JPH05294808A - 抗菌・抗カビ性リン酸複塩、及び、その製造方法 - Google Patents

抗菌・抗カビ性リン酸複塩、及び、その製造方法

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JPH05294808A
JPH05294808A JP41827790A JP41827790A JPH05294808A JP H05294808 A JPH05294808 A JP H05294808A JP 41827790 A JP41827790 A JP 41827790A JP 41827790 A JP41827790 A JP 41827790A JP H05294808 A JPH05294808 A JP H05294808A
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 樹脂、繊維、塗料等に練り込んで抗菌・抗カ
ビ性を付与する素材とその製造方法を提供する。 【構成】 マグネシウム、カルシウム、ストロンチウ
ム、アルミニウム、マンガン、ニッケル、銅、及び、亜
鉛からなる群の中から選ばれた2種以上の金属の難溶性
オルトリン酸複塩に、0.1〜5.0重量%の銀を担持
させたことを特徴とするリン酸複塩、並びに、前記難溶
性オルトリン酸複塩に、銀イオン溶液を添加し、40℃
以下で、メカノケミカル的に反応させて、銀を担持させ
る方法 【効果】 難溶性オルトリン酸複塩は、難溶性オルトリ
ン酸単塩より固体酸性度が高いため長期に安定して高濃
度に銀を坦持できる。また、メカノケミカル的に銀を担
持させると更に長期に安定して高濃度に銀を担持でき
る。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、人体に対して安全で、
かつ、熱変色や光変色することなく、樹脂、繊維、塗
料、建材等に添加して、抗菌・抗カビ性を付与する抗菌
・抗カビ剤、及び、その製造方法、より詳しくは、銀担
持リン酸複塩抗菌・抗カビ剤、及び、その製造方法に関
するものである。
【0002】
【従来の技術】従来、微量の銀イオンが抗菌・抗カビ性
を有していることは知られている。例えば、特公昭52
−38666号公報には、活性炭に硝酸銀溶液を添加し
て銀を担持させ、微量に溶解する銀イオンにより浄水器
用活性炭に抗菌・抗カビ効果を持たせる方法が開示され
ている。
【0003】また、銀の担持方法及び銀イオンの遊離速
度の調整等についても種々の試みがなされている。例え
ば、特開昭62−210098号公報には、酸化銀を添
加溶融した溶解性ガラスを作製し、その表面から微量に
溶解する銀イオンによって貯水槽やプール等の水の抗菌
・抗カビを行う方法が開示されている。
【0004】また、特開昭63−260810号公報に
は、比表面積の大きいゼオライトにイオン交換法により
銀等の殺菌性金属イオンを高密度に担持させた殺菌性ゼ
オライト組成物が開示されており、ナイロン、ポリエス
テル等に、これを徴量添加混合して紡糸し、抗菌性合成
繊維をえたことが述べられている。
【0005】更に、特開昭63−265809号公報に
は、この殺菌性ゼオライト組成物の変色を防止するた
め、銀等の殺菌性金属イオンの一部をアンモニウムイオ
ンで置き換えた殺菌性ゼオライト組成物が開示されてい
る。
【0006】一方、特開平1−221304号公報に
は、酸に弱いという殺菌性ゼオライト組成物の欠点を克
服するため、モンモリロナイト等の無機層状化合物の層
間のアルカリ金属の一部を、アンミン銀、アミン銀等の
銀錯塩で置換した抗菌・抗カビ性層間化合物が開示され
ており、塗料やフィルム等に使用しうることが述べられ
ている。
【0007】更に、特開平2−111709号公報に
は、上記殺菌性ゼオライト組成物の耐アルカリ性を改善
し、上記抗菌・抗カビ性層間化合物の粉末にし難いとい
う欠点を克服するため、銀等の抗菌性金属のアンミン錯
塩及びアミン錯塩の1種以上を担持したゼオライトが開
示されている。
【0008】また、特開平2−96508号公報には、
高い酸性度を有する難溶性リン酸塩や縮合リン酸の陽イ
オン交換能に着目して、これに銀等の抗菌性の金属イオ
ンを担持させたものが開示されており、これを塗料等に
