JPH05267888A - 円筒状超電導磁気シールド体 - Google Patents

円筒状超電導磁気シールド体

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JPH05267888A
JPH05267888A JP4060589A JP6058992A JPH05267888A JP H05267888 A JPH05267888 A JP H05267888A JP 4060589 A JP4060589 A JP 4060589A JP 6058992 A JP6058992 A JP 6058992A JP H05267888 A JPH05267888 A JP H05267888A
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superconducting
cylindrical
layer
superconducting layer
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Hitoshi Sakai
均 酒井
Hitoshi Yoshida
均 吉田
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 実用性の高い円筒状超電導磁気シールド体の
提供。 【構成】 少なくとも金属基体と超電導層とからなる円
筒状超電導磁気シールド体において、該超電導層が該金
属基体に積層されて円筒内表面を構成し、円筒軸を水平
方向にして静置し超電導層に発生する内部応力が0.3
0MPa未満であり、且つ、冷熱サイクル時に磁気シー
ルド能減少が所定内となるように補強部材を配置してな
ることを特徴とする円筒状超電導磁気シールド体。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は円筒状超電導磁気シール
ド体に関し、特に、生体磁気測定装置等に適用されて、
軸方向を横に静置して歪みの少ない大型の円筒状超電導
磁気シールド体に関する。
【0002】
【従来の技術】近年、酸化物超電導体が比較的高温の臨
界温度を有することから、その研究開発が盛んであり、
実用化も現実的なものとなりつつある。特に、超電導体
が、マイスナー効果により磁気シールド能を有すること
はよく知られている。そのため、酸化物超電導体のME
G(生体磁気診断装置)への応用が試みられている。M
EGに酸化物超電導体を適用する場合、特に、横臥した
人体を包囲して収容可能な空間が必要であり、且つ、歪
みがなく全体的に均等な超電導特性を発現させるため、
通常、大型円筒体が採用されている。また、一般に、酸
化物超電導体は、強度的な問題等を含め、金属を基板と
して、その上に酸化物超電導層を形成して構成される。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】上記のような円筒状超
電導磁気シールド体は、取扱上、全体の荷重を小さくす
ることが好ましい。そのため、従来から金属基板として
約3mm以下の比較的肉厚の薄い金属が用いられる。し
かし、前記したように装置の性格上、横置きして使用さ
れることが多く、肉厚の薄い基板の円筒体の場合は、円
筒の直径方向等に変形し易く、基板上に形成した超電導
層に歪みが生じ、均一な超電導特性が得られないおそれ
がある。
【0004】また、上記歪みを防止するため基板の肉厚
を増加させると荷重が増大し、取扱上好ましくない。更
に、横置きした場合に、自重により直径方向の変形が却
って大きくなり、超電導磁気シールド体の内部応力が増
大し、基板上の超電導層に亀裂が生じ、磁気シールド性
能が著しく低下する。本発明は、上記現況に鑑み、その
荷重を増大させることなく、横置きによる変形を防止で
き、全体的に均質な超電導特性を発現して、安定した磁
気シールド能を保持可能な実用性に優れた大型の円筒状
磁気シールド体を提供することを目的とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】本発明によれば、少なく
とも金属基体と超電導層とからなる円筒状超電導磁気シ
ールド体において、該超電導層が該金属基体に積層され
て円筒内表面を構成し、円筒軸を水平方向にして静置し
超電導層に発生する内部応力が、0.30MPa未満で
あり、且つ、冷熱サイクル時に磁気シールド能減少が所
