JPH05287468A - アルミニウム合金製鋳物の製造方法 - Google Patents

アルミニウム合金製鋳物の製造方法

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JPH05287468A
JPH05287468A JP11979392A JP11979392A JPH05287468A JP H05287468 A JPH05287468 A JP H05287468A JP 11979392 A JP11979392 A JP 11979392A JP 11979392 A JP11979392 A JP 11979392A JP H05287468 A JPH05287468 A JP H05287468A
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piston
aluminum alloy
ring groove
top ring
alloy casting
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JP11979392A
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Shigezo Osaki
茂三 大崎
Shinichi Tanioka
真一 谷岡
Hiroyoshi Oka
弘芳 岡
Keiko Matsui
恵子 松井
Fumio Kobayashi
文夫 小林
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Original Assignee
Mazda Motor Corp
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    • FMECHANICAL ENGINEERING; LIGHTING; HEATING; WEAPONS; BLASTING
    • F05INDEXING SCHEMES RELATING TO ENGINES OR PUMPS IN VARIOUS SUBCLASSES OF CLASSES F01-F04
    • F05CINDEXING SCHEME RELATING TO MATERIALS, MATERIAL PROPERTIES OR MATERIAL CHARACTERISTICS FOR MACHINES, ENGINES OR PUMPS OTHER THAN NON-POSITIVE-DISPLACEMENT MACHINES OR ENGINES
    • F05C2201/00Metals
    • F05C2201/02Light metals
    • F05C2201/021Aluminium

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  • Pistons, Piston Rings, And Cylinders (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【目的】耐熱衝撃性を確保しながらSiの針状化による
材料強度の向上、即ち耐摩耗性の向上を図ったアルミニ
ウム合金製鋳物、特にピストンのトップリング溝の耐摩
耗性を確保して異常摩耗を解消し、優れた摺動特性を示
すピストンの製造方法の提供。 【構成】アルミニウム合金製鋳物の摺動部、特にピスト
ンのトップリング溝にP含有部材を供給し、T6処理等
の熱処理をしてP含有部材を摺動部に含有させSiを針
状化させて、図2示すように耐摩耗性を付与することを
特徴とするアルミニウム合金製鋳物の製造方法。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明はアルミニウム合金製鋳物
の製造方法に関し、特に内燃機関に用いられているアル
ミニウム合金製ピストンのトップリング溝の凝着摩耗お
よびへたり等による異常摩耗を防止する内燃機関用アル
ミニウム合金製ピストンの製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】自動車の内燃機関は、近年出力の増大化
および高速回転化の傾向にあり、また低燃費化に伴い、
ピストンの熱負荷が高いとき排気側は高温になり、特に
ピストンリング溝が高温であればトップリング側面にア
ルミニウムが凝着し、リング溝摩耗を増加させたり、ま
たは、燃焼圧による加重により叩きつけられてトップリ
ングが異常摩耗したり、リング溝上下面がへたったりし
て、シール性を害し、その結果出力低下を招く。
【0003】これに対し、材料技術の領域より以下の様
な方法で措置したピストンが考案されている。 イ.トップリング溝部にニレジスト鋳鉄トレーガーをア
