JPH05281131A - 濃度測定方法および濃度計 - Google Patents

濃度測定方法および濃度計

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JPH05281131A
JPH05281131A JP3204493A JP20449391A JPH05281131A JP H05281131 A JPH05281131 A JP H05281131A JP 3204493 A JP3204493 A JP 3204493A JP 20449391 A JP20449391 A JP 20449391A JP H05281131 A JPH05281131 A JP H05281131A
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measured
drift
microwave
concentration
fluid
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JP3204493A
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English (en)
Inventor
Takeshi Yamaura
武 山浦
Koji Ogata
孝次 緒方
Seiji Yamaguchi
征治 山口
Hitoshi Nagao
均 長尾
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Toshiba Corp
Tokyo Metropolitan Government
Original Assignee
Toshiba Corp
Tokyo Metropolitan Government
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 この発明は、懸濁物質の付着および流体中の
気泡の影響を受けずに濃度を測定し得、かつ、濃度計測
定系のドリフト状態を把握して高精度に被測定物質の濃
度を測定することにある。 【構成】 管体23を構成する一部または全部の絶縁物
質23d,23d′を介してマイクロ波を送信し、か
つ、管体内の流体を伝播してくるマイクロ波を受信する
マイクロ波送受信系(28,29,31,32)と、前
記管体内の被測定物質を含まない流体中および被測定物
質を含む被測定流体中にマイクロ波を伝播させて位相遅
れを測定し、またマイクロ波の伝播経路に誘電体26を
挿入してマイクロ波の位相遅れを測定し、前記誘電体の
非挿入時の位相遅れから濃度を求めるための位相差を測
定する位相測定器33と、これら各位相遅れから濃度計
測定系のドリフトの有無およびドリフト値を求めるドリ
フト演算部34を有する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、懸濁物質の濃度、例え
ば汚泥濃度,パルプ濃度その他液体中の種々の溶解物質
の濃度を測定する濃度測定方法および濃度計に係わり、
特に濃度測定系のドリフトチェック機能を付加した濃度
測定方法および濃度計に関する。
【0002】
【従来の技術】従来、被測定流体の濃度を測定するに際
し、図4に示すような超音波式濃度計が用いられてい
る。この濃度計は、配管1の管壁に被測定流体と接触す
るように超音波送信器2と超音波受信器3がそれぞれ対
向配置され、そのうち超音波送信器2側には超音波発振
器4が接続され、超音波受信器3側には超音波減衰率測
定回路5が接続されている。
【0003】このような構成の濃度計によれば、超音波
発振器4から超音波信号を送出して超音波送信器2に入
力すると、超音波送信器2から超音波が放射される。こ
の超音波は配管1内の流体中を伝播して超音波受信器3
によって受信される。このとき、超音波の強度は流体中
の懸濁物質の濃度に応じて減衰する。超音波受信器3で