定値内となるように補強部材を配置してなることを特徴
とする円筒状超電導磁気シールド体が提供される。
【0006】
【作用】本発明は上記のように構成され、円筒状超電導
磁気シールド体の基体円筒に補強部材を配置して、円筒
軸を水平方向にしたときに超電導層に新たに発生する内
部応力を所定にすることにより、磁気シールド能を安定
的に維持することができる。また補強部材として複数の
円環状体を所定間隔で配置することにより、超電導層へ
の応力を防止し、更に、荷重量の増加を極小に抑制する
と共に、横置きによる円筒直径方向等への変形を防止す
ることができる。
【0007】以下、本発明について詳細に説明する。本
発明の円筒状磁気シールド体は、金属基体とその上に形
成された超電導層から構成される。また、金属基体及び
超電導層の種類によって、金属基体と超電導層との中間
に銀、ガラス、セラミック等の中間層を形成して構成さ
れてもよい。本発明の超電導層は、特に制限されるもの
でないが、主にBi系酸化物超電導体または希土類系酸化
物超電導体の酸化物超電導体から形成するのが好まし
い。Bi系超電導体としては、組成が限定されるものでな
く、例えば低Tc相である Bi2Sr2Ca1Cu2Ox 、高Tc相であ
る Bi2Sr2Ca2Cu3Ox に代表される組成、鉛(Pb)、アンチ
モン(Sb)等を含有する組成、定比組成からずれた組成、
主要元素を他の元素で一部または全部置換した組成等の
いずれのBi系超電導体でもよい。また、希土類系酸化物
超電導体としては、YBa2Cu3O7 等希土類元素を含むペロ
ブスカイト型酸化物が挙げられる。
【0008】本発明の基体金属は、高温強度及び耐酸化
性に優れるものがよい。酸化物超電導層を形成する場
合、酸素雰囲気下、約880℃以上で焼成することにな
るためである。また、低温脆性が低い金属が好ましい。
超電導特性を発現させるためには、液体窒素等の低温下
で使用されるためである。また、超電導層を構成する超
電導体、例えば、Bi系酸化物超電導体や希土類系酸化物
超電導体等との熱膨張の差が小さく、好ましくは超電導
体の熱膨張係数より多少大きな熱膨張係数を有する金属
がよい。基体金属と超電導層との熱膨張差が大きい場合
は、磁気シールド体として使用時の室温と液体窒素中等
の低温との極めて大きな温度差間をサイクルさせる冷熱
サイクルの際に、大きな内部応力が磁気シールド体に発
生し、超電導層が剥離したり、亀裂が生じたりして好ま
しくない。また、基体金属の熱膨張係数が僅かに大きな
場合は、超電導層に発生する内部応力が小さな圧縮応力
となり、磁気シールド体を安定に保持するため好まし
い。
【0009】上記したような基体金属としては、例え
ば、インコネル、インコロイ、ハステロイ等のニッケル
系合金の耐熱性金属が好ましい。しかし、ハステロイ等
は高価であり、経済的な観点から、超電導層を形成する
超電導体の種類のよっては、強度的には十分であるSU
S310、SUS304等のオーステナイト系ステンレ
スを用いるのが好ましい。但し、超電導層がBi系超電導
体により形成される場合は、オーステナイト系ステンレ
スとBi系超電導体との熱膨張係数差が大きいため、冷熱
サイクル時に発生する内部熱応力が大きくなり、磁気シ
ールド体に対する信頼性に欠けるおそれがあり、好まし
くない。
【0010】本発明の補強部材は、上記した磁気シール
ド体を構成する金属基体に接続して配置する。また、補
強部材の配置は、円筒状磁気シールド体を円筒軸を水平
方向に倒し、いわゆる横置きにしたとき、超電導層に新
たに発生する内部応力が0.30MPa未満となるよう
にする。例えば、金属基体上にBi系超電導層を積層した
場合に、焼成温度から超電導特性を発現する液体窒素温
度までの広範囲の温度領域において、熱応力がBi系超電
導層に発生し、積層条件を最適化して選択したとして
も、数MPaの応力は避けられない。また、実用化にあ
たり、冷熱サイクルの冷却時に磁気シールド体中に発生
する過渡応力、設計上の安全性を確保するためには、新
たに発生する応力はできるだけ極少にすることが望まし
いためである。
【0011】上記したように、補強部材の配置は、円筒
状超電導磁気シールド体を横にしておいて新たな発生内
部応力が0.30MPa未満の極少値となるようにす
る。円筒状超電導磁気シールド体を横置きにした時、超
電導層に新たに発生する内部応力が0.30MPaを超
える場合は、安定して所定の超電導特性を得ることがで
きず、磁気シールド体の機能が低下する。通常は、磁気
