JPH05271622A - 無色ロジンの製造法 - Google Patents

無色ロジンの製造法

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JPH05271622A
JPH05271622A JP10179992A JP10179992A JPH05271622A JP H05271622 A JPH05271622 A JP H05271622A JP 10179992 A JP10179992 A JP 10179992A JP 10179992 A JP10179992 A JP 10179992A JP H05271622 A JPH05271622 A JP H05271622A
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 従来公知のロジンに比較して色調、臭気、安
定性等の諸性能を顕著に改良したロジンを得る。 【構成】 精製不均化ロジンを脱水素化触媒存在下に脱
水素化反応させる無色ロジンの製造法。 【効果】 色調、臭気、安定性等の諸性能を顕著に改良
したロジンを比較的安価に収得できる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、無色、無臭かつ安定性
の優れたロジンの製造法に関する。
【0002】
【従来の技術】従来よりロジンおよびその誘導体である
ロジンエステルは、粘接着剤用のタッキファイヤー、ゴ
ム類や各種プラスチック類の改質剤、トラフィックペイ
ント用樹脂、製紙用サイズ剤、合成ゴム用乳化剤、イン
キ用樹脂、塗料用樹脂等の原料として各種用途に使用さ
れている。しかし、該ロジン系化合物は、その外観が黄
色ないし黄褐色に着色しており、しかも臭気や加熱安定
性、耐候性(以下、安定性という)等の点で満足しうる
ものではなかった。
【0003】このため、該ロジン系化合物の上記欠点を
解決するために、未精製のロジンを不均化して熱安定性
を改良した不均化ロジンや未精製のロジンを水素添加し
てある程度安定性を改良した水添ロジン、あるいは該不
均化ロジンや水添ロジンを使用してなるエステル化物が
市販されているが、いずれも色調、安定性等の点で不充
分である。
【0004】また、特公昭45−33771号公報及び
特公昭49−20599号公報にはロジンまたはロジン
系化合物を特定の有機硫黄化合物により不均化する方法
が記載されているが、この方法によりえられた不均化ロ
ジンも色調、臭気、安定性の点で不充分である。
【0005】このように、従来のいずれのロジン、不均
化ロジン、水添ロジンも色調、臭気、安定性のすべての
性能を同時に満足しうるものではない。したがって、無
色かつ安定性の良好なロジンの出現が切望されていた。
【0006】ところで、特開昭64−85265号公報
には無色で安定性の良いロジンを製造する方法が開示さ
れているが、この方法では水素化工程が必須であるた
め、高度の耐圧反応装置を使用したり、多量の水素を消
費することから、製造コストが大幅に増大する不利があ
った。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】本発明者は、上記の如
き実状に鑑み、従来公知のロジンの色調、臭気、安定性
の諸性能を更に改良したロジンを、廉価に提供しうる新
規製造方法を開発することを目的とした。
【0008】
【課題を解決するための手段】上記課題に鑑みて、本発
明者は原料ロジン種、精製操作、脱水素化などの各種条
件に着目することによって前記諸性能を改良すべく検討
を行なった結果、特定のロジンを出発原料として使用
し、該特定ロジンを特定の反応工程に導くことにより、
前記課題を解決して、本発明の目的に合致する優れた諸
性能を有するロジンを収得しうる新規製造法を見い出し
た。
【0009】すなわち本発明は、精製不均化ロジンを脱
水素化触媒存在下に脱水素化反応させることを特徴とす
る無色ロジンの製造法に係る。
【0010】本発明は、特定原料ロジンである精製不均
化ロジンを脱水素化反応させるさせることにより、外観
