JPH05255349A - 反応性有機珪素化合物およびその製造方法 - Google Patents

反応性有機珪素化合物およびその製造方法

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JPH05255349A
JPH05255349A JP5565792A JP5565792A JPH05255349A JP H05255349 A JPH05255349 A JP H05255349A JP 5565792 A JP5565792 A JP 5565792A JP 5565792 A JP5565792 A JP 5565792A JP H05255349 A JPH05255349 A JP H05255349A
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JP5565792A
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English (en)
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Tsunemasa Ueno
恒正 上野
Shigefumi Kuramoto
成史 倉本
Tadahiro Yoneda
忠弘 米田
Taisei Fuku
大成 富久
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Nippon Shokubai Co Ltd
Original Assignee
Nippon Shokubai Co Ltd
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  • Addition Polymer Or Copolymer, Post-Treatments, Or Chemical Modifications (AREA)
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 機能性高分子合成用原料などに有用な反応性
有機珪素化合物を提供する。そのような反応性有機珪素
化合物を、OH含有反応性有機化合物の高転化率のもと
に、容易かつ低廉に得る。 【構成】 この反応性有機珪素化合物は、単官能性成分
Aであるメタクリロキシエトキシトリメトキシシランを
50〜95モル%、二官能性成分Bであるビス(メタク
リロキシエトキシ)ジメトキシシランを5〜50モル
%、三官能性成分Cであるトリス(メタクリロキシエト
キシ)メトキシシランを0〜10モル%、四官能性成分
Dであるテトラキス(メタクリロキシエトキシ)シラン
を0〜2モル%の割合からなる。そのような反応性有機
珪素化合物は、テトラメトキシシランと2−ヒドロキシ
エチルメタクリレートを(6〜0.8):1のモル比で
反応させて得られる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】この発明は、種々の高分子化合物
を製造したり、改質したりすることなどに有用な反応性
有機珪素化合物に関するものである。この発明は、ま
た、そのような反応性有機珪素化合物を製造する方法に
関するものである。
【0002】
【従来の技術】重合性二重結合基またはエポキシ基など
の反応性基を有する有機珪素化合物は、モノマーとして
重合に用いられて種々の高分子化合物を製造したり、あ
るいは、架橋剤として添加されて樹脂に架橋反応による
硬化を行わせたりすることができる。このため、そのよ
うな有機珪素化合物は樹脂改質剤、塗料などの用途に有
用である。
【0003】このような反応性基を有する有機珪素化合
物は、一般に、反応性基を有する有機基の炭素原子が酸
素原子を介して珪素原子と結合している構造を有してお
り、次の2つの方法により製造される。 (1)クロロシラン類等のハロゲン化シラン類と前記反
応性基を有するアルコール類との間の置換反応により製
造する方法。この方法は、たとえば、プラスト・マッシ
ー(Plast Massy) 1968 ,(4),28ページ〔ケミカ
ル・アブストラクト(Chem.Abstr., 1968 , (69), 1964
4j〕に記載されているように、アルキルクロロシランと
2−ヒドロキシエチルメタクリレートとの反応である。
【0004】(2)メトキシシラン類またはエトキシシ
ラン類と、前記反応性基を有するアルコール類、フェノ
ール類や不飽和カルボン酸類といったOH含有反応性有
機化合物との間のエステル交換反応によって該メトキシ
基またはエトキシ基を前記OH含有反応性有機化合物残
基で置換することにより製造する方法。この方法は、た
とえば、ジャーナル・オブ・アメリカン・ケミカル・ソ
サイアティー(J.Am.Chem.Soc.), 1946,(68) 73ページ
に記載されているように、テトラエトキシシランとアリ
ルアルコールとの反応である。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】前記方法(1)は、脱
