JPH05261904A - 転写型インクジェットプリンタ - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】 にじみ、白ぬけのない高画質で、高速印字可
能な転写型インクジェットプリンタを提供する。 【構成】 インクジェット式の記録ヘッド１３と、記録
紙２１への転写のための圧力ローラ１５との間にコロト
ロン帯電器１４を配置し、インク像を形成した転写ドラ
ム１１上にイオンを照射する構成である。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明は、インク像を記録紙上に
形成するインクジェットプリンタに関し、さらに詳細に
は、転写媒体にインク像を形成した後、この転写媒体と
記録紙とを対向させて記録紙上にインク像を転写する転
写型インクジェットプリンタに関する。

【０００２】

【従来の技術】転写型インクジェットプリンタは、例え
ば米国特許第４５３８１５６号明細書に開示される方式
が知られている。

【０００３】これは図７に示すように、記録ヘッド１０
１によって、円筒状の転写媒体１００表面に形成したイ
ンク像に、記録紙１０２を押し当てて押圧し、圧力によ
って転写する。未転写の残留インクは、クリーニング装
置１０３によって除去される。

【０００４】

【発明が解決しようとする課題】上記従来技術の転写型
インクジェットプリンタにおいては、転写画像品質が悪
いという問題点を有していた。

【０００５】これは、第１には液体インクからなるイン
ク像が記録紙と接触すると繊維に沿ってしみこみインク
像周辺部がヒゲ状になるためであった。

【０００６】第２には、転写が転写媒体と記録紙の接触
によって行なわれるため、平滑度の低い記録紙に対して
は、凹部は記録紙と転写媒体が接触せず、転写すべき像
が転写されない、いわゆる”白抜け”状態となった。

【０００７】このような問題に対して、本出願人は特開
昭６２−９２８４９号公報においてインク滴を一旦転写
媒体上に吐出し、ここでインク滴中の大半の水分を乾燥
させて、濃縮したインクを記録紙上に転写する装置を提
案している。

【０００８】これによって、転写型インクジェットプリ
ンタの持つ上述の問題を解消し、鮮明な像形成を可能に
するものである。しかしながらインクの濃縮に時間を要
するため、高速印字という要請に十分応えることができ
ないという点でさらに解決しなければならない問題を抱
えている。

【０００９】本発明はこれらの問題を解決するもので、
その目的は、高画質で、高速印字が可能な転写型インク
ジェットプリンタを提供することにある。

【００１０】

【課題を解決するための手段】本発明の転写型インクジ
ェットプリンタは、着色帯電粒子を高絶縁性低誘電率担
体液からなる分散媒中に分散したインクを液滴として吐
出するインクジェット式書き込み手段と、吐出されたイ
ンク滴を担持して移動する転写媒体と、前記インクジェ
ット式記録書き込み手段の下手側で転写媒体上に記録媒
体を接触させて書き込まれた記録像をこの記録媒体上に
転写させる記録像転写手段と、前記インクジェット式記
録書き込み手段と前記記録像転写手段との間に配置さ
れ、転写媒体上にイオンを照射する手段とを備えたこと
を特徴とする。

【００１１】

【実施例】以下に図示した実施例について説明する。

【００１２】図１は本発明の第１実施例を示したもので
ある。

【００１３】この転写型インクジェットプリンタは回転
する転写ドラム１１の周囲に、回転方向上手側から順に
インクジェット式記録書き込み手段である記録ヘッド１
３と、イオンを照射する手段であるコロトロン帯電器１
４と、記録像転写手段である圧力ローラ１５と、クリー
ニングブレード１６とを配置して構成している。

【００１４】転写ドラム１１は、金属素管１８の周囲に
導電性弾性層１９を設けて構成される。導電性弾性層１
９はカーボンブラックや金属粉等の導電性コンパウンド
を分散したゴム材から得ることができる。転写ドラム１
１は図示しない駆動手段によって矢印Ａの方向に回転す
る。

【００１５】記録ヘッド１３は図示したようにキャリッ
ジ軸２０にそって矢印Ｂの方向に走査する形式である。
記録ヘッド１３は圧電素子を用いる形式のインクジェッ
ト記録ヘッドであり、記録信号に応じて、インクをイン
ク滴として複数のノズルから選択的に吐出する。

【００１６】記録ヘッド１３の記録動作中は転写ドラム
１１は停止し、記録ヘッド１３が走査端部で方向変換す
る際回転するため、間欠的に回転する。

【００１７】コロトロン帯電器１４はコロトロンによる
イオン発生装置であって、その構成を図２に示す。直径
０．０５ｍｍのタングステンワイヤ３１の周囲を約５ｍ
ｍの距離を保ってステンレスのハウジング３２でシール
ドした構成になっている。タングステンワイヤ３１に図
示しない高圧電源を用いてー５ｋＶの高電圧を印加する
ことにより、負のコロナイオンを発生させる。

