JPH05263350A - ポリプロピレン系長繊維不織布及びその製造方法 - Google Patents

ポリプロピレン系長繊維不織布及びその製造方法

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JPH05263350A
JPH05263350A JP4191509A JP19150992A JPH05263350A JP H05263350 A JPH05263350 A JP H05263350A JP 4191509 A JP4191509 A JP 4191509A JP 19150992 A JP19150992 A JP 19150992A JP H05263350 A JPH05263350 A JP H05263350A
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JP
Japan
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polypropylene
long
ethylene
fiber
resin composition
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JP4191509A
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English (en)
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Kasumi Kin
霞 金
Yosuke Kudo
洋輔 工藤
Hideo Sakurai
秀雄 桜井
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New Oji Paper Co Ltd
Original Assignee
New Oji Paper Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 柔軟で肌触りの良好なポリプロピレン系長繊
維不織布を提供する。 【構成】 この長繊維不織布は、エチレン含有率2〜4重
量%のエチレン−プロピレンランダム共重合体と3-メチ
ル-1-ブテン重合体とで形成された長繊維を構成繊維と
するものである。3-メチル-1-ブテン重合体は、長繊維
中に1〜1000重量ppmの含有量で添加されている。この長
繊維不織布の製造方法は、以下のとおりである。即ち、
エチレン含有率2〜4重量%のエチレン−プロピレンラン
ダム共重合体と3-メチル-1-ブテン重合体とよりなる樹
脂組成物を準備する。樹脂組成物中に、3-メチル-1-ブ
テン重合体は1〜1000重量ppmの割合で含有されている。
この樹脂組成物を溶融紡糸し、ポリプロピレン系長繊維
群を得る。このポリプロピレン系長繊維群を、エアーサ
ッカーから排出させると共に開繊し、捕集コンベア上に
堆積させて不織ウェブを得る。この不織ウェブを用い
て、長繊維不織布を得る。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、主として、使い捨てお
むつや生理用ナプキン等の衛生材料の表面材として使用
するのに適したポリプロピレン系長繊維不織布及びその
製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】長繊維不織布の代表例であるスパンボン
ド不織布は、溶融紡糸して得られた長繊維群を捕集コン
ベア上に集積して繊維ウェブを得た後、長繊維相互間を
任意の手段で接着させて得られるものである。従って、
連続繊維とも言える長繊維を構成繊維とするものである
ため、短繊維を構成繊維とする短繊維不織布に比べて、
引張強度等の機械的性質に優れている。また、溶融紡糸
して得られた長繊維を、そのまま開繊及び集積して不織
布が得られるため、得られた繊維をカード法や湿式法で
開繊及び集積して得られる不織布に比べて、合理的に生
