JPH05285528A - アルミニウム管、引抜用金型および引抜加工方法 - Google Patents
アルミニウム管、引抜用金型および引抜加工方法Info
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- JPH05285528A JPH05285528A JP11676792A JP11676792A JPH05285528A JP H05285528 A JPH05285528 A JP H05285528A JP 11676792 A JP11676792 A JP 11676792A JP 11676792 A JP11676792 A JP 11676792A JP H05285528 A JPH05285528 A JP H05285528A
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- plug
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Abstract
(57)【要約】
【目的】 僅か一回の引抜加工によって表面粗さがRm
ax=1μm程度以下のアルミニウム管を製作すること
ができ、生産性および歩留りの向上と、製造コストを低
減する。 【構成】 ダイス半角αおよびベアリング長さL1 を各
々5〜20°、2〜10mmの範囲に設定した円錐ダイ
ス1と、アプローチ角βおよびベアリング長さL2 を各
々2〜8°、0.5〜3mmの範囲に設定したテーパプ
ラグ2とで引抜用金型3を構成し、円錐ダイス1とテー
パプラグ2のベアリング後端14、15を一致させ、粘
度400〜900Cst/40°Cの引抜加工油を使用
し、縮径肉比(押出管9の引抜加工前後の外径に関する
差分を分子とし、肉厚に関する差分を分母とする比)を
20未満としてアルミニウム管4の引抜加工を行なう。
ax=1μm程度以下のアルミニウム管を製作すること
ができ、生産性および歩留りの向上と、製造コストを低
減する。 【構成】 ダイス半角αおよびベアリング長さL1 を各
々5〜20°、2〜10mmの範囲に設定した円錐ダイ
ス1と、アプローチ角βおよびベアリング長さL2 を各
々2〜8°、0.5〜3mmの範囲に設定したテーパプ
ラグ2とで引抜用金型3を構成し、円錐ダイス1とテー
パプラグ2のベアリング後端14、15を一致させ、粘
度400〜900Cst/40°Cの引抜加工油を使用
し、縮径肉比(押出管9の引抜加工前後の外径に関する
差分を分子とし、肉厚に関する差分を分母とする比)を
20未満としてアルミニウム管4の引抜加工を行なう。
Description
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、表面粗さがRmax=
1μm程度以下の高い表面平滑性を有するアルミまたは
アルミニウム合金管(以下これらを総称してアルミニウ
ム管と称する)と、このようなアルミニウム管を引抜加
工するための引抜用金型および引抜加工方法に関するも
のである。
1μm程度以下の高い表面平滑性を有するアルミまたは
アルミニウム合金管(以下これらを総称してアルミニウ
ム管と称する)と、このようなアルミニウム管を引抜加
工するための引抜用金型および引抜加工方法に関するも
のである。
【0002】
【従来の技術】表面粗さがRmax=1μm程度以下の
高い表面平滑性と光沢が要求される複写機の感光ドラム
等の製作においては、押出加工によって押し出したアル
ミニウムまたはアルミニウム合金製のパイプ素材(以下
押出管と称する)に引抜加工を施して所望の寸法精度と
表面平滑性を得るようにしている。このような高い表面
平滑性を有するアルミニウム管を製作するための引抜用
金型としては、従来から種々提案されているが、その中
の1つに特開昭63−188422号公報に開示された
ものが知られている。この引抜用金型は、円錐ダイスと
テーパプラグを用いて引き抜くもので、円錐ダイスのア
プローチ角を45〜75°、テーパプラグのアプローチ
角を10〜20°の範囲にそれぞれ設定することによ
り、従来必要とされていた引抜加工後のバフ研磨等の精
密切削加工工程が不要で、所望の表面平滑性と光沢を得
ることができるという利点を有している。なお、高い表
