JPH05291609A - 光半導体装置 - Google Patents

光半導体装置

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JPH05291609A
JPH05291609A JP4085315A JP8531592A JPH05291609A JP H05291609 A JPH05291609 A JP H05291609A JP 4085315 A JP4085315 A JP 4085315A JP 8531592 A JP8531592 A JP 8531592A JP H05291609 A JPH05291609 A JP H05291609A
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layer
multiplication
semiconductor device
electric field
optical semiconductor
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JP4085315A
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English (en)
Inventor
Shoichi Hanatani
昌一 花谷
Hitoshi Nakamura
均 中村
Shigehisa Tanaka
滋久 田中
Koji Ishida
宏司 石田
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Hitachi Ltd
Original Assignee
Hitachi Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 Gbit/s帯光ファイバ伝送システム、光
信号処理システム等に用いる高速動作可能な増倍率範囲
の広い、特に低増倍率時でも高速動作可能な光半導体装
置を提供する。 【構成】 増倍層と光吸収層の間に挿入する電界緩和層
を、高電界側は増倍層と、超格子増倍層の場合は障壁層
と同一乃至は同等のエネルギ−ギャップを持つ材料で、
低電界側を光吸収層と同一乃至は同等のエネルギ−ギャ
ップを持つ材料で形成する。 【効果】 光吸収層と電界緩和層との界面でのパイルア
ップの問題がなくなるので、電界分布設計の自由度が大
きくなり、その結果、増倍率1からでも高速動作が可能
な光半導体装置が歩留まり良く作製できる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、光ファイバ伝送システ
ム、光信号処理システム等において、光信号を電気信号
に変換する光半導体装置に関する。
【0002】
【従来の技術】光ファイバ伝送システムにおいて、光受
信部で光電変換する受光素子には受信感度向上のために
電子又はホ−ルの衝突イオン化により素子自身にキャリ
アの増倍作用を持つ雪崩降伏ホトダイオ−ド(Avalanche
Photodiode、以下APDと略す)が一般に用いられる。
近年急速に進展するこの光ファイバ伝送システムの大容
量化の研究開発は10Gb/s領域にまで及び、これに伴い、
APDの高性能(高速・低雑音)化の研究開発が一層活発
になっている。APDの高性能化のためには、電子によ
るイオン化率(α)とホ−ルによるイオン化率(β)が
違うほど、即ち高イオン化率比k(=α/β)であるこ
とが必要である。このために、従来のInP系を増倍層と
するInGaAs/InP-APDに替わり、InAlAs/InGaAs超格子
構造を増倍層に用いた所謂超格子APDが注目されてい
る。即ち、超格子ヘテロ界面のエネルギ−差を利用し
て、キャリアの一方特にInAlAs/InGaAs系では電子の衝
突イオン化を選択的に起こし高効率な増倍作用を得るこ
とにより、従来のバルク結晶材料では得られなかった高
イオン化率比を達成し、高速・低雑音動作が期待でき
る。
【0003】花谷等は(花谷その他:’裏面光入射型S
AM構造InAlAs/InGaAs超格子APD’1991年電子情報
通信学会秋季全国大会C−109)、InAlAs/InGaAs超
格子構造を増倍層に用いた超格子APDを試作し、増倍
率6で遮断周波数9。5GHz、利得帯域幅積(以下GB積