がほぼ無色であり、加熱時の臭気や安定性の点に優れた
ロジン系化合物を提供することのできる新規な製造方法
に関するものである。該方法によってえられるロジン
は、従来のロジンの諸性能から由来して形成された固定
観念からは到底考えられないものである。すなわち、本
発明により、従来、ロジンの外観は黄色ないし黄褐色で
あるとされていた固定観念を一掃したほとんど無色のロ
ジンが得られるのである。しかも該ロジンは従来のロジ
ンの特徴、即ち、各種ポリマーとの幅広い相溶性を保持
している。
【0011】本発明においては、最終的に得られるロジ
ンの色調、安定性などの点から、出発原料として精製不
均化ロジンを使用することが必須とされる。本発明にお
いて精製不均化ロジンとは、アビエチン酸、パラストリ
ン酸、ネオアビエチン酸、ピマール酸、イソピマール
酸、デヒドロアビエチン酸等の樹脂酸を主成分とするガ
ムロジン、ウッドロジン、トール油ロジンを不均化反応
したのち、これを更に精製して得られるものを言う。
【0012】上記不均化反応に際しては、公知の不均化
反応条件を適宜選択できる。即ち、未精製ロジンを不均
化触媒の存在下に加熱反応させることにより行なう。不
均化触媒としては、パラジウムカーボン、ロジウムカー
ボン、白金カーボンなどの担持触媒、ニッケル、白金等
の金属粉末、ヨウ素、ヨウ化鉄等のヨウ化物等の各種公
知のものを例示しうる。該触媒の使用量は、ロジンに対
して通常0.01〜5重量%、好ましくは0.01〜
1.0重量%であり、反応温度は100〜300℃、好
ましくは150〜290℃である。
【0013】本発明では、上記未精製不均化ロジンを更
に精製する必要があるが、ここで精製とは不均化前のロ
ジンや不均化後のロジンに含まれていた過酸化物から生
起したと考えられる高分子量物、及び該ロジンにもとも
と含まれていた不ケン化物を除去することを意味する。
具体的には蒸留、再結晶、抽出等の操作を行なえばよ
く、工業的には蒸留による精製が好ましい。蒸留による
場合は、通常は温度200〜300℃、圧力1〜10m
mHgの範囲から蒸留時間を考慮して適宜選択される。
再結晶の場合は例えば未精製不均化ロジンを良溶媒に溶
解し、ついで溶媒を留去して濃厚な溶液となし、この溶
液に貧溶媒を添加することにより行なうことができる。
良溶媒としてはベンゼン、トルエン、キシレン、クロロ
ホルム、低級アルコール、アセトン等のケトン類、酢酸
エチル等の酢酸エステル類等が挙げられ、貧溶媒として
はn−ヘキサン、n−ヘプタン、シクロヘキサン、イソ
オクタン等が挙げられる。更に前記精製としては、未精
製不均化ロジンをアルカリ水を用いてアルカリ水溶液と
なし、不溶性の不ケン化物を有機溶媒により抽出したの
ち水層を中和してもよく、これにより精製不均化ロジン
をうることもできる。
【0014】したがって、未精製不均化ロジンを脱水素
化のみ行う場合や、未精製不均化ロジンを脱水素化した
のち精製する場合には、本発明の目的とする優れた諸特
性を有するロジンを到底収得することはできない。
【0015】本発明では、前記精製不均化ロジンを脱水
素化反応に供することが必要とされる。該脱水素化反応
条件は、特に制限はされず通常の条件を採用できる。例
えば該精製不均化ロジンを脱水素化触媒の存在下、密閉
容器中で水素初圧が10Kg/cm2 未満、好ましくは
5Kg/cm2 未満、反応温度が100〜300℃、好
ましくは200〜280℃の範囲で加熱すればよい。脱
水素化反応であるため実質的には水素は不必要である
が、前記のように生成水素を過酸化物の還元に利用する
意図から、水素初圧を10Kg/cm2 未満としたもの
であり、生成水素の自圧により、または若干水素を外部
より供給することにより圧力調整すれば良い。上記脱水
素化触媒としては特に制限なく各種公知のものが使用で
きるが、好ましくはパラジウム系、ロジウム系、白金系
の触媒を例示できる。該触媒は通常シリカ、カーボンな
どの担体に担持して使用される。また該触媒の使用量は
該精製不均化ロジンに対して通常0.01〜5重量%程
度、好ましくは0.05〜3重量%とされる。
