JPH05271755A - 連続焼鈍による非時効性軟質容器用極薄鋼板の製造法 - Google Patents

連続焼鈍による非時効性軟質容器用極薄鋼板の製造法

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JPH05271755A
JPH05271755A JP6763492A JP6763492A JPH05271755A JP H05271755 A JPH05271755 A JP H05271755A JP 6763492 A JP6763492 A JP 6763492A JP 6763492 A JP6763492 A JP 6763492A JP H05271755 A JPH05271755 A JP H05271755A
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JP6763492A
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Kuniaki Maruoka
邦明 丸岡
Yoshikuni Furuno
嘉邦 古野
Masaharu Kameda
正春 亀田
Yasuhiko Yamashita
康彦 山下
Masayuki Matsuda
真之 松田
Takehide Senuma
武秀 瀬沼
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Nippon Steel Corp
Original Assignee
Nippon Steel Corp
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 調質度がT−3以下で、かつバッチ焼鈍鋼板
と同等の非時効性を有する軟質容器用鋼板を連続焼鈍炉
で製造する方法。 【構成】 C:0.0015%以下、N:0.0060
%以下に加えて、Ti:3.4×([N重量%]−0.
0010)%以上0.02%以下、Nb:6.6×
([N重量%]−0.0010)%以上0.03%以
下、B:0.79×([N重量%]−0.0010)%
以上0.0040%以下のうち1種以上を含有する熱鋼
片を、850℃以上の仕上温度で熱間圧延し、仕上最終
スタンドを出てから1.5秒以内にラン・アウト・テー
ブル上で冷却開始しながら捲取り、冷延し、連続焼鈍炉
で焼鈍し、0.6〜10%の伸び率で調質圧延する。 【効果】 極薄非時効性軟質容器用鋼板が、スラブ加熱
温度等の制約を受けることなく、過時効処理しない連続
焼鈍炉で高速度で工業的に製造可能。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、連続焼鈍法による、調
質度がT−3以下で、かつバッチ焼鈍鋼板と同等の非時
効性を有する軟質容器用極薄鋼板の製造法に関する。
【0002】
【従来の技術】容器用鋼板の製造工程における焼鈍方法
には、バッチ焼鈍法と連続焼鈍法がある。連続焼鈍法
は、バッチ焼鈍法に比べて形状が良く、鋼帯の幅および
長手方向の機械的性質が均一であり、生産性も高い利点
があるが、軟質鋼板を製造しにくい問題があった。した
がって、従来は、調質度T−3以下の軟質容器用鋼板は
バッチ焼鈍法で、T−4以上の硬質容器用鋼板は主に連
続焼鈍法でそれぞれ製造されていた。
【0003】しかし、近年製缶業者は、しごき加工のよ
うなより加工の難しい缶を市場から求められる趨勢にあ
り、そのために調質度T−3以下の軟質容器用鋼板の需
要の重要性が高まってきた。一方、製缶業者の歩留まり
および品質向上のために、容器用鋼板製造業者は、より
形状がよく、鋼帯の幅および長手方向の機械的性質が均
一な容器用鋼板の供給を強く求められるようになった。
【0004】そこで、近年、調質度T−3以下の軟質容
器用鋼板を連続焼鈍で製造する方法が開発されるように
なった。たとえば特公昭63−10213号公報には、
過時効処理つきの連続焼鈍炉を用いた低炭素アルミキル
ド鋼系軟質容器用鋼板の製造方法が開発されている。
【0005】しかし、このようにして製造された低炭素
アルミキルド鋼軟質容器用鋼板は、バッチ焼鈍鋼板なみ
