JPH05276939A - ヒト毛細胞の培養方法並びに培地 - Google Patents

ヒト毛細胞の培養方法並びに培地

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JPH05276939A
JPH05276939A JP4110886A JP11088692A JPH05276939A JP H05276939 A JPH05276939 A JP H05276939A JP 4110886 A JP4110886 A JP 4110886A JP 11088692 A JP11088692 A JP 11088692A JP H05276939 A JPH05276939 A JP H05276939A
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JP
Japan
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hair
tissue
culture
cells
treatment
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JP4110886A
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English (en)
Inventor
Yuri Okano
由利 岡野
Masao Kitano
征夫 喜多野
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Noevir Co Ltd
Original Assignee
Noevir Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 育毛・養毛剤等の開発や毛髪に関する研究等
において有用な、増殖,分化能力を有するヒト毛細胞の
培養方法、特に頭部毛組織の分離・培養に適した方法、
並びにこれに適する培地を提供する。 【構成】 採取したヒト皮膚より、ディスパーゼ処理,
コラゲナーゼ処理,及びトリプシン処理を含む酵素処理
により、毛組織を表皮及び/叉は真皮組織から損傷を与
えることなく分離する。これをアミノ酸(L-ヒスチジ
ン,L-ロイシン,L-メチオニン,L-フェニルアラニン,
L-トリプトファン,L-チロシン)を通常の1.3〜4倍
量含有する毛細胞用培地にて培養することにより、内毛
根鞘細胞を含む毛細胞の純粋培養を行うことができる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、育毛・養毛剤等の開発
や毛髪に関する研究等において有用な、ヒト毛細胞の培
養方法並びに培地に関する。すなわち、本発明は、増
殖,分化能力を有するヒト毛細胞を培養する方法、特に
頭部毛組織の分離・培養に適した方法、並びにこれに適
する培地を提供するものである。
【0002】
【従来の技術】毛組織は毛母細胞を含み、発毛の根源を
成すものである。すなわち、毛母細胞は内毛根鞘、小皮
質、髄質に分化する。このような毛細胞の培養を行うこ
とは、育毛・養毛剤等の開発や毛髪の基礎的研究のため
に非常に重要である。特に、毛組織の場合、動物の種に
よる差異は無論のこと、個体の性とその存在する体の部
位により、ホルモンその他の因子に対する反応性が異な
り、育毛・養毛剤及び脱毛症治療剤の開発のためには頭
部の毛組織に対する効果を検討することが必要であり、
従来よりヒトの毛細胞の培養が試みられてきた。
【0003】従来は、ヒト毛細胞を得る方法として、毛
髪の抜去、もしくは皮下組織叉は真皮からメスで取り出
すという方法が採られていた。また、毛細胞の培養に
は、カルシウムイオンを含有しないイーグルMEM(Mi
nimum Essential Medium)にウシ胎児血清を添加したも
のや、ダルベッコ変法MEMにウシ胎児血清を添加した
もの、ダルベッコ変法MEMとハムF12培地の混合培
地、MCDB153培地等が一般に用いられていた。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】しかし、従来の毛細胞
培養では、外毛根鞘細胞が培養されているに過ぎず、毛
髪を形成する内毛根鞘細胞や毛球部の細胞は培養されて
いないとされていた。これは、従来の毛細胞の採取方法
