JPH0527771B2 - - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本発明は農用トラクタや自走式歩行型芝刈り機
等に用いられるデイスク式無段変速装置におい
て、特にカムボール式の自動調圧機構を備えたデ
イスク式無段変速装置に関する。

〔従来の技術〕

前述のようなカムボール式の自動調圧機構を備
えたデイスク式無段変速装置の一例が特開昭55−
123042号公報に開示されている。これは原動デイ
スクを原動側の第１デイスクと従動デイスクに接
触する第２デイスクとで構成すると共に、第１デ
イスクの回転面と第２デイスク背面の各々にカム
ボール用の凹部を設けて、両凹部の間にカムボー
ルを挾み込んだ形式である。

このように構成するとカムボールの作用によ
り、第１デイスクと共に第２デイスクも回転する
のであるが、従動デイスク側の負荷が大きくなる
と、この負荷は第２デイスクに対し回転抵抗とし
て作用する。これによつてカムボールが両凹部の
傾斜面に乗り上がるような状態となつて、第２デ
イスクが従動デイスク側に摺動押圧され、第２デ
イスクと従動デイスクとの間でスリツプすること
なく動力が伝動されるように構成しているのであ
る。

〔発明が解決しようとする問題点〕

動力の伝達系には一般に動力伝達の入力操作を
行うクラツチ機構が設けられている。そこで、歩
行型芝刈り機等の小型機において、デイスク式無
段変速装置とクラツチ機構とを設けると、どうし
ても機体の大型化並びに重量の増大を伴つてしま
う。

近年では、歩行型芝刈り機等の小型機にデイス
ク式無段変速装置及びクラツチ機構をコンパクト
にまとめて装備する要望が高まつており、本発明
はこの要望を満たすことを目的としている。

〔問題点を解決するための手段〕 本発明の特徴はカムボール式の自動調圧機構を
備えたデイスク式無段変速装置において、前記第
１・第２デイスクの各々に設けたカムボール用の
凹部の両底部同志が対向する位置まで第２デイス
クを強制的に回転させるクラツチ手段を備えてあ
ることにあり、その作用及び効果は次のとおりで
ある。

〔作用〕

カムボール用の凹部の両底部同志が対向する位
置では、第２デイスクを従動デイスクに対して押
圧する付勢力が自動調圧の範囲内で最小になると
共に、第２デイスクが従動デイスクから自動調圧
き範囲内で最も遠ざかることのできる位置とな
る。そこで、この位置において、第２デイスクを
従動デイスクに押圧する付勢力が略ゼロになるよ
うに第２デイスクと従動デイスクの位置関係を設
定してやれば、この位置で動力伝達切り状態を現
出させることができるのである。

〔発明の効果〕

以上のように、デイスク式無段変速装置におい
て既存の構造であるカムボール式の自動調圧機構
に若干の改造及び装置の追加を施すだけで、自動
調圧機構にクラツチ機構も持たせることがてき
た。これによつて、クラツチ機構とデイスク式無
段変速装置とをコンパクトにまとめることができ
て、走行型芝刈り機等にも機体の大型化、重量増
加等の問題を伴わずにクラツチ機構とデイスク式
無段変速装置を装備することが可能となつた。

〔実施例〕

以下、本発明の実施例を図面に基づいて説明す
る。

第１図は自走式の歩行型芝刈り機の足まわりに
用いられているデイスク式無段変速装置であり、
同図に示すようにエンジン動力が伝達されてくる
原動軸１７に原動デイスク１の第１デイスク２が
固定されると共に、原動デイスク１の第２デイス
ク３を原動軸１７に対して相対回転自在に外嵌し
ている。この第２デイスク３の回転面に従動デイ
スク４が接触しており、この従動デイスク４は車
輪（図外）に動力を伝達する伝動軸５に対して、
スプライン構造にて原動デイスク１の半径方向に
摺動操作自在に取付けてある。

前記第１デイスク２と回転面と第２デイスク３
背面にはカムボール式の自動調圧機構６が複数箇
所に設けてあり、その構造について詳述すると第
２図イ，ロに示すように、第１・第２デイスク
２，３の両者に凹部２ａ，３ａを設けると共に、
この両凹部２ａ，３ａに亘つてカムボール７が嵌
まり込んだ構成である。

従動デイスク４側の負荷が大きくなると、この
負荷は第２デイスク３に対し回転抵抗として作用
する。このような状態になると第２図イに示すよ
うにカムボール７が第１・第２デイスク２，３の
両凹部２ａ，３ａの傾斜面に乗り上がり、第２デ
イスク３を従動デイスク４側に摺動押圧するので
ある。

