JPH0216513Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】

〔考案の技術分野〕 本考案は水銀蒸気圧をアマルガムによつて制御
するようにした低圧水銀蒸気放電灯に関する。 〔考案の技術的背景とその問題点〕 一般にけい光ランプに代表される低圧水銀蒸気
放電灯では、管壁温度が40℃前後で、水銀蒸気圧
が約６×10^-3mmHgの時に、供給された電力を紫
外線に変換する効率が最高となるように設計され
ているので、例えばこのけい光ランプを電球形の
外囲器内に収容して点灯させると、周囲温度の上
昇に伴つて水銀蒸気圧が上記値を上回り、光出力
が低下する等の問題が生じる。 このようにけい光ランプを温度的に厳しい条件
下で点灯使用する場合には、けい光ランプ内の水
銀蒸気圧を、純水銀よりも蒸気圧の低いアマルガ
ムを用いて適正な範囲内に制御する方法が有効と
されている。 ところで、従来この種のアマルガムは、金網状
の基体を介してランプ端部のステム壁面に設置す
る場合が多いが、このアマルガムは温度によつて
固体と液体との共存状態に置かれるとともに、上
記場所は電極に近接しているため、アマルガムの
組成によつては点灯中溶け出して流出する不具合
があつた。 そこで、本考案者らはアマルガムを粒状の塊と
して、上記電極とは反対側に延びるステムの細管
内に設置することを試みている。 この場合、アマルガムは細管の封止以前にこの
細管の先端開口を通じて投入されるが、この際ア
マルガムがけい光ランプのパルプ内に脱落するの
を阻止するため、この細管の途中には通路形状が
絞られた絞り部を設けている。 ところが、通常一般的なけい光ランプの製造技
術では、この細管を利用してパルプ内の排気を行
うので、上記のように細管の途中が絞り込まれて
いると、排気のコンダクタンスが小さくなつてし
まい、排気に時間に時間を要する等の不具合が生
じる。したがつて、この排気時のことを考慮する
と、上記絞り部の通路開口形状はコンダクタンス
を比較的大きくとれる円形とすることが好ましい
ものとなる。 しかしながらその反面、上記アマルガムはラン
プ点灯中加熱されて溶融状態となつた時に、その
表面張力によつて略球形となるので、上記の如く
絞り部の通路開口形状を円形とすると、この通路
開口形状とアマルガムの断面形状とが略一致して
しまう。したがつて、この状態でランプに衝撃が
加わると、アマルガムが絞り部を通過してパルプ
内に脱落してしまい、絞り部本来の機能が損なわ
れるという欠点が本考案者らの行つた実験により
見い出された。 〔考案の目的〕 本考案はこのような事情にもとづいてなされた
もので、アマルガムが細管内から脱落し難くなる
とともに、この細管のコンダクタンスも大きく、
発光管内の排気も良好に行なえる低圧水銀蒸気放
電灯の提供を目的とする。 〔考案の概要〕 すなわち、本考案は上記目的を達成するため、
細管の途中に絞り部を設けるに当り、この絞り部
の通路開口形状を偏平状に形成したことを特徴と
する。 〔考案の実施例〕 以下本考案を、図面に示す一実施例にもとづい
て説明する。 図中１は合成樹脂製のカバーであり、このカバ
ー１の一端頂部には口金２が取付けられている。
カバー１の他端開口部には略球状のグローブ３が
被嵌されており、これらカバー１とグローブ３と
によつて、ボール形の白熱電球に近似された外囲
器４が構成されている。 外囲器４内には、低圧水銀蒸気放電灯として代
表的なけい光ランプ５と、このけい光ランプ５の
始動素子としての点灯管６および放電安定素子と
してのチヨークコイル形安定器７が一体的に収容
されている。けい光ランプ５の発光管８は直管状
をなしたガラスバルブを、その両端部９，９間の
中央で略Ｕ字状に曲成するとともに、この曲成部
１０と両端部９，９との間を上記Ｕ字形を含む平
面と略直交する方向に略Ｕ字状に曲成したもの
で、両端部９，９と曲成部１０とが互いに隣接し
て同方向に位置されている。この発光管８の両端
部９，９には、マウント１１のフレア部１２が封
着されており、この封着により発光管８内に放電
空間１３が形成されている。フレア部１２に連な
るステム管１４には内部リード線１５，１５が封
止されており、これら内部リード線１５，１５間
に電極としてのフイラメント１６が継線されてい
る。またステム管１４からは、フイラメント１６
とは反対側に向つて円筒状の細管１７が導出され
ている。この細管１７の基端は、ステム管１４の
先端部に設けた開口１８を通じて上記放電空間１
３と連通されており、この細管１７を図示しない
排気装置に接続することにより、発光管８内の排
気および不活性ガスの封入が行なわれる。なお、
この後細管１７の先端開口部は溶断封止される。
このようなけい光ランプ５は、両端部９，９およ
び曲成部１０を口金２側に向けた姿勢で外囲器４
内に収容されており、そのフイラメント１６が点
灯管６はもちろん、安定器７を介して口金２と接
続されている。 なお、第３図中符号１９は発光管８の内面に被
着されたけい光体被膜である。 ところで、上記一方のマウント１１の細管１７
内には、定常点灯時での管内水銀蒸気圧を制御す
るアマルガム２０が封入されている。本実施例の
アマルガム２０は、インジウム（In）、ビスマス
（Bi）、スズ（Sn）、鉛（Pb）およびこれら各種金
属を適当な割合で混合させた合金に、所定量の水
銀（Hg）を加えたもので、略球状の１つの塊に
形成されている。そしてアマルガム２０は細管１
７の封止前、すなわち細管１７を排気装置に接続
して発光管８内の排気を行つた後に、この細管１
７の先端開口部から細管１７内に投入されるが、
この際、アマルガム２０が発光管８内に落下する
のを阻止するため、細管１７の途中には、第４図
および第５図に拡大して示したように、細管１７
内の通路２４の開口面積が絞り込まれた絞り部２
１が形成されている。この絞り部２１は上記細管
１７の途中をバーナやヒータで加熱軟化させ、こ
の加熱軟化部分を径方向に対向する両側から、第
６図に示したように細管１７の外径ｒよりも幅の
狭い押圧面２２を備えた１対の治具２３，２３で
押圧することにより形成したもので、この絞り部
２１の部分では通路２４の開口形状が円形から径
方向に偏平な長孔形状に変化されている。そし
て、絞り部２１における通路２４の開口幅l₁は上
記アマルガム２０の直径l₂よりも小さく形成され
ており、この絞り部２１と細管１７の封止部２５
側の内面との間には、アマルガム２０が引掛るよ
うな角張つた段部２６が形成されている。したが
つて、アマルガム２０は細管２１の封止部２５と
段部２６との間の空間２７内に収容保持されてい
る。また絞り部２１の放電空間１３側の端部は、
滑らかな曲線を描いて細管２１の内面に連なつて
おり、上記排気時における流路抵抗の低減が図ら
れている。 このような構成によれば、絞り部２１での通路
２４の開口形状を偏平状に形成したので、ランプ
点灯中、溶融したアマルガム２０が表面張力によ
つて球状となつた場合でも、開口形状とアマルガ
ム２０の形状の相違によつて、アマルガム２０が
絞り部２１に引掛り易くなる。したがつて、けい
光ランプ５の細管１７を上向きにして点灯させた
状態において、このけい光ランプ５に衝撃が加わ
つてもアマルガム２０が発光管８内に脱落し難く
なる。特に本実施例では、絞り部２１とアマルガ
ム２０が収容された空間２７の内面との間に、角
張つた段部２６が存在するので、アマルガム２０
がより引掛かり易くなり、脱落防止により有効に
寄与する。 なお、本考案者らは絞り部２１の通路２４の開
口形状を、円、偏平状の長円および偏平状の矩形
としたけい光ランプならびに上記開口形状を偏平
状の長円、矩形とした夫々の場合において絞り部
２１のアマルガム２０側に角張つた段部２６を形
成した合計５種類のけい光ランプを夫々100個づ
つ製作し、これら各けい光ランプを、その細管１
７を上向きとするとともに、外囲器４内に収容し
て点灯させた時と同じ温度条件におき、この状態
で一定の高さから落下させて衝撃を与える衝撃試
験を行い、各々のアマルガムの脱落状態を調べ
た。但し、この衝撃試験において、絞り部２１の
開口面積は形状がいずれの場合も等しいものと規
定した。 下記第１表に上記衝撃試験の結果を示す。

