JPH0528469A - 金属薄膜型磁気記録媒体 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】 ヘッドの低浮上化およびトラック密度の向上
が可能な金属薄膜型磁気記録媒体を提供する。 【構成】 非磁性の基板(1) に非磁性の下地層(2) を介
して磁気記録層(3) を積層形成した金属薄膜型磁気記録
媒体において、基板(1) 又は下地層(2) の上に、上面が
平坦な凸部(5) が同心状又はら線状に形成されている。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明は記録密度の高い金属薄膜
型磁気記録媒体に関する。

【０００２】

【従来の技術】近年、磁気記録媒体の高密度記録化に伴
って、ＣｏＮｉＣｒ、ＣｏＣｒＴａ等の一軸結晶磁気異
方性を有するＣｏ合金を非磁性基板上にＣｒ下地層を介
して成膜した金属薄膜型磁気記録媒体が用いられてい
る。前記非磁性基板としては、通常、Ａｌ合金板上に剛
性確保のために10〜20μmの非晶質Ｎi −Ｐメッキ層が
形成されたもの（以下、単にアルミ基板という。)が使
用されている。前記基板には、媒体表面と磁気ヘッドと
の接触抵抗を軽減し、耐久性を向上させるためにテキス
チャーと呼ばれる凹凸加工が施されている。テキスチャ
ーはラッピングテープ又は遊離砥粒により機械的に形成
されている。

【０００３】

【発明が解決しようとする課題】前記Ｃｏ合金の使用に
より、磁気記録層自体の保磁力が向上し、これによって
記録密度の向上が図られたが、より高密度化が要望され
ている。このためには、ディスク (磁気記録媒体) の円
周方向の記録密度 (線密度) の向上および径方向のトラ
ック密度の向上が不可欠である。

【０００４】しかし、アルミ基板のテキスチャーは、デ
ィスクの円周方向に比較的粗いピッチで凹凸が形成され
るため、耐久性は良好であるが、凹凸の高低差が大きく
不均一なため平滑性に劣り、ヘッドの低浮上化が困難
で、磁気ヘッドと媒体の磁気記録層との距離が大きくな
り電磁変換特性を低下させ、線密度の向上に問題があ
る。

【０００５】また、磁気ヘッドのトラックに対する位置
決めは、ディスクに位置決め用の情報を記録しておき、
これをデータヘッドや位置決め情報の読出し専用のサー
ボヘッドによって読み取り、データヘッドをトラックに
追従させる方式 (サーボ方式) で行われているため、ト
ラック間隔を小さくすることにも限度があり、トラック
密度の向上にも問題がある。

【０００６】本発明はかかる問題に鑑みなされたもの
で、ヘッドの低浮上化およびトラック密度の向上が可能
な金属薄膜型磁気記録媒体を提供することを目的とす
る。

【０００７】

【課題を解決するための手段】本発明の金属薄膜型磁気
記録媒体は、非磁性の基板に非磁性の下地層を介して磁
気記録層を積層形成した金属薄膜型磁気記録媒体におい
て、基板又は下地層の上に、上面が平坦な凸部が同心状
又はら線状に形成されている。この際、前記凸部の幅
は、ヘッドのトラック幅と略同等にするのがよい。

【０００８】

【作用】基板又は下地層の上に形成された凸部はテキス
チャーとして機能するため、耐久性が確保される。ま
た、該凸部は同心状又はら線状で、かつその上面が平坦
であるため、磁気ヘッドの相対的な走行面が平坦とな
り、グライドハイトを低くすることができ、低浮上化ひ
いては線密度の向上を図ることができる。また、凸部の
段差をレーザ光等の光学的手段により検出することによ
って、トラックの位置検出を正確かつ容易に行なうこと
ができる。この位置検出は凸部の間隔が小さくても可能
なため、凸部に対応して形成されるトラックの間隔を小
さくすることができ、トラック密度の向上を図ることが
できる。また、凸部の幅をヘッドのトラック幅と略等し
くすることにより、凸部に沿って円周方向の磁気異方性
を生じさせることができ、線密度の一層の向上を図るこ
とができる。