離するハロゲン化物の処理に多大な労力とコストを要す
ること、ハロゲン化物が腐食性を有するため特殊な装置
を要することなど問題が多い。前記方法(2)ではその
ような問題点はないため、方法(2)の方が方法(1)
よりも有用である。しかし、前記方法(2)では、本発
明者らの知見では、OH含有反応性有機化合物が反応液
中に大量に残存し、原料ロスなど経済性が低いという問
題がある。しかも、残存するOH含有反応性有機化合物
は通常、蒸留により除去されるが、高沸点を有する化合
物である場合には、非常に高度な真空と特別な装置を必
要とする。また、抽出によりOH含有反応性有機化合物
を除去しようとすると、工程が煩雑となり、製品ロスが
避けられないという問題がある。
【0006】また、前記方法(2)により得られた生成
物は、そのまま重合反応に用いる場合にはゲル化が起こ
るので利用範囲が限られ、機能性高分子化合物を合成す
るためのモノマー組成物としては好ましいものでない。
発明者らの研究によれば、この理由は次のとおりであ
る。すなわち、テトラエトキシシランとアリルアルコー
ルとの反応により得られた生成物は、1個のエトキシ基
が置換されてなる単官能性成分を33モル%、2個のエ
トキシ基が置換されてなる二官能性成分を40モル%、
3個のエトキシ基が置換されてなる三官能性成分を20
モル%、4個のエトキシ基が置換されてなる四官能性成
分を7モル%含んでおり、架橋成分すなわち二〜四官能
性成分の量が多い。このため、該生成物をそのまま重合
反応に用いると架橋が高度に進む傾向があり、結果とし
てゲル化を起こすのである。そのような組成を有する生
成物が得られるのは、テトラエトキシシラン1モルに対
してアリルアルコールを2モルの割合で反応しているか
らである。
【0007】従来、反応性有機珪素化合物を高分子化合
物の製造、改質などに有用な組成に設定したものは未だ
提案されていない。しかも、そのような反応性有機珪素
化合物を、アルコキシシラン類とOH含有反応性有機化
合物とのエステル交換反応を用いてOH含有反応性有機
化合物が高転化率で反応し、容易かつ低廉に得る方法は
知られていない。
【0008】この発明は、以上のような事情に着目して
なされたもので、機能性高分子合成用原料などに有用な
特定の組成の反応性有機珪素化合物を提供することを課
題とする。この発明は、また、そのような反応性有機珪
素化合物を、OH含有反応性有機化合物の高転化率のも
とに、容易かつ低廉に得ることができる製造方法を提供
することを課題とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】この発明は、上記課題を
解決するために、下記一般式で表される単官能性成分
Aを50〜95モル%、および、下記一般式で表され
る二官能性成分Bを5〜50モル%含む(ただし、Aと
Bの合計は100モル%である。)反応性有機珪素化合
物を提供する。
【0010】この発明の反応性有機珪素化合物は、上記
単官能性成分AおよびBの他に、下記一般式で表され
る三官能性成分Cを10モル%以下、および/または、
下記一般式で表される四官能性成分Dを2モル%以下
の割合(ただし、A、B、CおよびDの合計は100モ
ル%である)で含んでいることが可能である。 R4 p Si(OR3)3-p (OZ)1 … R4 p Si(OR3)2-p (OZ)2 … R4 p Si(OR3)1-p (OZ)3 … Si (OZ)4 … 〔R3 は、水素原子、C数1〜20のアルキル基、C数
1〜20の置換アルキル基、C数5〜10のシクロアル
キル基、C数5〜20の置換シクロアルキル基、C数6
〜20のアリール基、C数6〜20の置換アリール基、
C数7〜20のアラルキル基、C数7〜20の置換アラ
ルキル基、C数1〜20のアシル基およびC数1〜20
の置換アシル基から選ばれる1種の基であり、R3 が1
分子中に複数ある場合、複数のR3 は互いに同一であっ
ても少なくとも1つが異なってもよい。R4 はC数1〜
20の範囲の1価の有機基を示す。Zは重合性二重結合
基またはエポキシ基を有する炭素数22以下の有機基で
あり、Zが1分子中に複数ある場合、複数のZは互いに
同一であっても少なくとも1つが異なってもよい。pは
0,1または2である。〕 なお、ここで、「単官能性」とは重合性二重結合基およ
びエポキシ基から選ばれる反応性基を1個有すること、
「二官能性」とは該反応性基を2個有すること、「三官
能性」とは該反応性基を3個有すること、「四官能性」
とは該反応性基を4個有することを意味する。
【0011】この発明は、また、上記課題を解決するた
めに、一般式: R4 p Si(OR3)4-p … 〔R3 は、水素原子、C数1〜20のアルキル基、C数
1〜20の置換アルキル基、C数5〜10のシクロアル
キル基、C数5〜20の置換シクロアルキル基、C数6
〜20のアリール基、C数6〜20の置換アリール基、
C数7〜20のアラルキル基、C数7〜20の置換アラ
