JPH05287312A - 貴金属可塑性組成物 - Google Patents

貴金属可塑性組成物

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JPH05287312A
JPH05287312A JP4093168A JP9316892A JPH05287312A JP H05287312 A JPH05287312 A JP H05287312A JP 4093168 A JP4093168 A JP 4093168A JP 9316892 A JP9316892 A JP 9316892A JP H05287312 A JPH05287312 A JP H05287312A
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Koji Hoshino
孝二 星野
Toru Kono
通 河野
Masaki Morikawa
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 乾燥・固化後における可塑性の蘇生性優れか
つ取り扱いの容易な貴金属可塑性組成物を得ることを目
的とする。 【構成】 貴金属粉末および/または貴金属合金粉末、
貴金属粉末あるいは貴金属合金粉末と金属粉末あるいは
金属合金粉末との混合粉末から選ばれる粉体が70重量
%〜97重量%、アクリル系樹脂が0.1重量%〜5重
量%、水溶性セルローズ系樹脂が0.1重量%〜5重量
%、油脂が0.5重量%〜5重量%、残りが水および不
可避不純物からなることを特徴とする。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、美術工芸品や貴金属食
器、あるいは、装飾品などを製造するための造形用素材
として用いて好適な貴金属可塑性組成物に関するもので
ある。
【0002】
【従来の技術】従来、美術工芸品等を製作する場合、そ
の造形素材としてAu、Ag、Pt、Pd等の貴金属、
または、これらの金属を主成分とする合金材料等が用い
られており、その加工方法の主たるものが、鋳造や圧延
等、あるいは、たたきだしによるものであった。
【0003】しかしながら、このような加工方法である
と、大掛かりな設備が必要となるばかりでなく、金属に
よっては、例えば、Ptでは融点が高いために、鋳造に
よる造形が困難であるといった問題点がある。
【0004】また、たたきだしや圧延等の加工方法であ
ると、造形の形状に制約があり、あるいは、それに要す
る時間が多大なものとなるといった不具合がある。
【0005】そこで、本願出願人は、貴金属粉末や貴金
属合金粉末を水溶性バインダーに混合して粘土状とし
た、貴金属可塑性組成物を提案した(特開平4ー267
07号参照)。
【0006】この先の提案に係わる貴金属可塑性組成物
は、一般の粘土とほぼ同様の塑像性を有し、種々の複雑
な形状を、指先あるいはへら等の簡易な道具によって容
易に造形できるという利点を有する。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】ところで、前述した貴
金属可塑性組成物は、造形材料として極めて有用である
が、さらに、次の事項が要望されるに至った。
【0008】すなわち、前記貴金属可塑性組成物は、一
旦乾燥固化させたのちに元の粘土状の状態に戻す場合に
時間や手間がかかることから、修正や材料の再利用の円
滑化を図るためにも、乾燥後の蘇生性を向上させること
である。
【0009】
【課題を解決するための手段】本発明は、前述した要望
事項を有効に解決すべくなされたもので、請求項1記載
の貴金属可塑性組成物は、貴金属粉末および/または貴
金属合金粉末、貴金属粉末あるいは貴金属合金粉末と金
属粉末あるいは金属合金粉末との混合粉末から選ばれる
粉体が70重量%〜97重量%、アクリル系樹脂が0.
