JPH05261130A - 長繊維不織布及びその製造方法 - Google Patents

長繊維不織布及びその製造方法

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JPH05261130A
JPH05261130A JP4191510A JP19151092A JPH05261130A JP H05261130 A JPH05261130 A JP H05261130A JP 4191510 A JP4191510 A JP 4191510A JP 19151092 A JP19151092 A JP 19151092A JP H05261130 A JPH05261130 A JP H05261130A
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JP
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long
fibers
polypropylene
fiber
long fibers
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JP4191510A
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English (en)
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Kasumi Kin
霞 金
Yosuke Kudo
洋輔 工藤
Hideo Sakurai
秀雄 桜井
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New Oji Paper Co Ltd
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New Oji Paper Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 柔軟で肌触りの良好な長繊維不織布を提供す
る。 【構成】 この長繊維不織布は、プロピレン重合体と3-
メチル-1-ブテン重合体とで形成された長繊維を構成繊
維とするものである。3-メチル-1-ブテン重合体は、長
繊維中に1〜1000重量ppmの含有量で添加されている。こ
の長繊維不織布の製造方法は、以下のとおりである。即
ち、プロピレン重合体と3-メチル-1-ブテン重合体とよ
りなる樹脂組成物を準備する。樹脂組成物中に、3-メチ
ル-1-ブテン重合体は1〜1000重量ppmの割合で含有され
ている。この樹脂組成物を溶融させて、複数の紡糸孔よ
り吐出せしめる。そして、吐出繊維群をエアーサッカー
に導入し、延伸してポリプロピレン系長繊維群を得る。
このポリプロピレン系長繊維群を、エアーサッカーから
排出させると共に開繊し、捕集コンベア上に堆積させて
不織ウェブを得る。この不織ウェブを用いて、長繊維不
織布を得る。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、主として、使い捨てお
むつや生理用ナプキン等の衛生材料の表面材として使用
するのに適した長繊維不織布及びその製造方法に関する
ものである。
【0002】
【従来の技術】長繊維不織布の代表例であるスパンボン
ド不織布は、溶融紡糸して得られた長繊維群を捕集コン
ベア上に集積して繊維ウェブを得た後、長繊維相互間を
任意の手段で接着させて得られるものである。従って、
連続繊維とも言える長繊維を構成繊維とするものである
ため、短繊維を構成繊維とする短繊維不織布に比べて、
引張強度等の機械的性質に優れている。また、溶融紡糸
して得られた長繊維を、そのまま開繊及び集積して不織
布が得られるため、得られた繊維をカード法や湿式法で
開繊及び集積して得られる不織布に比べて、合理的に生
産しうるという利点がある。
【0003】しかるに、ポリプロピレン系長繊維を構成
繊維とするスパンボンド不織布は、ポリアミド系長繊維
やポリエステル系長繊維等を構成繊維とするスパンボン
ド不織布に比べて、その重量が軽いこと及び柔軟である
ことから、生理用ナプキンや使い捨ておむつ等の衛生材
料の表面材、或いは使い捨てシーツ等に広く使用されて
いる。ポリプロピレン系長繊維を構成繊維とするスパン