シールド円筒体の外周面に軸方向に所定の間隔で円筒と
同心円の補強部材の円環状体が、平行に配置された状態
とする。
【0012】また、円環状体の配置間隔は、円筒体の外
径の1/2〜1/5が好ましい。更にまた、補強部材
は、上記した新たな内部応力の発生を防止すると共に、
円環状体の幅及び厚さを適宜選択し、円筒状磁気シール
ド体の重量を支持するようにして、冷熱サイクル時に補
強部材の変形等により磁気シールド能の低下、即ち残留
磁場の増大が起こらないようにして、通常、円環状体か
らなる補強部材は、金属基体とほぼ同一(2〜3mm)
またはそれ以上で約5倍までの厚さを有し、また、円筒
体外径の約1/50以上で、且つ1/10以下の幅で選
択することができる。この場合、磁気シールド能の低下
は、生じたとしても5回の冷熱サイクル後に約3%以下
に抑制し、実用化に対応するようにする。補強部材の厚
さが約1mmと薄すぎる場合は、超電導層に発生する内
部応力は0.30MPaとなるが、補強部材への応力が
大きく、冷熱サイクル時に次第に磁気シールド体の円筒
内に残留磁場が増加し、磁気シールド能が低下するため
好ましくない。また、厚すぎる場合は、補強部材の総重
量が1000kg以上となるおそれがあり、取扱上好ま
しくない。
【0013】補強部材を構成する材料は、熱膨張、接続
性の観点、また、補強部材の配置により磁気シールド体
の総重量の増加分等を考慮して、適宜選択することがで
きる。通常は、金属基体と同一の金属が好ましいが、特
に制限されるものでない。また、前記したように、超電
導磁気シールド体の総重量は、取扱上軽量である程好ま
しく、補強部材による重量増加分はできるだけ少なくな
るようにし、重量増加分は、補強部材を配置しない超電
導円筒体重量の4倍以下となるようにし、最大でも10
00kgに抑制する。
【0014】補強部材の金属基体への接続方法として
は、通常、溶接により接続することができる。また、円
筒体を輪切り状にした分割金属基体を組合わせ接続して
円筒体を構成させるようにすると共に、接続部分に鍔状
にフランジを設け、金属基体と連続的な補強部材とする
ことができる。また、本発明の円筒状超電導磁気シール
ド体は、上記のように補強部材を配置して、円筒軸を水
平方向にして実用的使用時における超電導層に発生する
内部応力を抑制するものである。特に、例えば、外径R
が0.5m以上で、軸方向の長さLとの比L/Rが約2
以上である大型の円筒状超電導磁気シールド体に好適で
ある。
【0015】
【実施例】以下、本発明を実施例により詳細に説明す
る。但し、本発明は下記実施例により制限されるもので
ない。 実施例1〜7及び比較例1〜7 厚さ2mmのインコネルと厚さ0.5mmのAg箔とを接
合した積層基板を、内側がAg層となるように加工し、直
径900mmφ、長さ3000mmの片端に丸底を有す
る円筒基体を作製した。上記で作製した円筒基体の外周
に、表1に示した幅及び厚さのインコネル製の円環状体
を、表1に示した間隔で平行に溶接して配置した。次い
で、 Bi2Sr2Ca1Cu2Ox 仮焼粉末をエタノールと混練しス
ラリーとして、得られたスラリーを用い、上記で得られ
た底付円筒基体の内側にスプレー塗布して上記のBi系仮
焼粉末層を塗布成形した。成形層を乾燥後、電気炉内で
純酸素雰囲気下で、890℃で30分焼成し、その後、
830℃まで冷却速度1℃/時で徐冷した後、830℃
で15時間熱処理し、更に、冷却速度1℃/分で700
℃まで冷却した。炉内温度が700℃に降温した後、電
気炉内の雰囲気を窒素雰囲気に置換して炉冷し、外側か
ら金属基体、Ag層及びBi系超電導層で構成され、且つ、
その外周面に複数の円環状の補強部材が配置された底付
円筒超電導磁気シールド体を得た。
【0016】なお、上記のようにして作製した磁気シー
ルド体の斜視説明図を図1に、また、図1のA−A線断
面拡大図を図2に示した。図1において、インコネル製
底付円筒金属基体1の外周面にインコネル製円環状補強
部材2が溶接配置されている。図2において、インコネ
ル製基体1の内側にAg層3、更にAg層の内側にBi系超電
導層4が積層され、一方、インコネル製基体1の外側に
は、厚さT及び幅Wのインコネル製補強部材2が、間隔
Iで溶接接合されている。上記で作製した補強部材を配
置した底付円筒状超電導磁気シールド体を横置きにした
ときに、Bi系超電導層に発生する内部応力を有限要素法
にて算出し、その結果を表1に示した。また、補強部材
