JPH05286310A - 重荷重用ラジアルタイヤ - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】 偏平率が７５％以下の重荷重用タイヤにお
いて、氷上制動性能、耐ワンダリング性及び耐摩耗性を
ともに向上する。 【構成】 接地巾ＡＴをタイヤ最大巾ＴＷの０．８〜
１．０倍にベルト巾ＢＷを前記接地巾ＡＴの１．０〜
１．１倍とするとともに、トレッド部２の前記接地巾Ａ
Ｔをこえる領域を、外側に向かって半径方向内方に傾く
斜面１０とし、この斜面１０の半径線Ｎとのなす角度θ
を４０〜５０°、かつ斜面の長さＭを接地巾ＡＴの０．
０５〜０．１倍としている。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明は、偏平タイヤにおいて、
氷上制動性能、耐ワンダリング性及び耐摩耗性性能をと
もに向上し、寒冷地にあっても好適に採用しうる重荷重
用ラジアルタイヤに関する。

【０００２】

【従来の技術】寒冷地における氷上、又は雪上を走行す
るタイヤにあっては、氷上制動性、雪上制動性を高める
ためトレッド巾を広くし、かつ接地面積を増すため偏平
率が小さい偏平タイヤとして形成される。

【０００３】

【発明が解決しようとする課題】しかし前記の如く形成
されたタイヤにあっては、キャンバースラストが低くな
る結果、わだちを乗り越える際にふらつきが生じるいわ
ゆるワンダリング現象が生じるなど操縦の安定性に劣
る。さらに偏平率が小になることによって、安定した接
地面の形状を得にくくなり、偏摩耗が生じるという問題
が生じる。特に氷雪路面の走行を目的とし、グリップ力
を高めるためサイピングを多数設けた場合には偏摩耗の
発生が特に著しい。

【０００４】発明者は、偏平タイヤであっても氷上制動
性を損なうことなく、耐ワンダリング性能及び耐摩耗性
能を高めるため種々研究を重ねた結果、接地面の巾寸度
を規制しかつその接地面の両側に斜面を設けること、さ
らに、ベルト巾の寸度を規制することによって、前記問
題点を解決しうることを見出し本発明を完成させたので
ある。

【０００５】本発明は、氷上制動性、耐ワンダリング性
及び耐摩耗性をともに向上でき、寒冷地走行に際して好
適に採用しうる重荷重用ラジアルタイヤの提供を目的と
している。

【０００６】

【課題を解決するための手段】本発明は、トレッド部か
らサイドウォール部をへてビード部のビードコアの周り
を折返しかつラジアル配列の高抗張力のコードを用いた
カーカスと、トレッド部の内部かつカーカスの半径方向
外側に配された高抗張力のコードからなるベルト層とを
具え、しかも偏平率が７５％以下の重荷重用ラジアルタ
イヤにおいて、正規リムにリム組みし標準内圧と標準荷
重とを付加した標準状態におけるトレッド部のタイヤ軸
方向の接地巾をタイヤ最大巾の０．８倍以上かつ１．０
倍以下とし、かつベルト層のタイヤ軸方向のベルト巾を
前記接地巾の１．０倍をこえかつ１．１倍以下とすると
ともに、トレッド部の前記接地巾をこえる領域を、接地
面の外端からタイヤ軸方向外側に向かいタイヤ半径線と
なす角度が４０〜５０°で半径方向内方に傾きバットレ
ス部にのびる斜面とし、しかも該斜面に沿うこの斜面の
長さを前記接地巾の０．０５倍以上かつ１．０倍以下と
したことを特徴とする重荷重用ラジアルタイヤである。

【０００７】

【作用】偏平率が７５％以下かつカーカスとベルト層と
のコードとともに高抗張力のコードを採用したため、接
地面積が広く、又トレッド部の剛性が大であることによ
って、高い氷上制動性能を保持する。

【０００８】さらに接地巾をタイヤ最大巾の０．８倍以
上かつ１．０倍以下としている。その結果、接地面は図
３（Ａ）に示すようにタイヤ周方向に均等の拡がりを有
している。０．８倍未満では接地面積が確保出来ず氷上
制動性が低下する一方、１．０倍をこえると、接地圧が
比較的低くかつ周長も短い接地面のタイヤ軸方向端部に
おいて、転動する際にタイヤ周方向にすべりが生じるこ
ととなる。このすべりによって、トレッド面ａの接地面
端部近傍において摩耗が促進され、図３に斜線で示すよ
うな、いわゆる肩落ち摩耗ｍが生じる。

【０００９】ベルト層は、そのベルト巾を接地巾の１．
０倍をこえかつ１．１倍以下としている。１．０倍以
下、即ち接地巾よりも小さくした場合には、接地面端部
においてトレッド部の剛性が低下し、タイヤ走行時に中
央部が凹む逆反りとなり、その結果、接地面の形状が図
２（Ｂ）に示す如く鼓形となるため、接地面端部に肩落
ち摩耗が生じる。逆に１．１倍をこえて大きくするとバ
ットレス部のゴム厚さが薄くなり、トレッドゴムに破損
が生じる危険がある。