は超音波の受信強度に応じた電気信号に変換して超音波
減衰率測定回路5に導入する。この超音波減衰率測定回
路5では、予め懸濁物質の濃度とこの懸濁物質の濃度に
応じた超音波の減衰率との関係を表す検量線が設定され
ているので、入力される電気信号より得られる減衰率に
基づいて前記検量線から濃度を測定することができる。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、以上の
ような濃度計には次のような問題点がある。
【0005】イ. 先ず、超音波の送受信器2,3が液
体に接触していることから、その接触面に懸濁物質が付
着して測定誤差の要因となり、このため定期的に洗浄す
る必要があること。特に、下水汚泥等の懸濁物質の場合
には付着しやすいので、頻繁に洗浄する必要がある。
【0006】ロ. これに対し、以上のような問題は、
配管1の外側に超音波の送受信器2,3を取り付けるこ
とで解決できるが、この場合には配管1の送受信器取り
付け部分の肉厚を薄くしなければならず、強度および耐
久性等の面から問題がある。また、配管1の振動の影響
を受けやすく、誤差の要因となる。
【0007】ハ. さらに、超音波は液体と比較して気
体中での減衰率が非常に大きい。このことは、流体中に
気泡が混入していると超音波の気体中の減衰が懸濁物質
による減衰よりも格段に大きくなる。その結果、測定不
可能になったり、或いは見掛けよりも非常に高濃度な測
定を行ってしまう。
【0008】そこで、この種の濃度計では消泡式の濃度
計が用いられている。この消泡式濃度計は、所定のサン
プリング周期で被測定流体を加圧消泡室に取り込んだ
後、加圧によって気泡を消滅させた後、当該被測定流体
の濃度を測定する構成である。しかし、この濃度計で
は、所定のサンプリング周期で流体をサンプリングする
ので連続測定ができないこと、サンプリングおよび加圧
を行うので機械的な可動機構を設ける必要があること等
により信頼性が低い。
【0009】ニ. さらに、かかる濃度計では、超音波
が懸濁物質によって分散されて減衰することを利用して
いるので、流体中に完全に懸濁物質が溶解している場合
には適用しにくい。
【0010】ホ. 濃度測定系のドリフトをチェックす
る場合、ゼロ点(濃度ゼロ%)のチェックを行う必要が
あるが、この場合には配管内の流体の流れを一旦せき止
めた後、そのせき止め部分から流体を抜き取って被測定
物質を含まない流体,つまりゼロ水を充満させなければ
ならず、ドリフトチェックに非常に時間がかかり、チェ
ック操作が煩雑であること。
【0011】本発明は上記実情にかんがみてなされたも
ので、流体中の気泡の影響を受けずに被測定物質の濃度
を測定でき、流体中に懸濁物質が溶解している場合でも
容易に濃度を測定でき、かつ、通常の濃度測定方式を有
効に利用しつつ短時間に濃度計測定系のドリフトの有無
をチェックし得る濃度測定方法を提供することを目的と
する。
【0012】また、他の発明の目的は、流体中の気泡の
影響を受けずに被測定物質の濃度を測定でき、流体中に
懸濁物質が溶解している場合でも容易に濃度を測定で
き、かつ、通常の濃度測定方式を有効に利用しながら短
時間に濃度補正用ドリフト値を求めて測定濃度の補正を
行いうる濃度測定方法を提供することにある。
【0013】さらに、他の発明の目的とするところは、
懸濁物質の付着および流体中の気泡の影響を受けずに濃
度を測定でき、しかも煩雑な測定構成をとることなく濃
度計測定系のドリフトをチェックし得る濃度計を提供す
ることにある。
【0014】
【課題を解決するための手段】先ず、請求項1に対応す
る発明は上記課題を解決するために、管体内または容器
内の被測定物質を含まない流体中および被測定物質を含
む被測定流体中にマイクロ波を伝播させて得られる位相
遅れθA ,θB と、この位相遅れ測定時と同一条件下に
おいて前記マイクロ波の伝播経路にそれぞれ誘電体を挿
入したときに得られるマイクロ波の位相遅れθC ,θD
とを用いて、
