JPH05255730A - 高振動減衰能ねずみ鋳鉄の製造方法 - Google Patents
高振動減衰能ねずみ鋳鉄の製造方法Info
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- JPH05255730A JPH05255730A JP4089491A JP8949192A JPH05255730A JP H05255730 A JPH05255730 A JP H05255730A JP 4089491 A JP4089491 A JP 4089491A JP 8949192 A JP8949192 A JP 8949192A JP H05255730 A JPH05255730 A JP H05255730A
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- damping capacity
- vibration damping
- cast
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Abstract
(57)【要約】
【目的】 振動減衰能を向上させるねずみ鋳鉄の製造方
法を提供する。 【構成】 重量%で、C:3.2〜3.7%、Si:
1.8〜3.0%、Mn:0.2〜1.5%を含み、残
部が実質的にFeからなり、炭素飽和度が0.92〜
1.05%になるように原料を溶解し、鋳造して、鋳放
し材を得る工程と、該鋳放し材に焼なまし処理を施す工
程と、該焼なまし処理を施した材料に焼入れ処理を施す
工程とからなる。振動減衰能が150×10-4(歪み振
幅;1×10-5)以上のねずみ鋳鉄が製造できる。
法を提供する。 【構成】 重量%で、C:3.2〜3.7%、Si:
1.8〜3.0%、Mn:0.2〜1.5%を含み、残
部が実質的にFeからなり、炭素飽和度が0.92〜
1.05%になるように原料を溶解し、鋳造して、鋳放
し材を得る工程と、該鋳放し材に焼なまし処理を施す工
程と、該焼なまし処理を施した材料に焼入れ処理を施す
工程とからなる。振動減衰能が150×10-4(歪み振
幅;1×10-5)以上のねずみ鋳鉄が製造できる。
Description
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、各種の機械部品、およ
び装置等において、振動や騒音を低減する目的で使用さ
れる高振動減衰能ねずみ鋳鉄の製造方法に関する。
び装置等において、振動や騒音を低減する目的で使用さ
れる高振動減衰能ねずみ鋳鉄の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】鋳鉄は他の鉄系材料に比較して振動減衰
能(以下、単に減衰能という)が大きく、自動車や工作
機械等で生じる繰り返し衝撃や摩擦による振動や騒音の
防止に有効なために、従来から広く使用されている。し
かし、通常使われているねずみ鋳鉄(FC200〜25
0、炭素飽和度(Sc)0.94〜0.98%)の減衰
能(Q-1)は、10×10-4〜50×10-4(歪み振
幅;1×10-5のとき)であり、制振材料として知られ
ているMn−Cu合金等の減衰能が150×10-4〜3
00×10-4(歪み振幅;1×10-5のとき)であるの
に比べてかなり劣っている。
能(以下、単に減衰能という)が大きく、自動車や工作
機械等で生じる繰り返し衝撃や摩擦による振動や騒音の
防止に有効なために、従来から広く使用されている。し
かし、通常使われているねずみ鋳鉄(FC200〜25
0、炭素飽和度(Sc)0.94〜0.98%)の減衰
能(Q-1)は、10×10-4〜50×10-4(歪み振
幅;1×10-5のとき)であり、制振材料として知られ
ているMn−Cu合金等の減衰能が150×10-4〜3
00×10-4(歪み振幅;1×10-5のとき)であるの
に比べてかなり劣っている。
【0003】鋳鉄の減衰能は母材組織中の黒鉛量と関係
があり、CやSiの含有量を増やして過共晶組織(Sc
が1.0%以上)とすれば減衰能を高めることができる
ことが知られている。この場合、Scを高めると組織中
の黒鉛が粗大片状化して、減衰能を約150×10-4ま
で増大させることができるが、制振材料に比べると未だ
減衰能において劣っている。また、該ねずみ鋳鉄は母材
組織が過共晶となっているため、肉厚部や、凝固時に冷
却の遅い部分の組織が不均一となり、引張り強さも8K
gf/mm2 以下の低い値に低下してしまうという問題
がある。
があり、CやSiの含有量を増やして過共晶組織(Sc