【００１０】さらにトレッド部の接地巾をこえるその外
側の領域を、接地面の外端からタイヤ軸方向外側に向か
い半径方向内方に傾く斜面を設けている。このような斜
面を設けることにより、路面のわだちの乗越しが容易に
なり、耐ワンダリング性を向上することができる。

【００１１】斜面の前記角度が４０°未満又は、斜面の
長さが接地巾の０．０５倍未満では、わだちを乗切れず
耐ワンダリング性能は向上しない。又前記角度が５０°
をこえた場合には、接地面の前記端部に偏摩耗が生じや
すく、長さが接地巾の０．１倍をこえると、バットレス
部のゴムの厚さが薄くなりトレッド部の強度が低下する
ことによる破損が生じやすい。

【００１２】このように本願では前記した構成が有機的
に結合し、かつ一体化することによって、氷上制動性、
耐ワンダリング性、及び耐偏摩耗性をともに高めうるの
である。

【００１３】

【発明の効果】以下本発明の一実施例を図面に基づき説
明する。重荷重用ラジアルタイヤ１は、図１に示す如く
トレッド部２とその両側からタイヤ半径方向内側に向け
てのびるサイドウォール部３と、該サイドウォール部３
のタイヤ半径方向内側に位置するビード部４とを有し、
又、前記トレッド部２からサイドウォール部３を通りビ
ード部４のビードコア５をタイヤ軸方向内側から外側に
向かって折返すカーカス６と、トレッド部２の内部かつ
カーカス６の半径方向外側に配されるベルト層７とを具
える。本実施例では、ビードコア５のタイヤ半径方向外
側に断面三角形状のビードエイペックス８を立上げる。

【００１４】前記カーカス６は、本実施例ではタイヤ赤
道Ｃに対して７０〜９０°の角度で傾斜させたラジアル
又はセミラジアル配列のカーカスコードを具える１枚以
上、本実施例では１枚のカーカスプライからなり、カー
カスコードとしてナイロン、ポリエステル、芳香族ポリ
アミド等の高抗張力の有機繊維コードが用いられる。

【００１５】前記ベルト層７は、本実施例では３枚のベ
ルトプライからなり、各ベルトプライは、ナイロン、ポ
リエステル、芳香族ポリアミド繊維などの有機繊維コー
ド、又はスチールコード等高抗張力のベルトコードを互
いに交差する向きに配している。

【００１６】又、重荷重用ラジアルタイヤ１は、正規リ
ムＪにリム組みし、標準内圧を付加した状態におけるタ
イヤ最大巾ＴＷに対するビード底面４ａからの高さＴＨ
比である偏平率を７５％以下として、即ち偏平タイヤと
して形成される。さらにトレッド部２の表面２ａには、
周方向にのびる縦溝及びこの縦溝と交わる向きに配され
る横溝とによって、ブロックパターン又はリブパターン
が形成される。

【００１７】重荷重用ラジアルタイヤ１は、又正規リム
Ｊにリム組みし、該タイヤに定められた標準内圧と標準
荷重とを加えた標準状態において、トレッド部２が接地
する面広さである接地面Ｓについて規制している。接地
面Ｓのタイヤ軸方向の巾である接地巾ＡＴを前記タイヤ
最大巾ＴＷの０．８倍以上かつ１．０倍以下としてい
る。

【００１８】又本実施例では接地面Ｓについては、トレ
ッド部２の表面に形成されるリブ又はブロックの外周面
の総和である陸面積Ｌの接地面全体に対する比、即ちラ
ンド比を６０％以上とし、接地圧を低減し、トレッド部
２の耐摩耗性を高めているのである。

【００１９】又、トレッド部２には、前記接地面Ｓのタ
イヤ軸方向外端Ｆからタイヤ軸方向外側に向かって半径
方向内方に傾斜しバットレス部９にのびる斜面１０が形
成される。この斜面１０はタイヤ半径線Ｎとなす角度θ
が４０〜５０°であり、又斜面の長さＭは前記接地巾Ａ
Ｔの０．０５倍以上かつ１．０倍以下の範囲に設定され
る。

【００２０】

【具体例】タイヤサイズが１９５／７０Ｒ１７．５ １
１２／１１０Ｌであり、かつ図１に示す構成を有するタ
イヤ（実施例１〜４）について、表１に示す仕様で試作
するとともにその性能をテストした。又従来の構成によ
るタイヤ（比較例１）及び本願構成外のタイヤ（比較例
２、３）について併せてテストを行い性能を比較した。

【００２１】テスト条件は下記の通り。 １）キャンバースラスト 試供タイヤを１７．５×６．００のリムにリム組みする
とともに、直径１．６ｍのドラム試験機を用いて、標準
内圧と標準荷重を付加した状態において、該ドラムを周
速４０km／Ｈの速度で回転させキャンバースラストを測
定した。

【００２２】２）ワンダリング性 実車に装着し一般路上を走行させるとともに、ドライバ
ーのフィーリングを５点法により評価した。３が平均値
であり数値が大きいほど良好である。