混入して抗菌効果を上げうることが述べられている。
【0009】また、特開平2−180270号公報に
は、人工骨、歯科用セメント等の生体材料に使用されて
いるヒドロキシアパタイトを合成する際、銀等の抗菌性
金属塩溶液を添加して製造した抗菌性ヒドロキシアパタ
イトが開示されており、これを人工骨に混入して効果を
上げうることが述べられている。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】従来、市販されている
有機系のグルタルアルデヒド、アルキルアンモニウムク
ロライド、N−アルキルジアミノエチルグリシン、クロ
ルヘキシジン、N−フルオロジクロロメチルチオ)−フ
タルイミド等の抗菌剤は、毒性が比較的高く、かつ変質
し易いのに対して、前述の銀を担持した抗菌性素材は、
比較的安全で、かつ、樹脂を溶融する際の熱等に対して
安定である点において優れているが、全く問題がないわ
けではなかった。
【0011】特公昭52−38666号公報に開示され
た銀を担持させた活性炭は、樹能に練り込んだ際に、活
性炭に吸着されたガスが放出されて、樹脂が発泡すると
いう欠点があった。また、特開昭62−210098号
公報に開示された銀添加溶解性ガラスは、銀の溶出が早
く、微粉末にするのが困難で樹脂に練り込むには適して
いないという欠点があった。これと同じように、特開平
1−221304号公報に開示された銀担持モンモリロ
ナイト等の無機局状化合物にも、微粉末にするのが困難
で樹脂に練り込むには適していないという欠点があっ
た。
【0012】一方、特開昭63−260810号公報、
特開昭63−265809号公報、及び、特開平2−1
11709号公報に開示された銀担持ゼオライト組成物
は、変色や抗菌性の低下を防止するために、種々の操作
を必要とするので、非常に高価なものになっていた。
【0013】また、特開平2−96508号公報に開示
された銀担持リン酸塩には、固体酸性度が低いので銀イ
オンの交換量も銀の保持力も弱いという欠点があり、ま
た、縮合リン酸塩の中にはトリポリリン酸二水素アルミ
ニウムのように高い酸性度を有しているものも得られる
が、高い酸性のものを得るために特別な焼成、処理、銀
担持操作を必要とするので、非常に高価になるという欠
点があった。また、特開平2−180270号公報に開
示された銀を担持させたヒドロキシアパタイトは、用途
が人工骨等に限定されるものであった。
【0014】本発明は、これらの問題点を解決して、安
全性が高く、優れた安定性を有する抗菌・抗カビ性の無
機化合物の微粒子を、直接合成し、安価に提供すること
にある。
【0015】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、前述の課
題を解決するため、マグネシウム、カルシウム、ストロ
ンチウム、マンガン、ニッケル、銅、及び、亜鉛からな
る群の中から選ばれた2種以上の金属の難溶性オルトリ
ン酸複塩に、0.1〜5.0重量%の銀を担持させたこ
とを特徴とする抗菌・抗カビ性リン酸複塩、並びに、マ
グネシウム、カルシウム、ストロンチウム、マンガン、
ニッケル、銅、及び、亜鉛からなる群の中から選ばれた
2種以上の金属の難溶性オルトリン酸複塩に、銀イオン
溶液を添加して、40℃以下で、メカノケミカル的に反
応させて銀を担持させることを特徴とする抗菌・抗カビ
性リン酸複塩の製造方法を提供する。
【0016】本発明におけるオルトリン酸複塩は、いず
れも高い固体酸性度を有している。例えば、固体酸量
は、単塩である難溶性オルトリン酸塩であるリン酸マグ
ネシウム(Mg(POでは0.01meq/
g、アパタイト(Ca10(PO(OH))で
は0.02meq/g、リン酸亜鉛(Zn(PO
)では0.02meq/g、リン酸マンガン(Mn
(PO)では0.02meq/g、リン酸銅(C
(PO)では0.05meq/g、リン酸ニ
ッケル(Mn(PO)では0.05meq/
g、リン酸アルミニウム(AlPO)では0.10m
eq/gであるのに対し、本発明におけるオルトリン酸
複塩であるリン酸アルミニウム・カルシウム(Al15
Ca(PO17)では0.50meq/g、リン
酸亜鉛・マグネシウム(ZnMg(PO)では
0.30meq/g、リン酸アルミニウム・銅・ストロ
