JPH05279504A - 樹脂バンパーの製造方法 - Google Patents

樹脂バンパーの製造方法

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JPH05279504A
JPH05279504A JP5787891A JP5787891A JPH05279504A JP H05279504 A JPH05279504 A JP H05279504A JP 5787891 A JP5787891 A JP 5787891A JP 5787891 A JP5787891 A JP 5787891A JP H05279504 A JPH05279504 A JP H05279504A
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bumper
resin
resin bumper
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JP5787891A
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Keiichiro Sano
慶一郎 佐野
Kunihiro Inagaki
訓宏 稲垣
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Suzuki Motor Corp
Original Assignee
Suzuki Motor Corp
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Abstract

(57)【要約】 〔目的〕 基材色を生かし、耐候性、耐擦傷性などの外
観表面特性に優れた、所望の色調を有する樹脂バンパー
を、より小さなスペース、低コストで、製造することを
可能にする。 〔構成〕 原着樹脂製のバンパー表面に、プラズマ処理
や有機溶剤による洗浄等の処理の後、プラズマ重合性モ
ノマー化合物を用いて、透明な保護皮膜を形成するもの
である。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、自動車のポリオレフィ
ン系樹脂バンパーの製造方法に関する。さらに詳しく
は、顔料を含有する原着樹脂で成形したバンパーの表面
に、プラズマ重合により透明の保護皮膜を形成させるこ
とによって、所望の色調を得る樹脂バンパーの製造方法
に関する。
【0002】
【従来の技術】所望の色調を有する樹脂バンパーの製造
方法には、例えば、下記の方法がある。
【0003】1) プライマーと焼き付け塗装による方法 グレー、黒色等の汎用樹脂で成形したバンパーをトリク
ロロエタンにより洗浄した後、プライマーと呼ばれる接
着剤的役割の中塗り剤を塗布し、最後に所望色調のウレ
タン系塗料による上塗り塗装を施し、焼き付け製品とす
る公知の方法がある。
【0004】2) プラズマ処理と焼き付け塗装による方
法 ポリプロピレンとエチレンプロピレンラバーと高密度ポ
リエチレンを任意に混合した合成樹脂でバンパーを成形
し、その表面にプラズマ処理を施し、基材と上塗りとの
接着性を高め、最後に所望の色調のウレタン系塗料によ
る上塗り塗装を施し、焼き付け乾燥して製品とするもの
である(特公平2−19849号公報、特公平2−19
850号公報、特公平2−19851号公報、特公平2
−21412号公報参照)。
【0005】3) 原着樹脂をそのまま用いる方法 所望の色調を有する原着樹脂でバンパーを成形し、製品
とする公知の方法がある。
【0006】4) プラズマ処理とクリヤー塗布による方
法 顔料を含有するポリオレフィンを成形することにより得
られる自動車外装部品をプラズマ処理し、この処理物の
表面に透明なクリヤーを塗布して自動車外装用部品とす
る方法である(特開昭59−105032号公報参
照)。
【0007】ここで、原着樹脂とは、成形品に所望の色
