JPH0528418U - 電子除湿器 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】 除湿によって生じた水を人手を要さずに処理
できる、熱電モジュールを応用した電子除湿器を提供す
る。 【構成】 電子除湿器１内は放熱体７で除湿室３と蒸発
室４とに仕切られ、除湿室３には吸気口８と、排気口９
と、放熱体７に固定された熱電モジュール５と、熱電モ
ジュール５の他方の面に固定された冷却体６と、放熱体
７に向かって下傾する傾斜底１１とを設け、ファン１０
によって、吸気口８から流入した空気が冷却体６に接触
して除湿されたのち排気口９から排出されるように構成
され、放熱体７には前記傾斜底１１を流れる結露水を蒸
発室４側に導く開口１４を設け、蒸発室４には蒸発室４
側に流入した結露水を吸収する吸水体１７と、吸水体１
７から蒸発した水分を排気口１５から外部に排出する排
気ファン１６とを設ける。放熱体を仕切壁とせずに、仕
切壁を別に設けるようにすることもできる。

Description

【考案の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】

本考案は、押し入れ等の内部の除湿を行うのに適した電子除湿器に関する。

【０００２】

【従来の技術】

従来より、押し入れ内部の除湿は殆どの家庭で設備されておらず、梅雨期や冬 期は押し入れ内の空気中の水分が壁面に結露して、押し入れに収納されている物 品にカビを発生させるなどの問題があった。

【０００３】 一方、住宅内部の除湿を行う従来の除湿機は圧縮機により空気を圧縮しておい て、この圧縮空気を断熱膨張させて冷却し、冷却面に空気中の水分を結露させて 除湿する方式のものであって、電気容量が大きく、容積・重量も大きく、また騒 音を伴うという欠点を有していた。

【０００４】

【考案が解決しようとする課題】

ふとんや衣類等高湿度を避けるべき家庭用品を収納する押し入れ、納戸、クロ ーゼット等の限られた空間を適切な湿度に維持する除湿器としては、静粛、コン パクト、手入れ不要等の特徴が必要である。これらの特徴を備えた除湿器として 、熱電モジュールを応用した除湿器が最近になって発表されているが、今までに 提供されたものは除湿した水分を定期的に捨てなければならないという煩わしさ があり、凝縮水の廃棄を怠ると、水が満杯の状態となり、自動的に停止して除湿 を行わなくなる等の問題があった。

【０００５】 本考案の目的は、除湿によって生じた水を人手を要さずに処理できる、熱電モ ジュールを応用した電子除湿器を提供することにある。

【０００６】

【課題を解決するための手段】

本考案の電子除湿器の構成は、除湿器内が仕切壁で除湿室と蒸発室とに仕切ら れ、前記除湿室には吸気口と、排気口と、熱電モジュールと、熱電モジュールの 両面に固定された冷却体および放熱体と、前記仕切壁に向かって下傾する傾斜底 とが設けられており、ファンによって、前記吸気口から流入した空気が前記冷却 体に接触して除湿されたのち排気口から排出されるように構成され、前記仕切壁 には前記除湿室と蒸発室とを連通させ前記傾斜底を流れる結露水を前記蒸発室側 に導く開口が設けられ、前記蒸発室には蒸発室側に流入した結露水を吸収する吸 水体が設けられており、蒸発室内の空気が蒸発室の排気口から外部に排出される ように構成されていることを特徴とする。

【０００７】 上記において、仕切壁を放熱体が兼用するように構成してもよい。

【０００８】

【作用】

電子除湿器が押し入れ等の壁面に、蒸発室の排気口（吸気口も設けられている 場合は吸気口と排気口）が壁面に設けられた開口に臨むようにして取り付けられ る。以下この電子除湿器の作用を説明する。