では、毛組織に損傷が生じ、無傷の状態で得ることがで
きなかったためと考えられる。
【0005】また、従来の毛細胞用培地を用いた培養で
は、混入した真皮の線維芽細胞が除去できず、毛細胞の
純粋培養が困難であった。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、上記の課
題を解決するべく、毛組織に対する損傷を最小にとどめ
てこれを採取し、組織培養に供するとともに、この培養
に適する培地を検討した。すなわち、本発明において
は、表皮及び/叉は真皮が付着したままの毛組織を含む
ヒト皮膚を酵素処理して、表皮及び/叉は真皮組織から
分離して組織培養を行うことを特徴とし、毛細胞の損傷
を最小限に抑えることを可能とした。また、本発明はさ
らに、毛細胞の組織培養に適する培地をも提供するもの
である。
【0007】本発明において、採取したヒト皮膚より毛
細胞を得るには、まず表皮と毛、真皮と毛の相互間の結
合を酵素処理により除去する。本発明の酵素処理に適す
る酵素としてはコラゲナーゼ、ディスパーゼ、トリプシ
ンなどが挙げられる。コラゲナーゼ及びディスパーゼは
カルシウムイオン及びマグネシウムイオンを含有する培
養液中で、またトリプシンはカルシウムイオン及びマグ
ネシウムイオンを含有しないリン酸緩衝生理食塩水中で
用いるのが好ましく、酵素溶液の濃度はコラゲナーゼ
0.25%、ディスパーゼ500〜10,000U/m
l、トリプシン0.025〜0.25%であるのが好ま
しい。
【0008】ディスパーゼ及びコラゲナーゼ処理により
表皮層を除去し、真皮部分より軽く力を加えることによ
り毛組織を抜去することが可能となる。このようにして
得られた毛組織をトリプシン処理で単細胞浮遊液とし、
組織培養に供する。毛細胞の組織培養を行うには、第1
日目は牛胎児血清を添加した培地を使用し、37℃、5
%CO2存在下、インキュベーター内で培養する。その
後、本発明に係る毛細胞培養用培地に変更して培養す
る。継代培養はEDTA処理後0.025%トリプシン
溶液で細胞を分散して行う。
【0009】本発明に係る毛細胞培養用培地は、通常の
培地に比べ特定のアミノ酸を1.3〜4倍量添加して成
る。すなわち、アミノ酸として、L-ヒスチジン塩酸塩・
一水塩を87.204〜268.32mg/l、L-イソ
ロイシンを130.47〜401.44mg/l、L-メ
チオニンを23.28〜71.64mg/l、L-フェニ
ルアラニンを25.766〜79.28mg/l、L-ト
リプトファンを15.93〜49.00mg/l、L-チ
ロシンを21.20〜65.24mg/lを含有するこ
とを特徴とする。
【0010】
【作用】本発明によれば、少量の皮膚材料より、損傷を
与えることなく毛細胞が容易に得られる。そして本発明
に係る培地を用いた培養法により、10本程度の少数の
毛組織より培養を確立することが可能で、しかも継代す
ることにより各種の用途に用いるに十分な数の細胞を得
ることが出来る。本発明に係る培養法においては、6代
目までは十分継代可能である。本発明において得られた
毛細胞は、良好な増殖,分化能力を有し、最終的には角
化状態の特徴を呈する。すなわち、生体内において生じ
る生理的現象を、in vitroのシャーレ内に再現させるこ
とができる。
【0011】なお、毛細胞を培養した場合には、少数の
真皮線維芽細胞が混入する。しかしながら、このような
混入真皮線維芽細胞は、本発明に係る培地を用いると、
毛細胞に比して増殖能が極めて悪いため、継代を重ねる
ことにより消失して行く。従って、本発明により毛細胞
の純粋培養が可能となる。
【0012】また、従来の毛細胞培養では、毛細胞を採
取する際に毛細胞に損傷を与えてしまうため、内毛根鞘
細胞が培養されず、毛細胞の培養が成功した場合でも、
外毛根鞘の細胞が遊走、増殖するのみであった。これに
対し、本培養法においては、培養された毛細胞が内毛根
鞘細胞に特異的なケラチン蛋白を保有していることを、
抗毛ケラチンモノクローナル抗体を用いた蛍光抗体法に
よって認めており、内毛根鞘細胞をも十分に培養できる
ものであった。
【0013】さらに、本発明によれば、毛の色素細胞を
得ることも可能である。毛球部を構成する重要な細胞の
ひとつである毛の色素細胞を培養して、毛色素細胞と毛
母細胞の関係を調べることは、脱毛および毛の老化現象
の解明に有用である。
【0014】
【実施例】次に、本発明を実施例によりさらに詳細に説
明する。
