JP2000113443A - 磁気記録媒体及び磁気ディスク装置 - Google Patents

磁気記録媒体及び磁気ディスク装置

Info

Publication number
JP2000113443A
JP2000113443A JP10280241A JP28024198A JP2000113443A JP 2000113443 A JP2000113443 A JP 2000113443A JP 10280241 A JP10280241 A JP 10280241A JP 28024198 A JP28024198 A JP 28024198A JP 2000113443 A JP2000113443 A JP 2000113443A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
magnetic
film
recording medium
magnetic recording
substrate
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Withdrawn
Application number
JP10280241A
Other languages
English (en)
Inventor
Kenji Sato
賢治 佐藤
Yuki Yoshida
祐樹 吉田
Iwao Okamoto
巌 岡本
Masaki Shinohara
正喜 篠原
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Fujitsu Ltd
Original Assignee
Fujitsu Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Fujitsu Ltd filed Critical Fujitsu Ltd
Priority to JP10280241A priority Critical patent/JP2000113443A/ja
Publication of JP2000113443A publication Critical patent/JP2000113443A/ja
Withdrawn legal-status Critical Current

Links

Landscapes

  • Magnetic Record Carriers (AREA)
  • Manufacturing Of Magnetic Record Carriers (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】 耐衝撃性に優れたガラス等を基板として使用
することができ、基板と下地膜との間に密着層を介在さ
せることが不要であり、しかも、高い再生出力に結びつ
く高い保磁力を有するとともに、ノイズを低減し、S/
N比を向上させることのできる高密度記録が可能な磁気
記録媒体を提供すること。 【解決手段】 非磁性の基板上に磁性金属材料からなる
磁性膜を設けてなりかつ、基板と磁性膜との間に、磁性
膜の磁化容易方向を膜面内とすることを目的としかつク
ロムを主成分するCr系下地膜が介在せしめられてなる
磁気記録媒体において、基板とCr系下地膜との間に、
基板に隣接する形で、クロムを主成分としかつ燐を含有
する追加のCrP系下地膜がさらに設けられているよう
に構成する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は磁気記録媒体に関
し、さらに詳しく述べると、高い保磁力Hcにより高密
度記録を可能とするとともに、再生出力及びS/N比を
向上させ、また、基板から下地膜に及ぼされる悪影響を
防止した磁気記録媒体に関する。本発明はまた、このよ
うな磁気記録媒体を使用した、情報の記録及び再生を行
うための磁気ディスク装置に関する。
【0002】
【従来の技術】情報処理技術の発達に伴い、コンピュー
タの外部記憶装置に用いられる磁気ディスク装置に対し
て高密度化の要求が高まっている。具体的には、かかる
磁気ディスク装置の再生ヘッド部において、従来の巻線
型のインダクティブ薄膜磁気ヘッドに代えて、磁界の強
さに応じて電気抵抗が変化する磁気抵抗素子を使用した
磁気抵抗効果型ヘッド、すなわち、MRヘッドを使用す
ることが主流になっている。MRヘッドは、磁性体の電
気抵抗が外部磁界により変化する磁気抵抗効果を記録媒
体上の信号の再生に応用したもので、従来のインダクテ
ィブ薄膜磁気ヘッドに較べて数倍も大きな再生出力幅が
得られること、イングクタンスが小さいこと、大きなS
/N比が期待できること、などを特徴としている。ま
た、このMRヘッドとともに、異方性磁気抵抗効果を利
用したAMRヘッド、巨大磁気抵抗効果を利用したGM
Rヘッド、そしてその実用タイプであるスピンバルブG
MRヘッドの使用も始まっている。
【0003】さらに、高密度記録の要求を満たすため
に、磁気ディスク装置において用いられるべき磁気記録
媒体においても、上記したMRヘッド、AMRヘッドあ
るいはGMRヘッド(スピンバルブヘッドを含む)に対
応する特性が必要である。磁気記録媒体では、高い保磁
力Hcにより高密度記録を可能とするとともに、S/N
比の向上のため、特に低ノイズであることが求められて
いる。
【0004】従来の技術では、通常、磁気記録媒体の製
造のため、アルミニウム基板などのような非磁性の基板
上にコバルトを主成分とする合金からなる磁性膜を形成
している。また、基板と磁性膜の間には、クロムあるい
はその合金からなる非磁性下地膜が介在せしめられてい
る。この非磁性下地膜は、磁性膜の磁化容易方向を膜面
内とすることを目的としている。さらにこのCr系下地
膜の上にコバルトを主成分とする合金からなる磁性膜を
形成している。また、アルミニウム基板の場合には、一
般的には硬度を高めるために、その基板の表面にNiP
メッキが施されている。さらに、このような磁気記録媒
体において低ノイズ化を達成するため、磁性粒子間の磁
気的相互作用の切断のために追加の合金元素を添加する
こと、磁性膜を構成する磁性粒子の粒径を小さくするこ
と、などが行われている。例えば、特開昭63−148
411号公報には、高密度記録装置に好適な、低ノイズ
高密度記録用磁気記録媒体が開示されている。この磁気
記録媒体は、その磁性膜が、Co−Ni系合金あるいは
Co−Cr系合金に対して、第3の添加元素として、T
a、Mo、Wのいずれか、もしくはそれらの合金を添加
したことを特徴としている。
【0005】ところで、最近の傾向として、ノート型パ
ソコンに搭載する磁気ディスク装置を考慮した場合、ア
ルミニウム基板に代えて耐衝撃性に優れたガラスあるい
はそれに類する基板を磁気記録媒体の基板として使用す
ることが望ましい。ガラス基板を有する磁気記録媒体は
すでに多数が報告されており、例えば、特開平7−73
427号公報は、図1に断面で略示するように、ガラス
基板21と、その上に形成された、非磁性基板側に形成
された第1の層(クロムを含む)22と磁性層側に形成
された第2の層(クロム及びモリブデンを含む)23と
を備えた下地層と、コバルト及び白金が含まれている磁
性層24とを有する磁気記録媒体20を開示している。
磁性層24上にはクロム層25a及びカーボン層25b
からなる保護層25が設けられており、保護層25上に
はさらに潤滑層26が施されている。また、特開平8−
227516号公報は、図2に断面で略示するように、
ガラス基板31と、その上に順次形成された、アルミニ
ウム(Al)薄膜32a、Cr薄膜32b、CoMo薄
膜32c、第1磁性層33、非磁性層34、第2磁性層
35、第1保護層36a、第2保護層36b、そして潤
滑層37とを有する磁気記録媒体30を開示している。
【0006】しかしながら、磁気記録媒体の基板として
