JP2008241455A - バーミキュライト中の角閃石系石綿の定量方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】バーミキュライト中の角閃石系石綿の含有量を、これまでの検出限界値を超える極く微量まで正確に、かつ短時間で効率よく定量できる方法を提供する。
【解決手段】バーミキュライトを、90℃以上に加熱した酸水溶液で酸処理した後、固液分離し、固形分について角閃石系石綿を定量することを特徴とするバーミキュライト中の角閃石系石綿の定量方法。
【選択図】図1
【解決手段】バーミキュライトを、90℃以上に加熱した酸水溶液で酸処理した後、固液分離し、固形分について角閃石系石綿を定量することを特徴とするバーミキュライト中の角閃石系石綿の定量方法。
【選択図】図1
Description
本発明は、建材や保温材、断熱材等に配合されるバーミキュライトに含まれる角閃石系石綿の定量方法に関する。
建材や保温材、断熱材等には天然鉱物が配合されることが多く、中でもバーミキュライトは、軽く、耐火性や断熱性に優れることから広く使用されている。しかし、バーミキュライトには角閃石系石綿が混入していることがあり、石綿の規制強化に伴い、使用に際してその含有量を測定することが義務付けられている
天然鉱物中の石綿の定量方法として、顕微鏡観測により試料中の石綿数を計測する簡易定量分析法(分散染色法、偏光顕微鏡使用によるNIOSH法)や、粉末X線回折法が行われている。しかし、これらの定量方法による検出下限値は、簡易定量分析法では数質量%であり、粉末X線回折法でも0.5〜1質量%である。特にバーミキュライトは、鱗片状であるため顕微鏡観測での検出は困難で、X線回折法以外による検出は無理とも言われている。
そこで、特に石綿含有量が微量の場合、試料を酸やアルカリで前処理をして石綿成分を濃縮して検出精度を高めることが試みられている。例えば、60℃に加熱した塩酸水溶液に試料粉末を所定時間浸漬する酸処理と、60℃に加熱した水酸化ナトリウム水溶液に試料粉末を所定時間浸漬するアルカリ処理とを複数回繰り返し行った後、定量を行う方法が提案されている(特許文献1、特許文献2及び非特許文献1参照)。
しかし、上記のような酸やアルカリでの前処理は、酸やアルカリに対する耐性が強い試料には適用できず、バーミキュライトでは石綿定量下限は最良でも0.5〜0.8質量%程度に留まっている。非特許文献1にも、このような前処理ではバーミキュライト中の石綿の濃縮は難しいことが記載されている。また、前処理に長時間、例えば特許文献1及び特許文献2に記載の方法によれば数日を要しており、作業効率にも難がある。
今日では石綿の使用が厳しく制限されており、バーミキュライトについてもより微量まで定量できることが望まれている。そこで本発明は、バーミキュライト中の角閃石系石綿の含有量を、これまでの検出限界値を超える極く微量まで正確に、かつ短時間で効率よく定量できる方法を提供することを目的とする。
本発明者らは、従来の前処理の見直し、特定の酸処理条件であればバーミキュライトから角閃石系石綿以外の成分を溶解除去でき、検出下限値を格段に引き下げることができることを見出し、本発明を完成するに至った。
即ち、本発明は以下に示すバーミキュライト中の角閃石系石綿の定量方法を提供する。
(1)バーミキュライトに含まれる角閃石系石綿を定量する方法であって、バーミキュライトを、90℃以上に加熱した酸水溶液で酸処理した後、固液分離し、固形分について角閃石系石綿を定量することを特徴とするバーミキュライト中の角閃石系石綿の定量方法。
(2)濃度1N以上の強酸を用いて酸処理を行うことを特徴とする上記(1)記載のバーミキュライト中の角閃石系石綿の定量方法。
(3)酸処理の後に、90℃以上に加熱したアルカリ水溶液でアルカリ処理を行うことを特徴とする上記(1)または(2)記載のバーミキュライト中の角閃石系石綿の定量方法。
(4)濃度1N以上の苛性アルカリ水溶液を用いてアルカリ処理を行うことを特徴とする上記(3)記載のバーミキュライト中の角閃石系石綿の定量方法。
(5)定量を、X線回折により行うことを特徴とする請求項1〜4の何れか1項に記載のバーミキュライト中の角閃石系石綿の定量方法。
