JPH05292884A - コーヒー及び茶類等の自動連続濃厚抽出装置 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】 コーヒー及び茶類等の原料と温水とを接触さ
せて抽出液を生成する装置において、従来のバッチ処理
に代えて抽出液の生成原理を根本的に改善することによ
り、可溶性固形分を濃厚にして品質向上を図ると共に、
生産能率の向上、搬送経費の削減、作業の容易化、ひい
ては完全自動化を図ることを目的とする。 【構成】 ケーシング３の内部通路２を約２〜３°傾斜
させ、この内部通路２に回転駆動可能なスクリューコン
ベア７を配設し、この内部通路２の上流側端部に給湯口
６を設け且つ下流側端部に原料供給用ホッパー４を連通
させ、スクリューコンベア７の回転により移送された原
料の粕を粕排出口12より排出させると共に、生成された
抽出液を取出口８より連続的に取り出すように構成す
る。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明は、コーヒー、紅茶、茶な
どの抽出液（エキス）を生成する装置に係り、詳しく
は、当該抽出液の生成及びその取出作業や原料の粕の排
出作業等を自動的且つ連続的に行わせると共に、当該抽
出液の可溶性固形分を濃厚にするための技術に関する。

【０００２】

【従来の技術】周知のように、コーヒー、紅茶、茶など
の嗜好飲料は、先ず食品製造工場等において抽出液を生
成し、この後、商品流通経路の途中において抽出液を希
釈し、この希釈液を缶などに封入したものを嗜好飲料と
して最終消費者に提供するのが通例となっている。そし
て、上記食品製造工場等における抽出液の生成工程は、
例えば実開昭６４−３５８４号公報や特開昭６４−５４
５２号公報に開示されているように、所謂バッチ処理に
より行われているのが現状である。

【０００３】具体的には、立設保持された円筒状のタン
ク内部にフィルター等を装着した状態で、焙煎後粉砕さ
れたコーヒー豆等の原料を前記タンク内部に投入し、蒸
気等を用いて加熱された温水を前記フィルター等の上方
から注入し、これにより所定量の原料を濾過して抽出液
を得るようにしたものである。そして、抽出終了後にお
いては、タンクの上部に配設した蓋を開動して、フィル
ター内に貯留されている原料の粕を立設状態のタンク上
方開口部から取り出すか、或いは当該タンクを転倒させ
て下方に移行した開口部から原料の粕を取り出すもので
ある。そして、このバッチ処理によれば、得られた抽出
液の可溶性固形分が最高でも約２％程度であることが一
般に知られている。尚、上記の可溶性固形分は、糖度を
示す指標となるもので、原料に対する水の量が多くなれ
ば、この可溶性固形分は少なくなるものである。

【０００４】

【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上記従
来のようにバッチ処理を採用していたのでは、温水の自
重落下による濾過が行われる関係上、原料と温水との接
触時間が短く、このため可溶性固形分の量が充分なもの
にならないという問題がある。このように可溶性固形分
が少量であることは、抽出液としての品質及び抽出率が
低いことを意味しており、この可溶性固形分を多量にし
て品質及び抽出率の向上を図るには、もはやバッチ処理
に委ねることができず、いかなる新規な処理を採用する
のが最適であるかが問題となる。また、このように可溶
性固形分が少量であれば、最終製品である嗜好飲料を適
量得るために、大量の抽出液を生成せねばならず、生産
能率の悪化を招くばかりでなく、抽出液の搬送経費が高
くなるという問題をも生ぜしめる。更に、上記のバッチ
処理によれば、濾過終了までに長時間を要するのみなら
ず、一回の濾過が終了するたびに原料の粕の取出作業及
び新規原料の投入作業を行わねばならず、面倒且つ煩雑
な作業を強いられると共に、作業能率の悪化及び作業時
間の長期化を助長するという問題をも有しており、更に
は完全自動化を図ることは不可能であるという欠点があ
る。