ガラス基板を使用した場合には、その基板の上にCr、
CrMoなどのCr系下地膜を直接に成膜しただけで
は、満足し得るS/N比を得ることができない。実際、
磁気記録媒体においてガラス基板を用いた場合、通常の
Cr系下地膜では媒体ノイズが異常に増加するというこ
とが認識されている。
【0007】良好なS/N比を得るための別の手法とし
て、従来広く使用されている、非磁性NiP膜を表面に
有するアルミニウム基板に対する「テクスチャ処理」を
利用することも考えられる。すなわち、アルミニウム基
板の表面に対してテクスチャ処理を施すことによって、
磁性膜の磁化容易方向をさらに円周方向に向かせること
ができ、よって、S/N比の向上に寄与することができ
るからである。しかし、本発明者らの知見によると、ア
ルミニウム基板に代えてガラス基板の表面にテクスチャ
処理を施した場合、アルミニウム基板の場合と同様な、
円周方向への磁気異方性は生じない。
【0008】良好なS/N比を得るためのさらに別の手
法として、従来のアルミニウム基板などと同様に、Ni
P膜をメッキ法やスパッタ法で成膜することが考えられ
る。しかし、ガラス基板の上にNiP膜を成膜する場
合、使用する成膜方法にかかわらず、基板に対するNi
P膜の密着性が悪く、密着性の改良が必要である。密着
性向上の方法としては、例えば、Cr、Tiなどの密着
層をNiP膜の下に設ける方法や、基板の表面をテクス
チャ処理して表面粗さ(平均)Raが0.5μm程度ま
で粗らす方法を採用することができる。しかし、前者の
方法は製造工程が複雑になるなどの不都合を伴い、後者
の方法は加工性に劣るなどの欠点を有している。さら
に、NiP膜自体にも、それをメッキ法で成膜する場
合、数μm程度の厚さとなり、媒体の耐衝撃性は基板の
硬さよりもむしろNiP膜に強く依存するようになり、
結果として媒体の耐衝撃性が低下することとなる。ま
た、メッキの場合、NiP膜の表面をポリッシュ処理す
る必要がある。NiP膜を使用しなくとも、それと同等
もしくはそれ以上の良好なS/N比を保証し得る磁気記
録媒体を提供することが望ましい。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、上記
したような従来の技術のいろいろな問題点を解決して、
耐衝撃性に優れたガラスあるいはそれに類する非磁性材
料を基板として使用することができるものでり、しか
し、下地膜の密着性が良好であるので、従来の技術のよ
うに基板と下地膜との間に密着層を介在させることが不
要であり、しかも、高い再生出力に結びつく高い保磁力
を有するとともに、ノイズを低減し、S/N比を向上さ
せることのできる高密度記録が可能な磁気記録媒体、特
に面内磁気記録媒体を提供することにある。
【0010】また、本発明のもう1つの目的は、上記し
たような本発明による磁気記録媒体を使用した磁気ディ
スク装置を提供することにある。本発明の上記した目的
及びその他の目的は、以下の詳細な説明から容易に理解
することができるであろう。
【0011】
【課題を解決するための手段】本発明は、その1つの面
において、非磁性の基板上に磁性金属材料からなる磁性
膜を設けてなりかつ、前記基板と前記磁性膜との間に、
前記磁性膜の磁化容易方向を膜面内とすることを目的と
しかつクロム(Cr)を主成分するCr系下地膜が介在
せしめられてなる磁気記録媒体において、前記基板と前
記Cr系下地膜との間に、前記基板に隣接する形で、ク
ロムを主成分としかつ燐(P)を含有する追加のCrP
系下地膜がさらに設けられていることを特徴とする磁気
記録媒体にある。
【0012】また、本発明は、そのもう1つの面におい
て、磁気記録媒体において情報の記録を行うための記録
ヘッド部及び情報の再生を行うための再生ヘッド部を備
えた磁気ディスク装置であって、前記磁気記録媒体が、
上記しかつ以下において詳細に説明する本発明の磁気記
録媒体であり、そして前記再生ヘッド部が磁気抵抗効果
型ヘッドを備えていることを特徴とする磁気ディスク装
置にある。
【0013】また、本発明の磁気ディスク装置において
用いられる磁気抵抗効果型ヘッドは、好ましくは、高性
能を発揮可能な、MRヘッド、AMRヘッド又はGMR
ヘッドである。
【0014】
【発明の実施の形態】引き続いて、本発明をその好まし
い実施の形態を参照して説明する。本発明による磁気記
録媒体は、非磁性の基板上に磁性金属材料からなる磁性
膜を設けてなりかつ、前記基板と前記磁性膜との間に、
前記磁性膜の磁化容易方向を膜面内とすることを目的と
しかつクロムを主成分するCr系下地膜が介在せしめら
れてなるものであり、本発明の範囲内においていろいろ
な層構成を採用することができる。
【0015】本発明の磁気記録媒体の好ましい1例は、
それを断面で示すと、図3に示す通りである。すなわ
ち、磁気記録媒体10は、非磁性の基板1の上に、下地
膜4を介して、磁性金属材料からなる磁性膜5を設けて
構成することができる。ここで、基板1はガラス基板で
ある。ガラス基板1と磁性膜3との間に介在せしめられ
た下地膜2は、ガラス基板1に隣接する形で設けられ
た、クロムを主成分としかつ燐を含有する追加のCrP
系下地膜2(以下、「第1の下地膜」とも呼ぶ)と、磁
性膜3の磁化容易方向を膜面内とすることを目的としか
つクロムを主成分するCr系下地膜3(以下、「第2の
下地膜」とも呼ぶ)とからなる。磁性膜5は、以下にお
いて詳細に説明するように、円周方向を磁化容易方向と
し、かつコバルトを主成分として含有する任意の磁性金
属材料(合金)から構成することができ、磁性膜5を構
成する合金は、好ましくは、コバルトに追加してクロム
及び白金を含有することができ、かつ、必要に応じて、
タンタル、ニオブなどを組み合わせて含有することがで
きる。さらに、図示の例では、この技術分野において一
般的に行われているように、保護膜6が最上層を構成し
ている。保護膜4は、好ましくは、カーボンあるいはダ
イヤモンドライクカーボンからなる。
【0016】本発明の磁気記録媒体において、その基体
として用いられる非磁性の基板は、ガラスあるいはそれ
に類する非磁性材料から構成することができる。適当な
基板材料としては、以下に列挙するものに限定されない
けれども、ガラス、カーボン、シリコンなどを挙げるこ
とができる。なお、本発明の実施においてはガラス基板
を使用するのが特に有利であり、以下の説明においても
これを中心にして説明することにする。
【0017】ガラス基板は、この技術分野において常用
のガラス基板のなかから、適当なものを選択して使用す
ることができる。適当なガラス基板としては、以下に列
挙するものに限定されるわけではないけれども、例え
ば、ソーダライムガラス、アルミノシリケートガラス、
無アルカリガラス、結晶化ガラスなどを挙げることがで
きる。これらのガラス基板は、必要に応じて、その表面
に無方向性の凹凸を有していてもよい。
【0018】また、このようなガラス基板は、その表面
を清浄に処理した後で有利に使用することができる。ガ
ラス基板表面の清浄化は、常用の技法に従って行うこと
ができ、例えば、超純水、アルカリ洗浄剤、中性洗剤等
を使用した脱脂工程やイオン交換水を使用した洗浄工程
などを組み合わせて使用することができる。また、この
ような清浄化工程に追加して、必要に応じて、基板表面
の活性化処理などを施してもよい。
【0019】本発明の磁気記録媒体において、ガラス基
板と磁性膜との間に介在せしめられる下地膜は、前記し
たように、少なくとも、第1のCrP系下地膜と、第2
のCr系下地膜とからなる。必要に応じて、第3、第
4、…の下地膜が組み込まれていてもよく、しかし、本
発明の実施に当たっては、第1のCrP系下地膜がガラ
ス基板に隣接する形で設けられていることが必須であ
る。本発明では特に、以下において具体的に説明するけ
れども、燐を含有するCr系下地膜(CrP系下地膜)
