JPH05273192A - 無機物の酸素分析方法 - Google Patents

無機物の酸素分析方法

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JPH05273192A
JPH05273192A JP6627092A JP6627092A JPH05273192A JP H05273192 A JPH05273192 A JP H05273192A JP 6627092 A JP6627092 A JP 6627092A JP 6627092 A JP6627092 A JP 6627092A JP H05273192 A JPH05273192 A JP H05273192A
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Akira Ubukawa
章 生川
Mitsuyoshi Watanabe
光義 渡辺
Kenji Muto
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 無機物の表面近傍に含まれる表面酸素と無機
物中に含まれる内部酸素とを精度よく評価するための酸
素分析方法を提供する。 【構成】 ふっ酸を含む液体により原料粉体を所定温
度、所定時間処理し、ろ過、乾燥後、不活性ガス融解法
により酸素を定量して原料粉体の内部酸素量を求める。
一方、ふっ酸を含む液体により処理しない原料粉体を不
活性ガス融解法により酸素を定量して原料粉体の全酸素
量を求める。前記全酸素量と前記内部酸素量の差を原料
粉体の表面酸素量として求める。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、無機物の酸素分析方法
に関する。
【0002】
【従来の技術】窒化珪素および炭化珪素セラミックス
は、高温強度が優れているため、エンジン部品、ガスタ
ービン部材などの高温構造材料として注目されている。
これらのセラミックスはターボチャージャロータなどに
実用化が着実に進みつつあるが、なお一層の高強度化が
望まれている。これらのセラミックスの製造方法は、通
常、高度に精製された人工の高純度原料に添加剤を加
え、高温または高温高圧で焼結して製造される。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】緻密で高強度のセラミ
ックスを得るためには、添加剤や焼結条件の適正な選定
が重要であることはもちろんであるが、原料粉末の粉体
特性の制御、適正化が何よりも重要である。特に窒化珪
素セラミックスの焼結では、原料粉体の表面付近に含ま
れる酸素量(以下、表面酸素と言う)が影響すると言わ
れ、原料粉体の表面酸素量を精密に制御することが望ま
れている。
【0004】本発明は、原料粉体の表面酸素と原料粉体
中に含まれる内部酸素とを精度よく評価するための酸素
分析方法を提供することを目的とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】本発明の無機物の酸素分
析方法は、無機物をふっ酸を含む液体で処理し、ろ過
し、ろ紙残渣を乾燥後、その残渣を分析することを特徴
とする。無機物をふっ酸を含む液体で処理する温度は、
0〜250℃の範囲であることが望ましい。無機物は、
窒化珪素、炭化珪素またはこれらを主成分とする物質で
あることが望ましい。
【0006】本発明を適用した無機物の酸素分析方法に
よると、ふっ酸を含む液体により原料粉体を所定温
度、所定時間処理し、ろ過、乾燥後、不活性ガス融解法
により酸素を定量して原料粉体の内部酸素量を求め、
ふっ酸を含む液体により処理しない原料粉体を不活性ガ
ス融解法により酸素を定量して原料粉体の全酸素量を求
め、前記全酸素量と前記内部酸素量の差を原料粉体の
表面酸素量として求めることができる。
【0007】更に具体的な分析手順は、次のとおりであ
る。原料粉体をふっ酸を含む液体で所定温度、所定時間
処理し、メンブレンフィルタでろ過する。ろ別残渣を乾
燥後、その一部を取り、市販の酸素分析装置、例えば堀
場製作所製EMGA−2800窒素・酸素分析装置を使
用し、酸素を定量し、内部酸素量(OI )得る。
【0008】一方、ふっ酸を含む液体で処理しない原料
粉体の一部を取って、前記市販装置を用い酸素を定量
し、全酸素量(OT )を求める。表面酸素量(OS