の非時効性が得られない問題があった。すなわち、バッ
チ焼鈍炉を用いて製造された低炭素アルミキルド鋼の容
器用鋼板は、時効現象を起こす固溶Cがバッチ焼鈍のゆ
っくりした冷却過程で炭化物として析出し、また時効現
象を起こすもうひとつの固溶Nが窒化アルミニウムとし
て熱間圧延およびバッチ焼鈍過程で析出するために、固
溶Cと固溶Nがともに存在せず、完全非時効性を示す。
ところが、過時効処理つきの連続焼鈍炉を用いて製造さ
れた低炭素アルミキルド鋼の容器用鋼板は、固溶C量を
過時効処理温度の平衡固溶量以下に低減することが熱力
学的に不可能であるため、製品に若干量の固溶Cが残存
し、若干の時効性を示す。
【0006】したがって、過時効処理つきの連続焼鈍炉
を用いて製造された低炭素アルミキルド鋼の容器用鋼板
は、製缶業者における塗装焼付工程において時効現象が
進み、硬化や加工性劣化を招く欠点があった。ここでい
う加工性劣化とは、円筒曲げ加工においてフルーティン
グと呼ばれる腰折れを生じたり、張り出し加工において
ストレッチャ・ストレインと呼ばれるしわを発生する現
象である。これらの加工性劣化はいずれも塑性不安定現
象の一種であり、調質圧延で導入された可動転位が時効
の進行に伴って固溶C、固溶Nに固着され、引張試験に
おける降伏点伸びが回復することに起因する。
【0007】また、近年、省資源の観点から、製缶業者
は容器用鋼板製造業者にますます板厚が0.3mm以下の
薄い容器用鋼板を要求する趨勢にあるが、過時効処理つ
きの連続焼鈍炉は、パス長さが長く炉内の鋼帯張力の微
細な制御が困難であるため、薄手の軟質容器用鋼板を高
速度で効率よく製造することが困難であった。また、過
時効処理つきの連続焼鈍炉を用いた低炭素アルミキルド
鋼容器用鋼板の製造は、連続焼鈍炉に長大な過時効処理
帯を設ける必要性から、設備費、燃料・電気などの変動
費の増大、生産性の低下などの問題もあった。
【0008】これらの欠点に克服する製造法として、た
とえば特開昭58−197224号公報に見られるよう
に、鋼成分にニオブ(Nb)、チタン(Ti)などの炭
化物生成元素を添加し、固溶Cを安定な炭化物として熱
間圧延の終了段階までに完全に析出させる方法が開発さ
れている。しかし、この方法もニオブ、チタンなどの高
価な合金元素を必要とするため、素材コストが高い問題
があった。また、この方法は、ニオブ、チタンが再結晶
温度を上昇させるため、通常の鋼より高い温度で焼鈍を
しなければならず、薄手の鋼帯を高速度で効率よく連続
焼鈍するにあたってヒートバックルなどの通板トラブル
が発生し、操業が困難になる問題もあった。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】本発明は上記の欠点や
問題点を解決し、熱間圧延工程にスラブの加熱温度およ
び捲取温度の制約を受けることなく、過時効処理をしな
い連続焼鈍炉でも、調質度がT−3以下で、かつバッチ
焼鈍鋼板と同等の非時効性を有する軟質容器用極薄鋼板
が製造可能な方法を提供することを目的としたものであ
る。
【0010】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、上記の目
的を達成するために、鋼成分および熱間圧延条件を詳細
に検討した結果、鋼成分を適切に制御すること、特にC
含有量を極限まで低減すること、微量のチタン(T
i)、ニオブ(Nb)、またはボロン(B)を添加する
こと、熱間圧延条件の中でも特に仕上圧延終了後ラン・
アウト・テーブルでの冷却開始時間を制御することなど
を組合せることによって、熱間圧延においてスラブの加
熱温度および捲取温度の制約を受けることなく上記目的
の鋼板が製造できることを知見した。
【0011】本発明はこの知見に基づいて構成されたも
のであり、その要旨とするところは、重量%で C:0.0015%以下、 Mn:0.05〜
0.40%、 P:0.06%以下、 S :0.06%
以下、 酸可溶Al:0.01〜0.10%、N :0.006
0%以下、 に加えて、 Ti:3.4×([N%]−0.0010)%以上0.
02%以下、 Nb:6.6×([N%]−0.0010)%以上0.