を基板と密着させることを通じて、従来の技術において
不可避であった、基板から下地膜本体(第2のCr系下
地膜)に対する悪影響を効果的に防止できるという効果
がある。
【0020】第1のCrP系下地膜は、特に基板の引き
起こす第2の下地膜に対する悪影響を阻止するためのバ
リヤ層として機能することができ、あわせて、基板に対
する第2の下地膜の密着を改良するための密着改善層と
しても機能することができる。この第1のCrP系下地
膜は、通常、クロムの単独から構成してもよく、さもな
ければ、この技術分野で通常行われているように、クロ
ムと他の金属との合金から構成してもよい。適当な合金
としては、例えば、CrW、CrV、CrTi、CrM
oなどがあり、特にCrMoが好ましい。さらに、第1
の下地膜は、燐を含有することが必須であり、その濃度
(P濃度)は、所望とする効果によっていろいろに変更
することができるというものの、通常、10at%ある
いはそれを上回ることが好ましく、さらに好ましくは、
10〜30at%の範囲である。本発明者らの知見によ
ると、第1のCrP系下地膜のP濃度が10at%以上
である場合、以下に説明する表面酸化の効果が大であ
る。
【0021】第1のCrP系下地膜は、好ましくは、例
えばマグネトロンスパッタ法などのスパッタ法により、
常用の成膜条件により形成することができる。適当な成
膜条件として、例えば、約150〜300℃の成膜温
度、約1〜10mTorrのArガス圧力、そして約1
00〜300VのDC負バイアスを挙げることができ
る。また、必要に応じて、スパッタ法に代えて、他の成
膜法、例えば蒸着法、イオンビームスパッタ法等を使用
してもよい。かかる下地膜の膜厚は、所望とする効果に
応じて広く変更することができるというものの、通常、
5〜40nmの範囲である。
【0022】さらに、第1のCrP系下地膜は、酸化処
理された表面を有していて、その表面の上に第2のCr
系下地膜が積層されることが好ましい。本発明者らの知
見によると、このような酸化処理された表面が、CrP
系下地膜の所期の作用に大きく影響を与えることができ
る。CrP系下地膜に対する酸化処理された表面の付与
は、いろいろな技法によって行うことができるというも
のの、CrP系下地膜を成膜した後の磁気記録媒体を、
第2のCr系下地膜を成膜する前、大気に暴露すること
によって行うことが容易である。まったく予想されなか
ったことであるが、CrP系下地膜の表面を酸化処理し
たことの結果、S/N比を約8dBもしくはそれ以上ま
で向上させることができ、これはNiP膜を使用した場
合の効果に匹敵する。例えば、燐を含有しないCrMo
下地膜に同様な酸化処理を施しても、同じようなS/N
比の向上を認めることができない。さらに、このCrP
系下地膜は、NiP膜とは異なって、Cr、Ti等の密
着層を設けることを必要としないばかりでなく、それよ
りも硬く、しかもそれと同等の電磁変換特性を奏し得る
という点でも注目に値する。
【0023】上記したような酸化処理に加えて、CrP
系下地膜は、その表面において機械的テクスチャ処理を
施されていることが好ましい。すなわち、CrP系下地
膜は、その表面に円周方向に形成された浅い筋状の突起
部及び溝部(凹凸)を有している状態で使用されるのが
好ましい。下地膜表面のテクスチャ処理は、磁気記録媒
体の製造において一般的に用いられている技法に従って
機械的に行うことができる。適当なテクスチャ処理とし
て、例えば、砥石研磨テープ、遊離砥粒などの研磨手段
で下地膜の表面を研磨することが挙げられる。CrP系
下地膜の表面に機械的テクスチャ処理を施して円周方向
に凹凸を形成することにより、S/N比を向上させ、な
おかつヘッド走行性を改善するという効果を得ることが
できる。
【0024】本発明の磁気記録媒体では、上記したCr
P系下地膜の上にクロムを主成分とする第2の下地膜
(Cr系下地膜)を形成した後、磁性膜が設けられる。
第2のCr系下地膜は、先に説明した第1のCrP系下
地膜と同様に構成することができる。すなわち、この下
地膜は、特に、クロムのみを主成分とする金属材料ある
いはクロム及びモリブデンを主成分とする金属材料から
有利に構成することができる。本発明の磁気記録媒体の
場合、特にその磁性膜に白金を含ませるようなときに
は、その直下の下地膜となるこの第2の下地膜は、好ま
しくは、クロム及びモリブデンを主成分とする金属材料
から構成することができる。すなわち、モリブデンの添
加によって、格子面間隔を広げることができ、また、磁
気記録膜の組成、特に白金量によって広がる磁気記録膜
の格子面間隔に対して下地膜の格子面間隔を近くしてや
ることにより、磁性膜(CoCr系合金)のC軸の面内
への優先配向を促すことができるからである。適当な下
地膜の材料の例として、例えば、Cr、CrW、Cr
V、CrTi、CrMoなどを挙げることができる。こ
のような下地膜は、好ましくは、例えばマグネトロンス
パッタ法などのスパッタ法により、常用の成膜条件によ
り形成することができる。適当な成膜条件として、例え
ば、約150〜300℃の成膜温度、約1〜10mTo
rrのArガス圧力、そして約100〜300VのDC
負バイアスを挙げることができる。また、必要に応じ
て、スパッタ法に代えて、他の成膜法、例えば蒸着法、
イオンビームスパッタ法等を使用してもよい。
【0025】かかる第2の下地膜の膜厚は、種々のファ
クタに応じて広い範囲で変更することができるというも
のの、好ましくは、S/N比を高めるため、5〜60nm
の範囲である。この第2の下地膜の膜厚が5nmを下回る
と、磁気特性が十分に発現しないおそれがあり、また、
反対に60nmを上回ると、ノイズが増大する傾向があ
る。
【0026】本発明の磁気記録媒体において、磁性膜
は、この技術分野において一般的に行われているよう
に、コバルトを主成分とする合金、例えばCo−Ni系
合金、Co−Cr系合金などから形成することができ、
Co−Cr系合金から構成するのが特に好ましい。ま
た、磁性膜は、このような2成分系合金から形成するこ
とに加えて、その他の元素、例えば白金、タンタル、ニ
オブ、タングステン、カーボンなどを任意に追加して調
製した三元系合金、四元系合金あるいは五元系合金から
形成することが好ましく、むしろこのような多元合金か
ら形成したほうが特性的に有利である。本発明者らの知
見によると、以下においてさらに具体的に説明するけれ
ども、磁性膜は、Co−Cr系合金からなっていて、1
7at%以上の濃度でCrを含有することが好ましい。
なお、参考までに記載すると、低ノイズ化のために磁性
膜のCr濃度を高めるとして、ガラス基板の上に本発明
において必須の第1のCrP系下地膜が不存在である場
合には、磁性膜のCr濃度が15at%をピークにそれ
以上高くなると、垂直方向に磁化容易軸が向きやすくな
り、S/N比が低下する。換言すると、CrP系下地膜
は、高Cr濃度の磁性膜において特にその効果を発揮す
ることができる。
【0027】さらに、磁性膜は、図3に示すように単層
であってもよく、あるいは、2層もしくはそれ以上の多
層構造であってもよく、さらに、多層構造の場合、磁性
膜の中間に非磁性の膜が介在せしめられていてもよい。
さらに具体的に説明すると、本発明の磁気記録媒体にお
いて用いられる磁性膜は、好ましくは、円周方向を磁化
容易方向とし、かつコバルトを主成分として含有し、ク
ロム及び白金を含み、さらにタンタル又はタンタル及び
ニオブを組み合わせて有する四元系合金あるいは五元系
合金から形成することができる。ここで、主成分として
のコバルトに組み合わせて用いられるクロム及び白金の
量は、好ましくは、 クロム 17〜21at%、及び 白金 4〜10at%、 である。
【0028】さらに具体的に説明すると、この磁性膜
の、コバルト、クロム、白金及びタンタルの4元素から