が1.0%以上)とすれば減衰能を高めることができる
ことが知られている。この場合、Scを高めると組織中
の黒鉛が粗大片状化して、減衰能を約150×10-4ま
で増大させることができるが、制振材料に比べると未だ
減衰能において劣っている。また、該ねずみ鋳鉄は母材
組織が過共晶となっているため、肉厚部や、凝固時に冷
却の遅い部分の組織が不均一となり、引張り強さも8K
gf/mm2 以下の低い値に低下してしまうという問題
がある。
【0004】そこで、前記問題点を解決するため、特開
平1−252754号では、C、Si、Mn量を調節し
てScを1.03〜1.25%としたねずみ鋳鉄に、オ
ーステンパー処理を施して減衰能を大きくする試みがな
されている。
平1−252754号では、C、Si、Mn量を調節し
てScを1.03〜1.25%としたねずみ鋳鉄に、オ
ーステンパー処理を施して減衰能を大きくする試みがな
されている。
【0005】また、特開平1−195258号、特開昭
63−210256号では、C、Si、Mnに加えて多
量のNiやCu等の合金元素を添加してScを1.10
〜1.42%とし、ねずみ鋳鉄母材の組織をオーステナ
イトとすることにより減衰能を大きくする試みがなされ
ている。
63−210256号では、C、Si、Mnに加えて多
量のNiやCu等の合金元素を添加してScを1.10
〜1.42%とし、ねずみ鋳鉄母材の組織をオーステナ
イトとすることにより減衰能を大きくする試みがなされ
ている。
【0006】しかし、これらの各鋳鉄は、従来のものに
比べれば減衰能は向上しているが、特殊な熱処理や多量
の合金添加が必要とされるため、実施にあたって煩雑と
なり、また、費用もかさむという問題点がある。
比べれば減衰能は向上しているが、特殊な熱処理や多量
の合金添加が必要とされるため、実施にあたって煩雑と
なり、また、費用もかさむという問題点がある。
【0007】また、前記各鋳鉄はScが1.03%以上
のものであり、通常、機械強度部品として使用するため
の鋳鉄は、強度および鋳造性の観点から、Scが0.9
4〜0.98%のものが必要とされる。ところが、この
Scの範囲において、減衰能が150×10-4以上とい
った高い値を有するものは未だ開発されていない。
のものであり、通常、機械強度部品として使用するため
の鋳鉄は、強度および鋳造性の観点から、Scが0.9
4〜0.98%のものが必要とされる。ところが、この
Scの範囲において、減衰能が150×10-4以上とい
った高い値を有するものは未だ開発されていない。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、Scが0.
92〜1.05%であるねずみ鋳鉄の減衰能を150×
10-4以上に向上させる、高減衰能ねずみ鋳鉄の製造方
法を提供するものである。
92〜1.05%であるねずみ鋳鉄の減衰能を150×
10-4以上に向上させる、高減衰能ねずみ鋳鉄の製造方
法を提供するものである。
【0009】本発明者らは、上記した従来技術の問題に
関し、詳細な研究を行い、以下のことに着眼した。すな
わち、自動車部品等で多用されている、Scが0.94
〜0.98%のねずみ鋳鉄鋳放し材を用い、減衰能を向
上させるために焼入れ処理を施し、かつ、該焼入れ処理
の前に鋳造ひずみ等を除去する目的で焼なまし処理を行
ったところ、意外にもこの焼なまし処理を行ったもの
は、焼なまし処理を行わなかったものに比し、著しく減
衰能が向上する現象が見出された。そこで、本発明者等
は、この焼なまし処理工程を採用した、従来の製造方法
とはまったく異なった新しい高減衰能ねずみ鋳鉄の製造
方法について鋭意研究し、本発明をなすに至ったもので
ある。
関し、詳細な研究を行い、以下のことに着眼した。すな
わち、自動車部品等で多用されている、Scが0.94
〜0.98%のねずみ鋳鉄鋳放し材を用い、減衰能を向
上させるために焼入れ処理を施し、かつ、該焼入れ処理
の前に鋳造ひずみ等を除去する目的で焼なまし処理を行
ったところ、意外にもこの焼なまし処理を行ったもの
は、焼なまし処理を行わなかったものに比し、著しく減
衰能が向上する現象が見出された。そこで、本発明者等
は、この焼なまし処理工程を採用した、従来の製造方法
とはまったく異なった新しい高減衰能ねずみ鋳鉄の製造
方法について鋭意研究し、本発明をなすに至ったもので
ある。
【0010】
【課題を解決するための手段】本発明の高減衰能ねずみ
鋳鉄の製造方法は、重量%で、C:3.2〜3.7%、
Si:1.8〜3.0%、Mn:0.2〜1.5%を含
