JP3135656B2 - 調質度t−3以下の軟質非時効性容器用鋼板の製造法 - Google Patents

調質度t−3以下の軟質非時効性容器用鋼板の製造法

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JP3135656B2 JP04015305A JP1530592A JP3135656B2 JP 3135656 B2 JP3135656 B2 JP 3135656B2 JP 04015305 A JP04015305 A JP 04015305A JP 1530592 A JP1530592 A JP 1530592A JP 3135656 B2 JP3135656 B2 JP 3135656B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、ぶりき、ティンフリー
スチールなどの容器用鋼板のうち、調質度がT−3以下
で、かつバッチ焼鈍鋼板と同等の非時効性を有する軟質
容器用鋼板を連続焼鈍炉で製造する方法に関する。
【0002】
【従来の技術】容器用鋼板の製造工程における焼鈍方法
には、バッチ焼鈍法と連続焼鈍法がある。連続焼鈍法
は、バッチ焼鈍法に比べて形状が良く、鋼帯の幅および
長手方向の機械的性質が均一であり、生産性も高い利点
があるが、軟質鋼板を製造しにくい問題があった。した
がって、従来は、調質度T−3以下の軟質容器用鋼板は
バッチ焼鈍法で、T−4以上の硬質容器用鋼板は主に連
続焼鈍法でそれぞれ製造されていた。しかし、近年製缶
業者は、しごき加工のようなより加工の難しい缶を市場
から求められる趨勢にあり、そのために調質度T−3以
下の軟質容器用鋼板の需要の重要性が高まってきた。
【0003】一方、製缶業者の歩留まりおよび品質向上
のために、容器用鋼板製造業者は、より形状がよく、鋼
帯の幅および長手方向の機械的性質が均一な容器用鋼板
の供給を強く求められるようになった。そこで、近年、
調質度T−3以下の軟質容器用鋼板を連続焼鈍で製造す
る方法が開発されるようになった。たとえば特公昭63
−10213号(特願昭59−145706号)公報に
は、過時効処理つきの連続焼鈍炉を用いた低炭素アルミ
キルド鋼系軟質容器用鋼板の製造方法が開発されてい
る。
【0004】しかし、このようにして製造された低炭素
アルミキルド鋼軟質容器用鋼板は、バッチ焼鈍鋼板なみ
の非時効性が得られない問題があった。すなわち、バッ
チ焼鈍炉を用いて製造された低炭素アルミキルド鋼の容
器用鋼板は、時効現象を起こす固溶Cがバッチ焼鈍のゆ
っくりした冷却過程で炭化物として析出し、また時効現
象を起こすもうひとつの固溶Nが窒化アルミニウムとし
て熱間圧延およびバッチ焼鈍過程で析出するために、固
溶Cと固溶Nがともに存在せず、完全非時効性を示す。
【0005】ところが、過時効処理つきの連続焼鈍炉を
用いて製造された低炭素アルミキルド鋼の容器用鋼板
は、固溶C量を過時効処理温度の平衡固溶量以下に低減
することが熱力学的に不可能であるため、製品に若干量
の固溶Cが残存し、若干の時効性を示す。したがって、
過時効処理つきの連続焼鈍炉を用いて製造された低炭素
アルミキルド鋼の容器用鋼板は、製缶業者における塗装
焼付工程において時効現象が進み、硬化や加工性劣化を
招く欠点があった。ここでいう加工性劣化とは、円筒曲
げ加工においてフルーティングと呼ばれる腰折れを生じ
たり、張り出し加工においてストレッチャ・ストレイン
と呼ばれるしわを発生する現象である。これらの加工性
劣化はいずれも塑性不安定現象の一種であり、調質圧延
で導入された可動転位が時効の進行に伴って固溶C、固
溶Nに固着され、引張試験における降伏点伸びが回復す
ることに起因する。
【0006】また、従来の製造法において、スラブ再加
熱温度が1150℃を超えるような高温スラブ再加熱を
行うと、アルミ・キルド鋼であるにもかかわらず窒化ア
ルミが溶体化して、熱延板固溶窒素が増加し、鋼を硬質
化する問題がある。そこで、調質度T−3以下の軟質容