構成される四元系合金は、好ましくは、次式により表さ
れる組成範囲: Cobal.−Cr17-21 −Pt4-10−Tax (上式中、bal.はバランス量を意味し、そしてxは1〜
5at%である)にある。
【0029】また、コバルト、クロム、白金、タンタル
及びニオブの5元素から構成される五元系合金は、好ま
しくは、次式により表される組成範囲: Cobal.−Cr17-21 −Pt4-10−Tax −Nby (上式中、bal.はバランス量を意味し、そしてx+yは
1〜5at%である)にある。このような五元系合金に
おいて、タンタル及びニオブの添加量は、好ましくは、
同等であるかもしくはほぼ同等である。
【0030】本発明の磁気記録媒体において、かかる磁
性膜は、いかなる組成を有するかにかかわりなく、特に
それが四元系合金であるかあるいは五元系合金であるか
にかかわりなく、約30〜120Gμm のtBr(磁性
膜の膜厚tと残留磁化密度Brの積)を有していること
が好ましい。本発明の磁性膜は、従来の磁性膜に比較し
て薄く構成したことにより、特にMRヘッドをはじめと
した磁気抵抗効果型ヘッド用として最適である。
【0031】非磁性のガラス基板上に本発明に特有の下
地膜を介して設けられる磁性膜は、上記したように、C
oCrPtTaなどの四元系合金から、あるいはCoC
rPtTaNbなどの五元系合金から構成されるものが
好ましい。かかる磁性膜は、好ましくは、スパッタ法に
より、特定の成膜条件下で有利に形成することができ
る。スパッタ法としては、上記した下地膜の成膜と同
様、例えばマグネトロンスパッタ法などを使用すること
ができる。適当な成膜条件として、例えば、約100〜
350℃の成膜温度、好ましくは約200〜320℃の
温度、特に好ましくは250℃前後の温度、約1〜10
mTorrのArガス圧力、そして約80〜400Vの
DC負バイアスを挙げることができる。また、必要に応
じて、スパッタ法に代えて、他の成膜法、例えば蒸着
法、イオンビームスパッタ法等を使用してもよい。磁性
膜の形成の好ましい1例を示すと、スパッタ法で、DC
負バイアスの印加下に、150〜350℃の成膜温度
で、上記の元素群から有利に形成することができる。
【0032】特に、本発明の磁気記録媒体では、上記し
た磁性膜及び前記下地膜のすべてを、それぞれ、スパッ
タ法により成膜するのが好ましい。すなわち、すべての
膜をスパッタ法により成膜するとともに、それぞれの膜
の膜厚を所定厚さ以下に調整することによって、ガラス
基板の耐衝撃性を維持することができるなどの効果を得
ることができる。
【0033】また、本発明の磁気記録媒体は、必要に応
じてかつ、好ましくは、その最上層として、上記した磁
性膜の上方に、この技術分野において屡々採用されてい
るように、保護膜を有することができる。適当な保護膜
としては、例えば、カーボンの単独もしくばその化合物
からなる層、例えばC層、WC層、SiC層、B4
層、水素含有C層など、あるいは特により高い硬度を有
するという点で最近注目されているダイヤモンドライク
カーボン(DLC)の層を挙げることができるできる。
特に、本発明の実施に当たっては、カーボンあるいはD
LCからなる保護膜を有利に使用することができる。こ
のような保護膜は、常法に従って、例えば、スパッタ
法、蒸着法などによって形成することができる。かかる
保護膜の膜厚は、種々のファクタに応じて広い範囲で変
更することができるというものの、好ましくは、約5〜
15nmである。
【0034】また、上記したような保護膜に代えて、例
えば、下記の公開特許公報に開示されるようなアモルフ
ァス水素化カーボン膜(a−C:H膜)あるいはそれに
類する保護膜を使用してもよい。例えば、特開平5−8
1660号公報には、スパッタ法により形成されたアモ
ルファス水素化カーボン膜からなる保護膜が開示されて
いる。また、特開平6−349054号公報には、CS
S耐久性の改良と薄膜化のため、スパッタ法による水素
含有カーボン保護膜を、水素含有率の低い下層のカーボ
ン膜と水素含有率の高い上層のカーボン膜との少なくと
も2層膜構造とすることが開示されている。さらに、最
近、スパッタa−C:H膜に代わるべきものとして、プ
ラズマCVD法により形成したアモルファス水素化カー
ボン膜(PCVDa−C:H膜)も開示されている。例
えば、特開平7−73454号公報には、プラズマCV
D法において、反応性ガスとしてCH4 ガス、CF4
どを使用することを特徴とするカーボン保護膜製造方法
が開示されている。
【0035】本発明の磁気記録媒体は、上記したような
必須の層及び任意に使用可能な層に加えて、この技術分
野において常用の追加の層を有していたり、さもなけれ
ば、含まれる層に任意の化学処理等が施されていてもよ
い。例えば、上記した保護膜の上に、フルオロカーボン
樹脂系の潤滑層が形成されていたり、さもなければ、同
様な処理が施されていてもよい。
【0036】さらにまた、本発明は、そのもう1つの面
において、上記しかつ以下に詳細に説明する本発明の磁
気記録媒体を使用した磁気ディスク装置にある。本発明
の磁気ディスク装置において、その構造は特に限定され
ないというものの、基本的に、磁気記録媒体において情
報の記録を行うための記録ヘッド部及び情報の再生を行
うための再生ヘッド部を備えている装置を包含する。特
に、再生ヘッド部は、以下に説明するように、磁界の強
さに応じて電気抵抗が変化する磁気抵抗素子を使用した
磁気抵抗効果型ヘッド、すなわち、MRヘッドを備えて
いることが好ましい。
【0037】本発明の磁気ディスク装置において、好ま
しくは、磁気抵抗効果素子及び該磁気抵抗効果素子にセ
ンス電流を供給する導体層を有し、磁気記録媒体からの
情報の読み出しを行う磁気抵抗効果型の再生ヘッド部
と、薄膜で形成された一対の磁極を有し、磁気記録媒体
への情報の記録を行う誘導型の記録ヘッド部とが積層さ
れてなる複合型の磁気ヘッドを使用することができる。
磁気抵抗効果型の再生ヘッドは、この技術分野において
公知のいろいろな構造を有することができ、そして、好
ましくは、異方性磁気抵抗効果を利用したAMRヘッド
又は巨大磁気抵抗効果を利用したGMRヘッド(スピン
バルブGMRヘッド等を含む)を包含する。再生ヘッド
部の導体層は、いろいろな構成を有することができるけ
れども、好ましくは、 1.導体層の膜厚に関して、磁気抵抗効果素子の近傍部
分を比較的に薄く形成し、その他の部分を厚く形成した
もの、 2.導体層の膜厚及び幅員に関して、磁気抵抗効果素子
の近傍部分のそれを比較的に薄くかつ細く形成し、その
他の部分を厚くかつ幅広に形成したもの、を包含する。
導体層の膜厚及び必要に応じて幅員を上記のように調整
することは、いろいろな手法に従って行うことができる
ものの、特に、導体層の多層化によって膜厚の増加を図
ることによりこれを達成することが推奨される。
【0038】特に上記したような構成の磁気ディスク装
置を使用すると、従来の複合型の磁気ヘッドに比較し
て、記録ヘッド部の磁極の湾曲を小さくするとともに導
体層の抵抗を下げ、オフトラックが小さい範囲であれ
ば、精確にかつ高感度で情報を読み出すことができる。
本発明の磁気ディスク装置は、好ましくは、その記録ヘ
ッド部及び再生ヘッド部を図4及び図5に示すような積
層構造とすることができる。図4は、本発明の磁気ディ
スク装置の原理図で、また、図5は、図4の線分B−B
にそった断面図である。
【0039】図4及び図5において、参照番号11は磁
気記録媒体への情報の記録を行う誘導型の記録ヘッド
部、12は情報の読み出しを行う磁気抵抗効果型の再生
ヘッド部である。記録ヘッド部11は、NiFe等から
なる下部磁極(上部シールド層)13と、一定間隔をも
って下部磁極13と対向したNiFe等からなる上部磁
極14と、これらの磁極13及び14を励磁し、記録ギ
ャップ部分にて、磁気記録媒体に情報の記録を行わせる