ボンド不織布が軽く且つ柔軟である理由は、ポリプロピ
レン系長繊維自体が、ポリアミド系長繊維等に比べて、
軽い比重を持ち且つ柔軟であるからである。
【0004】このようなポリプロピレン系長繊維の柔軟
性をより向上させるために、溶融紡糸して長繊維を得る
際、その太さ(繊度)を細くすることが行なわれてい
る。ポリプロピレン系長繊維の繊度を細くするには、原
料となるポリプロピレン系樹脂に特定の添加剤を添加
し、選択的に大きい分子から分子切断を起こさせて、分
子量分布を狭くし、ポリプロピレン系樹脂のメルトフロ
ーレートを大きくして、溶融紡糸すればよいことが知ら
れている。即ち、ポリプロピレン系樹脂の流動性を向上
させ、細化延伸しやすくして、ポリプロピレン系長繊維
を溶融紡糸することが知られている。しかしながら、一
般的に、ポリプロピレン系樹脂の流動性を向上させて溶
融紡糸を行なうと、紡糸孔から吐出した繊維が固化する
までの距離、即ち紡糸孔から繊維の固化点までの距離
(紡糸長)が長くなるということがあった。
【0005】ところで、ポリプロピレン系長繊維を構成
繊維とするスパンボンド不織布は、ポリプロピレン系樹
脂を複数の紡糸孔より吐出させて、この吐出繊維群をエ
アーサッカーに導入し、細化延伸してポリプロピレン系
長繊維群を得、そしてこのポリプロピレン系長繊維群を
捕集コンベア上に集積させて製造されるものである。従
って、前記した紡糸長が長いと、紡糸孔とエアーサッカ
ーとの間で吐出繊維群が相互に融着してしまうというこ
とがあった。即ち、紡糸長が長いと、吐出繊維が未だ溶
融状態で表面に粘着性を持った状態のまま、エアーサッ
カー内に導入されるので、吐出繊維同士が接触すると相
互にくっついてしまうのである。また、エアーサッカー
に導入する時点で、吐出繊維がエアーサッカーの入口に
付着するということもあった。更に、紡糸長が長いと、
吐出繊維の腰のない部分が長くなり、紡糸孔からエアー
サッカーまでの間で吐出繊維が揺動しやすく、吐出繊維
に加わる引張力が不均一になり、得られる長繊維の繊度
が不均一になるということがあった。即ち、繊度の太い
部分が生じやすく、得られる長繊維の全体としての柔軟
性が低下するという欠点があった。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】そこで、本発明は、原
料であるポリプロピレン系樹脂に、ある特定の結晶核剤
を添加することにより、溶融紡糸する際、ポリプロピレ
ン系樹脂の流動性が大きくても、紡糸長が長くなること
を防止し、もって繊度が細く且つ均一なポリプロピレン
系長繊維よりなる柔軟で肌触りの良好なスパンボンド不
織布を得ようとするものである。
【0007】
【課題を解決するための手段】即ち、本発明は、プロピ
レン重合体と3-メチル-1-ブテン重合体とよりなり、該3
-メチル-1-ブテン重合体の含有量が1〜1000重量ppmであ
る樹脂組成物で形成されてなる長繊維を構成繊維とする
ことを特徴とする長繊維不織布及びその製造方法に関す
るものである。
【0008】本発明においては、まずプロピレン重合体
と結晶核剤である3-メチル-1-ブテン重合体とよりなる
樹脂組成物を準備する。樹脂組成物中のプロピレン重合
体は、従来公知のポリプロピレンを使用することができ
る。即ち、本発明で用いるプロピレン重合体は、実質的
にポリプロピレンのみよりなるものである。ここで、実
質的にとは、ポリプロピレン100重量%の場合は勿論、
ポリプロピレン中に、他のα−オレフィンが少量共重合
されているものをも包含する趣旨である。また、ポリプ
ロピレン中にエチレンが2重量%未満共重合されている
ものをも包含する趣旨である。
【0009】また、樹脂組成物中の3-メチル-1-ブテン
重合体は、3-メチル-1-ブテンを重合させて得られるも
のである。樹脂組成物中における3-メチル-1-ブテン重
合体の含有量は、1〜1000重量ppmであり、特に好ましく
は1〜500重量ppmである。3-メチル-1-ブテン重合体の含
有量が1重量ppm未満であると、結晶化開始温度が上昇せ
ず、通常のポリプロピレン系樹脂と同程度の結晶化開始
温度にしかならず、溶融紡糸した際の紡糸長が短くなら
ないので、好ましくない。逆に、3-メチル-1-ブテン重
合体の含有量が1000重量ppmを超えても、結晶化開始温
度の上昇に寄与する効果は頭打ちになる。
【0010】プロピレン重合体と3-メチル-1-ブテン重