と略す)90GHzの高速特性を得ている。第2図にこの
従来例の超格子APDの素子断面構造図を示す。従来例
は以下の手法により作製される。すなわち、APD15
は、分子線エピタキシ−法(Molecular Beam Epitaxy :
以下MBE法と略す)によりn+-InP基板2上にSiド−
プn+-InAlAs層3(不純物濃度2×1018/cm3,厚み0.7
μm)、ノンド−プInAlAs/InGaAs超格子増倍層4(障壁
層厚=15nm、井戸層厚=5nm、15周期)、p-InAlAs電界
緩和層5(不純物濃度〜1.7×1017/cm3,厚み0.2μ
m)、p--InGaAs光吸収層7(不純物濃度4×1015/c
m3,厚み1.2μm)、Beド−プp+-InAlAs層8(不純物濃
度2×1018/cm3,厚み1.0μm)、p+-InGaAsコンタク
ト層9(不純物濃度6×101 9/cm3,厚み0.1μm)、を
順次連続成長させた後、Br系エッチング液でメサエッチ
する。次に素子の絶縁保護としてポリイミド膜10を図
のように設けた後、Au/Pt/Ti金属多層膜でp電極11
と、n電極12を設け、さらに基板裏面にSiNx反射
防止膜13を設けることによりAPD15が形成され
る。電極11、12を介して逆バイアス状態に印加した
APD15は、入射光信号14をInGaAs光吸収層7で電
気信号に変換し、これにより生成された電子をInAlAs/I
nGaAs超格子増倍層4に注入し、前述のように電子の選
択的な高効率増倍作用により高速特性を得た。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】上記従来技術におい
て、第3図の電圧−電流特性に示すように光感度が立ち
上がるバイアス電圧(この場合、約24V)では、既に
超格子増倍層でアバランシェ増倍が起り、増倍率約5の
利得を得ている。この特性は高周波特性でさらに顕著に
なり、第4図に示す高速応答性を表す3dB帯域幅の増
倍率依存性では、高速応答可能な最小増倍率は約6で、
例えば10Gbit/s光伝送で必要最小限と考えられる8
GHz以上の帯域幅を持つ増倍率範囲は6から12程度
しかないことがわかる。即ち、従来例は高速動作可能な
増倍率可変範囲が狭いことがわかる。このことは、光伝
送システムの光受信系で本従来例を適用する場合、増倍
率6の高利得状態からでないと使用可能でないことを意
味し、その結果、光受信器の光入力パワ−に対するダイ
ナミックレンジが小さくなる。即ち、光受信器へ光入力
パワ−が大きくなった場合、受信器の等化増幅部の線形
性を維持し最終出力を一定振幅にするために行う増幅器
の利得やAPDの増倍率の調整する(自動利得制御:A
GCと略す)範囲が狭まり、適用可能な伝送距離の自由
度が小さくなるという問題点が生じる。
【0005】さらに光感度は立上り後、かなり急激に増
倍を上げていく動作をして、バイアス電圧に対し一定の
感度を保つ範囲がほとんどない。したがって、上で述べ
たようにAGCを行いAPDの増倍率下げていった場
合、APDへのバイアス電圧制御が不安定になる等、制
御回路をより複雑にしなければならない問題が生じる。
【0006】このような問題点は主にp-InAlAs電界緩和
層5に起因している。p-InAlAs電界緩和層5はエネルギ
−ギャップが1.5eV程度とかなり大きいため、この
電界緩和層での1)アバランシェ及びトンネル増倍を抑
圧し高GB積化、2)トンネル電流等の暗電流を抑圧し
低暗電流化が可能になるという利点を持っている。しか
し、このワイドギャップのために次の様な問題点があ
る。即ち、p-InAlAs電界緩和層5とp--InGaAs光吸収層
7とのヘテロ界面での電子のパイルアップによる高速応
答性の劣化である。このパイルアップを抑圧するにはヘ
テロ界面の電界強度を80kV/cm以上に設定する必要が
ある。一方、高速・低雑音特性を得るためにはp--InGaA
s光吸収層7内でのアバランシェ及びトンネル増倍を完
全に抑圧する必要があり、このためにはInGaAs光吸収層
7にかかる最大電界強度を150kV/cm以下に抑えなけ
ればならない。したがって、本従来例が高速動作を維持
して増倍調整可能な電界変動幅は理想的に考えても高々
70kV/cm程度しかないことがわかる。超格子増倍層で
増倍率が1から20程度まで変化させるのに必要な電界