ンチウム(Al12CuSr(PO14)では
0.60meq/g、リン酸カルシウム・マンガン・ニ
ッケル(CaMnNi(PO)では0.40
meq/gである。従って、本発明におけるオルトリン
酸複塩は、0.1〜5.0重量%の銀を安定に担持させ
ることができ、長期にわたり抗菌・抗カビ性を維持する
ことができる。また、本発明に係わる抗菌・抗カビ性リ
ン酸複塩において、担持された銀の濃度が0.1重量%
未満であれば、十分な抗菌・抗カビ性が得られず、ま
た、5.0重量%を超えれば、変色するおそれを生ず
る。
【0017】本発明に係わる抗菌・抗カビ性リン酸複塩
の製造方法で、マグネシウム、カルシウム、ストロンチ
ウム、マンガン、ニッケル、銅、及び、亜鉛からなる群
の中から選ばれた2種以上の金属の難溶性オルトリン酸
複塩の合成には、これらの金属の酸化物、水酸化物、又
は、炭酸塩と、リン酸塩又はリン酸を使用し、異種金属
の混合モル比が1/10〜1/2の範囲で合成するのが
好ましい。反応には、湿式反応、乾式反応のいずれでも
可能であるが、湿式反応の方が好ましく、更に、メカノ
ケミカル効果のあるボールミル、ライカイキ、振動ミ
ル、サンドグランドミル等を使用することがより好まし
く、微細粒子が得やすい。
【0018】銀イオンの担持には、メカノケミカル効果
のある反応機を使用し、40℃以下の温度で行う。銀イ
オンを担持させるオルトリン酸複塩は、必ずしも複塩と
して既に合成されたものだけでなく、未反応の状態、す
なわち複塩合成途上で銀イオンを担持させてもよい。ま
た、反応温度が40℃を超えると、銀が遊離して変色す
るので、好ましくない。
【0019】
【作用】本発明に係わる抗菌・抗カビ性リン酸複塩が、
どのような作用によって優れた抗菌・抗カビ性を示す
か、又は、その製造方法おいて、どのような作用によっ
て優れた抗菌・抗カビ性を有する抗菌・抗カビ性リン酸
複塩が製造できるのかについては、詳細は不明である
が、一応、次のような作用が関与するものと考えられ
る。
【0020】本発明に係わる抗菌・抗カビ性リン酸複塩
に使用されるリン酸複塩は、前述のように、単一の金属
のオルトリン酸塩よりも固体酸性度が高いので、銀イオ
ンを高濃度に強固に長期間保持できるものと考えられ
る。また、単にイオン交換法により表層の金属を銀に置
換し担持させるだけでなく、特にメカノケミカル反応に
より銀を化学的に結合させた場合は、表層内部にまで銀
が強固に保持されるものと考えられる。従って、長期に
わたって、抗菌・抗カビに必要な微量の銀イオンを放出
することができ、優れた抗菌・抗カビ効果を示すものと
考えられる。
【0021】本発明に係わる抗菌・抗カビ性リン酸複塩
の製造方法において、メカノケミカル反応の際、固体同
士の接触点に瞬間的に高温高圧点が生じて、そこにエネ
ルギーが集中して、溶液反応とは異なった特殊な反応が
生起し、銀が強固に高濃度に結合するものと考えられ
る。また、周りの環境が40℃以下に保持されているた
め、接触反応点以外で、銀の遊離等の反応が生起せず、
従って銀の遊離による変色も防止できるものと考えられ
る。
【0022】
【実施例】
(1)抗菌・抗カビ性リン酸複塩等の製造 〔実施例1〕50℃に加温した40%リン酸水溶液10
00gに水酸化カルシウム(Ca(OH))53.3
g、及び、水酸化アルミニウム(ギブサイトAl
3HO)280.9gを徐々に添加して反応させ、6
0℃で5時間保持した後、得られたスラリーを30℃に
冷却して、2lボールミルに移し、硝酸銀12gを添加
して、2時間練和して反応を終了させた。反応スラリー
を濾過し、得られたフィルターケーキを250℃で12
時間乾燥して粉末(以下「粉末I」という)を得た。
【0023】〔実施例2〕室温の75%リン酸水溶液6
00gに、酸化マグネシウム(MgO)92.5gと酸
化亜鉛(ZnO)373.8gとを加えて反応させ、反
応物を2lボールミルに移し、水1000gを加えて室
温で8時間練和した後、硝酸銀9gを添加して、更に2
時間練和して反応を終了させた。反応スラリーから実施
例1と同様にして粉末(以下「粉末II」という)を得
た。
【0024】〔実施例3〕70℃に加温した40%リン
酸水溶液1000gに塩基性炭酸銅(CuCOCa
(OH))64.4gと炭酸ストロンチウム(SrC
