JPH05294958A - 含トロポノイドチアクラウンエーテルおよびその用途 - Google Patents

含トロポノイドチアクラウンエーテルおよびその用途

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JPH05294958A
JPH05294958A JP12534092A JP12534092A JPH05294958A JP H05294958 A JPH05294958 A JP H05294958A JP 12534092 A JP12534092 A JP 12534092A JP 12534092 A JP12534092 A JP 12534092A JP H05294958 A JPH05294958 A JP H05294958A
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JP
Japan
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troponoid
ether
group
dithiacrown
mercury
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JP12534092A
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Akira Mori
章 森
Hitoshi Takeshita
齊 竹下
Tetsuo Kojima
哲郎 小島
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Fujifilm Holdings Corp
Original Assignee
Fuji Photo Film Co Ltd
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 水銀イオン除去剤として、及びハロゲン化銀
写真感光材料に含有されるハロゲン化銀乳剤のハロゲン
化銀粒子の形成工程においてハロゲン化銀溶剤として使
用することができる含トロポノイドジチアクラウンエー
テルを提供することである。 【構成】 下記一般式(1)で表される含トロポノイド
チアクラウンエーテル(一般式(1)において、RはN
2 またはNHCO−Polymer を表わす)。 【化1】

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、新規化合物としての含
トロポノイドチアクラウンエーテル、該化合物を含有し
た水銀イオン除去剤、および該化合物をハロゲン化銀溶
剤として用いて形成したハロゲン化銀粒子を含有するハ
ロゲン化銀写真感光材料に関する。
【0002】
【従来の技術】近年、非交互共役化合物であるトロポノ
イドの構造的特徴を生かした機能物質の開発が検討され
ている。既に、トロポロンや2−メトキシトロポンが種
々のアルカリ金属や遷移金属と錯形成することが、例え
ば、T.Nozoe,Bull.Chem.Soc.J
pn.,11,295(1936);T.Nozoe,
Yakugaku,3,174(1949);J.M.
Robertson,J.Chem.Soc.,195
1,1222.および、T.Asao,Y.Kikuc
hi,Chem.Lett.,1972,413.によ
って知られている。一方、環状ポリエーテルのクラウン
エーテルが金属イオンを包接することもよく知られてい
る。そこで、トロポノイドとクラウンエーテルを同一分
子に共存させることによって、両者の性質が拮抗するこ
となく相乗的に作用する新規化合物として、含トロポノ
イドクラウンエーテルの合成を行なった。
【0003】5−ヒドロキシトロポロンから出発して一
連の反応で得られる次式のジチアクラウンエーテル
(1)および(2)が、特異的に水銀塩を脱着する作用
を示すことが既に報告されている(H.Takeshi
ta,A.Mori,S.Hirayama,J.Ch
em.Soc.,Chem.Commun.1989,
564.)。
【0004】
【化2】 また、写真感光材料に用いるハロゲン化銀乳剤は、通
常、保護コロイドの存在下で、銀イオンを含む溶液とハ
ロゲンイオンを含む溶液を混合し(沈殿工程という)、
次いで物理熟成してから不要の塩類を洗浄除去し、再分
散した後、必要に応じて化学熟成を施して製造されてい
る。
【0005】ハロゲン化銀乳剤の写真感度の高低を左右
する要因の一つであるハロゲン化銀粒子の大きさ(サイ
ズ)は上記の製造工程のうちの沈殿工程および物理熟成
(以下これらをまとめて「粒子形成工程」という)にお
いてほとんど決定されてしまうが、従来から粒子サイズ
を大きくする目的で、この粒子形成工程中に、ハロゲン
化銀溶剤を添加することが行なわれている。
【0006】最も典型的なハロゲン化銀溶剤はアンモニ
アであり、これを用いる粒子形成法はアンモニア法と呼
ばれている。しかし、アンモニアは臭気が激しいので作
業環境を著しく悪化させるだけでなく、高pH域で使用
しなければならないため生成するハロゲン化銀粒子がか
ぶり易いとか、また生成したハロゲン化銀粒子のサイズ
の揃いが不十分であるといった幾つかの欠点があった。
【0007】これらの欠点を解決する目的でいつかの方
法が開示されている。例えば、米国特許第3,721,157 号
にはチオエーテル化合物が、特開昭57-202531 にはメル
カプト化合物が、米国特許第4,631,253 号にはメソイオ
ンチオレート化合物が開示されているが、どの化合物を
用いても前記のアンモニア法の欠点を十分に解決できて
いるとは言い難いため、前記欠点が解決されたハロゲン
化銀溶剤の開発が望まれていた。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】本発明の第1の目的
は、ポリマーに担持できるような構造要素を持つ含トロ
ポノイドジチアクラウンエーテル、更に、ポリマーに担
持した含トロポノイドジチアクラウンエーテルを合成し
て、新規化合物を提供することにある。
【0009】本発明の第2の目的は、該化合物の金属イ
オン取込み能に基づいて水銀塩に対して可逆的脱着能を
もつ新規な水銀イオン除去剤を提供することにある。
【0010】本発明の第3の目的は、該新規化合物をハ
ロゲン化銀溶剤として用いて粒子形成したハロゲン化銀
乳剤を含有するハロゲン化銀写真感光材料を提供するこ
とにある。
【0011】
