JPH05262806A - 塩化ビニル系重合体の製造方法 - Google Patents

塩化ビニル系重合体の製造方法

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JPH05262806A
JPH05262806A JP6327492A JP6327492A JPH05262806A JP H05262806 A JPH05262806 A JP H05262806A JP 6327492 A JP6327492 A JP 6327492A JP 6327492 A JP6327492 A JP 6327492A JP H05262806 A JPH05262806 A JP H05262806A
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正久 大川
Susumu Iijima
晋 飯島
Takashi Sumino
岳志 角野
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 塩化ビニル系重合体の水性分散体の製造方法
において、分散安定性が非常に優れ、重合体の含有率を
高くすることが出来、しかも充分な未反応単量体の除去
が可能で、かつ得られた重合体をペースト化した時の品
質が良好なものを得る方法を提供する。 【構成】 塩化ビニルを主体とする単量体、油溶性開始
剤、乳化剤、分散助剤、及び水をあらかじめ均質化処理
した後重合するミクロ懸濁重合法によって塩化ビニル系
重合体を製造する方法において、重合体の生成量が全体
の30重量%に達した時点以降重合終了時までの間に下
記一般式 【化1】 (式中Rは、炭素数6〜20の炭化水素基、Mはアルカ
リ金属、a及びbは1〜2、cは0〜1、かつa+b+
c=3である)で表わされるリン酸エステル系乳化剤を
全単量体100重量部当り0.1〜1重量部添加するこ
とを特徴とする塩化ビニル系重合体の製造方法。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、微細懸濁重合法による
塩化ビニル系重合体の製造方法に関する。さらに詳しく
は分散安定性に優れた塩化ビニル系樹脂水性分散体の製
造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】塩化ビニルを乳化重合、ミクロ懸濁重合
により重合し、重合体の水性分散体をえている。そし
て、該重合体の多くは、ペーストゾルとして用いられて
いる。ペーストゾル用とするには、重合終了後、水性分
散体から未反応の単量体の除去の後、噴霧乾燥のごとき
乾燥して重合体を粉体としている。未反応単量体の除去
は、単に経済的な理由だけでなく環境衛生上から、より
完全に行いそれをより完全に回収することが望まれてい
る。この除去方法としては、単に減圧にするだけでな
く、さらに加熱、スチームの吹き込み、蒸発器による処
理などがあるが、水性分散体の分散安定性が低いと充分
な除去処理をすることができない。又、乾燥において、
水性分散体の重合体含有量が多い程、乾燥に要する熱エ
ネルギーは少なくて済むが、重合体含有量が多い程、分
散安定性が低くなる。分散安定性を向上させるため、水
性分散体の乳化剤濃度を高くすることが考えられるが、
分散安定性は向上するものの、ペーストとして用いた場
合、粘度、色調、熱安定性、透明性などの諸物性に悪影
響を及ぼす。従って、乳化剤濃度を低くするため、特開
平2-127402号公報には、ソープフリーで重合開始し、そ
の後乳化剤を追添加する方法が提案されている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】特開平2-127402号公報
に記載の方法では、得られる水性分散体の重合体含有量
をより高くしたり単量体をより充分に除去するには分散
安定性にさらに改良を要する。このような事情の下にお
いて、本発明は重合体含有率が高く、しかも分散安定性
に優れ、充分な単量体除去処理が可能でかつ、ペースト
にした時の品質が良好な塩化ビニル系重合体の水性分散
体を提供する。
【0004】
【課題を解決するための手段】本発明は、塩化ビニルを
主体とする単量体、油溶性重合開始剤、乳化剤、分散助
剤、及び水をあらかじめ均質化処理した後重合するミク
ロ懸濁重合法によって塩化ビニル系重合体を製造する方
法において、重合体の生成量が、最終の収得重合体量の
30重量%に達した時点以降重合終了時までの間に、下
記一般式
【0005】
【化2】
【0006】(式中、Rは炭素数6〜20の炭化水素
基、Mはアルカリ金属、a及びbは1〜2、cは0〜
1、かつa+b+c=3である)で表わされるリン酸エ