1重量%〜5重量%、水溶性セルローズ系樹脂が0.1
重量%〜5重量%、油脂が0.1重量%〜5重量%、残
りが水および不可避不純物からなることを特徴とする。
請求項2記載の貴金属可塑性組成物は、貴金属粉末およ
び/または貴金属合金粉末、貴金属粉末あるいは貴金属
合金粉末と金属粉末あるいは金属合金粉末との混合粉末
から選ばれる粉体が70重量%〜97重量%、アクリル
系樹脂が0.1重量%〜5重量%、水溶性セルローズ系
樹脂が0.1重量%〜5重量%、低級アルコールが5重
量%以下、残りが水および不可避不純物からなることを
特徴とする。また、請求項3記載の貴金属可塑性組成物
は、請求項1または請求項2記載の貴金属可塑性組成物
において、界面活性剤が0.5重量%以下混合されてい
ることを特徴とする。
【0010】
【作用】請求項1に係わる貴金属可塑性組成物は、乾燥
前の状態において十分な塑像性を有し、所定時間放置後
における乾燥状態において、水等へ浸すことにより容易
に元の塑像性が得られる程度に軟化する。
【0011】また、請求項2に係わる貴金属可塑性組成
物は、混合された低級アルコールにより、造形時におけ
るひび割れの発生が抑制される。
【0012】また、請求項3に係わる貴金属可塑性組成
物は、混合された界面活性剤により、他の成分間のなじ
みがよくなり、組成物の混合が容易に行われる。
【0013】ここで、各成分の具体例と、前記配合例に
限定した理由について説明する。
【0014】(A)貴金属粉末あるいは貴金属合金粉末 貴金属粉末は、平均粒径が200μm以下の球状、異形
状または偏平状の粉末を利用できる。この貴金属粉末を
なす貴金属には、Au、Ag、Pt、および、Pd、あ
るいは、これらの合金の内から選ばれる1種または2種
以上が用いられる。この貴金属粉末は、貴金属可塑性組
成物を構成する主成分であり、製品の色調を決定する重
要な要素であるが、その含有量が70重量%未満である
と、その色彩が不明瞭になり、あるいは、貴金属組成物
の焼結がうまく行かず、また、97重量%を越えると、
得られた貴金属可塑性組成物の伸びや塑像性が低下し、
割れ等が発生しやすくなる。
【0015】(B)アクリル系樹脂 アクリル系樹脂は、ポリメタクリル酸メチル等であり、
油脂成分が共存することによって、前記貴金属可塑性組
成物の蘇生性を良好なものとするとともに、形状を良好
に保持し、かつ、可塑性、伸び、および、割れ防止等の
特性を与えるものである。このアクリル樹脂は、通常、
トルエン、エタノール等の溶媒に溶解した状態で保存さ
れるが、前記貴金属可塑性組成物の製造工程において、
これら溶媒成分は蒸発除去される。そして、その配合量
(すなわち、溶媒成分が除去された後の配合量)が0.
1重量%未満であると、良好な蘇生性が得られず、伸び
および割れ防止等の特性が不十分であり、一方、5重量
%を越えると、焼結時に加熱されることにより貴金属可
塑性組成物に流動性が生じ、成形隊を所望の形状に焼結
することができなくなることから、アクリル系樹脂の配
合量を0.1重量%〜5重量%と定めた。
【0016】(C)水溶性セルローズ系樹脂 水溶性セルローズ系樹脂は、メチルセルローズ、エチル
セルローズ等が用いられ、特開平4ー26707号に記
載されるとおりに、貴金属可塑性組成物に可塑性および
形状保持特性を付与する効果があるが、さらに、前記ア
クリル系樹脂との組み合わせによって、このアクリル系
樹脂によって与えられる貴金属可塑性組成物の形状保持
性、可塑性、伸び、および、割れ防止等の特性を調整す
る効果を示すとともに、水分を乾燥すると固化するとい
う特徴により、前記貴金属可塑性組成物の乾燥・固化の
進行度合いを調整するものである。そして、その配合量
が0.1重量%未満であると、水分を乾燥しても固化が
不十分なため成形体に必要な硬さおよび強度が得られ
ず、一方、5重量%を越えると、貴金属可塑性組成物の
粘性が低下して塑像性が著しく低下することから、水溶
性セルローズ系樹脂の配合量を0.1重量%〜5重量%
とした。
【0017】(D)油脂 この油脂は、植物性油、動物性油、合成油、あるいは、
フタル酸、オレイン酸等の高級有機酸、あるいは、フタ
ル酸ジNブチル、フタル酸エチルヘキシル、ソルビタン
モノオレート等の高級有機物化合物、さらに、ポリエチ
レングリコール等の高級アルコール等が用いられ、前記
貴金属可塑性組成物の可塑性調整や、造形時における手
や造形治具への付着を抑制するためのものである。そし
て、その配合量が0.1重量%未満であるとその効果が
得られず、また、5重量%を越えて配合すると伸びの特
性が著しく悪くなることから、この油脂の配合量を0.