は、全酸素量(OT )と内部酸素量(OI )の差として
得られる。本発明は、原料粉体をふっ酸を含む液体で処
理して、表面酸素を含む原料粉体の表面付近を完全に取
り除いた粉体から内部酸素を定量することを特徴とす
る。
【0009】前記分析手順の具体例のフローを図4に示
す。この分析方法によると、定量値は、酸素を直接定量
するので正確である。更に、内部酸素量を求める装置と
同一装置を使用して全酸素を直接定量する。したがっ
て、全酸素量と内部酸素量の差として求められる表面酸
素量は、正確であり、高い再現性を示す。
【0010】
【実施例】以下、本発明の実施例を説明する。窒化珪素
原料粉体の表面酸素および内部酸素を定量分析する例を
詳述する。 実験例1 実験例1は、窒化珪素原料粉体から表面酸素を含む部分
を取り除くためのふっ酸を含む液体による前記粉体の処
理をした実験例である。その結果を図1に示す。
【0011】シリコンジイミドの熱分解により製造され
た窒化珪素原料粉体の1gを、ふっ酸1重量部と水9重
量部を混合した液体で、温度を0℃から70℃、時間を
5分から250時間の間で変化させて処理し、メンブレ
ンフィルタ、0.65μmでろ過後、ろ液中のSiとN
を吸光光度法で定量し、Si量とN量の比を縦軸とし
た。また、ろ別残渣の乾燥重量を測定し、原料粉体の溶
解量を求め、横軸に取って、各処理条件での定量値をプ
ロットした。
【0012】窒化珪素(Si34 )のSiとNのSi
/N比は、1.50である。原料粉体の表面近傍に酸素
が、SiO2 、Si2 ON2 などの形で存在すると、表
面近傍が溶解したとき、ろ液中のSiとNのSi/N比
は、1.50より大きな値となる。SiとNの比は、原
料粉体中に酸素が一様に存在するとき、一定値となる。
そして、酸素を含まず、Si34 のみのとき、そのS
i/N比は1.50である。したがって、Si/N比が
一定となった時点で、表面酸素を含む領域が取り除かれ
たものとみなすことができる。すなわち、その時点、図
1では、原料粉体が約2重量%溶解した点でのろ別残渣
中の酸素量が内部酸素である。
【0013】実験例2 実験例2は、窒化珪素原料粉体のふっ酸を含む液体によ
る処理時間と前記粉体の溶解量の関係を調べた実験例で
ある。その結果を図2に示す。実験条件は、原料粉体1
g、ふっ酸(ふっ酸1重量部と水9重量部を混合した液
体)50ml、70℃で常時撹拌して試験した。原料粉
体を2重量%溶解する処理時間は、1時間である。処理
時間1時間が、この原料粉体の表面酸素を含む領域を取
り除く最適処理時間である。
【0014】実験例3 実験例3は、図1、図2の試験結果から、窒化珪素原料
粉体の表面酸素、内部酸素の定量分析手順を次のとおり
決めた。窒化珪素原料粉体を110℃で2時間乾燥した
後、デシケーター中で室温まで放冷し、分析試料とす
る。分析試料の1gを、密閉できるテフロン容器、例え
ば三愛科学製HU−100型加圧分解容器のテフロン製
内筒に計り取る。ふっ酸(ふっ酸1重量部と水9重量部
を混合した液体)50mlを加える。テフロンでコーテ
ィングした撹拌子を入れ、密閉して、加圧分解容器を組
み上げる。分解容器を70℃に保ち、撹拌しながら1時
間保持する。水冷して室温まで冷却した後、0.65μ
m孔径のメンブレンフィルタで直ちにろ過する。水約5
mlでろ別残渣を洗浄する。更に4回以上洗浄をくり返
す。ろ別残渣を、110℃乾燥器に移し、2時間乾燥す
る。
【0015】次に、ふっ酸を含む液体で処理する前の分
析試料および前記ろ別残渣の乾燥物の一部について、酸
素分析装置、例えば堀場製作所製EMGA−2800窒
素・酸素分析装置を用いて酸素を定量する。処理前の分
析試料の酸素定量値が全酸素量(OT )であり、ろ別残
渣乾燥物からの酸素定量値が内部酸素量(OI )であ
る。表面酸素量(Os )は、全酸素量と内部酸素量の差
(OT −OI )として求められる。
【0016】実験例4 実験例4は、前記酸素分析値の正確さについて試験した
例である。その結果を図3に示す。分析試料としては、
全酸素量1.11wt%の窒化珪素原料粉末およびその
原料粉末を粉砕、熱処理(表面酸素増加処理)により、
表面酸素だけを増加させた全酸素量が1.38wt%の
表面酸素増加処理窒化珪素原料粉末を使用した。すなわ
ち、前記原窒化珪素原料粉末と表面酸素増加処理窒化珪
素原料粉末は、内部酸素量が同一で、表面酸素量が0.