【課題を解決するための手段】本発明の新規化合物は、
次の一般式(1)で表わされる含トロポノイドチアクラ
ウンエーテルである。
【0012】
【化3】 式中、Xは酸素原子または硫黄原子を表し、nは1ない
し5の整数を表し、Rは無置換または置換されたフェニ
ル基、または、2価の基を介してポリマーと結合したフ
ェニル基を表す。フェニル基の置換基としては、好まし
くは、アルキル基、ハロゲン原子、アルコキシ基、アミ
ド基、カルバモイル基、ウレイド基、ウレタン基、エス
テル基、カルボキシル基、スルホ基、ニトロ基である
が、これらに制限されるものではない。
【0013】ここで、アルキル基としては、例えば、メ
チル基およびt−ブチル基が挙げられる。
【0014】ハロゲン原子としては、例えば、フッ素原
子および塩素原子が挙げられる。
【0015】アルコキシ基としては、例えば、メトキシ
基およびヒドロキシエトキシ基が挙げられる。
【0016】アミド基としては、例えば、アセトアミド
基および酪酸アミド基が挙げられる。
【0017】カルバモイル基としては、例えば、メチル
カルバモイル基およびプロピルカルバモイル基が挙げら
れる。
【0018】ウレイド基としては、例えば、メチルウレ
イド基およびヒドロキシエチルウレイド基が挙げられ
る。
【0019】ウレタン基としては、例えば、メチルウレ
タン基およびエチルウレタン基が挙げられる。
【0020】エステル基としては、例えば、メチルエス
テル基およびブチルエステル基が挙げられる。
【0021】2価の基としては、例えば、−NOCO
−、メチレン基、エチレン基、プロピレン基、オキシエ
チレン基およびオキシプロピレン基が挙げられる。
【0022】ポリマーとしては、例えば、ポリエチレ
ン、スチレンポリマー、アクリル酸ポリマー、アクリル
アミドポリマーおよびポリエチレンフタレートポリマー
が挙げられる。これらのポリマーは、分子量が例えば1
0,000〜500,000であり、オリゴマーも含
む。ポリエチレンの場合、好ましい分子量は1000〜
500,000である。
【0023】この新規な含トロポノイドジチアクラウン
エーテルは、次のスキームに従って合成することができ
る。
【0024】
【化4】 すなわち、7−ブロモヒノキチオールのカリーム塩
(3)を塩化4−ニトロベンジル(4)でベンジルエー
テル体である7−ブロモ−4−イソプロピル−2−(4
−ニトロベンジルオキシ)トロポン(5)とし、続いて
塩基で処理すると、Wittig型転移体である7−ブ
ロモ−4−イソプロピル−2−(α−ヒドロキシ−p−
ニトロベンジル)トロポン(6)が得られる。この転移
体(6)をトシル化し、トシル体である7−ブロモ−4
−イソプロピル−2−(α−トシルオキシ−p−ニトロ
ベンジル)トロポン(7)をポリエチレンジチオールと
反応させると、含トロポノイドジチアクラウンエーテル
(8)が得られる。
【0025】ポリエチレンジチオールの種類を変えて合
成した5種類の含トロポノイドジチアクラウンエーテル
(8a〜8e)について、その金属イオン、特に水銀イ
オンとの錯形成能について調べた。
【0026】これらジチアクラウンエーテルのなかで、
ポリエチレンジチオールとしてペンタエチレングリコー
ルジチオールを用いて合成したジチアクラウンエーテル
(8e)のみがUV吸収極大の変化から水銀イオンと錯
形成能を持ち、重水素化クロロフォルム(CDCl3
中のNMRスペクトルに於いても複雑ながら特徴的なエ
チレングリコール部のシグナルを指標に、水銀塩の存在
下、シグナルの低磁場移動が認められた。特に、エチレ
ングリコール部分の中、チオグリコールのα位のシグナ
ルが顕著に変化した。このことから両者の間の錯形成を
結論づけた。このCDCl3 溶液を希塩酸で処理する
と、原スペクトルを再生し、中性・酸性溶液から水銀化
合物の繰り返し抽出転溶ができることが確かめられた。
【0027】この錯体の組成は、 1H−NMRスペクト
ルによる定量および遊離水銀イオンをデイチゾン塩とし
た後の差紫外吸収スペクトルによる逆定量のいずれによ
っても、ジチアクラウンエーテル(8e)と水銀イオン
の比が1:1の組成をもつことが判った。
【0028】水銀イオンとの錯体の精密な分子構造は不
明である。水銀錯体と遊離のジチアラウンエーテルの13
C−NMRスペクトルに於いて、最大のシフト差を示す
のはイオウ原子の近傍の炭素である。それに対して、カ
ルボニル炭素のシフト差は極めて小さい。このことか
ら、水銀イオンは2個のイオウに主として配位し、クラ
ウンエーテルと芳香環平面の作り出す空間に収まってい
るものであると考えられる。
【0029】水銀以外の他の金属の塩(LiBr,Na
Br,KBr,MgCl2 ,CoCl2 ,CuCl2
ZnCl2 ,SrCl2 ,CaCl2 ,BaCl2 ,お
よびFeCl3 )についても検討したが、水銀イオン以
外の金属イオンと本発明の含トロポノイドジチアクラウ
ンエーテルは分光学的に顕著な相互作用を示さなかっ
た。しかしながら、これらの金属イオンは本発明の含ト
ロポノイドジチアクラウンエーテルの水銀錯体の錯形成
能に影響を及ぼすことも考えられるので、いくつかの基
礎的な挙動を検討した。その結果、本発明の含トロポノ
イドジチアクラウンエーテルは、殆どの金属イオンの当
量共存下においてもそれら金属イオンによって妨害され
ることなく水銀イオンとのみ錯体を生成した。例えば、
前述した既知のクラウンエーテル(1)の場合もかなり
の濃度のナトリウムイオンが存在しても水銀錯体を形成
し得ることが判ったが、20%の塩化ナトリウム水溶液
に至ると、最早、水銀錯体は生成しなかった。然し、本
発明の含トロポノイドジチアクラウンエーテル(8e)
は、海水濃度に近い3%程度の塩化ナトリウムの共存で
は水銀錯体形成能は影響を受けなかった。更に、海水中
に多量に存在するマグネシウムイオンも、15%に至る
まで、本発明の含トロポノイドジチアクラウンエーテル
の水銀錯体形成能に何等の支障も示さなかった。実際
に、海水中に溶解させた水銀イオンも抽出された。銅イ
オンとの選択性も検討したところ、銅イオンも全く影響
を及ぼさないことが判った。
【0030】これらの解析は紫外吸収スペクトルによる
分析で確証されたが、次に述べる輸送実験によっても裏
付けられた。
【0031】すなわち、上述した本発明化合物の水銀錯
体は、CDCl3 中でNMRスペクトルが測定出来る程
の溶解度を持っている。U字型装置を用いて二液分配法
によって、輸送実験を行い、移動した水銀イオンの濃度