ルフィン処理し鋳ぐるんだピストン。 ロ.Ni発砲体を溶湯鍛造法にて鋳ぐるんだピストン。 ハ.トップリング溝の表面に硬質アルマイト処理を行
い、高硬度な酸化皮膜を形成したピストン。
【0004】しかし、この様な方法はイ.やロ.では工
程が複雑でありコスト高になるため四輪車の小型ピスト
ンには一般に採用されていない。また、ハ.では酸化皮
膜の表面粗さが大きく、クラックを発生しやすいため初
期オイル消費量の増大およびブローバイの増加による出
力低下を招く。
【0005】一方、過共晶Al−Si系合金における初
晶Siを微細化して、耐摩耗性を確保することが知られ
ている。このために過共晶Al−Si系合金の鋳造時に
Siの微細化剤としてPを添加する方法があるが、Pは
酸化し易いのでCu−P合金粉末とAl粉末の混合粉末
をAlフープに内包せしめて、加熱し焼結した初晶Si
微細化剤が、特開昭63−243208号公報に開示さ
れている。しかし、この微細化剤を用いる方法は、鋳造
時にSi針状化成分のPを添加するので、鋳造製品全体
の耐熱性を低下させ、また引巣が出来易いので製品の強
度が低下し熱衝撃性が劣る。すなわち熱衝撃性の受け易
い部位(ピストンピン、スカート部など)は、クラック
を生じやすくなる。従って、耐熱衝撃性を確保しながら
Siを針状化させて材料強度の向上を図っていくことが
重要である。しかし、これに対応する技術は現状では未
だ見あたらない。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、上記の従来
技術の欠点を解消したアルミニウム合金製鋳物、特にピ
ストンのトップリング溝の耐摩耗性を確保して凝着摩耗
およびへたり等による異常摩耗を解消し、優れた摺動特
性を示すアルミニウム合金製鋳物の摺動部材、特に内燃
機関のピストンの製造方法を提供することを目的とす
る。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明は、上記課題を解
決するために、従来技術のように過共晶Al−Si鋳造
製品全体にSi微細化剤のPを添加する方法ではなく、
必要部のみにPを添加して、局部的にSiを針状化して
初晶Siを微細化した鋳造組織とすることを特徴とす
る。すなわち、本発明は、アルミニウム合金製鋳物の摺
動部に、P含有部材を供給し、熱処理してP含有部材を
該摺動部に含有させ、初晶Siを針状化し組織を微細化
して耐摩耗性を確保する。
【0008】例えば、具体的には、図4の工程ステップ
図に示すとおり、重力鋳造(第1ステップ)により得ら
れたAl合金すなわちAC8A材製ピストン素材を、粗
加工(第2ステップ)し、得られたAC8A材ピストン
のトップリング溝部において最も摩耗の大きい排気(E
x.)バルブ相当位置に粉末状の燐化合物を非酸化性雰
囲気で塗布または埋込み(第3ステップ)その後熱処理
としてT6処理(第4ステップ)を施し、Pを内部へ浸
透または拡散させる。これによりSiが粒状から針状化
になり材料強度の向上(材料の耐摩耗性と耐熱衝撃性の
確保)を図ることができる。このようにして得られた材
料を最終仕上げ加工(第5ステップ)して製品のピスト
ンを得る。燐化合物としてはCu3 P、CuP等のC
u−P系、AlP等のAl−P系、NiP、NiP2
のNi−P系の化合物である。
【0009】更に、本発明は、ピストントップリング溝
をP含有過共晶Al−Si系合金線材と高エネルギービ
ームで再溶融し、局部的にSiを針状化または微細初晶
Siを分散した共晶組織とすることにより、材料強度の
向上を図ることができる。
【0010】例えば、上記と同様にして得られたAC8
A材ピストンのトップリング溝部にP含有Al合金系線
材を介在させ、レーザー、電子ビーム、TIG等の高エ
ネルギーにてP含有Al合金系線材とトップリング溝を
再溶融させ、トップリング溝部のSiを局部的に針状化
又は微細初晶Siにした金属組織とする。次に、このピ
ストンをT6処理し仕上加工を行う。
【0011】この場合、トップリング溝部に用いるAl
合金系線材は、Pを含有したAl−Si系合金線材、好
ましくは、更にCu、Mg等を含有したAl−Cu−S
i−Mg系合金線材がよい。Pは共晶Siの針状化、初
晶Siの微細化に対して効果があり、Al合金系線材に
含有させトップリング溝と再溶融すると局部的に組織が
強化できる。Cu、Mgは基地の強化および硬さ向上に
有効でありCuAl2としては時効作用があり、またM
gを共有するとCuMgAl2 として析出硬化が起こ
る。
【0012】上記のAl合金系線材をアルマイト処理し
表面にAl2 3 を形成しこの線材を用いて再溶融する
と、Al2 3 がAl合金中へ分散し局部的に複合材と
なり耐摩耗性が向上して強化が図れる。また更に線材中
にSiC、BN等のセラミック粒子を一種以上含有せし
め、この線材を用いて再溶融することも局部強化として
効果的である。