器材料用鋼板を製造する場合には、特公昭63−102
13号公報のように、スラブ再加熱温度を低く(110
0℃以下)抑えて連続鋳造後の冷却時に析出した窒化ア
ルミの溶体化を防ぐか、熱間圧延後高温捲取(たとえば
700℃以上)を行って捲取時に窒化アルミを完全に析
出させるか、のいずれかの対策を講じる必要があった。
このうち、熱延スラブ低温加熱は、調質度T−3以下の
軟質容器材料用鋼板用のスラブとそれ以外のスラブとで
加熱炉の温度を変更する必要があり、温度変更に伴う時
間および燃料の損失を招き、熱間圧延スケジュールに制
約を生ずることにより生産性を阻害する問題があった。
また、高温捲取は、スケール生成量が多くなって酸洗ラ
インの生産性を低下させるとともに、熱間圧延板の炭化
物を凝集させ、容器材料用鋼板としての耐食性や加工性
などの性能を劣化させる問題があった。
【0007】また、過時効処理つきの連続焼鈍炉を用い
た低炭素アルミキルド鋼容器用鋼板の製造方法には、連
続焼鈍炉に長大な過時効処理帯を設ける必要性から、設
備費、燃料・電気などの変動費の増大、生産性の低下な
どの問題もあった。これらの欠点を克服する製造法とし
ては、たとえば特開昭58−197224号公報に見ら
れるように、鋼成分にニオブ(Nb)、チタン(Ti)
などの炭化物生成元素を添加し、固溶Cを安定な炭化物
として熱間圧延の終了段階までに完全に析出させる方法
が開発されている。しかし、この方法もニオブ、チタン
などの高価な合金元素を必要とするため、素材コストが
高い問題があった。また、この方法は、ニオブ、チタン
が再結晶温度を上昇させるため、通常の鋼より高い温度
で焼鈍しなければならず、缶用鋼板のような板厚の薄い
鋼帯の連続焼鈍においてヒートバックルなどの通板トラ
ブルが発生し、操業が困難なる問題もあった。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】本発明は上記の問題点
を解決し、調質度がT−3以下で、かつバッチ焼鈍鋼板
と同等の非時効性を有する軟質容器用鋼板を、熱間圧延
工程にスラブ再加熱温度および捲取温度の制約を受ける
ことなく、過時効処理しない連続焼鈍炉でも工業的に製
造可能な方法を提供することを目的としたものである。
【0009】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、上記の目
的を達成するために、成分および熱間圧延条件など詳細
に検討した結果、成分を適切に制御する、特にC含有量
を極限まで低減するとともに、チタン(Ti)、ニオブ
(Nb)、またはボロン(B)を添加することにより、
調質度がT−3以下で、かつバッチ焼鈍鋼板と同等の非
時効性を有する軟質容器用鋼板が、過時効処理しない連
続焼鈍炉でも、しかも熱間圧延においてスラブ再加熱温
度および捲取温度の制約を受けることなく製造できるこ
とを知見した。
【0010】本発明はこの知見に基づいて構成されたも
のであり、その要旨は、重量%で C :0.0015%以下、 Mn:0.05〜
0.40%、 P :0.06%以下、 S :0.06%
以下、 酸可溶Al:0.10%以下、 N :0.006
0%以下 を含有せしめ、さらにこれらに加えて、 Ti:3.4×(N%−0.0010)%以上、0.0
2%以下、 Nb:6.6×(N%−0.0010)%以上、0.0
3%以下、 B:0.79×(N%−0.0010)%以上、0.0
040%以下 のうち1種以上を含有し、残部が鉄および不可避的不純
物からなる熱鋼片を、850℃以上の仕上温度で熱間圧
延したのち、酸洗し、冷間圧延し、連続焼鈍炉で焼鈍
し、0.6〜10%の伸び率で調質圧延する調質度T−
3以下の軟質非時効性容器用鋼板の製造法である。
【0011】以下本発明を詳細に説明する。まず本発明
の鋼成分の限定理由について述べる。
【0012】C含有量は本発明の最も重要な構成要件で
ある。Cは時効性を生じる元素であり、本発明の非時効