そして、第１図及び第２図イ，ロに示すよう
に、第１デイスク２のボス部には回転方向上手側
に傾斜面を有し、円周方向に沿つた長溝８が複数
箇所に設けられると共に、第２デイスク３のボス
部には、原動軸１７の軸芯方向に摺動自在なピン
部材９が前記長溝８に対応する位置に配置してあ
る。

そして、自動調圧機構６の作動による第１・第
２デイスク２，３の相対回転ズレの範囲と、前記
長溝８の長さを一致させてあり、第２図イに示す
ように、ある付勢力で第２デイスク３を従動デイ
スク４に押圧している状態で前記ピン部材９を強
制的に長溝８の傾斜面に沿つて押し込むと、第２
図ロに示すように、第１・第２デイスク２，３の
両凹部２ａ，３ａの底部同志が対向する位置にま
で強制的に第２デイスク３が回転操作される。

この状態で第２デイスク３の従動デイスク４へ
の押圧付勢力が略ゼロになるように設定してあ
り、第２デイスク３から従動デイスク４への動力
伝達は切り状態となる。

前記ピン部材９を押し込む機構は第１図に示す
ように、ピン部材９の背面にリング状の押圧部材
１０を外嵌すると共に、この押圧部材１０をスプ
リング１１でピン部材９側に付勢している。通常
は外部から操作可能なストツパー部材１２によつ
てリング部材１０は止められており、このストツ
パー部材１２を第２デイスク３側に操作すると、
スプリング１１の付勢力によつてピン部材９が押
し込まれて行くのである。以上のように長溝８、
ピン部材９、スプリング１１等によりクラツチ手
段１３が構成されている。

〔別実施例〕 前記クラツチ手段１３を第３図及び第４図イ，
ロに示すように、カムボール１４をテーパー面を
有するリング部材１５によつて原動軸１７に設け
られた長溝８に係入する形式に構成してもよい。

又、クラツチ手段１３を第５図及び第６図イ，
ロに示すように、第２デイスク３に設けたクラン
ク部材１６の一端をテーパー面を有する前記リン
グ部材１５により、原動軸１７の軸芯側に倒し込
むようにして、第２デイスク３を第２図ロに示す
ような状態に回動操作するように構成することも
可能である。

尚、特許請求の範囲の項に図面との対照を便利
にする為に符号を記すが、該記入により本発明は
添付図面の構造に限定されるものではない。

【図面の簡単な説明】

図面は本発明に係るデイスク式無段変速装置の
実施例を示し、第１図はデイスク式無段変速装置
の全体平面図、第２図イは第２デイスクが従動デ
イスク側に付勢押圧されている状態を示す図、第
２図ロはピン部材を挿入して両凹部の底部同志が
対向し動力伝達が断たれた状態を示す図、第３図
は第１別実施例を示すデイスク式無段変速装置の
平面図、第４図イ，ロはクラツチ手段用のカムボ
ールを押し込む前後の状態を示す縦断正面図、第
５図は第２別実施例を示すデイスク式無段変速装
置の平面図、第６図イ，ロはクランク部材を倒し
操作する前後の状態を示す縦断正面図である。 １……原動デイスク、２……第１デイスク、３
……第２デイスク、２ａ，３ａ……凹部、４……
従動デイスク、６……自動調圧機構、１３……ク
ラツチ手段。

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. １ 原動デイスク１の回転面の一箇所に従動デイ
   スク４の外周面を圧接させて、前記従動デイスク
   ４を原動デイスク１の半径方向に位置変更操作し
   変速を行うように構成すると共に、前記原動デイ
   スク１を原動側の第１デイスク２、及び前記従動
   デイスク４に接触する第２デイスク３で構成し、
   従動デイスク４側の負荷トルクに応じて、前記第
   ２デイスク３を従動デイスク４側に摺動押圧しな
   がら、第２デイスク３に動力を伝達するカムボー
   ル式の自動調圧機構６を、第１デイスク２回転面
   と第２テイスク３背面との間に介装してあるデイ
   スク式無段変速装置であつて、前記第１・第２デ
   イスク２，３の各々に設けたカムボール用の凹部
   ２ａ，３ａの両底部同志が対向する位置まで第２
   デイスク３を強制的に回転させるクラツチ手段１
   ３を備えてあるデイスク式無段変速装置。