面平滑性を得る引抜加工条件のうち、それらの優先順位
は以下の通りである。 1) 金型の組み合わせ>引抜加工油粘度>縮径肉比 2) ダイス半角>アプローチ角>ベアリング長さ
高い表面平滑性と光沢が要求される複写機の感光ドラム
等の製作においては、押出加工によって押し出したアル
ミニウムまたはアルミニウム合金製のパイプ素材(以下
押出管と称する)に引抜加工を施して所望の寸法精度と
表面平滑性を得るようにしている。このような高い表面
平滑性を有するアルミニウム管を製作するための引抜用
金型としては、従来から種々提案されているが、その中
の1つに特開昭63−188422号公報に開示された
ものが知られている。この引抜用金型は、円錐ダイスと
テーパプラグを用いて引き抜くもので、円錐ダイスのア
プローチ角を45〜75°、テーパプラグのアプローチ
角を10〜20°の範囲にそれぞれ設定することによ
り、従来必要とされていた引抜加工後のバフ研磨等の精
密切削加工工程が不要で、所望の表面平滑性と光沢を得
ることができるという利点を有している。なお、高い表
面平滑性を得る引抜加工条件のうち、それらの優先順位
は以下の通りである。 1) 金型の組み合わせ>引抜加工油粘度>縮径肉比 2) ダイス半角>アプローチ角>ベアリング長さ
【0003】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上記し
た従来の引抜用金型にあっては唯一回の引抜加工だけで
は所望の表面平滑性を得ることができず、複数回繰り返
し行って順次縮径することにより、表面粗さがRmax
=1μm程度以下の最終製品を得る必要があった。その
ため、生産性をさらに向上させるに当たって越えること
のできない限界があり、また引き抜きを繰り返す度にハ
ンドリング上避けることができない傷を発生させるた
め、製品の歩留りを低下させるという問題もあった。
た従来の引抜用金型にあっては唯一回の引抜加工だけで
は所望の表面平滑性を得ることができず、複数回繰り返
し行って順次縮径することにより、表面粗さがRmax
=1μm程度以下の最終製品を得る必要があった。その
ため、生産性をさらに向上させるに当たって越えること
のできない限界があり、また引き抜きを繰り返す度にハ
ンドリング上避けることができない傷を発生させるた
め、製品の歩留りを低下させるという問題もあった。
【0004】したがって、本発明は上記したような従来
の問題点に鑑みてなされたもので、その目的とするとこ
ろは、僅か一回の引抜加工によって表面粗さがRmax
=1μm程度以下のアルミニウム管を製作することがで
き、生産性および歩留りの向上と、製造コストを低減し
得るようにしたアルミニウム管、引抜用金型および引抜
加工方法を提供することにある。
の問題点に鑑みてなされたもので、その目的とするとこ
ろは、僅か一回の引抜加工によって表面粗さがRmax
=1μm程度以下のアルミニウム管を製作することがで
き、生産性および歩留りの向上と、製造コストを低減し
得るようにしたアルミニウム管、引抜用金型および引抜
加工方法を提供することにある。
【0005】本発明者は上記目的を達成するため種々の
実験と研究を重ねた結果、素材の寸法形状、引抜加工
油、およびダイス、プラグの形状の組み合わせによって
表面粗さは大きく変化し、従来知られている引抜加工条
件と異なり、僅か一回の引抜加工だけで製品仕様を満足
する表面平滑性を得ることができる引抜加工条件を見出
すことができた。すなわち、ダイス半角およびベアリン
グ長さを5〜20°、2〜10mmの範囲に設定した円
錐ダイスと、アプローチ角およびベアリング長さを2〜
8°、0.5〜3mmの範囲に設定したテーパプラグと
で引抜加工用金型を構成し、円錐ダイスとテーパプラグ
のベアリング後端を一致させ、粘度400〜900Cs
t/40°Cの引抜加工油を使用し、縮径肉比(押出管
の引抜加工前後の外径に関する差分を分子とし、肉厚に
関する差分を分母とする比)を20未満としてアルミニ
ウム管の引抜加工を行なうものである。
実験と研究を重ねた結果、素材の寸法形状、引抜加工
油、およびダイス、プラグの形状の組み合わせによって
表面粗さは大きく変化し、従来知られている引抜加工条
件と異なり、僅か一回の引抜加工だけで製品仕様を満足