変化がおよそ70〜100kV/cm程度であること、電界
分布を設計通りに実現するにはp-InAlAs電界緩和層5の
不純物濃度を設計値に対し0.5%以内という現状の結
晶成長技術では到底制御不可能な範囲に納めなければな
らないことを考慮すると、電界分布が設計値からずれ、
上記の様な増倍率のダイナミックレンジが狭くなるとい
う問題点が生じていることが容易に推測できる。電界分
布が設計値からずれた従来例の動作は第5図を使って説
明することができる。APD15に逆バイアス電圧を印
加していき、(a)のようにpn接合近辺の超格子増倍
層4の電界強度が増倍開始するまでに達しても光吸収層
7は完全に空乏化していないために光感度を得ることが
出来ない。さらに逆バイアス電圧を印加していき、
(b)のように光吸収層7が完全に空乏化した時には既
に超格子増倍層でアバランシェ増倍が起っている。この
ような動作のために上記の様な問題点が生じた。これら
のことから、素子特性の劣化、バラツキの他に素子作製
時における歩留まり低下等の問題点もあることがわか
る。この問題点の解決する手段の一つに光吸収層の高純
度化が容易に考えられる。本従来例では4×1015/cm3
を達成しているが、今後その半分程度までの高純度化は
可能である。しかしこの程度では例えば電界緩和層の不
純物濃度の制御精度が高々1%程度のバラツキが許容さ
れるものでしかなく本質的な改善は得られない。
【0007】本発明の目的は不純物濃度の制御精度に起
因する上記従来技術の問題点である高速動作可能な増倍
率ダイナミックレンジが狭いこと、特性バラツキが大き
いこと、歩留まりが低下すること等を解決する構造を提
案することである。
【0008】
【課題を解決するための手段】上記目的は以下の手段に
より達成される。即ち、増倍層と光吸収層の間に設ける
電界分布を規定する高濃度電界緩和層を(1)増倍層
(超格子増倍層の場合は障壁層)の組成から光吸収層の
組成までグレ−デッドに変化させた4元半導体層にす
る、(2)増倍層(超格子増倍層の場合は障壁層)から
始まり、順次バンドギャップの狭い4元材料系を数層重
ね、最後は光吸収層と同一材料にする、(3)増倍層
(超格子増倍層の場合は障壁層)と光吸収層に用いる2
種類の半導体材料を積層する、(4)ミニバンドの様な
結合量子井戸を生じる超格子構造にして、等価的にバン
ドギャップが増倍層(超格子増倍層の場合は障壁層)と
一致するレベルから光吸収層のものへ変化させる。これ
らの解決手段は、電界緩和層がワイドバンドギャップで
あるために得られる効果、即ち低暗電流、増倍現象の抑
圧を維持し、且つ光吸収層とヘテロ界面で生じるパイル
アップによる高速応答劣化の問題からくる電界緩和層へ
の不純物濃度の高精度な制御性を緩和できるものであ
る。
【0009】図9に(1)の手段を用いた場合の模式的
なエネルギ−準位を示す。図からわかるように光吸収層
と電界緩和層との間に急峻なヘテロ界面がなくなり、こ
のためにこのヘテロ界面でのパイルアップの問題は無く
なっている。増倍層が増倍開始電界に達した時、光吸収
層の不純物濃度が4×1015/cm3の場合で光吸収層と電
界緩和層との間の電界は50kV/cm程度、2×1015/cm
3の場合で25kV/cm程度にまで下げて設定しても増倍率
1から高速応答が可能である。この結果、不純物濃度の
制御精度が5%程度まで許容範囲となり現状の結晶成長
技術においても実現可能になる。より高電界状態となる
増倍層に近い部分ほどエネルギ−ギャップの広い組成に
なっているために、暗電流、増倍を抑圧することができ
る。
【0010】図10は(2)の手段を用いた場合の模式
的なエネルギ−準位である。(2)とは違って各ヘテロ
界面の伝導帯、価電子帯毎に離散的なエネルギ−差が生
じているが、増倍層へ電子注入する場合は、その伝導帯
エネルギ−差を0.2eV以下に、増倍層へホ−ル注入
する場合は、その価電子帯エネルギ−差を0.1eV以
下になるように組成を決定すればパイルアップの問題は
無視できる。このことに留意すれば(1)同様の効果が
得られる。
【0011】図11は(3)の手段を用いた場合の模式
的なエネルギ−準位である。この手段は新たな材料を用
いないで実現可能な最も簡便なものである。この手段の
ポイントはバンドギャップの狭い光吸収層でも暗電流の
増加を無視でき且つ増倍が起こらない程度(衝突イオン