03%以下、 B :0.79×([N%]−0.0010)%以上
0.0040%以下、 のうち1種以上を含有し、残部が鉄および不可避的不純
物からなる熱鋼片を、850℃以上の仕上温度で熱間圧
延したのち、熱間圧延鋼帯が熱間圧延機の仕上最終スタ
ンドを出てから1.5秒以内にラン・アウト・テーブル
上で冷却開始しながら、捲取り、酸洗し、冷間圧延し、
連続焼鈍炉で焼鈍し、しかる後0.6〜10%の伸び率
で調質圧延する軟質非時効性容器用極薄鋼板の製造法で
ある。
【0012】以下本発明について詳細に説明する。まず
本発明の鋼成分の限定理由について述べる。C含有量は
本発明の最も重要な構成要件である。Cは時効性を生じ
る元素であり、本発明の非時効性軟質容器用鋼板の目的
からできる限り減少せしめる必要がある。しかし工業的
な鋼溶製法ではC含有量を0にすることは不可能であ
る。
【0013】そこで本発明者らは、非時効性軟質容器用
鋼板を製造するにあたって許容される限界のC含有量を
研究した。その結果、C含有量が0.0015%を超え
ると、微量のチタン、ニオブまたはボロンを添加しても
非時効性とすることはできず、塗装焼付後の加工時にス
トレッチャ・ストレインなどの加工性劣化を生じるよう
になるが、C含有量が0.0015%以下であれば、以
下に述べる本発明の一貫製造方法と相俟って、軟質容器
用鋼板の製造にあたって過時効処理しない連続焼鈍炉で
焼鈍を行なっても、バッチ焼鈍鋼板なみの優れた非時効
性鋼板を得られることがわかった。
【0014】C含有量が0.0015%以下の鋼成分
は、従来容器用鋼板の鋼で本発明のような一貫製造方法
の形では実用化されたことのない全く新しい鋼成分であ
る。C含有量が0.0015%超の従来の鋼成分範囲で
は、バッチ焼鈍鋼板なみの優れた非時効性鋼板を製造す
るためには、チタン、ニオブなどの炭化物生成元素を多
量に添加する必要があり、合金コストの上昇、再結晶温
度の上昇による焼鈍温度の上昇、さらにはそれに起因す
る薄手高速焼鈍の困難化による生産性の低下、などの問
題があった。しかし、本発明の0.0015%以下のC
含有量を用いる方法によれば、チタン、ニオブなどの高
価な合金元素を多量に添加する必要がなく、上記の問題
を解決できる。また、C含有量が0.0015%超の従
来の鋼成分範囲では、熱間圧延で約700℃を超える高
温捲取を行なうと、熱間圧延鋼帯の炭化物が凝集し、フ
ランジ加工性や耐蝕性が劣化する問題があった。しか
し、本発明の0.0015%以下のC含有量を用いる方
法によれば、捲取温度がいくら高くても熱間圧延鋼帯の
炭化物が凝集する心配がないので、捲取温度を自由にと
ることができる。このように、C含有量を0.0015
%以下とした本発明の意義はきわめて大きい。なお、C
含有量が0.0015%以下の鋼成分は、真空脱ガス処
理装置などで工業的に溶製可能なものである。以上の理
由から、C含有量を0.0015%以下に限定した。特
にC含有量は0.0010%以下の少ないほど好まし
い。
【0015】C含有量が0.0015%以下であれば、
以下に述べる本発明の一貫製造方法と相俟って、軟質容
器用鋼板の製造にあたって過時効処理しない連続焼鈍炉
で焼鈍を行なっても、バッチ焼鈍鋼板なみの優れた非時
効性鋼板が得られるメカニズムは明らかでない。しかし
C含有量を0.0015%以下にすると、内部摩擦法で
測定される連続焼鈍後の固溶C量は検出されない。した
がって、Cの絶対量が0.0015%以下という微量で
あると、連続焼鈍の加熱および均熱過程で溶解した固溶
Cが、冷却過程において短時間のうちに結晶粒界に析出
するため、非時効性が得られた可能性があると考えられ
る。
【0016】Mnは、その量が0.05%を下回ると熱
間脆性を生じ、容器用鋼板を製造することができないの
