JPH05287934A - 建物用動吸振器 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】 建物の水平振動を防振し、かつ建物床の上下
振動、及び重量床衝撃音を同時に防振するため、構成簡
素で、工業化住宅等に簡便かつ安価に採用できる動吸振
器を提供すること。 【構成】 複数階建の建物１の主として水平方向の振動
を抑制するための建物用動吸振器１０において、横架材
１１の側面におもり１２を取着して構成され、該横架材
１１の両端部を、２階以上の少なくともいずれかの床構
造体に固定し、該横架材１１の水平及び垂直方向の曲げ
振動により吸振するようにしたものである。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明は、風、地震、交通振動に
よる建物の主として水平方向の振動（横揺れ）、並びに
居住者の動き等に伴って生ずる建物床の上下振動、及び
重量床衝撃音を同時に抑制するための建物用動吸振器に
関する。

【０００２】

【従来の技術】建物用防振装置として、特開昭63-76932
号公報に記載の如くの動吸振器を用いるものがある。こ
の動吸振器は、おもり、ばね、抵抗の各要素を組合わせ
たものを建物に設置することにて構成されている。

【０００３】また、建物の床構造体の防振装置として、
特開平2-194240号公報に記載の如く、床の大梁間に配列
固定された各小梁の、低減したい振動数の振動の腹に相
当する部分の側面に、質量体を直接又は粘弾性板を介し
て取付けるものがある。

【０００４】

【発明が解決しようとする課題】然しながら、従来技術
では、動吸振器を構成するばねと抵抗の各要素を別異の
ものにて構成している。従って、構成複雑あり、工業化
住宅等に簡便かつ安価に採用できなかった。

【０００５】また、従来の床構造体の防振装置は、床衝
撃力等に起因して床に生ずる垂直振動（50〜60Hz）を減
衰するものであり、各階全ての床構造体に設ける必要が
あるばかりか、建物の風、地震、交通振動による水平振
動（ 3〜8Hz ）を防振することができない。

【０００６】本発明は、建物の水平振動を防振し、かつ
建物床の上下振動、及び重量床衝撃音を同時に防振する
ため、構成簡素で、工業化住宅等に簡便かつ安価に採用
できる動吸振器を提供することを目的とする。

【０００７】

【課題を解決するための手段】請求項１に記載の本発明
は、複数階建の建物の主として水平方向の振動を抑制す
るための建物用動吸振器において、横架材の側面におも
りを取着して構成され、該横架材の両端部を、２階以上
の少なくともいずれかの床構造体に固定し、該横架材の
水平及び垂直方向の曲げ振動により吸振するようにした
ものである。

【０００８】請求項２に記載の本発明は、請求項１記載
の本発明において更に、前記動吸振器の水平１次固有振
動数が、建物の水平方向の１次固有振動数と略同等であ
り、かつ該動吸振器の垂直１次固有振動数が、建物床の
垂直方向の１次固有振動数と略同等であるようにしたも
のである。

【０００９】請求項３に記載の本発明は、請求項１記載
の本発明において更に、前記動吸振器の水平１次固有振
動数が、建物の水平方向の１次固有振動数と略同等であ
り、かつ該動吸振器の垂直１次固有振動数が、建物床の
重量床衝撃音発生のピーク振動数と略同等であるように
したものである。

【００１０】

【作用】本発明には、〜の作用がある。 おもりを横架材で支え、該横架材の曲げ剛性をばね要
素とするとともに、該横架材の曲げ振動による内部損失
を抵抗要素とする。即ち、横架材がばねと抵抗の２つの
要素を代行することとなり、構成簡素な動吸振器を提供
できる。

【００１１】上記動吸振器の水平１次固有振動数が、
建物の水平方向の１次固有振動数に一致し、かつ該動吸
振器の垂直１次固有振動数が、建物床の垂直方向の１次
固有振動数に一致するように、おもりと横架材を形成
し、該横架材を２階以上の床構造体に固定することによ
り、建物の水平方向の振動（横揺れ）と、建物床の上下
振動を動吸振作用により同時に防振できる。