【００２３】３）氷上制動性能 ４ton 積のトラックに装着し、氷盤によって形成された
試験路面を６０km／Ｈの速度で走行させるとともに、４
輪ロックにて急ブレーキをかけ、車が停車するまでの距
離を測定し、その距離の逆数値を比較例１を１００とす
る指数で表示した。数値が大きいほど良好であることを
示す。

【００２４】４）肩落ち摩耗 実車に装着し２０，０００km走行した後、トレッド部の
中央部とショルダー部との摩耗量をそれぞれ測定すると
ともに、次式により算出した数値の逆数値を比較例１を
１００とする指数で表示した。数値が大きいほど良好で
ある。 （ショルダー部の摩耗量−中央部の摩耗量）／（中央部
の摩耗量） テストの結果を表１に示す。

【００２５】

【表１】

【００２６】テストの結果、実施例のものは比較例のも
のに比べて各性能とも優れていることを確認出来た。

【００２７】

【発明の効果】叙上の如く本発明の空気入りラジアルタ
イヤは、前記した構成を具えることにより、偏平タイヤ
であっても、氷上制動性能、耐ワンダリング性及び耐偏
摩耗性能をともに向上でき、寒冷地において使用される
重荷重車両用のタイヤとして好適に採用することが出来
る。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明の一実施例を示すタイヤ左半分断面図で
ある。

【図２】（Ａ）、（Ｂ）ともにタイヤの接地面の形状を
略示する平面図である。

【図３】従来のタイヤを示す断面図である。

【符号の説明】

２ トレッド部 ３ サイドウォール部 ４ ビード部 ５ ビードコア ６ カーカス ７ ベルト層 ９ バットレス部 １０ 斜面 ＡＴ 接地巾 ＢＷ ベルト巾 Ｊ 正規リム Ｍ 斜面長さ Ｎ タイヤ半径線 Ｓ 接地面 θ 角度

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【手続補正書】

【提出日】平成４年５月２９日

【手続補正１】

【補正対象書類名】明細書

【補正対象項目名】請求項１

【補正方法】変更

【補正内容】

【手続補正２】

【補正対象書類名】明細書

【補正対象項目名】０００６

【補正方法】変更

【補正内容】

【０００６】本発明は、トレッド部からサイドウォール
部をへてビード部のビードコアの周りを折返し、かつラ
ジアル配列の高抗張力のコードを用いたカーカスと、ト
レッド部の内部かつカーカスの半径方向外側に配された
高抗張力のコードからなるベルト層とを具え、しかも偏
平率が７５％以下の重荷重用ラジアルタイヤにおいて、
正規リムにリム組みし標準内圧と標準荷重とを付加した
標準状態におけるトレッド部のタイヤ軸方向の接地巾を
タイヤ最大巾の０．８倍以上かつ１．０倍以下とし、か
つベルト層のタイヤ軸方向のベルト巾を前記接地巾の
１．０倍をこえかつ１．１倍以下とするとともに、トレ
ッド部の前記接地巾をこえる領域を、接地面の外端から
タイヤ軸方向外側に向かいタイヤ半径線となす角度が４
０〜５０°で半径方向内方に傾きバットレス部にのびる
斜面とし、しかも該斜面に沿うこの斜面の長さを前記接
地巾の０．０５倍以上かつ０．１倍以下としたことを特
徴とする重荷重用ラジアルタイヤである。

【手続補正３】

【補正対象書類名】明細書

【補正対象項目名】００１９

【補正方法】変更

【補正内容】

【００１９】又、トレッド部２には、前記接地面Ｓのタ
イヤ軸方向外端Ｆからタイヤ軸方向外側に向かって半径
方向内方に傾斜しバットレス部９にのびる斜面１０が形
成される。この斜面１０はタイヤ半径線Ｎとなす角度θ
が４０〜５０°であり、又斜面の長さＭは前記接地巾Ａ
Ｔの０．０５倍以上かつ０．１倍以下の範囲に設定され
る。

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】トレッド部からサイドウォール部をへてビ
   ード部のビードコアの周りを折返し、かつラジアル配列
   の高抗張力のコードを用いたカーカスと、トレッド部の
   内部かつカーカスの半径方向外側に配された高抗張力の
   コードからなるベルト層とを具え、しかも偏平率が７５
   ％以下の重荷重用ラジアルタイヤにおいて、正規リムに
   リム組みし標準内圧と標準荷重とを付加した標準状態に
   おけるトレッド部のタイヤ軸方向の接地巾をタイヤ最大
   巾の０．８倍以上かつ１．０倍以下とし、かつベルト層
   のタイヤ軸方向のベルト巾を前記接地巾の１．０倍をこ
   えかつ１．１倍以下とするとともに、トレッド部の前記
   接地巾をこえる領域を、接地面の外端からタイヤ軸方向
   外側に向かいタイヤ半径線となす角度が４０〜５０°で
   半径方向内方に傾きバットレス部にのびる斜面とし、し
   かも該斜面に沿うこの斜面の長さを前記接地巾の０．０
   ５倍以上かつ１．０倍以下としたことを特徴とする重荷
   重用ラジアルタイヤ。