調を与えるため、あらかじめ無機顔料、有機顔料または
染料を混入し、着色されたプラスチックをいう。混入す
る顔料、染料は着色効果があるものであれば特に限定さ
れない。無機顔料としては、例えば、カーボンブラッ
ク、弁柄(FeO3 )、カドミウムレッド(CdSe・
nCdS)モリブデンレッド(25PbC−O4 ・4P
bMoO4 ・PbS)、カドミウムオレンジ(CdS・
nCdSe)、クロムオレンジ(PbCrO4 ・Pb
O)、カドミウムイエロー(CdS・nZnS)、チタ
ンイエロー(Cr2 3 ・2OTiO2 )、黄色酸化鉄
(Fe2 3 ・nH2O)、黄鉛(nPbCrO4 ・P
bSO4 )、群青(Na6 Al6 Si6 242
4 )、コバルトブルー(CoO・Al2 3 )等を挙
げることができる。有機顔料としては、レーキレッド
C、ウォッチャンレッド、ブリリアントカーミン6B、
ベンズイミダゾロンレッド、パーマネントカーミンF
B、ピラゾロンレッド、縮合アゾレッド、キナクリドン
マゼンダ、ペリレンレッド、ベンズイミダゾロンオレン
ジ、ペリノンオレンジ、ベンズイミダゾロンイエロー、
HRイエロー、縮合アゾイエロー、イソインドリノンイ
エロー、フタロシアニンブルー、インダスロンブルー等
を挙げることができる。染料としては、例えば、アント
ラキノン染料のスレンブリリアントバイオレット2R、
インジゴイド染料のインダスレンブリリアントピンク
R、スレンオレンジR、アゾ染料のオレンジII、キノ
ンイミン染料のローダミンB等を挙げることができる。
着色された樹脂成形品の製造において、顔料および染料
は、ドライカラー、ビーズカラー、ペーストカラー、リ
キッドカラー、着色ペレット等のいずれを用いてもよ
く、特に限定されない。成形時に樹脂と着色剤のブレン
ドがいらない着色ペレットを用いるのが望ましいが、成
形時に着色材を混入するマスターバッチ方式でも何らさ
しつかえない。顔料あるいは染料等を混入するポリプロ
ピレン系樹脂等は、確実に目的とする紫外線吸収性の樹
脂表面にするため、他の顔料あるいは染料等の樹脂に着
色をもたらす添加物を全く含まないナチュラルな樹脂が
好ましい。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】上記の従来技術のそれ
ぞれが有する問題点を、上記の順に従って、以下に記
す。 1) プライマーと焼き付け塗装による方法においては、
環境汚染の原因となる塩素系有機溶剤によるバンパーの
洗浄及び塩素化ポリオレフィンからなるプライマーを使
用するため、環境上の問題がある。また、高価な有機溶
剤、プライマー、塗料を多量に使用し、塗布費、設備費
も高価なためコスト的に問題がある。最終的に製品にな
るまでの工程数が多く、時間を要するため、生産性に問
題がある。さらに、多くの設備を要するため、膨大なス
ペースを要するといった問題もある。
【0009】2) プラズマ処理と焼き付け塗装による方
法においては、高価な塗料を大量に使用するうえ、設備
費も高価なため、コスト的に問題がある。また、塗装工
程に時間を要するため、生産性に問題がある。さらに、
塗装設備に膨大なスペースを要するといった問題があ
る。
【0010】3) 原着樹脂をそのまま用いる方法におい
ては、成形したバンパーにツヤがなく(光沢度が低
い)、表面硬度が低く、耐擦傷性に劣り、耐候性にも劣
るため、すぐ変退色する等の外観品質上の問題がある。
【0011】4) クリヤーを使用する方法においては、
高価なクリヤーを大量に使用するうえ、設備費も高価
で、コスト的に問題がある。また、塗布工程に時間を要
するため、生産性に問題がある。さらに、塗布設備のた
めに膨大なスペースを要するといった問題がある。
【0012】本発明の目的は、上記の課題に鑑み、耐擦
傷性、耐候性に優れたバンパーの製造を可能にし、スペ
ース及びコストの問題をクリアする樹脂バンパーの製造
方法を提供することにある。
【0013】
【課題を解決するための手段】本発明の要旨は、原着樹
