JPH05258241A - 薄膜磁気ヘッド用セラミックス焼結体 - Google Patents

薄膜磁気ヘッド用セラミックス焼結体

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JPH05258241A
JPH05258241A JP4089988A JP8998892A JPH05258241A JP H05258241 A JPH05258241 A JP H05258241A JP 4089988 A JP4089988 A JP 4089988A JP 8998892 A JP8998892 A JP 8998892A JP H05258241 A JPH05258241 A JP H05258241A
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JP
Japan
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magnetic head
phase
sintered compact
thin film
film magnetic
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Withdrawn
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JP4089988A
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English (en)
Inventor
Otojiro Kida
音次郎 木田
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AGC Inc
Original Assignee
Asahi Glass Co Ltd
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】 【目的】摺動性,耐摩耗性,高熱伝導度,機械加工性に
優れ、電気的性質としても比抵抗が小さく摩擦帯電性も
小さい薄膜磁気ヘッド用基板材料としてのセラミックス
焼結体を提供する。 【構成】本質的に重量%で80〜40%の SiC-Al-O-N
相と20〜60%の TiN及びまたは TiC相からなること
を特徴とする薄膜磁気ヘッド用セラミックス焼結体。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、薄膜磁気ヘッド用セラ
ミックス焼結体さらに詳しくは摺動性,耐摩耗性、機械
加工性、耐久性に優れた薄膜磁気ヘッド用セラミックス
焼結体に関するものである。
【0002】
【従来の技術】近年磁気ディスク装置の分野において増
大する高記録密度化の要請に応えるため、磁気ヘッド特
に薄膜磁気ヘッドが急速に普及しつつある。薄膜磁気ヘ
ッドは基板となるセラミックス製スライダーの後端面に
磁気信号の記録再生を行う薄膜素子が形成された構造を
有しており、スライダーが磁気ディスクの高速回転によ
って発生する空気層流に乗って磁気ディスク面上にわず
かに浮上することを利用し、磁気ディスクに対して記録
の書き込み、読み取りを行う機能を有する。したがって
スライダーは磁気ディスク回転の起動、停止時には十分
な空気層流が得られないため、必ず磁気ディスクと摺動
しいわゆるCSS(コンタクト・スタート・ストップ)
動作を行う。さらにスライダーは定常浮上中であっても
振動や塵埃の介入などの外的要因によって浮上高さや浮
上姿勢が乱れることが避けられない。
【0003】記録密度を大きくするためには浮上高さは
一層小さくなりつつあるため、このような乱れによりス
ライダーが高速回転中の磁気ディスクと衝突する回数が
ますます増大してきている。
【0004】これらのことからCSS性能を向上させる
ためには、磁気ヘッドのスライダーの摺動性を高めるこ
とが重要である。更にスライダーの表面が平滑で気孔が
存在しないこと、耐摩耗性が良いことが必要である。
【0005】また磁気ヘッドは上に述べた如く、磁気デ
ィスクと接触摺動する時に摩擦帯電する。この帯電量が
過度に大きくなると磁気トランスジューサーの信号巻線
にノイズが発生したり、磁気ヘッドの浮上量が変わった
りするおそれがある。そこで摩擦帯電のできるだけ生じ
ない材料で磁気ヘッドのスライダーを構成することが望
ましい。
【0006】更に磁気ヘッドのスライダーは例えば特開
昭55−163665号に示されているように極めて複