【０００９】 熱電モジュールとファンに通電されると、ファンによって押し入れ等の被除湿 空間内の空気が吸気口から除湿室内に流入し、冷却体へ空気が流れる。

【００１０】 一方、冷却体は熱電モジュールによって冷却され、冷却体の表面温度は低温と なり、露点温度まで下がるので、冷却体に接触した空気は冷却体によって冷却さ れて、冷却体の表面に空気中の水分が結露する。

【００１１】 冷却体により除湿された空気は、排気口から押し入れ等の被除湿空間内に戻さ れる。

【００１２】 一方、冷却体に付着した結露は傾斜底に滴下して、傾斜底を流れ、開口を通っ て蒸発室の吸水体に吸収され、そこで蒸発して排気口から外部に排出される。

【００１３】 このようにして、押し入れ等の被除湿空間内の空気中の水分は一旦凝縮水とな るが、蒸発室で蒸発して外部に移動する。

【００１４】

【実施例】

以下本考案の一実施例を図面に基づいて説明する。図１〜図２において、電子 除湿器１内は縦方向に設けられた放熱体７で、除湿室３と、その横に隣接して配 置する蒸発室４とに仕切られており、それぞれの間で空気の出入りは極めて少な い。

【００１５】 除湿室３について説明すると、除湿室３には縦方向の中間部に熱電モジュール ５が配設され、その発熱面が放熱体７に伝熱的に固定されており、その吸熱面に は冷却体６が伝熱的に固定されている。

【００１６】 前記冷却体６は熱電モジュール５よりも少し縦長で、多数の冷却フィン６ａを 備え、横方向両端は除湿室３の側壁よりも内側に配置し、冷却フィン６ａも除湿 室３の前壁よりも手前側に配置している。

【００１７】 一方、前記放熱体７は電子除湿器１内を除湿室３と蒸発室４とに仕切り、多数 の放熱フィン７ａが蒸発室４内に配置している。

【００１８】 除湿室３の冷却体６に対向する前壁には冷却体６に対して下部寄り位置に吸気 口８が開口し、この吸気口８と同じ面の前壁の上部には排気口９が開口し、この 排気口９部にファン１０が設置されている。

【００１９】 除湿室３の底部は、蒸発室４の底部よりも高い位置にあり、放熱体７に向かっ て下傾する傾斜底１１をなしている。即ち、電子除湿器１の底部は、除湿室３の 傾斜底１１の下端から下方に連続する直壁部１２を備え、その直壁部１２の下端 に蒸発室４の水平な底壁１３が連続している。

【００２０】 放熱体７の本体の底部には横方向全長にわたって開口１４が設けられており、 除湿室３の傾斜底１１の下端位置よりも少し上方の位置まで開口されている。

【００２１】 次に蒸発室４について説明すると、仕切壁２と対向する後壁の上端部には排気 口１５が突出して設けられており、その排気口１５に臨む蒸発室４内にはクロス フロー型の排気ファン１６が設置されている。放熱体７の放熱フィン７ａは蒸発 室４内において排気ファン１６の下方の空間部に設けられている。

【００２２】 蒸発室４内には、吸水体１７が底部から放熱体７に沿って上方に延びて、放熱 フィン７ａの全側面を覆うように放熱体７に伝熱的に固定されている。この吸水 体１７は吸水性繊維として厚みのある不織布やフェルト、あるいはスポンジなど を使用する。

【００２３】 以上の電子除湿器１が押し入れ１８内に設置され、押し入れ１８と別室１９と を仕切る仕切壁２０の壁面に固定され、蒸発室４の排気口１５が前記仕切壁２０ に設けられた開口２１部に挿入配置される。

【００２４】 以下、上記電子除湿器１の作用を説明する。 図示外の電源により、熱電モジュール５と、除湿室３のファン１０と、蒸発室４ のファン１６に通電されると、ファン１０によって押し入れ１８内の空気が吸気 口８から除湿室３内に流入し、冷却体６へ空気が流れる。

【００２５】 一方、冷却体６は熱電モジュール５によって冷却され、冷却体６の表面温度は 低温となり、露点温度まで下がるので、冷却体６に接触した空気は冷却体６によ って冷却されて、冷却体６の表面に空気中の水分が結露する。