合体とよりなる樹脂組成物は、例えば以下のようにして
製造することができる。即ち、チーグラー・ナッタ触媒
を用いて、まず3-メチル-1-ブテン重合体を重合し、引
き続いてその3-メチル-1-ブテン重合体が担持されたチ
ーグラー・ナッタ触媒を用いて、プロピレンを単独重合
させて製造することができる。この際、チーグラー・ナ
ッタ触媒として、固体状チタン系担体と有機アルミニウ
ム化合物とからなるものを使用するのが好ましい。ま
た、固体状チタン系担体としては、ハロゲン化マグネシ
ウム、有機チタン化合物及び電子供与性化合物を必須成
分とするものを使用するのが好ましい。3-メチル−1−
ブテン重合体やプロピレン重合体の重合方法としては、
連続式或いは回分式操作によって気相重合、塊状重合、
スラリー重合等の方法を採用するのが好ましい。この方
法で製造されたプロピレン重合体と3-メチル-1-ブテン
重合体とよりなる樹脂組成物は、一般的に、3-メチル-1
-ブテン重合体の割合(濃度)が高いため、マスターバ
ッチとして使用される。従って、本発明に係る樹脂組成
物、即ち3-メチル-1-ブテン重合体の濃度の低い樹脂組
成物とするためには、別途製造したプロピレン重合体に
希釈すればよい。
【0011】また、プロピレン重合体と3-メチル-1-ブ
テン重合体とよりなる樹脂組成物は、以下のようにして
製造してもよい。即ち、チーグラー・ナッタ触媒等を用
いてプロピレンを重合させ、プロピレン重合体を得る。
一方、別途3-メチル-1-ブテンをチーグラー・ナッタ触
媒等を用いて重合させ、3-メチル-1-ブテン重合体を得
る。そして、所定量のプロピレン重合体と3-メチル-1-
ブテン重合体とを混合して、本発明に係る樹脂組成物を
得ることができる。両重合体の混合方法としては、両重
合体を押出機やブラベンタン混練機等に供給して行なう
ことができる。なお、プロピレンを重合する際には、前
記したように他の少量のα−オレフィンを共重合しても
よく、また2重量%未満のエチレンを共重合してもよい
ことは、言うまでもない。
【0012】本発明で使用する樹脂組成物は、一般的
に、125℃以上の結晶化開始温度を持つものである。125
℃以上の結晶化開始温度を持つ樹脂組成物は、一般に使
用されている120℃以下の結晶化開始温度を持つポリプ
ロピレン系樹脂に比べて、溶融紡糸した際、紡糸長を短
くすることができるものである。特に、好ましくは、結
晶化開始温度が132℃程度の樹脂組成物を使用するのが
良い。ここで、結晶化開始温度は、第二精工舎株式会社
製示差走査熱量計SSC/580を用い、溶融状態から10℃/
分の速度で冷却して測定したものである。また、この樹
脂組成物のメルトフローレート(JIS K 7219 表1 条件
14によって測定する。)は一般的に20〜100g/10分で
あり、特に30〜80g/10分程度とするのが好ましい。こ
の程度のメルトフローレートであると、繊度が1〜5デニ
ール程度であって、引張強力の高い長繊維を効率良く製
造しうるからである。
【0013】以上の如き樹脂組成物を用い、溶融紡糸し
てポリプロピレン系長繊維を得、本発明に係る長繊維不
織布を得ることができる。一般的には、図1に示す不織
布製造装置を使用して製造することができる。即ち、樹
脂組成物を溶融させ、紡糸口金1で紡糸する。この紡糸
口金1から吐出された吐出繊維2群を、エアーサッカー
(高速気流牽引装置)3に導入して延伸固化し、ポリプ
ロピレン系長繊維群とする。そして、エアーサッカー3
からポリプロピレン系長繊維群を排出した後、帯電装置
4によって、各ポリプロピレン系長繊維を同電荷に帯電
させる。その後、ポリプロピレン系長繊維群を反射板5
に衝突させ、開繊させた後、捕集コンベア6上にポリプ
ロピレン系長繊維群を堆積させる。このようにして得ら
れた不織ウェブ7は、捕集コンベア6上に載置されたま
ま搬送され、加熱された凹凸ロール8を具備するエンボ
ス装置に導入される。凹凸ロール8の凸部による加熱及
び加圧で、ポリプロピレン系長繊維は溶融又は軟化し、
凸部に対応する不織ウェブ7の区域において、ポリプロ
ピレン系長繊維相互間が融着され、長繊維不織布9が得
られるのである。そして、この長繊維不織布9は、巻取
機10で巻き取られ原反として取り扱われる。
【0014】以上の如き製造方法で製造される、ポリプ
ロピレン系長繊維の繊度は、任意に決定しうる事項であ