〔考案の効果〕

以上詳述した本考案によれば、アマルガムが絞
り部に引掛かり易くなるので、発光管に衝撃が加
わつてもアマルガムが細管内から脱落し難くな
り、この細管内に確実に保持することができる。
しかも、排気状況も絞り部の通路開口形状を円形
とした場合と比較してもほとんど変化しないの
で、排気性能の確保とアマルガムの脱落防止とい
う相反する要求を両立させることが可能となる。

【図面の簡単な説明】

図面は本考案の一実施例を示し第１図は装置全
体の断面図、第２図はけい光ランプを一部断面し
た斜視図、第３図はけい光ランプの端部の断面
図、第４図は細管の断面図、第５図は第４図中Ｖ
−Ｖ線に沿う断面図、第６図は絞り部の製造工程
を説明するための断面図である。 ８……発光管、１１……マウント、１３……放
電空間、１６……電極（フイラメント）、１７…
…細管、２０……アマルガム、２１……絞り部、
２４……通路、２５……封止部。

Claims (1)

1. 【実用新案登録請求の範囲】 (1) 内部に放電空間を形成する発光管と、この発
   光管の両端部に封着され、電極および上記放電
   空間内と連通してこの放電空間内の排気を行う
   ための細管を有するマウントとを具備し、上記
   少なくとも一方のマウントの細管内に、発光管
   内の水銀蒸気圧を制御するアマルガムを収容す
   るに当り、上記細管の途中にアマルガムが放電
   空間内に脱落するのを阻止する絞り部を設け、
   この絞り部と細管先端の封止部との間で上記ア
   マルガムを保持するとともに、この絞り部はそ
   の通路開口形状が偏平状をなしていることを特
   徴とする低圧水銀蒸気放電灯。 (2) 上記絞り部とこの絞り部の少なくともアマル
   ガム側の細管内面との間には、角張つた段部が
   形成されていることを特徴とする実用新案登録
   請求の範囲第(1)項記載の低圧水銀蒸気放電灯。