【０００５】本発明は上記事情に鑑みてなされたもので
あり、抽出液の生成原理を根本的に改善して、可溶性固
形分の濃厚化及びこれに伴う品質向上を図ると共に、生
産能率の向上、搬送経費の削減、作業の容易化、ひいて
は完全自動化を図ることを技術的課題とするものであ
る。

【０００６】

【課題を解決するための手段】上記技術的課題を達成す
べくなされた本発明に係るコーヒー及び茶類等の自動連
続濃厚抽出装置は、以下に示すような特徴を有するもの
である。すなわち、所定角度傾斜する内部通路を有して
なるケーシングと、該内部通路の下流側に連通する原料
供給手段と、該内部通路の上流側に連通する温水供給手
段と、該内部通路に沿って配設され且つその回転により
原料を下流側から上流側に移送するスクリューコンベア
とを具備し、前記原料と温水との接触により生成された
抽出液を内部通路の下流側端部から取り出す抽出液取出
口を設けると共に、前記移送された原料の粕を内部通路
の上流側端部から排出させる粕排出口を設けたものであ
る。そして好ましくは、前記スクリューコンベアの構成
要素であるスクリュー羽根の外周部に、抽出液逆流防止
用の切欠溝を形成するものであり、また、前記抽出液取
出口に、ウェッジワイヤを使用してなる特殊スクリーン
と、回転する掻取羽根とから構成された目詰防止手段を
配備するものである。

【０００７】

【作用】上記手段によると、ケーシングに形成された傾
斜状の内部通路の上流側から温水が供給されると共に下
流側から原料が投入され、この原料がスクリューコンベ
アの回転により下流側から上流側に移送される。従っ
て、温水の中を原料が逆流していくことになり、この間
に温水と原料との接触が充分に行われ、これに伴って抽
出液の可溶性固形分が多量になる。つまり、従来のよう
に温水の自重落下により濾過を行うバッチ式のものでは
ないので、連続的に原料と温水とが長時間にわたって接
触することになり、これにより抽出液の可溶性固形分を
多量にすることが可能になるのである。そして、このよ
うにして生成された抽出液は、内部通路の下流側端部か
ら抽出液取出口を介して取り出される一方、スクリュー
コンベアにより移送されて上流側端部に至った原料の粕
は、粕排出口を介して外方に排出される。従って、原料
の投入作業、温水の供給作業、抽出液の取出作業、粕の
排出作業を、全て自動的且つ連続的に行うことが可能と
なる。

【０００８】また、前記スクリューコンベアの構成要素
であるスクリュー羽根の外周部に、Ｖ字形やＵ字形の切
欠溝を形成しておけば、当該スクリュー羽根とケーシン
グ内面との隙間を極めて小さくした場合であっても、抽
出液は逆流することなく切欠溝を通過して円滑に取出口
に至ることとなる。更に、取出口には、ウェッジワイヤ
を使用してなる特殊スクリーンと掻取羽根とから目詰防
止手段が配備されているので、抽出液の流れは阻害され
ず、これにより円滑な抽出液の取出を継続して維持でき
ることになる。

【０００９】

【実施例】以下、本発明に係るコーヒー及び茶類等の自
動連続濃厚抽出装置の実施例を図面に基づいて説明す
る。先ず、本発明に係る装置の全体構成を図１に基づい
て説明すると、当該装置１は、所定角度傾斜する内部通
路２を有するケーシング３と、該内部通路２の下流側端
部に連通するホッパー４と、該ホッパー４から内部通路
２に投入される原料（焙煎後粉砕されたコーヒー豆等）
の投入量を調整する自動定量供給機５と、該内部通路２
の上流側端部に設けられた給湯口６と、該内部通路２に
長手方向に沿って配設された回転可能なスクリューコン
ベア７とを有する。前記内部通路２及びケーシング３の
傾斜角度ａは、約１０°以下であることが好ましく、よ
り好ましい角度ａは、２〜３°である。また、前記内部
通路２の下流側端部における底部には、生成された抽出
液を取り出す抽出液取出口８が設けられおり、この抽出
液取出口８の周辺には、スクリューコンベア７と同期し
て回転する掻取羽根９及び特殊スクリーン10からなる目
詰防止手段11が配備されていると共に、該内部通路２の
上流側端部には、原料の粕を排出する粕排出口12と、排
出された粕を搬送するスクリューコンベア又はネットコ
ンベアでなる粕搬出手段13とが配備されている。

