JPH05295747A - 防振地下壁構造 - Google Patents

防振地下壁構造

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JPH05295747A
JPH05295747A JP10111392A JP10111392A JPH05295747A JP H05295747 A JPH05295747 A JP H05295747A JP 10111392 A JP10111392 A JP 10111392A JP 10111392 A JP10111392 A JP 10111392A JP H05295747 A JPH05295747 A JP H05295747A
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wall
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友孝 平松
Heiichiro Okawa
平一郎 大川
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Abstract

(57)【要約】 【目的】軌道構築を変形することなく、地盤を伝わって
建物に影響を及ぼす鉄道や道路等の振動及び振動音等を
低減する防振地下壁構造を提供する。 【構成】地盤21と建物躯体2との間に、地盤21側か
ら順に、山留め壁8、矢板7、埋戻し土6、擁壁1を設
置し、軸方向の長さ調節が可能な支持部材21の軸方向
一端に防振部材22を設置した防振装置3の一端を擁壁
1に、他端を建物躯体2に設置した。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、防振地下壁構造に係
り、特に、地盤を伝わって建物に影響を及ぼす鉄道や道
路等の振動及び振動音等を低減する防振地下壁構造に関
する。
【0002】
【従来の技術】従来、鉄道軌道に接近した建物では、軌
道に発生した振動が地盤を介して建物に入り込み、当該
振動自身や内装材から放射する固体伝搬音等が居住者に
悪影響を与えてしまう。そこで、鉄道軌道に接近した建
物では、振動や固体伝搬音等を低減するために、様々な
工夫がなされている。
【0003】例えば、建物の地下部分における交通振動
等の主な低減方法としては、空溝、緩衝材の挿入、防振
山留め壁等を用いた方法が挙げられる。前記空溝による
低減方法は、山留め壁や擁壁により、地盤と建物との間
に空間を設け、地盤振動が建物に伝搬する度合いを低減
するものである。この低減方法では、山留め壁や擁壁を
永久アンカー等を用いて地盤から支持することで、土圧
を受けた山留め壁や擁壁を独立支持している。
【0004】前記緩衝材の挿入による低減方法は、地盤
と建物の地下壁との間に、例えば、発砲スチロール等の
緩衝材を挿入し、この緩衝材によって、地盤振動が建物
に伝搬する度合いを低減するものである。また、前記防
振山留め壁による低減方法は、例えば、特公昭60−2
461号公報に開示されているように、山留め壁を建物
躯体より十分深く施工し、この山留め壁と建物躯体との
間に、間隔を保持して振動や振動音を遮断し、前記山留
め壁にかかる土圧に耐え、且つ所望の防振性及び防音性
をもたらし得る防振ゴムからなる防振装置を、前記建物
躯体のスラブまたは、梁の高さ位置で数段に介在させた
防振山留め壁が紹介されている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、前記空
溝による低減方法は、通常、山留め壁や擁壁を独立支持
するためのアンカーを、軌道あるいは公道敷地内に設置
する必要があるが、これが許可されることは殆どない。
従って、地盤と建物の地下壁との間に空溝を設けること
は、現実的ではないという問題があった。
【0006】また、前記緩衝材の挿入による低減方法
は、土圧に耐え得る硬さを有した緩衝材を挿入すると、
地下鉄振動や固体伝搬音等で問題となる50〜70Hz
の振動に対して、十分な低減効果を期待することができ
ないという問題があった。そして、前記特公昭60−2
461号公報に開示されている従来例は、工事中に山留
め壁を支持している切梁の撤去前後に生じる防振装置へ
の圧縮力の差を調整する機構が設置されていないため、
前記防振装置に、必要な防振効果を得るための圧縮力を
負荷することができないという問題があった。また、山
留め壁を適性な位置に納めることが困難であり、当該山
留め壁が土圧で建物側に移動するため、軌道構築が変形
する可能性があるという問題があった。
【0007】本発明は、このような問題を解決すること