【００１８】クリーニングブレード１６はゴム等の弾性
体で構成され、 転写ドラム１１に圧接される。

【００１９】記録媒体である記録紙２１は矢印Ｃの方向
に搬送され転写ドラム１１と接触し、背後から圧力ロー
ラ１５によって押圧される。

【００２０】インクは、エマルジョンインクであり、着
色帯電粒子が分散媒である高抵抗低誘電率担体液に分散
したものである。分散媒である高抵抗低誘電率担体液は
例えばエクソン化学社製アイソパーＧ、着色帯電粒子は
顔料として例えば日本チバガイギー社製ＭＩＣＲＯＬＩ
ＴＨ Ｂｌａｃｋ Ｃ−Ｔと及び樹脂としてエチレンエ
チルアクリレートとから構成される。インクは上記着色
帯電粒子を分散媒に帯電制御剤例えばレシチンとともに
分散して構成されている。本実施例に用いたインクは負
に帯電している。

【００２１】次に動作について説明する。このように構
成された実施例において、記録ヘッド１３からインク滴
が吐出され、転写ドラム１１表面にインク像を形成す
る。次にインク像はコロトロン帯電器１４より負のコロ
ナイオンが照射され、インク像は着色帯電粒子と分散媒
とに分離される。

【００２２】コロトロン帯電器１４によるインクの分離
作用を図３および図４を用いて詳細に説明する。本実施
例においては着色帯電粒子４１は負に帯電しており、転
写ドラム１１はグランドに接続されている。記録ヘッド
１３から吐出されたインク滴４０は図３に示すように分
散媒４２中に着色帯電粒子４１が均一に分散されてい
る。ここでコロトロン帯電器１４により負のコロナイオ
ンが照射されると、インク滴４０の表面は図４に示すよ
うに負に帯電し、着色帯電粒子４１が静電気力を受けて
転写ドラム１１に付着する。この時、分散媒４２は図３
におけるインク滴の高さ方向に減少し、インク滴４０と
転写ドラム１１との接触面積に比べ拡大されるが、着色
帯電粒子４１は図３におけるインク滴４０と転写ドラム
１１との接触面積を保ったまま、転写ドラム１１の表面
方向に移動し、転写ドラム１１の近い部分においては濃
縮されたインク像となる。すなわち、着色帯電粒子４１
が分散しているインク滴４０は、イオンを照射すること
によって濃縮されたインク像と分散媒４２とに分離する
ことができる。転写ドラム１１上のインク滴４０のない
部分４４にもイオンは照射されるが、転写ドラム１１は
導電性であるために帯電することはない。

【００２３】次に着色帯電粒子４１と分散媒４２とに分
離されたインク像を、転写ドラム１１上に圧力ローラ１
５を介して圧接した記録紙２１に転写する。この際、転
写バイアスを印加してもよい。着色帯電粒子４１と分散
媒４２とに分離されたインク像に記録紙２１が接する
時、分散媒４２は記録紙２１にすばやく染み込み、着色
帯電粒子４１が記録紙２１上に残り記録像となる。この
ように着色帯電粒子４１と分散媒４２とを分離すること
により、分散媒４２だけが始めに記録紙に染み込むため
に、インク像が記録紙と接触する際に、着色帯電粒子４
１が記録紙２１の繊維に沿って染み込み、インク像周辺
部がヒゲ状になることはない。

【００２４】インク像を記録紙２１に転写した後、転写
ドラム１１上の転写残留インクは、転写ドラム１１に圧
接されたクリーニングブレード１６によりクリーニング
され、記録ヘッド１３による次のインク像の形成へとな
る。

【００２５】本発明者等の実験では、外径１１０ｍｍの
転写ドラム１１に対し、帯電電荷量−３００μＣ／ｇの
着色帯電粒子４１を分散したインクを用い、吐出したイ
ンクにコロトロン帯電器１４を用いて負のコロナイオン
を照射して、これを記録紙２１に圧力転写し、良好な転
写画像を得た。なお、本実施例においては、負に帯電し
た着色帯電粒子とイオン照射に負のイオンとを用いた
が、これらに限定されるものではなく、着色帯電粒子と
イオン照射に用いるイオンとが、如何なる極性の組合せ
においても本実施例と同等の効果が得られることを確認
した。