【0015】θD −θC と{(d−d1 )/d}(θB
−θA )とが等しい関係に有るか否かに応じて濃度計測
定系のドリフトの有無を判定し、その判定結果に応じて
測定濃度の妥当性を判断可能とする濃度測定方法であ
る。但し、上式においてdは被測定流体層の厚さ(距
離)、d1 は挿入する誘電体の厚さである。次に、請求
項2に対応する発明は、請求項1に対応する発明でドリ
フト有りと判定されたとき、所定の演算式,つまり (d/d1 )(θD −θC )−{(d−d1 )/d1
(θB −θA ) に基づいて前記濃度計測定系のドリフト補正値を求めた
後、このドフト補正値を用いて測定濃度を補正する濃度
測定方法である。なお、請求項1,2における誘電体と
しては、その誘電率が前記被測定流体の誘電率に比較的
近い誘電率の材質のものを用いることが望ましい。
【0016】さらに、請求項3に対応する発明は、一部
または全部を絶縁物質で構成した管体または容器の該絶
縁物質を介して互いに対向配置されたマイクロ波送受信
系、前記管体内または容器内の被測定物質を含まない流
体中および被測定物質を含む被測定流体中のマイクロ波
伝播経路にそれぞれ誘電体を挿入し、前記マイクロ波送
受信系を用いて送受信されたマイクロ波の位相遅れを測
定し、また当該位相遅れ測定時と同一条件で前記誘電体
の非挿入時のマイクロ波の位相遅れを測定し、そのうち
前記誘電体の非挿入時のマイクロ波の位相遅れから前記
被測定物質の濃度を求めるための位相差を測定する位相
測定器と、この位相測定器によって測定された各位相遅
れを用いて濃度計測定系のドリフトの有無を判定するド
リフト有無判定手段とを備えたものであり、
【0017】また、請求項4に対応する発明は、請求項
3に対応する発明に前記ドリフト有無判定手段よってド
リフト有りと判定されたとき、前記所定の演算式に基づ
いて前記濃度計測定系のドリフト補正値を求めるドリフ
ト値演算手段を付加した濃度計である。なお、請求項
3,4における誘電体としては、その誘電率が前記被測
定流体の誘電率に比較的近い誘電率の材質のものを用い
たことが望ましい。
【0018】
【作用】従って、請求項1,2に対応する発明は以上の
ような手段を講じたことにより、被測定物質を含まない
流体中および被測定物質を含む被測定流体中にマイクロ
波を透過させて位相遅れθA ,θB を測定するととも
に、これら位相遅れθA ,θB から位相差△θを求めた
後、予め既知濃度と位相差との関係から濃度を測定する
ようにしたので、流体中に気泡が含まれている場合でも
マイクロ波がその気泡に影響されずに透過して被測定物
質の濃度を測定でき、しかも流体中に懸濁物質が溶解し
ている場合でもその溶解物質の影響を受けつつマイクロ
波が伝播して受信系に到達することから、同様に適切に
濃度を測定できる。
【0019】さらに、被測定物質を含まない流体中およ
び被測定物質を含む被測定流体中にマイクロ波を透過さ
せて位相遅れθA ,θB を測定するが、その直後に同一
の測定条件を維持しながらマイクロ波伝播経路に誘電体
を挿入して位相遅れθC ,θD を測定し、これら位相遅
れθA 〜θD から濃度計測定系のドリフトの有無および
前記濃度計測定系のドリフト値を求めるので、通常の濃
度測定を有効に利用しながら短時間に濃度計測定系のド
リフト状態を把握でき、さらにドリフト値に基づいて測
定濃度を補正することにより被測定物質の濃度を正確に
測定できる。
【0020】次に、請求項3,4に対応する発明は、管
体または容器の全部または一部を構成する絶縁物質を介
してマイクロ波送受信系からマイクロ波を前記管体また
は容器内部の流体中に送信するので、従来のように送受
信系が被測定流体に接触することがなくなり、よって懸
濁物質の付着の影響を受けることがない。また、マイク
ロ波の送受信波の位相遅れから濃度を測定することか
ら、流体中の気泡に影響されずに所望とする被測定物質
の濃度を測定できる。また、位相測定器に新たにドリフ