を紫外分光法によって定量した。水銀イオンの有機相へ
の取込みは速く、2N塩酸による水銀イオンの水相への
逆抽出は比較的遅かったが再現性は良く、殆ど定量的に
回収された。
【0032】また、選択性評価の一端として、銅塩存在
下にこの輸送実験を行った。その結果、銅イオンは完全
に原液に留まり、水銀イオンのみが輸送された。また、
この時、水銀イオンの輸送が促進されることが判った。
【0033】次に、該ペンタエチレングリコールジチオ
ールから誘導されたジチアクラウンエーテル(8e)の
ニトロ基を還元し、ポリエチレン鎖上のカルボン酸と縮
合させると、次のスキームに示すように、ポリマー担持
体(9)が得られる。
【0034】
【化5】 このポリマー担持体(9)についても水銀イオンの捕捉
能を調べると、水層から反復して水銀塩を取込むことが
判った。ジチアクラウンエーテル(8e)の担持量から
換算すると、ジチアクラウンエーテル(8e)の20%
モルの水銀塩が捕捉された。回収したポリマー担持体
(9)は再度使用可能であった。
【0035】以上示したように、本発明の新規化合物で
ありトロポノイドに結合させたジチアクラウンエーテル
は、水銀イオンと特異的な錯形成能を示した。
【0036】従来、水銀塩はイオン交換樹脂によって捕
集できることが知られているが、樹脂の再生が困難であ
るため、実際には水銀含有樹脂は焼却処分されている。
従って、本発明の含トロポノイドジチアクラウンエーテ
ルのポリマー担持体(9)は、水銀塩の回収に適した樹
脂である。
【0037】このように、一般式(1)で表わされる含
トロポノイドジチアクラウンエーテル化合物は、水銀イ
オン除去剤として利用することができる。
【0038】一般式(1)の含トロポノイドジチアクラ
ウンエーテル化合物のうち、特に水銀イオン除去剤とし
て有用な化合物は、一般式(1)のXが酸素原子である
化合物であり、より好ましくは、Xが酸素原子であって
nが3ないし5好ましくは4である化合物である。さら
に好ましくは一般式(1)のXが酸素原子であり、nが
4であって、Rがニトロ基、アミド基、ウレイド基、ウ
レタン基で置換されたフェニル基あるいは2価の基を介
してポリマーと結合したフェニル基である化合物であ
る。この中でRが2価の基を介してポリマーと結合した
フェニル基である化合物が好ましく、特にRがアミド結
合を介してポリマーと結合したフェニル基である化合物
が好ましい。
【0039】さらに、本発明の新規な含トロポノイドジ
チアクラウンエーテル化合物は、上述した従来の欠点を
克服したハロゲン化銀溶剤として使用することができ
る。すなわち、本発明の含トロポノイドジチアクラウン
エーテルは、ハロゲン化銀写真感光材料に含有されるハ
ロゲン化銀乳剤のハロゲン化銀粒子形成工程において、
粒子サイズを大きくする目的でハロゲン化銀溶剤として
用いることができる。この場合、含トロポノイドジチア
クラウンエーテルの少なくとも一つの存在下にハロゲン
化銀粒子を形成せしめる。
【0040】本発明の含トロポノイドジチアクラウンエ
ーテル化合物のうち、特にハロゲン化銀溶剤として有用
な化合物は、一般式(1)において、Xが酸素原子であ
り、nが4であり、Rが−NHCO−結合を介してポリ
エチレンオリゴマーと結合したフェニル基である化合物
である。
【0041】本発明での一般式(1)で表わされるハロ
ゲン化銀溶剤の添加量は、用いるハロゲン化銀溶剤の種
類や粒子形成時の物理熟成工程条件(例えばpH、温
度)により自由に決められるが、ハロゲン化銀1モル当
たり10-6モル〜20モルが好ましく、10-5モル〜1
0モルがより好ましい。
【0042】本発明のハロゲン化銀溶剤は、ハライド溶
液、硝酸銀溶液のいずれに加えてもよい。該ハロゲン化
銀溶剤は、水または水に可溶な有機溶媒(例えばアルコ
ール類、エーテル類、グリコール類、ケトン類、エステ
ル類、アミド類)に溶解して加えればよい。
【0043】
【実施例】
実施例1 本発明の含トロポノイドジチアクラウンエーテル(8a
〜8f)の合成例を次に示す。
【0044】まず、7−ブロモ−4−イソプロピル−2
−(4−ニトロベンジルオキシ)トロポン(5)を次の
ようにして合成した。
【0045】7−プロモヒノキチオール(10)(1.
64g,10mmol)のエタノール(30cm3 )溶液に、
氷冷下2M臭素(3.2g,20mmol)のエタノール
(10cm3 )を30分かけて滴下した。滴下終了後、続
いて室温で3時間撹拌した。減圧下に溶媒を除去しクロ
ロホルムを加え、水で2回洗浄した。溶媒を除去し、残
留物をエタノール(10cm3 )に溶かし、水酸化カリウ
ム(660mg,10mmol)のエタノール(10cm3 )溶
液を加え、10分間撹拌した。減圧下にエタノールを除
去後、HMPA(10cm3 )を加え、窒素気流下攪拌し
ながら、臭化p−ニトロベンジル(2.59g,12mm
ol)のHMPA(10cm3 )溶液を滴下した。室温で3
時間攪拌した後、水で希釈し、5%塩酸で中和し、酢酸
エチルで抽出した。有機相を水で2回洗浄後、硫酸マグ
ネシウム上で乾燥した。溶媒を除去後、シリカゲルカラ
ム(AcOEt−ヘキサン)で分離して7−ブロモ−4
−イソプロピル−2−(4−ニトロベンジルオキシ)ト
ロポン(5)(2.49g,66%)を得た。
【0046】
【化6】 7−ブロモ−4−イソプロピル−2−(4−ニトロベン
ジルオキシ)トロポン(5)は暗黄色針状結晶で、その
物性値は次の通りである。 mp 163−165℃(AcOEt) 元素分析 実測値:C,54.13; H,4.4
2;N,3.85%. 理論値:C17164 NBr:C,53.99;H,
4.26;N,3.70%. MS m/z (%) 379(M+ for81Br,23),3
77(M+ for79Br,23),228,226(4
5:43),147(100),136(36),10
6(36),91(33),78(32). 1 H−NMR δ=1.20(6H,d,J=7.0H
z),2.81(1H,sept,J=7.0Hz),
5.34(2H,s),6.64(1H,dm,J=1
0.0Hz),6.85(1H,m),7.69(2H,
d,J=8.8Hz),8.13(1H,d,J=10.
0Hz),8.24(2H,d,J=8.8Hz).13 C−NMR δ=23.2(2C),38.6,7
0.0,118.6,123.9(2C),127.7
(2C),136.6,140.2(2C),143.
1,147.7,154.6,160.5,173.