する表面平滑性を得ることができる引抜加工条件を見出
すことができた。すなわち、ダイス半角およびベアリン
グ長さを5〜20°、2〜10mmの範囲に設定した円
錐ダイスと、アプローチ角およびベアリング長さを2〜
8°、0.5〜3mmの範囲に設定したテーパプラグと
で引抜加工用金型を構成し、円錐ダイスとテーパプラグ
のベアリング後端を一致させ、粘度400〜900Cs
t/40°Cの引抜加工油を使用し、縮径肉比(押出管
の引抜加工前後の外径に関する差分を分子とし、肉厚に
関する差分を分母とする比)を20未満としてアルミニ
ウム管の引抜加工を行なうものである。
【0006】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するた
め、その第1の発明は、円錐ダイスとテーパプラグを組
合せてアルミニウム管を引抜加工する引抜用金型におい
て、円錐ダイスとテーパプラグはベアリング後端が互い
に一致するよう配置されているものである。第2の発明
は、上記第1の発明において、円錐ダイスのダイス半角
が5〜20°、プラグアプローチ角が2〜8°の範囲に
設定されているものである。第3の発明は、上記第1又
は第2の発明において、円錐ダイスのベアリング長さが
2〜10mmの範囲に設定されているものである。第4
の発明は、上記第1〜第3の発明の中のいずれか1つに
記載の発明において、テーパプラグのベアリング長さが
0.5〜3mmの範囲に設定されているものである。第
5の発明は上記第1〜第4の発明の中のいずれか1つの
発明に係る引抜用金型を用いてアルミニウム管を引抜加
工する引抜加工方法において、粘度が400〜900S
ct/40°Cである引抜加工油を用いたものである。
第6の発明は上記第5の発明に係る引抜加工方法におい
て、縮径肉比を20以下として引抜加工を行うようにし
たものである。第7の発明は上記第5又は第6の発明に
係る引抜加工方法による一回の引抜加工によって製作さ
れた表面粗さが最大1μm以下のアルミニウム管であ
る。
め、その第1の発明は、円錐ダイスとテーパプラグを組
合せてアルミニウム管を引抜加工する引抜用金型におい
て、円錐ダイスとテーパプラグはベアリング後端が互い
に一致するよう配置されているものである。第2の発明
は、上記第1の発明において、円錐ダイスのダイス半角
が5〜20°、プラグアプローチ角が2〜8°の範囲に
設定されているものである。第3の発明は、上記第1又
は第2の発明において、円錐ダイスのベアリング長さが
2〜10mmの範囲に設定されているものである。第4
の発明は、上記第1〜第3の発明の中のいずれか1つに
記載の発明において、テーパプラグのベアリング長さが
0.5〜3mmの範囲に設定されているものである。第
5の発明は上記第1〜第4の発明の中のいずれか1つの
発明に係る引抜用金型を用いてアルミニウム管を引抜加
工する引抜加工方法において、粘度が400〜900S
ct/40°Cである引抜加工油を用いたものである。
第6の発明は上記第5の発明に係る引抜加工方法におい
て、縮径肉比を20以下として引抜加工を行うようにし
たものである。第7の発明は上記第5又は第6の発明に
係る引抜加工方法による一回の引抜加工によって製作さ
れた表面粗さが最大1μm以下のアルミニウム管であ
る。
【0007】
【作用】本発明においては、ダイス半角およびベアリン
グ長さを各々5〜20°、2〜10mmの範囲に設定し
た円錐ダイスと、アプローチ角およびベアリング長さを
各々2〜8°、0.5〜3mmの範囲に設定したテーパ
プラグとで引抜用金型を構成し、円錐ダイスのベアリン
グ後端とテーパプラグのベアリング後端を互いに一致さ
せ、粘度400〜900Cst/40°Cの引抜加工油
を使用し、縮径肉比を20未満にすると、僅か一回の引
抜加工で従来と同等の表面平滑性を得ることがきる。円
錐ダイスのダイス半角が5°未満では押出管の外面とダ
イス内壁との接触長さが長くなって、引抜加工油の油切
れを起こし、焼き付きを生じる。一方、ダイス半角が2
0°を越えると、肌荒れを生じる。プラグアプローチ角
が2°〜8°の範囲を越えると肌荒れを生じる。プラグ
のベアリング長さは0.5mm未満であると、管の寸
法、真円度が不安定になり、3.0mmを越えると肌荒