1重量%〜5重量%に設定した。
【0018】(E)低級アルコール この低級アルコールは、エチレングリコール、グリセリ
ン等が用いられ、得られた貴金属可塑性組成物の造形時
におけるひび割れ等を抑制するためのものであるが、貴
金属可塑性組成物に対する要求特性によっては、必ずし
も混合する必要はない。そして、その配合量が、5重量
%を越えると、貴金属可塑性組成物の粘性が低下して塑
像性が著しく低下することから、その配合量を5重量%
以下とした。
【0019】(F)界面活性剤 この界面活性剤は、ラウリル硫酸ナトリウム等が用いら
れ、前記貴金属可塑性組成物の製造時における配合物の
混練・混合が円滑化され、それに要する時間を短縮する
ために混合するもので、製造条件によっては必ずしも混
合する必要はない。そして、0.5重量%を越えて配合
しても前述の効果に変化がないため、この界面活性剤の
配合量を0.5重量%以下とした。
【0020】(G)金属粉体あるいは金属合金粉体 これらは、Al、Ni、Co、Fe、Cu、Ti、Z
n、Sn、Zr、V、Pb、および、Cr等の金属、あ
るいは、これらの合金から選ばれる1種または2種以上
の混合粉体が用いられ、得られる貴金属可塑性組成物の
強度や色調を調整するために混合されるもので、その配
合量は、目的とする強度や色調に応じて適宜設定され
る。
【0021】
【実施例】以下、実施例に沿って本発明を説明する。ポ
リメタクリル酸メチル;50重量%、トルエン;50重
量%の組成のアクリル樹脂溶液と、フタル酸ジNブチル
およびソルビタンモノオーレトとを、蒸発乾燥後の配合
比が表1に示す配合比となるようにエタノール中におい
て室温で撹拌・混合し、これらの各溶液に、平均粒径2
0μmのAu粉末、平均粒径30μmのAg粉末、およ
び、平均粒径25μmのCu粉末を、同じく蒸発乾燥後
の配合比が表1に示すようになるように撹拌・混合し、
これによって得られた混合溶液を、バットに広げて、温
度40℃で24時間保持することにより、自然乾燥させ
て中間体を生成しておく。一方、メチルセルローズ、フ
タル酸ジNブチル、ラウリル硫酸ナトリウム、エチレン
グリコール、および、水とを、表1に示す配合比となる
ように撹拌・混合して、ゼリー状組成物を調整し、これ
と前記中間体を混練して混合することにより、貴金属可
塑性組成物(実施例1〜実施例5)を得た。
【0022】なお、表1における貴金属可塑性組成物の
組成は、前記乾燥工程において、トルエンおよびエタノ
ールが完全に除去されると仮定して、製造時の仕込量か
ら算出した値であり、微量の不可避不純物を除外して計
算した値である。
【0023】
【表1】
【0024】また、比較例として、貴金属粉体、アクリ
ル系樹脂、水溶性セルローズ系樹脂および油脂につい
て、上限値と下限値を外れた表2に示す配合量とした組
成物(比較例1〜比較例8)を生成した。
【0025】
【表2】
【0026】そして、これらの実施例1〜5および比較
例1〜8について、常温での伸び、他の物質との粘着
性、および、手触りについての試験を行い、その結果を
それぞれ表3、表4に示した。なお、試験条件は、以下
のとおりである。 伸び;貴金属可塑性組成物を所定形状に成形し、これに
引っ張り力を与え、破断が生じた時点における伸び率を
測定した。 他の物質との粘着性;貴金属可塑性組成物を手で練り込
んだ際の、手への付着 状況を調べ、付着が全くない場合を「○」、微少量の付
着が生じた場合を「△」、また、付着量が多い場合を
「×」とした。 手触り;貴金属可塑性組成物を手で練り込んだ際の、塑
像性の感触を調べ、良・不良により判定した。
【0027】
【表3】
【0028】
【表4】
【0029】これらの結果から明らかなように、本発明
の各実施例の組成ならびに配合比の範囲内であると、常
温において伸びがあり、かつ、他の物質との粘着性が低
く、取り扱いの容易な貴金属組成物が得られ、造形用材
料として好適である。
【0030】一方、これらの各実施例の蘇生性について
以下の条件の下に調べ、その結果を表5に示す。 試験条件 前記各実施例1〜5の貴金属可塑性組成物を厚さ1.2
mmのシートに圧延し、これを50℃で24時間の乾燥
を行って室温で冷却したのちに、水に5分間浸し、この
シートを、半径が5mmとなるように180°の曲げを