ト演算手段,つまり各位相遅れ測定値からドリフトの有
無判定およびドリフト値を求めるだけであるので、比較
的簡単な構成を用いて濃度計測定系のドリフトをチェッ
クでき、かつ、ドリフト値に基づいて測定濃度を補正で
き、よって被測定物質の濃度を正確に測定できる。
【0021】
【実施例】以下、本発明に係わる濃度測定方法の原理に
ついて図1を参照して説明する。全く新しい観点からマ
イクロ波を用いてその受信波の位相遅れを利用し、濃度
を測定するものとする。
【0022】しかし、マイクロ波は、金属管の場合には
管壁を通ることなく管外側を伝播することから問題があ
り、このため絶縁性の管,容器または一部絶縁体を取り
付けた金属管を用い、これら絶縁性管体11にマイクロ
波の送信アンテナ12および受信アンテナ13が対向す
るように密着状態に取り付ける。
【0023】このようなアンテナ取り付け状態において
送信アンテナ12側からマイクロ波を送信すれば、この
マイクロ波は絶縁性管壁を通って流体中を伝播して反対
側の受信アンテナ13で受信される。そこで、絶縁性管
体11内にゼロ水14および被測定流体15を入れたと
き、そのマイクロ波受信波の位相遅れを測定すれば、こ
れら両位相遅れから位相差を求めることができる。よっ
て、この位相差を測定し、予め既知濃度の流体によって
測定された濃度と位相差との関係を検量線を定めておけ
ば、測定された位相差から流体の濃度を測定できる。
【0024】一方、流体に起因しない管体11を含むマ
イクロ波送受信系(以下、測定系と指称する)では、期
間の経過に伴ってドリフトが発生する。従って、かかる
測定系のドリフトによる測定濃度の影響を回避する観点
から、ドリフトのチェック,ひいてはその濃度影響分を
補償する必要がある。
【0025】このドリフトのチェックに関し、前記濃度
測定時に管体11内にゼロ水14および被測定流体15
を入れたとき、当該管体11内に誘電体16を挿入すれ
ば、誘電体非挿入時とは異なる位相遅れを示すことか
ら、この位相遅れを有効に利用しつつ後述する理論式に
基づいてドリフトのチェックを行うことができる。次
に、以上のような原理を用いて実際の濃度測定とドリフ
トのチェックについて説明する。
【0026】今、図1(a)に示すごとく、管体11内
にゼロ水14を導入した後、送信アンテナ12からマイ
クロ波を送信し、そのときの受信波の位相遅れθA を測
定し、かつ、この位相遅れ測定直後に同図(c)に示す
ように厚さd1 の誘電体16を挿入して受信波の位相遅
れθC を測定する。さらに、濃度測定時、同図(b)に
示すごとく、実際に管体11内に被測定物質を含む被測
定流体15を流している状態でマイクロ波受信波の位相
遅れθB を測定し、このとき同図(d)に示すように厚
さd1 の誘電体16を挿入して受信波の位相遅れθD
測定する。しかして、これら位相遅れθA 〜θD はそれ
ぞれ次のような理論式から求めることができる。
【0027】
【数1】 但し、前記(1)式〜(4)式において、 c0 :真空中での電波の伝播速度 d :被測定流体層の厚さ(距離) d1 :挿入する誘電体16の厚さ ω :入射するマイクロ波の角周波数 ε0 :真空の誘電率 εW :ゼロ水の比誘電率 εS :被測定流体の比誘電率 εS1:挿入する誘電体16の比誘電率 σW :ゼロ水の導電率 σ :被測定流体の導電率 σ1 :挿入する誘電体15の導電率(ほぼ0)
【0028】k :ゼロ水測定時の流体に起因しない測
定系(マイクロ波発振器(図示せず)送信アンテナ12
まで、管壁との接合部分、管壁、受信アンテナ13から
位相測定器(図示せず)までの電波の伝播系統など)に
起因する位相遅れ k′:被測定流体測定時の流体に起因しない測定系に起
因する位相遅れ。
【0029】なお、通常、ほぼ同一時刻の場合にはk=
k′となるが、期間の経過によってk≠k′となる場合
がある。その理由は、kが予め事前にゼロ水測定時に決
定されるためである。ゆえに、k=k′であれば濃度計