コイル15等から構成される。
【0040】再生ヘッド部12は、好ましくはAMRヘ
ッドやGMRヘッド等でもって構成されるものであり、
その磁気抵抗効果素子部12A上には、磁気抵抗効果素
子部12Aにセンス電流を供給するための一対の導体層
16が記録トラック幅に相応する間隔をもって設けられ
ている。ここで、導体層16の膜厚は、磁気抵抗効果素
子部12Aの近傍部分16Aが薄く形成され、他の部分
16Bは厚く形成されている。
【0041】図4及び図5の構成では、導体層16の膜
厚が、磁気抵抗効果素子部12Aの近傍部分16Aで薄
くなっているため、下部磁極(上部シールド層)13等
の湾曲が小さくなっている。このため、磁気記録媒体に
対向する記録ギャップの形状もあまり湾曲せず、情報の
記録時における磁気ヘッドのトラック上の位置と読み出
し時における磁気ヘッドのトラック上の位置に多少ずれ
があっても、磁気ディスク装置は正確に情報を読み出す
ことができ、オフトラック量が小さいにもかかわらず読
み出しの誤差が生じるという事態を避けることができ
る。
【0042】一方、導体層16の膜厚が、磁気抵抗効果
素子部12Aの近傍以外の部分16Bでは厚く形成され
ているため、導体層16の抵抗を全体として小さくする
こともでき、その結果、磁気抵抗素子部12Aの抵抗変
化を高感度で検出することが可能になり、S/N比が向
上し、また、導体層16での発熱も避けることができ、
発熱に起因したノイズの発生も防げる。
【0043】上記したような磁気抵抗効果型の磁気ヘッ
ドは、その多数個を薄膜技術を用いてセラミック製ヘッ
ド基板上に形成した後、ヘッド基板をヘッド毎に切り出
し、所定の形状に加工することによって製造することが
できる。さらに、本発明による磁気ディスク装置の好ま
しい1例は、図6及び図7に示す通りである。なお、図
6は磁気ディスク装置の平面図(カバーを除いた状
態)、図7は図6の線分A−Aにそった断面図である。
【0044】これらの図において、参照番号50はベー
スプレート51上に設けられたスピンドルモータ52に
よって回転駆動される磁気記録媒体としての複数枚(図
示の例では3枚)の磁気ディスクである。参照番号53
はベースプレート51上に回転可能に設けられたアクチ
ュエータである。このアクチュエータ53の一方の回転
端部には、磁気ディスク50の記録面方向に延出する複
数のヘッドアーム54が形成されている。このヘッドア
ーム54の回転端部には、スプリングアーム55が取り
付けられ、更に、このスプリングアーム55のフレクシ
ャー部に前述のスライダ40が図示しない絶縁膜を介し
て傾動可能に取り付けられている。一方、アクチュエー
タ53の他方の回転端部には、コイル57が設けられて
いる。ベースプレート51上には、マグネット及びヨー
クで構成された磁気回路58が設けられ、この磁気回路
58の磁気ギャップ内に、上記コイル57が配置されて
いる。そして、磁気回路58とコイル57とでムービン
グコイル型のリニアモータ(VCM:ボイスコイルモー
タ)が構成されている。そして、これらベースプレート
51の上部はカバー59で覆われている。
【0045】次に、上記構成の磁気ディスク装置の作動
を説明する。磁気ディスク50が停止している時には、
スライダ40は磁気ディスク50の退避ゾーンに接触し
停止している。次に、磁気ディスク50がスピンドルモ
ータ52によって、高速で回転駆動されると、この磁気
ディスク50の回転による発生する空気流によって、ス
ライダ40は微小間隔をもってディスク面から浮上す
る。この状態でコイル57に電流を流すと、コイル57
には推力が発生し、アクチュエータ53が回転する。こ
れにより、ヘッド(スライダ40)を磁気ディスク50
の所望のトラック上に移動させ、データのリード/ライ
トを行なうことができる。
【0046】この磁気ディスク装置では、磁気ヘッドの
導体層として、磁気抵抗効果素子部の近傍部分を薄く形
成し他の部分を厚く形成したものを用いているため、記
録ヘッド部の磁極の湾曲を小さくすると共に導体層の抵
抗を下げ、オフトラックが小さい範囲であれば正確にか
つ高感度に情報を読み出すことができる。
【0047】
【実施例】以下、本発明をその典型的な実施例を参照し
て説明する。なお、本発明はこれらの実施例によって限
定されるものではないことを理解されたい。例1 磁気記録媒体(磁気ディスク)の作製 化学強化されかつよく洗浄された表面を有するディスク
状のアルミノシリケートガラス基板の上に、DCマグネ
トロンスパッタ装置により、CrMoP膜(第1の下地
膜として)及びCrMo10(at%)膜(第2の下地
膜として)を順次スパッタ成膜した。まず、成膜工程に
入る前にスパッタ室内を5×10-8Torr以下に排気
し、赤外線ランプで加熱し、Arガスを導入してスパッ
タ室内を5mTorrに保持し、Cr78.3−Mo
8.7−P13(at%)ターゲットを用いてCrMo
P膜を成膜した。CrMoP膜の膜厚は、その効果を評
価するため、0nm(成膜せず)〜100nmの間で変更し
た。
【0048】第1の下地膜、(CrMo10)87
13(at%)膜の形成後、スパッタ室を大気に開放し、
その室内に配置したガラス基板の下地膜表面に大気暴露
した。基板温度を250℃まで高めた後、その上にCr
Mo10(at%)膜を成膜した。この場合、上記した
成膜工程と同様に、下地膜の成膜前にスパッタ室内を5
×10-8Torr以下に排気し、基板温度を250℃に
高め、Arガスを導入してスパッタ室内を5mTorr
に保持し、CrMo膜を膜厚25nmで成膜した。さらに
続けて、CoCrPtTaNb膜をそのtBrが50〜
120Gμm(15〜35nm厚に相当)となるように合
金ターゲットからスパッタ成膜した。CoCrPtTa
Nb膜の組成式はCo72Cr19Pt5 Ta2 Nb2 であ
る。先に図3を参照して説明したような層構成の本発明
の磁気ディスク(以下、「磁気ディスク1」と呼ぶ)が
得られた。
【0049】さらに続けて、比較に供するため、下記の
相違点を除いて上述の手法を繰り返して、4種類の比較
用の磁気ディスクA〜Dを作製した。磁気ディスクA…
第1の下地膜において、CrMoP膜の大気暴露を省略
磁気ディスクB…第1の下地膜において、CrMoP膜
に代えてCrMo膜を使用(ここで、CrMo膜は、第
2の下地膜の形成と同様な成膜条件下で膜厚100nmで
成膜)磁気ディスクC…磁気ディスクBにおいて、Cr
Mo膜の大気暴露を省略磁気ディスクD…第1の下地膜
において、CrMoP膜に代えてNiP膜を使用(ここ
で、NiP膜は、CrMoP膜と同様な成膜条件下、N
iPをNi2 Pターゲットから膜厚100nmで成膜)例2 磁気ディスクの評価 前記例1において作製した磁気ディスク1ならびに比較
用磁気ディスクA〜Dについて、下記の項目に関して特
性の評価を行った。なお、組成分析にはEDX、磁気測
定にはVSMを用いた。 (1)媒体の孤立波S/Nの、CrMoP膜の膜厚依存
性 磁気ディスク1において、第1の下地膜(CrMo10
P13膜)のいろいろな膜厚における孤立波S/Nを測
定したところ、添付の図8に曲線Iでプロットするよう
な結果が得られた。ここで、S/Nの測定は、リード幅
1μmでの孤立波出力と記録密度160kFCIにおけ
る媒体ノイズの実効値に基づいて実施した。すなわち、 S/N=20 log(Srms /Nrms ) である。
【0050】比較のため、磁気ディスクA、B、C及び
Dについても同様な手法に従い孤立波S/Nを測定した
ところ、それぞれ曲線IIならびに点CrMo/I、Cr
Mo/II及びNiP/Iでプロットするような結果が得
られた。図8に記載の結果から、本発明による磁気ディ
スクのようにCrMoP膜を有する層構成とし、しかも
それを大気暴露した場合には、同じCrMoP膜を有し
ていても大気暴露を伴わない場合よりも、孤立波S/N