8. IR(KBr)736,842,1009,1185,
1268,1347,1465,1486,1528,
1599,2966cm-1. UV (MeOH) 257nm(ε=38900),329
(9800),358(9900),375(760
0,sh) 次いで、7−ブロモ−4−イソプロピル−2−(α−ヒ
ドロキシ−p−ニトロベンジル)トロポン(6)を次の
ようにして合成した。
【0047】窒素気流下、HMPA(1.5cm3 ) に水
素化ナトリウム(10mg,0.25mmol)を加え、室温
で5分間攪拌した。そこに7−ブロモ−4−イソプロピ
ル−2−(4−ニトロベンジルオキシ)トロポン(5)
(190mg,0.5mmol)を加え同温で5分間攪拌した
後、5%塩酸で酸性化(pH=3)し、水で希釈して酢酸
エチルで抽出した。有機相を水で5回洗浄後、硫酸マグ
ネシウム上で乾燥した。溶媒を除去後、シリカゲルカラ
ム(AcOEt−ヘキサン,2:1)で分離して7−ブ
ロモ−4−イソプロピル−2−(α−ヒドロキシ−p−
ニトロベンジル)トロポン(6)(160mg,84%)
を得た。
【0048】7−ブロモ−4−イソプロピル−2−(α
−ヒドロキシ−p−ニトロベンジル)トロポン(6)は
暗黄色柱状結晶で、その物性値は次の通りである。 mp 138−139℃(AcOEt−ヘキサ
ン) 元素分析 実測値:C,53.89; H,4.2
2;N,3.83%. 理論値:C17164 NBr:C,53.99;H,
4.26;N,3.70% MS m/z (%) 379(M+ for81Br,100),
377(M+ for79Br,99),336,334
(32:34),150(37),77(20).1 H−NMR δ=1.26(3H,d,J=7.0H
z),1.27(3H,d,J=7.0Hz),2.89
(1H,sept,J=7.0Hz),3.54(1H,
brs),6.01(1H,s),6.81(1H,d
d,J=10.3,1.5Hz),7.63(1H,d,
J=1.5Hz),7.64(2H,d,J=8.8H
z),8.13(1H,d,J=10.3Hz),8.1
6(2H,d,J=8.8Hz).13 C−NMR δ=23.0,23.1,38.3,7
5.4,123.6(2C),127.3(2C),1
28.5,136.8,140.3,140.5,14
7.3,148.9,149.1,156.0,17
9.4. IR(KBr)700,824,850,1092,1
346,1520,1557,2956,3380c
m-1. UV (MeOH) 215nm(ε=21200),256
(23500),330(11000). 次いで、7−ブロモ−4−イソプロピル−2−(α−ヒ
ドロキシ−p−ニトロベンジル)トロポン(6)を次の
ようにしてトシル化した。
【0049】7−ブロモ−4−イソプロピル−2−(α
−ヒドロキシ−p−ニトロベンジル)トロポン(6)
(470mg,1.24mmol)、ピリジン(1cm3 )のク
ロロホルム(3cm3 )溶液に、氷冷下塩化トシル(35
6mg,1.86mmol)を加え、室温で2時間攪拌した。
反応液を氷水に注ぎ、酢酸エチルで抽出した。有機相を
5%塩酸、水、飽和炭酸ナトリウム水溶液、水の順で洗
浄し、硫酸マグネシウム上で乾燥した。溶媒を除去後、
シリカゲルカラム(AcOEt−ヘキサン,1:3)で
分離して、7−ブロモ−4−イソプロピル−2−(α−
トシルオキシ−p−ニトロベンジル)トロポン(7)
(245mg,86%)と共に化合物(11)(245m
g,6%)を得た。
【0050】7−ブロモ−4−イソプロピル−2−(α
−トシルオキシ−p−ニトロベンジル)トロポン(7)
は無色柱状結晶で、その物性値は次の通りである。 mp 128−130℃(AcOEt−ヘキサ
ン) 元素分析 実測値:C,53.96;H,4.1
9;N,2.56%. 理論値:C24226 NSBr:C,54.14;H,
4.17;N,2.63%. MS m/z (%) 533(M+ for81Br,2),53
1(M+ for79Br,2),378,376(10
0:99),362(93),360(84),172
(96),91(44).1 H−NMR 1.24(3H,d,J=7.0Hz),
1.26(3H,d,J=7.0Hz),2.38(3
H,s),2.87(1H,sept,J=7.0H
z),6.77(1H,dd,J=10.2,1.5H
z),6.81(1H,s),7.23(2H,dm,
J=8.5Hz),7.52(2H,d,J=8.5H
z),7.67(2H,d,J=8.1Hz),7.68
(1H,d,J=1.5Hz),8.05(1H,d,J
=10.2Hz),8.08(2H,d,J=8.1H
z).13 C−NMR δ=21.6,22.9(2C),38.
2,79.1,123.6(2C),128.0(2
C),128.1(2C),128.8,129.9(2
C),132.8,136.0,140.2,140.
3,144.9,145.5,147.7,155.3,
177.4. IR(KBr)665,809,851,941,10
51,1175,1191,1347,1370,15
19,1595,2956cm-1. UV (MeOH) 221nm(ε=26800),258
(24100),330(9700).
【0051】
【化7】 また、化合物(11)は無色板状結晶で、その物性値は
次の通りである。 mp 139−140℃(AcOEt−ヘキサ
ン) 元素分析 実測値:C,51.29;H,3.9
5;N,3.51%. 理論値:C24226 NSBr:C,51.49;H,
3.81;N,3.53%. MS m/z (%) 399(M+ for81Br and37
l,27),397(M+ for79Br and37Cl
or81Br and35Cl,(100),395(M
+ for79Br and 35Cl,85),362(1
2),191(27),165(22),43(19).1 H−NMR δ=1.29(3H,d,J=7.0H
z),1.30(3H,d,J=7.0Hz),2.38
(3H,s),2.92(1H,sept,J=7.0
Hz),6.63(1H,s),6.81(1H,dd,
J=9.9,1.5Hz),7.65(2H,dm,J=
8.8Hz),7.97(1H,d,J=1.5Hz),
8.13(1H,d,J=9.9Hz),8.18(2
H,dm,J=8.8Hz).13 C−NMR δ=23.0,23.01,38.4,
60.6,123.9(2C),128.6,128.
