JPH0528962A - 低圧水銀蒸気放電灯 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】アマルガム支持片から飛散しようとする始動用
アマルガム形成金属がバルブ壁の内面に付着するのを防
止し、長期に亘り始動時の光束立上り時間を短縮するこ
とができる低圧水銀蒸気放電灯を提供するものである。 【構成】発光管バルブ１の端部に一対のリード線６を貫
通し、これらリード線６の内部端部に電極７を取付け、
この電極７の近傍に始動用アマルガム１２を設けた水銀
蒸気放電灯において、上記一対のリード線に互いに対面
するようにアマルガム支持片１３を取付け、これらアマ
ルガム支持片１３の互いに対向する面の少なくとも一面
に始動用アマルガム形成金属１４を設けたことを特徴と
する。 【作用】アマルガム形成金属が飛散しようとしてもアマ
ルガム支持片で囲まれているため、バルブの壁に付着す
るのが軽減される。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明は、始動時における管内の
水銀蒸気圧の立上がりを始動用アマルガムで早めるよう
にした低圧水銀蒸気放電灯に関する。

【０００２】

【従来の技術】低圧水銀蒸気放電灯の代表として知られ
ているけい光ランプは、一般に高い入力を与えたり、バ
ルブ径を細くしたり、外囲器で囲むなどの構成を採用す
ると、管壁負荷が高くなったり、放熱が不十分となり、
バルブの温度が上昇する。このため、従来のように純水
銀を水銀蒸気供給源として使用した場合には、バルブ内
の水銀蒸気圧が最適値を上回り、光束が低下するなどの
不具合が発生する。

【０００３】これに対し、けい光ランプを上記のような
温度的に厳しい条件下で点灯させる場合は、純水銀に代
わってアマルガムを使用すると水銀蒸気圧が適正な範囲
に制御されることが知られている。

【０００４】ところが、アマルガムにより水銀蒸気圧を
制御する方法は、アマルガムの蒸気圧が純水銀の蒸気圧
より低いという特性を利用するものであるから、始動時
のように、けい光ランプの周囲温度が低くしかもアマル
ガム自身の温度も低い状況のもとでは、アマルガムの温
度がその動作に最も適した温度に迅速に達せず、水銀を
放出する速度が緩慢となってしまう。この結果、光束の
立上がり特性に劣り、安定状態に達するまで時間がかか
り、始動性が劣る不具合が生じる。

【０００５】このようなことから、従来、特願昭５９−
７３９７３号に記載されている通り、定常点灯時に水銀
蒸気圧を制御する主アマルガムの他に、消灯時に管内の
浮遊水銀を吸着しかつ始動時を含む点灯初期に上記吸着
した水銀を放出する始動用のアマルガムを使用すること
が提案されている。

【０００６】上記の提案においては、内面にけい光体被
膜を形成した発光管バルブの端部にそれぞれステムを取
付けるとともに、これらステムに電極を装着し、かつこ
のステムには細管を突設し、この細管内に主アマルガム
を収容するとともに、一方のリ−ド線に始動用アマルガ
ムを取付けてある。

【０００７】上記始動用アマルガムは、一般にステンレ
スやニッケルなどの通常の金属、あるいはモリブデン、
タンタルもしくはニオブなどからなる高融点金属からな
るアマルガム支持片をリ−ド線に溶接し、この支持片の
一側面または両面にインジウムＩｎからなるアマルガム
形成金属をメッキや蒸着などの手段で付着した構造が採
用されている。

【０００８】このような構成においては、ランプを消灯
した時、放電空間内の水銀が始動用アマルガムに集まっ
てこの始動用アマルガムに捕獲され、次ぎに始動する
時、電極からの熱を受けて上記始動用アマルガムに捕獲
された水銀が瞬時に蒸発され、放電空間に速やかに拡散
され、点灯直後のアマルガム不足を補い、したがって水
銀の蒸発を促して蒸気圧を高めるので、光束の立上がり
が早くなる。