【００２６】 冷却体６により除湿された空気は、放熱体７を冷却しながら、排気口９から押 し入れ１８内に戻される。この際、放熱体７を通る空気は冷却体６により冷却さ れているので、放熱体７の熱を奪い取ることができる。以上により、押し入れ１ ８内の空気は絶えず循環しながら除湿室３で除湿され、乾燥した状態を保ち、押 し入れ１８内の収納品を良い状態で保存することができる。

【００２７】 次に、前記冷却体６に付着した結露水の排出について説明する。冷却体６の表 面に付着した結露は水滴となって傾斜底１１に滴下し、傾斜底１１を流れて、放 熱体７の底部の開口１４から蒸発室４内の吸水体１７に移動する。蒸発室４内の 吸水体１７は、放熱体７と接触しているので、放熱体７によって温められ、吸水 体１７内の水分の蒸発が促進されると同時に放熱体７を冷却する。蒸発室４内に 蒸発した水分は排気ファン１６によって別室１９内に排出される。

【００２８】 このようにして、押し入れ１８内の空気中の水分は一旦凝縮水となるが、蒸発 室４で蒸発して別室１９側に移動する。そして別室１９側は大空間であるので、 僅かに湿度が上昇するのみであり、居住空間の環境として何ら支障はない。

【００２９】 放熱体７を除湿室３と蒸発室４とを仕切る仕切壁として兼用する電子除湿器１ は、厚みを薄くでき、軽量にできるので、電子除湿器１を取り付ける壁面からの 出っ張りを少なくすることができる。

【００３０】 また、本実施例においては、クロスフロー型の排気ファン１６を放熱体７の放 熱フィン７ａの上方に配置するようにしたので、電子除湿器１の厚みを薄くでき る。

【００３１】 図３は除湿室と蒸発室とを仕切る仕切壁を放熱体に兼用させずに、仕切壁を放 熱体とは別に設けた例を示したものである。 以下説明すると、電子除湿器１内は縦方向に設けられた仕切壁２で、除湿室３と 、その横に隣接して配置する蒸発室４とに仕切られており、それぞれの間で空気 の出入りは極めて少ない。

【００３２】 除湿室３について説明すると、除湿室３には縦方向の中間部に熱電モジュール ５が配設され、その吸熱面に冷却体６が伝熱的に固定され、吸熱面と反対側の発 熱面に放熱体３０が伝熱的に固定されている。

【００３３】 前記冷却体６は熱電モジュール５よりも少し縦長で、多数の冷却フィン６ａを 備え、横方向両端は除湿室３の側壁よりも内側に配置し、冷却フィン６ａも除湿 室３の前壁よりも手前側に配置している。

【００３４】 一方、前記放熱体３０は冷却体６よりも縦長で、その底面が冷却体６の底面と 略同一の高さ位置をなして冷却体６よりも上方に延びている。そして多数の放熱 フィン３０ａを備え、横方向両端は除湿室３の側壁に伝熱的に固定されており、 放熱フィン３０ａの先端は前記仕切壁２に伝熱的に固定されている。

【００３５】 除湿室３の冷却体６に対向する前壁には冷却体６に対して上部寄り位置に吸気 口８が開口し、この吸気口８と同じ面の前壁の上部には排気口９が開口し、この 排気口９部にファン１０が設置されている。そして冷却体６の上方部には除湿室 ３の前壁と放熱体３０に接続する隔壁３１が設けられて、吸気口８から流入した 空気が上方へ流れないようにしている。

【００３６】 除湿室３の底部は、蒸発室４の底部よりも高い位置にあり、仕切壁２に向かっ て下傾する傾斜底１１をなしている。即ち、電子除湿器１の底部は、除湿室３の 傾斜底１１の下端から下方に連続する直壁部１２を備え、その直壁部１２の下端 に蒸発室４の水平な底壁１３が連続している。