8(2C),137.8,140.2,140.3,1
46.6,146.9,147.5,155.0,17
7.7. IR(KBr)694,715,745,818,85
6,1046,1108,1345,1520,158
0,2964cm-1. UV (MeOH) 215nm(ε=26400),257
(23900),330(10600). そして、7−ブロモ−4−イソプロピル−2−(α−ト
シルオキシ−p−ニトロベンジル)トロポン(7)とジ
チオール類を次のように反応させた。
【0052】エタノール(25cm3 )とナトリウム(5
0mg,218mmol)から得られるナトリウムエチラート
のエタノール溶液にテトラエチレングリコールジメルカ
プタン(245.5mg,1.10mmol)を加え、I液を
調製した。窒素気流下、無水エタノール(120cm3
を加熱還流しながら、I液と7−ブロモ−4−イソプロ
ピル−2−(α−トシルオキシ−p−ニトロベンジル)
トロポン(7)(578mg,1.09mmol)のエタノー
ルベンゼン(10cm3 , 15cm3 )溶液を滴下ロートに
より2時間40分かけて滴下した。更に、3時間加熱還
流後、溶媒を除去し、水を加え、クロロホルムで抽出し
た。有機層を水で2回洗浄後、硫酸マグネシウム上で乾
燥した。減圧下に溶媒を除去後、シリカゲルカラム(A
cOEt−ヘキサン,3:1)で分離して、本発明の含
トロポノイドジチアクラウンエーテル(8d)(346
mg,63%)を得た。
【0053】含トロポノイドジチアクラウンエーテル
(8a),(8b),(8c),(8e)および(8
f)も同様の方法で合成した。含トロポノイドジチアク
ラウンエーテル(8a)の合成反応では副生成物化合物
(12)が58%生成した。含トロポノイドジチアクラ
ウンエーテル(8a)の収率は11%、(8b)の収率
は49%、(8c)の収率は47%、(8e)の収率は
35%、そして(8f)の収率は78%であった。
【0054】
【化8】
【0055】
【化9】 含トロポノイドジチアクラウンエーテル(8a)は黄色
針状結晶で、その物性値は次の通りである。 mp 212−214℃(MeOH−CHCl
3 ) 元素分析 実測値:C,57.81; H,5.4
2;N,3.02%. 理論値:C21233 NS3 :C,58.12;H,
5.53;N,3.23%. MS m/z(%) 433(M+ ,80),372(3
0),347(100),315(33),119(4
5),87(34).1 H−NMR δ=1.03(3H,d,J=7.0H
z),1.07(3H,d,J=7.0Hz),2.45−
3.00(8H,m),3.61(1H,ddd,J=
11.4,10.5,2.5Hz),6.21(1H,
s),6.75(1H,ddm,J=9.1,1.8H
z),7.21(1H,d,J=1.8Hz),7.74
(1H,d,J=9.1Hz),7.76(2H,d,J=
8.0Hz),8.23(2H,d,J=8.0Hz).13 C−NMR δ=22.7,23.2,27.1,2
8.3,29.5,30.0,37.5,45.9,12
3.8(2C),128.1,128.7(2C),1
37.5,139.0,145.1,147.1,14
7.5,148.6,154.2,183.3. IR(KBr)702,818,849,1043,1
347,1432,1522,1581,2960,3
062cm-1. UV(MeOH)247nm(ε=15000),277
(15200),361(6400). 化合物(12)は黄色結晶で、その物性値は次の通りで
ある。 mp 134−136℃(AcOEt) 元素分析 実測値:C,62.92; H,5.6
7;N,3.79%. 理論値:C38406 2 3 :C,63.66;H,
5.62;N,3.91%. MS m/z(%) 716(M+ ,0.1),686(0.
3),538(2),402(31),342(5
1),315(100),272(15),87(1
2).1 H−NMR δ=1.22(12H,d,J=7.0H
z),2.82(1H,sept,J=7.0Hz),
2.88(4H,dd,J=9.2,4.8Hz),3.0
5(4H,dd,J=9.2,4.8Hz),4.14
(4H,s),6.97(2H,dd,J=10.0,
1.5Hz),7.08(2H,d,J=10.0Hz),
7.35(2H,d,J=1.5Hz),7.44(4
H,d,J=8.8Hz),8.12(4H,d,J=
8.8Hz).13 C−NMR δ=23.5(4C),30.1(2
C),31.7(2C),38.0(2C),42.4
(2C),123.7(4C),128.3(2C),
128.4(2C),129.9(2C),138.3
(2C),144.8(2C),146.6(2C),1
47.5(2C),150.7(2C),153.4
(2C),181.1(2C). IR(KBr)697,742,834,856,10
74,1343,1518,1573,1595,29
60cm-1. UV(MeOH)236nm(ε=16400),265
(12500),351(7500),376(650
0). 含トロポノイドジチアクラウンエーテル(8b)は黄色
柱状結晶で、その物性値は次の通りである。 mp 128−129℃(AcOEt−ヘキサ
ン) 元素分析 実測値:C,60.33; H,5.5
8;N,3.60%. 理論値:C21224 NS2 :C,60.55;H,
5.32;N,3.36%. MS m/z(%) 417(M+ ,100),372(1
3),345(21),313(26),270(1
1),238(10).1 H−NMR δ=1.13(3H,d,J=7.0H
z),1.15(3H,d,J=7.0Hz),2.45−
2.59(3H,m),2.72(1H,sept,J
=7.0Hz),3.46−3.76(3H,m),3.9
0−4.01(2H,m),5.78(1H,s),6.