に関して実に約6〜8dBの向上を図ることができると
いうこと、また、CrMoP膜の膜厚に関して見た場
合、約5〜100nmの範囲では孤立波S/Nが変動する
こともないこと、すなわち、膜厚マージンは広いこと、
が分かる。また、点CrMo/IとCrMo/IIから理
解されるように、このような優れたS/N向上効果はま
た、Pを含有しないCrMo膜を用いたのでは達成する
ことができない。
【0051】また、図8ではプロットしていないけれど
も、CrMoP膜からMoを除いたCrP膜において
も、曲線Iに比較可能な満足し得る結果が得られた。実
験の結果から一般的に考察するに、低ノイズ化のために
磁性膜のCr濃度を高くするが、ガラス基板でCrP系
下地膜(第1の下地膜)がない場合、磁性膜のCr濃度
が15at%をピークにそれ以上高くなると、垂直方向
に磁化容易軸が向きやすくなり、S/Nが低下する。特
にCrP膜は、高Cr濃度の磁性膜に組み合わせて使用
した時に有効である。
【0052】さらに、同じく図8ではプロットしていな
いけれども、CrMoP膜の表面に円周方向に機械的テ
キスチャ処理を施した方が施さない場合よりも、媒体S
/N比の向上に有効であり、ヘッド走行性も改善し得る
ということが判明した。 (2)NiP膜とCrMoP膜の密着性の比較 磁気ディスク1において、CrMo10P13膜の成膜
後、その膜のガラス基板に対する密着性をスクラッチテ
スタを使用して評価したところ、図9にプロットするよ
うな結果が得られた。図示されるように、加重を0gfか
ら100gfまで徐々に増加したけれども、その途中で膜
剥離は発生せず、密着性は極めて良好であることを立証
した。
【0053】対照的に、CrMo10P13膜に代えて
NiP膜を第1の下地膜として使用した磁気ディスクD
では、同じく図9にプロットするように、32.1gfの
加重のところで層剥離が発生した。この結果は、NiP
膜はCrMoP膜に比較して密着性に劣ることを示して
いる。 (3)NiP膜とCrMoP膜の膜強度の比較 磁気ディスク1において、CrMo10P13膜の成膜
後、その膜の膜硬度を米国Nano Instrume
nts社製の押し込み試験器(The Nano In
denter II)を使用して測定したところ、図10
にプロットするような結果が得られた。次いで、CrM
o10P13膜に代えてNiP膜を第1の下地膜として
使用した磁気ディスクDにおいて、同じようにNiP膜
の膜硬度を測定した。同じく図9にプロットするような
結果が得られた。これらの結果から、CrMoP膜は、
膜硬度に関しても、NiP膜よりも優れていることを立
証している。例3 前記例1に記載の手法に従って、下記の層構成を有する
磁気ディスク2を作製した。なお、本例では、CoMo
P膜において、P濃度を0〜13at%の範囲で変更し
た。
【0054】 ─────────────────────────────── カーボン保護膜 8nm ─────────────────────────────── Co72Cr19Pt5 Ta2 Nb2 磁性膜 25nm ─────────────────────────────── CoMo10膜(第2の下地膜) 25nm ─────────────────────────────── CoMoP0〜13(at%)膜(第1の下地膜) 50nm ─────────────────────────────── ガラス基板 ─────────────────────────────── (成膜温度 250℃) この磁気ディスク2において、保磁力HcのP濃度依存
性を評価したところ、添付の図11にプロットするよう
な結果が得られた。図示のグラフから、垂直保磁力Hc
はP濃度の増加とともに低下し、P濃度が5at%以上
になったところで良好な配向性を示すことが分かる。好
ましいP濃度の上限は、ターゲットが作製可能な30a
t%近傍にあると理解される。例4 前記例1に記載の手法に従って、下記の層構成を有する
比較用磁気ディスクEを作製した。なお、本例では、比
較のため、ガラス基板に代えてNiPメッキ付きのアル
ミニウム基板を使用し、磁性膜をCo72Cr19Pt5
2 Nb2 膜からCo68Cr20Pt10Ta2 膜に変更
し、CoMo10膜を省略し、さらに、CoMoP膜に
おいて、P濃度を0〜5at%の範囲で変更した。
【0055】 ─────────────────────────────── カーボン保護膜 10nm ─────────────────────────────── Co68Cr20Pt10Ta2 磁性膜 25nm ─────────────────────────────── CoMoP0〜5(at%)膜 25nm ─────────────────────────────── NiPメッキ付きのアルミニウム基板 ─────────────────────────────── (成膜温度 280℃) この磁気ディスクEにおいて、保磁力HcのP濃度依存
性を評価したところ、添付の図12にプロットするよう
な結果が得られた。図示のグラフから、面内保磁力Hc
はP濃度の増加とともに低下していくことが分かる。
【0056】
【発明の効果】以上の説明から理解されるように、本発
明によれば、耐衝撃性に優れたガラスあるいはそれに類
する非磁性材料を基板として使用することができるもの
であり、しかし、下地膜の密着性が良好であるので、従
来の技術のように基板と下地膜との間に密着層を介在さ
せることが不要であり、しかも、高い再生出力に結びつ
く高い保磁力を有するとともに、ノイズを低減し、S/
N比を向上させることのできる高密度記録が可能な磁気
記録媒体、特に面内磁気記録媒体を提供することができ
る。また、本発明によれば、このような磁気記録媒体を
使用した、従来の磁気記録媒体に比較して媒体S/N比
を高めることができ、従来装置に比較して高密度記録が
可能な磁気ディスク装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】従来の磁気記録媒体の一例を示す断面図であ
る。
【図2】従来の磁気記録媒体のもう1つの例を示す断面
図である。
【図3】本発明による磁気記録媒体の好ましい1例を示
す断面図である。
【図4】本発明の磁気ディスク装置の原理を示す断面図
である。
【図5】図4の磁気ディスク装置の線分B−Bにそった
断面図である。
【図6】本発明の磁気ディスク装置の好ましい1例を示
す平面図である。
【図7】図6の磁気ディスク装置の線分A−Aにそった
断面図である。
【図8】孤立波媒体S/NのCrMoP膜厚依存性を示
すグラフである。
【図9】NiP膜とCrMoP膜の密着性を比較するグ
ラフである。
【図10】NiP膜とCrMoP膜の膜硬度を比較する
グラフである。
【図11】本発明による磁気記録媒体における、保磁力
HcのP濃度依存性を示すグラフである。
【図12】従来の磁気記録媒体における、保磁力Hcの
P濃度依存性を示すグラフである。
【符号の説明】
1…非磁性のガラス基板 2…第1の下地膜 3…第2の下地膜 4…下地膜 5…磁性膜 6…保護膜 10…磁気記録媒体 11…記録ヘッド部 12…再生ヘッド部 13…下部磁極 14…上部磁極 15…コイル 16…導体層
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 岡本 巌 神奈川県川崎市中原区上小田中4丁目1番 1号 富士通株式会社内 (72)発明者 篠原 正喜 神奈川県川崎市中原区上小田中4丁目1番 1号 富士通株式会社内 Fターム(参考) 5D006 AA02 BB02 CA01 CA05 CA06 CB04 DA03 EA03 FA09 5D112 AA02 AA03 AA05 AA07 BA02 BA03 BB05 BC05 BD04 FA04