(1)バーミキュライトに含まれる角閃石系石綿を定量する方法であって、バーミキュライトを、90℃以上に加熱した酸水溶液で酸処理した後、固液分離し、固形分について角閃石系石綿を定量することを特徴とするバーミキュライト中の角閃石系石綿の定量方法。
(2)濃度1N以上の強酸を用いて酸処理を行うことを特徴とする上記(1)記載のバーミキュライト中の角閃石系石綿の定量方法。
(3)酸処理の後に、90℃以上に加熱したアルカリ水溶液でアルカリ処理を行うことを特徴とする上記(1)または(2)記載のバーミキュライト中の角閃石系石綿の定量方法。
(4)濃度1N以上の苛性アルカリ水溶液を用いてアルカリ処理を行うことを特徴とする上記(3)記載のバーミキュライト中の角閃石系石綿の定量方法。
(5)定量を、X線回折により行うことを特徴とする請求項1〜4の何れか1項に記載のバーミキュライト中の角閃石系石綿の定量方法。
本発明によれば、バーミキュライトから角閃石系石綿以外の成分を溶解除去でき、角閃石系石綿の含有量を、従来の定量方法では定量できなかった0.1質量%程度まで定量することができる。また、これまで、角閃石系石綿以外の成分を溶解除去するための前処理に長時間掛けていたのを短時間で完了でき、作業効率にも優れる。
以下、本発明に関して詳細に説明する。
定量に先立ち、バーミキュライト試料はペースト状や懸濁液として市販されていることがあり、これらの固形分が既知の場合は、試料をそのまま酸処理に付してもよいが、固形分が不明の場合は試料を乾固して固形物とした後、粉砕して粉状とするのが好ましい。バーミキュライト試料が固形の場合は、そのまま、もしくは粉状として酸処理することができる。粉砕粉は、後述する酸処置やアルカリ処理の効率を考慮すると微粒であることが好ましく、例えば、メノウ乳鉢やアルミナ乳鉢を用いて粉砕することができる。
次いで、バーミキュライトに酸処理を施す。酸処理は、濃度1N以上、好ましくは2〜3Nの強酸水溶液にバーミキュライトを入れ、90℃以上、好ましくは95℃以上に加熱し、0.5〜10時間、好ましくは1〜3時間保持する。ここで、強酸とは塩酸、硝酸、硫酸、リン酸等のpKaが3.0以下の酸全てを包含する。このとき、連続的または間歇的に攪拌してもよい。この酸処理により、バーミキュライト中の角閃石以外の成分が選択的に溶解され、角閃石系石綿の含有量が相対的に高まる。
酸処理後、吸引ろ過等により固液分離し、固形分を、必要に応じて水洗した後、乾燥して試料とし、X線回折装置にて角閃石系石綿の定量を行う。尚、X線回折法は、従来と同様に行うことができる。角閃石系石綿には、トレモライト、アモサイト(茶石綿)、クロシドライト(青石綿)、アンソフィライト、アクチノライトがあるが、何れについてもX線回折により定量できる。例えばトレモライトについては、d=8.4A(オングストローム;以下同様)(CuKα線使用時の2θ=10.5°付近)にて定量を行えばよい。
上記の定量方法によれば、現在の一般的なX線回折装置により0.1質量%までの定量が可能になり、更に高性能のX線回折装置を用いれば0.1質量%以下の定量も可能である。
また、上記の酸処理の後、アルカリ処理を行うことが好ましい。アルカリ処理は、酸処理し固液分離された固形分を、濃度1〜5N、好ましくは2〜3Nの苛性アルカリ水溶液に入れ、90℃以上、好ましくは95℃以上に加熱し、0.5〜10時間、好ましくは1〜3時間保持する。ここで、苛性アルカリ水溶液としては水酸化ナトリウム水溶液や水酸化カリウム水溶液を用いることができる。このとき、連続的または間歇的に攪拌してもよい。このアルカリ処理により、酸処理では除去できなかったバーミキュライト中のシリカ等が選択的に溶解され、角閃石系石綿の含有量が相対的に更に高まり、X線回折による検出下限値を更に下げることができる。
また、アルカリ処理を追加することにより、顕微鏡観察による角閃石系石綿の観察も容易となる。顕微鏡観察は、従来と同様に、レーザー顕微鏡、偏光顕微鏡、電子顕微鏡を用いて行うことができる。
以下、実施例及び比較例を挙げて本発明を更に説明するが、本発明は下記実施例に限定されるものではない。
(実施例1)