ステル系乳化剤を、全単量体100重量部当り0.1〜
2重量部添加することを特徴とする塩化ビニル系重合体
の製造方法を提供するものである。
【0007】本発明における塩化ビニルを主体とする単
量体の内、塩化ビニルと共重合し得る単量体としては、
例えば酢酸ビニル等のアルキルビニルエステル類、セチ
ルビニルエーテル等のアルキルビニルエーテル類;エチ
レン、プロピレン等のオレフィン類;アクリル酸メチ
ル、メタクリル酸メチル等の(メタ)アクリル酸アルキ
ルエステル類等が例示されるが、これらに限定されな
い。
【0008】本発明に用いられる油溶性重合開始剤は、
ジ−2−エチルヘキシルパーオキシジカーボネート、ジ
−(2−エトキシエチル)パーオキシジカーボネート等
のパーオキシジカーボネート系の開始剤、3,5,5,
−トリメチルヘサキノイルパーオキサイド等のジアシル
パーオキサイド系の開始剤、α,α−アゾビス−2,4
−ジメチルバレロニトリル等のアゾ化合物系の開始剤、
及び2,4,4−トリメチルペンチルパーオキシネオデ
カノエート、ターシャリプチルパーオキシネオデカノエ
ート、ターシャリヘキシルパーオキシピバレート等のパ
ーエステル系の開始剤等が例示されるが、これらの開始
剤に限定されない。なおこれらの開始剤は、1種または
2種以上組み合わせて用いられる。その量は、全単量体
100重量部当り0.01〜2重量部程度である。
【0009】本発明に用いられる乳化剤としては、アル
キルベンゼンスルホン酸塩アルキルスルホン酸塩、アル
キル硫酸塩、脂肪酸金属塩、アルキルスルホコハク酸塩
等のアニオン乳化剤が例示される。その量は、共に均質
化処理する単量体100重量部当り、0.2〜3重量部
である。
【0010】本発明に用いられる、分散助剤としては、
高級アルコール、高級脂肪酸、高級脂肪酸エステル、塩
素化パラフィン等が例示される。
【0011】本発明の水の量は、重合終了時の水性分散
体中の所望の重合体濃度によって定めればよい。本発明
では、該濃度が45重量%以上にすることが可能であ
る。
【0012】また、所望に応じて、その他の添加剤とし
て、ハロゲン化炭化水素やメルカプト化合物等の分子量
調節剤、非イオン系界面活性剤、PH調整剤、抗酸化
剤、及び消泡剤等を使用してもよい。
【0013】本発明における均質化処理は、周知の方法
例えばホモジナイザー、コロイドミル、あるいは、高速
ポンプといった機械力を用いて行われ、0.3〜1.5
μ程度の均一な単量体液滴を形成させ得ればいかなる方
法でもよい。
【0014】均質化処理後の重合の開始は、いわゆる通
常のミクロ懸濁重合方法に従って用いる油溶性重合開始
剤に適した温度に設定すればよい。この温度は、通常3
0〜80℃である。
【0015】本発明で用いるリン酸エステル系乳化剤と
しては、前述の一般式で表わされる有機リン酸エステル
である。Rは、炭素数6〜20の炭化水素基であるが、
なかでも炭素数8〜18の直鎖又は分岐のアルキル基が
好ましい。Mは、ナトリウム、カリウムが一般的であ
る。該有機リン酸エステルは、単品又は2種以上の混合
品を用いる。
【0016】該リン酸エステル系乳化剤は、全単量体1
00重量部当り0.1〜2重量部好ましくは、0.1〜
1重量部添加する。リン酸エステル系乳化剤の添加量
が、単量体に対して、0.1重量%未満であると、分散
安定性が不充分であり、2重量%を越えて多くても、そ
の割に効果が高くならない。
【0017】該リン酸エステル系乳化剤の添加時期とし
て、重合体の生成量が、最終の収得重合体量の約30重
量%に達した時点以降、重合終了時までである。重合終
了時までとは未反応単量体を離脱させる寸前までを言
う。
【0018】添加の方式としては、所定量を一時に添加
してもよいし、分割して添加してもよい。特に、重合の
進行に伴って、単量体を追添加する場合には、合わせ
て、添加するのが好ましい。
【0019】重合の終了は、通常のミクロ懸濁重合と同
様で良い。通常は、用いた重合器の内圧が自然に降下し
始める時点を目安にしている。重合の停止は、重合禁止
剤を投入してもよいが、残留単量体を重合器から抜き出
すことにより停止するのが一般的である。
【0020】
【発明の効果】本発明の方法によれば、分散安定性の優
れた塩化ビニル系重合体の水性分散体を得ることができ
る。分散安定性が優れていることにより、該重合体の濃
度を45重量%以上と高い水性分散体とすることができ
る。又、分散安定性が優れていることにより、未反応単
量体の除去処理を充分に行うことができ残留単量体を1
000ppm 以下とすることもできる。しかもペーストと
して用いても良好な品質を与えることが可能である。
【0021】
【実施例】以下に、実施例を挙げて、本発明をさらに具