で、0.05%以上含有させる必要がある。一方、その
量が0.40%を超えると鋼を硬化させ、調質度T−3
以下の軟質容器用鋼板を製造することができないので、
0.05〜0.40%に限定した。
【0017】Pは敢えて添加する必要はないが、鋼を著
しく硬化する不可避的不純物元素であり、0.06%を
超えるとT−3以下の軟質容器用鋼板を製造できないの
で、その上限を0.06%に限定した。
【0018】Sも敢えて添加する必要はないが、熱間脆
性を昂進させる不可避的不純物元素であり、0.06%
を超えると、熱間脆性のため容器用鋼板を製造できない
ので、その上限を0.06%に限定した。
【0019】酸可溶Alも敢えて添加する必要はない
が、他の品種との鋼成分集約の観点から、0.10%以
下であれば添加しても、本発明の効果は失われない。た
だしその量が0.10%を超えると、Al2 3 系介在
物が増えて、成形加工時にフランジ割れなどの原因とな
り、またコスト高ともなるので、その上限を0.10%
に限定した。
【0020】Nは敢えて添加する必要はないが、鋼を硬
化させると同時に時効性を生じる有害な不可避的不純物
元素であり、0.0060%を超えると、微量のチタ
ン、ニオブまたはボロンを添加しても製品としての容器
用鋼板に時効性が生じ、完全非時効とするためには、多
量のチタン、ニオブまたはボロンを添加しなければなら
ず、本発明の目的を達成できない。また、N量が0.0
060%を超えると、固溶硬化により調質度T−3以下
の軟質容器用鋼板を得ることができないので、その上限
を0.0060%に限定した。
【0021】Ti、NbおよびB成分は、C含有量とな
らんで本発明において重要な構成要件である。これらの
元素は、多量に添加すれば容易に非時効性鋼板を得られ
るが、前述のように合金コストを上昇させ、また、再結
晶温度を上昇させる欠点がある。一方、それらの添加量
が少なければ、合金コスト上昇と再結晶温度上昇の欠点
は免れるが、非時効性を得ることが困難となる。そこで
本発明者らは、合金コスト上昇と再結晶温度上昇を工業
的に許容できる範囲に抑えかつ非時効性を得ることので
きる添加量を、他の鋼成分との関係において詳細に研究
した結果、C含有量を前述の範囲に限定すると同時に、
これらの元素の添加量をN含有量との関係において下記
のような範囲に制御することが有効であることを知見し
た。
【0022】先ずTiは、N量との関係において、3.
4×([Nの重量%]−0.0010)%を下回ると、
製品の缶用鋼板を完全非時効とすることができないの
で、その下限を3.4×([Nの重量%]−0.001
0)%に限定した。また、Ti量が0.02%を上回る
と、再結晶温度が著しく上昇し、合金コストも過大とな
るので、その上限を0.02%に限定した。
【0023】Nbは、N量との関係において、6.6×
([Nの重量%]−0.0010)%を下回ると、製品
の缶用鋼板を完全非時効とすることができないので、そ
の下限を6.6×([Nの重量%]−0.0010)%
に限定した。また、Nb量が0.03%を上回ると、再
結晶温度が著しく上昇し、合金コストも過大となるの
で、その上限を0.03%に限定した。
【0024】Bは、N量との関係において、0.79×
([Nの重量%]−0.0010)%を下回ると、製品
の缶用鋼板を完全非時効とすることができないので、そ
の下限を0.79×([Nの重量%]−0.0010)
%に限定した。また、B量が0.0040%を上回る
と、再結晶温度が上昇し、合金コストも過大となるの
で、その上限を0.0040%に限定した。Ti、Nb
およびBは、上記の範囲内でいずれか1種を添加すれば
有効であるが、2種以上を添加しても差し支えない。