市販のアフリカ産バーミキュライト2gを、メノウ乳鉢にて微粉に粉砕した。次いで、ビーカに2N塩酸水溶液200mLを量り入れ、バーミキュライト粉砕粉を投入した。次いで、ウォータバス中にビーカを入れ、ビーカ内を時々攪拌しながら、95℃にて1時間加熱した。室温まで放冷後、ガラスフィルターにより吸引ろ過し、その後、ガラスフィルターごと110℃で乾燥した。そして、乾燥した固形分を採取しX線回折を行った。尚、固形分量は、当初のバーミキュライト量の40%であった。X線回折におけるトレモライトの回折ピークはd=8.4A(CuKα線使用時の2θ=10.5°付近)である。測定チャートを図1に示す。尚、図中の枠内は、d=8.4A付近の精査結果である。
市販のアフリカ産バーミキュライト2gを、メノウ乳鉢にて微粉に粉砕した。次いで、ビーカに2N塩酸水溶液200mLを量り入れ、バーミキュライト粉砕粉を投入した。次いで、ウォータバス中にビーカを入れ、ビーカ内を時々攪拌しながら、95℃にて1時間加熱した。室温まで放冷後、ガラスフィルターにより吸引ろ過し、その後、ガラスフィルターごと110℃で乾燥した。そして、乾燥した固形分を採取しX線回折を行った。尚、固形分量は、当初のバーミキュライト量の40%であった。X線回折におけるトレモライトの回折ピークはd=8.4A(CuKα線使用時の2θ=10.5°付近)である。測定チャートを図1に示す。尚、図中の枠内は、d=8.4A付近の精査結果である。
また、酸処理後の試料にトレモライトを既定量ずつ加え、同様にX線回折を行い、トレモライト添加量とピーク強度とをプロットし、図2に示す検量線を作成した。この検量線から、試料中のトレモライト含有量が0.3質量%であることが求められ、試料量が当初のバーミキュライトの40%であることから、当初のバーミキュライト中のトレモライト含有量は0.12質量%であることが求められた。
(比較例1)
実施例1で用いたアフリカ産バーミキュライトを粉砕し、粉砕粉をそのままX線回折に供した。測定チャートを図3に示すが、トレモライトの回折ピークと、バーミキュライト由来の回折ピーク及び他の成分の回折ピークとが重っており、定量には不適であることがわかる。
実施例1で用いたアフリカ産バーミキュライトを粉砕し、粉砕粉をそのままX線回折に供した。測定チャートを図3に示すが、トレモライトの回折ピークと、バーミキュライト由来の回折ピーク及び他の成分の回折ピークとが重っており、定量には不適であることがわかる。
(比較例2)
酸処理条件を、60℃の2N塩酸水溶液で3時間処理した以外は、実施例1と同様にして固形分を得た。尚、固形分量は、当初のバーミキュライト量の50%であった。そして、実施例1と同様にしてX線回折を行った。測定チャートを図4に示すが、バーミキュライト由来の回折ピークが残存しており、トレモライトの定量には不適である。
酸処理条件を、60℃の2N塩酸水溶液で3時間処理した以外は、実施例1と同様にして固形分を得た。尚、固形分量は、当初のバーミキュライト量の50%であった。そして、実施例1と同様にしてX線回折を行った。測定チャートを図4に示すが、バーミキュライト由来の回折ピークが残存しており、トレモライトの定量には不適である。
(実施例2)
市販のバーミキュライトペーストの乾固物1.5gを、ビーカ中の2N塩酸水溶液200mLに投入し、ビーカ内を時々攪拌しながら、95℃にて1時間加熱した。室温まで放冷後、ガラスフィルターにより吸引ろ過し、その後、ガラスフィルターごと110℃で乾燥した。そして、乾燥した固形分を採取し、実施例1と同様にしてX線回折を行った。尚、固形分量は当初のバーミキュライト量の41%であった。測定チャートを図5に示すが、バーミキュライト由来の回折ピークが無く、トレモライトの回折ピークが現れているのがわかる。
市販のバーミキュライトペーストの乾固物1.5gを、ビーカ中の2N塩酸水溶液200mLに投入し、ビーカ内を時々攪拌しながら、95℃にて1時間加熱した。室温まで放冷後、ガラスフィルターにより吸引ろ過し、その後、ガラスフィルターごと110℃で乾燥した。そして、乾燥した固形分を採取し、実施例1と同様にしてX線回折を行った。尚、固形分量は当初のバーミキュライト量の41%であった。測定チャートを図5に示すが、バーミキュライト由来の回折ピークが無く、トレモライトの回折ピークが現れているのがわかる。