れを生じ、表面平滑性を損なう。引抜加工油は粘度が4
00〜900Sct/40°Cの範囲であると、所期の
表面平滑性が得られ、400Sct/40°C未満であ
ると、油切れを起こして焼き付きを発生し、900Sc
t/40°Cを越えると油膜が厚くなり所期の表面平滑
性が得られなくなる。
グ長さを各々5〜20°、2〜10mmの範囲に設定し
た円錐ダイスと、アプローチ角およびベアリング長さを
各々2〜8°、0.5〜3mmの範囲に設定したテーパ
プラグとで引抜用金型を構成し、円錐ダイスのベアリン
グ後端とテーパプラグのベアリング後端を互いに一致さ
せ、粘度400〜900Cst/40°Cの引抜加工油
を使用し、縮径肉比を20未満にすると、僅か一回の引
抜加工で従来と同等の表面平滑性を得ることがきる。円
錐ダイスのダイス半角が5°未満では押出管の外面とダ
イス内壁との接触長さが長くなって、引抜加工油の油切
れを起こし、焼き付きを生じる。一方、ダイス半角が2
0°を越えると、肌荒れを生じる。プラグアプローチ角
が2°〜8°の範囲を越えると肌荒れを生じる。プラグ
のベアリング長さは0.5mm未満であると、管の寸
法、真円度が不安定になり、3.0mmを越えると肌荒
れを生じ、表面平滑性を損なう。引抜加工油は粘度が4
00〜900Sct/40°Cの範囲であると、所期の
表面平滑性が得られ、400Sct/40°C未満であ
ると、油切れを起こして焼き付きを発生し、900Sc
t/40°Cを越えると油膜が厚くなり所期の表面平滑
性が得られなくなる。
【0008】
【実施例】以下、本発明を図面に示す実施例に基づいて
詳細に説明する。図1は円錐ダイスの断面図、図2はテ
ーパプラグの一部破断正面図、図3は円錐ダイスとテー
パプラグを組合わせた引抜用金型の断面図である。これ
らの図において、1は円錐ダイス、2はテーパプラグ
で、テーパプラグ2を円錐ダイス1内にこれと実質的に
同軸に組み込むことによってアルミニウム管4の引抜用
金型3を構成している。
詳細に説明する。図1は円錐ダイスの断面図、図2はテ
ーパプラグの一部破断正面図、図3は円錐ダイスとテー
パプラグを組合わせた引抜用金型の断面図である。これ
らの図において、1は円錐ダイス、2はテーパプラグ
で、テーパプラグ2を円錐ダイス1内にこれと実質的に
同軸に組み込むことによってアルミニウム管4の引抜用
金型3を構成している。
【0009】前記円錐ダイス1は、円筒状に形成された
ダイスケース1Aと、ダイスケース1A内に焼きばめた
超鋼合金、セラミックス等からなるダイス本体1Bとで
構成されているが、ダイス本体1Bとしては焼きばめに
限らず、ダイスケース1Aと一体化させてダイス鋼、超
鋼合金等で製作されるものであってもよい。円錐ダイス
1の中央には直径Dのダイス孔5が形成されており、ま
たこのダイス孔5の内周面はアプローチ部6、ベアリン
グ部7およびレリーフ部8を形成している。アプローチ
部6は、押出管9の挿入側に傾斜するテーパ面とされ、
その傾斜角、すなわちダイス半角αは5〜20°の範囲
に設定されている。ダイス半角αが5°未満では押出管
9の外面とダイス内壁との接触長さが著しく長くなるこ
とから、焼き付き(潤滑切れ)を生じ、所望の表面平滑
性を得ることができず、20°を越えると肌荒れを生
じ、同様に目的とする表面平滑性を得ることができなく
なる。好ましいダイス半角αは10〜20°である。ベ
アリング部7は、アルミニウム管4の外径を規定するも
ので、その長さ(ベアリング長さ)L1 は2〜10mm
の範囲に設定されている。ベアリング長さL1 が2mm
未満ではアルミニウム管4の寸法、真円度が不安定とな
り、10mmを越えると引抜加工油の供給は円周方向に
一様でなくなり表面平滑性が不均一になる。好ましいベ
アリング長さL1 は3〜7mmである。レリーフ部8
は、アルミニウム管4の引抜方向(図3矢印A方向)に
適宜角度で傾斜するテーパ面とされる。
ダイスケース1Aと、ダイスケース1A内に焼きばめた
超鋼合金、セラミックス等からなるダイス本体1Bとで
構成されているが、ダイス本体1Bとしては焼きばめに
限らず、ダイスケース1Aと一体化させてダイス鋼、超
鋼合金等で製作されるものであってもよい。円錐ダイス
1の中央には直径Dのダイス孔5が形成されており、ま
たこのダイス孔5の内周面はアプローチ部6、ベアリン
