JPH05269739A - ガラス繊維強化熱可塑性樹脂複合体の製造方法 - Google Patents

ガラス繊維強化熱可塑性樹脂複合体の製造方法

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JPH05269739A
JPH05269739A JP4071290A JP7129092A JPH05269739A JP H05269739 A JPH05269739 A JP H05269739A JP 4071290 A JP4071290 A JP 4071290A JP 7129092 A JP7129092 A JP 7129092A JP H05269739 A JPH05269739 A JP H05269739A
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JP
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glass fiber
thermoplastic resin
peroxide
mixture
impregnated
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JP4071290A
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English (en)
Inventor
Masahiro Ishii
正裕 石居
Masaki Ito
正喜 伊藤
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Sekisui Chemical Co Ltd
Original Assignee
Sekisui Chemical Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【目的】成形段階においてガラス繊維表面で生成させた
過酸化物の遊離基を溶融した熱可塑性樹脂により流動さ
せることなくその部位に止め、ガラス繊維の表面の熱可
塑性樹脂との接着性改善をに行うことを目的とする。 【構成】ガラス繊維F1をホモポリプロピレン樹脂粉体
とトリメトキシシランと過酸化物樹脂混合物が充填され
た流動層R中を連続的に通過させて、モノフィラメント
間に樹脂混合物を付着させた。ローターリーカッター2
7により、ガラス繊維の長さを25mmになるように切
断した。シート成形部3に、樹脂混合物を含浸させた切
断ガラス繊維F3を通過させ、シート成形を行った。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、機械的強度や剛性が要
求される成形部品をスタンピング成形等により成形する
材料として使用するスタンパブルシート等として用いて
好適な、強靱性に優れたガラス繊維強化熱可塑性樹脂複
合体の製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】従来、スタンパブルシートとしては、例
えば、特開昭58─217530号公報、特開58─2
17531号公報、特開昭58─217532号公報に
記載の如く、溶融したポリオレフィンと、不飽和シラン
化合物と過酸化物によって処理したガラス繊維とを溶融
混練するものや、特公昭53─17720号公報に記載
の如く、ガラス繊維の製造中または製造後にガラス繊維
を水性糊剤で処理したものからなるマットを、ポリオレ
フィン樹脂と混合、含浸させるか、あるいはポリオレフ
ィンシートで積層して強化ポリオレフィン製品をつく
り、これを加熱加圧して、強化繊維用ガラス繊維をポリ
オレフィンに結合させる方法が記載されている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】しかし、前者の場合に
は、溶融したポリオレフィンと、不飽和シラン化合物と
有機過酸化物によって処理したガラス繊維とを溶融混練
する際に、溶融したポリオレフィンが過酸化物の遊離基
生成温度になっているために、過酸化物の遊離基はポリ
オレフィン樹脂の存在によりガラス繊維の界面の処理が
必要な部位に止まることができない。従って、ガラス繊
維の界面のポリオレフィンとの接着性の改善を要する部
位の処理を十分に行うことができないという問題点があ
る。
【0004】又、後者の場合には、マットを、ポリオレ
フィン樹脂と混合、含浸させる際に、常温で行う限り、
マット中にポリオレフィン樹脂が均一に分散するように
混合または含浸させることができず、又、ポリオレフィ
ン樹脂の溶融温度で行う場合には前者の場合と同様に、
ガラス繊維の界面のポリオレフィンとの接着性の改善を
要する部位の処理を十分に行うことができないという問
題点があった。
【0005】本発明は、上記の如き従来の問題点を解消
し、予め熱可塑性樹脂とガラス繊維と過酸化物とビニル
基を有するシランカップリング剤とを、過酸化物の遊離
基を生成させることなく均一に混合しておいて、成形段
階においてガラス繊維表面で生成させた過酸化物の遊離
基を溶融した熱可塑性樹脂により流動させることなくそ
の部位に止め、ガラス繊維の表面の熱可塑性樹脂との接
着性改善を行うことを目的としてなされたものである。
【0006】
【課題を解決するための手段】本願請求項1の発明は、
熱可塑性樹脂粉体と、その熱可塑性樹脂の溶融温度で遊
離基を生成する過酸化物と、ビニル基を有するシランカ
ップリング剤と、ガラス繊維とを、予め過酸化物が遊離
基を生成する温度以下で混合した状態にしておいて、こ