【０００９】

【実施例】図１および図２は、実施例に係る金属薄膜型
磁気記録媒体の要部断面図および平面図を示しており、
非磁性基板1 の上にＣr 下地層2 、磁気記録層3 および
非磁性の保護層4 がこの順序で積層形成されており、前
記基板1 の上には、上面が平坦な凸部5 が同心状または
ら線状に形成されている。尚、図１は、図２Ａ−Ａ線上
の要部断面である。

【００１０】前記非磁性基板1 としては、アルミ基板の
みならずガラス基板、セラミックス基板等、ある程度の
剛性のある非磁性材ならいずれのものも使用可能であ
る。前記凸部5 は、第３図に示すように、まず基板1 の
上に該凸部5 とほぼ同じ高さの平坦層11を形成する（工
程Ａ, Ｂ) 。次に、その上に、レジスト層12を塗布し
(工程Ｃ) 、フォトリソグラフィーにより、レジスト層1
2に凸部に対応したパタンを露光し、現象後、未露光部
分を除去する（工程Ｄ) 。次に、平坦層11をエッチング
し、レジシストの除去された部分を除去し（工程Ｅ) 、
最後にパタン露光部のレジスト層12を除去することによ
り一様な方形断面形状に形成されている。

【００１１】前記平坦層11は、金属又は酸化物等 (例え
ば、Ｃｒ，ＮｉＰ，Ａｌ，Ｂｉ，Ａｕ，Ａｇ，Ｃ，Ｓｉ
Ｏ₂ ，ＴｉＮ，ＺｒＯ₂ ）を用いて、物理蒸着法（例え
ばスパッタ、イオンビームスパッタ、イオンクラスター
ビームスパッタ、真空蒸着）により鏡面加工された基板
上に形成される。凸部5 の高さＨは、500 〜2000Å程度
にするのがよい。 500Å未満では、テキスチャーとして
の作用が不足し、耐久性が低下する。一方、2000Åを越
えると平滑性が損なわれ、グライド特性ひいては磁気ヘ
ッドとの電磁変換特性が低下する。また、凸部5 の幅Ｌ
₁ は、ノイズ特性の点からヘッドのトラック幅Ｔｗにす
るのがよい。一方、凸部5 相互間の凹部の幅Ｌ₂ は、ト
ラック密度をＴｄ(TPI) としたとき、Ｌ＝ (ｒ₀ −ｒ₁)
／Ｔｄ−Ｔｗとされる。尚、（ｒ₀ −ｒ₁)はトラックの
有効幅 (記録領域として使用できる半径方向の幅) であ
る。

【００１２】前記Ｃｒ下地層2 は、その上に形成される
磁気記録層3 の一軸結晶磁気異方性を示すＣｏ合金 (結
晶構造ｈｃｐ）のＣ軸（磁気異方性を示す結晶軸）を面
内配向させるために形成されるもので、通常 500〜2000
Å程度の厚さに形成される。前記磁気記録層3 は、既述
の通り、ＣｏＮｉＣｒ、ＣｏＣｒＴａ、ＣｏＣｒＰｔ等
の一軸結晶磁気異方性を示すＣｏ合金で形成される。
尚、磁気記録層はＣｏ合金を単層に形成したものに限ら
ず、Ｃｏ合金層とＣｒ層とを交互に複層形成したもの
（最上層はＣｏ合金層）でもよい。磁気記録層3 の層厚
（Ｃｏ合金単層ならその層厚、複層ならＣｏ合金層の合
計厚）は通常 600〜800 Åとされる。再生出力の確保と
ノイズ低減のためには、磁気記録媒体としてＢｒδが40
0〜600 Ｇ・μ程度のものが要求されているからであ
る。

【００１３】前記磁気記録層3 の上にはカーボン等から
なる非磁性の保護層4 が 200〜400Å程度形成されてお
り、更にその上にフッ素化ポリエーテル等の潤滑剤を10
〜50Å程度塗布してもよい。尚、前記保護層4 や潤滑剤
塗布層は必要に応じて形成すればよい。尚、平坦層、Ｃ
ｒ下地層、磁気記録層、保護層は、スパッタ、イオンビ
ームスパッタ、イオンクラスタービームスパッタ、真空
蒸着などの物理蒸着法によって成膜される。