測定系にドリフトなし、k≠k′であれば濃度計測定系
にドリフト有りと考えることができる。ここで、
【0030】
【数2】 と置くと、前記(1)式〜(4)式は下記する(1)′
式〜(4)′式のように書き換えることができる。 θA =(d/c0 )A+k ……(1)′ θC ={(d−d1 )/c0 }A+(d1 /c0 )C+k ……(2)′ θB =(d/c0 )B+k′ ……(3)′ θD ={(d−d1 )/c0 }B+(d1 /c0 )C+k′……(4)′ 従って、被測定物質の濃度を測定する場合には、前記θ
A ,θB を用いて、 位相差△θ=θB −θA を求めた後、予め既知濃度と位相差△θとの関係を表す
検量線に基づき、その測定位相差△θから濃度を測定す
ることができる。次に、ゼロ水を導入せずに濃度計測定
系のドリフトをチェックする例について述べる。今、θ
D とθC の位相差は前記(1)′式〜(4)′式から、
【0031】 θD −θC ={(d−d1 )/d}(θB −θA )+(d1 /d)(k′−k) ={(d−d1 )/d}△θ+(d1 /d)(k′−k)…(5) となる。
【0032】従って、(θD −θC )と{(d−d1
/d}△θとがほぼ等しい関係にあれば、ほぼk′=k
となりドリフトなしと判断でき、また(θD −θC )≠
{(d−d1 )/d}△θなる関係にあれば、k≠k′
となりドリフト有りと判断できる。そこで、濃度計測定
系にドリフト有りと判定されたとき、どの程度のドリフ
ト値が生じているかを求める。この場合には前記(5)
式から k′−k=(d/d1 )(θD −θC ) −{(d−d1 )/d1 }(θB −θA )……(6) となるが、この(k′−k)がドリフトチェック時のθ
A の補正値,つまりドリフト値となる。従って、真の位
相遅れθA ′は、 θA ′=θA +(k′−k) ……(7) となり、この補正後の位相遅れθA ′をメモリに記憶し
ておけば、以後,濃度測定時に、 △θ=θB −θA ′ ……(8) なる演算式から補正を施した正確な位相差△θを測定で
きる。なお、前記誘電体16を管体11内に挿入したと
き、その誘電体16と流体との境界面でマイクロ波の一
部が反射する。この反射係数は、
【0033】
【数3】
【0034】に比例する。従って、この誘電体16とし
ては、反射を少なくする観点からゼロ水14の誘電率に
比較的近似する誘電率のものを使用することが望まし
い。なお、μW ,μS1はゼロ水14と誘電体16の比誘
電率であって、通常はμW =μS1はほぼ1である。
【0035】次に、本発明の一実施例として、例えば配
管中を流れる汚泥の濃度を測定する濃度計について図2
および図3を参照して説明する。図2は濃度計の全体構
成図、図3は誘電体の取り付け部分の詳細図である。こ
れらの図において21,21′は上流側配管および下流
側配管であって、これら両配管21,21′の間にはそ
れぞれ仕切り弁22,22′を介して濃度検出用管体2
3が介在されている。この濃度検出用管体23には給水
バルブ24および排水バルブ25が設けられ、外部から
ゼロ水を供給できる構成となっている。
【0036】この濃度検出用管体23は、前述したよう
に全体的または必要な部分だけ絶縁性物質から構成され
ているが、具体的には例えば図3に示すように金属製管
23aの両側部からフランジを付設された枝管部23
b,23b′が対向して設けられている。そして、これ
ら枝管部23b,23b′の各フランジにシールパッキ
ン23c,23c′を介して絶縁物質(例えばプラスチ
ック,FRP(ファイバー・レジンや塩化ビニール樹脂
などのプラスチック))などのアンテナ取付板23d,
23d′が取り付けられている。
【0037】前記一方の枝管部例えば23b′側には金
属製管23aの内部を通るマイクロ波伝播路を遮るよう
な位置関係で厚さd1 の誘電体板26がシールパッキン
26aを介して駆動部27によって挿脱可能に設けられ
ている。