の混合物を熱可塑性樹脂の溶融温度以上に加熱し加圧せ
しめるガラス繊維強化熱可塑性樹脂複合体の製造方法で
ある。
【0007】本願請求項2の発明は、熱可塑性樹脂粉体
と、その熱可塑性樹脂の溶融温度で遊離基を生成する過
酸化物と、ビニル基を有するシランカップリング剤によ
って処理されたガラス繊維とを、予め過酸化物が遊離基
を生成する温度以下で混合した状態にしておいて、この
混合物を熱可塑性樹脂の溶融温度以上に加熱し加圧せし
めるガラス繊維強化熱可塑性樹脂複合体の製造方法であ
る。
【0008】本発明において、熱可塑性樹脂としては、
一般にポリオレフィンと称せられる高分子炭化水素系化
合物が使用され、具体的には、ポリエチレン、ポリプロ
ピレン、エチレン─プロピレン共重合体、アクリル酸変
性ポリプロピレン、マレイン酸変性ポリプロピレン等が
挙げられる。
【0009】又、重合時には粉体状で得られるもの、及
び粉砕機により粉末状に粉砕されたいずれのものでも使
用することができる。その粒子径としては、平均粒径が
2000μm以下が好ましい。平均粒径が2000μm
を越える場合には、流動槽中でガラス繊維のモノフィラ
メント間に熱可塑性樹脂が均一に付着しにくくなる傾向
がある。
【0010】尚、この熱可塑性樹脂には、必要に応じ
て、安定剤、滑剤、加工助剤、可塑剤、着色剤のような
添加剤が配合されてもよい。
【0011】本発明において、ガラス繊維としては、熱
可塑性樹脂の溶融温度で熱的に安定なものが用いられ
る。モノフィラメントの直径は1〜50μmが好まし
い。多数の連続フィラメントをガラス繊維束とする際
に、収束剤を使用しても使用しなくてもよいが、使用す
る場合には、ガラス繊維への収束剤の付着量が1重量%
以下が好ましい。付着量が1重量%を越えた場合には、
ガラス繊維束をモノフィラメント単位に分離するのが難
しくなり、ガラス繊維のモノフィラメント間に熱可塑性
樹脂粉末が均一に含浸するのがむつかくなる傾向があ
る。ガラス繊維の長さは特に限定されるものではなく、
長繊維であってもよいし、短繊維であってもよい。連続
するモノフィラメントが数百〜数千から構成されたスト
ランド状又はロービング状の繊維束を、製造する繊維強
化複合体の幅、厚さ、製造速度等を考慮して、通常多数
配列し、モノフィラメント単位に分離し、そのまま長繊
維のまま用いるか、又は短繊維に切断して用いる。
【0012】ガラス繊維の添加量は、製造しようとする
ガラス繊維強化複合体の必要物性により適宜決定される
が、ガラス繊維強化複合体中5〜70重量%であること
が好ましい。添加量が5重量%未満の場合には、ガラス
繊維強化複合体の機械的強度が十分でない傾向があり、
逆に、70重量%を越える場合には、熱可塑性樹脂が均
一に含浸したガラス繊維強化複合体を得ることが難しく
なる傾向がある。
【0013】本発明において使用される、ビニル基を有
するシランカップリング剤としては、使用される熱可塑
性樹脂や過酸化物により適宜決定されるが、珪素原子の
4個の置換基のうちのいずれか1個以上が、少なくとも
1個以上のビニル基を有する置換基であり、且つ何れか
1個以上がアルコキシ基等、ガラス繊維表面と反応し得
る反応基であればよい。その具体例としては、例えば、
トリメトキシビニルシラン、γ─メタクリロキシプロピ
ルトリメトキシシラン、2─スチリルエチルトリメトキ
シシラン、アリルトリエトキシシラン、3─(N─スチ
リルメチル─2─アミノエチルアミノ)─プロピルトリ
メトキシシラン塩酸塩、トリメトキシシリルプロピルア
リルアミン、ビニルトリエトキシシラン、ビニル─トリ
ス(2─メトキシ─エトキシ)シラン、ビニルトリアセ
トキシシラン等が挙げられる。
【0014】本発明において、過酸化物としては、使用
される熱可塑性樹脂の溶融温度、混合方法等により適宜
決定されるが、熱可塑性樹脂の溶融温度において遊離基
を生成する必要がある。具体的には、1分間半減期温度
が140〜250℃のものが使用される。140℃未満
の場合には、熱可塑性樹脂の溶融前に遊離基が生成して
しまい、熱可塑性樹脂とビニル基を有するシランカップ
リング剤の結合が有効に行われず、逆に、250℃を越
える場合には、遊離基が生成する前に熱可塑性樹脂の分
解が進行してしまう。又、本発明で使用される過酸化物
は、熱可塑性樹脂やガラス繊維等の混合工程中に遊離基
を生成しないことが必要である。具体的には、100時
間半減期温度が50℃以上のものが使用される。50℃
未満の場合には、熱可塑性樹脂やガラス繊維等の混合工
程中に、遊離基が生成してしまう。
【0015】過酸化物の具体例としては、例えば、2,
2─ビス(t─ブチルペルオキシ)ブタン、t─ブチル
パーオキシベンゾエート、n−ブチル─4,4─ビス
(t─ブチルパーオキシ)バレエート、ジ─t−ブチル
パーオキシイソフタレート、メチルエチルケトンパーオ
キサイド、ジクミルパーオキサイド、2,5─ジメチル
─2,5─ジ(t─ブチルパーオキシ)ヘキサン、α,
α´─ビス(t─ブチルパーオキシ─m─イソプロピ
ル)ベンゼン、t─ブチルクミルパーオキサイド、ジ─
t─ブチルパーオキサイド、2,5─ジメチル─2,5
─ジ(t─ブチルパーオキシ)ヘキサン─3,1,1,
3,3─テトラメチルハイドロパーオキサイド等が挙げ
られる。
【0016】ビニル基を有するシランカップリング剤と
過酸化物の混合割合は、使用されるシランカップリング
剤及び過酸化物、又ガラス繊維強化複合体の要求される
機械的特性等により適宜決定されるが、通常、シランカ
ップリング剤の過酸化物に対する割合が、重量比で0.