の総重量値も表1に示した。
【0017】
【表1】
【0018】図3に、磁気シールド体を液体窒素冷却容
器に組み込み、更に真空容器の組立た磁気シールド装置
の概念説明図を示した。図3において、上記で得られた
補強部材配置磁気シールド体13を、液体窒素チャンバ
ー12に組合わせた後、真空容器11内に保持台18上
に設置し、所定箇所を溶接して真空容器内部14を真空
状態として磁気シールド装置とした。液体窒素チャンバ
ー12に液体窒素排出入口16及び17から液体窒素を
導入し、液体窒素チャンバー内部15を液体窒素で満た
し、磁気シールド体を冷却して超電導状態とした。次
に、円筒内部にSQUID磁束計をセットして円筒内で
の交流磁場(0.5〜1000Hz)を測定し、10
-13 T/√Hz以下であることを確認した。次いで、液
体窒素チャンバー内部15中の液体窒素を液体窒素排出
入口16及び17から抜き出し、室温まで放置した後、
再び液体窒素を導入して、磁気シールド体を再冷却して
超電導状態にして、SQUID磁束計で残留磁場を測定
した。液体窒素温度及び室温との温度間を反復させ、液
体窒素温度で残留磁場測定する冷熱サイクルを5回繰り
返し、その時の残留磁場が不変の場合を○、冷熱サイク
ルと共に残留磁場が増加したものを×として、冷熱サイ
クル結果として表1に示した。
【0019】前記の実施例から、補強部材の厚さ(T)
が2〜10mmで、幅(W)が20〜90mmであっ
て、且つ、その配置間隔(I)が200〜450mmで
あれば、補強部材の総重量も1000kg未満であり、
超電導層に発生する内部応力も0.30MPa未満とな
る。また、冷熱サイクル後の残留磁場も不変で良好であ
ることが分かる。一方、比較例において、補強部材の配
置間隔が小さい場合は、補強部材の総重量が1000k
gを超え取扱上好ましくない。また、間隔が広すぎる
と、超電導層に発生する内部応力が0.30MPa以上
となり、冷熱サイクルでの残留磁場が増加し磁気シール
ド体としては、好ましくない。また、補強部材の厚さが
1mm以下と薄い場合、超電導層に発生する内部応力は
0.30MPa未満となるが、冷熱サイクル時に補強部
材に作用する応力が増加し残留磁場が増加し磁気シール
ド体としては、好ましくない。一方、補強部材の厚さが
20mm以上と厚い場合、補強部材の総重量が1000
kgを超え取扱上好ましくない。補強部材の幅が10m
m以下では、超電導層に発生する内部応力は0.30M
Pa以上となり不都合が生じる。
【0020】
【発明の効果】本発明の円筒状超電導磁気シールド体
は、実用性に富む円筒軸を水平方向にする横置き状態
で、超電導層に新たな応力が負荷されず、全重量の増加
も最小限に抑制することができ、取扱上も良好である。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施例の斜視説明図
【図2】図1のA−A線部分の断面拡大図
【図3】本発明の実施例に用いた磁気シールド装置の概
念説明図
【符号の説明】
1 金属基体 2 補強部材 3 Ag層 4 超電導層 I 補強部材配置間隔 T 補強部材厚さ W 補強部材幅 11 真空容器 12 液体窒素チャンバー 13 補強部材配置磁気シールド体 14 真空容器内部 15 液体窒素チャンバー内部 16、17 液体窒素排出入口 18 保持台

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 少なくとも金属基体と超電導層とからな
    る円筒状超電導磁気シールド体において、該超電導層が
    該金属基体に積層されて円筒内表面を構成し、円筒軸を
    水平方向にして静置し超電導層に発生する内部応力が
    0.30MPa未満であり、且つ、冷熱サイクル時に磁
    気シールド能減少が所定内となるように補強部材を配置
    してなることを特徴とする円筒状超電導磁気シールド
    体。
  2. 【請求項2】 前記補強部材が、該磁気シールド体の円
    筒外表面を構成する基体の外周面に該円筒と同心円環状
    体を複数配置してなる請求項1記載の円筒状超電導磁気
    シールド体。
JP4060589A 1992-03-17 1992-03-17 円筒状超電導磁気シールド体 Pending JPH05267888A (ja)

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