み、残部が実質的にFeからなり、炭素飽和度が0.9
2〜1.05%になるように原料を溶解し、鋳造して、
鋳放し材を得る工程と、該鋳放し材を焼なまし処理する
工程と、該焼なまし処理を行った材料を焼入れ処理する
工程と、からなることを特徴とする。
鋳鉄の製造方法は、重量%で、C:3.2〜3.7%、
Si:1.8〜3.0%、Mn:0.2〜1.5%を含
み、残部が実質的にFeからなり、炭素飽和度が0.9
2〜1.05%になるように原料を溶解し、鋳造して、
鋳放し材を得る工程と、該鋳放し材を焼なまし処理する
工程と、該焼なまし処理を行った材料を焼入れ処理する
工程と、からなることを特徴とする。
【0011】原料の溶解・鋳造に際しては、鋳鉄の溶解
・鋳造で通常用いられる溶解炉、鋳型を用い、溶解等の
条件も通常の条件で行えば良い。
・鋳造で通常用いられる溶解炉、鋳型を用い、溶解等の
条件も通常の条件で行えば良い。
【0012】次に焼なまし処理は、通常、鋳鉄の鋳造歪
みや加工歪みを除去するために使われている熱処理炉を
用い、通常実施されている条件で行えば良い。望ましく
は、加熱条件として600〜700℃、1〜3時間が良
い。
みや加工歪みを除去するために使われている熱処理炉を
用い、通常実施されている条件で行えば良い。望ましく
は、加熱条件として600〜700℃、1〜3時間が良
い。
【0013】次に、焼入れ処理は、鋳鉄の焼入れ処理で
使われる熱処理炉を用い、通常の条件で行えば良い。該
焼入れ処理によりオーステナイトは10〜30%残留す
る。
使われる熱処理炉を用い、通常の条件で行えば良い。該
焼入れ処理によりオーステナイトは10〜30%残留す
る。
【0014】この焼入れ処理の後に、サブゼロ処理を行
っても良い。該サブゼロ処理により焼入れ処理で残った
残留オーステナイトが減少し、5%以下になるので、残
留オーステナイトの時効変化等に伴う置き狂いや割れを
防ぐことができる。なお、サブゼロ処理を行っても減衰
能は、焼入れ処理のみを施したものと殆ど変わらず高い
値を維持できる。該サブゼロ処理は通常の熱処理で行わ
れている方法、例えば、焼入れ後、速やかに−85℃以
下に保持された容器等の冷却手段の中に装入して行う。
っても良い。該サブゼロ処理により焼入れ処理で残った
残留オーステナイトが減少し、5%以下になるので、残
留オーステナイトの時効変化等に伴う置き狂いや割れを
防ぐことができる。なお、サブゼロ処理を行っても減衰
能は、焼入れ処理のみを施したものと殆ど変わらず高い
値を維持できる。該サブゼロ処理は通常の熱処理で行わ
れている方法、例えば、焼入れ後、速やかに−85℃以
下に保持された容器等の冷却手段の中に装入して行う。
【0015】また、必要があれば鋳造後、鋳放し材を所
定の形状に、旋盤、フライス、研削等で加工処理しても
良い。この加工処理によって歪みが生じても次工程の焼
なまし処理によってこの歪みが除去されるので問題はな
い。
定の形状に、旋盤、フライス、研削等で加工処理しても
良い。この加工処理によって歪みが生じても次工程の焼
なまし処理によってこの歪みが除去されるので問題はな
い。
【0016】
【作用】本発明において、原料の溶解に際し、Scを
0.92〜1.05%になるように原料の組成を調整
し、溶解する。このようにScを限定するのは、Scが
0.92%より小さいと、強度は向上するが黒鉛量が減
少するため減衰能が低下する。また、鋳造性も悪くな
る。一方、Scが1.05%より大きくなると、黒鉛量
が増加するため減衰能は増大するが強度の低下は避けら
れない。そこで、Scを0.92〜1.05%になるよ
うにC、Si、およびMnを調整する。
0.92〜1.05%になるように原料の組成を調整
し、溶解する。このようにScを限定するのは、Scが
0.92%より小さいと、強度は向上するが黒鉛量が減
少するため減衰能が低下する。また、鋳造性も悪くな
る。一方、Scが1.05%より大きくなると、黒鉛量
が増加するため減衰能は増大するが強度の低下は避けら
れない。そこで、Scを0.92〜1.05%になるよ
うにC、Si、およびMnを調整する。
【0017】すなわち、C、Si、およびMnの組成
は、上記Scの範囲で以下の点を考慮して決定される。
Cは、溶解性、鋳造性を良好にするために、3.2%以
上が必要であり、一方、Cが3.7%を越えるとSiと
の関係でScが1.05%より大きくなり強度が低下す
るため好ましくない。Siは、黒鉛化元素であり、片状
黒鉛を生成させるために1.8%以上が必要である。一
方、Siが3.0%より多くなるとCとの関連でScが
1.05%より大きくなり、強度が低下するため好まし