【０００９】

【発明が解決しようとする課題】しかしながら、このよ
うな始動用アマルガム形成金属、つまりインジウムは、
点灯時間の経過や点滅回数が増えるにつれて熱衝撃やイ
オン衝撃を受けてアマルガム支持片から飛散し、バルブ
壁の内面に付着する。このような状態になると、ランプ
消灯にアマルガム支持片に水銀が集まらなくなり、バル
ブ壁に付着しているインジウムに水銀が集まってしま
う。

【００１０】バルブ壁は電極から遠いので、再び点灯さ
せる場合はバルブ壁に集まっている水銀が電極からの熱
を受け難く、水銀の蒸発が遅くなり、したがって水銀蒸
気圧の上昇が遅くなって光束の立上がりも遅れる。

【００１１】つまり、このような状態は、始動用アマル
ガムを設ける初期の目的を達成できず、始動用アマルガ
ムを設けない場合と同様な始動特性になってしまう不具
合がある。

【００１２】本発明はこのような事情にもとづきなされ
たもので、その目的とするところは、アマルガム支持片
から飛散する始動用アマルガム形成金属がバルブ壁の内
面に付着するのを防止し、長期に亘り始動時の光束立上
り時間を短縮することができる低圧水銀蒸気放電灯を提
供しようとするものである。

【００１３】

【課題を解決するための手段】本発明は、発光管バルブ
の端部に一対のリード線を貫通し、これらリード線の内
部端部に電極を取付け、この電極の近傍に始動用アマル
ガムを設けた水銀蒸気放電灯において、上記一対のリー
ド線に互いに対面するようにアマルガム支持片を取付
け、これらアマルガム支持片の互いに対向する面の少な
くとも一面に始動用アマルガム形成金属を設けたことを
特徴とする。

【００１４】

【作用】本発明によると、始動用アマルガム形成金属を
アマルガム支持片の互いに対向する面のうちの少なくと
も一面に取着したので、アマルガム形成金属が飛散しよ
うとしてもアマルガム支持片で囲まれているため、いづ
れかのかアマルガム支持片の内面に付着して、バルブの
壁に付着するのが軽減される。したがって、ランプを消
灯した場合はアマルガム支持片の内面に水銀が集まり、
点灯時には電極からの熱を素早く受けるので水銀が蒸発
され、光束の立上りが良くなる。

【００１５】

【実施例）】以下本発明について、図示の一実施例にも
とづき説明する。

【００１６】図３は屈曲形けい光ランプの斜視図であ
り、図中１は発光管バルブである。このバルブ１は、ガ
ラスチューブをＵ字形に屈曲して構成されており、内面
にはけい光体被膜２が形成されている。

【００１７】また、このバルブ１の外面には、少なくと
も図３の一点鎖線で示すよりも端部領域に、好ましくは
全体に亘り紫外線遮断膜３が形成されている。紫外線遮
断膜３は、多層金属酸化膜などのような光干渉膜によっ
て形成することができる。このバルブ１の両端はそれぞ
れで電極マウント４、４が封装されている。これらマウ
ント４、４については後で説明する。このようなバルブ
１は口金２０に取付けられている。口金２０は、それぞ
れ合成樹脂からなる口金ベ−ス２１と口金キャップ２２
を接合して構成され、口金ベ−ス２１には口金ピン２３
…が突設されている。

【００１８】口金キャップ２２には図４に示すように、
挿入孔２４、２４が形成されており、上記バルブ１の両
端部はこの挿入孔２４、２４に挿入され、口金キャップ
２２の内側に充填したシリコンなどの接着剤２５により
口金キャップ２２に接合されている。上記電極マウント
４について、図１および図２にもとづき説明する。

【００１９】電極マウント４はバルブ１の開口端を封止
したフレアステム５と、このステム５に気密に貫通され
た一対のリ―ド線６，６と、これらリ―ド線６，６の先
端間に架設されたコイルフィラメント７とで構成されて
いる。なお、フィラメント７には図示しないエミッタが
塗布されている。

【００２０】バルブ１の少なくとも一端側のステム５に
は、主アマルガム収容用の細管８が接続されており、こ
れら細管８はバルブの最冷部となるように外に向かって
突出されている。これら細管８はステム５の一側面に開
口した通孔９を介してバルブ１内の放電空間に連通して
いる。