雑な構造をしているのであるが、このような複雑な構造
の磁気ヘッドを生産性良く作るには、スライダー構成材
が機械加工性に優れていることが必要である。即ち加工
時の切削抵抗の少ないことや切削ブレード等への目づま
りのないことやクラックやチッピングの生じないことが
重要である。
【0007】従来のスライダー材料としては薄膜素子の
形成性が良好な点から Al2O3系セラミックが広く知られ
ており、改良提案も多い。例えば特開昭61−1588
62号、特開昭60−231308号、特開昭60−1
83709号及び特開昭60−179923号等に示さ
れたものがある。
【0008】これらはいずれも Al2O3-TiCとその他の添
加粒子からなっており耐摩耗性や加工性の向上が計られ
ている。また一方 ZrO2 を主成分としたスライダー材料
が例えば特開昭60−171617号、特開昭63−2
78312号、特開昭60−66404号等に多く示さ
れ、摺動特性が良好であるスライダーが提案されてい
る。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら上記の A
l2O3−TiC からなるスライダーは、機械加工性や耐摩耗
性に優れるものの高精度の複雑な形状のスライダーを加
工する際、クラックやチッピングが少なくなく加工歩留
を落としており、より破壊靭性、摺動特性の向上が強く
望まれている。
【0010】また ZrO2 を主成分とするスライダーは A
l2O3−TiC と比べ摺動特性は優れているが耐摩耗性や加
工性が劣るとされている。このように種々のスライダー
材料が提案されているが、摺動特性、耐摩耗性、破壊靭
性の高い機械加工性に優れた材料が強く望まれている。
【0011】本発明者らは上記の問題点について鋭意研
究の結果、種々の新しい薄膜磁気ヘッド用基板材料とし
てのセラミックス焼結体を開発することに成功している
が、本発明もその一連の研究の結果見い出されたもので
ある。その1つに炭化珪素やサイアロン( Si-Al-O-N)
の材質があるが、本発明もそれらと比較的似た性質をも
っている合成化合物について検討し、より高い耐食性、
耐酸化性、高靭性、高硬度、耐熱衝撃性で導電性を有す
る新規な複合セラミックス焼結体を提供することに成功
したものである。
【0012】
【課題を解決するための手段】即ち本発明は、SiC-Al-O
-N相と TiN及びまたは TiC相からなる薄膜磁気ヘッド用
セラミックス焼結体である。本発明の好ましい態様は S
iC-Al-O-N 相と TiN及びまたは TiC相の割合が重量%
(以下同じ)で前者80〜40%、後者20〜60%で構成され
たセラミックス焼結体である。
【0013】本発明は摺動特性、耐摩耗性、高強度、高
熱伝導度、高靭性に優れた SiC-Al-O-N 相と導電性・帯
電防止と熱膨張差に起因する残留応力の導入のための T
iN及びまたは TiCの1種以上を複合し分散した微細な緻
密焼結体からなる摺動特性、耐摩耗性、機械加工性に優
れた薄膜磁気ヘッド用基板材料を得ることができる。
【0014】本発明で第一成分である SiC-Al-O-N 相
(以下シカロン相という)とは文献Journal of Materia
ls Science 21 ( 1986 ) 1448 〜 1456 Jowlay Huangat
all「Sintering behaviour and properties of Sicalon
Ceramics」に詳細に示されるような合成化合物であ
り、SiC とはやや異なった性質を持つ材料で、Si-Al-O-
N (サイアロン)相とは比較的似た性質を持ったもので
ある。
【0015】この第1成分であるシカロンと第2成分と
しての TiN及びまたは TiC相から本質的になっているこ
とが必要であり、以下更に詳しく説明する。まず TiNま
たはTiC相源としては一般的には予め TiNまたは TiC粉
末として用意し、シカロン相としては焼成により生成す
る原料配分として調整しておくことが適切である。
【0016】即ち本発明に用いられる TiNまたは TiCは
可及的に純度の高いものを用いるのが好ましく、また粒
度を可及的に小さい粉末として用意することが好まし
い。具体的には純度99%以上、平均粒径 5μm 以下特に
は 1μm 以下のものがよい。
【0017】次にシカロン結晶相をもたらす原料として
は通常 SiC,AlN ,Al2O3 等の微粉末を主とする混合物
が適切である。これらの原料も TiN粉末等と同様可及的
