容されている。工作物収容マガ
ジン３２は、作業者が必要に応じて取付台３１に
着脱自在に、例えば、抜き差し自在に上方に向け
て取付けることができるように構成されている。

工作物受取ピン５が工作物１５を工作物間歇送
出装置３３から受取る方向Ｂの上方に、取付台３
１を設置する。工作物繰出手段３０は、上記のよ
うに構成されているので、動力源を必要とするこ
となく、工作物１５は、自然落下によつて、工作
物収容マガジン３２から工作物間歇送出装置３３
を通じて工作物受取ピン５に繰り出される。

この考案による工作物自動供給装置１０は、以
上のように構成されており、次のように作動す
る。

第１図において、パーツフイーダである工作物
整列装置１４から繰り出される工作物１５は、工
作物間歇送出装置２を経て工作物搬送チユーブ３
に１個宛送り込まれる。他方、工作物受取手段１
１における工作物受取ピン５は、スライドベース
６のＸ方向及びＺ方向の移動によつて工作物搬送
チユーブ３の下方へと移動させられる。工作物搬
送チユーブ３からの工作物１５は、工作物１５の
受取り位置に移動して来ている工作物受取ピン５
に差し込まれる。工作物搬送チユーブ３に対して
設置されている光学式工作物通過センサー４によ
つて、工作物搬送チユーブ３を通過する工作物１
５を確認することができる。

工作物１５が工作物受取ピン５に差し込まれる
と、回転装置１３が適当な駆動手段（図示省略）
によつて作動され、それによつて回転軸１６を介
して回転体１２が回転する。回転体１２が所定の
角度、例えば、約90度回転することによつて、工
作物受取ピン５は旋盤の旋盤チヤツク９に対向し
た符号Ｃの方向即ち工作物受取手段１１が旋盤チ
ヤツク９に工作物１５を挿入する位置に設定され
る。NC装置（図示省略）からの指令によつて、
スライドベース６は旋盤チヤツク９に向かつてＸ
方向及びＺ方向に移動し、工作物１５は旋盤チヤ
ツク９に挿入される。

この時、工作物１５を旋盤チヤツク９に確実に
着座させるために、旋盤の主軸（図示省略）は、
通常、慣性力でわずかに回転運動をしており、ま
た、工作物受取ピン５に差し込まれた工作物１５
も工作物受取ピン５をガイドとして回転をするこ
とができる。回転体１２には、スプリング２１が
組込まれており、工作物受取ピン５は回転体１２
内で弾性的に支持されているので、工作物受取ピ
ン５が旋盤チヤツク９に工作物１５を押し込むこ
とによつて、工作物１５は旋盤チヤツク９に設け
た長手基準ブロツク（図示省略）に確実に押し付
けられ、旋盤チヤツク９に装着される。

第３図に示されている工作物繰出手段３０を用
いた場合についても、上記作動と同様であるの
で、この同一の作動については説明を省略する。
工作物繰出手段３０における工作物収容マガジン
３２内の工作物１５が繰り出されて空になつた場
合に、その工作物収容マガジン３２を取出し、工
作物１５が収容されている別の工作物収容マガジ
ン３２を手動又は自動的に取付け、再び同様な繰
り出し作動を繰り返す。

以上、この考案による工作物自動供給装置の実
施例について詳述したけれども、この考案は、上
記の詳細な構造に限定されるものでなく、例え
ば、回転体をスライドベースの上方に位置させて
回転可能状態に設置したけれども、回転体をケー
ス内に回転可能に設置して、ケースをスライドベ
ース上に取付けるように構成してもよいものであ
り、工作物受取ピンが工作物を受取る方向Ｂと工
作物を旋盤チヤツクに挿入する方向Ｃとに自動的
に方向変換できればよいことである。

また、スライドベースについて、Ｘ方向及びＺ
方向に移動できる旋盤について説明したが、刃物
台がＸ方向、Ｚ方向以外のＹ方向に移動できるも
のに対しても適用できることは勿論である。

〔考案の効果〕

この考案による工作物自動供給装置は、上記の
ように構成されており、次のような効果を奏す
る。即ち、工作物を順次に繰り出すための工作物
搬送チユーブを備えた工作物繰出手段、及び刃物
台を取付けたスライドベースに設置された工作物
受取手段を有し、前記工作物受取手段は前記工作
物搬送チユーブからの工作物を受取り且つ旋盤チ
ヤツクに前記工作物を装着できるように構成され
ているので、１個宛自動的に繰り出された前記工
作物は確実に前記工作物受取ピンで受取られ、前
記工作物を前記旋盤チヤツクに自動的に確実に逐
次に装着することができる。従つて、大量生産に
叶つた加工装置を提供でき、生産量にもバラツキ
が生じるようなことはない。