グ部7およびレリーフ部8を形成している。アプローチ
部6は、押出管9の挿入側に傾斜するテーパ面とされ、
その傾斜角、すなわちダイス半角αは5〜20°の範囲
に設定されている。ダイス半角αが5°未満では押出管
9の外面とダイス内壁との接触長さが著しく長くなるこ
とから、焼き付き(潤滑切れ)を生じ、所望の表面平滑
性を得ることができず、20°を越えると肌荒れを生
じ、同様に目的とする表面平滑性を得ることができなく
なる。好ましいダイス半角αは10〜20°である。ベ
アリング部7は、アルミニウム管4の外径を規定するも
ので、その長さ(ベアリング長さ)L1 は2〜10mm
の範囲に設定されている。ベアリング長さL1 が2mm
未満ではアルミニウム管4の寸法、真円度が不安定とな
り、10mmを越えると引抜加工油の供給は円周方向に
一様でなくなり表面平滑性が不均一になる。好ましいベ
アリング長さL1 は3〜7mmである。レリーフ部8
は、アルミニウム管4の引抜方向(図3矢印A方向)に
適宜角度で傾斜するテーパ面とされる。
【0010】前記テーパプラグ2としては、本実施例の
場合ダイス鋼等の材質からなり後端が芯金(図3)10
に接続されるプラグ本体2Aと、プラグ本体2Aの外周
に焼きばめられたダイス鋼、超硬合金、セラミックス等
の材質からなる環状のプラグチップ2Bの2部材で構成
されているが、これに限らずプラグ本体2Aとプラグチ
ップ2Bをダイス鋼等で一体に製作したものであっても
よい。テーパプラグ2の外周面にはアプローチ部11、
ベアリング部12およびレリーフ部13が前記円錐ダイ
ス1のアプローチ部6、ベアリング部7およびレリーフ
部8に対応して形成されている。アプローチ部11は、
押出管9の挿入側に傾斜するテーパ面とされ、その傾斜
角、すなわちプラグアプローチ角βは2〜8°の範囲に
設定されている。プラグアプローチ角βが2°未満では
アルミニウム管4の内面の所期する平滑性が得られなく
なる。逆に8°を越えると内面の肌荒れを生じ、同様に
内面平滑性が得られなくなる。好ましいプラグアプロー
チ角βは2〜6°である。ベアリング部12の長さ(ベ
アリング長さ)L2 は特に限定されるものではないが、
0.5mm〜3.0mmの範囲に設定することが好まし
い。すなわち、ベアリング長さL2 が0.5mm未満で
はアルミニウム管4の内径寸法、真円度が不安定になる
恐れがあり、逆に3.0mmを越えると肌荒れを生じ内
面平滑性を損なう恐れがあるからである。レリーフ部1
3は、アルミニウム管4の引抜方向(図3矢印A方向)
に適宜角度で傾斜するテーパ面とされる。
場合ダイス鋼等の材質からなり後端が芯金(図3)10
に接続されるプラグ本体2Aと、プラグ本体2Aの外周
に焼きばめられたダイス鋼、超硬合金、セラミックス等
の材質からなる環状のプラグチップ2Bの2部材で構成
されているが、これに限らずプラグ本体2Aとプラグチ
ップ2Bをダイス鋼等で一体に製作したものであっても
よい。テーパプラグ2の外周面にはアプローチ部11、
ベアリング部12およびレリーフ部13が前記円錐ダイ
ス1のアプローチ部6、ベアリング部7およびレリーフ
部8に対応して形成されている。アプローチ部11は、
押出管9の挿入側に傾斜するテーパ面とされ、その傾斜
角、すなわちプラグアプローチ角βは2〜8°の範囲に
設定されている。プラグアプローチ角βが2°未満では
アルミニウム管4の内面の所期する平滑性が得られなく
なる。逆に8°を越えると内面の肌荒れを生じ、同様に
内面平滑性が得られなくなる。好ましいプラグアプロー
チ角βは2〜6°である。ベアリング部12の長さ(ベ
アリング長さ)L2 は特に限定されるものではないが、
0.5mm〜3.0mmの範囲に設定することが好まし
い。すなわち、ベアリング長さL2 が0.5mm未満で
はアルミニウム管4の内径寸法、真円度が不安定になる
恐れがあり、逆に3.0mmを越えると肌荒れを生じ内
面平滑性を損なう恐れがあるからである。レリーフ部1
3は、アルミニウム管4の引抜方向(図3矢印A方向)
に適宜角度で傾斜するテーパ面とされる。
【0011】上記構成からなるテーパプラグ2は図3に
示すように円錐ダイス1の中心孔5内にベアリング部7
および12が互いに全周に亙って一定の隙間を保って対