を課題とするものであり、軌道構築を変形することな
く、地盤を伝わって建物に影響を及ぼす鉄道や道路等の
振動及び振動音等を低減する防振地下壁構造を提供する
ことを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】この目的を達成するため
に、本発明は、山留め壁と建物躯体との間に、当該両者
と隙間を置いて設置した擁壁と、前記山留め壁と擁壁と
で形成した隙間に充填した埋戻し土と、前記擁壁の側面
と建物躯体の側面との間に設置した複数の防振装置と、
を備え、前記防振装置は、軸方向の長さ調節が可能な支
持部材の軸方向一端に、防振部材を設置した構造を有
し、前記一方の側面に前記支持部材の軸方向の他端を、
他方の側面に前記防振部材を設置したことを特徴とする
防振地下壁構造を提供するものである。
【0009】
【作用】本発明によれば、前記擁壁と建物躯体との間に
介在させた防振装置は、防振部材に、軸方向の長さ調節
が可能な支持部材を設置した構造を有するため、防振地
下壁の施工における切梁撤去前に、前記支持部材の長さ
を調節して、切梁撤去時にかかる圧縮力を予め前記防振
装置に負荷しておくことができる。従って、切梁の撤去
前後に生じる防振装置への圧縮力の差を調整することが
できるため、前記擁壁が土圧により変形・移動するのを
防止することできると共に、前記防振装置に、十分な防
振効果を得るために必要な圧縮力を負荷することができ
る。さらに、前記山留め壁と擁壁との間に充填する埋戻
し土を緩衝材とすることにより、この部位においても振
動及び固体伝搬音等を吸収させることができる。従っ
て、地盤を伝わって建物に影響を及ぼす振動及び固体伝
搬音等が当該建物に伝搬する度合いを低減することがで
きる。
【0010】
【実施例】次に、本発明に係る一実施例について、図面
を参照して説明する。図1は、本発明の実施例に係る防
振地下壁構造を示す断面図、図2は、図1に示す防振地
下壁構造に用いる防振装置の拡大正面図である。図1及
び図2に示す防振地下壁構造20は、地盤21と建物躯
体2との間に、当該地盤21側から順に、山留め壁8、
矢板7が連設されている。そして、前記矢板7と隙間を
置いて擁壁1を設置し、当該矢板7と擁壁1との間に、
埋戻し土6が充填されている。また、前記建物躯体2の
地盤21側の側面には、建物躯体2の一部をなす捨て型
枠5が設置されている。さらに、前記擁壁1の側面と前
記捨て型枠5の側面との間には、後に説明する防振装置
3が複数設置されている。尚、符号4は、前記擁壁2と
捨て型枠5が設置された建物躯体2との間に水が浸入す
るのを防止するための止水処理部材である。
【0011】前記防振装置3は、特に、図2に示すよう
に、相互に逆ネジの全ネジボルト13と全ネジボルト1
4とを長ナット15の両端に螺合して支持部材21を構
成し、この支持部材21の前記全ネジボルト14外端
に、互いに平行間隔を保持したプレート12及び19の
間に、防振ゴム16を介在させた防振部材22を固定
し、前記全ネジボルト13の他端には、プレート11を
固定した構造を有している。前記防振部材22は、プレ
ート12が支持部材21の軸方向に対して垂直をなし、
また、プレート11は、支持部材21の軸方向に対して
垂直となるように設置されている。そして、前記支持部
材21は、前記長ナット15を所定の方向に回すこと
で、軸方向の長さ調節が行えるように設計されている。
さらに、前記プレート19には、2本のボルト17及び
18が、当該プレート19に対して垂直となるように設
置されている。そして、この防振装置3のボルト17及
び18が、前記擁壁1の側面に連結され、プレート11
が前記捨て型枠5に、連結されている。
【0012】次に、前記防振地下壁構造20の施工方法
について説明する。図3ないし図6は、本実施例に係る
防振地下壁構造20の施工工程の一部を示す断面図であ
る。図3に示す工程では、地下3階(B3F)まで根切
状態にした地盤21と隙間を置いて矢板7を設置し、当
該地盤21と矢板7との間に、山留め壁8を設置した
後、当該矢板7の所定位置に、切梁23を設置した。
【0013】次に、図4に示す工程では、最下部の切梁
23より下の地下2階(B2F)となる位置まで擁壁1
を施工し、当該擁壁1と矢板7との間に、埋戻し土6を
充填する。次いで、前記擁壁1の建物躯体側の側面最下
部に、止水処理部材4を設置した後、前記擁壁1の所定
位置に、防振装置3のボルト17及び18を固定して、
防振装置3を設置する。次に、前記擁壁1に設置した防
振装置3のプレート11に、建物躯体2施工用の捨て型
枠5を設置する。
【0014】次いで、図5に示す工程では、前記捨て型
枠5を利用して、建物躯体2を打設した後、後に行う切