くない。また、Mnは通常の鋳鉄で添加される0.2〜
1.5%を含有させる。
は、上記Scの範囲で以下の点を考慮して決定される。
Cは、溶解性、鋳造性を良好にするために、3.2%以
上が必要であり、一方、Cが3.7%を越えるとSiと
の関係でScが1.05%より大きくなり強度が低下す
るため好ましくない。Siは、黒鉛化元素であり、片状
黒鉛を生成させるために1.8%以上が必要である。一
方、Siが3.0%より多くなるとCとの関連でScが
1.05%より大きくなり、強度が低下するため好まし
くない。また、Mnは通常の鋳鉄で添加される0.2〜
1.5%を含有させる。
【0018】原料の溶解に際し、溶湯中に合金元素とし
て、Mo、Cr、Vのうち1種以上の元素を重量%で
0.2〜0.6%、または、これらの合金元素に加え
て、さらに、Cu、Niのうち1種以上の元素を重量%
で1.0〜2.5%含有せしめても良い。
て、Mo、Cr、Vのうち1種以上の元素を重量%で
0.2〜0.6%、または、これらの合金元素に加え
て、さらに、Cu、Niのうち1種以上の元素を重量%
で1.0〜2.5%含有せしめても良い。
【0019】Mo、Cr、Vはいずれも炭化物形成元素
であり、約10Kgf/mm2 以上の引張り強さを確保
するために含有せしめる。その添加量が0.2%より少
ないと10Kgf/mm2 以上の引張り強さを得ること
ができない。一方、添加量が多くなると多量の炭化物が
析出し、脆くなるため、上限は0.6%とする。
であり、約10Kgf/mm2 以上の引張り強さを確保
するために含有せしめる。その添加量が0.2%より少
ないと10Kgf/mm2 以上の引張り強さを得ること
ができない。一方、添加量が多くなると多量の炭化物が
析出し、脆くなるため、上限は0.6%とする。
【0020】Mo、Cr、Vのうちの1種以上の元素
と、Cu、Niの1種以上の元素を併用添加した場合、
Cu、NiはSiに比べてその効果は小さいが黒鉛化元
素であって、減衰能向上に寄与し、一方でこれらの元素
の添加によるScの変動が少ないという利点があり、ま
たMo、Cr、あるいはV添加による炭化物形成作用を
緩和させるために有効であり、その添加量を1.0〜
2.5%とする。
と、Cu、Niの1種以上の元素を併用添加した場合、
Cu、NiはSiに比べてその効果は小さいが黒鉛化元
素であって、減衰能向上に寄与し、一方でこれらの元素
の添加によるScの変動が少ないという利点があり、ま
たMo、Cr、あるいはV添加による炭化物形成作用を
緩和させるために有効であり、その添加量を1.0〜
2.5%とする。
【0021】本発明に係る高振動減衰能ねずみ鋳鉄の製
造方法は、焼入れ処理工程の前に焼なまし処理を行う点
に最大の特徴を有する。該焼なまし処理によって鋳造時
のひずみを除去するとともに、減衰能を150×10-4
以上と著しく向上させることができる。このように、減
衰能が向上する理由は今のところ明確ではないが、黒鉛
とそれを取り囲む母材との界面に変化が生じ、減衰能の
向上に好都合な状態になったことによるものと推定され
る。
造方法は、焼入れ処理工程の前に焼なまし処理を行う点
に最大の特徴を有する。該焼なまし処理によって鋳造時
のひずみを除去するとともに、減衰能を150×10-4
以上と著しく向上させることができる。このように、減
衰能が向上する理由は今のところ明確ではないが、黒鉛
とそれを取り囲む母材との界面に変化が生じ、減衰能の
向上に好都合な状態になったことによるものと推定され
る。
【0022】次に、焼入れ処理を行う工程によって、母
材の組織にマルテンサイトを生ぜしめる。以上の工程を
経て高振動減衰能ねずみ鋳鉄が得られる。
材の組織にマルテンサイトを生ぜしめる。以上の工程を
経て高振動減衰能ねずみ鋳鉄が得られる。
【0023】
【発明の効果】本発明のねずみ鋳鉄の製造方法によれ
ば、減衰能が150×10-4以上(歪み振幅:1×10
-5の場合)で、かつ、引張り強さが8Kgf/mm2 以
上の高減衰能ねずみ鋳鉄を製造することができる。
ば、減衰能が150×10-4以上(歪み振幅:1×10
-5の場合)で、かつ、引張り強さが8Kgf/mm2 以
上の高減衰能ねずみ鋳鉄を製造することができる。
【0024】
【実施例】まず、表1に示したような組成および炭素飽
和度を有するC、Si、Mnと残部が実質的にFeとか
らなる鋳放し材(試料No.1、2、3)、および合金
元素としてMo、Cr、Vの1種を含む鋳放し材(試料
No.4、5、6)、およびMo、Cr、Vの1種とC
uまたはNiのうちの1種を含む鋳放し材(試料No.