また、工作物受取ピンは、回転体にスプリング
によつて弾性的に支持されているので、搬送チユ
ーブから落下状態で繰り出される工作物を弾力的
に受け取ることができ、工作物に損傷を与えるこ
とがないことは勿論のこと、工作物受取ピンが旋
盤チヤツクに工作物を押し込むことによつて、工
作物は旋盤チヤツクに設けた長手基準ブロツクに
確実に押し付けられ、旋盤チヤツクに正確に且つ
確実に装着される。

更に、工作物受取ピンは、ベアリングによつて
回転自在に回転体に支持されているので、たとえ
旋盤チヤツクが慣性力で回転していたとしても、
工作物受取ピンに支持された工作物を旋盤チヤツ
クに装着することができ、工作物及び工作物受取
手段を損傷することがない。

更に、工作物受取手段をスライドベースに取付
けたので、装置自体を小形に構成することがで
き、コストも下げることができる。前記工作物が
円筒状工作物である場合には、前記工作物受取手
段が工作物受取ピンを備えているので、前記工作
物は前記工作物受取ピンに確実に嵌合することが
でき、前記工作物が工作物受取位置から前記旋盤
チヤツクに移動する場合に、前記工作物を前記工
作物受取ピンから落下させることがなく、極めて
スムースに前記旋盤チヤツクに装着することがで
きる。

また、前記工作物搬送チユーブには、工作物通
過センサーが設置されており、更に、前記工作物
繰出手段が工作物整列装置、工作物間歇送出装置
及び前記工作物搬送チユーブから構成され、又は
前記工作物繰出手段が工作物を順次に整列状態に
収容した工作物収容マガジン及び工作物間歇送出
装置から構成されているので、前記工作物を確実
に前記工作物受取ピンに繰り出すことができる。

更に、装置自体のアイドルタイムを短くするこ
とができ、機械効率を上げることができる。

【図面の簡単な説明】

第１図はこの考案による工作物自動供給装置の
実施例を示す概略図、第２図は第１図の回転体と
工作物受取ピンとの詳細を示す断面図、及び第３
図は工作物繰出手段の別の例を示す概略図であ
る。 １，３０……工作物繰出手段、２，３３……工
作物間歇送出装置、３……工作物搬送チユーブ、
４……光学式工作物通過センサー、５……工作物
受取ピン、６……スライドベース、７……刃物
台、９……旋盤チヤツク、１０……工作物自動供
給装置、１１……工作物受取手段、１２……回転
体、１３……回転装置、１５……工作物、Ａ……
回転体の回転方向、Ｂ……工作物受取ピンの工作
物受取方向、Ｃ……工作物受取ピンの工作物挿入
方向、Ｘ，Ｚ……スライドベースの移動方向。

Claims (1)

1. 【実用新案登録請求の範囲】 (1) 工作物を間歇的に落下状態で繰り出す工作物
   繰出手段、刃物台を取付けるスライドベース、
   該スライドベース上に設置された回転装置、前
   記工作物繰出手段から繰り出される前記工作物
   を受け取る位置と旋盤チヤツクに対向する位置
   との間を前記回転装置によつて方向変換される
   回転体、及び前記工作物繰出手段から落下状態
   で繰り出される前記工作物を受け取り且つ前記
   旋盤チヤツクに装着するため前記回転体にスプ
   リングを介して弾性的に支持された工作物受取
   ピン、を有することを特徴とする工作物自動供
   給装置。 (2) 前記工作物受取ピンは前記回転体にベアリン
   グを介して回転自在に支持されていることを特
   徴とする実用新案登録請求の範囲第１項に記載
   の工作物自動供給装置。 (3) 前記工作物繰出手段は前記工作物を整列状態
   にする工作物整列装置、前記工作物を収容して
   順次に落下状態で送出できる工作物搬送チユー
   ブ、及び該工作物搬送チユーブから前記工作物
   を間歇的に繰り出す工作物間歇送出装置から構
   成されていることを特徴とする実用新案登録請
   求の範囲第１項に記載の工作物自動供給装置。 (4) 前記工作物搬送チユーブには工作物通過セン
   サーが設置されていることを特徴とする実用新
   案登録請求の範囲第１項に記載の工作物自動供
   給装置。 (5) 前記工作物繰出手段は工作物を整列状態に収
   容する工作物収容マガジン及び該工作物収容マ
   ガジンから前記工作物を間歇的に繰り出す工作
   物間歇送出装置から構成されていることを特徴
   とする実用新案登録請求の範囲第１項に記載の
   工作物自動供給装置。