に純度の高いもの好ましくは99%以上で細かいもの好ま
しくは平均粒度 5μm 以下特には 1μm 以下のものが適
切である。
【0018】またこれらの原料は全てが混合物としてさ
らに超微粉砕化することが有効である。即ち全ての混合
物を粒度 5μm 以下好ましくは平均粒度 1μm 以下にな
るまで SiCまたは Al2O3ボール等を用いて粉砕すること
である。
【0019】本発明焼結体はこれらの混合物を例えば真
空中またはAr,N2の非酸化性雰囲気下でホットプレスす
るが、上記混合物をCIP成形して常圧焼成及びまたは
HIP焼結しても得ることができる。なお、焼結温度は
1600〜2000℃、圧力300kg/cm2 以上、焼成時間は試料の
大きさにもよるが通常 0.5〜5 時間程度が適当である。
【0020】シカロン相はα−SiC ,AlN ,Al2O3 等の
配分量を適切に選択する事で容易に可能である。即ち、
原料配合の割合としてα−SiC 10〜40%、AlN 10〜40
%、Al2O3 1 〜20%程度が好ましい。これはα−SiC が
少なくとも10%は必要であるが、それ以下ではシカロン
相の生成が少なく、摺動性、高熱伝導度、高靭性等の特
性が発揮されないからであり、一方多すぎても焼結温度
が高くなり、粒成長しやすくなる等のため好ましくな
く、最大40%にとどめる事が必要であり、望ましくは15
〜35%程度である。
【0021】また AlNは少なくとも10%は必要である
が、それ以下ではシカロンの成長が少なく緻密な焼結体
が得られず、一方多すぎてもシカロン相の生成以外に A
lNが残り、摺動性や高靭性の特性が損なわれるために最
大40%にとどめることが必要であり、望ましくは15〜35
%程度である。
【0022】また Al2O3は少なくとも1%は必要である
が、それ以下だとシカロン生成が、少なく、一方多すぎ
ても高密度化しにくくなり、最大20%にとどめることが
必要であり、望ましくは 1〜15%程度である。
【0023】このように本発明焼結体において(1)シ
カロン相と(2)TiN 及びまたは TiC相との割合は好ま
しくは前者80〜40%であり、後者が20〜60%である。こ
れはシカロン相が少なすぎると摺動性、高靭性、高熱伝
導度の特性が発揮されずまた緻密化しにくくなり、一方
多すぎても導電性や高靭性の特性が損なわれるため好ま
しくなく、最適範囲は(1)シカロン相が75〜45%で
(2)TiN 相及びまたは TiV相が25〜55%である。
【0024】本発明焼結体はこれらの2相から本質的に
なるものであるが、本発明の特質を損なわない範囲でこ
れら以外の成分を含んでいても勿論差支えはないが、可
及的に少量にとどめることが望ましい。
【0025】本発明の焼結体の組織は平均結晶粒径 2μ
m 以下の粒状のシカロン( SiC-Al-O-N 相)の微細な結
晶が均一に分散し、その結晶粒の周りや結晶粒界に微細
な 2μm 以下の結晶からなる TiN及びまたは TiCが分布
している緻密な組織構造を有している。
【0026】
【作用】本発明焼結体は磁気ヘッド基板材料として SiC
やサイアロン( Si-Al-O-N )等と比較的似た特性を持つ
摺動特性、高熱伝導度、高靭性に優れたシカロン相(Si
C-Al-O-N )の微細な結晶組織内に導電性、帯電防止及び
シカロン相との熱膨張差に起因する残留応力の導入効果
のための TiN及びまたは TiCを均一に分散した緻密な焼
結体であって、これらの相互作用により磁気ヘッド基板
としての機械加工性に優れ、磁気ヘッド基板としての機
械加工性に優れ、磁気ヘッドとしての摺動性、耐摩耗
性、放熱性、摩擦帯電性にも優れた特性を呈するものと
考えられる。
【0027】
【実施例】原料として TiN粉末(純度99%,平均粒径 1
μm 以下)、TiC 粉末(純度99%、平均粒径 1μm 以
下)、α−SiC 粉末(純度99%以上,平均粒径 0.3μm
)、AlN 粉末(純度99%、平均粒径 0.5μm )、Al2O3
粉末(純度99.9%、平均粒径0.5μm )をそれぞれ所定
の割合にて混合し十分混合粉砕すべくポットミルを使用
しエタノール溶媒中で SiCボールを用い24時間粉砕し
た。得られた混合粉末をエバポレーターで十分乾燥し平
均粒径 0.3μm の粉末を得た。
【0028】この粉末をホットプレスの黒鉛鋳型内に充
填し、圧力 350 kg/cm2 温度はそれぞれ1600〜2000℃の
アルゴンまたは窒素雰囲気で1時間ホットプレスし、60
mmφ×5 mm厚みの焼結体を得た。