1〜100であるのか好ましい。0.1未満の場合に
は、過酸化物による遊離基の生成が過剰となり、副作用
が優先的となり、逆に、100を越える場合には、熱可
塑性樹脂とシランカップリング剤との相互接合が不十分
となり、充分な効果が得られない傾向がある。
【0017】又、ビニル基を有するシランカップリング
剤のガラス繊維に対する混合割合は、ガラス繊維100
重量部に対して、0.01〜100重量部が好ましい。
0.01重量部未満の場合には、処理の効果が少なく、
逆に、100重量部を越える場合には、ガラス繊維の界
面に多量の混合物が集中し、かえってガラス繊維と、熱
可塑性樹脂との接着性が悪くなる傾向がある。
【0018】本発明において、熱可塑性樹脂粉体と、過
酸化物と、ビニル基を有するシランカップリング剤と、
ガラス繊維とを、予め過酸化物が遊離基を生成する温度
以下で混合した状態にしておく方法としては、ガラス
繊維に、熱可塑性樹脂粉体と過酸化物とシランカップリ
ング剤との混合物を付着させる方法、ガラス繊維に、
シランカップリング剤と過酸化物との混合液を塗布して
おいて、乾燥後又は乾燥することなくこれに熱可塑性樹
脂粉体を付着させる方法、ガラス繊維にシランカップ
リング剤を塗布させておいて、これに熱可塑性樹脂粉体
と過酸化物の混合物とを付着させる方法等、過酸化物が
遊離基を生成する温度に加熱加圧する前に、均一な混合
状態にする方法であれば、いずれの方法も採用すること
ができる。
【0019】本発明において、ビニル基を有するシラン
カップリング剤によって処理されたガラス繊維を得る方
法としては、通常、ガラス繊維に、シランカップリング
剤を付着させておいて、これを加熱することにより、シ
ランカップリング剤のアルコキシ基等の反応基とガラス
繊維の表面に通常存在するシラノール基とを反応せしめ
る方法等が採用される。
【0020】本発明において、熱可塑性樹脂粉体と、ビ
ニル基を有するシランカップリング剤によって処理され
たガラス繊維と、過酸化物とを、予め過酸化物が遊離基
を生成する温度以下で混合した状態にしておく方法とし
ては、シランカップリング剤によって処理されたガラス
繊維に、熱可塑性樹脂粉体と過酸化物との混合物とを付
着させる方法等、過酸化物が遊離基を生成する温度に加
熱加圧する前に、混合状態にする方法であれば、いずれ
の方法も採用することができる。
【0021】本発明において、複合体の形態としては、
例えば、シート、板、フィルム等が挙げられる。
【0022】
【作用】本願請求項1のガラス繊維強化熱可塑性樹脂複
合体の製造方法は、熱可塑性樹脂粉体と、その熱可塑性
樹脂の溶融温度で遊離基を生成する過酸化物と、ビニル
基を有するシランカップリング剤と、ガラス繊維とを、
予め過酸化物が遊離基を生成する温度以下で混合した状
態にしておいて、この混合物を熱可塑性樹脂の溶融温度
以上に加熱し加圧せしめる方法であるので、熱可塑性樹
脂とシランカップリング剤と過酸化物とは予めガラス繊
維の界面の処理が必要な部位に配置されており、加熱加
圧成形時においても、その相対的位置関係が変化するこ
となく、シランカップリング剤のアルコキシ基等の反応
基とガラス繊維の表面に通常存在するシラノール基とを
反応させてビニル基を有するシランカップリング剤をガ
ラス繊維に化学的に結合せしめると共に、そのビニル基
を有するシランカップリング剤成分のビニル基を過酸化
物の遊離基が有効に攻撃してその末端に遊離基を発生さ
せ、その遊離基が熱可塑性樹脂の炭化水素中の水素を攻
撃して化学的に結合する。これにより、ガラス繊維の熱
可塑性樹脂との接着性の改善を要する部位の処理を十分
に行うことができる。
【0023】本願請求項2のガラス繊維強化熱可塑性樹
脂複合体の製造方法は、熱可塑性樹脂粉体と、その熱可
塑性樹脂の溶融温度で遊離基を生成する過酸化物と、ビ
ニル基を有するシランカップリング剤によって処理され
たガラス繊維とを、予め過酸化物が遊離基を生成する温
度以下で混合した状態にしておいて、この混合物を熱可
塑性樹脂の溶融温度以上に加熱し加圧せしめる方法であ
るので、熱塑性樹脂と過酸化物とは予めシランカップリ
ング剤によって処理されたガラス繊維の界面の処理が必
要な部位に配置されており、加熱加圧時においても、そ
の相対的位置関係が変化することなく、ガラス繊維に化
学的に結合したシランカップリング剤のビニル基を過酸
化物の遊離基が有効に攻撃してその末端に遊離基を発生
させ、その遊離基が熱可塑性樹脂の炭化水素中の水素を
攻撃して化学的に結合する。これにより、ガラス繊維の
熱可塑性樹脂との接着性の改善を要する部位の処理を十
分に行うことができる。
【0024】
【実施例】以下、本発明を実施例により、図面を参照し
て説明する。図1は、本発明の実施例の工程を説明する
側面図である。まず、装置について説明すると、この装
置は、ガラス繊維供給部1と、樹脂混合物含浸ガラス繊
維供給部2と、シート成形部3とからなる。ガラス繊維
供給部1には、連続したガラス繊維F1が巻回されたロ
ールをセットする巻戻しロール11が設けられている。
【0025】樹脂混合物含浸繊維供給部2には、ガラス
繊維F1に含浸させる熱可塑性樹脂粉体とビニル基を有
するシランカップリング剤と過酸化物との樹脂混合物
(以下、樹脂混合物という)を供給する容器22と、容
器22内を通過させたガラス繊維F1に付着された樹脂
混合物の付着量をほぼ一定化する上下一対のスクレーバ
ー23と、樹脂混合物が均一に含浸されたガラス繊維F