脂を成形したバンパーの表面にプラズマ処理を行い、つ
いで、プラズマ重合性モノマー化合物を用いて1または
2以上の透明なプラズマ重合皮膜を形成することを特徴
とする樹脂バンパーの製造方法、また、原着樹脂を成形
したバンパーの表面に有機溶剤による洗浄処理を行い、
ついで、プラズマ重合性モノマー化合物を用いて1また
は2以上の透明なプラズマ重合皮膜を形成することを特
徴とする樹脂バンパーの製造方法、さらには、原着樹脂
を成形したバンパーの表面に有機溶剤による洗浄処理を
行い、プラズマ処理を行い、ついで、プラズマ重合性モ
ノマー化合物を用いて1または2以上の透明なプラズマ
重合皮膜を形成することを特徴とする樹脂バンパーの製
造方法にある。
【0014】現行のバンパー塗装工程の1例と本発明の
3つの方法を図1に示す。
【0015】本発明の方法において、原着樹脂バンパー
表面が有機溶剤洗浄により脱色等の悪影響を受ければ、
発明方法2及び3の様に有機溶剤による洗浄を実施して
も何らさしつかえない。発明方法2の様に有機溶剤によ
る洗浄後に直接プラズマ重合皮膜を形成してもよいが、
基材と皮膜との密着性能を考慮すると、発明方法3のよ
うにプラズマ処理を実施した方がより望ましい場合があ
る。なお、発明方法1において、プラズマ処理だけでは
バンパー表面の洗浄効果が不十分な場合には、プラズマ
処理前に有機溶剤による洗浄を行う本発明方法3が望ま
しい。
【0016】また、プラズマ重合皮膜は、優れた性能を
有するので、上記の樹脂バンパー以外のあらゆる樹脂材
料あるいは金属、セラミックス材料に形成することがで
き、対象は特に限定されない。例えば、従来の塗装樹脂
バンパーの表面に皮膜を形成し、クリヤーコート的役目
をもたせることもできる。また目的によっては、本発明
方法に他の工程(加工、処理等)を加え、適当な変更を
加えても何らさしつかえなく、また本発明の範囲を逸脱
するものでもない。
【0017】本発明において処理されるバンパーの基体
材料である樹脂は、特に限定されず、一般によく用いら
れる有機高分子化合物、例えばポリプロピレン、ポリカ
ーボネート、ポリウレタン等を挙げることができる。な
お、これらの樹脂にケブラー及びガラス、炭素等の繊維
を含浸させたFRP(fiber glass reinforced plastic
s)、SMC(sheet molding compound) 等の複合高分子
材料であってもよい。また、樹脂以外の金属、セラミッ
クス材料であってもさしつかえない。
【0018】本発明に使用するプラズマ重合性モノマー
化合物(有機化合物)は、プラズマ重合により皮膜を形
成するモノマーであればいずれのモノマーでもよく、特
に限定されない。モノマー中に金属原子及びフッ素、ケ
イ素、リン、イオウ等の炭素以外の原子を含んでもよ
い。モノマーは1種もしくは2種以上併用してもよく、
特に限定されない。特に、透明で、光沢性、耐擦傷性及
び耐候性を付与するためには、有機ケイ素化合物または
フッ素化合物モノマーが望ましい。有機ケイ素系化合物
としては、例えば、テトラクロロシラン、メチルトリク
ロロシラン、ジメチルジクロロシラン、トリメチルクロ
ロシラン、メチルシラン、ジメチルシラン、トリメチル
シラン、テトラメチルシラン、テトラメトキシシラン、
メチルトリメトキシシラン、ジメチルジメトキシシラ
ン、トリメチルメトキシシラン、フェニルトリメトキシ
シラン、ビニルトリメトキシシラン、γ−メタクリロキ
シプロピルトリメトキシシラン、アリルシラン、γ−グ
リシドキシプロピルトリメトキシシラン、γ−アミノプ
ロピルトリメトキシシラン、γ−クロロプロピルトリク
ロロシラン等を挙げることができる。フッ素系化合物と
しては、例えば、モノフルオロメタン、ジフルオロメタ
ン、トリフルオロメタン、モノフルオロジクロロメタ
ン、モノフルオロエタン、トリフルオロエタン、テトラ
フルオロエタン、ペンタフルオロエタン、ジフルオロジ