【００１０】そして、この装置１には、マイクロコンピ
ュータやシーケンス回路等でなる制御手段14が備えられ
ており、この制御手段14は前記自動定量供給機５に信号
を送出して原料の投入量を適量に調整すると共に、水源
15から前記給湯口６に供給される温水の量及び温度を適
切に制御すべく、自動定量手段16及び温度調節手段17に
制御信号を送出するものである。また、前記内部通路２
には液面センサー18が設置されており、制御手段14はこ
の液面センサー18からの信号に基づいて前記自動定量手
段16に信号を送出することにより、液面の高さを最適制
御するものである。更に、前記スクリューコンベア７
は、駆動モータ19の回転力がベルト20を介して伝達され
ることにより回転駆動されるものであり、この駆動モー
タ19についても、その回転制御を前記制御手段14により
行わせることが可能である。

【００１１】前記スクリューコンベア７の長さは、この
実施例においては、スクリュー羽根の直径に対し約１５
〜２０倍の長さに設定されていると共に、図２及び図３
に示すように、スクリュー羽根7aの外周部には、その直
径に対し約１０％程度の深さを有するＶ字形又はＵ字形
の約１０〜１５個の切欠溝21…21が切削形成されてい
る。そして、スクリューコンベア７の回転により原料が
下流側から上流側に移送される間においては、抽出液が
前記切欠溝21…21を流通することにより、その逆流が防
止されるものである。更に、図２に示すように、前記ケ
ーシング３の円弧状底壁及び両側壁には、蒸気又は熱水
が流通する加熱ジャケット3aが形成されており、この加
熱ジャケット3aの作用により抽出液の保温がなされ、常
時適温の抽出液が取出口８から取り出されるものであ
る。尚、ケーシング３の上部は、開閉自在な蓋22により
覆われていると共に、図１及び図２における点線表示
Ａ，Ｂは液面を示すものである。

【００１２】以上の構成によれば、スクリューコンベア
７が回転駆動されている状態の下で、図１に示すホッパ
ー４から内部通路２の下流側端部に一定量の原料を連続
的に投入すると同時に、給湯口６から内部通路２の上流
側端部に適量及び適温の温水を連続的に供給することに
より、原料が下流側から上流側に向かって移送される間
に温水と充分に接触して抽出液が生成され、この抽出液
は取出口８から連続的に取り出されることになる。この
ように原料が温水と充分な時間にわたって接触すること
により、抽出液の可溶性固形分を多量にすることが可能
であり、また、原料投入量、温水供給量、抽出温度、ス
クリューコンベア回転数、及び液面を任意にコントロー
ルすることより、抽出液の可溶性固形分を３〜２５％の
範囲で任意に抽出することも可能となる。更に、前述の
ように、内部通路２の傾斜角度を２〜３°とすることに
より、抽出液の濁りがなくなり、極めて品質の良い抽出
液が得られることになる。

【００１３】一方、前記抽出液の取出口８に配備されて
いる目詰防止手段11の特殊スクリーン10は、図４に示す
ように、ウェッジワイヤ23…23の網状体でなるため、掻
取羽根９がｘ方向に回転することにより、取出口８周辺
に残留している原料がウェッジワイヤ23の鋭角部で破断
されて下方に落下することになり、これにより抽出液の
流れが常に円滑に行われ、流通阻害が回避されることと
なる。