【００２６】図５に示した第２実施例は、第１実施例と
異なり、転写ドラム１１上にイオンを照射する手段であ
るコロナ帯電器１４の下手側に、表面層５２を分散媒４
２に対して濡れ性のよい分散媒吸着ローラ５０を転写ド
ラム１１に軽く接触して回転するように配置し、転写ド
ラム１１上の分散媒４２を分散媒吸着ローラ５０に吸着
させて分散媒４２を除去するようにしたものである。イ
ンク像における着色帯電粒子は転写ドラム１１と静電的
付着力が作用しているため、分散媒吸着ローラ５０の下
手には分散媒４２が除去され濃縮状態のインク像が得ら
れる。図中符号５１は、分散媒吸着ローラ５０上に吸着
された分散媒４２を除去するためのクリーナを示してい
る。第２実施例において、分散媒吸着ローラ５０を配置
した以外は前記第１実施例と同じであるため、その他の
説明を省略する。

【００２７】図６に示した第３実施例は、第１実施例と
異なり、転写媒体上にイオンを照射する手段であるコロ
ナ帯電器１４の下手に、金属素管２２の周囲に弾性層２
３を設けた、除去ローラ１２を設けるように構成したも
のである。前記実施例１において着色帯電粒子と分散媒
とに分離されたインク像は、除去ローラ１２との当接部
を通過する際、絞り作用を受けて分散媒が絞り取られて
当接部上手に残留する。インク像における着色帯電粒子
は転写ドラム１１と静電的付着力が作用しているため、
当接部を通過する。この結果当接部下手には分散媒が除
去され濃縮状態のインク像が得られる。当接部上手に残
留する分散媒の回収は、空気噴射手段１８を用いて行
う。すなわち、空気噴射手段１８により当接部上手に空
気を噴射し、当接部上手に残留する分散媒を転写ドラム
１１の端部に設けた溝１９に誘導し、溝１９に誘導した
分散媒をブレード６０によりかきとり、分散媒回収容器
６１に回収する。第３実施例において、除去ローラ１２
を配置した以外は前記第１実施例と同じであるため、そ
の他の説明を省略する。

【００２８】第２実施例と第３実施例とは、着色帯電粒
子と分散媒とを分離し、転写前に分散媒を除去するため
に、分散媒の記録紙上での蒸発を抑制することができ
る。

【００２９】

【発明の効果】以上述べたように、本発明によれば、イ
ンクジェット記録書き込み手段によって転写媒体上に吐
出したインク滴に、イオンを照射することにより、着色
帯電粒子と分散媒とを分離し、着色帯電粒子を転写媒体
上に静電的に付着させる。従って、記録媒体上にインク
のにじみの生じない鮮明な記録像を形成することができ
るという効果を有する。

【００３０】上記分離作用は静電的に行なわれるため、
短時間でインク分離が可能になり高速印字の要請に応え
ることができるという効果も有する。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明の第１実施例の転写型インクジェットプ
リンタの構成を示す図である。

【図２】本発明の第１実施例に用いたコロトロン帯電器
１４の構成を示す図である。

【図３】本発明の第１実施例の転写型インクジェットプ
リンタのインクの分離作用を説明する図である。

【図４】本発明の第１実施例の転写型インクジェットプ
リンタのインクの分離作用を説明する図である。

【図５】本発明の第２実施例の転写型インクジェットプ
リンタの構成を示す図である。

【図６】本発明の第３実施例の転写型インクジェットプ
リンタの構成を示す図である。

【図７】従来の転写型インクジェットプリンタの構成を
示す図である。

【符号の説明】

１１ ：転写ドラム（転写媒体） １２ ：除去ローラ １３ ：記録ヘッド（インクジェット式記録書き
込み手段） １４ ：コロトロン帯電器（コロナイオンを照射
する手段） １５ ：圧力ローラ（記録像転写手段） １８ ：空気噴射手段 ２１ ：記録紙（記録媒体） ４１ ：着色帯電粒子 ４２ ：分散媒

───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 藤野 真 長野県諏訪市大和３丁目３番５号 セイコ ーエプソン株式会社内

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 着色帯電粒子を高絶縁性低誘電率担体液
   からなる分散媒中に分散したインクを液滴として吐出す
   るインクジェット式記録書き込み手段と、吐出されたイ
   ンク滴を担持して移動する転写媒体と、前記インクジェ
   ット式記録書き込み手段の下手側で転写媒体上に記録媒
   体を接触させて書き込まれた記録像をこの記録媒体上に
   転写させる記録像転写手段と、前記インクジェット式記
   録書き込み手段と前記記録像転写手段との間に配置さ
   れ、転写媒体上にイオンを照射する手段とを備えたこと
   を特徴とする転写型インクジェットプリンタ。