)42.9gと水酸化アルミニウム(ギブサイトA
3HO)272.9gとを徐々に添加して反
応させ、80℃で3時間保持した後、得られたスラリー
が40℃に冷えた時、ライカイ機に移し、硝酸銀25g
を添加して、更に2時間練和して反応を終了させた。反
応スラリーから実施例1と同様にして粉末(以下「粉末
III」という)を得た。
【0025】〔実施例4〕室温の75%リン酸水溶液6
00gに、炭酸ニッケル(NiCO)68.1g、炭
酸マンガン(MnCO)132.0g、及び、炭酸カ
ルシウム(CaCO)517.1gからなる混合粉末
を添加して反応させ、反応物を2l振動ミルに移し、水
1000gを加えて室温で3時間練和した後、硝酸銀4
0gを添加して、更に1時間練和して反応を終了させ
た。反応スラリーから実施例1と同様にして粉末(以下
「粉末IV」という)を得た。
【0026】〔比較例1〕A−型ゼオライトの乾燥微粒
子200gに1/10M硝酸銀水溶液500mlを加
え、室温で3時間攪拌してイオン交換を行った。それを
濾過し、十分水洗して、150℃で乾燥して粉末(以下
「粉末V」という)を得た。
【0027】〔比較例2〕硝酸銀2gを蒸留水1lに溶
解し、アンモニア水で中性からアルカリ性にpHを調整
し攪拌した。これに0.1M塩化カルシウム1000m
lと0.1Mリン酸水素二ナトリウム600mlを、溶
液のpHをアンモニア水で中性からアルカリ性に微調整
しながら、それぞれ攪拌しつつ徐々に滴下して、ヒトロ
キシアパタイトを合成した。得られた生成物を蒸留水で
よく洗浄し、150℃で乾燥し粉末(以下「粉末VI」
という)得た。
【0028】(2)変色試験 前述の実施例及び比較例で得られた粉末I〜VIを、ポ
リプロピレン樹脂(宇部興産(株)製J−109G)に
220℃で1重量%に練り込み、射出成形(滞留時間3
分)して、それぞれ50×30×2mmの数片の試料
(以下「試料I」〜「試料VI」という)を得た。これ
に紫外線をあて色調等の経時変化を比較したところ、試
料Vでは、練り込みの際気泡が発生し樹脂の硬化後も樹
脂中に残留しており、5時間で明らかに褐色に変色して
いるのが認められ、また、試料VIでも、5時間で明ら
かに褐色に変色しているのが認められたが、試料I〜V
Iでは、50時間後でも変色は認められなかった。
【0029】(3) 抗菌性及び抗カビ性試験 〔抗菌・抗カビ性リン酸複塩等の抗菌性試験〕実施例及
び比較例で得られた粉末I〜VIそれぞれ1gを、大腸
菌(エシェリチアコリ)の入った三角フラスコに入れ振
とうした。振とう開始前、及び、1時間振とう後に、大
腸菌液の一部を取り出し、寒天培地で培養後、その生菌
数を測定した。得られた結果は表1のとおりであった。
【表1】
【0030】表1に示したように、この試験の結果で
も、本発明に係わる抗菌・抗カビ性リン酸複塩(粉末I
〜IV)には、優れた抗菌作用があるのが認められた。
【0031】〔抗菌・抗カビ性リン酸複塩練り込み合成
樹脂片等の抗菌性試験〕前述の変色試験の際に製造した
抗菌・抗カビ性リン酸複塩練り込み合成樹脂片試料I〜
VIを細切りにし、その1gを用い、前述の抗菌・抗カ
ビ性リン酸複塩等の抗菌性試験と同様にして、振とう開
始前、及び、48時間振とう後に生菌数を測定した。そ
の結果は表2のとおりであった。
【表2】
【0032】表2に示したように、この試験の結果で
も、本発明に係わる抗菌・抗カビ性リン酸複塩を練り込
んだ合成樹脂片(試料I〜IV)には、優れた抗菌作用
があるのが認められた。
【0033】〔抗菌・抗カビ性リン酸複塩練り込み合成
樹脂片等の抗カビ性試験〕前述の変色試験の際に製造し
た抗菌・抗カビ性リン酸複塩練り込み合成樹脂片試料I
〜VIを、それぞれ10×10×2mmの大きさに切断
し、寒天培地に置き、黒カビ(アスベルギルスニゲ
ル)、及び、青カビ(ベニシリウムフニクロスム)懸濁
液を塗布し、25℃、飽和湿度で4週間培養後、カビの
発育状態を観察した。その結果、試料Vでは、周辺にカ
ビの生育が認められ、試料VIでは、表面全体にカビの
生育が認められたが、これに対して、本発明に係わる抗
菌・抗カビ性リン酸複塩を練り込んだ合成樹脂片(試料
I〜IV)では、いずれも、その表面に全くカビの生育
は認められなかった。
【0034】