【００２１】上記細管８には主アマルガム１０が収容さ
れている。この主アマルガム１０は、インジウム、ビス
マス、スズ、鉛およびこれらの金属を適当に混合させた
合金に水銀を加えて構成されている。

【００２２】なお、この主アマルガム１０は細管８の内
面に付着されている。すなわち、主アマルガム１０は水
銀の蒸気圧を制御するものであるから所定の温度に保た
れなければならず、細管８内で移動すると温度変化して
しまい、蒸気圧が変動する不具合がある。このため主ア
マルガム１０は細管８の内面の所定位置に固定すること
が必要である。本実施例においては、主アマルガム１０
を略球状の塊にして細管８に収容し、この細管８を封止
した後、外部からヒ−タ等を用いて加熱をすることによ
り主アマルガム１０を溶かして細管８の内面に溶着させ
てある。

【００２３】ステム５を貫通した一対のリ−ド線６、６
には、始動用アマルガム１２、１２が接合されている。
始動用アマルガム１２は、ステンレスまたはニッケルな
どの金属片、あるいはモリブデン、タンタルもしくはニ
オブなどからなる高融点金属片のからなるアマルガム支
持片１３、１３の一面にインジウムなどのアマルガム形
成金属１４、１４をメッキもしくは蒸着などにより被着
したものであり、上記アマルガム支持片１３、１３は上
記リ−ド線６、６に溶接されている。

【００２４】この場合、アマルガム支持片１３、１３は
短冊形をなし、それぞれ一端がフィラメント７に近接し
た位置でリ−ド線６、６に溶接されており、他端は互い
に離れて向かい合わされている。つまり、一対のアマル
ガム支持片１３、１３はそれぞれバルブ中心軸から偏心
されて互いに対面するように配置されている。

【００２５】これらアマルガム支持片１３、１３の互い
に向かい合う面には、少なくとも一方の面に、インジウ
ムなどのアマルガム形成金属１４、１４がメッキもしく
は蒸着などにより取付けられている。なお、バルブ１内
にはアルゴンなどの不活性ガスが封入されている。この
ように構成した屈曲形けい光ランプの作用について説明
する。

【００２６】ランプが消灯されている時には、周囲温度
が低いので管内の水銀は、電極マウント４，４近傍の始
動用アマルガム１２，１２およびバルブ１の一端に突設
した細管８に収容した主アマルガム１０に吸着されてい
る。したがって管内の水銀蒸気圧は低くなっている。

【００２７】ランプを消灯した直後は、浮遊水銀蒸気が
ステム５の通孔９から、温度の低い細管８内の主アマル
ガム１０に吸着されようとするが、主アマルガム１０に
向かって移動する過程で、放電空間と主アマルガム１０
との間の水銀蒸気の流れ途中に位置されている始動用ア
マルガム１２、１２に多く吸着される。

【００２８】そして、ランプを点灯させると、バルブ１
の両端部に設置したフィラメント７，７間でア―ク放電
が発生する。この時各フィラメント７，７の近傍に位置
してリ−ド線６，６に取付けられている始動用アマルガ
ム１２，１２は、それぞれフィラメント７，７からの輻
射熱によって加熱されるので、上記消灯時に吸着してい
た水銀を放出する。これにより放電路に水銀蒸気が迅速
に拡散され、放電路内の水銀蒸気圧が素早く上昇する。

【００２９】この場合、主アマルガム１０を備えたステ
ム５に取着された始動用アマルガム１２、１２は、上記
消灯時に多量の水銀を吸着しているから、この点灯初期
においてその吸着している水銀を短時間のうちに多量に
放出し、したがって放電路の水銀蒸気圧の上昇を促すの
で、光束立上がり時間が短縮される。

【００３０】このようにしてランプが安定点灯状態に達
し、上記始動用アマルガム１２，１２から放電空間内に
放出された水銀が過剰な場合は、温度の低い細管８に収
容されている主アマルガム１０が余剰水銀を吸着してバ
ルブ１内の水銀蒸気圧を最適な状態に制御する。