【0038】また、前記一方のアンテナ取付板23dに
はマイクロ波送信アンテナ28、他方のアンテナ取付板
23d′にはマイクロ波受信アンテナ29が互いに対向
するように密着して取り付けられている。
【0039】次に、再び図2に戻って濃度計の構成につ
いて説明する。この濃度計の送信系にはマイクロ波を発
生するマイクロ波発振器31が設けられ、この発振器3
1の出力はパワースプリッタ32を介して送信アンテナ
28に送られる。一方、受信系では前記受信アンテナ2
9に位相測定器33が設けられ、この位相測定器33に
は受信アンテナ29からのマイクロ波受信波だけでな
く、前記パワースプリッタ32からマイクロ波送信波の
一部が供給されている。
【0040】この位相測定器33には、図1(a)〜図
1(d)の測定条件時の位相遅れθA 〜θD を測定する
位相遅れ測定手段33a、これら位相遅れデータを記憶
する測定データ記憶手段33b、位相差△θを求める位
相差演算手段33cおよびドリフト補正手段33d等が
設けられている。さらに、この位相測定器33にはドリ
フト演算部34が設けられている。このドリフト演算部
34は、ドリフトチェックに必要な固定データを記憶す
る他、位相測定器33から送られてくる位相遅れデータ
θD ,θC その他位相差データ△θ等に基づいてドリフ
トの有無をチェックするドリフト有無判定手段34aお
よびそのドリフト値を求めるドリフト値演算手段34b
等をもっている。35は位相測定器33から位相差に相
当する信号を受けて濃度に対応した信号例えば濃度0〜
5%を4〜20mAの電流信号に変換して出力する信号変
換器である。次に、以上のように構成された濃度計の濃
度測定動作について説明する。
【0041】先ず、濃度検出用管23内に濃度ゼロのゼ
ロ水(例えば水道水)を導入して位相遅れθA を測定す
る。ここで、位相遅れとは位相比較器33でのマイクロ
波送信波に対するマイクロ波受信波の位相の遅れを意味
する。
【0042】この位相遅れθA の測定に際し、仕切弁2
2,22′を閉成した後、排水バルブ25を開けて管2
3内の汚泥を排出し、しかる後、給水バルブ24を開け
て水道水を供給して管23内の汚れを洗浄した後、排水
バルブ25を閉じて管23内に水道水を満配状態にす
る。
【0043】このような状態において発振器31からマ
イクロ波信号を発生すると、このマイクロ波はパワース
プリッタ32を通って送信アンテナ28から送信され、
管23内の水道水を透過して受信アンテナ29によって
受信される。この受信アンテナ29によるマイクロ波受
信波は位相測定器33へ送られる。この位相測定器33
にはパワースプリッタ32からマイクロ波送信波の一部
が送られてきている。
【0044】ここで、位相測定器33の位相遅れ測定手
段33aでは、マイクロ波送信波とマイクロ波受信波と
の比較によって位相遅れθA を測定し、この測定された
位相遅れθA を自身の測定データ記憶手段33bに格納
する。しかる後、図3に示すように駆動部27により誘
電体板26を図示点線方向,つまり管23内にマイクロ
波受信波を遮るように挿入し、前述と同様にマイクロ波
発振器31からマイクロ波信号を発生した後、そのとき
の位相遅れθC を測定して同様に自身の測定データ記憶
手段33bに格納する。
【0045】以上のようにして管23内にゼロ水を供給
して位相遅れθA ,θC を測定したならば、以後、排水
バルブ25を開けて管23内の水道水を排出した後、仕
切弁22,22′を開けて被測定物質を含む被測定流体
を流し、位相遅れθB を測定する。つまり、被測定物質
を含む被測定流体を流した状態において所定の周期また
は時々刻々マイクロ波を送信し、位相測定器33にて位
相遅れθB を測定して測定データ記憶手段33bに格納
し、必要に応じて順次更新しつつ格納する。
【0046】さらに、位相測定器33の位相差演算手段
33cは、この位相遅れθB と既に測定ずみのゼロ水供
給時の位相遅れθA とを記憶手段33bから読み出し