産しうるという利点がある。
【0003】しかるに、ポリプロピレン系長繊維を構成
繊維とするスパンボンド不織布は、ポリアミド系長繊維
やポリエステル系長繊維等を構成繊維とするスパンボン
ド不織布に比べて、その重量が軽いこと及び柔軟である
ことから、生理用ナプキンや使い捨ておむつ等の衛生材
料の表面材、或いは使い捨てシーツ等に広く使用されて
いる。ポリプロピレン系長繊維を構成繊維とするスパン
ボンド不織布が軽く且つ柔軟である理由は、ポリプロピ
レン系長繊維自体が、ポリアミド系長繊維等に比べて、
軽い比重を持ち且つ柔軟であるからである。
【0004】このようなポリプロピレン系長繊維の柔軟
性をより向上させるために、長繊維の素材として柔軟な
ものを使用し、長繊維自体の曲げ剛性を低下させること
が行なわれている。具体的には、エチレンを数重量%含
有するエチレン−プロピレンランダム共重合体を用い、
これを溶融紡糸して、ポリプロピレン系長繊維を得るこ
とが行なわれている。このエチレン−プロピレンランダ
ム共重合体は、プロピレンのみで構成されたアイソタク
チックポリプロピレンに比べて、エチレンの存在により
高分子鎖の立体規則性が小さくなっている。従って、エ
チレン−プロピレンランダム共重合体を用いて溶融紡糸
すると、流動性(メルトフローレート)が同一のアイソ
タクチックポリプロピレンを用いて溶融紡糸した場合と
比較して、結晶化度が低くなって、得られる長繊維の曲
げ剛性が小さくなるのである。しかしながら、エチレン
−プロピレンランダム共重合体は、その低結晶性即ち結
晶化しにくいために、結晶化開始温度が低くなるという
ことがあった。結晶化開始温度が低くなると、溶融紡糸
を行なう際に、紡糸孔から溶融状態で吐出した繊維が結
晶化して固化するまでの時間が長くなるということがあ
った。このように結晶化に時間がかかると、結局、紡糸
孔から繊維の固化点までの距離(紡糸長)が長くなるの
である。
【0005】ところで、ポリプロピレン系長繊維を構成
繊維とするスパンボンド不織布は、ポリプロピレン系樹
脂を複数の紡糸孔より吐出させて、この吐出繊維群をエ
アーサッカーに導入し、細化延伸してポリプロピレン系
長繊維群を得、そしてこのポリプロピレン系長繊維群を
捕集コンベア上に集積させて製造されるものである。従
って、ポリプロピレン系樹脂としてエチレン−プロピレ
ンランダム共重合体を使用し、その結果紡糸長が長くな
ると、紡糸孔とエアーサッカーとの間で吐出繊維群が相
互に融着してしまうということがあった。即ち、紡糸長
が長いと、吐出繊維が未だ溶融状態で表面に粘着性を持
った状態のまま、エアーサッカー内に導入されるので、
吐出繊維同士が接触すると相互にくっついてしまうので
ある。また、エアーサッカーに導入する時点で、吐出繊
維がエアーサッカーの入口に付着するということもあっ
た。更に、紡糸長が長いと、吐出繊維の腰のない部分が
長くなり、紡糸孔からエアーサッカーまでの間で吐出繊
維が揺動しやすく、吐出繊維に加わる引張力が不均一に
なり、得られる長繊維の繊度が不均一になるということ
があった。即ち、繊度の太い部分が生じやすく、得られ
る長繊維の全体としての柔軟性が低下するという欠点が
あった。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】そこで、本発明は、結
晶化開始温度の低いエチレン−プロピレンランダム共重
合体に、ある特定の結晶核剤を添加することにより、溶
融紡糸する際、紡糸長が長くなることを防止し、もって
効率良く、柔軟で肌触りの良好なポリプロピレン系長繊
維不織布を得ようとするものである。
【0007】
【課題を解決するための手段】即ち、本発明は、エチレ
ンの含有率が2〜4重量%であるエチレン−プロピレンラ
ンダム共重合体と、3-メチル-1-ブテン重合体とよりな
り、該3-メチル-1-ブテン重合体の含有量が1〜1000重量
ppmである樹脂組成物で形成されてなるポリプロピレン
系長繊維を構成繊維とすることを特徴とするポリプロピ