2をドライブするための駆動ロール25及びピンチロー
ル26と、樹脂混合物含浸ガラス繊維F2を5mm以上
の所望長さに切断し、樹脂混合物含浸切断ガラス繊維F
3を供給するためのロータリーカッター27とからな
る。
【0026】容器22の底部には、多数の通気孔が設け
られており、気体供給路から送られた空気や窒素ガス等
の気体Gが通気孔を通って容器22内に供給されるよう
にされている。容器22内に充填された樹脂混合物はそ
の気体Gの噴出によって流動化した状態となり流動層R
が形成される。容器22の内部及び壁部上端にはガラス
繊維F1を案内するためのガイドロール28が設けられ
ている。
【0027】ガラス繊維F1に対する樹脂混合物の付着
量を調節するのに配置された上下一対のスクレーバー2
3は両者の間隔を調節し得るようにしている。尚、ガラ
ス繊維F1に振動を与え、過剰に付着した樹脂混合物を
振動の強弱により、付着量をほぼ均一化するようにして
もよい。
【0028】シート成形部3は、下無端ベルト31及び
上無端ベルト32とを備えている。下無端ベルト31上
には、図1における左側から右側に移動する一定高さの
搬送路311が形成されている。上無端ベルト32に
は、下無端ベルト31の搬送路311の中途から末端に
かけて、下無端ベルト31の搬送路311と所定間隙を
あけてその搬送速度に同調して移動する押圧領域321
が設けられている。そして、搬送路311の中途から末
端と押圧領域321との間でシート成形領域33が形成
されている。シート成形領域33における左側には、加
熱領域34と、冷却領域35とがこの順で設けられてい
る。
【0029】加熱領域34内には、上下の対応する位置
に複数対の押圧ロール38が設けられ、冷却領域35内
には、上下の対応する位置に複数対の押圧ロール39が
設けられている。押圧ロール38間、及び押圧ロール3
9間のクリアランスは調整することが可能とされてい
る。尚、36,37は夫々上無端ベルト32、下無端ベ
ルト31を同調して移動させるために設けられた駆動ロ
ールである。
【0030】冷却領域35の冷却手段としては、ブロア
ー等により空気を吹き付けて冷却する方式や、押圧ロー
ル39を冷却する方式等が採用される。
【0031】次に、上記の装置を用いた、本発明のガラ
ス繊維強化熱可塑性樹脂複合シートの製造方法の一実施
例を説明する。まず、ガラス繊維F1を、駆動ロール2
5とピンチロール26との間に挟み、ひねりがかからな
いようにしてガラス繊維供給部1から引き出す。このガ
ラス繊維F1をターンロール28により案内して容器2
2内の樹脂混合物が充填された流動層Rを通過させて、
気体の噴出、流動層中に発生する静電気、擦り、揉み等
の効果によって、ガラス繊維F1はモノフィラメント単
位に分離、開繊させて、そのモノフィラメント間に樹脂
混合物を侵入付着させる。
【0032】この樹脂混合物が付着したガラス繊維F1
を、上下一対のスクレーバー23の間を通過させること
により、過剰に付着した樹脂混合物を除去し、樹脂混合
物が均一に含浸された樹脂混合物含浸ガラス繊維F2と
する。
【0033】この樹脂混合物含浸ガラス繊維F2を、ロ
ータリーカッター27により、5mm以上の所望長さに
切断し、樹脂混合物含浸切断ガラス繊維F3を落下さ
せ、これを次工程のシート成形部3の搬送路311に供
給する。
【0034】樹脂混合物含浸切断ガラス繊維F3は、熱
可塑性樹脂と過酸化物とビニル基を有するシランカップ
リング剤とガラス繊維とが均一に混合された状態とされ
ている。
【0035】次に、この樹脂混合物含浸切断ガラス繊維
F3を、搬送路311を図1における左側から右側に移
動させ、下無端ベルト31の搬送路311と所定間隙を
あけてその搬送速度に同調して移動する上無端ベルト3
2の押圧領域321を通過させる。この際、加熱領域3
4、冷却領域35の順で通過させる。加熱領域34を通
過させる間に熱可塑性樹脂の溶融温度以上に加熱され
る。そして、樹脂混合物含浸ガラス切断繊維F3の熱可
塑性樹脂が溶融され、押圧ロール38間で加圧されて、
ビニル基を有するシランカップリング剤と過酸化物によ
り、ガラス繊維と熱可塑性樹脂との間の接着性が改良さ
れる。次いで冷却領域35を通過させる間に、溶融樹脂
が加圧下で冷却固化されて、切断ガラス繊維のバインダ
ーをなすようシート状に成形して、ガラス繊維強化熱可
塑性樹脂複合シートを得る。
【0036】図2は、本発明の別の実施例の工程を説明
する側面図である。まず、装置について説明すると、こ
の装置は、混合溶液塗布ガラス繊維供給部4と、樹脂混
合物含浸ガラス繊維供給部2と、シート成形部3とから
なる。混合溶液塗布ガラス繊維供給部1には、連続した
ガラス繊維F1が巻回されたロールをセットする巻戻し
ロール41と、ビニル基を有するシランカップリング剤
と過酸化物との混合溶液(以下、混合溶液という)Kが
供給されている塗布槽42と、塗布槽42を通過した混
合溶液塗布ガラス繊維F1´に付着した混合溶液Kの付
着量をほぼ一定に調整するスクレバー43と、ターンロ
ール44とからなる。
【0037】樹脂混合物含浸繊維供給部2には、混合溶
液塗布ガラスガラス繊維F1´に含浸させる熱可塑性樹
脂を容器22内に入れること以外は、上記の実施例の場
合と同様であるので、詳細な説明は省略する。シート成
形部3について、上記実施例と同様であるので詳細な説
明を省略する。
【0038】次に、上記の装置を用いた、本発明のガラ
ス繊維強化熱可塑性樹脂複合シートの製造方法の別の実