Claims (13)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 非磁性の基板上に磁性金属材料からなる
    磁性膜を設けてなりかつ、前記基板と前記磁性膜との間
    に、前記磁性膜の磁化容易方向を膜面内とすることを目
    的としかつクロム(Cr)を主成分するCr系下地膜が
    介在せしめられてなる磁気記録媒体において、 前記基板と前記Cr系下地膜との間に、前記基板に隣接
    する形で、クロムを主成分としかつ燐(P)を含有する
    追加のCrP系下地膜がさらに設けられていることを特
    徴とする磁気記録媒体。
  2. 【請求項2】 前記基板が、ガラス、カーボン及びシリ
    コンからなる群から選ばれた1員であることを特徴とす
    る請求項1に記載の磁気記録媒体。
  3. 【請求項3】 前記CrP系下地膜がスパッタ法により
    成膜されたものであることを特徴とする請求項1又は2
    に記載の磁気記録媒体。
  4. 【請求項4】 前記CrP系下地膜が第3の成分として
    モリブデン(Mo)を含有することを特徴とする請求項
    1〜3のいずれか1項に記載の磁気記録媒体。
  5. 【請求項5】 前記CrP系下地膜が酸化処理された表
    面を有していることを特徴とする請求項1〜4のいずれ
    か1項に記載の磁気記録媒体。
  6. 【請求項6】 前記CrP系下地膜の酸化処理された表
    面が、前記磁気記録媒体を大気に暴露することによって
    形成されたものであることを特徴とする請求項5に記載
    の磁気記録媒体。
  7. 【請求項7】 前記CrP系下地膜の酸化処理された表
    面がさらに機械的テクスチャ処理を施されていることを
    特徴とする請求項5又は6に記載の磁気記録媒体。
  8. 【請求項8】 前記CrP系下地膜のP濃度が10at
    %以上であることを特徴とする請求項1〜7のいずれか
    1項に記載の磁気記録媒体。
  9. 【請求項9】 前記磁性膜が17at%以上の濃度でC
    rを含有する磁性金属材料から形成されていることを特
    徴とする請求項1〜8のいずれか1項に記載の磁気記録
    媒体。
  10. 【請求項10】 前記磁性膜が30〜120Gμm のt
    Br(磁性膜の膜厚tと残留磁化密度Brの積)を有し
    ていることを特徴とする請求項1〜9のいずれか1項に
    記載の磁気記録媒体。
  11. 【請求項11】 前記磁性膜の上に、カーボン又はダイ
    ヤモンドライクカーボンからなる保護膜をさらに有して
    いることを特徴とする請求項1〜10のいずれか1項に
    記載の磁気記録媒体。
  12. 【請求項12】 磁気記録媒体において情報の記録を行
    うための記録ヘッド部及び情報の再生を行うための再生
    ヘッド部を備えた磁気ディスク装置であって、前記磁気
    記録媒体が請求項1〜11のいずれか1項に記載の磁気
    記録媒体であり、そして前記再生ヘッド部が磁気抵抗効
    果型ヘッドを備えていることを特徴とする磁気ディスク
    装置。
  13. 【請求項13】 前記磁気抵抗効果型ヘッドが、MRヘ
    ッド、AMRヘッド又はGMRヘッドであることを特徴
    とする請求項12に記載の磁気ディスク装置。
JP10280241A 1998-10-01 1998-10-01 磁気記録媒体及び磁気ディスク装置 Withdrawn JP2000113443A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP10280241A JP2000113443A (ja) 1998-10-01 1998-10-01 磁気記録媒体及び磁気ディスク装置