レン系長繊維不織布及びその製造方法に関するものであ
る。
【0008】本発明においては、まずエチレンの含有率
が2〜4重量%であるエチレン−プロピレンランダム共重
合体と、結晶核剤である3-メチル-1-ブテン重合体とよ
りなる樹脂組成物を準備する。エチレン−プロピレンラ
ンダム共重合体のエチレン含有率を2〜4重量%とするに
は、エチレンとプロピレンとの反応量比をエチレン:プ
ロピレン=2〜4重量%:98〜96重量%とする必要があ
る。特に、好ましくは、エチレン含有率を2.5〜3.5重量
%とするのが良く、従って反応量比をエチレン:プロピ
レン=2.5〜3.5重量%:97.5〜96.5重量%とするのが良
い。エチレンの含有率が4重量%を超えると、結晶化開
始温度が低くなりすぎて、結晶核剤を添加しても十分に
紡糸長を短くすることができない。従って、エチレンの
含有率が4重量%を超えるエチレン−プロピレンランダ
ム共重合体を使用して溶融紡糸すると、得られる長繊維
相互間が融着しやすい等の欠点が生じるので、好ましく
ない。逆に、エチレンの含有率が2重量%未満である
と、溶融紡糸した際の結晶化度の低下が十分ではなく、
得られる長繊維自体の曲げ剛性の低下が図れないので、
好ましくない。
【0009】また、樹脂組成物中の3-メチル-1-ブテン
重合体は、3-メチル-1-ブテンを重合させて得られるも
のである。樹脂組成物中における3-メチル-1-ブテン重
合体の含有量は、1〜1000重量ppmであり、特に好ましく
は1〜500重量ppmである。3-メチル-1-ブテン重合体の含
有量が1重量ppm未満であると、結晶化開始温度が上昇せ
ず、エチレン−プロピレンランダム共重合体のみの場合
と同程度の結晶化開始温度にしかならず、溶融紡糸した
際の紡糸長が十分に短くならないので、好ましくない。
逆に、3-メチル-1-ブテン重合体の含有量が1000重量ppm
を超えても、結晶化開始温度の上昇に寄与する効果は頭
打ちになる。
【0010】エチレン−プロピレンランダム共重合体と
3-メチル-1-ブテン重合体とよりなる樹脂組成物は、例
えば以下のようにして製造することができる。即ち、チ
ーグラー・ナッタ触媒を用いて、まず3-メチル-1-ブテ
ン重合体を重合し、引き続いてその3-メチル-1-ブテン
重合体が担持されたチーグラー・ナッタ触媒を用いて、
エチレン−プロピレンランダム共重合体を重合させて製
造することができる。この際、チーグラー・ナッタ触媒
として、固体状チタン系担体と有機アルミニウム化合物
とからなるものを使用するのが好ましい。また、固体状
チタン系担体としては、ハロゲン化マグネシウム、有機
チタン化合物及び電子供与性化合物を必須成分とするも
のを使用するのが好ましい。3-メチル−1−ブテン重合
体やエチレン−プロピレンランダム共重合体の重合方法
としては、連続式或いは回分式操作によって気相重合、
塊状重合、スラリー重合等の方法を採用するのが好まし
い。この方法で製造されたエチレン−プロピレンランダ
ム共重合体と3-メチル-1-ブテン重合体とよりなる樹脂
組成物は、一般的に、3-メチル-1-ブテン重合体の割合
(濃度)が高いため、マスターバッチとして使用され
る。従って、本発明に係る樹脂組成物、即ち3-メチル-1
-ブテン重合体の濃度の低い樹脂組成物とするために
は、別途製造したエチレン−プロピレンランダム共重合
体に希釈すればよい。
【0011】また、エチレン−プロピレンランダム共重
合体と3-メチル-1-ブテン重合体とよりなる樹脂組成物
は、以下のようにして製造してもよい。即ち、エチレン
とプロピレンとを所定量仕込み、チーグラー・ナッタ触
媒等を用いて重合させ、エチレン−プロピレンランダム
共重合体を得る。一方、別途3-メチル-1-ブテンをチー
グラー・ナッタ触媒等を用いて重合させ、3-メチル-1-
ブテン重合体を得る。そして、所定量のエチレン−プロ
ピレンランダム共重合体と3-メチル-1-ブテン重合体と
を混合して、本発明に係る樹脂組成物を得ることができ
る。両重合体の混合方法としては、両重合体を押出機や