【0015】以下に、本発明に係る培養方法の一実施例
として行ったヒト毛組織の調製及びヒト毛細胞の培養に
ついて述べる。
【0016】手術的に採取したヒト頭部皮膚を5mm角
程度の大きさに切り、500U/mlディスパーゼ溶液
(MEMに溶解)に浸し、4℃で24時間あるいは37
℃で2〜3時間作用させた。ついでピンセットで表皮層
を剥離して、真皮と皮下組織を残す。このとき、毛組織
は真皮と皮下組織中に存在している。次に、この真皮と
皮下組織を0.25%コラゲナーゼ溶液にて37℃で1
時間処理した。この時点で、毛組織とその周囲の真皮結
合織との結合はゆるやかになり、毛組織はピンセットで
容易に抜去することが出来る。抜去した毛組織を0.0
25%トリプシン溶液にて37℃で7〜8分処理する
と、毛細胞の単細胞浮遊液を得た。
【0017】次に、この細胞浮遊液を1000rpm,
5分間遠心分離してトリプシンを除去した。得られた細
胞を20%牛胎児血清添加Eagle MEM培地に浮
遊させ、I型コラーゲンでコートした組織培養用シャー
レに分注し、5%CO2存在下、インキュベーター(3
7℃)で培養し、培養開始後24時間後に培地を毛細胞
用培地と交換した。直径60mmの組織培養用シャーレ
に10万個の細胞を分注した場合では、培養7〜10日
間で増殖した細胞がシャーレ全体を占めるようになっ
た。この段階で0.02%EDTAで5分間、ついで
0.025%トリプシン溶液で7〜8分間処理すると、
60〜80万個の細胞を得た。これらの細胞をさらにシ
ャーレに分注して継代培養することができ、継代培養は
少なくとも6〜7代まで可能であった。
【0018】本実施例で用いた毛細胞用培地の組成につ
いて表1に示す。ついで、表1中の無機塩類,アミノ酸
及びビタミン類の組成を、それぞれ表2,表3及び表4
に示した。
【表1】
【表2】
【表3】
【表4】
【0019】
【発明の効果】以上のように、本発明によれば、良好な
増殖,分化能力を有した毛細胞の純粋培養が可能とな
り、育毛・養毛剤や脱毛症の治療剤等の開発研究、並び
に毛の再生に関与する因子の分析や、再生機序の解明
等、毛髪の基礎研究に利用することができる。

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 表皮及び/叉は真皮細胞が付着したまま
    の毛組織を含むヒト皮膚を、酵素処理することにより表
    皮及び/叉は真皮を除去し、毛組織を分離して、さらに
    この毛組織を酵素処理して細胞浮遊液とし、これを組織
    培養することを特徴とするヒト毛細胞の培養方法。
  2. 【請求項2】 酵素処理として、ディスパーゼ処理、コ
    ラゲナーゼ処理、及びトリプシン処理を含むことを特徴
    とする、請求項1に記載のヒト毛細胞の培養方法。
  3. 【請求項3】 アミノ酸として、L-ヒスチジン塩酸塩・
    一水塩を87.204〜268.32mg/l、L-イソ
    ロイシンを130.47〜401.44mg/l、L-メ
    チオニンを23.28〜71.64mg/l、L-フェニ
    ルアラニンを25.766〜79.28mg/l、L-ト
    リプトファンを15.93〜49.00mg/l、L-チ
    ロシンを21.20〜65.24mg/lを含有するこ
    とを特徴とする、請求項1叉は請求項2に記載のヒト毛
    細胞の培養方法に適する培地。
JP4110886A 1992-04-02 1992-04-02 ヒト毛細胞の培養方法並びに培地 Pending JPH05276939A (ja)

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Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO1998002134A1 (en) * 1996-07-12 1998-01-22 Johnson & Johnson Consumer Products, Inc. Methods for altering hair growth and hair pigmentation by apoptosis in the follicular papillae and compositions therefor
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