梁23撤去時にかかる土圧により、擁壁1が変形・移動
することを防止するために必要な圧縮力を負荷する目的
で、前記防振装置3の支持部材21の軸方向の長さを調
節する。これにより、擁壁1に負荷された土圧は、切り
梁23に代えて防振装置3を介して捨て型枠5に支持さ
れる。その後、切梁23を撤去する。
【0015】次に、図6に示す工程では、地下1階(B
1F)まで擁壁1を施工し、当該擁壁1と矢板7との間
に、埋戻し土6を充填した後、前記擁壁1の所定位置
に、防振装置3のボルト17及び18を固定して、防振
装置3を設置する。次に、前記擁壁1に設置した防振装
置3のプレート11に、建物躯体2施工用の捨て型枠5
を設置する。
【0016】その後、前記と同様の作業を繰り返して、
図1に示す防振地下壁構造20を完成する。次に、本実
施例に係る防振地下壁構造20を地下鉄に接近する建物
に採用し、地下鉄側の擁壁及び建物側の1階梁部分にお
ける、中心周波数8〜500Hzのオクターブバンド振
動加速度レベル(dB)を調査した。この結果を図7に
示す。
【0017】図7より、建物側の1階梁部分は、地下鉄
側の擁壁に比べ、地下鉄振動及び固体伝搬音等で問題と
なる50〜70Hzの振動において、約20dB程度の
振動低減効果が得られたことが立証された。尚、本実施
例で説明した防振装置3は、長ナット15を介して、全
ネジボルト13及び14を接続した構造の支持部材21
を使用し、前記長ナット15を所定方向に回すことで、
当該支持部材21の長さを調節を行ったが、これに限ら
ず、軸方向の長さ調節が可能であれば、他の構造を有す
る支持部材21を用いてもよい。
【0018】また、本実施例では、ボルト17及び18
を擁壁1に、プレート11を捨て型枠5に設置したが、
これに限らず、プレート11を擁壁1に、ボルト17及
び18を捨て型枠5に設置してもよい。そして、前記防
振装置3の設置箇所、設置個数、設置方法等は、任意に
決定してよい。
【0019】
【発明の効果】以上説明したように、前記擁壁と建物躯
体との間に介在させた防振装置は、防振部材に、軸方向
の長さ調節が可能な支持部材を設置した構造を有するた
め、防振地下壁の施工における切梁撤去前に、前記支持
部材の長さを調節して、切梁撤去時にかかる圧縮力を予
め前記防振装置に負荷しておくことができる。従って、
切梁の撤去前後に生じる防振装置への圧縮力の差を調整
することができるため、擁壁が土圧により変形・移動す
るのを防止すると共に、前記防振装置に、十分な防振効
果をが得られる圧縮力を負荷することができる。さら
に、前記山留め壁と擁壁との間に充填する埋戻し土を緩
衝材とすることにより、この部分においても振動及び固
体伝搬音等を吸収させることができる。この結果、軌道
構築を変形させることなく、地盤を伝わって建物に影響
を及ぼす振動及び固体伝搬音等が当該建物に伝搬する度
合いを低減することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施例に係る防振地下壁構造を示す断
面図である。
【図2】図1に示す防振地下壁構造の防振装置の拡大正
面図である。
【図3】図1に示す防振地下壁構造20の施工工程の一
部を示す断面図である。
【図4】図1に示す防振地下壁構造20の施工工程の一
部を示す断面図である。
【図5】図1に示す防振地下壁構造20の施工工程の一
部を示す断面図である。
【図6】図1に示す防振地下壁構造20の施工工程の一
部を示す断面図である。
【図7】地下鉄側の擁壁及び建物側の1階梁部分におけ
る、中心周波数8〜500Hzのオクターブバンド振動
加速度レベルの測定結果を示す図である。
【符号の説明】
1 擁壁 2 建物躯体 3 防振装置 6 埋戻し土 8 山留め壁 20 防振地下壁構造 21 支持部材 22 防振部材

Claims (1)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 山留め壁と建物躯体との間に、当該両者
    と隙間を置いて設置した擁壁と、前記山留め壁と擁壁と
    で形成した隙間に充填した埋戻し土と、前記擁壁の側面
    と建物躯体の側面との間に設置した複数の防振装置と、
    を備え、前記防振装置は、軸方向の長さ調節が可能な支
    持部材の軸方向一端に、防振部材を設置した構造を有
    し、前記一方の側面に前記支持部材の軸方向の他端を当
    て、他方の側面に前記防振部材を当てて、両側面間に防
    振装置を設置したことを特徴とする防振地下壁構造。
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