化平均距離に比べ十分短い)まで薄ければ、電界緩和層
に導入できるという点である。この手段を用いた実施例
を後述する。
【0012】図12は(4)の手段を用いた場合の模式
的なエネルギ−準位である。MBE法等を用いて数十n
m以下の2種類の半導体材料を交互に積層し、ミニバン
ドのような結合量子井戸構造を形成することにより等価
的に手段(1、2)のようなエネルギ−準位を実現する
ことができる。これにより(1、2)同様の効果を得ら
れる。
【0013】したがって、以上述べた手段により暗電流
の増加や電界緩和層の増倍の抑圧し、前述のような不純
物濃度バラツキによる増倍率のダイナミックレンジ低
下、特性バラツキ、歩留まり低下等の問題がなくなる。
【0014】
【作用】本発明の方法では、増倍層に近い高電界側には
エネルギ−ギャップの広い材料を、光吸収層に近い低電
界側にエネルギ−ギャップの狭い材料を選択して4元半
導体系、増倍層と光吸収層の組合せ等を用いて電界緩和
層を形成し、光吸収層と電界緩和層の界面電界強度を従
来の半分程度まで下げることができるので、増倍率1か
ら高速応答可能なAPDが得られ、且つ特性のバラツキ
が無くなり、歩留まりが向上する。上記の手段は固体ソ
−ス又はガスソ−スMBE法により容易に実現可能であ
る。
【0015】
【実施例】以下、図1に示す本発明の一実施例を説明を
する。第1図は本発明による超格子APDの構造断面図
である。本発明の実施例1の製法には固体ソ−スのMB
E法を用いた。成長温度、砒素圧、燐圧はそれぞれ50
0℃、1×10−5Torr、8×10−5Torrとした。n+-I
nP基板2(不純物濃度2×1018/cm3,厚み400μ
m)上に成長する半導体層は基板に対し0.02%以内
の精度で格子整合させた。成長手順は以下のとおりであ
る。まず、n+-InP基板2上にSiド−プn+-InAlAs層3
(不純物濃度2×1018/cm3,厚み0.7μm)、ノン
ド−プInAlAs/InGaAs超格子増倍層4(障壁層厚=15n
m、井戸層厚=5nm、11周期)、p-InAlAs電界緩和層5
(不純物濃度〜3.8×1017/cm3,厚み0.09μ
m)、p-InGaAs電界緩和層6(不純物濃度〜3.8×1
17/cm3,厚み0.01μm)p--InGaAs光吸収層7(不
純物濃度3×1015/cm3,厚み1.0μm)、Beド−プp
+-InAlAs層8(不純物濃度2×1018/cm3,厚み1.0
μm)、p+-InGaAsコンタクト層9(不純物濃度6×10
19/cm3,厚み0.1μm)を順次連続成長し超格子AP
D用半導体積層構造を形成した。メサエッチングにはB
r系のウェットエッチングを用い、受光径30μmφと
した。ポリイミド膜10を図1のように設け、素子の絶
縁保護化、平面化、寄生容量の低減化を行った。p電極
11には電子ビ−ムを用いた真空蒸着法により形成した
Ti/Pt/Au膜を、n電極12には抵抗線加熱方式の真空蒸
着法によりAuGe/Ni/Au膜を用いた。更に光入力部となる
n基板2の裏面側にSiNx反射防止膜13を設け、基板裏
面での反射による量子効率の低下を防止した。
【0016】次に本素子の特性について述べる。図7は
本素子の電圧−電流特性を示す。図からわかるように本
素子の降伏電圧は32V、増倍率10でのバイアス電圧
時の暗電流は約2μAであった。この暗電流の増加は従
来例の超格子増倍層厚0.3μmから本素子では0.2
35μmと薄くしたために所定の増倍を得るための超格
子内の電界が高くなったからである。これは超格子増倍
層厚0.235μmで従来例と同一の電界緩和層を持つ
素子を試作し、ほぼ同程度の暗電流が得られたことから
わかる。波長1.55μm光に対する光応答は、従来例
と違いほぼ増倍率1で光感度が立ち上がっており、本発
明の効果が出ていることがわかる。図6にこの時の本発
明の超格子APDの電界分布を分布を示す。超格子増倍
層の電界強度は増倍を開始する直前にあり、光吸収層は
既に空乏化していて増倍率1を実現している。光吸収層
と電界緩和層の界面の電界強度はパイルアップが無視で
きる電界強度より低いが実際の問題となるヘテロ界面は
電界緩和層内あり、そこの電界強度は既にパイルアップ
を無視できる電界より上にある。このため増倍率1でも
高速応答が期待できる。更に図5(b)と比較して光吸
収層が増倍を起こすまでの電界幅が大きくなり、広ダイ