るが、本発明においては1〜5デニール程度が好ましく、
特に1〜3デニール程度が最も好ましい。ポリプロピレン
系長繊維の繊度が5デニールを超えると、長繊維が剛直
になって、得られる不織布の柔軟性が低下し、衛生材料
の表面材として用いるのに不適当になる。逆に、ポリプ
ロピレン系長繊維の繊度を1デニール未満にすること
は、製造上困難である。また、長繊維不織布の目付も、
任意に決定しうる事項であるが、本発明においては10〜
30g/m2程度が好ましい。長繊維不織布の目付が30g
/m2を超えると、厚すぎて柔軟性が低下し、衛生材料
の表面材として用いるのに不適当になる。逆に、長繊維
不織布の目付を10g/m2未満にすると、薄すぎて取り
扱いにくくなり、衛生材料を作成しにくくなる傾向が生
じる。
【0015】
【実施例】
実施例1〜3 プロピレン重合体に3-メチル-1-ブテン重合体が50重量p
pm含有された樹脂組成物を、以下の方法で製造した。 1.固体状チタン系担体の製造 充分に窒素置換したフラスコに、脱水及び脱酸素した精
製n-ヘプタン200ミリリットルを導入し、次いで塩化マ
グネシウム(MgCl2)0.4モル及びチタンテトラブトキシ
ド(Ti(O-nC4H9)4)0.8モルを導入し、95℃で2時間反応
させた。反応終了後、40℃に温度を下げ、次いでメチル
ヒドロジエンポリシロキサン(20センチストークスのも
の)50ミリリットルを添加することにより、固体状前駆
体(塩化マグネシウム・チタンテトラブトキシド錯体)
を析出させた。そして、この固体状前駆体を精製n-ヘプ
タンで洗浄した。
【0016】その後、充分に窒素置換したフラスコに精
製したn-ヘプタンを50ミリリットル導入し、更に上記で
合成した固体状前駆体を20g導入した。次いで、四塩化
珪素(SiCl4)8.7ミリリットルを含有するn-ヘプタン溶
液25ミリリットルを、室温で30分かけてフラスコに導入
し、90℃で1時間反応させた。このあと更に、フタル酸
クロライド1.6ミリリットルを含有するn-ヘプタン25ミ
リリットルを、90℃下で30分かけてフラスコに導入し、
90℃で1時間反応させた。反応終了後、固形成分を精製n
-ヘプタンで洗浄した。次いで更に、四塩化珪素(SiC
l4)8.7ミリリットルをフラスコに導入して、100℃で3
時間反応させた。反応終了後、固体物質を精製n-ヘプタ
ンで洗浄した。次に更に、第三ブチルメチルジメトキシ
シラン((CH3)3CSi(CH3)(OCH3)2)を2.4ミリリットル導
入し、30℃で2時間接触させた。接触終了後、得られた
固体状チタン系担体を精製n-ヘプタンで充分に洗浄し
た。
【0017】2.3-メチル-1-ブテンの重合 内容積1リットルの攪拌式オートクレーブに、精製n-ヘ
プタン500ミリリットルと、前記により調整した固体状
チタン系担体8g及びジイソブチルアルミニウムクロラ
イド0.75gを導入し、更に3-メチル-1-ブテン100gを導
入して、40℃で6時間反応させた。反応終了後、3-メチ
ル-1-ブテン重合体が担持された固体状チタン系担体を
精製n-ヘプタンで洗浄した。3-メチル-1-ブテン重合体
の量は、固体状チタン系担体1g当たり10gであった。
【0018】3.プロピレンの重合 内容積200リットルの攪拌式オートクレーブをプロピレ
ンで充分に置換した後、精製n-ヘプタン63リットルを導
入し、トリエチルアルミニウム16g及び上記で得た3-メ
チル-1-ブテン重合体が担持された固体状チタン系担体
6.4gを65℃でプロピレン雰囲気下でオートクレーブ中
に導入した。気相部水素濃度を6.8容積%に保ちながら
オートクレーブ中に、プロピレンを8.5kg/時間の速度
で4時間導入することにより重合を行なった。その後、
ブタノール100ミリリットルを添加して重合を停止さ
せ、プロピレンの重合を終えた。そして、瀘過及び乾燥
を行なって、32.0kgのマスターバッチを得た。このマス
ターバッチ中における3-メチル-1-ブテン重合体の含有
量は2000重量ppmであり、その他はプロピレン重合体で
あった。なお、このマスターバッチのメルトフローレー
トは、60g/10分であった。
【0019】4.樹脂組成物の製造 メルトフローレートが60g/10分のホモポリプロピレン
に、上記で得られたマスターバッチを2.5重量%配合
し、押出機で溶融混合して、樹脂組成物を得た。この樹
脂組成物の結晶化開始温度は128.3℃であり、融点は16