7〜12)を作製した。
和度を有するC、Si、Mnと残部が実質的にFeとか
らなる鋳放し材(試料No.1、2、3)、および合金
元素としてMo、Cr、Vの1種を含む鋳放し材(試料
No.4、5、6)、およびMo、Cr、Vの1種とC
uまたはNiのうちの1種を含む鋳放し材(試料No.
7〜12)を作製した。
【0025】
【表1】
【0026】すなわち、鋳放し材が表1に示す組成にな
るように原料を調整し、高周波炉を用いて溶解し、溶湯
をそれぞれ溶製した。これらの溶湯を1500℃に昇温
した後、出湯時にFe−Siを0.4%ずつ接種し、シ
ェル鋳型(角材;30×30×230mm、丸材;φ3
0×300mm)に鋳込み、鋳造して、鋳放し材を得
た。
るように原料を調整し、高周波炉を用いて溶解し、溶湯
をそれぞれ溶製した。これらの溶湯を1500℃に昇温
した後、出湯時にFe−Siを0.4%ずつ接種し、シ
ェル鋳型(角材;30×30×230mm、丸材;φ3
0×300mm)に鋳込み、鋳造して、鋳放し材を得
た。
【0027】次に、これらの鋳放し材から、減衰能測定
用試験片(3×20×200mm)、引張り強さ測定用
試験片(平行部直径がφ20mm)を切削加工によりそ
れぞれ採取した。
用試験片(3×20×200mm)、引張り強さ測定用
試験片(平行部直径がφ20mm)を切削加工によりそ
れぞれ採取した。
【0028】次に、これら採取した試験片を、酸化防止
のために鋳鉄粉を入れた鋼製の箱の中に埋没させ、マッ
フル炉を用いて焼なまし処理を行った。焼なまし処理
は、焼なまし温度を650℃として行い、この温度で2
時間保持した後冷却した。冷却条件は、650℃から5
50℃までの間は、0.5〜3℃/分炉内で冷却し、そ
の後は空冷した。
のために鋳鉄粉を入れた鋼製の箱の中に埋没させ、マッ
フル炉を用いて焼なまし処理を行った。焼なまし処理
は、焼なまし温度を650℃として行い、この温度で2
時間保持した後冷却した。冷却条件は、650℃から5
50℃までの間は、0.5〜3℃/分炉内で冷却し、そ
の後は空冷した。
【0029】該焼なまし処理の後、これらの試験片に対
し950℃で60分間保持後、油冷して焼入れ処理を施
した。その後、一部の試験片には、さらに、液体窒素中
に30分間浸漬の後、大気中で30分間放冷するサイク
ルを2回繰り返すサブゼロ処理を行った。
し950℃で60分間保持後、油冷して焼入れ処理を施
した。その後、一部の試験片には、さらに、液体窒素中
に30分間浸漬の後、大気中で30分間放冷するサイク
ルを2回繰り返すサブゼロ処理を行った。
【0030】こうして製作した試験片を用いて、減衰能
の測定、引張り強さの測定を行った。減衰能は、両端自
由支持横振動法により測定し、振動の自由減衰曲線から
求めた。なお、減衰能は、歪み振幅によって異なること
が知られているが、本発明では、歪み振幅が1×10-5
のときの値として減衰能を定義した。また、引張り強さ
の測定には、アムスラー試験機を用いた。
の測定、引張り強さの測定を行った。減衰能は、両端自
由支持横振動法により測定し、振動の自由減衰曲線から
求めた。なお、減衰能は、歪み振幅によって異なること
が知られているが、本発明では、歪み振幅が1×10-5
のときの値として減衰能を定義した。また、引張り強さ
の測定には、アムスラー試験機を用いた。
【0031】本実施例に係る試料の減衰能および引張り
強さ測定結果を表2にまとめて示す。この結果より、本
実施例に係る方法により製造した試験片は、いずれも減
衰能が150×10-4以上の高い値を示し、さらに引張
り強さも8Kgf/mm2 以上の値を示していることが
わかる。
強さ測定結果を表2にまとめて示す。この結果より、本
実施例に係る方法により製造した試験片は、いずれも減
衰能が150×10-4以上の高い値を示し、さらに引張
り強さも8Kgf/mm2 以上の値を示していることが
わかる。
【0032】
【表2】
【0033】表3は、比較例として、本発明の特徴であ
る焼なまし処理を行わなかった試験片について、減衰能
および引張り強さの測定を行った結果について示す。こ
の結果より、焼なまし処理を行わなかった試験片の減衰
能は、70×10-4以下の極めて低い値を示しているこ
とがわかる。さらに、鋳放し処理後、焼なまし処理を行
わず焼入れ処理を行った試験片についても、減衰能が1
50×10-4以上を示すものもあるものの、その値は殆
どが150×10-4より低く、値もばらついていること
がわかる。
る焼なまし処理を行わなかった試験片について、減衰能
および引張り強さの測定を行った結果について示す。こ
の結果より、焼なまし処理を行わなかった試験片の減衰
能は、70×10-4以下の極めて低い値を示しているこ