59(1H,dd,J=9.5,1.8Hz),7.26
(1H,d,J=1.8Hz),7.31(1H,d,J=
9.5Hz),7.89(2H,d,J=8.0Hz),
8.20(2H,d,J=8.8Hz).13 C−NMR δ=22.8,23.4,29.6,3
1.5,37.1,49.7,73.3,75.5,12
3.7(2C),125.8,128.9(2C),1
30.8,133.4,142.7,145.1,14
6.9,149.5,150.4,186.8. IR(KBr)841,1019,1039,111
2,1344,1521,1602,1621,285
6,2954cm-1. UV(MeOH)276nm(ε=17900),348
(9300). 含トロポノイドジチアクラウンエーテル(8c)は黄色
柱状結晶で、その物性値は次の通りである。 mp 134−136℃(ベンゼン−ヘキサ
ン) 元素分析 実測値:C,60.17; H,5.8
7;N,2.85%. 理論値:C23275 NS2 :C,59.85;H,
5.90;N,3.03%. MS m/z (%) 461(M+ ,100),372(3
4),345(18),238(7),61(6).1 H−NMR δ=1.29(3H,d,J=6.6H
z),1.31(3H,d,J=6.6Hz),2.45−
2.73(3H,m),2.91(1H,sept,J
=6.6Hz),3.28−3.47(3H,m),3.9
4(1H,ddd,J=14.3,7.7,2.2H
z),6.00(1H,s),6.38(1H,dd,
J=9.5,1.5Hz),7.63(2H,d,J=
8.8Hz),7.69(1H,d,J=9.5Hz),
8.09(1H,d,J=1.5Hz),8.15(2
H,d,J=8.8Hz).13 C−NMR δ=23.3(2C),30.1,3
1.5,37.9,51.6,69.9,71.1,7
2.4,73.4,123.7(2C),128.4,
129.1(2C),135.7,136.3,14
5.1,146.8,148.9,149.1,15
2.5,183.2. IR(KBr)751,848,1031,1111,
1346,1521,1591,2866,2960cm
-1. UV(MeOH)204nm(ε=24400),238
(16700),276(17000),352(84
00). 含トロポノイドジチアクラウンエーテル(8d)は黄色
柱状結晶で、その物性値は次の通りである。 mp 110−111℃(MeOH) 元素分析 実測値:C,59.37; H,6.1
8;N,2.82%. 理論値:C25316 NS2 :C,59.38;H,
6.18;N,2.77%. MS m/z (%) 505(M+ ,100),477(1
0),372(39),345(23),270(1
2),238(10),45(17). 1 H−NMR δ=1.25(3H,d,J=7.0H
z),1.28(3H,d,J=7.0Hz),2.63
(2H,td,J=6.2,1.4Hz),2.89(1
H,sept,J=7.0Hz),3.15(1H,t,
6.2Hz),3.17(1H,t,J=6.2Hz),
3.31−3.82(12H,m),6.02(1H,
s),6.94(1H,dd,J=9.9,1.8H
z),7.35(1H,d,J=9.9Hz),7.66
(2H,d,J=8.8Hz),7.79(1H,d,J
=1.8Hz),8.15(2H,d,J=8.8Hz).13 C−NMR δ=23.4,23.5,31.8,3
2.0,38.0,500. 3,68.
7,70.4,70.5,70.7,71.3,71.
5,123.7(2C),128.6,1
29.1(2C),1 30.3,13
7.4,144.6,146.9,148.7,
150.8,152.8,181.9. IR(KBr)699,837,1046,1131,
1343,1396,1465,1485,1517,
1550,1596,2866,2960cm-1. UV(MeOH)204nm(ε=24600),236
(14800),270(19900),352(10
300),392(9400). 含トロポノイドジチアクラウンエーテル(8e)は黄色
柱状結晶で、その物性値は次の通りである。 mp 118−119℃(AcOEt−ヘキサ
ン) 元素分析 実測値:C,59.01; H,6.3
6;N,2.56%. 理論値:C27357 NS2 :C,58.99;H,
6.42;N,2.55%. MS m/z (%) 549(M+ ,100),372(4
3),345(26),313(17),270(1
4),238(11),45(39). 1 H−NMR δ=1.25(3H,d,J=7.0H
z),1.28(3H,d,J=7.0Hz),2.59
(2H,t,J=6.6Hz),2.89(1H,sep
t,J=7.0Hz),3.03−3.90(16H,
m),6.18(1H,s),6.96(1H,dd,
J=9.9,2.4Hz),7.22(1H,d,J=
9.9Hz),7.66(2H,d,J=8.8Hz),
7.96(1H,d,J=2.4Hz),8.15(2
H,d,J=8.8Hz).13 C−NMR δ=23.5(2C),31.34,3
1.6,32.0,49.8,68.4,70.3,7
0.6,70.64,70.7(2C),71.1,7
1.3,123.7(2C),128.8,128.
9,129.2(2C),137.7,144.2,1
46.9,148.7,150.3,154.4,18
1.2. IR(KBr)701,839,1047,1113,
1346,1522,1561,1595,2864,
2956cm-1. UV(MeOH)235nm(ε=15600),269
(20900),351(11100),393(98
00). 含トロポノイドジチアクラウンエーテル(8f)は黄色
油状体で、その物性値は次の通りである。 分子量 実測値:593.2114(M+ ). 理論値:C27357 NS2 :593.2115
(M). MS m/z (%) 593(M+ ,100),565(1
3),372(42),345(28),270(1
3),238(10),45(30). 1 H−NMR δ=1.26(3H,d,J=7.0H
z),1.29(3H,d,J=7.0Hz),2.52−
2.68(2H,m),2.90(1H,sept,J
=7.0Hz),2.98−3.15(2H,m),3.4
8−3.94(20H,m),6.24(1H,s),
6.97(1H,dd,J=9.9,1.8Hz),7.
18(2H,d,J=9.9Hz),7.65(2H,d
m,J=8.8Hz),8.00(1H,d,J=1.8
Hz),8.13(2H,d,J=8.8Hz).13 C−NMR δ=23.5,23.6,32.1,3
2.5,38.1,50.0,68.6,70.5(2
C),70.7(2C),70.8,70.9(2C),
71.0,71.7,123.7(2C),128.
3,129.0,129.3(2C),137.6,1
44.1,146.8,148.7,150.1,15
5.1,180.7. IR(KBr)699,749,845,1047,1
110,1251,1293,1345,1399,1
462,1521,1562,1590,2864c
m-1. UV(MeOH)233nm(ε=15800),268
(20100),351(15700),387(98
00). 含トロポノイドジチアクラウンエーテル(8e)の接触
還元及びベンゾイル誘導体(13)の合成例を次に示
す。
【0056】
【化10】 含トロポノイドジチアクラウンエーテル(8e)(14
0mg,0.255mmol),Pt−C触媒(60mg)と2
N HClのエタノール溶液(1滴)を酢酸エチル(1
0cm3 )に溶かし、室温で水素と反応させた。触媒を濾
過除去後、溶媒を除去した。残留物をピリジン(1.5
cm3 )に溶かし、0℃で塩化ベンゾイル(71mg,0.