【００１２】上記動吸振器の水平１次固有振動数が、
建物の水平方向の１次固有振動数に一致し、かつ該動吸
振器の垂直１次固有振動数が、建物床の重量床衝撃音発
生のピーク振動数に一致するように、おもりと横架材を
形成し、該横架材を２階以上の床構造体に固定すること
により、建物の水平方向の振動（横揺れ）と、建物床の
重量床衝撃音を動吸振作用により同時に防振できる。

【００１３】尚、建物の水平方向の振動（横揺れ）を防
振するためには、動吸振器を最上階の天井構造体に設け
るのが最適である。但し、本発明にあっては、建物の水
平方向の振動（横揺れ）、並びに建物床の上下振動、及
び重量床衝撃音を同時に防振するものであり、動吸振器
を２階以上の少なくともいずれかの床構造体に設けるこ
とが必須である。

【００１４】

【実施例】図１は本発明の一実施例を示す模式図であ
る。

【００１５】動吸振器１０、２０は、図１（Ａ）、
（Ｂ）に示す如く、３階建ユニット建物１の２階床構造
体と３階床構造体に設置され、建物１の水平方向の振動
（横揺れ）と、床の上下振動、及び重量床衝撃音を抑制
する。

【００１６】動吸振器１０は、横架材１１の両側面のそ
れぞれにおもり１２、１２を取着して構成され、該横架
材１１を水平配置するように該横架材１１の両端部を建
物１の床梁に固定し、該横架材１１の水平及び垂直方向
の曲げ振動により吸振する。

【００１７】このとき、動吸振器１０の水平１次固有振
動数は、建物１の水平方向の１次固有振動数（ 3〜10H
z）と略同等とされ、かつ動吸振器１０の垂直１次固有
振動数は、床の垂直方向の１次固有振動数（25〜40Hz）
と略同等とされ、結果として建物１の水平方向の振動
（横揺れ）と、床の上下振動とを防振する。

【００１８】また、動吸振器２０は、横架材２１の両側
面のそれぞれにおもり２２、２２を取着して構成され、
該横架材２１を水平配置するように横架材２１の両端部
を建物１の床梁に固定し、該横架材２１の水平及び垂直
方向の曲げ振動により吸振する。尚、動吸振器２０は、
同一床構造体内において、上述の動吸振器１０に並置さ
れる。

【００１９】このとき、動吸振器２０の水平１次固有振
動数は、建物１の水平方向の１次固有振動数（ 3〜10H
z）と略同等とされ、かつ動吸振器２０の垂直１次固有
振動数は、床の重量床衝撃音発生のピーク振動数（50〜
80Hz）と略同等とされ、結果として建物１の水平方向の
振動（横揺れ）と、床の重量床衝撃音とを防振する。

【００２０】尚、動吸振器２０の重量床衝撃音発生のピ
ーク振動数は、具体的には、バングマシーンによる床衝
撃時の特に、63Hzオクターブバンドでのピーク振動数に
合致させる。

【００２１】図１の建物１では、２階床構造体と３階床
構造体のそれぞれにおいて、 1個の動吸振器１０と 2個
の動吸振器２０を平行配置した。

【００２２】そして、動吸振器１０は、横架材１１を木
材にて形成し、横架材１１の断面寸法を高さ185mm 、厚
み18mm、長さ2400mmとした。

【００２３】また、動吸振器２０は、横架材２１を木材
にて形成し、横架材２１の断面寸法を高さ275mm 、厚み
15mm、長さ2400mmとした。

【００２４】また、各階において、全 3個の動吸振器１
０、２０の全おもり重量を建物総重量（4.5 トン）の 1
％とし、結果として各動吸振器１０、２０の横架材１
１、２１の両側面に 2個設けられるおもり１２、２２の
各 1個の重量を7.5kg （4500kg×0.01÷ 6＝7.5 kg）に
設定した。