【0013】本発明は、上記のように局部的に初晶Si
を針状化するが、この局部針状化の理由を従来技術と対
比して説明する。
【0014】従来の粒状Siを有するピストン材は、粒
状化のためにNa、Ca等を含有しているため、融液か
ら凝固の過程において、融液、融液+α相、α+Siと
移行し、α相の粒界に粒状の共晶Siが晶出する。よっ
て凝固時の融液の補給性が良好となり、鋳造欠陥等の引
巣の発生が少ない。一方、針状Siを有するピストン材
は、針状化のため脱Na、Ca処理を行いPを添加する
ため、凝固は共晶点を通るため、α相とSiが同時に晶
出する。そのため、凝固時の融液の補給性が悪く、引け
が大きくなり引巣などの鋳造欠陥が多くなり、強度低下
の要因となる。
【0015】そこで、ピストン部品等の薄肉部材におい
ては、鋳造時の針状化材の添加は鋳造特性上好ましくな
いため、リング溝のみを改質する局部針状化が有効であ
り、また、ワークの質量効果による冷却スピードも加算
されて、鋳造欠陥の少ないピストンが得られる。
【0016】
【実施例】本発明の燐化合物の塗布又は埋込みによる方
法の概略図である図4に示す工程ステップ図を用いて、
本発明を概略説明すると、Al合金AC8A材を金型に
より重力鋳造してピストン素材を得(第1ステップ)、
これを粗加工しトップリング溝を加工し(第2ステッ
プ)、得られたトップリング溝部の最も摩耗されやすい
排気バルブ相当位置(図5のAで示す範囲)に燐化合物
を塗布又は埋込み(第3ステップ)、これを非酸化性雰
囲気中で加熱したのち冷却するT6処理し(第4ステッ
プ)、次いで最終仕上げ加工する(第5ステップ)。
【0017】ところで、図5の(a)ピストン外観、に
示すように、ピストンロッド4を有するピストン本体3
には、ピストンリング溝、即ち上部からトップリング溝
5、セカンドリング溝6、オイルリング溝6、が加工さ
れている。そして、ピストンの最も摩耗されやすい個所
は、排気(Ex.)バルブ相当位置であり、図において
Aで示すトップリング溝の部位である。ここで、図5の
(a)のピストン本体3の排気側A部の切断線であるX
・X線における断面概略図を、図5の(b)ピストンA
部(Ex.側)X・X線断面概略図、として示す。図5
(b)において、トップリング溝5に形成された燐化合
物の塗布層8が示されている。
【0018】実施例1. 重力鋳造により得られたAl
合金AC8Aピストン素材(第1ステップ)を粗加工
し、トップリング溝幅を5mmに加工(第2ステップ)
した。得られたピストンのトップリング溝部の最も摩耗
されやすい排気バルブ相当位置側、即ち図5の(b)の
A、に粉末状の燐化合物Cu3 Pを水ガラスに含ませ
て塗布(第3ステップ)して図5の(b)に示す塗布層
8を形成する。これをN2 ガス雰囲気中で510℃で
4時間加熱したのち水冷するT6処理を(第4ステッ
プ)施し、Pを内部へ浸透拡散させた。
【0019】実施例2. 上記のCu3 Pを水ガラス
に含ませて塗布することに代えて、粒子径0.5ないし
1.5mmのCu3 PをAir圧2kg/cm2
ショットブラストした後、実施例1と同じT6処理を施
しPを内部へ浸透拡散させた。
【0020】これらの結果、Si針状化深さ0.9mm
のものが得られ、これらを仕上加工した後、従来のピス
トンと本発明の埋め込みタイプによるピストンの高油水
温高速耐久テストを次の条件で行った。
【0021】Oil温度:120℃±5℃ 水温 :110℃±5℃ 排気量 :1500cc 110馬力 5000〜7000rpmの回転数内で所定時間ずつ運
転 全運転時間:300Hr
【0022】この結果、図2に示すようにリング溝摩耗
量は従来材(c)では約42μmであるのに対し、本発
明のもの(d)は約12μmであり耐熱耐摩耗性にきわ
めて優れていることがわかる。
【0023】以上実施例1および2における燐化合物C
3 P粒子によるSiの針状化熱処理温度とSiの針
状化深さと熱処理時間の関係についてテストする。図6
に示すように、AC8A材の10mm×15mm×10
mmのテストブロック9を準備する。このテストブロッ
ク9の上面にφ5mmの孔を設ける。この孔に燐化合物
10としてCu3 P粉末を水ガラスで塗布するかあるい
はCu3 Pの粒径0.5〜1.5mmの粒子をショット
ブラストで吹き付け物理的に埋込み、酸化防止のため
(10-2〜10-3Torr)の真空中にてあるいは非酸
化性雰囲気中で、テストブロック9の下から加熱した。
加熱時間は10〜240分、加熱温度即ち熱処理温度は
500〜560℃であった。このようにしてSiが針状
化した層の深さ11で示す針状化Siを生成した層を得
た。
【0024】このテスト結果を図3のグラフに示す。さ
らに、図7に熱処理温度510℃におけるSiの針状化
深さと処理時間の関係をグラフで示す。この図7のグラ
フからAC8A材においては、T6処理の熱処理温度5