【0016】上記方法で得られる最終目的物たるロジン
の樹脂酸組成は、水素供給圧により若干変化するが、通
常はジヒドロ体15〜35重量%、デヒドロアビエチン
酸85〜65重量%となる。また、得られるロジンの過
酸化物価は通常1以下となる。
【0017】本発明方法でえられたロジンは、その外観
がほとんど無色に近い色調をしており、しかも加熱時の
臭気、安定性、相溶性等の諸性能に優れているものであ
る。したがって、石鹸系洗浄剤組成物の改質剤として好
適に使用できるのみならず、当該ロジンのアルカリ金属
塩は合成ゴム、乳化重合用乳化剤として好適に使用でき
る。また当該ロジンをエステル化物に誘導することによ
り、ホットメルト接着剤用のタッキファイヤー、ゴム類
や各種プラスチック類の改質剤、トラフィックペイント
用原材料、チューインガム基材、インキ・塗料の改質
剤、顔料コーティング剤、ハンダ用フラックス等として
好適に使用でき、これら用途における最終製品の商品価
値を向上しうる。
【0018】
【発明の効果】本発明により、従来公知のロジンに比較
して色調、臭気、安定性等の諸性能を顕著に改良したロ
ジンを比較的安価に提供しうるという効果が奏される。
【0019】
【実施例】以下、実施例及び比較例をあげて本発明方法
を更に詳しく説明するが、本発明がこれらに限定されな
いことはもとよりである。
【0020】実施例1 (1)不均化反応 酸価172、軟化点75℃、色調ガードナー6の未精製
中国産ガムロジン1000gに不均化触媒として5%パ
ラジウムカーボン(含水率50%)0.3gを加え、窒
素シール下、280℃で4時間攪拌して不均化反応を行
ない、酸価160、軟化点78℃、色調ガードナー7の
未精製不均化ロジンをえた。 (2)精製 前記未精製不均化ロジンを窒素シール下に3mmHgの
減圧下で蒸留し、酸価176.5、軟化点82℃、色調
ガードナー4の一般恒数を有する主留を精製不均化ロジ
ンとした。
【0021】
【表1】
【0022】(3)脱水素化反応 前記不均化ロジンの精製物200gと5%パラジウムカ
ーボン(含水率50%)0.6gを1リットル振とう式
オートクレーブに仕込み、系内の酸素を除去した後、系
内を水素にて0.5Kg/cm2 に加圧し275℃まで
昇温し、同温度で3時間脱水素化反応を行ない、酸価1
71.7、軟化点87℃、色調ガードナー1以下(ハー
ゼンカラー120)のロジンをえた。
【0023】実施例2 実施例1(3)において、5%パラジウム(含水率50
%)を0.2gに変えた他は実施例1(3)と同様に脱
水素化反応を行ない、酸価174.6、軟化点87℃、
色調ガードナー1以下(ハーゼンカラー150)のロジ
ンをえた。
【0024】比較例1 実施例1(1)で得た未精製不均化ロジンを用い、これ
を実施例1(3)と同一条件で脱水素化反応を行ない、
酸価158、軟化点80℃、色調ガードナー5のロジン
をえた。
【0025】比較例2 比較例1で得たロジンを窒素シール下に3mmHgの減
圧下で蒸留し、酸価175.8、軟化点88℃、色調ガ
ードナー2の一般恒数を有する主留を最終ロジンとし
た。
【0026】
【表2】
【0027】諸性能の測定方法は以下の通りである。結
果は表3および表4に示す。 (過酸化物価)日本油脂化学協会の基準油脂分析試験法
(2・4・12−86)に準拠。 (ロジン中の樹脂酸組成)脱水素化反応前後の各ロジン
をASTM D3008−82に準拠してガスクロマト
グラフィー測定した。 (加熱安定性)内径1.5cm、高さ15cmの試験管
にサンプル10gを入れ、蓋をしないまま200℃の循
風乾燥器に静置して経時による色調(ガ−ドナ−)の変
化を観察した。 (耐候性)60〜100メッシュの粒度に揃えた樹脂
2.0gを内径5.6cm、高さ1cmの軟膏缶に入
れ、400W水銀灯を40cmの距離から15時間照射
したときの重量増加(酸素吸収量)及び色調(ガ−ドナ
−)の変化を観察した。尚、色調は50%トルエン溶液
中での評価による。
【0028】
【表3】
【0029】
【表4】
─────────────────────────────────────────────────────
