JPH052661U - 毛管水耕栽培装置 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】 水耕栽培装置において、作物の根に対する培
養液吸収部分における培養液の濃度障害を防止する。 【構成】 培養液に栽培浮床５を浮かべ、この浮床５の
上面を覆う状態で培養液吸収用シート６を垂下するとと
もに、前記培養液吸収用シート６の上面に防根シート３
を敷設して、この防根シート３の上で作物を栽培する毛
管水耕栽培装置であって、前記培養液吸収用シート６の
横一側上方部に給液管８を配置するとともに、当該給液
管８配設側の前記栽培浮床５の下側にエアーバッグ９を
設け、前記給液管８からの給液時にのみ、前記エアーバ
ッグ９にエアーを供給して膨らませて、前記栽培浮床５
を傾斜させるよう構成してある。

Description

【考案の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】

本考案は、培養液に栽培浮床を浮かべ、この浮床の上面を覆う状態で培養液吸 収用シートを垂下するとともに、前記培養液吸収用シートの上面に防根シートを 敷設して、この防根シートの上で作物を栽培する毛管水耕栽培装置に関する。

【０００２】

【従来の技術】

上記毛管水耕栽培装置において、従来では、例えば「農業施設ハンドブック（ 東洋書店）Ｐ２３６に示されるように、吸水用シート（文献では吸水マット）を 培養液上に浮上する発泡スチロール製の浮体に支持させたものがあり、吸水用シ ートが毛管現象により培養液を吸い上げて培養植物の根に防根シートを介して供 給する構成となっている。

【０００３】

【考案が解決しようとする課題】

上記従来構造は、容器内に貯溜される培養液の量の変化にかかわらず、浮体が 液面に追随して上下し、常に、前記吸水シートの端部だけが培養液中に浸漬する 状態になるようにして、培養液がこのシート内を移動して根に吸収される間に外 気に触れながら酸素を取り込み、根に対して培養液に溶在した状態で酸素を供給 するようにしたものである。 ところが、上記従来構造によるときは、培養液が吸水シート内を移動して防根 シートを介して根に吸収される間に外気に触れ酸素を取り込むだけでなく、水分 を蒸発させてしまうことになる為、外部環境の湿度が低い場合には時間に経過に 伴って吸水シート内の培養液濃度が高くなってしまい、肥料濃度障害を起こすお それがあった。特に、栽培浮床の中央部においてこのような濃度障害が顕著であ った。 そこで、上記欠点を解消する方法として、前記浮体自身を上部面が予め傾斜し た形状に設け、その傾斜上方側から給液チューブで培養液を施用する方式が試み られているが（上記文献の記載参照）、このように構成するときは、浮床の作物 載置面が常に傾斜姿勢となるので、傾斜上方側に位置する吸水シートの培養液吸 い上げ距離が他方側のものよりも長くなり、培養液の吸収度合いに差が生じて、 根の成育にバラツキが発生する欠点がある。 本考案は、合理的な構造改良で上記不具合点を解消することを目的としている 。

【０００４】

【課題を解決するための手段】

本考案の特徴構成は、冒頭に記載した毛管水耕栽培装置において、前記培養液 吸収用シートの横一側上方部に給液管を配置するとともに、当該給液管配設側の 前記栽培浮床の下側にエアーバッグを設け、前記給液管からの給液時にのみ、前 記エアーバッグにエアーを供給して膨らませて、前記栽培浮床を傾斜させるよう 構成してある点にある。

【０００５】

【作用】

エアーバッグにエアーを供給しない状態では、栽培浮床の作物載置面は水平姿 勢になっているから、吸水シートの両側端部における培養液垂下部分の液面浸漬 箇所から防根シートまでの距離がほぼ一定になり、両側部分での培養液の吸収度 合いが等しくなる。そして、外部環境の湿度が低く、吸水シートによる毛管現象 に基く培養液の移動中に水分が蒸発して培養液濃度が濃くなるような場合には、 所定時間毎に、前記エアーバッグにエアーを供給して栽培浮床を傾けるとともに 、傾斜上方側に配設される給液管から培養液を供給することで、栽培浮床の作物 載置面に沿って供給液が流れ、培養液が希釈化されることになる。