【００１４】次に具体的実施例を掲げる。 (1) 表１に示した基板を用いて、その上に同表の凸部を
同心状に形成した。凸部の形成は、図３の要領で行っ
た。尚、従来例は、Ａｌ₂ Ｏ₃ 微粉を塗布した研摩テー
プを用いてアルミ基板に円周方向テキスチャーを形成し
たものである。

【００１５】

【表１】

【００１６】(2) (1) の基板を用いて、Ａｒ圧 7 mtor
r、基板温度 250℃でプレＣｒ下地層を1000Å形成し、
該プレＣｒ下地層上に− 300Ｖのバイアス電圧を印加し
て、Ｃｒ下地層を1500Å、Ｃｏ合金単層からなる磁気記
録層 850Å、Ｃ保護層300Åを成膜し、媒体試料を得
た。 (3) これらの試料を用いて、グライドハイト並びに磁気
的特性および電気的特性を調べた。グライドハイトは、
ピエゾ素子をカンチレバータイプに取付けた薄膜ヘッド
(ＡＢＳ幅１／mil 、15gf) を用い、回転数を下げる方
法で測定した。スレショールドは 0.3Ｖである。磁気特
性は振動試料型磁力計 (ＶＳＭ) を用い、外部印加磁場
5ＫＯe で測定した。電気的特性は、トラック幅Ｔｗ11
μ、ギャップ長 0.45 μ、巻数30turn、ＦＨ＝0.1 μm
(実施例1 〜3)及びＦＨ＝0.15μm(従来例) の薄膜ヘッ
ドを用いて、ディスク回転数3600ｒｐｍ、周波数５ＭＨ
z 、回転中心より半径ｒ＝23.5μm 位置で測定した。測
定結果を表２に示す。尚、同表中ＯＲ（オリエンテーシ
ョン）は、半径方向に対する周方向の残留磁束密度の比
を示す。

【００１７】

【表２】

【００１８】(4) 表２より、実施例は従来例に対してグ
ライドハイトが30〜40％低く、電磁変換特性の改善ひい
ては線密度の著しい向上が期待できる。また、実施例１
および３はＯＲ＝１で円周方向の磁気異方性は得られ
ず、磁気的特性が従来例に対してやや劣るが、Ｎ（ノイ
ズ）が小さく又Ｓ／Ｎが大きく、電気的特性に優れてい
る。一方、実施例２はＯＲ＝1.4 と従来例と同程度の磁
気的特性が得られ、しかもトラック部の表面が平坦で規
則的であるため、Ｓ／Ｎの向上が著しい。

【００１９】

【発明の効果】以上説明した通り、本発明の金属薄膜型
磁気記録媒体は、基板又は下地層の上に上面が平坦な凸
部が同心状又はら線状に形成されているので、該凸部に
よって耐久性と平滑性とを兼備することができ、平滑性
によりヘッドの低浮上化を図ることができ、線記録密度
を向上させることができる。また、凸部が規則的に形成
されているため、凹部を光学的に検出することにより、
凸部に対応するトラックの位置検出を容易に行なうこと
ができ、トラック密度の向上も図ることができる。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明の金属薄膜型磁気記録媒体の要部断面図
である。

【図２】同磁気記録媒体の平面図である。

【図３】基板に凸部を形成する場合のプロセス図であ
る。

【符号の説明】

1 非磁性基板 2 Ｃｒ下地層 3 磁気記録層 4 保護層 5 凸部

───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 遠藤 功 大阪府大阪市浪速区敷津東１丁目２番47号 株式会社クボタ内

Claims (2)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 非磁性の基板に非磁性の下地層を介して
   磁気記録層を積層形成した金属薄膜型磁気記録媒体にお
   いて、 基板又は下地層の上に、上面が平坦な凸部が同心状又は
   ら線状に形成されていることを特徴とする金属薄膜型磁
   気記録媒体。
2. 【請求項２】 凸部の幅がヘッドのトラック幅と略同等
   である請求項１に記載の金属薄膜型磁気記録媒体。