施例を説明する。まず、ガラス繊維F1を、駆動ロール
25とピンチロール26との間に挟み、ひねりがかから
ないようにしてガラス繊維供給部1から引き出す。この
ガラス繊維F1をターンロール44により案内して混合
溶液Kが充填された塗布槽42を通過させ、混合溶液含
浸ガラス繊維F1´を引き出し、スクレバー43の間を
通して、含浸した混合溶液Kの付着量をほぼ一定に調整
する。
【0039】この混合溶液含浸ガラス繊維F1´を、熱
可塑性樹脂が充填された容器22中を通して、気体の噴
出、流動層中に発生する静電気、擦り、揉み等の効果に
よって、混合溶液塗布ガラス繊維F1´はモノフィラメ
ント単位に分離、開繊させて、そのモノフィラメント間
に熱可塑性樹脂粉体を侵入付着させ、これを上下一対の
スクレーバー23の間を通過させることにより、過剰に
付着した樹脂混合物を除去し、樹脂混合物が均一に含浸
された樹脂混合物含浸ガラス繊維F2とする。
【0040】これ以降の工程は、上記の図1を参照して
説明した実施例と同様にして、ガラス繊維強化熱可塑性
樹脂複合シートを製造した。
【0041】実施例1 図1に示す装置及び製造工程により、次の条件により繊
維強化熱可塑性樹脂複合シートの成形を行った。熱可塑
性樹脂粉体として、ホモポリプロピレン樹脂粉体(MF
R:6g/10分、平均粒径:180μm)を用いた。
シランカップリング剤として、トリメトキシシランを用
い、過酸化物として、2,5─ジメチル─2,5─ジ
(t─ブチルパーオキシ)ヘキシン─3(1分間半減期
温度:193℃、100時間半減期温度:109℃)を
用いて、両者を重量比が1:1になるように混合した。
この混合物を熱可塑性樹脂粉体100重量部に対して5
重量部添加した樹脂混合物を容器22に充填した。ガラ
ス繊維F1として、ロービング状ガラス繊維束(モノフ
ィラメント直径:14μ、1100g/km)32本を
用いた。下無端ベルト31及び上無端ベルト32として
幅600mm、厚さ1mmのガラス繊維強化テフロンベ
ルトを用いた。
【0042】ガラス繊維F1を樹脂混合物が充填された
流動層R中を連続的に通過させて、モノフィラメント間
に樹脂混合物を付着させた後、スクレーバー23間を通
過させて過剰の樹脂混合物を除去し、樹脂混合物とガラ
ス繊維との重量割合が6:4となるように調節して、樹
脂混合物を含浸させたガラス繊維F2を調整した。
【0043】ローターリーカッター27により、ガラス
繊維の長さを25mmになるように切断した。
【0044】シート成形部3の搬送路311上の幅60
0mmの中央部500mm幅の部分に、樹脂混合物を含
浸させた切断ガラス繊維F3を4480g/m2 になる
ように連続的に供給集積した。樹脂混合物を含浸させた
切断ガラス繊維F3の見掛け厚さは45mmであった。
【0045】下無端ベルト31と上無端ベルト32とで
形成されるシート成形領域33の間隙を押圧ロール39
によって3.7mmになるように調節し、ベルトの移動
速度を580mm/分とし、加熱領域34として、21
0℃の熱風が循環している長さ1500mmの熱風加熱
炉中を、樹脂混合物を含浸させた切断ガラス繊維F3を
通過させ、冷却領域35として、空気を吹き付ける方式
を採用して、シート成形を行い、幅500mm、厚さ
3.7mmの繊維強化熱可塑性樹脂複合シートを得た。
【0046】このシートのランダムな5箇所より、幅2
0mm×長さ150mmの試験片を切り出し、支点間距
離120mmで三点曲げ試験を行い、曲げ強度、曲げ弾
性率をn数5で測定し、その結果(平均値)を表1に示
した。
【0047】実施例2 熱可塑性樹脂粉体として、エチレン─プロピレン共重合
体粉体(MFR:16g/10分、平均粒径:130μ
m)を用いた。シランカップリング剤として、アルキル
エトキシシランを用い、過酸化物として、α,α´─ビ
ス(t─ブチルパーオキシ─m−イソプロピル)ベンゼ
ン(1分間半減期温度:179℃、100時間半減期温
度:102℃)を用い、両者を重量比が2:1になるよ
うに混合した。この混合物を熱可塑性樹脂粉体100重
量部に対して1重量部添加した樹脂混合物を容器22に
充填した。ガラス繊維F1として、ロービング状ガラス
繊維束(モノフィラメント直径:23μ、4400g/
km)8本を用いた。下無端ベルト31及び上無端ベル
ト32として幅600mm、厚さ1mmのガラス繊維強
化テフロンベルトを用いた。
【0048】ガラス繊維F1を樹脂混合物が充填された
流動層R中を連続的に通過させて、モノフィラメント間
に樹脂混合物を付着させた後、スクレーバー23を通過
させて過剰の樹脂混合物を除去し、樹脂混合物とガラス
繊維との重量割合が6:4となるように調節して、樹脂
混合物を含浸させたガラス繊維F2を調整した。ロータ
ーリーカッター27により、ガラス繊維の長さを50m
mになるように切断した。
【0049】シート成形部3の搬送路311上の幅60
0mmの中央部500mm幅の部分に、樹脂混合物が含
浸された切断ガラス繊維F3を4600g/m2 になる
ように連続的に供給集積した。樹脂混合物が含浸された
切断ガラス繊維F3の見掛け厚さは50mmであった。
【0050】下無端ベルト31と上無端ベルト32とで
形成されるシート成形領域33の間隙を押圧ロール39
によって3.8mmになるように調節し、ベルトの移動
速度を580mm/分とし、加熱領域34として、21
0℃の熱風が循環している長さ1500mmの熱風加熱
炉中を、樹脂混合物が含浸された切断ガラス繊維F3を