とがわかる。さらに、鋳放し処理後、焼なまし処理を行
わず焼入れ処理を行った試験片についても、減衰能が1
50×10-4以上を示すものもあるものの、その値は殆
どが150×10-4より低く、値もばらついていること
がわかる。
【0034】
【表3】
Claims (2)
- 【請求項1】 重量%で、C:3.2〜3.7%、S
i:1.8〜3.0%、Mn:0.2〜1.5%を含
み、残部が実質的にFeからなり、炭素飽和度が0.9
2〜1.05%になるように原料を溶解し、鋳造して、
鋳放し材を得る工程と、 該鋳放し材を焼なまし処理する工程と、 該焼なまし処理を行った材料を焼入れ処理する工程とか
らなることを特徴とする、高振動減衰能ねずみ鋳鉄の製
造方法。 - 【請求項2】 請求項1において、原料の溶解に際し、
溶湯中に、合金元素として、Mo、Cr、Vのうち1種
以上を重量%で0.2〜0.6%、またはこれらの合金
元素に加えてさらにCu、Niのうちの1種以上を重量
%で1.0〜2.5%含有されてなることを特徴とする
高振動減衰能ねずみ鋳鉄の製造方法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP4089491A JPH05255730A (ja) | 1992-03-13 | 1992-03-13 | 高振動減衰能ねずみ鋳鉄の製造方法 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP4089491A JPH05255730A (ja) | 1992-03-13 | 1992-03-13 | 高振動減衰能ねずみ鋳鉄の製造方法 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH05255730A true JPH05255730A (ja) | 1993-10-05 |
Family
ID=13972226
Family Applications (1)
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JP4089491A Pending JPH05255730A (ja) | 1992-03-13 | 1992-03-13 | 高振動減衰能ねずみ鋳鉄の製造方法 |
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JP (1) | JPH05255730A (ja) |
Cited By (3)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
KR100228049B1 (ko) * | 1997-01-08 | 1999-11-01 | 이성범 | 고감쇠능 방진주철 |
FR2818663A1 (fr) * | 2000-12-22 | 2002-06-28 | Mannesmann Sachs Ag | Alliage de fonte grise pour un element de friction d'un embrayage a friction et element ainsi realise |
JP2008196022A (ja) * | 2007-02-14 | 2008-08-28 | Nagoya Institute Of Technology | Fe−Mn系合金の制振特性向上方法 |
-
1992
- 1992-03-13 JP JP4089491A patent/JPH05255730A/ja active Pending
Cited By (4)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
KR100228049B1 (ko) * | 1997-01-08 | 1999-11-01 | 이성범 | 고감쇠능 방진주철 |
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US6723180B2 (en) | 2000-12-22 | 2004-04-20 | Mannesmann Sachs Ag | Friction clutch comprising a friction element formed of flake graphite alloy |
JP2008196022A (ja) * | 2007-02-14 | 2008-08-28 | Nagoya Institute Of Technology | Fe−Mn系合金の制振特性向上方法 |
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