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP10280241A JP2000113443A (ja) 1998-10-01 1998-10-01 磁気記録媒体及び磁気ディスク装置

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JP2000113443A true JP2000113443A (ja) 2000-04-21

Family

ID=17622274

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP10280241A Withdrawn JP2000113443A (ja) 1998-10-01 1998-10-01 磁気記録媒体及び磁気ディスク装置

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP2000113443A (ja)

Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2004068390A2 (en) * 2003-01-31 2004-08-12 Showa Denko K.K. Magnetic recording medium, production process thereof, and magnetic recording and reproducing apparatus

Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2004068390A2 (en) * 2003-01-31 2004-08-12 Showa Denko K.K. Magnetic recording medium, production process thereof, and magnetic recording and reproducing apparatus
WO2004068390A3 (en) * 2003-01-31 2004-12-09 Showa Denko Kk Magnetic recording medium, production process thereof, and magnetic recording and reproducing apparatus

Similar Documents

Publication Publication Date Title
US7235314B2 (en) Inter layers for perpendicular recording media
US6567236B1 (en) Antiferromagnetically coupled thin films for magnetic recording
JP3803180B2 (ja) 磁気記録媒体及びその製造方法ならびに磁気ディスク装置
WO2010032766A1 (ja) 垂直磁気記録媒体およびその製造方法
JPWO2009014205A1 (ja) 垂直磁気記録媒体、その製造方法および磁気記録再生装置
US9190095B2 (en) Interlayer comprising chromium-containing alloy
US6740383B2 (en) Magnetic recording medium possessing a ratio of Hc(perpendicular) to Hc(horizontal) that is not more than 0.22 and magnetic recording disk device
US6372367B1 (en) Magnetic recording medium, method for producing the same and magnetic recording apparatus using the same
US6129981A (en) Magnetic recording medium and magnetic recording disk device
JP4023408B2 (ja) 垂直磁気記録媒体用基板、垂直磁気記録媒体及びそれらの製造方法
US20020164506A1 (en) Magnetic thin film media with a pre-seed layer of CrTi
JP4199913B2 (ja) 磁気記録媒体の製造方法
US5945190A (en) Magnetic recording medium and magnetic disk device
JP2001076330A (ja) 磁気記録媒体およびその製造方法
JP3657196B2 (ja) 磁気記録媒体及び磁気ディスク装置
JP2002032907A (ja) カーボン保護膜、磁気記録媒体及びそれらの製造方法ならびに磁気ディスク装置
JP2001189005A (ja) 磁気記録媒体及びその製造方法ならびに磁気記憶装置
US6699601B1 (en) Magnetic recording medium, method of producing the medium, and magnetic disk apparatus
JP2000113443A (ja) 磁気記録媒体及び磁気ディスク装置
JP3864637B2 (ja) 磁気記録媒体
JP2000123345A (ja) 磁気記録媒体及び磁気ディスク装置
JP2001028117A (ja) ディスク媒体
US20060019125A1 (en) Magnetic recording medium and production method thereof as well as magnetic disc device
JP2001250223A (ja) 磁気記録媒体及び磁気記録装置
JP2010108582A (ja) 垂直磁気記録媒体及びその製造方法

Legal Events

Date Code Title Description
A300 Withdrawal of application because of no request for examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A300

Effective date: 20060110