【００２５】これにより、動吸振器１０の水平１次固有
振動数を建物１の水平方向の１次固有振動数と同等の3.
2Hz 、動吸振器１０の垂直１次固有振動数を床の垂直方
向の１次固有振動数と同等の3.3Hz となるようにした。

【００２６】また、動吸振器２０の水平１次固有振動数
を建物１の水平方向の１次固有振動数と同等の3.2Hz 、
動吸振器２０の垂直１次固有振動数を床の床重量衝撃音
発生のピーク振動数と同等の56Hzとなるようにした。

【００２７】然るに、図１（Ｂ）の建物１において、横
揺れは約1/2.5 、床振動は1/5 、床衝撃音は63Hz帯で7d
B 低減できた。

【００２８】即ち、本実施例によれば、以下の作用があ
る。 おもり１２、２２を横架材１１、２１で支え、該横架
材１１、２１の曲げ剛性をばね要素とするとともに、該
横架材１１、２１の曲げ振動による内部損失を抵抗要素
とする。即ち、横架材１１、２１がばねと抵抗の２つの
要素を代行することとなり、構成簡素な動吸振器１０、
２０を提供できる。

【００２９】上記動吸振器１０の水平１次固有振動数
が、建物１の水平方向の１次固有振動数に一致し、かつ
該動吸振器１０の垂直１次固有振動数が、建物床の垂直
方向の１次固有振動数に一致するように、おもり１２と
横架材１１を形成し、該横架材１１を２階以上の床構造
体に固定することにより、建物１の水平方向の振動（横
揺れ）と、建物床の上下振動を動吸振作用により同時に
防振できる。

【００３０】上記動吸振器２０の水平１次固有振動数
が、建物１の水平方向の１次固有振動数に一致し、かつ
該動吸振器２０の垂直１次固有振動数が、建物床の重量
床衝撃音発生のピーク振動数に一致するように、おもり
２２と横架材２１を形成し、該横架材２１を２階以上の
床構造体に固定することにより、建物１の水平方向の振
動（横揺れ）と、建物床の重量床衝撃音を動吸振作用に
より同時に防振できる。

【００３１】動吸振器１０、２０が横架材１１、２１
とおもり１２、２２のみからコンパクトに構成されるも
のであるから、建物１の床下空間等に容易に設置でき
る。

【００３２】尚、本発明の実施において、更に横架材が
2個以上の材を積層した複合材にて構成されるものとす
ることにより、横架材に要求される特性、即ち(a) 水平
方向に容易に曲げ振動を生じ、(b) 曲げによる内部損失
を大とし、(c) 鉛直方向にはおもりを安全確実に支持し
得ること、をより確実に達成することができる。

【００３３】

【発明の効果】以上のように本発明によれば、建物の水
平振動を防振し、かつ建物床の上下振動、及び重量床衝
撃音を同時に防振するため、構成簡素で、工業化住宅等
に簡便かつ安価に採用できる動吸振器を提供することが
できる。

【図面の簡単な説明】

【図１】図１は本発明の一実施例を示す模式図である。

【符号の説明】

１ 建物 １０ 動吸振器 １１ 横架材 １２ おもり

Claims (3)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 複数階建の建物の主として水平方向の振
   動を抑制するための建物用動吸振器において、横架材の
   側面におもりを取着して構成され、該横架材の両端部
   を、２階以上の少なくともいずれかの床構造体に固定
   し、該横架材の水平及び垂直方向の曲げ振動により吸振
   することを特徴とする建物用動吸振器。
2. 【請求項２】 前記動吸振器の水平１次固有振動数が、
   建物の水平方向の１次固有振動数と略同等であり、かつ
   該動吸振器の垂直１次固有振動数が、建物床の垂直方向
   の１次固有振動数と略同等である請求項１記載の建物用
   動吸振器置。
3. 【請求項３】 前記動吸振器の水平１次固有振動数が、
   建物の水平方向の１次固有振動数と略同等であり、かつ
   該動吸振器の垂直１次固有振動数が、建物床の重量床衝
   撃音発生のピーク振動数と略同等である請求項１記載の
   建物用動吸振器置。