ブラベンタン混練機等に供給して行なうことができる。
【0012】本発明で使用する樹脂組成物は、一般的
に、120℃以上の結晶化開始温度を持つものである。120
℃以上の結晶化開始温度を持つ樹脂組成物は、一般に使
用されている110℃近辺の結晶化開始温度を持つエチレ
ン−プロピレンランダム共重合体に比べて、溶融紡糸し
た際、紡糸長を短くすることができるものである。ここ
で、結晶化開始温度は、第二精工舎株式会社製示差走査
熱量計SSC/580を用い、溶融状態から10℃/分の速度で
冷却して測定したものである。また、この樹脂組成物の
メルトフローレート(JIS K 7219 表1 条件14によって
測定する。)は一般的に10〜100g/10分であり、特に3
0〜60g/10分程度とするのが好ましい。この程度のメ
ルトフローレートであると、繊度が1〜5デニール程度で
あって、引張強力の高い長繊維を効率良く製造しうるか
らである。
【0013】以上の如き樹脂組成物を用い、溶融紡糸し
てポリプロピレン系長繊維を得、本発明に係る長繊維不
織布を得ることができる。一般的には、図1に示す不織
布製造装置を使用して製造することができる。即ち、樹
脂組成物を溶融させ、紡糸口金1で紡糸する。この紡糸
口金1から吐出された吐出繊維2群を、エアーサッカー
(高速気流牽引装置)3に導入して延伸固化し、ポリプ
ロピレン系長繊維群とする。そして、エアーサッカー3
からポリプロピレン系長繊維群を排出した後、帯電装置
4によって、各ポリプロピレン系長繊維を同電荷に帯電
させる。その後、ポリプロピレン系長繊維群を反射板5
に衝突させ、開繊させた後、捕集コンベア6上にポリプ
ロピレン系長繊維群を堆積させる。このようにして得ら
れた不織ウェブ7は、捕集コンベア6上に載置されたま
ま搬送され、加熱された凹凸ロール8を具備するエンボ
ス装置に導入される。凹凸ロール8の凸部による加熱及
び加圧で、ポリプロピレン系長繊維は溶融又は軟化し、
凸部に対応する不織ウェブ7の区域において、ポリプロ
ピレン系長繊維相互間が融着され、長繊維不織布9が得
られるのである。そして、このポリプロピレン系長繊維
不織布9は、巻取機10で巻き取られ原反として取り扱
われる。
【0014】以上の如き製造方法で製造される、ポリプ
ロピレン系長繊維の繊度は、任意に決定しうる事項であ
るが、本発明においては1〜5デニール程度が好ましい。
ポリプロピレン系長繊維の繊度が5デニールを超える
と、長繊維の直径が太くなって、長繊維の曲げ剛性が大
きくなり、得られる不織布の柔軟性が低下し、衛生材料
の表面材として用いるのに不適当になる。逆に、ポリプ
ロピレン系長繊維の繊度を1デニール未満にすること
は、製造上困難である。また、長繊維不織布の目付も、
任意に決定しうる事項であるが、本発明においては10〜
30g/m2程度が好ましい。長繊維不織布の目付が30g
/m2を超えると、厚すぎて柔軟性が低下し、衛生材料
の表面材として用いるのに不適当になる。逆に、長繊維
不織布の目付を10g/m2未満にすると、薄すぎて取り
扱いにくくなり、衛生材料を作成しにくくなる傾向が生
じる。
【0015】
【実施例】
実施例1 エチレンの含有率が2.7重量%のエチレン−プロピレン
ランダム共重合体に、3-メチル-1-ブテン重合体が160重
量ppm含有された樹脂組成物を、以下の方法によって製
造した。 1.固体状チタン系担体の製造 充分に窒素置換したフラスコに、脱水及び脱酸素したn-
ヘプタン200ミリリットルを導入し、次いで塩化マグネ
シウム(MgCl2)0.4モル及びチタンテトラブトキシド
(Ti(O-nC4H9)4)0.8モルを導入し、95℃で2時間反応さ
せた。反応終了後、40℃に温度を下げ、次いでメチルヒ
ドロジエンポリシロキサン(20センチストークスのも
の)を48ミリリットル導入し、3時間反応させた。そし
て、生成した固体状前駆体(塩化マグネシウム・チタン
テトラブトキシド錯体)をn-ヘプタンで洗浄した。
【0016】その後、充分に窒素置換したフラスコに精