10℃では熱処理時間240分で、針状化Siの深さが
0.9mmの好結果が得られることがわかる。処理温度
が530℃以上ではバーニングするので不適であった。
【0025】実施例3. 重力鋳造により得られたAC
8Aピストン素材を粗加工し、特にトップリング溝幅は
5mmに加工した。次にこのピストンを100℃に予熱
しトップリング溝部に外径4mmのP含有Al合金線材
を介入させ、ピストンを3回転させつつTIG装置にて
再溶融した。P含有Al合金線材は重量比でCu1.9
%、Si19.8%、Mg1.5%、Fe0.38%、
Zn0.15%、Mn0.31%、Ni0.15%、T
i0.11%、P0.0015%、残部Feよりなる線
材を用いた。また再溶融条件はピストン周速100ない
し150mm/min、電流値100ないし180A、
ビームのビート幅9mmで行った。再溶融後このピスト
ンをT6処理し、仕上加工を行い、再溶融部位を切出
し、検鏡したところ、図8に観られるように微細な共晶
組織が確認できた。図8で微細な黒色または灰色部は共
晶Siで白色部はAl(α)である。なお、図8は、1
cmの長さが25μmに相当する倍率に拡大された金属
組織写真である。
【0026】実施例4. 上記の実施例3と同じ方法で
ピストンを製作した。ただし、P含有Al合金線材はあ
らかじめ25vol%硫酸電解液中に浸漬し、直流にて
電圧20ないし35V、電流密度2A/dm2 、処理
時間30分でアルマイト処理を行った線材を用い、実施
例3と同一条件にてピストントップリング溝部を再溶融
した。この結果、ピストントップリングの溝部はAl2
3 で分散強化された。
【0027】実施例5. 重量%でCu2.1%、Si
8.6%、Mg0.8%、Fe0.35%、Zn0.1
4%、Mn0.18%、Ni0.14%、Ti0.11
%、P0.0015%、残部Alよりなる粒径250μ
m以下の急冷凝固Al粉末98%と平均粒径5μmのS
iC粉末2%を混合し、真空中にて400℃でホットプ
レス成形にてビレットを作成し、次に400℃で熱間押
出し成形したのち、外径4mmのSiC分散Al合金線
材を作成した。次いで、実施例3の方法で製作したピス
トンを100℃に予熱し、トップリング溝部に外径4m
mのAl合金線材を介入させ、ピストンを3回転させつ
つTIG装置にて実施例3の再溶融条件にて再溶融し、
溝部をSiCで分散強化した。
【0028】比較例. 重力鋳造により作成したAC8
Aピストン素材をPを添加することなくT6処理後、機
械加工を行いピストントップリング溝部を切出し検鏡し
たところ図9に観られるように粗大な共晶組織が確認さ
れた。図9で粒状の灰色部は共晶Siで白色部はAl
(α)である。なお、図9は、1cmの長さが25μm
に相当する倍率に拡大された金属組織写真である。
【0029】実施例3と比較例の方法で製造したピスト
ンとトップリング溝のピストンリングによる摩耗テスト
を次の条件で実施した。この際Al合金製ピストンリン
グ溝に相当するディスクは回転し、ピストンリングに相
当するピンは固定した。ピストンリング材はSUS43
0相当のステンレス鋼を580℃×1hrでガス窒化
し、次いでリン酸マンガン処理した。 モーターオイル:30番 ピストン材温度:150℃ 摩擦速度 :0.5m/sec 接触荷重 :6kg 摩擦時間 :10hr 以上の結果、図1に示すように、実施例3(a)の摩耗
量はピストンリング溝1、ピストン2共に比較例(b)
の約半分の好結果であった。
【0030】本発明の実施例1で得られた試料のSi形
態を示す顕微鏡写真を、図10に示す。左側は100倍
で右側は400倍である。(e)はP無添加のピストン
母材を示し、黒色部は粒状化Siであり、(f)はPを
添加したリング溝部を示し、黒色部は針状化Siであ
る。処理後の試料の硬さは、Hvで母材が139で、リ
ング溝部が151であり、Pの添加により溝部の硬度が
向上していることがわかる。
【0031】
【発明の効果】本発明によると、Pの添加は局部的に行
うことができるので、例えば、ピストントップリング溝
の排気バルブ相当位置など局部的に摩耗を起こしている
部位にのみPを添加してSiを針状化でき、また鋳造時
に引巣を生じることなく、材料強度の向上を図り、局部
的異常摩耗を低下させて、ピストンの耐摩耗性、耐久性
を確保し向上させた。一方、ピストン、スカート部など
の熱衝撃の影響の受け易い部位は、Siの針状化を行っ
ていないので熱衝撃性は劣化することなく、従って、ク
ラックを発生することもない。
【0032】このように本発明によると、局部的にP添
加を行うので耐熱衝撃性を確保しながら、Si針状化に
よる材料強度の向上が図られる。また、本発明はAl合
金のT6処理の熱処理を利用してPの拡散によるSiの
針状化が図れるので、特別の熱処理を必要とせず効率的
である。更に、P化合物をAl線材に内包したので、S