【0025】上記のような成分組成の鋼は、以下に述べ
る製造工程条件と相俟って本発明の目的が達成できる。
上記成分組成の鋼を、転炉、電気炉など通常の溶解炉を
用い、あるいはさらに真空脱ガス処理など併用して溶製
し、造塊分塊法または連続鋳造法を経て熱鋼片(スラ
ブ)とする。該熱鋼片の熱間圧延前の熱履歴は、これを
問わない。すなわち、連続鋳造後冷却することなくその
まま加熱炉に挿入して熱間圧延を開始してもよいし、加
熱炉での均熱をも省略して直ちに熱間圧延を開始するい
わゆる直送圧延も可能である。もちろん一旦冷却した
後、加熱炉で再加熱してもよい。
【0026】鋼片を加熱炉で再加熱する場合、その再加
熱温度は問わない。ただし、本発明においては熱間圧延
仕上温度を850℃以上に確保することが必須であるの
で、熱間圧延作業上仕上温度が確保できないような過度
に低い再加熱温度をとることはできない。通常の熱間圧
延設備の場合、再加熱温度が1000℃を下回ると、仕
上温度を850℃以上に確保することが困難となるの
で、再加熱温度は1000℃以上とすることが望まし
い。
【0027】熱間圧延の仕上温度は、これが850℃を
下回ると、以下に述べる理由で本発明の目的を達するこ
とができない。まず、熱間圧延鋼帯の板厚制御が困難と
なる結果、冷間圧延での板厚制御が困難となり、製品鋼
板の板厚精度が劣化するとともに、しばしば冷間圧延作
業中に板破断を起こす。この製品鋼板の板厚精度劣化
は、容器用鋼板を連続焼鈍法の優れた形状精度で供給し
ようとする本発明の目的を根本的に損なう。冷間圧延作
業中の板破断は、容器用鋼板を連続焼鈍法の高い生産性
で製造しようとする本発明の目的を根本的に損なう。ま
た、仕上温度が850℃を下回ると、熱間圧延鋼帯に集
合組織が形成される結果、製品鋼板の絞り加工やしごき
加工時におけるイヤリング発生が大きくなって、製缶業
者における歩留まりを劣化させる。これは、連続焼鈍法
の適用によって製缶業者の歩留まりおよび品質を向上し
ようとする本発明の目的を根本的に損なう。以上の理由
により、熱間圧延仕上温度は850℃以上に限定する必
要がある。
【0028】熱間圧延鋼帯が仕上最終スタンドを出てか
らラン・アウト・テーブル上での冷却が開始されるまで
の時間は、軟質容器用極薄鋼板を連続焼鈍炉で高い生産
性で製造する目的のために、これを1.5秒以下に限定
した。この間の時間が1.5秒を超えると、理由は明ら
かではないが、本発明鋼の再結晶温度が上昇することが
わかった。したがって、この時間が1.5秒を超える
と、高温連続焼鈍を行わなければならない。高温連続焼
鈍では鋼帯の変形抵抗が著しく低下するため、炉内でヒ
ートバックルなどの通板トラブルが起こりやすくなる。
このような通板トラブルは、鋼帯の板厚が薄いほどまた
連続焼鈍炉の通板速度が高速であるほど助長されるの
で、高温焼鈍を行うためには鋼帯の板厚を厚くし、かつ
通板速度を落とさなければならない。その結果、該時間
が1.5秒を超えると、軟質容器用極薄鋼板を連続焼鈍
炉で高い生産性で製造する本発明の目的を達することが
できない問題があった。そこで本発明者らは、熱間圧延
鋼帯が仕上最終スタンドを出てからラン・アウト・テー
ブル上での冷却が開始されるまでの時間と、再結晶温度
および連続焼鈍炉で工業的に操業可能な板厚・通板速度
の限界を詳細に調査した結果、板厚0.30mm以下の軟
質容器用極薄鋼板を高速度(毎分300m以上)で連続
焼鈍するためには、熱間圧延鋼帯が仕上最終スタンドを
出てからラン・アウト・テーブル上での冷却が開始され
るまでの時間を1.5秒以下に管理することが必要であ
る。熱間圧延の捲取温度は、これを問わない。
【0029】このようにして製造された熱間圧延鋼帯
は、通常の容器用鋼板製造工程にしたがって、酸洗し、