製したn-ヘプタンを50ミリリットル導入し、また上記で
合成した固体状前駆体をマグネシウム(Mg)原子換算で
0.24モル導入した。次いで、四塩化珪素(SiCl4)0.4モ
ルを含有するn-ヘプタン25ミリリットルを、30℃下で60
分かけてフラスコに導入し、90℃で3時間反応させた。
このあと更に、フタル酸クロライド0.016モルを含むn-
ヘプタン25ミリリットルを、90℃下で30分かけてフラス
コに導入し、90℃で1時間反応させた。反応終了後、固
形成分をn-ヘプタンで洗浄した。次いで更に、四塩化珪
素(SiCl4)0.24モルをフラスコに導入して、100℃で3
時間反応させた。反応終了後、固体物質をn-ヘプタンで
洗浄した。
【0017】充分に窒素置換したフラスコに、充分精製
したn-ヘプタンを50ミリリットル導入し、次いで上記で
得た固体物質を5g導入し、更に第三ブチルメチルジメ
トキシシラン((CH3)3CSi(CH3)(OCH3)2)を0.81ミリリ
ットル導入し、30℃で2時間接触させた。接触終了後、
得られた固体状チタン系担体をn-ヘプタンで充分に洗浄
した。
【0018】2.3-メチル-1-ブテンの重合 内容積1リットルの攪拌式オートクレーブに、精製n-ヘ
プタン500ミリリットルと、前記により調整した固体状
チタン系担体8g及びジイソブチルアルミニウムクロラ
イド0.75gを導入し、更に3-メチル-1-ブテン20gを導
入して、40℃で6時間反応させた。反応終了後、3-メチ
ル-1-ブテン重合体が担持された固体状チタン系担体を
精製n-ヘプタンで洗浄した。3-メチル-1-ブテン重合体
の量は、固体状チタン系担体1g当たり1.8gであった。
【0019】3.エチレン−プロピレンランダム共重合 内容積200リットルの攪拌式オートクレーブをプロピレ
ンで充分に置換した後、充分に脱水したn-ヘプタン63リ
ットルを導入し、トリエチルアルミニウム16g及び3-メ
チル-1-ブテン重合体が担持された固体状チタン系担体
3.2gを65℃でプロピレン雰囲気下でオートクレーブ中
に導入した。気相部水素濃度を6.5容積%に保ちながら
オートクレーブ中に、プロピレンを9kg/時間、エチレ
ンを0.24kg/時間の速度で4時間導入することにより重
合を行なった。その後、ブタノール100ミリリットルを
添加して重合を停止させ、エチレン−プロピレンランダ
ム共重合体を得た。そして、瀘過及び乾燥を行なって、
36.0kgの樹脂組成物を得た。この樹脂組成物の結晶化開
始温度は123.3℃であり、融点は154.0℃であり、メルト
フローレートは30g/10分であった。
【0020】この樹脂組成物を、直径60mmの押出機に投
入し、押出温度230℃で1700g/分の割合で押し出し、
紡糸口金を用いて溶融紡糸した。紡糸口金は、孔径0.3m
mφの円形紡糸孔を幅方向に1700個持つものを使用し
た。この紡糸口金から吐出された繊維群をエアーサッカ
ーに導入して延伸固化し、ポリプロピレン系長繊維群を
得た。次いで、エアーサッカーから排出された各ポリプ
ロピレン系長繊維に、コロナ放電装置によって同電荷を
付与した後、ポリプロピレン系長繊維群を反射板に衝突
させて開繊した。その後、ポリプロピレン系長繊維群
を、裏面に吸引装置が配置されている無端金網捕集コン
ベア上に捕集して、不織ウェブを作成した。この際、ポ
リプロピレン系長繊維の繊度は、2.3デニール程度であ
った。この不織ウェブは、無端金網捕集コンベア上に載
置されたまま搬送され、加熱された凹凸ロールと平滑ロ
ールとで構成されたエンボス装置のロール間に導入し
た。これにより、凹凸ロールの凸部に対応する不織ウェ
ブの区域において、ポリプロピレン系長繊維は溶融又は
軟化し、ポリプロピレン系長繊維相互間が融着された長
繊維不織布が得られた。この長繊維不織布の目付は25g
/m2であった。なお、無端金網捕集コンベアの移動速
度及び凹凸ロール表面の周速度は57m/分であった。ま
た、凹凸ロール表面に設けられた凸部の形態は直径が0.