【００３７】 除湿室３の底部の傾斜底１１と冷却体６および放熱体３０の下面との間には通 風路をなす空間３２が設けられている。

【００３８】 仕切壁２の底部には、横方向全長にわたって開口１４が設けられており、除湿 室３の傾斜底１１の下端位置よりも少し上方の位置まで開口されている。

【００３９】 次に蒸発室４について説明すると、仕切壁２と対向する後壁の中央部には排気 口１５が突出して設けられており、その排気口１５には排気ファン１６Ａが設置 されている。

【００４０】 蒸発室４内には、吸水体１７が底部から仕切壁２に沿って上方に延びて、仕切 壁２の全面に伝熱的に固定されている。この吸水体１７は吸水性繊維として厚み のある不織布やフェルト、あるいはスポンジなどを使用する。

【００４１】 以上の電子除湿器１が押し入れ１８内に設置され、押し入れ１８と別室１９と を仕切る仕切壁２０の壁面に固定され、蒸発室４の排気口１５が前記仕切壁２０ に設けられた開口２１に挿入されている。

【００４２】 以下、上記電子除湿器１の作用を説明する。 図示外の電源により、熱電モジュール５と、除湿室３のファン１０と、蒸発室４ のファン１６Ａに通電されると、ファン１０によって押し入れ１８内の空気が吸 気口８から除湿室３内に流入し、冷却体６へ空気が流れる。

【００４３】 一方、冷却体６は熱電モジュール５によって冷却され、冷却体６の表面温度は 低温となり、露点温度まで下がるので、冷却体６に接触した空気は冷却体６によ って冷却されて、冷却体６の表面に空気中の水分が結露する。

【００４４】 冷却体６により除湿された空気は、冷却体６の下方の空間３２を通って放熱体 ３０側に流入して、放熱体３０を冷却し、排気口９から押し入れ１８内に戻され る。この際、放熱体３０を通る空気は冷却体６により冷却されているので、放熱 体３０の熱を奪い取ることができる。以上により、押し入れ１８内の空気は絶え ず循環しながら除湿室３で除湿され、乾燥した状態を保ち、押し入れ１８内の収 納品を良い状態で保存することができる。

【００４５】 次に、前記冷却体６に付着した結露水の排出について説明する。冷却体６の表 面に付着した結露は水滴となって傾斜底１１に滴下し、傾斜底１１を流れて、仕 切壁２の底部の開口１４から蒸発室４内の吸水体１７に移動する。蒸発室４内の 吸水体１７は、熱伝導率のよい材料からなる仕切壁２と接触しているので、放熱 体３０から仕切壁２に伝達された熱によって温められ、吸水体１７内の水分の蒸 発が促進されると同時に仕切壁２を冷却する。蒸発室４内に蒸発した水分は排気 ファン１６Ａによって別室１９内に排出される。

【００４６】 このようにして、押し入れ１８内の空気中の水分は一旦凝縮水となるが、蒸発 室４で蒸発して別室１９側に移動する。そして別室１９側は大空間であるので、 僅かに湿度が上昇するのみであり、居住空間の環境として何ら支障はない。

【００４７】 上記例において、排気口１５の周りに吸気口を設けるようにしてもよい。また 、この場合には、排気ファン１６Ａを吸気ファンにしてもよく、その場合排気口 は吸気口に、吸気口は排気口となる。

【００４８】 また、吸水体の大きさ、位置などは上記２つの実施例で示したものに限らない ことはいうまでもない。

【００４９】 図４は住宅における電子除湿器１の設置例を示すものである。広い空間を有す るリビングルーム４０の隣に６帖の和室４１が設けられており、その和室４１に 押し入れ１８が設けられている。この押し入れ１８とリビングルーム４０の間の 仕切壁２０に電子除湿器１を設置する。