iCやBNをさらに添加でき、Al線材表面をアルマイ
ト処理できるので、Pの添加と同時にSiCやBNやA
2 3 などの硬質粒子を添加でき、材料の分散強化が
図れ、耐摩耗性は一層向上できる。本発明をピストンの
トップリング溝部に適用することにより、自動車エンジ
ンは一層の高速回転、高出力化に対応できることとな
る。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施例3と比較例の方法で製造したピストンと
トツプリング溝の摩耗テストの結果を示すグラフ。
【図2】実施例2における燐化合物の埋め込みを行った
ものと従来例の、高水温高速耐久テストによる摩耗量を
示すグラフ。
【図3】Cu3 P粒子によるSiの針状化熱処理温度
とSiの針状化深さと熱処理時間の関係を示すグラフ。
【図4】本発明の燐化合物の塗布又は埋込みによる方法
の概略を示す工程ステップ図。
【図5】(a)は本発明におけるピストンの外観を示す
図で、(b)はピストンの排気バルブ側X・X線断面の
概略図。
【図6】本発明における燐化合物によるSiの針状化深
さと加熱温度と処理時間の関係を調査するためのテスト
条件を示す図。
【図7】本発明における熱処理温度510℃でのSiの
針状化深さと処理時間の関係を示すグラフ。
【図8】本発明の実施例3の方法による材料の金属組織
の微細共晶組織を示す顕微鏡写真。
【図9】比較例の方法による材料の金属組織の粗大な共
晶組織を示す顕微鏡写真。
【図10】本発明で得られた試料の母材部とリング溝部
のSi形態を示す金属組織の顕微鏡写真。
【符号の説明】
(a) 実施例3のもの (b) 比較例のもの (c) 従来例のもの (d) 本発明のもの (e) P無添加のピストン母材 (f) P添加のリング溝部 A 排気バルブ側 X 切断線 1 トップリング 2 ピストン 3 ピストン本体 4 ピストンロッド 5 トップリング溝 6 セカンドリング溝 7 オイルリング溝 8 塗布層 9 テストブロック 10 燐化合物 11 Siが針状化した層の深さ
フロントページの続き (72)発明者 松井 恵子 広島県安芸郡府中町新地3番1号 マツダ 株式会社内 (72)発明者 小林 文夫 広島県安芸郡府中町新地3番1号 マツダ 株式会社内

Claims (7)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 少なくともSiを含有するアルミニウム
    合金製鋳物の摺動部にP含有部材を供給し、熱処理して
    P含有部材を上記摺動部に含有させ、Siを針状化させ
    ることを特徴とするアルミニウム合金製鋳物の製造方
    法。
  2. 【請求項2】 請求項1の方法において、P含有部材の
    供給は燐化合物の塗布または埋込みであり、熱処理は非
    酸化性雰囲気でのT6処理であることを特徴とするアル
    ミニウム合金製鋳物の製造方法。
  3. 【請求項3】 請求項1の方法において、P含有部材は
    P含有アルミニウム合金線材であり、熱処理は高エネル
    ギービームによる照射であることを特徴とするアルミニ
    ウム合金製鋳物の製造方法。
  4. 【請求項4】 請求項3の方法において、P含有アルミ
    ニウム合金線材は線材表面部にアルマイト処理によるA
    2 3 層が形成されていることを特徴とするアルミニ
    ウム合金製鋳物の製造方法。
  5. 【請求項5】 請求項3の方法において、P含有アルミ
    ニウム合金線材は線材中にSiCまたはBNから選ばれ
    た1種または2種を含有することを特徴とするアルミニ
    ウム合金製鋳物の製造方法。
  6. 【請求項6】 請求項3において、高エネルギービーム
    がレーザー、電子ビーム、TIG等から選ばれた1種で
    あることを特徴とするアルミニウム合金製鋳物の製造方
    法。
  7. 【請求項7】 請求項1ないし請求項6のいずれかの方
    法において、アルミニウム合金製鋳物がピストンであ
    り、摺動部がピストンリング溝であることを特徴とする
    アルミニウム合金製鋳物の製造方法。
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Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
KR20020052247A (ko) * 2000-12-26 2002-07-04 이계안 자동차용 피스톤의 제조방법
JP2013023756A (ja) * 2011-07-25 2013-02-04 Toyota Central R&D Labs Inc 表面処理アルミニウム基板、アルミニウム樹脂複合材料、およびこれらの製造方法

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