【発明の効果】本発明に係わる抗菌・抗カビ性リン酸複
塩は、前述のような構成と作用とを有するので、人体に
安全で、樹脂、繊維、塗料等に練り込んだ際に変色や抗
菌性・抗カビ性の低下を伴うこともない優れた抗菌性と
抗カビ性を有する素材として、人類の健康と産業の発達
に大きく寄与するものと考える。また、本発明に係わる
抗菌・抗カビ性リン酸複塩の製造方法は、前述のような
構成と作用とを有するので、銀を長期間にわたり安定に
担持することができ、かつ、樹脂等に練り込み易い微粒
子の状態で、上記の抗菌・抗カビ性リン酸複塩を提供で
きるという優れた効果をもたらすものと考える。
─────────────────────────────────────────────────────
【手続補正書】
【提出日】平成3年3月26日
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】特許請求の範囲
【補正方法】変更
【補正内容】
【特許請求の範囲】
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】発明の詳細な説明
【補正方法】変更
【補正内容】
【0013】また、特開平2−96508号公報に開示
された銀担持リン酸塩には、固体酸性度が低いので銀イ
オンの交換量も銀の保持力も弱いという欠点があり、ま
た、縮合リン酸塩の中にはトリポリリン酸二水素アルミ
ニウムのように高い酸性度を有しているものも得られる
が、高い酸性のものを得るために特別な焼成、処理、
銀担持操作を必要とするので、非常に高価になるという
欠点があった。また、特開平2−180270号公報に
開示された銀を担持させたヒドロキシアパタイトは、用
途が人工骨等に限定されるものであった。
【手続補正3】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】発明の詳細な説明
【補正方法】変更
【補正内容】
【0015】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、前述の課
題を解決するため、マグネシウム、カルシウム、ストロ
ンチウム、アルミニウム、マンガン、ニッケル、銅、及
び、亜鉛からなる群の中から選ばれた2種以上の金属の
難溶性オルトリン酸複塩に、0.1〜5.0重量%の銀
を担持させたことを特徴とする抗菌・抗カビ性リン酸複
塩、並びに、マグネシウム、カルシウム、ストロンチウ
ム、アルミニウム、マンガン、ニッケル、銅、及び、亜
鉛からなる群の中から選ばれた2種以上の金属の難溶性
オルトリン酸複塩に、銀イオン溶液を添加して、40℃
以下で、メカノケミカル的に反応させて銀を担持させる
ことを特徴とする抗菌・抗カビ性リン酸複塩の製造方法
を提供する。
【手続補正4】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】発明の詳細な説明
【補正方法】変更
【補正内容】
【0016】本発明におけるオルトリン酸複塩は、いず
れも高い固体酸性度を有している。例えば、固体酸量
は、単塩である難溶性オルトリン酸塩であるリン酸マグ
ネシウム(Mg(POでは0.01meq/
g、アパタイト(Ca10(PO(OH))で
は0.02meq/g、リン酸亜鉛(Zn(PO
)では0.02meq/g、リン酸マンガン(Mn
(PO)では0.02meq/g、リン酸銅(C
(PO)では0.05meq/g、リン酸ニ
ッケル(Ni (PO)では0.05meq/
g、リン酸アルミニウム(AlPO)では0.10m
eq/gであるのに対し、本発明におけるオルトリン酸
複塩であるリン酸アルミニウム・カルシウム(Al15
Ca(PO17)では0.50meq/g、リン
酸亜鉛・マグネシウム(ZnMg(PO)では
0.30meq/g、リン酸アルミニウム・銅・ストロ
ンチウム(Al12CuSr(PO14)では
0.60meq/g、リン酸カルシウム・マンガン・ニ
ッケル(CaMnNi(PO)では0.40
meq/gである。従って、本発明におけるオルトリン
酸複塩は、0.1〜5.0重量%の銀を安定に担持させ
ることができ、長期にわたり抗菌・抗カビ性を維持する
ことができる。また、本発明に係わる抗菌・抗カビ性リ
ン酸複塩において、担持された銀の濃度が0.1重量%
