JPH05283222A - 低損失磁性材料 - Google Patents

低損失磁性材料

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JPH05283222A
JPH05283222A JP4105371A JP10537192A JPH05283222A JP H05283222 A JPH05283222 A JP H05283222A JP 4105371 A JP4105371 A JP 4105371A JP 10537192 A JP10537192 A JP 10537192A JP H05283222 A JPH05283222 A JP H05283222A
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Kinichi Ishino
欣一 石野
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 ヒステリシス損失及び渦電流損失を抑制し、
高周波における磁心損失を大幅に低減する。 【構成】 Fe2 3 、ZnO、MnOを主成分とする
Mn−Znフェライトの焼結密度を4.6×103 kg
/m3 以上とし、低損失磁性材料とする。この低損失磁
性材料の動作周波数帯域は、500kHzから2MHz
である。また、特に渦電流損失を抑制するためには、平
均結晶粒径を7μm以下、あるいは焼結密度の上限を
4.8×103 kg/m3 とする。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、スイッチング電源のト
ランスやテレビジョン受像機のフライバックトランス等
に用いられる低損失磁性材料に関するものであり、特に
高周波数帯域で使用される低損失磁性材料に関するもの
である。
【0002】
【従来の技術】従来、スイッチング電源やテレビジョン
受像機等においては、スイッチング周波数として20〜
200kHz程度、最大磁束密度として200mT以下
程度が想定されており、これに対応する低損失磁性材料
としてMn−Zn系フェライトが多用されている。
【0003】前記Mn−Zn系フェライトは、酸化鉄
(Fe2 3 )、酸化亜鉛(ZnO)及び酸化マンガン
(MnO)を主たる出発原料とし、必要に応じて副成分
を加えた後、混合、仮焼成、粉砕・造粒、プレス成形、
本焼結することにより製造されるものである。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】ところで、前述のよう
にスイッチング周波数が比較的低い周波数である場合に
は、磁心損失はヒステリシス損失が支配的となり、した
がってヒステリシス損失を低減することに重点が置かれ
ている。しかしながら、スイッチング電源の小型化等を
目的として、スイッチング周波数が500kHzを越え
るようになると、ヒステリシス損失を抑制しながら渦電
流損失を低減することが必要となってくる。
【0005】そこで本発明は、500kHzを越える周
波数帯域における前記ヒステリシス損失及び渦電流損失
を抑制することができ、高周波における磁心損失を大幅
に低減することが可能な低損失磁性材料を提供すること
を目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】上述の目的を達成するた
めに、本発明の低損失磁性材料は、動作周波数帯域が5
00kHz〜2MHzである低損失磁性材料において、
酸化鉄、酸化亜鉛及び酸化マンガンを主成分とし、焼結
後の密度が4.6×103 kg/m3 以上であることを
特徴とするものであり、さらには平均結晶粒径が7μm
以下、あるいは焼結後の密度が4.6×103 〜4.8
×103 kg/m3 であることを特徴とするものであ
る。
【0007】本発明の低損失磁性材料は、Fe2 3
ZnO、MnOを主たる出発原料とし、通常の多結晶フ
ェライトの製造プロセスに従って製造されるものであ
る。すなわち、前記各出発原料を秤量,混合し、熱処理
(いわゆる仮焼成)を行った後、粉砕する。しかる後、
適当な大きさに造粒し、プレス等の手法によって任意の
形状に成形した後、再び熱処理(本焼結)を行う。
【0008】主成分であるFe2 3 、ZnO、MnO
の組成範囲は軟磁気特性を有する組成に限定され、例え
ばFe2 3 50〜60モル%、ZnO5〜15モル
%、残部MnOとされる。特に、ZnOに関して言え
ば、大振幅励磁されるため高飽和磁束密度が望まれるこ
とから、5〜15モル%とすることが好ましい。
【0009】上述の磁性材料においては、ヒステリシス
損失を減少させるために、1250〜1300℃の比較
的高い温度で高密度(4.8×103 kg/m3 以上)
に焼結することが考えられるが、この場合には結晶粒径
が大きくなって渦電流損失が増大し、500kHz以上
の高周波では磁心損失を低減することはできない。一
方、渦電流損失を低減するには、焼結温度を低くして結
晶粒を微細化することが有効であるが、たた単に焼結温
度を下げただけでは焼結密度が下がり、ヒステリシス損
失が増加するために、結果として磁心損失はあまり低減
されない。
【0010】したがって、本発明においては、焼結後の
密度を4.6×103 kg/m3 以上とし、ヒステリシ
ス損失を減少させて磁心損失を低減することを基本構成
とするが、さらに平均結晶粒径や密度を上限を規定し、
渦電流損失も抑制して500kHz〜2MHzの高周波
での使用に適したものとする。
【0011】特に、副成分としてCaO0〜0.5モル
%、SiO2 0〜0.1モル%、Ta2 5 0.01〜
0.1モル%を含み、平均結晶粒径が7μm以下で、か
つ焼結後の密度が4.6×103 kg/m3 以上である
Mn−Znフェライトや、副成分としてCaO0.1〜
0.4モル%、SiO2 0.01〜0.1モル%、Ta
2 5 0.01〜0.1モル%、TiO2 0.1〜1モ