次いで、実施例1と同様にしてトレモライトを既定量ずつ添加して図6に示す検量線を作成した。この検量線から、試料中のトレモライト含有量が1.6質量%であることが求められ、試料量が当初のバーミキュライトの41%であることから、当初のバーミキュライト中のトレモライト含有量は0.65質量%であることが求められた。
また、酸処理後の試料の電子顕微鏡(SEM)写真を図7に示すが、バーミキュライトが溶出してシリカのみが残存していることがわかる。
(比較例3)
実施例2で用いたバーミキュライトペーストの乾固物を粉砕し、粉砕粉をそのままX線回折に供した。測定チャートを図8に示すが、トレモライトの回折ピークと、バーミキュライト由来の回折ピーク及び他の成分の回折ピークとが重っており、定量には不適であることがわかる。
実施例2で用いたバーミキュライトペーストの乾固物を粉砕し、粉砕粉をそのままX線回折に供した。測定チャートを図8に示すが、トレモライトの回折ピークと、バーミキュライト由来の回折ピーク及び他の成分の回折ピークとが重っており、定量には不適であることがわかる。
また、試料の電子顕微鏡(SEM)写真を図9に示すが、バーミキュライトのみが検出された。
(実施例3)
実施例2において酸処理を施した後の固形分を、2Nの水酸化ナトリウム水溶液200mLが入れられたビーカに投入し、ビーカ内を時々攪拌しながら、95℃にて1時間加熱した。室温まで放冷後、ガラスフィルターにより吸引ろ過し、その後、ガラスフィルターごと110℃で乾燥した。乾燥した固形分の電子顕微鏡(SEM)写真を図10に示すが、図7に示す実施例2の電子顕微鏡写真と比べると、シリカが除去されており、トレモライトの他、アンソフィライトの存在を確認できる。また、トレモライト及びアンソフィライトは、繊維状ではなく、厳重な取り扱いは不要であるといえる。
実施例2において酸処理を施した後の固形分を、2Nの水酸化ナトリウム水溶液200mLが入れられたビーカに投入し、ビーカ内を時々攪拌しながら、95℃にて1時間加熱した。室温まで放冷後、ガラスフィルターにより吸引ろ過し、その後、ガラスフィルターごと110℃で乾燥した。乾燥した固形分の電子顕微鏡(SEM)写真を図10に示すが、図7に示す実施例2の電子顕微鏡写真と比べると、シリカが除去されており、トレモライトの他、アンソフィライトの存在を確認できる。また、トレモライト及びアンソフィライトは、繊維状ではなく、厳重な取り扱いは不要であるといえる。
(実施例4)
酸処理条件を、0.5N塩酸水溶液を用いて実施した以外は実施例2と同様にして固形分を得た。固形分量は、当初のバーミキュライト量の48%であった。そして、実施例1と同様にしてX線回折を行った。測定チャートを図11に示すが、実施例2の測定チャートと比べるとバーミキュライト由来の回折ピークが残存しているが、トレモライトの回折ピークが明確に現れており、定量に適することがわかる。
酸処理条件を、0.5N塩酸水溶液を用いて実施した以外は実施例2と同様にして固形分を得た。固形分量は、当初のバーミキュライト量の48%であった。そして、実施例1と同様にしてX線回折を行った。測定チャートを図11に示すが、実施例2の測定チャートと比べるとバーミキュライト由来の回折ピークが残存しているが、トレモライトの回折ピークが明確に現れており、定量に適することがわかる。
(比較例4)
酸処理条件を、60℃の2N塩酸水溶液で3時間処理した以外は、実施例2と同様にして固形分を得た。固形分量は、当初のバーミキュライト量の42%であった。そして、実施例1と同様にしてX線回折を行った。測定チャートを図12に示すが、バーミキュライト由来の回折ピークの残存は僅かであるものの、トレモライトの回折ピーク付近に他のピークが存在しており、定量には不適である。
酸処理条件を、60℃の2N塩酸水溶液で3時間処理した以外は、実施例2と同様にして固形分を得た。固形分量は、当初のバーミキュライト量の42%であった。そして、実施例1と同様にしてX線回折を行った。測定チャートを図12に示すが、バーミキュライト由来の回折ピークの残存は僅かであるものの、トレモライトの回折ピーク付近に他のピークが存在しており、定量には不適である。
(比較例5)