行って、曲げ部分におけるひび割れの有無を調べた。
【0031】また、比較例9として、従来の水溶性バイ
ンダーのみを用いた貴金属可塑性組成物を前記条件の下
に蘇生処理し、同様の試験を行った結果を、表5に示し
た。
【0032】
【表5】
【0033】この結果から明らかなように、本発明の各
実施例においては、乾燥後において水へ浸すことによ
り、その可塑性が容易に蘇生される。したがって、一旦
造形して乾燥・固化させたのちに修正を行う場合や、余
剰の貴金属組成物を再生利用することが容易に行われ
る。例えば、乾燥・固化させたのちに、その一部分に修
正を加える必要が生じた場合においても、修正を必要と
する部分のみを水に浸してその可塑性を蘇生させること
も可能である。また、使用する金属が貴金属であること
から、前述した再生利用が容易になることにより、貴金
属の不要な廃棄が最小限度に抑さえられる。
【0034】一方、前述のようにしてえられた貴金属組
成物は、造形後において乾燥・固化され、次いで焼成さ
れることにより貴金属物品となされる。
【0035】ここで、前記焼結条件は、貴金属可塑性組
成物に含有される貴金属粉末および金属粉末の種類によ
って異なるが、例えば、前記含有する貴金属粉末および
金属粉末が、純Ag粉末のみの場合には、大気中、90
0℃で1時間以上焼成することにより、また、純Au粉
末のみの場合には、大気中、1050℃で1時間以上焼
成することにより、さらに、AuーAgーCu混合粉末
の場合には、H2気流中、昇温速度1℃/分で700℃
まで加熱し、この温度で5時間保持して脱バインダーお
よび仮焼したのち、860℃で1時間以上焼成すること
により、それぞれ所望の貴金属物品を得ることができ
る。
【0036】
【発明の効果】以上説明したように、本発明によれば、
伸びが十分で、かつ、他の物質との粘着性が低く、塑像
性に優れ、かつ、乾燥・固化後の蘇生性に優れ、したが
って、取り扱いの容易な貴金属可塑性組成物を得ること
ができ、もって、造形用材料として好適な貴金属可塑性
組成物を得ることができる。

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 貴金属粉末および/または貴金属合金粉
    末、貴金属粉末あるいは貴金属合金粉末と金属粉末ある
    いは金属合金粉末との混合粉末から選ばれる粉体が70
    重量%〜97重量%、アクリル系樹脂が0.1重量%〜
    5重量%、水溶性セルローズ系樹脂が0.1重量%〜5
    重量%、油脂が0.1重量%〜5重量%、残りが水およ
    び不可避不純物からなることを特徴とする貴金属可塑性
    組成物。
  2. 【請求項2】 貴金属粉末および/または貴金属合金粉
    末、貴金属粉末あるいは貴金属合金粉末と金属粉末ある
    いは金属合金粉末との混合粉末から選ばれる粉体が70
    重量%〜97重量%、アクリル系樹脂が0.1重量%〜
    5重量%、水溶性セルローズ系樹脂が0.1重量%〜5
    重量%、低級アルコールが5重量%以下、残りが水およ
    び不可避不純物からなることを特徴とする貴金属可塑性
    組成物。
  3. 【請求項3】 請求項1または請求項2記載の貴金属可
    塑性組成物において、界面活性剤が0.5重量%以下混
    合されていることを特徴とする貴金属可塑性組成物。
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JP2007154235A (ja) * 2005-12-02 2007-06-21 Mitsubishi Materials Corp 未焼成リング成形体

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JP2007154235A (ja) * 2005-12-02 2007-06-21 Mitsubishi Materials Corp 未焼成リング成形体
JP4720465B2 (ja) * 2005-12-02 2011-07-13 三菱マテリアル株式会社 未焼成リング成形体

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