ル%のうち少なくとも1種を含み、焼結後の密度が4.
6×103 kg/m3 〜4.8×103 kg/m3 であ
るMn−Znフェライトが好適である。
【0012】
【作用】500kHz〜2MHz程度の高周波で使用す
る低損失磁性材料においては、ヒステリシス損失と渦電
流損失の両者を抑制して磁心損失を低減することが必要
である。本発明においては、焼結後の密度を4.6×1
3 kg/m3 以上に規定することでヒステリシス損失
が抑制されるとともに、平均結晶粒径を7μm以下ある
いは焼結後の密度を4.8×103 kg/m3 に規定す
ることで渦電流損失が抑制され、結果として高周波帯域
における低磁心損失が達成される。
【0013】
【実施例】以下、本発明を適用した実施例について、具
体的な実験結果をもとに詳細に説明する。
【0014】実験例1 先ず、Fe2 3 、ZnO、MnOを主成分とし、副成
分としてCaO、SiO2 、Ta2 5 を添加し、これ
ら出発原料を表1に示す比率になるように秤量した後、
ボールミルを用いて12時間混合した。
【0015】
【表1】
【0016】次に、これを空気中、1000℃で3時
間、仮焼成した。これは、主に混合原料粒子間の固体反
応過程である。しかる後、ボールミルにて12時間粉砕
し、ポリビニルアルコールを添加して造粒した。
【0017】次いで、これを120MPaの圧力下で外
径30mm、内径20mm、厚さ5mmにプレス成形し
た後、1150〜1250℃で4時間焼成(本焼結)し
て密度や平均結晶粒径の異なるMn−Znフェライトを
得た。得られた各Mn−Znフェライトについて、密度
及び磁心損失を測定した。結果を表2に示す。
【0018】
【表2】
【0019】なお、密度及び磁心損失の測定方法は次の
通りである。 密度 :JIS C2561 フェライト
磁心の材質性能試験方法7.8見掛密度の項において規
定される方法のうち、7.8.1液中でひょう量する方
法に準じて測定した。 磁心損失 :電子材料工業会標準規格 パワー
用フェライト磁心の試験方法(EMAS−5003)
「2.1コアロスの測定」において規定される波形記憶
装置法に準じて測定した。
【0020】この結果から、焼結後の密度を4.6×1
3 kg/m3 以上、かつ平均結晶粒径を7μm以下と
することによって、高周波における磁心損失が大幅に減
少することがわかる。
【0021】実験例2 Fe2 3 、ZnO、MnOを主成分とし、副成分とし
てTiO2 、CaO、SiO2 、Ta2 5 を添加し、
これら出発原料を表3に示す比率になるように秤量した
後、ボールミルを用いて12時間混合した。
【0022】
【表3】
【0023】各サンプルの副成分の範囲は、次のような
理由で定められている。CaO、SiO2 は、所定の量
より少ないと結晶粒界の比抵抗が上がらず、渦電流損失
が増大する。また、これらが所定の量より多いと焼結時
に異常粒成長が起こり、磁心損失が増大する。Ta2
5 は、所定の量より少ないと低温焼結したときに焼結密
度が上がらず、磁心損失が増大する。逆に所定の量より
多いと、焼結時に異常粒成長が起こり、やはり磁心損失
が増大する。TiO2 は、所定の量より少ないと、結晶
粒内の比抵抗を高める効果がなくなる。また、所定の量
より多いと焼結時に異常粒成長が起こり、磁心損失が増
大する。
【0024】次に、これを空気中、1000℃で3時
間、仮焼成した後、ボールミルにて12時間粉砕し、ポ
リビニルアルコールを添加して造粒した。次いで、これ
を120MPaの圧力下で外径30mm、内径20m
m、厚さ5mmにプレス成形した後、表4に示す焼結条
件で4時間焼成(本焼結)して密度の異なるMn−Zn
フェライトを得た。
【0025】得られた各Mn−Znフェライトについ
て、密度及び磁心損失を測定した。結果を表4に示す。
【0026】
【表4】
【0027】この測定結果からわかるように、焼結密度
を4.6×103 kg/m3 〜4.8×103 kg/m
3 としたものは、高周波においてヒステリシス損失と渦
電流損失が最も効果的に低減されるのに対して、焼結密
度4.6×103 kg/m3以下のものは、結晶粒径が
小さいため、渦電流損失は低減されるが、ヒステリシス
損失は大幅に増大し、結果として磁心損失は低減されて
いない。また、焼結密度4.8×103 kg/m3 以上
のものは、ヒステリシス損失はやや減少するが、渦電流
損失が大幅に増加し、結果として磁心損失は低減されて
いない。
【0028】
【発明の効果】以上の説明からも明らかなように、本発
明の低損失磁性材料においては、焼結後の密度や平均結
晶粒径を適正なものとしているので、ヒステリシス損失
及び渦電流損失を抑制することができ、高周波(500
kHz〜2MHz)における磁心損失を大幅に低減する
ことが可能である。
【0029】したがって、スイッチング電源に用いられ
るコンバータトランス等を高周波化によって小型化で
き、製造コストが低減される他、携帯用の電子機器の電
源として非常に有用なものとなる。また、電源の効率が
向上するので、電力を節約することができるという効果
も得られる。

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 動作周波数帯域が500kHz〜2MH
    zである低損失磁性材料において、 酸化鉄、酸化亜鉛及び酸化マンガンを主成分とし、焼結
    後の密度が4.6×103 kg/m3 以上であることを
    特徴とする低損失磁性材料。
  2. 【請求項2】 平均結晶粒径が7μm以下であることを
    特徴とする請求項1記載の低損失磁性材料。
  3. 【請求項3】 焼結後の密度が4.6×103 〜4.8
    ×103 kg/m3 であることを特徴とする請求項1記
    載の低損失磁性材料。
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