向するように中心軸線を互いに一致させて、またこれら
両ベアリング部7、12の後端(ベアリング後端)1
4、15が対応一致するように、すなわち軸線方向の位
置を一致させて挿入されることにより、円錐ダイス1と
共に引抜用金型3を構成する。この場合、テーパプラグ
2のベアリング後端15が円錐ダイス1のベアリング後
端14より引抜方向に変位すると、表面平滑性が急激に
低下し、逆に引抜方向と反対の方向に変位すると、表面
平滑性は徐々に低下する。そして、押出機によって押し
出された押出管9を引き抜いて縮径する。引抜きに際し
ては、縮径肉比を20以下とし、粘度が400〜900
Sct/40°Cである引抜加工油を用いると、一回の
引抜加工によって表面粗さが最大1μm以下のアルミニ
ウム管4を得ることができる。
示すように円錐ダイス1の中心孔5内にベアリング部7
および12が互いに全周に亙って一定の隙間を保って対
向するように中心軸線を互いに一致させて、またこれら
両ベアリング部7、12の後端(ベアリング後端)1
4、15が対応一致するように、すなわち軸線方向の位
置を一致させて挿入されることにより、円錐ダイス1と
共に引抜用金型3を構成する。この場合、テーパプラグ
2のベアリング後端15が円錐ダイス1のベアリング後
端14より引抜方向に変位すると、表面平滑性が急激に
低下し、逆に引抜方向と反対の方向に変位すると、表面
平滑性は徐々に低下する。そして、押出機によって押し
出された押出管9を引き抜いて縮径する。引抜きに際し
ては、縮径肉比を20以下とし、粘度が400〜900
Sct/40°Cである引抜加工油を用いると、一回の
引抜加工によって表面粗さが最大1μm以下のアルミニ
ウム管4を得ることができる。
【0012】縮径肉比(ΔD/Δt)は、引抜加工にお
いて主に管外径を収縮させる塑性変形か、あるいは主と
して肉厚を収縮させる塑性変形かを区分する指標となる
もので、20以下に規定したのは、縮径肉比が20を越
えると外径を収縮させる塑性変形に仕事のかなりの部分
が費やされ、ダイスベアリングとプラグベアリングを挟
む、所謂肉厚方向のしごき加工が十分に行なわれないた
め、所定の表面平滑性を得ることができなくなるからで
ある。縮径肉比の好ましい値は10以下である。
いて主に管外径を収縮させる塑性変形か、あるいは主と
して肉厚を収縮させる塑性変形かを区分する指標となる
もので、20以下に規定したのは、縮径肉比が20を越
えると外径を収縮させる塑性変形に仕事のかなりの部分
が費やされ、ダイスベアリングとプラグベアリングを挟
む、所謂肉厚方向のしごき加工が十分に行なわれないた
め、所定の表面平滑性を得ることができなくなるからで
ある。縮径肉比の好ましい値は10以下である。
【0013】粘度400〜900Sct/40°Cの引
抜加工油を用いたのは、この範囲の粘度において優れた
表面の平滑性が得られ、粘度400Sct/40°C未
満または900Sct/40°Cを越える引抜加工油を
用いると、いずれも目的とする表面の平滑性が得られな
くなる。引抜加工において、一般には引抜加工油の粘度
の増加に伴って、ダイスとアルミニウム管外表面との間
に形成される油膜が厚くなる傾向にある。同一加工条件
で引抜加工油の粘度を変数とすると、高粘度となるほど
表面粗さは粗となる。したがって、ある基準を越える高
粘度側では塑性変形によって期待できる表面平滑性が仕
様を満足しないこととなる。逆にある基準以下の低粘度
側では油膜が異常に薄くなることから潤滑切れを起こ
し、焼き付き発生に至る可能性が高いと推察される。
抜加工油を用いたのは、この範囲の粘度において優れた
表面の平滑性が得られ、粘度400Sct/40°C未
満または900Sct/40°Cを越える引抜加工油を
用いると、いずれも目的とする表面の平滑性が得られな
くなる。引抜加工において、一般には引抜加工油の粘度
の増加に伴って、ダイスとアルミニウム管外表面との間
に形成される油膜が厚くなる傾向にある。同一加工条件
で引抜加工油の粘度を変数とすると、高粘度となるほど
表面粗さは粗となる。したがって、ある基準を越える高
粘度側では塑性変形によって期待できる表面平滑性が仕
様を満足しないこととなる。逆にある基準以下の低粘度
側では油膜が異常に薄くなることから潤滑切れを起こ
し、焼き付き発生に至る可能性が高いと推察される。