【0029】焼結体の物性として密度はアルキメデス法
により測定し理論密度で除して相対密度を求め、曲げ強
度は JIS R 1601 「ファインセラミックスの曲げ試験
法」に従って測定した。また破壊靭性はSEPB法( S
ingle Edge Pre-cracked Beam法)により測定した。即
ち JIS R 1601 に準拠した試料を用意し、ビッカース圧
子圧入により圧痕をつけた後予亀裂を入れるため荷重を
加えてイヤホンでポップイン( Pop-in )を検知した。
続いて予亀裂長さを測定するため着色を行い、そして曲
げ試験を行って破断荷重を測定した。破断試料の予亀裂
長さを測定した後破壊靭性の算出式により破壊靭性を求
めた。
【0030】ビッカース硬度は曲げ試験片の鏡面研磨面
を用い荷重 300 gにてビッカース硬度計により測定し
た。比抵抗の測定は曲げ試験片を用い4端子法にて測定
した。上記と同様な方法にて製作した 60 mmφ×厚み 5
mm の焼結体で磁気ヘッドスライダーとしての評価を行
った。
【0031】得られた焼結体を鏡面研磨してダイヤモン
ド切断砥石で切断し、角部の微細なチッピングを顕微鏡
にて観察する事により行った。このチッピング試験は幅
0.28mm 及び直径 52 mmのレジノイト砥石( 30 μm の
ダイヤ砥粒を有するカッター)を用い切り込み 0.3 mm
送り量 5 mm/sec で実施した。チッピング深さが2 mmを
超えない場合実質的にスライダー品質に影響を及ぼさず
満足すべき品質を維持するものでこれを○で示し、2 mm
を越える場合は△及び著しいチッピングの場合は×とし
て示した。
【0032】また摺動性及び耐摩耗性は焼結体から実際
の薄膜磁気ヘッドの形状に切出し磁気ディスクと接触さ
せてディスクを回転させるCSS試験により特性を評価
した。摺動性はディスクとヘッドのCSS試験により摩
擦係数を求め摩擦係数が 0.5より小さいものを○で示
し、摩擦係数が 0.5より大きいものは△及び著しく大き
い場合は×で示した。
【0033】耐摩耗性はCSS試練を 10000回繰返し磁
気ヘッドスライダーの摺動面の傷の有無について評価し
た。比較例として Al2O3-TiC 30 %基板を用い比較し
た。それぞれの結果を表1、2、3に示した。
【0034】
【表1】
【0035】
【表2】
【0036】
【表3】
【0037】このように本発明の焼結体は、全て 2μm
以下の平均粒径からなる微細な結晶組織を呈した気孔の
ない緻密な焼結体であって、強度、硬度も高く、低抵抗
で破壊靭性は Al2O3-TiC 30 %基板と比べて 1.3〜1.7
倍程度高く、また、熱伝導率も Al2O3-TiC 0.04cal/cm・
sec・℃と比べ 0.12cal/cm・sec・℃と高いので放熱性に優
れている。
【0038】磁気ヘッドスライダー用セラミックス焼結
体としての評価では、これらの物性の効果が判明し、耐
チッピング性等の機械加工性、摺動性、耐摩耗性に優れ
た特性を示し、磁気ヘッド基板として最適であった。
【0039】
【発明の効果】本発明焼結体は特に薄膜磁気ヘッド用ス
ライダーとして好適なもので、摺動性、耐摩耗性、高熱
伝導度、高靭性に優れるシカロンの微細結晶組織内に導
電性、高靭性付与の TiN及びまたは TiCを均一に分散し
た緻密な焼結体であって、摺動性、高熱伝導度、高靭
性、耐摩耗性に優れ機械加工性にも優れるものでかつ比
抵抗が小さく摩擦帯電性が小さい技術的長所を有するも
のである。

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】(1) SiC-Al-O-N 相及び(2) TiN ,Ti
    C から選ばれた少なくとも1種以上の相から本質的にな
    ることを特徴とする薄膜磁気ヘッド用セラミックス焼結
    体。
  2. 【請求項2】(1) SiC-Al-O-N 相及び(2) TiN ,Ti
    C 相の割合が、重量%で、前者80〜40%、後者20〜60%
    である請求項1の焼結体。
  3. 【請求項3】請求項1または2において、結晶の平均粒
    径が 2μm 以下の組織からなる焼結体。
JP4089988A 1992-03-13 1992-03-13 薄膜磁気ヘッド用セラミックス焼結体 Withdrawn JPH05258241A (ja)

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Effective date: 19990518