【００３１】このような作用をなす上記実施例のけい光
ランプにおいて、始動用アマルガム１２，１２が熱衝撃
やイオン衝撃を受けてアマルガム形成金属、つまりイン
ジウム１４、１４がアマルガム支持片１３、１３から飛
散しても、インジウム１４、１４は互いに対面するアマ
ルガム支持片１３、１３の内面側に取着されているので
この飛散はアマルガム支持片１３、１３の内側で生じ、
しかもこの内側は互いに対向するアマルガム支持片１
３、１３で囲まれているので、上記飛散したインジウム
１４、１４がバルブ壁の内面に付着することが防止され
る。このため、ランプ消灯に水銀はアマルガム支持片１
３、１３に確実に集まり、バルブ壁に付着することがな
くなる。

【００３２】よって、再び点灯させる場合はフィラメン
ト７に近接しているアマルガム支持片１３、１３がフィ
ラメントの熱を素早く受けて、水銀の蒸発を促し、水銀
蒸気圧の上昇が早く、光束の立上がりを迅速にする。こ
のようなことから、点灯時間が経過しても、また点滅回
数が多くなっても、始動時の光束立上り性能を良好に維
持することができる。なお、本実施例の場合、バルブ１
の外面には紫外線遮断膜３が形成されているので、紫外
線の放出を遮断し、被照射物の退色などの不具合を防止
する。

【００３３】特に、捕虫用けい光ランプの場合、けい光
体の選択により３５２nmの紫外線を強く出すように設定
されるので、被照射物の退色が進行し易く、また合成樹
脂からなる口金ベ−ス２１や口金キャップ２２が紫外線
劣化を生じ易い。しかし、バルブ１の外面に紫外線遮断
膜３を形成したので紫外線による上記の障害を防止する
ことができ、口金ベ−ス２１や口金キャップ２２の紫外
線劣化防止のためなら、バルブ１の端部のみに紫外線遮
断膜３を形成してもよい。なお、本発明は上記実施例に
制約されるものではない。

【００３４】すなわち、上記実施例の場合、Ｕ字形けい
光ランプについて説明したが、本発明はバルブの形状に
制約されるものではなく、直管形、環形、Ｗ字形、また
は２本のＵ字形バルブ、あるいは４本以上のＵ字形バル
ブを連結したもの、さらに鞍形けい光ランプなどであっ
ても実施可能である。また、本発明はバルブの内面にけ
い光体被膜を設けないランプや、外面に紫外線遮断膜を
設けないランプであっても実施可能である。さらに、本
発明は主アマルガムを用いないランプであってもよい。

【００３５】

【発明の効果】以上説明した通り本発明によると、始動
用アマルガム形成金属をアマルガム支持片の互いに対向
する面のうちの少なくとも一面に取着したので、アマル
ガム形成金属が飛散しようとしてもアマルガム支持片で
囲まれているため、いづれかのかアマルガム支持片の内
面に付着し、バルブの壁に付着するのが軽減される。し
たがって、ランプを消灯した場合はアマルガム支持片の
内面に水銀が集まり、点灯時には電極からの熱を素早く
受けるので水銀が蒸発され、光束の立上りが良くなる。
よって、長期に亘り始動時の光束立上り時間を短縮する
ことができる。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明の一実施例を示すけい光ランプの端部の
縦断面図。

【図２】同実施例のけい光ランプの端部の横断面図。

【図３】同実施例のけい光ランプ全体を示す斜視図。

【図４】同実施例のけい光ランプの口金連結部の断面
図。

【符号の説明】

１…発光管バルブ、２…けい光体被膜、３…紫外線遮断
膜、４…マウント、５…ステム、６…リ−ド線、７…フ
ィラメント、８…細管、１０…主アマルガム、１２…始
動用アマルガム、１３…アマルガム支持片、１４…アマ
ルガム形成金属。

Claims (1)

1. 【特許請求の範囲】 【請求項１】 発光管バルブの端部に一対のリード線を
   貫通し、これらリード線に内部端部に電極を取付け、こ
   の電極の近傍に始動用アマルガムを設けた水銀蒸気放電
   灯において、 上記一対のリード線に互いに対面するようにアマルガム
   支持片を取付け、これらアマルガム支持片の互いに対向
   する面の少なくとも一面に始動用アマルガム形成金属を
   設けたことを特徴とする低圧水銀蒸気放電灯。