て、 △θ=θB −θA
【0047】なる演算式に基づいて位相差△θを求めて
信号変換器35に送出する。この信号変換器35では、
位相差△θを受け取ると、予め既知濃度と位相差との関
係,すなわち検量線に従って濃度を求めるとともに、こ
の濃度に対応する信号に変換して出力する。
【0048】次に、濃度計測定系におけるドリフトのチ
ェック動作について述べる。このドリフトチェックは、
以上のようにして位相遅れθB を測定した後、出来うれ
ば被測定物質の濃度がほとんど変化しない時間内に駆動
部27により誘電体板26を図示点線位置まで挿入す
る。かかる状態においてマイクロ波発振器31からマイ
クロ波信号を発生した後、位相測定器33でそのときの
位相遅れθD を測定し、測定データ記憶手段33bに格
納する。
【0049】しかる後、位相測定器33は、位相遅れθ
A 〜θD を測定データ記憶手段33bから読み出してド
リフト演算部34に送出する。このドリフト演算部34
では、予め被測定流体層の厚さdおよび誘電体板26の
板厚d1 が記憶されているので、θD −θC と{(d−
1 )/d}(θB −θA )とについてそれぞれ演算
し、これらがほぼ等しい場合にはドリフトなしと判定
し、逆に等しくない場合にはドリフト有りと判定する。
ここで、ドリフト有りと判定された場合、前記(6)式
に基づき、 (d/d1 )(θD −θC )−{(d−d1 )/d1
(θB −θA
【0050】なる演算を行ってドリフト値を求めた後、
位相測定器33の測定データ記憶手段33bに既に記憶
されている位相遅れθA に補正値として加えることによ
りθAの補正を行う。勿論、ドリフト有りと判定された
とき、実際にゼロ水を導入して正確に実際のドリフトチ
ェックを行い、ゼロ点校正を行う操作を行ってもよい。
なお、本発明は上記実施例に限定されるものではない。
例えば上記実施例では汚泥が流れている状態で測定した
が、静止状態で濃度測定してもよい。また、汚泥に限ら
ず他の流体の濃度を測定にも適用できる。また、実施例
では、濃度0%の液体を基準とするように述べたが、厳
密にゼロでなくても測定範囲から考えて濃度ゼロとみな
せる液体を基準としてもよいし、ある既知濃度の被測定
物質を含むものを基準としてもよい。さらに、図3では
管23として両側方向にフランジ付き枝管部23b,2
【0051】b′を設けたが、全体として絶縁物質で構
成されている場合には特にフランジ付き枝管部23b,
23b′は不要である。また、管23の一側方だけフラ
ンジ付き枝管部を設け、その枝管部に誘電体板26を挿
脱可能に設けてもよい。或いは管体でなく、容器または
バイパス管を利用して濃度を測定する場合にはそれにも
十分に適用できるものである。その他、本発明はその要
旨を逸脱しない範囲で種々変形して実施できる。
【0052】
【発明の効果】従って、以上説明したように本発明によ
れば次のように種々の効果を奏する。
【0053】請求項1の発明は、マイクロ波を用いて濃
度を測定する一方、本来の濃度測定と同じ条件下を有効
に利用して誘電体を挿入して濃度計測定系のドリフトを
チェックするようにしたので、流体中の気泡の影響を受
けずに被測定物質の濃度を測定でき、流体中に懸濁物質
が溶解している場合でも容易に濃度を測定でき、かつ、
短時間に濃度計測定系のドリフトの有無をチェックでき
る。
【0054】次に、請求項2の発明においては、ドリフ
ト有りと判定されたとき、既に測定ずみ位相遅れから濃
度補正用ドリフト値を求めるようにしたので、請求項1
の効果に加え、その濃度補正用ドリフト値を用いて測定
濃度を補正でき、高精度に被測定物質の濃度を測定でき
る。
【0055】さらに、請求項3,4の発明では、懸濁物
質の付着および流体中の気泡の影響を受けずに濃度を測
定でき、しかも簡単な測定構成を用いて濃度計測定系の
ドリフト有無およびドリフト値を測定できる濃度計を提
供できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 ドリフトのチェック動作を含む濃度測定方法