27wt%表面酸素増加処理窒化原料粉末の方が多い試
料である。
【0017】図3において、実線は本発明による分析結
果を示し、破線は従来の湿式法による分析結果を示す。
また図3において、○が表面酸素増加処理窒化珪素原料
粉末、●が原窒化珪素原料粉末の表面酸素定量値であ
る。原料粉末の溶解量に対してプロットしてある。分析
の結果、本発明による表面酸素量は、原料粉末の溶解量
が約2wt%でほぼ一定値となり、かつ表面酸素増加処
理窒化珪素原料粉末と原窒化珪素原料粉末の表面酸素量
の差は、正確に0.27wt%を示した。これより、本
発明による酸素分析は、正確で高精度であることが判明
した。
【0018】これに対し、ふっ酸溶液中の珪素、窒素量
を測定して計算により求める方法(湿式法)の場合、表
面酸素増加処理窒化珪素原料粉末と原窒化珪素原料粉末
の表面酸素量の差が0.18〜0.23wt%と低値を
示すばかりか、原料粉末の溶解量が増加すると、窒化珪
素が溶解したことによるSiの補正量が増加するので、
表面酸素定量値が大きく変動する。
【0019】また、本発明による酸素定量法の所要時間
は、10試料分析で約1日であったのに対し、従来法で
は、2日であった。これより、迅速性の面でも本発明は
優れている。本発明による各種窒化珪素原料の表面酸
素、内部酸素の分析例を表1に示す。
【0020】
【表1】 次に、本発明による同一試料の再現性の分析例を表2に
示す。
【0021】
【表2】 表2に示すように、表面酸素量の測定した値は、安定し
た均一値になった。これより、本発明による測定法の信
頼性が高いことが判明した。
【0022】
【発明の効果】本発明による無機物の酸素分析方法によ
ると、無機物の定量を正確に行うことができる効果があ
る。また、無機物の酸素分析方法によると、無機物が原
料粉体である場合、原料粉体の表面近傍に含まれる表面
酸素量を正確にかつ再現性良く求められるという効果が
ある。また本発明によれば、この表面酸素量の正確な分
析によって原料粉末を用いたセラミックス等の製造に際
し、強度、特性等を精密に制御できるという効果があ
る。
【図面の簡単な説明】
【図1】Si34 原料粉末の溶解量とSi/N比の関
係を示す図である。
【図2】ふっ酸による原料粉末の処理時間と窒化珪素溶
解量との関係を示す図である。
【図3】Si34 原料粉末の溶解量と表面酸素量との
関係を示す図である。
【図4】本発明の実施例による酸素分析方法の手順を示
すフローチャート図である。

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 無機物をふっ酸を含む液体で処理し、ろ
    過し、ろ紙残渣を乾燥後、その残渣を分析することを特
    徴とする無機物の酸素分析方法。
  2. 【請求項2】 無機物をふっ酸を含む液体で処理する温
    度が0〜250℃の範囲であることを特徴とする請求項
    1記載の無機物の酸素分析方法。
  3. 【請求項3】 無機物が窒化珪素、炭化珪素またはこれ
    らを主成分とする物質であることを特徴とする請求項1
    記載の無機物の酸素分析方法。
  4. 【請求項4】 ふっ酸を含む液体により原料粉体を所定
    温度、所定時間処理し、ろ過、乾燥後、不活性ガス融解
    法により酸素を定量して原料粉体の内部酸素量を求め、 ふっ酸を含む液体により処理しない原料粉体を不活性ガ
    ス融解法により酸素を定量して原料粉体の全酸素量を求
    め、 前記全酸素量と前記内部酸素量の差を原料粉体の表面酸
    素量として求めることを特徴とする無機物の酸素分析方
    法。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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CN115165790A (zh) * 2022-05-16 2022-10-11 浙江海纳半导体股份有限公司 一种提高重掺硅片氧含量测试效率的方法
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