6mmの円柱形であり、全ての凸部の総面積は、ロール表
面積に対して、5.0%を占有していた。
【0021】実施例2及び3、比較例1〜4 表1に示した組成及び物性の樹脂組成物を使用した以外
は、実施例1と同一の条件でポリプロピレン系長繊維不
織布を製造した。
【表1】
【0022】以上の如き製造方法において、ポリプロピ
レン系長繊維の紡糸安定性を測定し、且つ得られたポリ
プロピレン系長繊維不織布の表面性、変動係数、柔軟
性、引張強度を評価及び測定し、表2に示した。
【表2】
【0023】なお、表2中における紡糸安定性の評価等
については、以下に示す方法で行なった。 [長繊維の紡糸安定性]:溶融紡糸2時間中において、
長繊維が切れる回数を測定した。この回数が2回以下で
あれば、紡糸安定性は良好であると考えて良い。 [長
繊維不織布の表面性]:手触りによる官能検査で、次の
とおり評価した。◎…非常に良い、○…良い、△…やや
悪い、×…悪い。 [長繊維不織布の変動係数]:長繊維不織布から5cm×5
cmの大きさの試験片を100個採取し、各々の試験片の重
量を測定した。そして、各々の測定値から次式によって
変動係数を計算した。即ち、変動係数(%)=(各測定
値の標準偏差/測定値の単純平均値)×100である。こ
の変動係数が8%より小さければ、長繊維不織布は比較
的均一であると考えて良い。変動係数は、長繊維不織布
の均一性を示すものであるが、長繊維不織布の均一性
は、長繊維の開繊性と長繊維自体の繊度分布によって決
定される。即ち、変動係数は、長繊維の開繊性と繊度分
布によって決定されるのである。従って、長繊維の開繊
性が不良の場合、又は長繊維自体の繊度のばらつきが大
きい場合、変動係数は大きくなるのである。 [長繊維不織布の柔軟性]:JIS L 1096のE法、ハンド
ルオメータ法に準拠して測定した。なお、試料の大きさ
は20cm×20cmであり、スロット幅は6.35mmとした。 [長繊維不織布の引張強度]:幅10cmの試料を幅方向に
四つ折りにし、チャック間距離10cm,引張速度300m/m
inの条件で、テンシロンを使用して引張強度を測定し
た。引張強度は、試料が破断するときの強度であり、単
位はkg/30cm幅に換算して表わした。また、表2中の数
値は、試料の縦方向と横方向の平均値である。なお、試
料の縦方向とは、長繊維不織布を製造するときの機械設
備の配列方向のことを言い、横方向とは、この縦方向と
直交する方向のことを言う。
【0024】以上の実施例1〜3の結果から明らかなよ
うに、結晶核剤である3-メチル-1-ブテン重合体を一定
量含有し、所定のエチレン含有率を持つエチレン−プロ
ピレンランダム共重合体を使用すると、紡糸安定性が良
好で、且つ長繊維相互間の融着を防止しながらポリプロ
ピレン系長繊維を得ることができる。そして、このポリ
プロピレン系長繊維で構成された長繊維不織布は、柔軟
性に富み、肌当たりが良好で、且つ変動係数も小さく均
一性に優れている。これに対し、アイソタクチックポリ
プロピレンのみを使用した比較例1に係る長繊維不織布
は、紡糸安定性や表面性等は良好なものの、アイソタク
チックポリプロピレン長繊維の曲げ剛性が大きいため、
柔軟性に劣っている。また、結晶核剤を添加していない
エチレン−プロピレンランダム共重合体を使用した、比
較例2及び3に係る方法では、紡糸長が長くなるため、
紡糸安定性が不良で、得られる長繊維相互間が融着して
いた。従って、この融着した長繊維を構成繊維とする長
繊維不織布は、、肌当たりが悪く、且つ変動係数も大き
く均一性に劣っている。また、エチレンの含有率が多す
ぎるエチレン−プロピレンランダム共重合体を使用し
た、比較例4に係る方法では、変動係数が若干大きく、
得られた長繊維不織布の均一性に劣っている。この理由
は、紡糸長が長くなっているため、紡糸口金の先端とエ
アーサッカーの入口間おいて、吐出繊維が空気抵抗等に
よって揺動し、その結果ポリプロピレン系長繊維自体の
繊度分布にばらつきが生じたためであると考えられる。
【0025】
【作用及び発明の効果】本発明に係るポリプロピレン系
長繊維不織布は、結晶核剤である3-メチル-1-ブテン重
合体の一定量を、ある特定のエチレン−プロピレンラン
ダム共重合体に添加若しくは含有させた樹脂組成物を、
溶融紡糸して得られるポリプロピレン系長繊維で製造さ
