JPH0526201Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 ［産業上の利用分野］ 本考案は部屋自体を地震時に揺れないようにし
て振動を嫌う電算機等の機器を設置する部屋とし
て用いる免震室に関するものである。

［従来の技術］ 電算機等振動を嫌う機器を設置する部屋では、
かかる機器を地震等の振動から保護するために免
震床が使用され、且つケーブルを引き回わす関係
等から上記免震床を建屋の床上に二重床式に設置
することが採用されて来ている。

第５図は上記免震床の一例を示すもので、上記
免震床１は、建屋の構造床２上にアイソレータ３
により支持され、建屋の構造壁４に対し相対変位
するようにしてあり、建屋の構造床２や構造壁４
が振動しても、免震床１には、その振動が伝わら
ないようにしてあるため、振動を嫌う電算機等の
機器への耐震仕様が不要となる利点がある。な
お、従来、部屋全体を建屋の躯体に対して相対変
位するようにした免震室なる考えはなかつた。

［考案が解決しようとする問題点］ 上記免震床構造のものでは、天井、壁は躯体に
取り付けてあり、これらと床とが相対変位するも
のであるため、その相対変位を床の周辺で吸収で
きるようにしてある。したがつて、地震等の振動
が生じて天井、壁と床とが相対変位を生じたと
き、床上から天井、壁の揺れが目視で感知される
ため、視覚を通じた恐怖感を除去することができ
ない問題がある。

そこで、本考案者は、床のみならず、周囲の壁
や天井と一体にした部屋、たとえば、コンテナの
如き独立した部屋を作つて、この部屋自体を免震
にすれば、上記の視覚を通じた恐怖感を覚えない
ですむことに着目して本考案をなした。

この場合、従来の免震床上に天井、側壁を組み
付けて免震室としたのでは、該側壁と建屋の構造
壁とぶつかりを防ぐために両者間に一定の隙間が
必要となり、第５図に示すように、床周辺の変位
吸収部の上部がデツドスペース（図中斜線部分）
となる如く、部屋の有効面積の減少が避けられ
ず、容積効率が悪い。

そのため、本考案は、従来の免震床構造による
場合の欠点を除去すると共に、従来考えられてい
なかつた部屋全体を免震にして、しかも容積効率
を向上させた免震室を提供しようとするものであ
る。

［問題点を解決するための手段］ 本考案は、上記目的を達成するために、建屋の
構造壁を打ち抜いて、建屋の構造床上面を隣接す
る部屋形成部に連続させ、且つ上記建屋の構造床
上に、上記建屋の構造壁の打ち抜き部まで達する
大きさの床に天井、壁を一体に組み付けてなる部
屋を免震支持させ、更に上記部屋の出入口部と建
屋の構造床との間にスロープ板を一端が移動でき
るように配した構成とする。

［作用］ 部屋と建屋との相対変位が生じたとき、該部屋
は建屋の構造壁の打ち抜き部を相対変位するの
で、該構造壁と干渉することがなく、建屋の構造
壁が揺れても部屋は揺れることがない。又、部屋
の床、天井、壁は一体であるから、建物が揺れて
いても部屋の内部では揺れは視覚では感じられな
い。更に、スロープ板は一端が移動可能としてあ
ることから、構造床と部屋との間の相対変位に容
易に追従できる。

［実施例］ 以下、図面に基づき本考案の実施例を説明す
る。

第１図及び第２図は本考案の実施例を示すもの
で、複数階状に構築されている建屋の構造壁４を
上部を僅かに残して打ち抜き、該構造壁４を境に
隣り合つている部屋形成部６を上記打抜き部５で
連通させ、建屋の構造床２が隣り合う部屋形成部
６で連続するようにする。

上記１つの部屋形成部６には、床８、天井１
０、壁９を一体として組み立ててなり且つ床８の
広さを建屋の構造壁４の打抜き部５まで達する広
さとした部屋７を、アイソレータ３を介して設置
し、建屋の構造床２の揺れが部屋７の床８に伝わ
らないように支持させる。又、上記部屋７の出入
口部と建屋の構造床２との取り合いは、両者間の
相対変位を吸収し且つ安全に交通できるようにす
るため、第２図に示す如く、部屋７の床８にヒン
ジ結合したスロープ板１１の先端を建屋の構造床
２上にスライド自在に置くようにし、上記建屋の
構造床２の振動時、該構造床２とスロープ板１１
先端間で相対変位に追従できるようにする。