市販のバーミキュライトを粉砕し、粉砕粉をそのままX線回折に供した。測定チャートを図13に示すが、トレモライトの回折ピークが現れていない。そこで、この粉砕粉にトレモライトを1質量%の割合となるように添加し、同様にX線回折を行った。測定チャートを図14に示すが、トレモライトの回折ピークが微かに現れている。このことから、本発明の酸処理を行わない場合の検出限界は、1質量%程度であると推察される。
市販のバーミキュライトを粉砕し、粉砕粉をそのままX線回折に供した。測定チャートを図13に示すが、トレモライトの回折ピークが現れていない。そこで、この粉砕粉にトレモライトを1質量%の割合となるように添加し、同様にX線回折を行った。測定チャートを図14に示すが、トレモライトの回折ピークが微かに現れている。このことから、本発明の酸処理を行わない場合の検出限界は、1質量%程度であると推察される。
(実施例5)
市販のバーミキュライト懸濁液を加熱乾固し、得られた固形物2.0gをビーカ中の2N塩酸水溶液200mLに投入し、ビーカ内を時々攪拌しながら、95℃にて1時間加熱した。室温まで放冷後、ガラスフィルターにより吸引ろ過し、その後、ガラスフィルターごと110℃で乾燥した。そして、乾燥した固形分を採取し、実施例1と同様にしてX線回折を行った。固形分量は、当初のバーミキュライト量の47%であった。測定チャートを図15に示すが、バーミキュライト由来の回折ピークが無く、トレモライトの回折ピークが現れているのがわかる。また、アンソフィライトの回折ピークも現れている。
市販のバーミキュライト懸濁液を加熱乾固し、得られた固形物2.0gをビーカ中の2N塩酸水溶液200mLに投入し、ビーカ内を時々攪拌しながら、95℃にて1時間加熱した。室温まで放冷後、ガラスフィルターにより吸引ろ過し、その後、ガラスフィルターごと110℃で乾燥した。そして、乾燥した固形分を採取し、実施例1と同様にしてX線回折を行った。固形分量は、当初のバーミキュライト量の47%であった。測定チャートを図15に示すが、バーミキュライト由来の回折ピークが無く、トレモライトの回折ピークが現れているのがわかる。また、アンソフィライトの回折ピークも現れている。
次いで、酸処理後の固形物にトレモライトとアンソフィライトを既定量ずつ添加し、同様にしてX線回折を行った。そして、トレモライトの回折ピーク(d=8.4A)とアンソフィライトの回折ピーク(d=8.2A)の強度からそれぞれの検量線(図2参照)を作成した。検量線から、固形物中のトレモライト量が1.9質量%で、アンソフィライト量が2.1質量%であり、当初のバーミキュライトにおける含有量がトレモタイト0.9質量%、アンソフィライト1.0質量%であることが求められた、
(比較例6)
実施例5で用いた市販のバーミキュライト懸濁液の固形物を粉砕し、粉砕粉をそのままX線回折に供した。測定チャートを図16に示すが、トレモライトの回折ピークと、バーミキュライト由来の回折ピーク及び他の成分の回折ピークとが重っており、定量には不適であることがわかる。
実施例5で用いた市販のバーミキュライト懸濁液の固形物を粉砕し、粉砕粉をそのままX線回折に供した。測定チャートを図16に示すが、トレモライトの回折ピークと、バーミキュライト由来の回折ピーク及び他の成分の回折ピークとが重っており、定量には不適であることがわかる。
Claims (5)
- バーミキュライトに含まれる角閃石系石綿を定量する方法であって、
バーミキュライトを、90℃以上に加熱した酸水溶液で酸処理した後、固液分離し、固形分について角閃石系石綿を定量することを特徴とするバーミキュライト中の角閃石系石綿の定量方法。 - 濃度1N以上の強酸を用いて酸処理を行うことを特徴とする請求項1記載のバーミキュライト中の角閃石系石綿の定量方法。
- 酸処理の後に、90℃以上に加熱したアルカリ水溶液でアルカリ処理を行うことを特徴とする請求項1または2記載のバーミキュライト中の角閃石系石綿の定量方法。
- 濃度1N以上の苛性アルカリ水溶液を用いてアルカリ処理を行うことを特徴とする請求項3記載のバーミキュライト中の角閃石系石綿の定量方法。
- 定量を、X線回折により行うことを特徴とする請求項1〜4の何れか1項に記載のバーミキュライト中の角閃石系石綿の定量方法。
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