【0014】次に、本発明の実施例について説明する。
A3003アルミニウム合金からなる外径31.0mm
φ、内径29.2mmφ、肉厚0.9mmと、外径3
4.0mmφ、内径32.4mmφ、肉厚0.8mmの
2種類の押出管(調質H112)を多数本用意し、これ
らの押出管に対し上記した引抜加工条件で引抜加工を一
回実施して外径30.0mmφ、内径28.6mmφ、
肉厚0.7mmのアルミニウム管を製作し、その表面粗
さを測定した。その結果を表1に示す。
A3003アルミニウム合金からなる外径31.0mm
φ、内径29.2mmφ、肉厚0.9mmと、外径3
4.0mmφ、内径32.4mmφ、肉厚0.8mmの
2種類の押出管(調質H112)を多数本用意し、これ
らの押出管に対し上記した引抜加工条件で引抜加工を一
回実施して外径30.0mmφ、内径28.6mmφ、
肉厚0.7mmのアルミニウム管を製作し、その表面粗
さを測定した。その結果を表1に示す。
【0015】
【表1】
【0016】上記表1に示す結果から明らかなように、
この発明に係る引抜用金型を用いて引抜加工を行なえ
ば、僅か一回の引抜加工を行なうだけで従来と同等の表
面粗さ、すなわちRmax=1μm以下の表面平滑性を
有するアルミニウム管を得ることができ、従来よりも生
産性および歩留まりを向上させることができ、安価に提
供することが可能である。
この発明に係る引抜用金型を用いて引抜加工を行なえ
ば、僅か一回の引抜加工を行なうだけで従来と同等の表
面粗さ、すなわちRmax=1μm以下の表面平滑性を
有するアルミニウム管を得ることができ、従来よりも生
産性および歩留まりを向上させることができ、安価に提
供することが可能である。
【0017】次に、表2に押出管、金型等の引抜加工条
件を固定し、引抜加工油の粘度のみを変数として引抜加
工を実施し、その表面粗さを測定したところ、表2に示
す結果が得られた。
件を固定し、引抜加工油の粘度のみを変数として引抜加
工を実施し、その表面粗さを測定したところ、表2に示
す結果が得られた。
【0018】
【表2】
【0019】表2から明らかなように粘度400Sct
/40°C未満または900Sct/40°Cを越える
引抜加工油を用いると、いずれも目的とする表面の平滑
性が得られなくなる。なお、表面平滑性が優れているも
のに対しては◎、良好なものに対しては○印、不可の対
しては×印で表した。
/40°C未満または900Sct/40°Cを越える
引抜加工油を用いると、いずれも目的とする表面の平滑
性が得られなくなる。なお、表面平滑性が優れているも
のに対しては◎、良好なものに対しては○印、不可の対
しては×印で表した。
【0020】なお、本実施例においてはテーパプラグ2
を芯金10によって支持した芯金方式により引抜加工を
行なう場合について説明したが、本発明はこれに特定さ
れるものではなく、テーパプラグ2を固定しない浮きプ
ラグ式の引抜用金型として引抜加工を行なってもよいこ
とは勿論である。
を芯金10によって支持した芯金方式により引抜加工を
行なう場合について説明したが、本発明はこれに特定さ
れるものではなく、テーパプラグ2を固定しない浮きプ
ラグ式の引抜用金型として引抜加工を行なってもよいこ
とは勿論である。
【0021】
【発明の効果】以上説明したように本発明に係る引抜用
金型および引抜加工方法によれば僅か一回の引抜加工に
より、表面粗さが最大1μm以下の表面平滑性を有する
アルミニウム管を製作することができる。その結果、従
来よりも生産性および歩留まりを向上させることがで
き、安価なアルミニウム管を提供することが可能であ
る。
金型および引抜加工方法によれば僅か一回の引抜加工に
より、表面粗さが最大1μm以下の表面平滑性を有する
アルミニウム管を製作することができる。その結果、従
来よりも生産性および歩留まりを向上させることがで
き、安価なアルミニウム管を提供することが可能であ
る。
【図1】円錐ダイスの断面図である。
【図2】テーパプラグの一部破断正面図である。
【図3】本発明に係る引抜用金型の断面図である。
1 円錐ダイス 2 テーパプラグ 3 引抜用金型 4 アルミニウム管 6 アプローチ部 7 ベアリング部 8 レリーフ部 9 押出管 11 アプローチ部 12 ベアリング部 13 レリーフ部 14、 15 ベアリング後端 L1 、L2 ベアリング長さ α ダイス半角 β プラグアプローチ角