クロロエタン、トリフルオロトリクロロエタン、モノフ
ルオロプロパン、トリフルオロプロパン、ペンタフルオ
ロプロパン、ジフルオロジクロロプロパン、テトラフル
オロジクロロプロパン、モノフルオロ−n−ブタン、ト
リフルオロ−n−ブタン、テトラフルオロ−n−ブタ
ン、オクタフルオロ−n−ブタン、ジフルオロ−n−ブ
タン、モノフルオロイソブタン、ジフルオロイソブタ
ン、ペンタフルオロイソブタン、モノフルオロジクロロ
−n−ブタン、ジフルオロジクロロイソブタン、テトラ
フルオロジクロイソブタン等を挙げることができる。
【0019】また必要に応じて、バンパー表面へ第1層
のプラズマ重合皮膜形成後、引き続き第1層とは異なる
1種もしくは2種以上混合のモノマーにより、第2層な
いしはそれ以上のプラズマ重合皮膜を形成させてもよ
い。積層の数は特に限定されない。例としては、まずプ
ロパルギルアルコールやメチルメタクリレート等の酸素
原子を含むモノマーによる親水性のプラズマ重皮合膜を
形成させ、次に疎水性であるテトラメチルシラン等の有
機ケイ素化合物モノマーによるプラズマ重合皮膜を形成
させることができる。より一層の効果を得ることができ
るので有利である。
【0020】バンパー表面へのプラズマ重合皮膜の形成
に先立って、バンパーの基材表面を活性化させるため、
アルゴン、酸素、窒素、ヘリウム等の1種又は2種以上
混合の処理ガスのプラズマ中でイオンボンバードメント
を行い、バンパー表面に前処理を施し、次に形成される
プラズマ重合皮膜とバンパー基材との密着性を強固なも
のにすることができる。さらに、バンパー表面に形成し
たプラズマ重合皮膜を架橋させ、安定で強固なものにす
るためには、バンパー表面へのプラズマ重合皮膜の形成
物、引き続いて水素や希ガス等の1種又は2種以上混合
の処理ガスによるプラズマ処理を施すことが望ましい。
【0021】本発明におけるプラズマ重合条件は、通常
のプラズマ重合とほぼ同様でよい。プラズマ重合反応中
の反応体域の電子温度は10,000〜28,000K
が望ましく、真空度は1×10-1〜1.5Torrが望
ましい。導入管15内に流入する重合用のモノマー及び
プラズマ発生部9内に流入するプラズマ発生ガスの流量
は、例えば内容積3000リットルの真空反応器の場合
には、各々100〜5,000cc(STP)/min
程度が望ましい。前記のモノマーガスには、あらかじ
め、アルゴン、ヘリウム、キセノン、ネオン等のキャリ
アガスを混合して導入管15内に導入することができ
る。プラズマ重合中の処理されるバンパーの温度には特
に制約はないが、0℃以上、バンパー基材の熱変形温度
以下が望ましい。プラズマ重合皮膜(図4の23)の厚
さは、バンパーに要求される耐擦傷性能および耐候性能
により定められるが、通常は0.1〜10μm程度であ
る。
【0022】本発明の方法において使用されるプラズマ
重合装置は、公知のものでよく、特に限定されないが、
本発明を実施するのに特に適する図1に示すマイクロ波
ECRプラズマCVD(Electron Cyclotron Resonance
Plasma Chemical Vapor Deposition)装置を用いるのが
好ましい。他に内部電極容量型、外部電極容量型あるい
は外部電極誘導型等のプラズマ重合装置を使用すること
ができる。また、放電方式は高周波放電、マイクロ波放
電もしくは低周波放電等のいずれでもよく、特に限定さ
れない。放電用電源の出力は、各々、マイクロ波放電の
場合、2450MHzで100〜5000W、高周波放
電の場合、通常13.56MHzで10〜200W、低
周波放電の場合、0.1〜20KHzで10〜200W
程度が望ましい。本発明においては、皮膜が均一に形成
される点からマイクロ波放電を使用するのが好ましい。
【0023】なお、上記のように、原着樹脂バンパー表
面への皮膜形成方法として、プラズマ重合法を例示した
が、皮膜を形成できる方法であれば他の方法でもあって
もよく、特に限定されない。例えば、反応器内にZn