冷間圧延したのち、連続焼鈍炉で再結晶焼鈍する。冷間
圧延鋼帯の焼鈍方法としては、通常行なわれるバッチ焼
鈍および連続焼鈍のいずれもとり得る。しかし、バッチ
焼鈍は連続焼鈍にくらべて生産性が低く、品質が不均一
であり、多くのエネルギーを消費し、多くの運転要員を
必要とし、製造工期が長い問題を有するので、品質の均
一性に優れた容器用鋼板を高い生産性で製造する本発明
の目的を損なう。そこで、焼鈍方法は連続焼鈍法による
ことが必要である。
【0030】連続焼鈍法は、過時効処理のありなしを問
わない。ただし、過時効処理つきの連続焼鈍は長大な過
時効処理帯つきの連続焼鈍炉を必要とし、設備コストの
増大を招くばかりか、昨今省資源の観点から要請される
薄手広幅鋼帯の高速焼鈍が困難となるので、連続焼鈍法
は過時効処理なしの連続焼鈍によることが望ましい。
【0031】焼鈍された鋼帯に調質圧延を施す。この調
質圧延の伸び率は、これが0.6%を下回ると形状調
整、表面粗度調整が困難となるので、その下限を0.6
%に限定した。また、これが10%を超えると、加工硬
化が過剰となり、調質度T−3以下の軟質容器用鋼板が
得られないので、その上限を10%に限定した。つい
で、錫めっき、ティンフリースティールめっき、極薄錫
めっき、ニッケルめっきなどの表面処理を行い、容器用
鋼板の製品となる。
【0032】
【実施例】表1記載の成分を有する鋼を転炉で溶製し、
連続鋳造法で製造した鋼片(スラブ)を、表2に示すよ
うに熱間圧延に先だってスラブの加熱温度に加熱・均熱
し、同表記載の仕上温度、熱間圧延鋼帯が仕上最終スタ
ンドを出てからラン・アウト・テーブル上での冷却が開
始されるまでの時間(冷却開始時間)、および捲取温度
で板厚3.0mmまで熱間圧延し、酸洗し、板厚0.22
mmまで冷間圧延し、連続焼鈍炉で均熱温度680℃で再
結晶焼鈍し、表2記載の調質圧延伸び率で調質圧延し、
目付け#25の電気錫めっきを施して製品とした。
【0033】このようにして得られた製品のリフロー処
理後のロックウェル硬さ(HR30-T)、210℃×30分
時効後のフルーティング加工性成績、210℃×30分
時効後の耐ストレッチャ・ストレイン性成績、およびリ
フロー処理後のイヤリング成績を表3に示す。
【0034】ここで、ロックウェル硬さの評価はJIS
Z2245に準拠して行なった。また、フルーティン
グ加工性の評価は、直径40mmの3本のロールからなる
試験機で円筒曲げ成形を行い、腰折れの発生状況を肉眼
で観察した。そして腰折れの全く観察されないもののみ
を「合格」とし、少しでも腰折れの観察されたものは
「不合格」と判定した。
【0035】また、耐ストレッチャ・ストレイン性の評
価は、液圧バルジ試験機を用いて、直径190mmの円周
状に試験片を拘束し円周の内側を液圧により歪量3%相
当の成形高さまで張り出し成形し、表面のストレッチャ
・ストレイン模様の発生状況を観察した。そしてストレ
ッチャ・ストレインの全く観察されないもののみを「合
格」とし、少しでもストレッチャ・ストレインの観察さ
れたものは「不合格」と判定した。
【0036】また、イヤリング成績の評価は、実験室の
カップ成形機でカップを絞り加工し、イヤリング率を測
定した。この試験方法の場合、イヤリング率にして3%
以下であればどの需要家に於いても合格とされることが
かわっているので、イヤリング率3%以下を「合格」、
3%超を「不合格」と判定した。また、絞り加工時に割
れが発生し、カップ成形ができなかったものは、「割
れ」と記載した。
【0037】また、210℃×30分という時効条件
は、さまざまの需要家において行なわれる塗装焼付の時
効条件のどれよりも厳しく、210℃×30分の時効処
理を行なった鋼板がフルーティングやストレッチャ・ス