5mmol)を滴下した。室温で3時間攪拌した後氷水に注
ぎ、クロロホルムで抽出した。抽出液を水、2M 塩酸
水溶液、1M水酸化ナトリウム水溶液、水の順で洗浄し
た。洗浄液を硫酸マグネシウムで乾燥後、溶媒を除去
し、残留物をシリカゲルカラムで分離して、ベンゾイル
誘導体(13)(97mg,61%)を得た。
【0057】こうして得た含トロポノイドジチアクラウ
ンエーテル(8e)のベンゾイル誘導体(13)は、黄
色柱状結晶で、その物性値は次の通りである。 mp 161−162℃ 元素分析 実測値:C,65.32; H,6.5
3;N,2.20%. 理論値:C,65.46;H,6.62;N,2.25
%. MS m/z (%) 623(M+ ,18),388(7),
105(100),77(28),61(19),45
(26).1 H−NMR δ=1.23(3H,d,J=7.0H
z),1.25(3H,d,J=7.0Hz),2.25
(2H,t,J=7.0Hz),2.86(1H,sep
t,J=7.0Hz),3.06−3.12(2H,
m),3.48−3.88(16H,m),6.11
(1H,s),6.91(1H,dd,J=9.9,1.
8Hz),7.20(1H,d,J=9.9Hz),7.4
4−7.52(3H,m),7.51(2H,d,J=
8.8Hz),7.59(2H,d,J=8.8Hz),
7.83−7.86(3H,m),7.94(1H,
d,J=1.8Hz).13 C−NMR δ=23.5(2C),31.2,3
1.9,38.0,49.0,68.5,70.3,7
0.4,70.5,70.8(3C),70.9,12
0.1(2C),127.0(2C),128.3,12
8.7,128.8(2C),129.1(2C),1
31.8,134.9,136.9,137.0(2
C),137.7,145.7,150.5,153.
7,165.6,181.4. IR(KBr)709,753,1047,1118,
1261,1318,1371,1409,1523,
1601,1673,1695、2862,3332cm
-1. UV(MeOH)227nm(ε=25194),271
(23685),352(10618),393(87
84). 含トロポノイドジチアクラウンエーテル(8e)のベン
ゾイル誘導体(13)をエチレンオリゴマー樹脂に担持
させてエチレンオリゴマー担持体(9)を合成した例を
次に示す。
【0058】分子量2,000のエチレンオリゴマー樹
脂(142mg)、塩化チオニル(0.2cm3 ) とDMF
(1滴)をトルエン(3cm3 ) に加熱して溶かし、80
−90で19時間加熱攪拌した。減圧下に溶媒を除去し
た後、還元体を精製せずに加え、トルエン(3cm3
中、100℃で20時間加熱攪拌した。反応物を氷で充
分冷却後濾過し、固体をメタノールで5回洗浄した。重
さが一定になるまで乾燥してエチレンオリゴマー担持体
(9)(163mg)を得た。
【0059】エチレンオリゴマー担持体(9)は茶色粉
状体で、その物性値は次の通りである。
【0060】元素分析 実測値;N,0.58%.
理論値;N.0.32% IR(KBr)1680,1695cm-1(−NHC=
0) 次に、含トロポノイドジチアクラウンエーテル(8e)
の水銀イオンとの錯体を次のようにして合成した。
【0061】含トロポノイドジチアクラウンエーテル
(8e)(0.05 mol) のクロロホルム溶液(10m
l)と塩化水銀(HgCl2 )(0.05 mol) の水溶
液(10ml)を室温下混合して1時間激しく撹拌した。
静止後クロロホルム層を分離し、溶媒を留去して得た固
形物を、水、エタノールにて洗浄し、含トロポノイドジ
チアクラウンエーテル(8e)の水銀イオンとの錯体を
得た(収率92%)。
【0062】得られた錯体の物性値は次の通りである。
【0063】1H−NMR δ=1.14(3H,d,
J=7.0Hz),1.17(3H,d,J=7.0Hz),
2.65−2.78(2H,m),2.80(1H,s
ept,J=7.0Hz),3.14−3.29(16
H,m),6.40(1H,s),6.96(1H,d
d,J=9.9,1.8Hz),7.08(1H,d,J=
9.9Hz),7.67(2H,d,J=8.8Hz),
7.67(1H,d,J=1.8Hz),8.17(2H,
d,J=8.8Hz).13 C−NMR δ=23.3,23.5,30.1,3
2.7,38.0,47.4,66.9,69.8,7
0.0(2C),70.3(2C),123.7(2
C),129.1(2C),129.2,129 .7,1
38.9,146.3,147.0,148.6,151
.2,153.8,181.6. 含トロポノイドジチアクラウンエーテル(8f)と水銀
イオンとの錯体も同様にして合成した。得られた錯体の
物性値は次の通りである。
【0064】1H−NMR δ=1.18(3H,d,
J=7.0Hz),1.21(3H,d,J=7.0Hz),
2.68(2H,t,J=5.8Hz),2.82(1
H,sept,J=7.0Hz),3.08(1H,dd
d,J=13.2,6.2,3.3Hz),3.25(1
H,ddd,J=13.2,6.2,3.3Hz),3.