ナミックレンジも期待できる。量子効率は約72%であ
る。最大増倍率は容易に50以上が得られ、これは電界
緩和層にバンドギャップの狭い材料を使用したことによ
る素子特性の劣化は起きていないことを示す。雑音測定
より求めたイオン化率比は超格子構造の効果が十分出て
5以上が得られた。
【0017】図8に本素子の3dB帯域幅の増倍率依存
性を示す。ほぼ増倍率1から高速応答特性が得られ、こ
の時に最大3dB帯域幅約16GHzを得た。帯域幅が
従来例より延びたのは光吸収層を1.2から1.0μm
へと、電界緩和層を0.2から0.1μmへと薄くした
ためによりキャリアの走行時間が短縮された効果と受光
径を50から30μmφへと小さくし、素子容量を低減
したためにCR時定数が小さくなった効果とによる。得
られたGB積は110GHzと今までの長波長帯光通信
用のAPD中では最高値である。これは超格子増倍層厚
を0.235μmと今までに報告された超格子APDの
中でもっとも薄くしたためである。この結果、10GH
z以上の3dB帯域幅を持つ増倍率のダイナミックレン
ジは1から11までと大幅に拡大された。このため、本
素子を光受信器に組み込んだ場合、本素子の増倍率を調
整するだけで10dB以上の光入力に対するダイナミッ
クレンジが得られることになり、電子回路で達成しうる
分を考慮すると光受信器として実用上求められる20d
B以上のダイナミックレンジを達成することが可能にな
る。 又、本素子の特性バラツキ、歩留まりについて述
べる。従来は同一素子仕様のウエハを数枚製作し、その
中で最も設計値に近いものが一枚程度得られる状況であ
ったのに対し、本発明では不純物濃度のバラツキを考慮
して数多くウエハを製作する必要はほとんど無く2枚程
度のウエハで十分である。
【0018】図13は本発明によるもう一つの実施例を
示す超格子APD16の素子断面構造図である。電界緩
和層17がInAlAs/InGaAsの結合量子井戸構造の超格子
になっている以外は構造的には図1に示した実施例と同
一であるので超格子電界緩和層についてのみ述べる。超
格子電界緩和層17の構造は障壁層幅を3nmと一定に
し、井戸層幅を超格子増倍層側から5nmとして光吸収
層側へ5nmずつ増やし10、15、20、25、30
nmの6周期構造とした。このため電界緩和層の厚みは
0.123μmとなった。先に述べた実施例とほとんど
同じように設計製作したので暗電流や増倍特性はほとん
ど一緒のものが得られた。最大3dB帯域幅が15GH
zと少し劣化した以外、GB積も110GHzが得られ
た。3dB帯域幅の劣化は電界緩和層17の厚みが若干
増えたためと結合量子井戸内のキャリア走行速度はバル
ク結晶に比べ遅いためと考えられる。
【0019】
【発明の効果】本発明によれば、増倍層と光吸収層との
間に挿入する電界緩和層を、増倍層に近い高電界側には
エネルギ−ギャップの広い材料を、光吸収層に近い低電
界側にエネルギ−ギャップの狭い材料を選択するように
したグレ−デット又は多層4元半導体系、増倍層と光吸
収層の2種類だけ組合せ、結合量子井戸構造等で形成す
ることにより、光吸収層と電界緩和層の界面電界強度を
従来の半分程度まで下げることができる。その結果、増
倍率1から高速応答可能なAPDが得られ、且つ高速応
答可能な増倍率のダイナミックレンジが10dB以上を
達成できる。さらに結晶成長時の注入不純物濃度の制御
精度に関する制約が従来に比べ数倍緩くなるために素子
特性の仕上りバラツキが無くなり、歩留まりが向上して
コスト低減が実現できる。。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施例素子断面構造図。
【図2】従来例の光半導体素子の断面図。
【図3】従来例の電圧電流特性。
【図4】従来例の3dB帯域幅の増倍率依存性。
【図5】従来例の電界分布。
【図6】本発明の一実施例の電界分布。
【図7】本発明の一実施例の電圧電流特性。
【図8】本発明の一実施例の3dB帯域幅の増倍率依存
性。
【図9】本発明の手段の一つを示すエネルギ−準位図。
【図10】本発明の手段のもう一つを示すエネルギ−準
位図。
【図11】本発明の三番目の手段を示すエネルギ−準位
図。
【図12】本発明の四番目の手段を示すエネルギ−準位
図。
【図13】本発明のもう一つの実施例の素子断面構造
図。
【符号の説明】