性軟質容器用鋼板の目的からできる限り減少せしめる必
要がある。しかし工業的な鋼溶製法ではC含有量を0に
することは不可能である。そこで本発明者らは、非時効
性軟質容器用鋼板を製造するにあたって許容される限界
のC含有量を研究した。その結果、C含有量が0.00
15%を超えると、微量のチタン、ニオブまたはボロン
を添加しても非時効性とすることができず、塗装焼付後
の加工時にストレッチャ・ストレインなどの加工性劣化
を生じるようになるが、C含有量が0.0015%以下
であれば、以下に述べる本発明の一貫製造方法と相俟っ
て、軟質容器用鋼板の製造にあたって過時効処理しない
連続焼鈍炉で焼鈍を行なっても、バッチ焼鈍鋼板なみの
優れた非時効性鋼板を得られることがわかった。
【0013】C含有量が0.0015%以下の成分は、
従来容器用鋼板の鋼で本発明のような一貫製造方法の形
では実用化されたことのない全く新しい成分である。C
含有量が0.0015%超の従来の成分範囲では、バッ
チ焼鈍鋼板なみの優れた非時効性鋼板を製造するために
は、チタン、ニオブなどの炭化物生成元素を多量に添加
する必要があり、合金コストの上昇、再結晶温度の上昇
による焼鈍温度の上昇、さらにはそれに起因する薄手高
速焼鈍の困難化による生産性の低下、などの問題があっ
た。しかし、本発明の0.0015%以下のC含有量を
用いる方法によれば、チタン、ニオブなどの高価な合金
元素を多量に添加する必要がなく、上記の問題を解決で
きる。また、C含有量が0.0015%超の従来の成分
範囲では、熱間圧延で約700℃を超える高温捲取を行
なうと、熱間圧延鋼帯の炭化物が凝集し、フランジ加工
性や耐蝕性が劣化する問題があった。しかし、本発明の
0.0015%以下のC含有量を用いる方法によれば、
捲取温度がいくら高くても熱間圧延鋼帯の炭化物が凝集
する心配がないので、捲取温度を自由にとることができ
る。このように、C含有量を0.0015%以下とした
本発明の意義はきわめて大きい。なお、C含有量が0.
0015%以下の成分は、真空脱ガス処理装置などで工
業的に溶製可能なものである。以上の理由から、C含有
量を0.0015%以下に限定した。
【0014】C含有量が0.0015%以下であれば、
以下に述べる本発明の一貫製造方法と相俟って、軟質容
器用鋼板の製造にあたって過時効処理しない連続焼鈍炉
で焼鈍を行なっても、バッチ焼鈍鋼板なみの優れた非時
効性鋼板を得られるメカニズムは明らかでない。C含有
量を0.0015%以下にすると、内部摩擦法で測定さ
れる連続焼鈍後の固溶C量は検出されない。したがっ
て、Cの絶対量が0.0015%以下という微量である
と、連続焼鈍の加熱および均熱過程で溶解した固溶C
が、冷却過程において短時間のうちに結晶粒界に析出す
るため、非時効性が得られた可能性が考えられる。特に
C含有量は0.0010%以下、少ないほど好ましい。
【0015】Mnは、その量が0.05%を下回ると熱
間脆性を生じ、容器用鋼板を製造することができないの
で、0.05%以上含有させる必要がある。一方その量
が0.40%を超えると鋼を硬化させ、調質度T−3以
下の軟質容器用鋼板を製造することができないので、
0.05〜0.40%に限定した。
【0016】Pは敢えて添加する必要はないが、鋼を著
しく硬化する不可避的不純物元素であり、0.06%を
超えるとT−3以下の軟質容器用鋼板を製造できないの
で、その上限を0.06%に限定した。Sも敢えて添加
する必要はないが、熱間脆性を昂進させる不可避的不純
物元素であり、0.06%を超えると、熱間脆性のため
容器用鋼板を製造できないので、その上限を0.06%
に限定した。
【0017】酸可溶Alも敢えて添加する必要はない
が、他の品種と鋼成分集約の観点から、0.10%以下
であれば添加しても、本発明の効果は失われない。ただ
しその量が0.10%を超えると、Al2 3 系介在物
が増えて、成形加工時にフランジ割れなどの原因とな
り、またコスト高ともなるので、その上限を0.10%
に限定した。