1.5℃であり、メルトフローレートは60g/10分であっ
た。
【0020】この樹脂組成物を、直径60mmの押出機に投
入し、押出温度230℃で1700g/分の割合で押し出し、
紡糸口金を用いて溶融紡糸した。紡糸口金は、孔径0.3m
mφの円形紡糸孔を幅方向に1700個持つものを使用し
た。この紡糸口金から吐出された繊維群をエアーサッカ
ーに導入して延伸固化し、ポリプロピレン系長繊維群を
得た。なお、この際、紡糸口金の先端からエアーサッカ
ーの入口までの距離(口金−サッカー間距離)を、表1
に示す如く変更した。そして、その紡糸性及び得られた
長繊維の繊度を表1に示した。
【表1】 表1中の紡糸性は、目視によって判定し、吐出繊維群が
融着していない場合は「良好」と判定し、融着が時々見
られるものを「融着発生」と判定し、融着が常に見られ
るものを「融着」と判定した。長繊維の繊度は、9000m
長さ当たりの重さ(g)を測定し、デニール単位で表わ
した。なお、繊度が「−」と記載されているものは、長
繊維が相互に融着して、繊度が測定できなかったことを
示している。
【0021】次いで、エアーサッカーから排出された各
ポリプロピレン系長繊維に、コロナ放電装置によって同
電荷を付与した後、ポリプロピレン系長繊維群を反射板
に衝突させて開繊した。その後、ポリプロピレン系長繊
維群を、裏面に吸引装置が配置されている無端金網捕集
コンベア上に捕集して、不織ウェブを作成した。この不
織ウェブは、無端金網捕集コンベア上に載置されたまま
搬送され、加熱された凹凸ロールと平滑ロールとで構成
されたエンボス装置のロール間に導入した。これによ
り、凹凸ロールの凸部に対応する不織ウェブの区域にお
いて、ポリプロピレン系長繊維は溶融又は軟化し、ポリ
プロピレン系長繊維相互間が融着された長繊維不織布が
得られた。この長繊維不織布の目付は25g/m2であっ
た。なお、無端金網捕集コンベアの移動速度及び凹凸ロ
ール表面の周速度は57m/分であった。また、凹凸ロー
ル表面に設けられた凸部の形態は直径が0.6mmの円柱形
であり、全ての凸部の総面積は、ロール表面積に対し
て、5.0%を占有していた。
【0022】以上のようにして得られた長繊維不織布の
表面性を評価し、及び変動係数を測定して、表1に示し
た。この表面性については、手触りによる官能検査で試
験し、手触りの非常に良いものを◎と評価し、手触りの
良いものを○と評価し、手触りのやや悪いものを△と評
価し、手触りの悪いものを×と評価した。また、長繊維
不織布の変動係数については、次の方法で測定した。つ
まり、得られた長繊維不織布から5cm×5cmの大きさの試
験片を100個採取し、各々の試験片の重量を測定した。
そして、各々の測定値から次式によって変動係数を計算
した。即ち、変動係数(%)=(各測定値の標準偏差/
測定値の単純平均値)×100である。この変動係数が8%
より小さければ、長繊維不織布は比較的均一であると考
えて良い。変動係数は、長繊維不織布の均一性を示すも
のであるが、長繊維不織布の均一性は、長繊維の開繊性
と長繊維自体の繊度分布によって決定される。即ち、変
動係数は、長繊維の開繊性と繊度分布によって決定され
るのである。従って、長繊維の開繊性が不良の場合、又
は長繊維自体の繊度のばらつきが大きい場合、変動係数
は大きくなるのである。
【0023】比較例1〜4 実施例1〜3で使用した樹脂組成物中から、結晶核剤で
ある3-メチル-1-ブテン重合体を抜いたプロピレン重合
体を準備した。このプロピレン重合体の結晶化開始温度
は119.2℃であり、融点は159.0℃であり、メルトフロー
レートは60g/10分であった。このプロピレン重合体を
使用して、口金−サッカー間距離を表1に示す如く変更
し、実施例1〜3と同様にしてポリプロピレン系長繊維
不織布を得た。その際の、長繊維の紡糸性、繊度、不織
布の表面性及び変動係数を実施例と同様に評価及び測定
して表1に示した。
【0024】以上の実施例1〜3の結果から明らかなよ
うに、結晶核剤である3-メチル-1-ブテン重合体を含有
したプロピレン重合体を使用すると、紡糸性が良好で、
繊度が細く且つ均一なポリプロピレン系長繊維を得るこ
とができる。そして、このポリプロピレン系長繊維で構
成された長繊維不織布は、柔軟性に富み、肌当たりが良
好で、且つ変動係数も小さく均一性に優れている。これ