通過させ、冷却領域35として、空気を吹き付ける方式
を採用して、シート成形を行い、幅500mm、厚さ
3.7mmの繊維強化熱可塑性樹脂複合シートを得た。
このシートより、実施例1と同様に試験片を切り出し、
曲げ強度、曲げ弾性率試験を行った。その結果を表1に
示す。
【0051】実施例3 熱可塑性樹脂粉体として、マレイン酸変性ポリプロピレ
ン樹脂粉体(MFR:8.6g/10分、平均粒径:1
50μm)を用いた。シランカップリング剤として、2
─スチリルエチルトリメトキシシランを用い、過酸化物
として、ジクミルパーオキサイド(1分間半減期温度:
171℃、100時間半減期温度:101℃)を用い、
両者を重量比が1:1になるように混合した。この混合
物を熱可塑性樹脂粉体100重量部に対して1重量部添
加した樹脂混合物を容器22に充填した。
【0052】ガラス繊維F1として、ロービング状ガラ
ス繊維束(モノフィラメント直径:23μ、4400g
/km)8本を用いた。下無端ベルト31及び上無端ベ
ルト32として幅600mm、厚さ1mmのガラス繊維
強化テフロンベルトを用いた。ガラス繊維F1を樹脂混
合物が充填された流動層R中を連続的に通過させて、モ
ノフィラメント間に樹脂混合物を付着させた後、スクレ
ーバー23を通過させて過剰の樹脂混合物を除去し、樹
脂混合物とガラス繊維との重量割合が1:1となるよう
に調節した。ローターリーカッター27により、ガラス
繊維の長さを25mmになるように切断した。
【0053】シート成形部3の搬送路311上の幅60
0mmの中央部500mm幅の部分に、樹脂混合物が含
浸された切断ガラス繊維F3を5060g/m2 になる
ように連続的に供給集積した。樹脂混合物が含浸された
含浸切断ガラス繊維F3の見掛け厚さは40mmであっ
た。
【0054】下無端ベルト31と上無端ベルト32とで
形成されるシート成形領域33の間隙を押圧ロール39
によって3.8mmになるように調節し、ベルトの移動
速度を580mm/分とし、加熱領域34として、21
0℃の熱風が循環している長さ1500mmの熱風加熱
炉中を、樹脂混合物が含浸された切断ガラス繊維F3を
通過させ、冷却領域35として、空気を吹き付ける方式
を採用して、シート成形を行い、幅500mm、厚さ
3.8mmの繊維強化熱可塑性樹脂複合シートを得た。
このシートより、実施例1と同様に試験片を切り出し、
曲げ強度、曲げ弾性率試験を行った。その結果を表1に
示す。
【0055】比較例1 樹脂混合物の代わりに、実施例1のホモポリプロピレン
樹脂粉体のみを用いたこと以外は、実施例1と同様にし
て、幅500mm、厚さ3.7mmの繊維強化熱可塑性
樹脂複合シートを得た。このシートより、実施例1と同
様に試験片を切り出し、曲げ強度、曲げ弾性率試験を行
った。その結果を表1に示す。
【0056】比較例2 実施例1と同様の樹脂混合物と、実施例1と同様のガラ
ス繊維F1を長さ25mmに切断したガラス繊維とを、
実施例1と同様の割合で混合したものを、押出成形する
ことにより、厚さ3.7mmの繊維強化熱可塑性樹脂複
合シートを得た。このシートより、実施例1と同様に試
験片を切り出し、曲げ強度、曲げ弾性率試験を行った。
その結果を表1に示す。
【0057】実施例4 図2に示す装置及び製造工程により、次の条件により繊
維強化熱可塑性樹脂複合シートの成形を行った。熱可塑
性樹脂粉体として、ホモポリプロピレン樹脂粉体(MF
R:25g/10分、平均粒径:180μm)を用い、
容器22に充填した。シランカップリング剤として、ト
リメトキシシランを用い、過酸化物として、ジイソプロ
ピルベンゼンハイドロパーオキサイド(1分間半減期温
度:205℃、100時間半減期温度:99℃)を用い
て、両者を重量比が1:1になるように混合した。この
混合物を50重量%になるようにアセトンに溶解した。
この混合溶液Kを塗布槽42に充填した。
【0058】ガラス繊維F1として、ロービング状ガラ
ス繊維束(モノフィラメント直径:14μ、1100g
/km)32本を用いた。下無端ベルト31及び上無端
ベルト32として幅600mm、厚さ1mmのガラス繊
維強化テフロンベルトを用いた。ガラス繊維F1を混合
溶液Kが充填された塗布槽42中を連続的に通過させ
て、ガラス繊維F1に混合溶液Kを付着させた後、スク
レーバー43間を通過させて過剰の混合溶液Kを除去
し、ガラス繊維100重量部に対してシランカップリン
グ剤と過酸化物の量の合計(アセトンは除く)が0.1
1重量部になるように混合溶液Kを調節して付着させた
ガラス繊維F1´を調整した。
【0059】ガラス繊維F1´を熱可塑性樹脂粉体が充
填された流動層R中を連続的に通過させて、モノフィラ
メント間に熱可塑性樹脂粉体を付着させた後、スクレー
バー23を通過させて過剰の熱可塑性樹脂粉体を除去
し、熱可塑性樹脂とシランカップリング剤と過酸化物と
の樹脂混合物とガラス繊維との重量割合が6:4となる
ように調節した。ロータリーカッター27により、ガラ
ス繊維の長さを50mmになるように切断した。
【0060】シート成形部3の搬送路311上の幅60
0mmの中央部500mm幅の部分に、樹脂混合物が含
浸された切断ガラス繊維F3を4480g/m2 になる
ように連続的に供給集積した。樹脂混合物が含浸された
切断ガラス繊維F3の見掛け厚さは45mmであった。
下無端ベルト31と上無端ベルト32とで形成されるシ
ート成形領域33の間隙を押圧ロール39によって3.