体的に、説明する。実施例、比較例の中の部、%は、特
に指定のない限り、重量基準である。物性の測定は、下
記の方法で行った。 ・水性分散体中の固形分濃度(%);水性分散体を、1
05℃で2時間加熱して、水分を蒸発させ、残留分の重
量から計算した。 ・水性分散体中の残留塩化ビニル単量体濃度(ppm );
水性分散体を真空瓶と連結したフラスコに入れ、沸騰浴
中に30分間置き、揮発する塩化ビニル単量体を真空瓶
に捕集した。真空瓶中の気体をカスクロマトグラフィー
で分析して、塩化ビニル単量体量を求め、水性分散体中
の重合体当りの量を算出した。 ・ペーストゾルの粘度(ポイズ);23℃相対湿度60
%の恒温恒室中で、ブルックフィールドBL型粘度計
で、ローター#4を6rpm として測定した。 ・ペーストゾルの透明性;ペーストゾルを縦7cm、横5
cm、厚さ0.5mmのアルミニウム製型わくに流しこみ、
上下をアルミニウム板ではさみ190℃で5分間加熱溶
融した。次に冷却後、得られた0.5mm厚シートを取出
し、日本精密光学社製積分球式HTRメーターにて、全
光線透過率を測定して評価した。 ・ペーストゾルの色調、熱安定性;上記0.5mm厚シー
トをそのまま、及び、ギャー式オーブンで190℃、3
0分加熱した時の色調を日本電色工業社製の色差計を用
いてイエローインデックス(Y、I)を測定して評価し
た。
【0022】実施例1 100Lのグラスライニング製重合器を脱気し、脱イオ
ン水39kg、塩化ビニル単量体21kg、ラウリル硫酸ナ
トリウム240g、ステアリルアルコール400g、ジ
−2エチルヘキシルパーオキシジカーボネート9.5g
を仕込み、ホモジナイザーで均質化処理後、55℃まで
昇温して重合を開始した。重合器内の圧力が0.5kg/c
m2低下したところで、(C1225O)2PONaの200
gを30%の水溶液にして添加し、さらに、塩化ビニル
単量体19kgを添加して重合を続け、重合器内の圧力が
1.5kg/cm2低下したところで、未反応単量体を大気圧
下に放出し、さらに100mmHgの減圧下、70℃で2時
間攪拌して、未反応単量体を除去した。
【0023】重合体水性分散体は、正常な乳化液であっ
た。該水性分散体中の固形分は48.1%であり、残存
塩化ビニル単量体量は、750ppm であった。このラテ
ックスを噴霧乾燥して、塩化ビニル重合体の粉体を得
た。次いで、この塩化ビニル重合体の粉体100部に、
可塑剤としてジ−2−エチルヘキシルフタレート60
部、安定剤(共同薬品(株)製、商品名KR-69K-1)2重
量部を加え、ライカイ機にて、ペースト化後、脱泡し
て、ペーストゾルを調整した。このペーストゾルのペー
スト化2時間後の粘度及び、これを加熱溶融して得たシ
ートの透明性、色調及び、熱安定性の測定した。 結
果を表1に示す。
【0024】実施例2〜4 実施例1において、途中で添加するリン酸エステル系乳
化剤の種類と量を表1に示すように変えた以外は、実施
例1と同様に行った。評価結果を表1に示す。
【0025】比較例1 実施例1において、リン酸エステル系乳化剤を用いない
こと以外は、実施例1と同様に行った。未反応単量体を
除去した後重合体の水性分散体は、正常な乳化液ではな
く、クリーム状となっており、噴霧乾燥には供せないも
のであった。
【0026】比較例2 実施例1において、リン酸エステル系乳化剤の添加時期
を53℃まで昇温した直後に添加した以外は、実施例1
と同様に行った。未反応単量体を除去した後重合体の水
性分散体は、正常な乳化液ではなく、クリーム状に近い
ものであった。
【0027】比較例3〜5 実施例1において、リン酸エステル系乳化剤の代わりに
表1に示す他の乳化剤200gを用いたこと以外は、実
施例1と同様に行った。評価結果を表1に示す。
【0028】
【表1】

Claims (1)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】塩化ビニルを主体とする単量体,油溶性開
    始剤,乳化剤,分散助剤及び水を、あらかじめ均質化処
    理した後重合するミクロ懸濁重合法によって、塩化ビニ
    ル系重合体を製造する方法において、重合体の生成量が
    全体の30重量%に達した時点以降重合終了時までの間
    に、下記一般式 【化1】 (式中、Rは炭素数6〜20の炭化水素基、Mはアルカ
    リ金属、a及びbは1〜2、cは0〜1、かつa+b+
    c=3である)で表わされるリン酸エステル系乳化剤
    を、全単量体100重量部当り0.1〜2重量部添加す
    ることを特徴とする塩化ビニル系重合体の製造方法。
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