JPH0526810U - 包装用容器 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】 口部をフィルムで密封して使用する容器にお
いて、容器内が減圧した際におけるフィルムの破損、容
器の変形を防止することを目的とする。 【構成】 容器の口部外側に斜下方に伸びる可撓性スカ
ート４を連設した構成である。スカート表面にフィルム
周縁を貼着して容器を密封すると、容器内の減圧時にフ
ィルムが容器内側へ吸引された際には、その張力は前記
可撓性スカートの変形により吸収されるので、フィルム
の破損、容器の変形は防止される。

Description

【考案の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】

この考案は、食品、特に生鮮野菜を収納し、開口部をフィルムで密封して使用 する、包装用容器に関するものである。

【０００２】

【従来の技術】

従来この種の容器は様々の構造が提案されているが、開口部をフィルムで密封 する際に必要となる容器口部への糊塗布を考慮したものとして実公昭６２−１５ １５５号の考案が提案されている（図５参照）。 この考案は、容器の周壁２に連設されたスカート４を概ね垂直に形成し、多数 の容器を重ね合わせたときに各容器のスカート４が外側面が露呈して連続した概 ね垂直な面をなすように構成し、スカート外側面への糊塗布が容易となるように してある。

【０００３】

【考案により解決しようとする課題】

上記従来の容器においては、生鮮野菜を包装した場合には次の様な問題点が生 じる。 すなわち、生鮮野菜、特にしめじのように根のついたもの、は包装状態でもな お生きて呼吸しているので、包装後の流通時に密封された容器内の空気量が減少 する。空気量の減少に伴い容器に負圧がかかり、最も剛性の小さいフィルムが容 器内側に吸引される。このとき、フィルムに付加される張力はほぼ直角をなすス カートの上縁に集中的に加わるので、フィルムが破損することがあり、破損しな くとも容器が歪む。被包装物の鮮度が高く呼吸量の多ければそれに伴い負圧が大 きくなるのでフィルムの張力は増大し、破損や容器の変形のおそれが大きくなる 。 ところで、スーパーマーケットを中心とした食品の流通においては、商品の見 栄えが商品の品質を判断する材料として重視されるのであるが、容器が破損、変 形したものはそのことにより品質が劣るものと判断される傾向にある。実際には 変形の少ないものよりも変形の大きいものの方が鮮度が高いのにも拘らず、鮮度 が劣るものと判断され、避けられてしまうのである。

【０００４】

【課題を解決するための手段】

この考案の包装様容器は、底板に上方に向けて拡開した周壁を連設した容器に おいて、周壁の上部外側に斜下方に伸びる可撓性のスカートを連設すると共に、 前記周壁の内側にはスタック凹部を、また周壁の外側にはスタック凸部を形成し 、前記両スタックの深さは容器を複数重ねた際に前記スカートの外側面が連続的 に表れる程度に構成したものである。 また請求項２の考案は、周壁の上部とスカートを断面Ｒ状のカール部を介して 連設したものである。

【０００５】

【作用】

この考案の包装様容器は、スカートの外側面に糊を塗布した後容器内に被包装 物を収納し、次いで上方開口部をフィルムで覆い、その縁をスカートに糊付けし て密封包装するものである。 ここで、容器内の空気量が減少し容器に負圧が加わったとき、フィルムに張力 が働くことは上記従来の容器と同様であるが、スカートが傾斜しているので上縁 に集中的に張力が掛ることはなく、スカートの接着面全体で張力を受けることに なるので、フィルムが破損するおそれはない。また、スカートは可撓性であるか らフィルムの張力を受けて水平方向へ容易に変形して張力の一部を吸収する緩衝 部材として働き、容器口部の変形が防止される。 更に、請求項２の考案においては周壁とスカートとがカール部で連設されてい るので、フィルムの張力はスカートに一層スムーズに伝達される。

【０００６】

【実施例】

底板１の周囲に周壁２が連設してあり、該周壁２は上方に向けて拡開した傾斜 壁としてある。該周壁２の上縁に断面Ｒ状のカール部３を介してスカート４が連 設してある。該スカート４は斜下方の向けて伸びており、その傾斜角は水平面に 対して約６０〜７０度程度としてある。そして、該スカート４は可撓性があり、 図３中矢示５方向に容易に変形可能としてある。前記底板１、周壁２、カール部 ３そしてスカート４は合成樹脂により一体成型されている。