【0018】Nは敢えて添加する必要はないが、鋼を硬
化させると同時に時効性を生じる有害な不可避的不純物
元素であり、0.0060%を超えると、微量のチタ
ン、ニオブまたはボロンを添加しても製品としての容器
用鋼板に時効性が生じ、完全非時効とするためには、多
量のチタン、ニオブまたはボロンを添加しなければなら
ず、本発明の目的を達成できない。また、N量が0.0
060%を超えると、固溶硬化により調質度T−3以下
の軟質容器用鋼板を得ることができないので、その上限
を0.0060%に限定した。
【0019】Ti,NbおよびBの添加量も、C含有量
とならんで本発明の最も重要な構成要件である。これら
の添加元素は、十分多量に添加すれば容易に完全非時効
性の鋼板を得られるが、前述のように合金コストを上昇
させ、また再結晶温度を上昇させる欠点がある。一方、
それらの添加量が少なければ、合金コスト上昇と再結晶
温度上昇の欠点を免れるが、完全非時効性を得ることが
困難となる。そこで本発明者らは、合金コスト上昇と再
結晶温度上昇を工業的に許容できる範囲に抑えかつ完全
非時効性を得ることのできる添加量を、他の鋼成分との
関係において詳細に研究した結果、C含有量を前述の範
囲に限定すると同時に、これらの元素の添加量をN含有
量との関係において下記のような範囲に制御することが
有効であることを新規に知見した。
【0020】まずTiは、N量との関係において、3.
4×(〔Nの重量%〕−0.0010)%を下回ると、
製品の缶用鋼板を完全非時効とすることができないの
で、その下限を3.4×(〔Nの重量%〕−0.001
0)%に限定した。また、Ti量が0.02%を上回る
と、再結晶温度が著しく上昇し、合金コストも過大とな
るので、その上限を0.02%に限定した。
【0021】Nbは、N量との関係において、6.6×
(〔Nの重量%〕−0.0010)%を下回ると、製品
の缶用鋼板を完全非時効とすることができないので、そ
の下限を6.6×(〔Nの重量%〕−0.0010)%
に限定した。また、Nb量が0.03%を上回ると、再
結晶温度が著しく上昇し、合金コストも過大となるの
で、その上限を0.03%に限定した。
【0022】Bは、N量との関係において、0.79×
(〔Nの重量%〕−0.0010)%を下回ると、製品
の缶用鋼板を完全非時効とすることができないので、そ
の下限を0.79×(〔Nの重量%〕−0.0010)
%に限定した。また、B量が0.0040%を上回る
と、再結晶温度が上昇し、合金コストも過大となるの
で、その上限を0.0040%に限定した。Ti,Nb
およびBは、上記の範囲内でいずれか1種を添加すれば
有効であるが、2種以上を添加しても差し支えない。
【0023】上記のような成分組成の鋼は、次に述べる
製造工程条件と相俟って本発明の目的が達成できる。以
下に製造工程条件について述べる。上記のような成分組
成の鋼は、転炉、電気炉など通常の溶解炉を用い、ある
いはさらに真空脱ガス処理など併用して溶製し、造塊分
塊法または連続鋳造法を経て熱鋼片(スラブ)とする。
該熱鋼片の熱間圧延前の熱履歴は問わない。すなわち、
連続鋳造後冷却することなくそのまま加熱炉に挿入して
熱間圧延を開始してもよいし、加熱炉での均熱をも省略
して直ちに熱間圧延を開始するいわゆる直送圧延も可能
である。もちろん一旦冷却した後、加熱炉で再加熱して
もよい。
【0024】鋼片を加熱炉で再加熱する場合、その再加
熱温度は問わない。ただし、本発明においては熱間圧延
仕上温度を850℃以上に確保することが必須であるの
で、熱間圧延作業上仕上温度が確保できないような過度
に低い再加熱温度をとることはできない。通常の熱間圧
延設備の場合、再加熱温度が1000℃を下回ると、仕
上温度を850℃以上に確保することが困難となるの
で、再加熱温度は1000℃以上とすることが望まし
い。
【0025】熱間圧延の仕上温度は、これが850℃を
下回ると、以下に述べる理由で本発明の目的を達するこ
とができない。まず、熱間圧延鋼帯の板厚制御が困難と