【手続補正書】
【提出日】平成4年9月4日
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0015
【補正方法】変更
【補正内容】
【0015】本発明では、前記精製不均化ロジンを脱水
素化反応に供することが必要とされる。該脱水素化反応
条件は、特に制限はされず通常の条件を採用できる。例
えば該精製不均化ロジンを脱水素化触媒の存在下、密閉
容器中で水素初圧が10Kg/cm未満、好ましくは
5Kg/cm未満、反応温度が100〜3O0℃、好
ましくは200〜280℃の範囲で加熱すればよい。脱
水素化反応であるため実質的には水素は不必要である
が、前記のように生成水素を過酸化物の還元に利用する
意図から、水素初圧を10Kg/cm未満としたもの
であり、生成水素の自圧により、または若干水素を外部
より供給することにより圧力調整すれば良い。上記脱水
素化触媒としては特に制限なく各種公知のものが使用で
きるが、好ましくはパラジウム系、ロジウム系、白金系
の触媒を例示できる。該触媒は通常シリカ、カーボンな
どの担体に担持して使用される。また該触媒の使用量は
該精製不均化ロジンに対して通常0.01〜5重量%程
度、好ましくは0.05〜3重量%とされる。なお、脱
水素化反応に際しては、シクロヘキサノン、デカリン等
の脂環族炭化水素や、トルエン、キシレン等の芳香族炭
化水素等の溶媒を適宜使用することもできる。 ─────────────────────────────────────────────────────
【手続補正書】
【提出日】平成4年9月9日
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0015
【補正方法】変更
【補正内容】
【0015】本発明では、前記精製不均化ロジンを脱水
素化反応に供することが必要とされる。該脱水素化反応
条件は、特に制限はされず通常の条件を採用できる。例
えば該精製不均化ロジンを脱水素化触媒の存在下、密閉
容器中で水素初圧が10Kg/cm未満、好ましくは
5Kg/cm未満、反応温度が100〜300℃、好
ましくは200〜280℃の範囲で加熱すればよい。脱
水素化反応であるため実質的には水素は不必要である
が、前記のように生成水素を過酸化物の還元に利用する
意図から、水素初圧を10Kg/cm未満としたもの
であり、生成水素の自圧により、または若干水素を外部
より供給することにより圧力調整すれば良い。上記脱水
素化触媒としては特に制限なく各種公知のものが使用で
きるが、好ましくはパラジウム系、ロジウム系、白金系
の触媒を例示できる。該触媒は通常シリカ、カーボンな
どの担体に担持して使用される。また該触媒の使用量は
該精製不均化ロジンに対して通常0.01〜5重量%程
度、好ましくは0.05〜3重量%とされる。なお、脱
水素化反応に際しては、シクロヘキサン、デカリン等の
脂環族炭化水素や、トルエン、キシレン等の芳香族炭化
水素等の溶媒を適宜使用することもできる。

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 精製不均化ロジンを脱水素化触媒存在下
    に脱水素化反応させることを特徴とする無色ロジンの製
    造法。
  2. 【請求項2】 前記触媒がパラジウム、ロジウムまたは
    白金系触媒である請求項1記載の製造法。
  3. 【請求項3】 前記脱水素化反応において、反応圧力が
    10Kg/cm2 未満である請求項1記載の製造法。
  4. 【請求項4】 前記脱水素化反応後のロジンにおける樹
    脂酸組成が、ジヒドロ体15〜35重量%、デヒドロア
    ビエチン酸85〜65重量%である請求項1記載の製造
    法。
JP10179992A 1991-12-21 1992-03-26 無色ロジンの製造法 Expired - Lifetime JP2953187B2 (ja)

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