【０００７】 前記側壁２の上部内側には環状のスタック凹部６が形成してあり、側壁２の４ 隅外側には容器を重ねた際に前記スタック凹部６に係止するスタック凸部７が形 成してある。前記スタック凹部６の上下長Ｈ₁とスタック凸部７の上下長Ｈ₂との 差は前記スカート４の上下幅ｈとほぼ等しくしてあり、図４のように容器を重ね 合わせたときにスカート４の外側全面が連続して表れるようにしてある。 図中符号８は補強用凸部である。

【０００８】 上記のように構成された包装用容器は、スカート４の外側面に糊を塗布した後 被包装物９を収納し、次いで合成樹脂製の透明ストレッチフィルム１０で開口部 を覆い、フィルム１０の周縁部をスカート４に糊付けし、密封包装するものであ る。

【０００９】 ここで、被包装物がしめじその他の生鮮野菜の場合、被包装物が呼吸している ので包装体内の空気量が次第に減少し、容器に負圧が働く。この負圧により、剛 性の小さいフィルムは図３中矢示１１方向に吸引され、矢示１２方向の張力が生 じる。 このとき、図５に示す従来の容器においては、周壁２の上縁に水平のフランジ ２ａを介してほぼ垂直なスカート４が連設してあるので、矢示１２方向の張力は スカート４の上縁４ａ対応部に集中し、該部でフィルムが破損したり、周壁２の の口部が矢示１３方向に変形することがあった。 しかしこの実施例においては、スカート４が傾斜しているのでフィルム１０の 張力が一部に集中することがなく、フィルム１０とスカート４の糊付け部全体で 張力を受けることとなる。したがって、フィルムが破損するおそれがない。また 、スカート４は可撓性で容易に矢示５方向に変形可能であるから、矢示１２方向 の張力を受けて矢示５方向に変形し、張力の一部を吸収する。そのため、周壁２ の口部の変形が可及的に防止される。

【００１０】 特にこの実施例においては、スカート４をカール部３に連設してあるので、周 壁２、カール部３、スカート４の間は曲面で連続しており、フィルム１０の張力 は直接スカート４に伝達されるので、中途の鋭角部でフィルムが破損することが なく、スカートの変形も一層容易である。

【００１１】 また、この種の容器においては、スカート４への糊塗布の自動化が要請され、 そのために容器を複数重ね合わせた際にスカート４が連続的に表れることが必要 であるが、この実施例においては、スタック凹部６及びスタック凸部７を設けて 重ね合わせた際にスカート４の外側面が連続して表れるようにしてあるので、複 数の容器を重ねた状態で糊を塗布することができる。

【００１２】 ちなみに、図５に示す従来の容器においてはスタックが設けられておらず、水 平フランジ２ａにスカート４の下縁を支持させることによりスカート４の外側面 を連続的に表すものであるから、水平なフランジ２ａがなければスカート４の上 部に糊を塗布することができず、この実施例の様に水平フランジを無くしてカー ル部３を形成することは不可能であった。

【００１３】

【考案の効果】

この考案によれば、容器の口部に形成されるフィルム接着用のスカートに傾斜 を設けたので、容器内部の負圧によって口部に張設されたフィルムに中心方向の 張力が生じた際にも、その張力がスカート上縁に集中することなく、スカート全 体で受け止められる。そのために、フィルムがスカート上縁で破損するおそれが ない。また、スカートは可撓性として傾斜角度がフィルムの張力により変化する ようにしたので、フィルムの張力の一部はスカートの変形によって吸収され、容 器口部の変形が可及的に防止される。 すなわちこの考案によれば、フィルムで密封された容器の内部に負圧が生じた 際にも、フィルムの破損及び容器の変形を防止することができ、生鮮野菜を包装 した場合には、外観を損うことなく流通に供することができる。

【図面の簡単な説明】

【図１】 この考案実施例の正面図である。

【図２】 同じく斜視図である。

【図３】 同じく使用状態を示す正面端面図である。

【図４】 同じく重ね合わせ状態を示す側面端面図であ
る。

【図５】 従来例の使用状態を示す端面図である。

【符号の説明】

１ 底板 ２ 側壁 ３ カール部 ４ スカート ６ スタック凹部 ７ スタック凸部 １０ フィルム

Claims (2)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】 底板に上方に向けて拡開した周壁を連設
   した容器において、周壁の上部外側には斜下方に伸びる
   可撓性のスカートが連設されると共に、前記周壁の内側
   にはスタック凹部が、また周壁の外側にはスタック凸部
   が形成され、前記両スタックの深さは容器を複数重ねた
   際に前記スカートの外側面が連続的に表れる程度に構成
   された、包装用容器
2. 【請求項２】 周壁の上部とスカートは、断面Ｒ状のカ
   ール部を介して連設された、請求項１記載の包装用容器