トレインを示さなければ、完全非時効とみなせることが
わかっている。
【0038】
【表1】
【0039】
【表2】
【0040】
【表3】
【0041】表1ないし表3において製品番号1〜11
は本発明鋼であり、製品番号12〜22は本発明外の鋼
である。製品番号12〜22において下線を施した項目
が本発明の構成要件と異なる。表1ないし表3からわか
るように、本発明鋼は調質度T−1ないしT−3級の軟
質鋼板であって、しかも時効後フルーティングもストレ
ッチャ・ストレインも発生せず、完全な非時効性を示
す。またイヤリング性にも優れている。
【0042】一方、本発明外の鋼のうち、製品番号12
と13は鋼成分、特にC量が本発明範囲を逸脱している
ためか耐フルーティング性および耐ストレッチャ・スト
レイン性とも劣る。製品番号14,16,18はそれぞ
れB,Nb,Tiの含有量が本発明範囲の下限を下回っ
ているためと思われる時効性を示す。製品番号15,1
7,19はそれぞれB,Nb,Tiの含有量が本発明範
囲の上限を上回っているためと思われる未再結晶による
硬質と絞り加工不良を示す。製品番号20はB,Nb,
Tiの全ての含有量が本発明範囲の下限を下回っている
ためと思われる時効性を示す。製品番号21は、熱間圧
延仕上温度が本発明範囲をはずれているためと思われる
イヤリング性不良を示す。製品番号22は、調質圧延伸
び率が本発明範囲をはずれているためと思われる硬質
と、熱間圧延鋼帯が仕上最終スタンドを出てからラン・
アウト・テーブル上での冷却が開始されるまでの時間が
本発明範囲をはずれていることによると思われる未再結
晶に起因する絞り加工での割れを示す。
【0043】
【発明の効果】本発明は、調質度がT−3以下で、かつ
バッチ焼鈍鋼板と同等の非時効性を有する板厚0.30
mm以下の薄手軟質容器用鋼板を、熱間圧延工程にスラブ
加熱温度および捲取温度の制約を受けることなく、過時
効処理しない連続焼鈍炉でも、通板速度毎分300m以
上の高速度で工業的に製造可能な方法を提供するもので
あり、その工業的価値はきわめて大きい。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 山下 康彦 福岡県北九州市戸畑区飛幡町1番1号 新 日本製鐵株式会社八幡製鐵所内 (72)発明者 松田 真之 福岡県北九州市戸畑区飛幡町1番1号 新 日本製鐵株式会社八幡製鐵所内 (72)発明者 瀬沼 武秀 千葉県富津市新富20−1 新日本製鐵株式 会社技術開発本部内

Claims (1)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 重量%で C :0.0015%以下、 Mn:0.05〜0.40%、 P :0.06%以下、 S :0.06%以下、 酸可溶Al:0.10%以下、 N :0.0060%以下、に加えて、 Ti:3.4×([N%]−0.0010)%以上0.
    02%以下、 Nb:6.6×([N%]−0.0010)%以上0.
    03%以下、 B :0.79×([N%]−0.0010)%以上
    0.0040%以下、 のうち1種以上を含有し、残部が鉄および不可避的不純
    物からなる熱鋼片を、850℃以上の仕上温度で熱間圧
    延したのち、熱間圧延鋼帯が熱間圧延機の仕上最終スタ
    ンドを出てから1.5秒以内にラン・アウト・テーブル
    上で冷却開始しながら、捲取り、酸洗し、冷間圧延し、
    連続焼鈍炉で焼鈍し、しかる後0.6〜10%の伸び率
    で調質圧延することを特徴とする連続焼鈍による軟質非
    時効性容器用極薄鋼板の製造法。
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