に対し、結晶核剤が含有されていないプロピレン重合体
を使用した、比較例1及び2に係る方法では、紡糸長が
長くなるため、紡糸性が不良で、得られる長繊維相互間
が融着していた。従って、この融着した長繊維を構成繊
維とする長繊維不織布は、柔軟性に劣り、肌当たりも悪
く、且つ変動係数も大きく均一性に劣っている。また、
口金−エアーサッカー間距離を長くすることによって、
長繊維相互間の融着を防止した、比較例3及び4に係る
方法で得られた長繊維不織布は、比較例1及び2に係る
方法で得られた長繊維不織布に比べて、表面性も良好で
変動係数も小さい。しかし、実施例に係る方法で得られ
た長繊維不織布に比べると、表面性が若干劣り、また変
動係数も若干大きい。これは、口金−エアーサッカー間
距離を長くしたことにより、口金とエアーサッカー間に
おいて吐出繊維が空気抵抗等によって揺動し、その結果
ポリプロピレン系長繊維自体の繊度分布にばらつきが生
じたためであると考えられる。
【0025】
【作用及び発明の効果】本発明に係る長繊維不織布は、
結晶核剤である3-メチル-1-ブテン重合体の一定量をプ
ロピレン重合体に添加若しくは含有させた樹脂組成物
を、溶融紡糸して得られる長繊維で製造されるものであ
る。従って、溶融紡糸した後、比較的迅速に結晶化され
るので、紡糸長が短くなる。即ち、流動性の大きいプロ
ピレン重合体を用いても、比較的迅速に固化し、エアー
サッカーに導入される際には、溶融状態を脱している。
依って、エアーサッカー中でポリプロピレン系長繊維相
互間が融着することを防止しうるという効果を奏する。
また、エアーサッカーの入口にポリプロピレン系長繊維
が付着するのも防止しうるという効果を奏する。
【0026】更に、紡糸長を短くしうるので、紡糸口金
とエアーサッカー間の距離を短くでき、紡糸口金とエア
ーサッカー間における吐出繊維が空気抵抗等で揺動する
ことも防止しうる。吐出繊維の揺動を防止しうると、吐
出繊維に加わる引張力が均一化し、繊度の均一な長繊維
が得られる。従って、繊度の分布が狭いので、開繊性も
良好で且つ得られる不織布の重量分布も均一化され、均
質な不織布を得ることができるという効果を奏する。ま
た、紡糸長を短くしうると、長繊維不織布設備を小型化
でき、設備の設置スペースを節約することができるとい
う効果も奏する。依って、本発明に係る長繊維不織布
は、繊度が細く、その分布が比較的均一な長繊維を、均
一に開繊して得ることができ、優れた風合と柔軟性を持
ち、肌触りが良好であり、生理用ナプキンや使い捨てお
むつ等の衛生材料の表面材として好適に使用することが
できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る長繊維不織布を製造するのに使用
する、装置の一例を模式的に示した概略図である。
【符号の説明】
1 紡糸口金 2 吐出繊維 3 エアーサッカー 6 捕集コンベア 9 長繊維不織布

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 プロピレン重合体と3-メチル-1-ブテン
    重合体とよりなり、該3-メチル-1-ブテン重合体の含有
    量が1〜1000重量ppmである樹脂組成物で形成されてなる
    長繊維を構成繊維とすることを特徴とする長繊維不織
    布。
  2. 【請求項2】 請求項1に記載された樹脂組成物を溶融
    させて、複数の紡糸孔より吐出せしめた後、該吐出繊維
    群をエアーサッカーに導入し延伸して長繊維群を得、該
    長繊維群を捕集コンベア上に堆積させることを特徴とす
    る長繊維不織布の製造方法。
  3. 【請求項3】 樹脂組成物の結晶化開始温度が125℃以
    上である請求項2記載の長繊維不織布の製造方法。
  4. 【請求項4】 樹脂組成物のメルトフローレートが20〜
    100g/10分である請求項2記載の長繊維不織布の製造
    方法。
  5. 【請求項5】 樹脂組成物は、3-メチル-1-ブテン重合
    体を担持している固体状チタン系担体と有機アルミニウ
    ム化合物とよりなる触媒を使用して、プロピレンを重合
    させて得られたマスターバッチを使用して製造したもの
    である請求項2記載の長繊維不織布の製造方法。
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