【００５０】 上記では、蒸発室４内の水分を別室へ排出する例を示したが、直接外部空間へ 排出するように構成してもよいことは勿論である。その例を図４により示すと、 リビングルーム４０の隣にある６帖の和室４２に押し入れ１８があり、この押し 入れ１８の一面はバルコニー４３に面している。したがって、バルコニー４３に 面する仕切壁２０Ａに電子除湿器１を設置すれば、蒸発室４内の水分は外部へ排 出することができる。

【００５１】 図４において、４４はバルコニー、４５は洋室、４６は台所、４７はトイレ、 ４８は浴室、４９は洗面所、５０は脱衣室、５１はホール、５２は玄関、５３は 洋室、５４は階段室、５５はバルコニーである。

【００５２】

【考案の効果】

請求項１、２記載の電子除湿器によれば、コンパクトで静粛であり、電気代も 少なく経済的で、且つ除湿室の結露水は傾斜底を通って蒸発室へ円滑に移動し、 そこで蒸発して外部へ排出されるので、除湿によって生じた水を人手を要さずに 処理できて便利であり、押し入れ等の除湿に使用して最適である。

【００５３】 また、請求項２記載の電子除湿器によれば、電子除湿器の薄幅化を図れる。

【図面の簡単な説明】

【図１】本考案の一実施例を示し押し入れ内の壁面に取
り付けた電子除湿器の縦断面図である。

【図２】図１の放熱フィン部位置の縦断面図である。

【図３】本考案の別の実施例を示し押し入れ内の壁面に
取り付けた電子除湿器の縦断面図である。

【図４】本考案の電子除湿器の住宅における設置例を示
す説明図である。

【符号の説明】

１ 電子除湿器 ２ 仕切壁 ３ 除湿室 ４ 蒸発室 ５ 熱電モジュール ６ 冷却体 ７、３０ 放熱体 ８ 吸気口 ９、１５ 排気口 １０、１６、１６Ａ ファン １１ 傾斜底 １２ 直壁部 １３ 底壁 １４ 開口 １７ 吸水体 １８ 押し入れ １９ 別室 ２０、２０Ａ 仕切壁 ２１ 開口 ４０ リビングルーム ４１、４２ 和室 ４３ バルコニー

フロントページの続き (72)考案者 杉田 松生 東京都中央区八重洲一丁目９番９号 帝国 ピストンリング株式会社内

Claims (2)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】 除湿器内が仕切壁で除湿室と蒸発室とに
   仕切られ、前記除湿室には吸気口と、排気口と、熱電モ
   ジュールと、熱電モジュールの両面に固定された冷却体
   および放熱体と、前記仕切壁に向かって下傾する傾斜底
   とが設けられており、ファンによって、前記吸気口から
   流入した空気が前記冷却体に接触して除湿されたのち排
   気口から排出されるように構成され、前記仕切壁には前
   記除湿室と蒸発室とを連通させ前記傾斜底を流れる結露
   水を前記蒸発室側に導く開口が設けられ、前記蒸発室に
   は蒸発室側に流入した結露水を吸収する吸水体が設けら
   れており、蒸発室内の空気が蒸発室の排気口から外部に
   排出されるように構成されていることを特徴とする電子
   除湿器。
2. 【請求項２】 除湿器内が放熱体で除湿室と蒸発室とに
   仕切られ、前記除湿室には吸気口と、排気口と、前記放
   熱体に固定された熱電モジュールと、熱電モジュールの
   他方の面に固定された冷却体と、前記放熱体に向かって
   下傾する傾斜底とが設けられており、ファンによって、
   前記吸気口から流入した空気が前記冷却体に接触して除
   湿されたのち排気口から排出されるように構成され、前
   記放熱体には前記除湿室と蒸発室とを連通させ前記傾斜
   底を流れる結露水を前記蒸発室側に導く開口が設けら
   れ、前記蒸発室には蒸発室側に流入した結露水を吸収す
   る吸水体が設けられており、蒸発室内の空気が蒸発室の
   排気口から外部に排出されるように構成されていること
   を特徴とする電子除湿器。