JPH0528715Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本考案は、高周波加熱装置の一例である電子レ
ンジの本体内に配備され、マグネトロン（高周波
発生手段）から放射されるマイクロ波の照射によ
り被調理物を調理する発熱装置に関するものであ
る。

〔従来の技術〕 通常、電子レンジは、マグネトロンから放射さ
れたマイクロ波をオーブン庫内に導いて被調理物
に照射し、被調理物自体を発熱させて調理を行う
調理器である。

従つて、上記被調理物の表面には焦げ目がつか
ず、そのことが食欲をそそらない原因の一つとな
つている。

そこで、上記オーブン庫内にシーズヒータを配
備し、マイクロ波による被調理物の加熱に併行し
てシーズヒータから放射される熱を上記被調理物
の表面に直接照射し、焦げ目をつけるようにした
電子レンジがある。

ところが、上述のような電子レンジにおいて
は、熱源としてマグネトロンとヒータの２種類の
加熱手段を設けなければならないことから、この
ことがコストアツプの要因となると共に、構成が
複雑化し、装置全体が大型化するという問題点が
あつた。

そこで、近年、これらの問題点を改善する目的
で、マイクロ波の照射により発熱する発熱物質と
断熱基材とを重合形成して二重構造としたプレー
トからなる発熱体を用いた発熱装置が開発されて
いる。この発熱装置を用いた電子レンジは、マイ
クロ波の照射のみで誘電加熱と熱放射による加熱
の両作用を為すものである。

〔考案が解決しようとする課題〕

ところが、上記従来の発熱装置においては、食
品を赤外線（熱線）のみで加熱する必要のある場
合、例えばパン生地のイースト菌醗酵やパンの焼
き上げを目的とする場合、マイクロ波の一部が発
熱体を通過してイースト菌の醗酵を妨害したり、
焼き上げ時にはパンの内部にまでマイクロ波が浸
透し、変色を起こすという問題点があつた。

そこで、本考案の目的とするところは、必要に
応じてマイクロ波の食品への透過を遮断し、最適
な食品加熱を行うことのできる高周波加熱装置用
発熱装置を提供することにある。

〔課題を解決するための手段〕

上記目的を発生するために、本考案が採用する
主たる手段は、その要旨とするところが、高周波
加熱装置の本体内に配備され、高周波発生手段か
ら放射されるマイクロ波の照射により被調理物を
調理する発熱装置において、マイクロ波を透過さ
せる下部外容器と、上記下部外容器の上方に配備
され、平板状のマイクロ波吸収発熱物質及びその
上面に適宜の間隔を有して被覆される金属からな
る発熱体と、被調理物を収容して上記発熱体の上
面に載置される内容器と、上記内容器の周囲に適
宜の空間を介して該内容器を覆うようにして上記
下部外容器に被せられるマイクロ波を透過させな
い上部外容器とを具備してなる点に係る発熱装置
である。

〔作用〕

発熱体を構成するマイクロ波吸収発熱物質のマ
イクロ波入射面と相対する上面にマイクロ波を透
過させないパターンで金属を被覆することによ
り、この面からは赤外線は放射されるが、マイク
ロ波は透過されない。

そして、上記発熱体から放射された熱は、内容
器の周囲と上部外容器との間に形成された空間内
で対流し、上記内容器全体が効率良く加熱され
る。

〔実施例〕

以下添付図面を参照して、本考案を具体化した
実施例につき説明し、本考案の理解に供する。
尚、以下の実施例は、本考案を具体化した一例で
あつて、本考案の技術的範囲を限定する性格のも
のではない。

ここに、第１図は本考案の一実施例に係るパン
焼き用の発熱装置の側断面図、第２図は上記発熱
装置を構成する発熱体の側断面図である。

この実施例に係る発熱装置１７を用いたパン焼
き器の具体例について、第１図に基づいて説明す
る。

上記発熱装置１７は、図外の電子レンジのオー
ブン内に着脱可能な状態で配備される。

上記発熱装置１７の外装は、マイクロ波を透過
しない金属製の上部外容器８と、マイクロ波の透
過性を有する例えばプラスチツクや陶器からなる
下部外容器９とで構成されている。