を説明する図。
【図2】 濃度計の一実施例を示す構成図。
【図3】 濃度検出部分の要部詳細図。
【図4】 従来の濃度計の概略構成を示す図。
【符号の説明】
11…絶縁性管体、12…送信アンテナ、13…受信ア
ンテナ、14…ゼロ水、15…被測定流体、16…誘電
体、23…管、26…誘電体板、28…マイクロ波送信
アンテナ、29…マイクロ波受信アンテナ、31…マイ
クロ波発振器、32…パワースブリッタ、33…位相測
定器、34…ドリフト演算部、34a…ドリフト有無判
定手段、34b…ドリフト値演算手段、35…信号変換
器。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 山口 征治 東京都府中市東芝町1番地 株式会社東芝 府中工場内 (72)発明者 長尾 均 東京都港区芝浦一丁目1番1号 株式会社 東芝本社事務所内

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 管体内または容器内の被測定物質を含ま
    ない流体中および被測定物質を含む被測定流体中にマイ
    クロ波を伝播させて得られる位相遅れと、この位相遅れ
    測定時と同一条件下において前記マイクロ波の伝播経路
    にそれぞれ誘電体を挿入したときに得られるマイクロ波
    の位相遅れとを用いて濃度計測定系のドリフトの有無を
    判定し、測定濃度の適否を判断することを特徴とする濃
    度測定方法。
  2. 【請求項2】 管体内または容器内の被測定物質を含ま
    ない流体中および被測定物質を含む被測定流体中にマイ
    クロ波を伝播させて得られる位相遅れと、この位相遅れ
    測定時と同一条件下において前記マイクロ波の伝播経路
    にそれぞれ誘電体を挿入したときに得られるマイクロ波
    の位相遅れとを用いて濃度計測定系のドリフトの有無を
    判定し、ドリフト有りと判定したとき所定の演算式に基
    づいて前記濃度計測定系のドリフト補正値を求めて測定
    濃度を補正することを特徴とする濃度測定方法。
  3. 【請求項3】 一部または全部を絶縁物質で構成した管
    体または容器の該絶縁物質を介して互いに対向配置され
    たマイクロ波送受信系と、前記管体内または容器内の被
    測定物質を含まない流体中および被測定物質を含む被測
    定流体中にマイクロ波を伝播させて位相遅れを測定し、
    またこの位相遅れ測定時と同一条件下において前記マイ
    クロ波の伝播経路にそれぞれ誘電体を挿入してマイクロ
    波の位相遅れを測定し、そのうち前記誘電体の非挿入時
    のマイクロ波の位相遅れから前記被測定物質の濃度を求
    めるための位相差を測定する位相測定器と、この位相測
    定器によって測定された各位相遅れから濃度計測定系の
    ドリフトの有無を判定するドリフト有無判定手段とを備
    えたことを特徴とする濃度計。
  4. 【請求項4】 請求項3記載の発明に、前記ドリフト有
    無判定手段よってドリフト有りと判定されたとき、所定
    の演算式に基づいて測定濃度を補正するための前記濃度
    計測定系のドリフト補正値を求めるドリフト値演算手段
    を付加したことを特徴とする濃度計。
  5. 【請求項5】 誘電体は、前記被測定流体の誘電率に比
    較的近い誘電率の材質のものを用いることを特徴とする
    請求項3または請求項4記載の濃度計。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
CN103874920A (zh) * 2011-10-06 2014-06-18 韦斯全球有限公司 外壁附着型超声波浓度测量系统及其方法

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