O、ITO、Cu等の金属ターゲット材を設け金属薄膜
を形成させるスパッタ蒸着法、ポリイミドやポリアミド
等の高分子薄膜を形成させる蒸着重合法、あるいは、真
空蒸着法、イオンデポジション法等の皮膜形成方法が挙
げられる。
【0024】
【実施例】以下に、本発明の方法の実施例を経済性、耐
衝撃性に優れたポリプロピレン系樹脂バンパー(エチレ
ンプロピレンゴムを20%含んだエチレン・プロピレン
ブロックポリマー)を一例にとって説明する。
【0025】このポリプロピレン系樹脂にカーボンブラ
ック、群青、弁柄、シアニンブルー、シアニングリーン
等の顔料を任意に混入し(総含有量2.0wt%)、所
望の青色〔JIS Z 8729(L ** * 表示色
系及びL ** * 表示色系による物体色の表示方法)
に準ずる表示色L *=34,a* =6,b* =−21の
青色〕の原着樹脂ペレットをつくり、そのペレットを射
出成形したバンパーの表面に、上記テトラメチルシラン
モノマー化合物によりプラズマ重合皮膜を形成した。
【0026】ここで使用したU字状に成形したバンパー
は、外形寸法が長さ145×奥行き40×幅20cm
で、重量2kg、肉厚が約4mmでほぼ均一であった。
【0027】また、プラズマ重合皮膜形成は、本発明方
法3により行った。その詳細を、図面を参照しつつ、以
下に記す。
【0028】図2は本発明方法の実施例において使用さ
れるプラズマ重合皮膜形成装置の全体構成、図3は装置
へのバンパーの設置方法、図4はバンパーを設置した装
置の側面図を示す。なお、図5には、本発明により製造
した樹脂バンパーの断面図を示す。
【0029】図2の10はマイクロ波発振部で、ここで
は2450MHzのマイクロ波電源を使用し、出力は5
kWとした。マイクロ波発振部10で発生したマイクロ
波が真空のプラズマ発生部9に印加させると、プラズマ
発生部9内にプラズマが発生する。ここではマイクロ波
ECRプラズマCVD(Electron Cyclotron Resonance
Plasma Chemical Vapor Deposition)装置を使用した。
【0030】まず、図3に示す様に、真空反応器1の反
応器密閉扉1aを開け、原着樹脂バンパー3を真空反応
器1内の設置台4の上に入れ、設置した。この時、原着
樹脂バンパー3を分配管2の吹出2aから放出されるプ
ラズマガスが原着樹脂バンパー3の表面に均一に照射さ
れる様に設置した。図1、図2に示される様に、原着樹
脂バンパー3を、分配管2にほぼ平行で、原着樹脂バン
パー3の中心部が分配管2の中心部と一致するように設
置した。原着樹脂バンパー3を設置後、真空反応器密閉
扉1aを閉じた。
【0031】そして、図2の真空反応器1内の圧力を真
空ポンプ7により10-3Torrまで減圧した。(この
時、排気コントロールバルブ5は全開、真空ポンプ7を
冷却トラップ6の冷却トラップで常時冷却した)。次に
コントロールバルブ11aを開けてボンベ12の処理ガ
ス、ここでは酸素ガスをプラズマ発生部9内に導入し、
真空反応器1内の圧力を10-1〜1Torrとした(こ
のとき、プラズマ発生ガス(不活性ガス)13のコント
ロールバルブ11b、モノマー化合物14のコントロー
ルバルブ11c、及び排気コントロールバルブ5は閉じ
られている)。コントロールバルブ11aを調節して処
理ガス流量を200cc(STP)/minの一定量に
し、排気コントロールバルブ5を調節して真空反応器1
内の圧力を10-1〜1Torrに保ち、マイクロ波発振
部10を作動させ、プラズマ発生部9内に酸素プラズマ
を発生させた。発生したプラズマガスを、導入管15を
通じて真空反応器1内の分配管2の各吹出口2aから均
等に設置台4上の原着樹脂バンパー3の表面に1分間吹
き付けて、プラズマ処理を行った。原着樹脂バンパー3
の表面にカルボニル、カルボキシル基等の極性基が生成
し、活性化され皮膜の接着性が高まる。次いで、マイク
ロ波発振部10のスイッチを切り、プラズマを消滅さ