なる結果、冷間圧延での板厚制御が困難となり、製品鋼
板の板厚精度が劣化するとともに、しばしば冷間圧延作
業中に板破断を起こす。この製品鋼板の板厚精度劣化
は、容器用鋼板を連続焼鈍法の優れた形状精度で供給し
ようとする本発明の目的を根本的に損なう。冷間圧延作
業中の板破断は、容器用鋼板を連続焼鈍法の高い生産性
で製造しようとする本発明の目的を根本的に損なう。ま
た、仕上温度が850℃を下回ると、熱間圧延鋼帯に集
合組織が形成される結果、製品鋼板の絞り加工やしごき
加工時におけるイヤリング発生が大きくなって、製缶業
者における歩留まりを劣化させる。これは、連続焼鈍法
の適用によって製缶業者の歩留まりおよび品質を向上し
ようとする本発明の目的を根本的に損なう。以上の理由
により、熱間圧延仕上温度は850℃以上に限定する必
要がある。熱間圧延の捲取温度は、これを問わない。
【0026】このようにして製造された熱間圧延鋼帯
は、通常の容器用鋼板製造工程にしたがって、酸洗し、
冷間圧延したのち、連続焼鈍炉で再結晶焼鈍する。冷間
圧延鋼帯の焼鈍方法としては、通常行なわれるバッチ焼
鈍および連続焼鈍のいずれもとり得る。しかし、バッチ
焼鈍は連続焼鈍にくらべて生産性が低く、品質が不均一
であり、多くのエネルギーを消費し、多くの運転要員を
必要とし、製造工期が長い問題を有するので、品質の均
一性に優れた容器用鋼板を高い生産性で製造する本発明
の目的を損なう。そこで、焼鈍方法は連続焼鈍方法によ
ることが必要である。連続焼鈍法は、過時効処理のあり
なしを問わない。ただし、過時効処理つきの連続焼鈍は
長大な過時効処理帯つきの連続焼鈍炉を必要とし、設備
コストの増大を招くばかりか、昨今省資源の観点から要
請される薄手広幅鋼帯の高速焼鈍が困難となるので、連
続焼鈍法は過時効処理なしの連続焼鈍によることが望ま
しい。焼鈍された鋼帯に調質圧延を施す。この調質圧延
の伸び率は、これが0.6%を下回ると形状調整、表面
粗度調整が困難となるので、その下限を0.6%に限定
した。また、これが10%を超えると、加工硬化が過剰
となり、調質度T−3以下の軟質容器用鋼板が得られな
いので、その上限を10%に限定した。ついで、錫めっ
き、ティンフリースティールめっき、極薄錫めっき、ニ
ッケルめっきなどの表面処理を行ない、容器用鋼板の製
品となる。
【0027】
【実施例】表1記載の成分を有する鋼を転炉で溶製し、
連続鋳造法で鋼片(スラブ)とし、表2に示すように、
熱間圧延に先だって各スラブ再加熱温度に加熱・均熱
し、各仕上温度および捲取温度で板厚3.0mmまで熱間
圧延し、酸洗し、板厚0.28mmまで冷間圧延し、連続
焼鈍炉で均熱温度730℃で再結晶焼鈍し、表2記載の
調質圧延伸び率で調質圧延し、目付け#25の電気すず
めっきを施して製品とした。
【0028】このようにして得られた製品のリフロー処
理後のロックウェル硬さ(HR30−T)、210℃×
30分時効後のフルーティング加工性成績、210℃×
30分時効後の耐ストレッチャ・ストレイン性成績、お
よびリフロー処理後のイヤリング成績を表3に示す。
【0029】ここで、ロックウェル硬さの評価はJIS
Z2245に準拠して行なった。また、フルーティン
グ加工性の評価は、直径40mmの3本のロールからなる
試験機で円筒曲げ成形を行い、腰折れの発生状況を肉眼
で観察した。そして腰折れの全く観察されないもののみ
を「合格」とし、少しでも腰折れの観察されたものは
「不合格」と判定した。また、耐ストレッチャ・ストレ
イン性の評価は、液圧バルジ試験機を用いて、直径19
0mmの円周状に試験片を拘束し円周の内側を液圧により
歪量3%相当の成形高さまで張り出し成形し、表面のス
トレッチャ・ストレイン模様の発生状況を観察した。そ
してストレッチャ・ストレインの全く観察されないもの
のみを「合格」とし、少しでもストレッチャ・ストレイ
ンの観察されたものは「不合格」と判定した。また、イ
ヤリング成績の評価は、実験室のカップ成形機でカップ
を絞り加工し、イヤリング率を測定した。この試験方法