【００１４】

【発明の効果】本発明は上述のように構成されているの
で、以下に示す効果を奏する。すなわち、請求項１に記
載のコーヒー及び茶類等の自動連続濃厚抽出装置によれ
ば、ケーシングに形成された傾斜状の内部通路に対して
連続的に下流側から原料が投入されると同時に上流側か
ら温水が供給され、且つ原料がスクリューコンベアの回
転により下流側から上流側に移送される間に温水と原料
との接触が充分に行われ、これに伴って従来のバッチ処
理に比して遥かに抽出液の可溶性固形分が濃厚になる。
この結果、極めて品質の良い抽出液が得られるばかりで
なく、抽出率が高められて生産性の向上や搬送経費の削
減が図られ、コスト面において顕著な効果が得られる。
また、生成された抽出液は、内部通路の下流側端部から
抽出液取出口を介して連続的に取り出される一方、スク
リューコンベアにより移送されて上流側端部に至った原
料の粕は、粕排出口を介して連続的に外方に排出される
こととなり、原料の投入作業、温水の供給作業、抽出液
の取出作業、粕の排出作業を、全て自動的且つ連続的に
行うことが可能となり、作業能率の飛躍的な向上が図ら
れることとなる。

【００１５】また、請求項２に記載のコーヒー及び茶類
等の自動連続濃厚抽出装置によれば、スクリューコンベ
アにおけるスクリュー羽根の外周部に切欠溝を形成した
から、当該スクリュー羽根とケーシング内面との隙間を
極めて小さくした場合であっても、抽出液は逆流するこ
となく切欠溝を通過して円滑に取出口に至ることとな
り、原料の移送を確実に行うことを確保した上で、抽出
液の流通ひいては取出を良好に行うことが可能となる。

【００１６】更に、請求項３に記載のコーヒー及び茶類
等の自動連続濃厚抽出装置によれば、抽出液取出口に、
ウェッジワイヤを使用してなる特殊スクリーンと掻取羽
根とからなる目詰防止手段を配備したから、取出口周辺
に残留している原料を掻取羽根がウェッジワイヤの鋭角
部で分断して下方に落下させることにより、抽出液の流
れを阻害することはなくなり、これにより円滑な抽出液
の取出を継続して維持できることになる。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明に係るコーヒー及び茶類等の自動連続濃
厚抽出装置の全体構成を示す概略側面図である。

【図２】上記自動連続濃厚抽出装置の内部状態を示す拡
大縦断正面図である。

【図３】上記自動連続濃厚抽出装置の内部状態を示す拡
大縦断側面図である。

【図４】目詰防止手段を示す要部拡大正面図である。

【符号の説明】

１ コーヒー及び茶類等の自動連続濃厚抽出装置 ２ 内部通路 ３ ケーシング ４ 原料供給手段（ホッパー） ６ 温水供給手段（給湯口） ７ スクリューコンベア 7a スクリュー羽根 ８ 抽出液取出口 ９ 掻取羽根 10 特殊スクリーン 11 目詰防止手段 12 粕排出口 21 切欠溝 23 ウェッジワイヤ

Claims (3)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 所定角度傾斜する内部通路を有してなる
   ケーシングと、該内部通路の下流側に連通する原料供給
   手段と、該内部通路の上流側に連通する温水供給手段
   と、該内部通路に沿って配設され且つその回転により原
   料を下流側から上流側に移送するスクリューコンベアと
   を具備し、前記原料と温水との接触により生成された抽
   出液を内部通路の下流側端部から取り出す抽出液取出口
   を設けると共に、前記移送された原料の粕を内部通路の
   上流側端部から排出させる粕排出口を設けたことを特徴
   とするコーヒー及び茶類等の自動連続濃厚抽出装置。
2. 【請求項２】 スクリューコンベアの構成要素であるス
   クリュー羽根の外周部に、抽出液逆流防止用の切欠溝を
   形成したことを特徴とする請求項１に記載のコーヒー及
   び茶類等の自動連続濃厚抽出装置。
3. 【請求項３】 ウェッジワイヤを使用してなる特殊スク
   リーンと、回転する掻取羽根とから構成された目詰防止
   手段を、抽出液取出口に配備したことを特徴とする請求
   項１又は２に記載のコーヒー及び茶類等の自動連続濃厚
   抽出装置。