せ、コントロールバルブ11aを閉じ、プラズマ処理を
終了した。
【0032】再び真空ポンプ7により減圧して圧力を1
-3Torrとした。次にコントロールバルブ11cを
開けてボンベ14のモノマー化合物、ここではテトラメ
チルシランを導入管15の途中から流入させた(コント
ロールバルブ11cを調節し、ここではモノマー化合物
流量を400cc(STP)/minとした)。そして
上記モノマー化合物の流入と同時に、コントロールバル
ブ11bを開けてボンベ13のプラズマ発生ガス、ここ
では窒素ガスをプラズマ発生部9内に導入した(コント
ロールバルブ11bを調節し、ここではプラズマ発生ガ
ス流量を200cc(STP)/minとした)。真空
反応器1内の圧力を、排気コントロールバルブ5を調節
して10-1〜1Torrに保ち、マイクロ波発振部10
を作動させ、プラズマ発生部9内に窒素プラズマを発生
させた。発生した窒素プラズマガスは、マグネットコイ
ル8から導入管15を通り、その途中でモノマー化合物
14が流入されて、混合プラズマガスとなる。そして、
混合プラズマガスは、真空反応器1内の分配管2の吹出
口2aから均等に設置台4上の原着樹脂バンパー3の表
面に約10分間吹き付けられ、プラズマ重合皮膜が形成
された。マイクロ波発振部10を切り、プラズマを消滅
させ、コントロールバルブ11c及びコントロールバル
ブ11bを閉じ、プラズマ重合を終了した。
【0033】そして、再び真空ポンプ7にて減圧して、
圧力を10-3Torrとした。その後、真空ポンプ7を
停止し、真空反応器1内の圧力を大気圧に戻し、反応器
密閉扉1aを開き、原着樹脂バンパー3を取り出した。
原着樹脂バンパー3の表面に、数μmの高光沢で表面硬
度が高く、耐擦傷性、耐候性を有する透明なプラズマ重
合皮膜が形成された(図5)。皮膜形成工程での未反応
モノマー及び不活性ガスは、真空ポンプを通じて完全に
回収され、再利用することができた。
【0034】このようにして製造されたプラズマ重合皮
膜形成バンパーと未処理の原着樹脂バンパーとの、耐擦
傷性、光沢度、耐候性能の比較を行なった。さらに、現
行の塗装による樹脂バンパー製造方法と本発明方法の生
産性の比較も行なった。
【0035】耐擦傷性はJIS K 7204(摩耗輪
によるプラスチックスの摩耗試験方法)に準じ、株式会
社東洋精機製作所製テーバー形アブレーザーを用い、摩
耗輪GC150を1000回転した後の樹脂バンパーの
摩耗量を測定し判断した。測定結果を表1に示す。プラ
ズマ重合皮膜形成バンパーの摩耗質量は、未処理バンパ
ーの摩耗質量を100としたときの相対値で表わした。
【表1】
【0036】光沢度は、JIS Z 8741(光沢度
測定方法)に準じ、スガ試験機株式会社製デジタル変角
光沢計UGV−5Dを用い、60度鏡面光沢度(Gs
(60°))を測定した。測定結果を表2に示す。
【表2】
【0037】耐候性は、JIS D 0205(自動車
部品の耐候性試験通則)に準じ、スガ試験機株式会社製
サンシャインスーパーロングライフウェザーメーターW
EL−SUN−HC型を用いて試験を行った。試験前と
試験後の色差(ΔE* )を測定し変退色を求めた。試験
結果を図6に示す。
【0038】さらに、現行の塗装バンパーと本発明の樹
脂バンパーの製造方法によるバンパーについて、樹脂成
形後、完成までの工程に費やす時間を測定し、生産性を
求めた。結果を表3に示す。
【表3】
【0039】以上のデータから、本発明方法で製造した
樹脂バンパーは、表面にプラズマ重合皮膜を有すること
で、従来の原着樹脂バンパーに比べ、耐擦傷性、光沢
性、耐候性が著しく向上していることが認められた。ま
た、従来の塗装による樹脂バンパーの製造と比較して、
生産性も著しく向上した。
【0040】
【発明の効果】本発明にかかる所望の色調を有する樹脂
バンパーの製造方法によれば、原着樹脂バンパーに透明
なプラズマ重合皮膜を形成せしめ、従来の原着樹脂バン