上記下部外容器９の上方には、マイクロ波透過
性を有する例えばセラミツクフアイバー製の断熱
材１１を介して発熱体１０が配備されており、こ
の発熱体１０の上部には、内部にパン生地１３
（被調理物）を収容した内容器１２が載置されて
いる。

上記発熱体１０は、第２図に示す如く、マイク
ロ波の照射により発熱する例えば炭化珪素系セラ
ミツク成形板１０_a（マイクロ波吸収発熱物質）
の表面に、適宜間隔を開けて散点状又は同心円状
に金属膜１０_bを被覆することにより構成されて
いる。

従つて、上記したように構成される発熱装置１
７をオーブン内に配備し、この発熱装置１７にマ
イクロ波を照射すると、マイクロ波の透過性を有
する材料からなる下部外容器９からこの発熱装置
１７の内部にマイクロ波が侵入し、発熱体１０が
発熱する。

上記発熱体１０から放射された熱は、内容器１
２の周囲と上部外容器８との間に形成された熱対
流路１４（空間）を通過して上部で対流し、内容
器１２全体を効率的に加熱することになる。

そして、上記内容器１２の内部のパン生地１３
は、マイクロ波強度を適正に制御することによ
り、イースト菌醗酵過程からパン焼き上げ過程を
経てパンに焼き上げられる。

尚、この時、上記発熱体１０においては、炭化
珪素系セラミツク成形板１０_aが下部から照射さ
れたマイクロ波を吸収して発熱すると共に、金属
膜１０_bがマイクロ波を完全に反射するため、発
熱装置１７の内部にマイクロ波が侵入するという
ことはない。

その結果、従来装置の場合のようにパン生地内
部にまでマイクロ波が浸透し、イースト菌の醗酵
を妨害したり、焼き上げ時にパン内部が焦げると
いうことはなく、良好なパン焼きを行うことがで
きる。

また、本実施例に係る発熱体１０においては、
金属膜１０_bが適宜の間隔を開けて被覆されてい
るため、発熱体１０表面からの熱の放射は極めて
効率良く行われる。

〔考案の効果〕

本考案は、上記したように、高周波加熱装置の
本体内に配備され、高周波発生手段から放射され
るマイクロ波の照射により被調理物を調理する発
熱装置において、マイクロ波を透過させる下部外
容器と、上記下部外容器の上方に配備され、平板
状のマイクロ波吸収発熱物質及びその上面に適宜
の間隔を有して被覆される金属からなる発熱体
と、被調理物を収容して上記発熱体の上面に載置
される内容器と、上記内容器の周囲に適宜の空間
を介して該内容器を覆うようにして上記下部外容
器に被せられるマイクロ波を透過させない上部外
容器とを具備してなることを特徴とする発熱装置
であるから、マイクロ波の食品への浸透を遮断
し、最適な食品加熱を行うことができる。特にパ
ンを焼き上げるに際しては、パン生地内部にまで
マイクロ波が浸透してイースト菌の醗酵を妨害し
たり、焼き上げ時にパン内部が焦げるということ
はなく、良好なパン焼きを行うことができる。

【図面の簡単な説明】

第１図は本考案の一実施例に係るパン焼き用の
発熱装置の側断面図、第２図は上記発熱装置を構
成する発熱体の側断面図である。 符号の説明、８……上部外容器、９……下部外
容器、１０……発熱体、１０_a……炭化珪素系セ
ラミツク成形板（マイクロ波吸収発熱物質）、１
０_b……金属膜、１１……断熱材、１２……内容
器、１３……パン生地（被調理物）、１４……熱
対流路（空間）、１７……発熱装置。

Claims (1)

1. 【実用新案登録請求の範囲】 高周波加熱装置の本体内に配備され、高周波発
   生手段から放射されるマイクロ波の照射により被
   調理物を調理する発熱装置において、 マイクロ波を透過させる下部外容器と、 上記下部外容器の上方に配備され、平板状のマ
   イクロ波吸収発熱物質及びその上面に適宜の間隔
   を有して被覆される金属からなる発熱体と、 被調理物を収容して上記発熱体の上面に載置さ
   れる内容器と、 上記内容器の周囲に適宜の空間を介して該内容
   器を覆うようにして上記下部外容器に被せられる
   マイクロ波を透過させない上部外容器とを具備し
   てなることを特徴とする発熱装置。