【０００６】

【考案の効果】

従って、定常状態では、根に対する培養液供給のバラツキが生じるおそれが少 ないものに設定することができ、かつ、合理的に培養液を供給することで、作物 の根に対する培養液吸収部分における培養液の濃度障害を有効に防止することが できるものとなった。

【０００７】

【実施例】

以下、実施例を図面に基いて説明する。 図１に示すように、栽培容器１内に培養液２を貯溜し、この培養液２の液面上 方箇所に配備した防根シート３上に栽培作物Ｐをロックウールやスポンジ等の培 地４を介して載置支持するとともに、この防根シート３の下面を受け止め支持す るように接した栽培浮床５に、毛管作用による吸水力が強く、例えば不織布等か ら成る吸水シート６を支持させ、この吸水シート６を培養液中に垂下させて毛管 水耕栽培装置を構成してある。前記防根シート３は、栽培作物Ｐの根が通過し得 ない微細な透孔を有していて、栽培作物Ｐの根がこの防根シート３を通して培養 液２を吸収できるように構成し、前記栽培容器１の端縁に係止させて、容器上方 から載置した蓋体７で押え付け固定してある。前記栽培浮床５は発泡スチロール で構成され、培養液２の液面上に浮いた状態で栽培作物Ｐを支持してある。

【０００８】 そして、前記培養液吸収シート６の横一側上方部に給液管８を配置するととも に、当該給液管８配設側の前記栽培浮床５の下側にエアーバッグ９を設け、前記 給液管８からの給液時にのみ、前記エアーバッグ９にエアーを供給して膨らませ て、前記栽培浮床５を傾斜させるよう構成してある。つまり、１日に数回、図２ に示すように、前記エアーバッグ９にエアーを供給して栽培浮床５を傾斜状態に 設定するとともに、前記給液管８から培養液を供給するのである。そうすると、 給水シート６が毛管現象により、培養液２を吸い上げて防根シート３を介して作 物根に供給する際に、水分の蒸発に起因して培養液の濃度が変化することがあっ ても、上記したように、培養液を傾斜姿勢の栽培浮床５の上部面５ａに沿って流 し供給することで、培養液を希釈化させることができ、濃度障害を未然に防止す ることができるのである。 しかも、エアーを供給しない定常状態では、栽培浮床５の上部面５ａは水平姿 勢を維持している（図１参照）ので、培養液に垂下する吸水シート６の両側部に おける垂れ込み量がほぼ同一で、吸い込み具合が左右両側でほぼ等量となって、 作物根に対する培養液の供給にバラツキが生じることがない。

【０００９】 尚、実用新案登録請求の範囲の項に図面との対照を容易にするために符号を記 すが、該記入により本考案は添付図面の構成に限定されるものではない。

【図面の簡単な説明】

【図１】水耕栽培装置の縦断側面図

【図２】エアー供給時の水耕栽培装置の縦断側面図

【符号の説明】

３ 防根シート ５ 栽培浮床 ６ 培養液吸収用シート ８ 吸液管 ９ エアーバッグ

Claims (1)

1. 【実用新案登録請求の範囲】 【請求項１】 培養液に栽培浮床（５）を浮かべ、この
   浮床（５）の上面を覆う状態で培養液吸収用シート
   （６）を垂下するとともに、前記培養液吸収用シート
   （６）の上面に防根シート（３）を敷設して、この防根
   シート（３）の上で作物を栽培する毛管水耕栽培装置で
   あって、前記培養液吸収用シート（６）の横一側上方部
   に給液管（８）を配置するとともに、当該給液管（８）
   配設側の前記栽培浮床（５）の下側にエアーバッグ
   （９）を設け、前記給液管（８）からの給液時にのみ、
   前記エアーバッグ（９）にエアーを供給して膨らませ
   て、前記栽培浮床（５）を傾斜させるよう構成してある
   毛管水耕栽培装置。