未満であれば、十分な抗菌・抗カビ性が得られず、ま
た、5.0重量%を超えれば、変色するおそれを生ず
る。
【手続補正5】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】発明の詳細な説明
【補正方法】変更
【補正内容】
【0017】本発明に係わる抗菌・抗カビ性リン酸複塩
の製造方法で、マグネシウム、カルシウム、ストロンチ
ウム、アルミニウム、マンガン、ニッケル、銅、及び、
亜鉛からなる群の中から選ばれた2種以上の金属の難溶
性オルトリン酸複塩の合成には、これらの金属の酸化
物、水酸化物、又は、炭酸塩と、リン酸塩又はリン酸を
使用し、異種金属の混合モル比が1/10〜1/2の範
囲で合成するのが好ましい。反応には、湿式反応、乾式
反応のいずれでも可能であるが、湿式反応の方が好まし
く、更に、メカノケミカル効果のあるポールミル、ライ
カイキ、振動ミル、サンドグランドミル等を使用するこ
とがより好ましく、徴細粒子が得やすい。
【手続補正6】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】発明の詳細な説明
【補正方法】変更
【補正内容】
【0024】〔実施例3〕70℃に加湿した40%リン
酸水溶液1000gに塩基性炭酸銅(CuCO Cu
(OH))64.4gと炭酸ストロンチウム(SrC
)42.9gと水酸化アルミニウム(ギブサイト
Al3HO)272.9gとを徐々に添加して
反応させ、80℃で3時間保持した後、得られたスラリ
ーが40℃に冷えた時、ライカイ機に移し、硝酸銀25
gを添加して、更に2時間練和して反応を終了させた。
反応スラリーかも実施例1と同様にして粉末(以下「粉
末III」という)を得た。 ─────────────────────────────────────────────────────
【手続補正書】
【提出日】平成5年6月16日
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0013
【補正方法】変更
【補正内容】
【0013】また、特開平2−96508号公報に開示
された銀担持リン酸塩には、固体酸性度が低いので銀イ
オンの交換量も銀の保持力も弱いという欠点があり、ま
た、縮合リン酸塩の中にはトリポリリン酸二水素アルミ
ニウムのように高い酸性度を有しているものも得られる
が、高い酸性のものを得るために特別な焼成、処理、
銀担持操作を必要とするので、非常に高価になるという
欠点があった。また、特開平2−180270号公報に
開示された銀を担持させたヒドロキシアパタイトは、用
途が人工骨等に限定されるものであった。
【手続補正3】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0015
【補正方法】変更
【補正内容】
【0015】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、前述の課
題を解決するため、マグネシウム、カルシウム、ストロ
ンチウム、アルミニウム、マンガン、ニッケル、銅、及
び、亜鉛からなる群の中から選ばれた2種以上の金属の
難溶性オルトリン酸複塩に、0.1〜5.0重量%の銀
を担持させたことを特徴とする抗菌・抗カビ性リン酸複
塩、並びに、マグネシウム、カルシウム、ストロンチウ
ム、アルミニウム、マンガン、ニッケル、銅、及び、亜
鉛からなる群の中から選ばれた2種以上の金属の難溶性
オルトリン酸複塩に、銀イオン溶液を添加して、40℃
以下で、メカノケミカル的に反応させて銀を担持させる
ことを特徴とする抗菌・抗カビ性リン酸複塩の製造方法
を提供する。
【手続補正4】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0016
【補正方法】変更
【補正内容】
【0016】本発明におけるオルトリン酸複塩は、いず
れも高い固体酸性度を有している。例えば、固体酸量
は、単塩である難溶性オルトリン酸塩であるリン酸マグ
ネシウム(Mg(POでは0.01meq/
g、アパタイト(Ca10(PO(OH))で
は0.02meq/g、リン酸亜鉛(Zn(PO
)では0.02meq/g、リン酸マンガン(Mn