1・・・ 本発明の実施例、2・・・ n−InP基板、3・・・
n−InAlAs層、4・・・ InAlAs/InGaA
s超格子増倍層、5・・・ p−InAlAs電界緩和層、
6・・・ p−InGaAs電界緩和層、7・・・ p−−In
GaAs光吸収層、8・・・ p−InAlAs層、9・・・
p−InGaAsコンタクト層、10・・・ ポリイミド埋
め込み層、11・・・ p−電極、12・・・ n−電極、13
・・・ SiNx反射防止膜、14・・・ 入力光信号、15・・
・ 従来例、16・・・ 本発明のもう一つの実施例、17・・
・ 超格子構造電界緩和層。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 石田 宏司 東京都国分寺市東恋ケ窪1丁目280番地 株式会社日立製作所中央研究所内

Claims (11)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】半導体基板、該半導体基板上に格子整合す
    る化合物半導体を積層して光吸収層、増倍層、光吸収層
    と増倍層の間に挿入される電界緩和層を構成要素とする
    光半導体受光装置において、該電界緩和層のエネルギ−
    ギャップが増倍層側では、増倍層のエネルギ−ギャップ
    と、超格子増倍層の場合には障壁層と一致し、光吸収層
    側では光吸収層のエネルギ−ギャップと一致することを
    特徴とする光半導体装置。
  2. 【請求項2】請求項1に記載の光半導体装置において、
    該電界緩和層の組成が増倍層側では、増倍層の組成と、
    超格子増倍層の場合は障壁層と一致し、光吸収層側では
    光吸収層の組成と一致するようにグレ−デッドに変化さ
    せた多元系半導体材料で形成することを特徴とする光半
    導体装置。
  3. 【請求項3】請求項1に記載の光半導体装置において、
    該電界緩和層を増倍層側では、増倍層から、超格子増倍
    層の場合は障壁層から始まり、順次バンドギャップが狭
    くなっていく多元系半導体材料が数層続いた後、光吸収
    層側で光吸収層と同一材料になるように形成することを
    特徴とする光半導体装置。
  4. 【請求項4】請求項1に記載の光半導体装置において、
    該電界緩和層を増倍層側では、増倍層の、超格子増倍層
    の場合は障壁層の、光吸収層側では光吸収層の2種類の
    半導体で形成することを特徴とする光半導体装置。
  5. 【請求項5】請求項1に記載の光半導体装置において、
    該電界緩和層を結合量子井戸構造にしてバンドギャップ
    を増倍層側では増倍層の、超格子増倍層の場合は障壁層
    のバンドギャップと同程度に、光吸収層側では光吸収層
    のバンドギャップと同程度にしたことを特徴とする光半
    導体装置。
  6. 【請求項6】請求項1、2、3、4又は5に記載の光半
    導体装置において、該半導体基板をInP基板、該超格子
    増倍層の障壁層をInAlAs層、該光吸収層をInGaAs層とす
    ることを特徴とする光半導体装置。
  7. 【請求項7】請求項6に記載の光半導体装置において、
    該超格子増倍層の井戸層をInGaAs層とすることを特徴と
    する光半導体装置。
  8. 【請求項8】請求項5に記載の光半導体装置において、
    該結合量子井戸構造の電界緩和層の障壁層をInAlAsに、
    井戸層をInGaAsにしたことを特徴とする光半導体装置。
  9. 【請求項9】請求項5又は8に記載の光半導体装置にお
    いて、該電界緩和層の結合量子井戸構造を障壁層幅を一
    定にし、井戸層幅を該増倍層側から該光吸収層側に行く
    に従い広くしたことを特徴とする光半導体装置。
  10. 【請求項10】請求項4に記載の光半導体装置におい
    て、該電界緩和層に用いる該光吸収層と同一の半導体層
    の厚みを0.05μm以下にしたことを特徴とする光半
    導体装置。
  11. 【請求項11】請求項1、2、3、4、5、6、7、8
    又は9に記載の光半導体装置を使用することを特徴とす
    る光フロントエンド、光受信システム。
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