Claims (7)
- 【請求項1】 円錐ダイスとテーパプラグを組合せてア
ルミニウム管を引抜加工する引抜用金型において、円錐
ダイスとテーパプラグはベアリング後端が互いに一致す
るよう配置されていることを特徴とする引抜用金型。 - 【請求項2】 請求項1記載の引抜用金型において、円
錐ダイスのダイス半角が5〜20°、テーパプラグのプ
ラグアプローチ角が2〜8°の範囲に設定されているこ
とを特徴とする引抜用金型。 - 【請求項3】 請求項1又は2記載の引抜用金型におい
て、円錐ダイスのベアリング長さが2〜10mmの範囲
に設定されていることを特徴とする引抜用金型。 - 【請求項4】 請求項1〜3の中のいずれか1つに記載
の引抜用金型において、テーパプラグのベアリング長さ
が0.5〜3mmの範囲に設定されていることを特徴と
する引抜用金型。 - 【請求項5】 請求項1〜4の中のいずれか1つに記載
の引抜用金型により、粘度が400〜900Sct/4
0°Cである引抜加工油を用いてアルミニウム管を引抜
加工することを特徴とする引抜加工方法。 - 【請求項6】 請求項5記載の引抜加工方法において、
縮径肉比を20以下として引抜加工を行うことを特徴と
する引抜加工方法。 - 【請求項7】 請求項5又は6記載の引抜加工方法によ
る1回の引抜加工によって製作された表面粗さが最大1
μm以下のアルミニウム管。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP11676792A JPH05285528A (ja) | 1992-04-10 | 1992-04-10 | アルミニウム管、引抜用金型および引抜加工方法 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP11676792A JPH05285528A (ja) | 1992-04-10 | 1992-04-10 | アルミニウム管、引抜用金型および引抜加工方法 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH05285528A true JPH05285528A (ja) | 1993-11-02 |
Family
ID=14695230
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP11676792A Pending JPH05285528A (ja) | 1992-04-10 | 1992-04-10 | アルミニウム管、引抜用金型および引抜加工方法 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JPH05285528A (ja) |
Cited By (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2010139040A (ja) * | 2008-12-15 | 2010-06-24 | Mitsubishi Cable Ind Ltd | メタルoリング及びその製造方法 |
CN108126994A (zh) * | 2017-07-27 | 2018-06-08 | 中国航发哈尔滨东安发动机有限公司 | 一种薄壁铝合金管材拉拔模具 |
-
1992
- 1992-04-10 JP JP11676792A patent/JPH05285528A/ja active Pending
Cited By (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2010139040A (ja) * | 2008-12-15 | 2010-06-24 | Mitsubishi Cable Ind Ltd | メタルoリング及びその製造方法 |
CN108126994A (zh) * | 2017-07-27 | 2018-06-08 | 中国航发哈尔滨东安发动机有限公司 | 一种薄壁铝合金管材拉拔模具 |
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