7mmになるように調節し、ベルトの移動速度を580
mm/分とし、加熱領域34として、210℃の熱風が
循環している長さ1500mmの熱風加熱炉中を、樹脂
混合物が含浸された切断ガラス繊維F3を通過させ、冷
却領域35として、空気を吹き付ける方式を採用して、
シート成形を行い、幅500mm、厚さ3.7mmの繊
維強化熱可塑性樹脂複合シートを得た。このシートよ
り、実施例1と同様に試験片を切り出し、曲げ強度、曲
げ弾性率試験を行った。その結果を表1に示す。
【0061】
【実施例5】熱可塑性樹脂粉体として、エチレン─プロ
ピレン共重合体粉体(MFR:16g/10分、平均粒
径:130μm)を用い、容器22に充填した。シラン
カップリング剤として、アリルトリエトキシシランを用
い、過酸化物として、ジジ─t─ブチルパーオキサイド
(1分間半減期温度:186℃、100時間半減期温
度:91℃)を用いて、両者を重量比が2:1になるよ
うに混合した。この混合物を50重量%になるようにア
セトンに溶解した。この混合溶液Kを塗布槽42に充填
した。
【0062】ガラス繊維F1として、ロービング状ガラ
ス繊維束(モノフィラメント直径:23μ、4400g
/km)8本を用いた。下無端ベルト31及び上無端ベ
ルト32として幅600mm、厚さ1mmのガラス繊維
強化テフロンベルトを用いた。ガラス繊維F1を混合溶
液Kが充填された塗布槽42中を連続的に通過させて、
ガラス繊維F1に混合溶液Kを付着させた後、スクレー
バー43間を通過させて過剰の混合溶液Kを除去し、ガ
ラス繊維100重量部に対してシランカップリング剤と
過酸化物の量の合計(アセトンは除く)が0.3重量部
になるように調節して付着したガラス繊維F1´とし
た。
【0063】ガラス繊維F1´をポリプロピレン樹脂が
充填された流動層R中を連続的に通過させて、モノフィ
ラメント間に熱可塑性樹脂粉体を付着させた後、スクレ
ーバー23を通過させて過剰の熱可塑性樹脂粉体を除去
し、熱可塑性樹脂とシランカップリング剤と過酸化物と
の樹脂混合物とガラス繊維との重量割合が6:4となる
ように調節した。ロータリーカッター27により、ガラ
ス繊維の長さを25mmになるように切断した。
【0064】シート成形部3の搬送路311上の幅60
0mmの中央部500mm幅の部分に、樹脂混合物が含
浸された切断ガラス繊維F3を4600g/m2 になる
ように連続的に供給集積した。樹脂混合物が含浸された
切断ガラス繊維F3の見掛け厚さは50mmであった。
下無端ベルト31と上無端ベルト32とで形成されるシ
ート成形領域33の間隙を押圧ロール39によって3.
8mmになるように調節し、ベルトの移動速度を580
mm/分とし、加熱領域34として、210℃の熱風が
循環している長さ1500mmの熱風加熱炉中を、樹脂
混合物が含浸された切断ガラス繊維F3を通過させ、冷
却領域35として、空気を吹き付ける方式を採用して、
シート成形を行い、幅500mm、厚さ3.8mmの繊
維強化熱可塑性樹脂複合シートを得た。このシートよ
り、実施例1と同様に試験片を切り出し、曲げ強度、曲
げ弾性率試験を行った。その結果を表1に示す。
【0065】
【実施例6】熱可塑性樹脂粉体として、マレイン酸変性
ポリプロピレ樹脂(MFR:6g/10分、平均粒径:
150μm)を用い、容器22に充填した。シランカッ
プリング剤として、2─スチリルエチルトリエトキシシ
ランを用い、過酸化物として、メチルエチルケトンパー
オキサイド(1分間半減期温度:170℃、100時間
半減期温度:91℃)を用いて、両者を重量比が1:1
になるように混合した。この混合物を50重量%になる
ようにアセトンに溶解した。この混合溶液Kを塗布槽4
2に充填した。
【0066】ガラス繊維F1として、ロービング状ガラ
ス繊維束(モノフィラメント直径:23μ、4400g
/km)8本を用いた。下無端ベルト31及び上無端ベ
ルト32として幅600mm、厚さ1mmのガラス繊維
強化テフロンベルトを用いた。
【0067】ガラス繊維F1を混合溶液Kが充填された
塗布槽42中を連続的に通過させて、ガラス繊維F1に
混合溶液Kを付着させた後、スクレーバー43間を通過
させて過剰の混合溶液Kを除去し、ガラス繊維100重
量部に対してシランカップリング剤と過酸化物の量の合
計(アセトンは除く)が0.5重量部になるように調節
して付着したガラス繊維F1´とした。
【0068】ガラス繊維F1´をポリプロピレン樹脂が
充填された流動層R中を連続的に通過させて、モノフィ
ラメント間に熱可塑性樹脂粉体を付着させた後、スクレ
ーバー23を通過させて過剰の熱可塑性樹脂粉体を除去
し、熱可塑性樹脂とシランカップリング剤と過酸化物と
の樹脂混合物とガラス繊維との重量割合が1:1となる
ように調節した。ロータリーカッター27により、ガラ
ス繊維の長さを75mmになるように切断した。
【0069】シート成形部3の搬送路311上の幅60
0mmの中央部500mm幅の部分に、樹脂混合物が含
浸させた切断ガラス繊維F3を5060g/m2 になる
ように連続的に供給集積した。樹脂混合物が含浸させた
切断ガラス繊維F3の見掛け厚さは40mmであった。
【0070】下無端ベルト31と上無端ベルト32とで
形成されるシート成形領域33の間隙を押圧ロール39
によって3.8mmになるように調節し、ベルトの移動
速度を580mm/分とし、加熱領域34として、21
0℃の熱風が循環している長さ1500mmの熱風加熱
炉中を、樹脂混合物を含浸させた切断ガラス繊維F3を
通過させ、冷却領域35として、空気を吹き付ける方式
を採用して、シート成形を行い、幅500mm、厚さ
3.8mmの繊維強化熱可塑性樹脂複合シートを得た。
このシートより、実施例1と同様に試験片を切り出し、
曲げ強度、曲げ弾性率試験を行った。その結果を表1に