(PO)では0.02meq/g、リン酸銅(C
(PO)では0.05meq/g、リン酸ニ
ッケル(Ni (PO)では0.05meq/
g、リン酸アルミニウム(AlPO)では0.10m
eq/gであるのに対し、本発明におけるオルトリン酸
複塩であるリン酸アルミニウム・カルシウム(Al15
Ca(PO17)では0.50meq/g、リン
酸亜鉛・マグネシウム(ZnMg(PO)では
0.30meq/g、リン酸アルミニウム・銅・ストロ
ンチウム(Al12CuSr(PO14)では
0.60meq/g、リン酸カルシウム・マンガン・ニ
ッケル(CaMnNi(PO)では0.40
meq/gである。従って、本発明におけるオルトリン
酸複塩は、0.1〜5.0重量%の銀を安定に担持させ
ることができ、長期にわたり抗菌・抗カビ性を維持する
ことができる。また、本発明に係わる抗菌・抗カビ性リ
ン酸複塩において、担持された銀の濃度が0.1重量%
未満であれば、十分な抗菌・抗カビ性が得られず、ま
た、5.0重量%を超えれば、変色するおそれを生ず
る。
【手続補正5】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0017
【補正方法】変更
【補正内容】
【0017】本発明に係わる抗菌・抗カビ性リン酸複塩
の製造方法で、マグネシウム、カルシウム、ストロンチ
ウム、アルミニウム、マンガン、ニッケル、銅、及び、
亜鉛からなる群の中から選ばれた2種以上の金属の難溶
性オルトリン酸複塩の合成には、これらの金属の酸化
物、水酸化物、又は、炭酸塩と、リン酸塩又はリン酸を
使用し、異種金属の混合モル比が1/10〜1/2の範
囲で合成するのが好ましい。反応には、湿式反応、乾式
反応のいずれでも可能であるが、湿式反応の方が好まし
く、更に、メカノケミカル効果のあるボールミル、ライ
カイキ、振動ミル、サンドグランドミル等を使用するこ
とがより好ましく、微細粒子が得やすい。
【手続補正6】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0024
【補正方法】変更
【補正内容】
【0024】〔実施例3〕70℃に加温した40%リン
酸水溶液1000gに塩基性炭酸銅(CuCO Cu
(OH))64.4gと炭酸ストロンチウム(SrC
)42.9gと水酸化アルミニウム(ギブサイト
Al3HO)272.9gとを徐々に添加して
反応させ、80℃で3時間保持した後、得られたスラリ
ーが40℃に冷えた時、ライカイ機に移し、硝酸銀25
gを添加して、更に2時間練和して反応を終了させた。
反応スラリーから実施例1と同様にして粉末(以下「粉
末III」という)を得た。

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 マグネシウム、カルシウム、ストロンチ
    ウム、マンガン、ニッケル、銅、及び、亜鉛からなる群
    の中から選ばれた2種以上の金属の難溶性オルトリン酸
    複塩に、0.1〜5.0重量%の銀を担持させたことを
    特徴とする抗菌・抗カビ性リン酸複塩
  2. 【請求項2】 マグネシウム、カルシウム、ストロンチ
    ウム、マンガン、ニッケル、銅、及び、亜鉛からなる群
    の中から選ばれた2種以上の金属の難溶性オルトリン酸
    複塩に、銀イオン溶液を添加し、40℃以下で、メカノ
    ケミカル的に反応させて銀を担持させることを特徴とす
    る抗菌・抗カビ性リン酸複塩の製造方法
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Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2009023959A (ja) * 2007-07-20 2009-02-05 Shinto V-Cerax Ltd 銀担持難溶性オルトリン酸複塩微粒子の水系懸濁液、及び、その製造方法、並びに、抗菌性水性塗料組成物、及び、抗菌性機能を有する塗装品
JP2020070277A (ja) * 2018-11-02 2020-05-07 国立大学法人北海道大学 亜鉛含有抗菌剤

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