なお、建屋の外壁内面に沿う位置の部屋では、
該建屋の外壁内面と部屋７の壁９との衝突を避け
るため、両者の間に隙間を予め形成しておくよう
にする。

建屋の構造床２上にアイソレータ３を介して支
持されている部屋７は、建物の内部では建屋構造
壁４の打抜き部まで拡大されているため、第５図
に示す従来の免震床上に天井、壁を取り付けて部
屋を構成するものに比して、部屋の有効面積を拡
大でき、容積効率を上げることができる。

今、地震による振動が発生すると、建屋の構造
壁４や構造床２の揺れが、免震された部屋７には
伝わらないため、建物（躯体）と部屋７との間に
相対変位が生じる。部屋７は、床８、天井１０、
壁９が一体に結合されているため、部屋７の内部
から躯体の天井、壁等を目視することができず、
したがつて、部屋７の内部から躯体の揺れを目視
を通じて感知することがないので、部屋７が揺れ
ない限り、内部の人は地震時でも全く揺れを感じ
ることがなく、恐怖感を覚えないですむ。又、上
記部屋７は建屋の構造壁４の打抜き部５を貫通す
る如く置かれるので、該構造壁４との干渉はな
い。

又、上記免震された部屋７と建屋の構造床２上
の間での従来や、隣接する部屋７同士間の往来
は、部屋７の出入口部の床８と建屋の構造床２と
の間にかけられたスロープ板１１を利用して行
う。スロープ板１１の先端はスライド自在に建屋
の構造床２上に置かれているので、該構造床２と
部屋７との相対変位に容易に追従できる。

なお、実施例では、スロープ板１１の先端部を
建屋の構造床２上に単に載せて置く場合を示した
が、滑りをよくするためにスロープ板１１の先端
部下面に第３図に示す如くテフロンプレート１２
を貼つた構造としてもよく、又、第４図に示す如
く、スロープ板１１の先端部にゴム１３を取り付
けて該ゴム１３の後部にローラ１４を取り付けた
構造としてもよい。又、図示してないが、部屋７
と建屋の構造壁４との間にゴム製の蛇腹を介在さ
せるようにしてもよい。

［考案の効果］ 以上述べた如く、本考案の免震室によれば、建
屋の構造壁を打ち抜いて部屋形成部を連通させ、
該打抜き部にまで達するような広さとした部屋を
建屋の構造床上に免震支持させているので、容積
効率を上げ得た免震室を実現でき、その上、免震
床構造の場合の問題点である建物の揺れが目視で
きないため、部屋が揺れない限り部屋の内部にい
る人は揺れを感じることがなくて恐怖感を抱くこ
となく且つ動揺することなく作業を続けることが
でき、誤動作等のおそれを少なくでき、更に、部
屋の出入口部と建屋の構造床との間にスロープ板
が配置してあるので、部屋間の往来を楽に行うこ
とができ、しかもこのスロープ板は一端が移動可
能としてあることから、構造床と部屋との相対変
位に対して容易に追従することができる、等の優
れた効果を奏し得る。

【図面の簡単な説明】

第１図は本考案の免震室の実施例を示す断面
図、第２図は本考案の免震室の出入口部と建屋の
構造床との間にかけ渡すスロープ板の図、第３図
及び第４図はいずれもスロープ板の先端部の他の
例を示す図、第５図は免震床の例を示す側面図で
ある。 ２……建屋の構造床、３……アイソレータ、４
……建屋の構造壁、５……打抜き部、７……部
屋、１１……スロープ板。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 建屋の構造壁を打ち抜いて、建屋の構造床上面
   を隣接する部屋形成部に連続させ、且つ上記建屋
   の構造床上に、上記建屋の構造壁の打ち抜き部ま
   で達する大きさの床に天井、壁を一体に組み付け
   てなる部屋を免震支持させ、更に、上記部屋の出
   入口部と建屋の構造床との間に、スロープ板を一
   端が移動可能として配置したことを特徴とする免
   震室。