示す。
【0071】比較例3 樹脂混合物の代わりに、実施例1のホモポリプロピレン
樹脂のみを用いたこと以外は、実施例1と同様にして、
幅500mm、厚さ3.7mmの繊維強化熱可塑性樹脂
複合シートを得た。このシートより、実施例1と同様に
試験片を切り出し、曲げ強度、曲げ弾性率試験を行っ
た。その結果を表1に示す。
【0072】比較例4 実施例1と同様にして得たガラス繊維F1´を乾燥した
ものを用いて、単位面積当り1790g/m2 のガラス
繊維マットを調整した。このガラス繊維マットに実施例
1と同様のポリプロピレン樹脂粉体を厚さ0.15mm
となるように積層した。
【0073】この積層物を、下無端ベルト31と上無端
ベルト32とで形成されるシート成形領域33の間隙を
押圧ロール39によって3.8mmになるように調節
し、ベルトの移動速度を580mm/分とし、加熱領域
34として、210℃の熱風が循環している長さ150
0mmの熱風加熱炉中を通過させ、冷却領域35とし
て、空気を吹き付ける方式を採用して、シート成形を行
い、幅500mm、厚さ3.8mmの繊維強化熱可塑性
樹脂複合シートを得た。このシートより、実施例1と同
様に試験片を切り出し、曲げ強度、曲げ弾性率試験を行
った。その結果を表1に示す。
【0074】実施例7 溶融紡糸(1100tex,直径14μm)の際に、収
束剤にアリルメトキシシランを加えて付着させたガラス
繊維を、140℃で2時間反応処理し、これを25mm
の長さに切断して、シラン反応処理ガラス短繊維を調整
した。熱可塑性樹脂粉体として、ホモポリプロピレン樹
脂粉体(MFR:18g/10分、平均粒径:150μ
m)を用いた。過酸化物として、t−ブチルパーオキシ
ベンゾエート(1分間半減期温度:170℃、100時
間半減期温度:85℃)を用いた。熱可塑性樹脂粉体1
00重量部に対して、過酸化物1重量部と、シラン反応
処理ガラス短繊維40重量部とを添加し、これをヘンシ
ェルミキサーにより、室温下で15分間攪拌し、熱可塑
性樹脂と、過酸化物と、シラン反応処理ガラス短繊維の
混合物を得た。
【0075】この混合物を、プレスにより、200℃の
加熱下、15kg/cm2 の圧力で加圧し、厚さが3.
9mmのガラス繊維強化複合シートを得た。このシート
より、実施例1と同様に試験片を切り出し、曲げ強度、
曲げ弾性率試験を行った。その結果を表1に示す。
【0076】
【表1】
【0077】表1からも明らかな如く、実施例1〜7の
場合には、いずれも、シートの曲げ強度及び曲げ弾性率
が優れていた。これに対して、比較例1〜4の場合に
は、いずれも、曲げ強度及び曲げ弾性率が劣っている。
【0078】
【発明の効果】本願請求項1のガラス繊維強化熱可塑性
樹脂複合体の製造方法は、上記の如き構成とされている
ので、加熱加圧成形時においても、熱可塑性樹脂とビニ
ル基を有するシランカップリング剤と過酸化物とガラス
繊維との相対的位置関係が変化することなく、ガラス繊
維の熱可塑性樹脂との接着性の改善を要する部位の処理
を十分に行うことができる。
【0079】本願請求項2のガラス繊維強化熱可塑性樹
脂複合体の製造方法は、上記の構成とされているので、
加熱加圧時においても、熱可塑性樹脂と過酸化物とビニ
ル基を有するシランカップリング剤によって処理された
ガラス繊維との相対的位置関係が変化することなく、ガ
ラス繊維の熱可塑性樹脂との接着性の改善を要する部位
の処理を十分に行うことができる。
【0080】
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施例の工程を説明する正面図であ
る。
【図2】本発明の別の実施例の工程を説明する正面図で
ある。
【符号の説明】
1 ガラス繊維供給部 2 樹脂混合物含浸ガラス繊維供給部 3 シート成形部 4 シラン塗布繊維供給部 11 巻戻しロール 22 容器 23 スクレーバー 25 駆動ロール 26 ピンチロール 27 ロータリーカッター 28 ガイドロール 31 下無端ベルト 32 上無端ベルト 34 加熱領域 35 冷却領域 311 搬送路 321 押圧領域 F1 ガラス繊維 F2 樹脂混合物含浸ガラス繊維 F3 樹脂混合物含浸切断ガラス繊維 G 気体 R 流動層 K 混合溶液
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.5 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 // B29K 23:00 105:08

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 熱可塑性樹脂粉体と、その熱可塑性樹脂
    の溶融温度で遊離基を生成する過酸化物と、ビニル基を
    有するシランカップリング剤と、ガラス繊維とを、予め
    過酸化物が遊離基を生成する温度以下で混合した状態に
    しておいて、この混合物を熱可塑性樹脂の溶融温度以上
    に加熱し加圧せしめることを特徴とするガラス繊維強化
    熱可塑性樹脂複合体の製造方法。
  2. 【請求項2】 熱可塑性樹脂粉体と、その熱可塑性樹脂
    の溶融温度で遊離基を生成する過酸化物と、ビニル基を
    有するシランカップリング剤によって処理されたガラス
    繊維とを、予め過酸化物が遊離基を生成する温度以下で
    混合した状態にしておいて、この混合物を熱可塑性樹脂
    の溶融温度以上に加熱し加圧せしめることを特徴とする
    ガラス繊維強化熱可塑性樹脂複合体の製造方法。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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