れるものである。従って、溶融紡糸した後、比較的迅速
に結晶化されるので、エチレン−プロピレンランダム共
重合体のみを溶融紡糸する場合に比較して、紡糸長が短
くなる。即ち、低結晶性であるエチレン−プロピレンラ
ンダム共重合体を用いても、比較的迅速に固化し、エア
ーサッカーに導入される際には、溶融状態を脱してい
る。依って、エアーサッカー中でポリプロピレン系長繊
維相互間が融着することを防止しうるという効果を奏す
る。また、エアーサッカーの入口にポリプロピレン系長
繊維が付着するのも防止しうるという効果を奏する。
【0026】更に、紡糸長を短くしうるので、紡糸口金
とエアーサッカー間の距離を短くでき、紡糸口金とエア
ーサッカー間における吐出繊維が空気抵抗等で揺動する
ことも防止しうる。吐出繊維の揺動を防止しうると、吐
出繊維に加わる引張力が均一化し、繊度の均一なポリプ
ロピレン系長繊維が得られる。従って、繊度の分布が狭
いので、開繊性も良好で且つ得られる不織布の重量分布
も均一化され、均質な不織布を得ることができるという
効果を奏する。また、紡糸長を短くしうると、長繊維不
織布設備を小型化でき、設備の設置スペースを節約する
ことができるという効果も奏する。依って、本発明に係
るポリプロピレン系長繊維不織布は、繊度が細く、その
分布が比較的均一な長繊維を、均一に開繊して得ること
ができ、優れた風合と柔軟性を持ち、肌触りが良好であ
り、生理用ナプキンや使い捨ておむつ等の衛生材料の表
面材として好適に使用することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係るポリプロピレン系長繊維不織布を
製造するのに使用する、装置の一例を模式的に示した概
略図である。
【符号の説明】
1 紡糸口金 2 吐出繊維 3 エアーサッカー 6 捕集コンベア 9 ポリプロピレン系長繊維不織布

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 エチレンの含有率が2〜4重量%であるエ
    チレン−プロピレンランダム共重合体と、3-メチル-1-
    ブテン重合体とよりなり、該3-メチル-1-ブテン重合体
    の含有量が1〜1000重量ppmである樹脂組成物で形成され
    てなるポリプロピレン系長繊維を構成繊維とすることを
    特徴とするポリプロピレン系長繊維不織布。
  2. 【請求項2】 請求項1に記載された樹脂組成物を溶融
    させて、複数の紡糸孔より吐出せしめた後、該吐出繊維
    群をエアーサッカーに導入し延伸してポリプロピレン系
    長繊維群を得、該ポリプロピレン系長繊維群を捕集コン
    ベア上に堆積させることを特徴とするポリプロピレン系
    長繊維不織布の製造方法。
  3. 【請求項3】 樹脂組成物の結晶化開始温度が120℃以
    上である請求項2記載のポリプロピレン系長繊維不織布
    の製造方法。
  4. 【請求項4】 樹脂組成物のメルトフローレートが10〜
    100g/10分である請求項2記載のポリプロピレン系長
    繊維不織布の製造方法。
  5. 【請求項5】 樹脂組成物は、3-メチル-1-ブテン重合
    体を担持している固体状チタン系担体と有機アルミニウ
    ム化合物とよりなる触媒を使用して、エチレン及びプロ
    ピレンを重合させることにより得られたものである請求
    項2記載のポリプロピレン系長繊維不織布の製造方法。
JP4191509A 1992-01-20 1992-06-24 ポリプロピレン系長繊維不織布及びその製造方法 Pending JPH05263350A (ja)

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Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO1997049853A1 (fr) * 1996-06-26 1997-12-31 Chisso Corporation Non-tisse a base de fibres longues et article absorbant constitue desdites fibres
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