パーの欠点を補う、高い耐擦傷性、光沢性、耐候性が得
られる。
【0041】また、本発明方法によれば、従来の塗装樹
脂バンパーの製造と比較して、工程数が減少し、生産性
を著しく向上させることができる。
【0042】さらに、本発明方法によれば、樹脂バンパ
ーを成形後、プラズマ重合装置のみで最終製品を完成さ
せるので、従来の塗装バンパー製造におけるプライマー
と塗料の塗布及び乾燥等の塗装設備が廃止でき、製造に
必要なスペースを大幅に削減できる。また、従来法の高
価なプライマー、塗料、クリヤーを廃止することがで
き、高価な設備費も不要なため、大幅なコスト削減とな
る。
【0043】本発明方法によれば、有害なプライマー、
塗料、シンナー使用せず(塩素系有機溶剤によるバンパ
ー洗浄の廃止も可能)、環境汚染の問題は全くなくなっ
た。なお、本発明のプラズマ重合皮膜形成工程での未反
応モノマーガスは、完全に回収し再利用されるので、環
境上全く問題ない。
【0044】従来法の塗装バンパーは、傷付くと塗装が
剥がれ、塗装の色調とは異なる基材が現れ、傷が目だ
つ。しかし、本発明方法により製造したバンパーは、原
着樹脂で成形してあるので、傷ついても同色であるため
目だたないという利点がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明方法の3つの方法と現行のバンパー製造
方法の1例を示す。
【図2】本発明方法の実施例において使用されるプラズ
マ重合皮膜形成装置の全体構成を示す。
【図3】図2の装置へのバンパーの設置方法を示す。
【図4】バンパーを設置した図2の装置の断面図を示
す。
【図5】本発明の方法により製造したバンパーの断面図
を示す。
【図6】耐候性試験の結果を、本発明の方法により製造
されたバンパーと原着樹脂のままで、処理がなされてい
ないバンパーとを対比して示す。
【符号の説明】
1 真空反応器 2 分配管 2a 吹出口 3 原着樹脂バンパー 4 設置台 5 排気コントロールバルブ 6 冷却トラップ 7 真空ポンプ 8 マグネットコイル 9 プラズマ発生部 10 マイクロ波発振部 11a〜d コントロールバルブ 12 処理ガス 13 プラズマ発生ガス 14 モノマー化合物 15 導入管 21 原着樹脂バンパー断面 22 バンパー表面層 23 プラズマ重合皮膜

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 原着樹脂を成形したバンパーの表面に、
    プラズマ処理を行い、ついで、プラズマ重合性モノマー
    化合物を用いて1または2以上の透明なプラズマ重合皮
    膜を形成することを特徴とする樹脂バンパーの製造方
    法。
  2. 【請求項2】 原着樹脂を成形したバンパーの表面に、
    有機溶剤による洗浄処理を行い、ついで、プラズマ重合
    性モノマー化合物を用いて1または2以上の透明なプラ
    ズマ重合皮膜を形成することを特徴とする樹脂バンパー
    の製造方法。
  3. 【請求項3】 原着樹脂を成形したバンパーの表面に、
    有機溶剤による洗浄処理を行い、プラズマ処理を行い、
    ついで、プラズマ重合性モノマー化合物を用いて1また
    は2以上の透明なプラズマ重合皮膜を形成することを特
    徴とする樹脂バンパーの製造方法。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
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JP2008544011A (ja) * 2005-06-16 2008-12-04 イノベイティブ システムズ アンド テクノロジーズ 側面の少なくとも1つにプラズマにより形成された薄膜コーティングを有するポリマー製品およびこのような製品の製造方法

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