56−3.92(20H,m),6.43(1H,
s),6.95(1H,dd,J=9.9,1.5H
z),7.14(1H,d,J=9.9Hz),7.66
(1H,d,J=1.5Hz),7.76(1H,d,J=
8.8Hz),8.15(2H,d,J=8.8Hz).13 C−NMR δ=23.4,23.43,31.5,
32.5,38.0,49.0,67.6,69.6,
69.7,70.0,70.2,70.3(4C),7
1.8,123.6(2C),128.8,129.7
(3C),138.2,146.0,146.9,14
8.9,151.0,153.7,180.8. 。
【0065】実施例2 水銀イオン(Hg2+)の輸送実験を、U字型セルを用い
て二液分配法によって行った。塩化水銀(HgCl2
0.05 m molの水溶液(「水溶液1」という)10cm
3 と含トロポノイドジチアクラウンエーテル(8e)
0.05 m molのクロロホルム溶液20cm3 とを磁気攪
拌下25℃で接触させ、一方、該クロロホルム層の反対
側に2M 塩酸(「水溶液2」という)10cm3 を接触
させて水銀イオンを抽出した。水溶液1および2の水銀
イオン濃度を、遊離の水銀イオンをデイチゾン塩として
紫外分光法によって定量した。結果を図1に示す。図1
において、●は水溶液1に残存する水銀イオンの割合を
表わし、○は水溶液2に輸送された水銀イオンの割合を
表わす。この図からわかるように、水銀イオンは90時
間後、定量的に希塩酸に抽出された。同様の水銀イオン
の輸送実験を含トロポノイドジチアクラウンエーテル
(8e)に代えて含トロポノイドジチアクラウンエーテ
ル(8f)を用いて行ない、図2に示す結果を得た。図
2の●および○は図1と同様にそれぞれ水溶液1に残存
する水銀イオンの割合および水溶液2に輸送された水銀
イオンの割合を表わす。
【0066】次に、水銀イオンの輸送実験を銅イオンの
存在下で行なった。塩化水銀(HgCl2 )0.15 m
molと塩化銅(CuCl2 )0.15 m molを含む水溶
液(「水溶液3」という)10cm3 、含トロポノイドジ
チアクラウンエーテル(8e)0.05 m molのクロロ
ホルム溶液20cm3 、および2N 塩酸10cm3 を用い
て、上述と同様にU字型セルを用いて二液分配法によっ
て輸送実験を行なった。結果を図3に示す。図3におい
て、●は水溶液3に残存する水銀イオンの割合を、△は
水溶液3に残存する銅イオンの割合を、○は水溶液2に
輸送された水銀イオンの割合を表わす。図3からわかる
ように、40時間後にほぼ全ての水銀イオンは有機層に
抽出され、60時間後に全ての水銀イオンが該希塩酸に
抽出された。しかし、銅イオンは最初の溶液すなわち第
3の水溶液に定量的に残留し、本発明の含トロポノイド
ジチアクラウンエーテル(8e)が水銀イオン輸送に対
して高い選択性を有することが確かめられた。また、図
1と図3の比較から、銅イオンが共存すると、本発明の
含トロポノイドジチアクラウンエーテル(8e)の水銀
イオンの取込みが促進されることがわかる。
【0067】既知のイオウを含むクラエンエーテル誘導
体と比較するために、次の式で示されるトロポン環を持
たないクラウンエーテル誘導体(14,15)を合成し
て、その水銀イオン補足能を調べた。
【0068】
【化11】 上記クラウンエーテル誘導体(14,15)のいずれの
場合も水銀塩の錯化合物を沈澱するが、2N塩酸処理に
よって水銀イオンを遊離することはできなかった。特
に、p−キシレンから誘導した本発明の含トロポノイド
ジチアクラウンエーテルのベンゼン類縁体とも言うべき
構造のトロポン環を持たないクラウンエーテル誘導体
(14)でも、本発明の含トロポノイドジチアクラウン
エーテルが水銀イオンを遊離する条件では錯体からの水
銀イオン遊離はできなかった。従って、水銀イオンの可
逆的脱着過程にトロポン環系は不可欠であり、トロポン
環が錯体の安定性を減少させていると言える。
【0069】これらの結果から、本発明の含トロポノイ
ドジチアクラウンエーテルが水銀イオン除去剤として利
用できることがわかる。
【0070】実施例3 不活性ゼラチン3gと臭化カリウム180mgを水10
0mlに溶解し溶液Iとした。50℃に保った溶液Iを
激しく撹拌しながら、1規定硝酸銀水溶液20mlと1M
臭化カリウム水溶液20mlを同時に30分間で添加して乳
剤1を製造した。
【0071】本発明の含トロポノイドジチアクラウンエ
ーテル(8c),(8e)またはこの含トロポノイドジ
チアクラウンエーテル(8e)のエチレンオリゴマー担
持体(9)を表1に示す量だけ溶液Iに予め添加してお
いた以外は乳剤1と同様にして、乳剤2〜7を製造し
た。
【0072】乳剤1〜7の製造において、硝酸銀水溶液
と臭化カリウム水溶液の添加終了後、直ちにサンプリン
グしてハロゲン化銀結晶の大きさを電子顕微鏡で観察し
て表1の結果を得た。
【0073】
【表1】 表1より明らかなように、本発明の含トロポノイドジチ
アクラウンエーテル化合物が存在しない場合に比べて本
発明の含トロポノイドジチアクラウンエーテル化合物を
添加した場合には平均粒子サイズが大きくなり、本発明
の含トロポノイドジチアクラウンエーテル化合物がハロ
ゲン化銀溶剤として作用することがわかる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の含トロポノイドジチアクラウンエーテ
ル(8e)を用いた水銀イオンの輸送実験の結果を示す
図である。
【図2】本発明の含トロポノイドジチアクラウンエーテ
ル(8f)を用いた水銀イオンの輸送実験の結果を示す
図である。
【図3】銅イオン共存下における本発明の含トロポノイ
ドジチアクラウンエーテル(8e)の水銀イオンの輸送
実験の結果を示す図である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.5 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 G03C 1/07

Claims (9)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 下記一般式(1)で表わされる含トロポ
    ノイドチアクラウンエーテル。 【化1】 式中、Xは酸素原子または硫黄原子を表し、nは1ない
    し5の整数を表し、Rは無置換または置換されたフェニ
    ル基、または、2価の基を介してポリマーと結合したフ
    ェニル基を表わす。
  2. 【請求項2】 請求項1に記載の含トロポノイドチアク
    ラウンエーテルを含有することを特徴とする水銀イオン
    除去剤。
  3. 【請求項3】 一般式(1)のXが酸素原子であること
    を特徴とする請求項2記載の水銀イオン除去剤。
  4. 【請求項4】 一般式(1)のnが3ないし5の整数で
    あることを特徴とする請求項3記載の水銀イオン除去
    剤。
  5. 【請求項5】 一般式(1)のnが4であることを特徴
    とする請求項4記載の水銀イオン除去剤。
  6. 【請求項6】 一般式(1)のRがニトロ基、アミド
    基、ウレイド基、ウレタン基で置換されたフェニル基ま
    たは2価の基を介してポリマーと結合したフェニル基で
    あることを特徴とする請求項5記載の水銀イオン除去
    剤。
  7. 【請求項7】 一般式(1)のRが2価の基を介してポ
    リマーと結合したフェニル基であることを特徴とする請
    求項6記載の水銀イオン除去剤。
  8. 【請求項8】 一般式(1)のRがアミド結合を介して
    ポリマーと結合したフェニル基であることを特徴とする
    請求項7記載の水銀イオン除去剤。
  9. 【請求項9】 請求項1に記載の含トロポノイドチアク
    ラウンエーテルの少なくとも一つの存在下に形成せしめ
    られたハロゲン化銀粒子を含有するハロゲン化銀写真感
    光材料。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
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Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
US6402960B1 (en) * 1999-03-01 2002-06-11 The Regents Of The University Of California Thiacrown polymers for removal of mercury from waste streams
US6696576B2 (en) 1999-03-01 2004-02-24 Thew Regents Of The University Of California Thiacrown polymers for removal of mercury from waste streams

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