の場合、イヤリング率にして3%以下であればどの需要
家に於いても合格とされることがわかっているので、イ
ヤリング率3%以下を「合格」、3%超を「不合格」と
判定した。絞り加工において割れが発生しカップに成形
できなかったものは「割れ」と記載した。また、210
℃×30分という時効条件は、さまざまの需要家におい
て行なわれる塗装焼付の時効条件のどれよりも厳しく、
210℃×30分の時効処理を行なった鋼板がフルーテ
ィングやストレッチャ・ストレインを示さなければ、完
全非時効とみなせることがわかっている。
【0030】表1ないし表3において製品番号1〜6は
本発明鋼であり、製品番号7〜17は本発明外の鋼であ
る。製品番号7〜17において下線を施した項目が本発
明の構成要件と異なる。
【0031】
【表1】
【0032】
【表2】
【0033】
【表3】
【0034】表1ないし表3からわかるように、本発明
鋼は調質度T−1ないしT−3級の軟質鋼板であって、
しかも時効後フルーティングもストレッチャ・ストレイ
ンも発生せず、完全な非時効性を示す。またイヤリング
性にも優れている。
【0035】一方、本発明外の鋼のうち、製品番号7と
8は成分、特にC量が本発明範囲を逸脱しているためか
耐フルーティング性および耐ストレッチャ・ストレイン
性とも劣る。製品番号9,11,13はそれぞれB,N
b,Tiの含有量が本発明範囲の下限を下回っているた
めと思われる時効性を示す。製品番号10,12,14
はそれぞれB,Nb,Tiの含有量が本発明範囲の上限
を上回っているためと思われる未再結晶による硬質と絞
り加工不良を示す。製品番号15はB,Nb,Tiのす
べての含有量が本発明範囲の下限を下回っているためと
思われる時効性を示す。製品番号16は、熱間圧延仕上
温度が本発明範囲をはずれているためと思われるイヤリ
ング性不良を示す。製品番号17は、調質圧延伸び率が
本発明範囲をはずれているためと思われる硬質を示す。
【0036】
【発明の効果】本発明は、調質度がT−3以下で、かつ
バッチ焼鈍鋼板と同等の非時効性を有する軟質容器用鋼
板を、熱間圧延工程にスラブ再加熱温度および捲取温度
の制約を受けることなく、過時効処理しない連続焼鈍炉
でも工業的に製造可能な方法を提供するものであり、そ
の工業的価値はきわめて大きい。
フロントページの続き (72)発明者 山下 康彦 福岡県北九州市戸畑区飛幡町1番1号 新日本製鐵株式会社 八幡製鐵所内 (72)発明者 松田 真之 福岡県北九州市戸畑区飛幡町1番1号 新日本製鐵株式会社 八幡製鐵所内 (56)参考文献 特開 昭61−69928(JP,A) 特開 平2−197523(JP,A) 特開 平2−277722(JP,A) 特公 平1−52450(JP,B2) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) C21D 9/46 - 9/48 C22C 38/00 - 38/60

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 重量%で、 C :0.0015%以下、 Mn:0.05〜0.40%、 P :0.06%以下、 S :0.06%以下、 酸可溶Al:0.10%以下、 N :0.0060%以下、 に加えて、 Ti:3.4×(N%−0.0010)%以上、0.0
    2%以下、 Nb:6.6×(N%−0.0010)%以上、0.0
    3%以下、 B:0.79×(N%−0.0010)%以上、0.0
    040%以下 のうち1種以上を含有し、残部が鉄および不可避的不純
    物からなる熱鋼片を、850℃以上の仕上温度で熱間圧
    延したのち、酸洗し、冷間圧延し、連続焼鈍炉で焼鈍
    し、0.6〜10%の伸び率で調質圧延することを特徴
    とする調質度T−3以下の軟質非時効性容器用鋼板の製
    造法。
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