ルキル基、C数1〜20のアシル基およびC数1〜20
の置換アシル基から選ばれる1種の基であり、R3 が1
分子中に複数ある場合、複数のR3 は互いに同一であっ
ても少なくとも1つが異なってもよい。R4 はC数1〜
20の範囲の1価の有機基を示す。pは0,1または2
である。〕で示される珪素化合物(I)と一般式: Z−OH … 〔Zは重合性二重結合基またはエポキシ基を有する炭素
数22以下の有機基である。〕で示されるOH含有反応
性有機化合物(II)を、化合物(II)1モルに対して化
合物(I)6〜0.8モルの割合で反応させて、上記こ
の発明の反応性有機珪素化合物を得る製造方法を提供す
る。
【0012】この発明の方法によれば、ハロゲン化シラ
ン類を用いる必要がないので、ハロゲン化シラン類を用
いた際に生ずる装置上の制約や生成するハロゲン化物の
廃棄処理といった問題もなく、高沸点等の物性のため一
般に除去困難な、一般式で示されるOH含有反応性有
機化合物(II)の除去に伴う煩雑な操作や、未反応の化
合物(II)のロスに伴う経済性の低下の問題を生じるこ
となく、製品中への化合物(II)の残留を極力少なく
し、反応性有機珪素化合物を容易かつ低廉に製造でき
る。
【0013】さらに、この発明の方法を適用することに
より、成分A、B、CおよびDのモル比をそれぞれ、5
0〜95モル%、5〜50モル%、0〜10モル%およ
び0〜2モル%に制御することができ、機能性高分子化
合物の合成等に広く応用可能な反応性有機珪素化合物を
製造することができる。この反応性有機珪素化合物は、
反応性基を利用して重合を行う場合には、含珪素モノマ
ー組成物となり、得られる高分子化合物は、反応性基を
有する反応性ポリマーとなり、無機フィラーの分散、カ
ップリング剤や塗料等に有用である。
【0014】上記一般式中のR3 は、水素原子、C数1
〜20のアルキル基、C数1〜20の置換アルキル基、
C数5〜10のシクロアルキル基、C数5〜20の置換
シクロアルキル基、C数6〜20のアリール基、C数6
〜20の置換アリール基、C数7〜20のアラルキル
基、C数7〜20の置換アラルキル基、C数1〜20の
アシル基およびC数1〜20の置換アシル基から選ばれ
る1種の基であり、Oを介してSiに結合している、す
なわち、R3 −O−Siとなっている。C数1〜20の
アルキル基としては、たとえば、メチル基、エチル基、
n−プロピル基、i−プロピル基、n−ブチル基、se
c−ブチル基、t−ブチル基、n−ペンチル基、i−ペ
ンチル基、アミル基、n−ヘキシル基、n−ヘプチル
基、2−メチルヘキシル基、3−メチルヘキシル基、n
−オクチル基、2−エチルヘキシル基、ノニル基、デシ
ル基、ドデシル基、オクタデシル基等がある。C数5〜
10のシクロアルキル基としては、たとえば、シクロヘ
キシル基等がある。C数6〜20のアリール基として
は、たとえば、フェニル基、トリル基、キシリル基など
がある。C数7〜20のアラルキル基としては、たとえ
ば、ベンジル基などがある。C数1〜20のアシル基と
しては、たとえば、アセチル基、プロピオニル基、ブチ
リル基、エトキシカルボニル基、プロポキシカルボニル
基などがある。C数1〜20の置換アルキル基、C数5
〜20の置換シクロアルキル基、C数6〜20の置換ア
リール基、C数7〜20の置換アラルキル基およびC数
1〜20の置換アシル基としては、それぞれ、たとえ
ば、上記C数1〜20のアルキル基、C数5〜10のシ
クロアルキル基、C数6〜20のアリール基、C数7〜
20のアラルキル基およびC数1〜20のアシル基の各
水素の1または2以上が、たとえば、メトキシ基、エト
キシ基、プロポキシ基などのC数1〜5のアルコキシ
基;アセチル基、プロピオニル基などのC数1〜5のア
シル基などで置換されてなる基がある。
【0015】上記一般式中のR4 は、C数1〜20の1
価の有機基から選ばれる少なくとも1種の基であり、直
接Siと結合している。R4 としては、たとえば、上記
の、C数1〜20のアルキル基、C数1〜20の置換ア
ルキル基、C数5〜10のシクロアルキル基、C数5〜
20の置換シクロアルキル基、C数6〜20のアリール
基、C数6〜20の置換アリール基、C数7〜20のア
ラルキル基、C数7〜20の置換アラルキル基、C数1
〜20のアシル基およびC数1〜20の置換アシル基な
どが挙げられる。
【0016】上記一般式中のZは、重合性二重結合基お
よびエポキシ基から選ばれる1つの反応性基であり、た
とえば、下記一般式(z−1)〜(z−8)で表される
1価の有機基が好ましい。 (z−1) CH2 =C(R1)−COOR2 − (z−2) CH2 =C(R1)−CO− (z−3) CH2 =C(R1)−R2 − (z−4) CH2 =C(R1)−CONHR2 − (z−5) CH2 =C(R1)−CONHR2 −CO− (z−6) CH2 =C(R1)−R2 −CO− 〔一般式(z−1)〜(z−8)中、互いに独立に、R
1 は水素原子またはメチル基、R2 は、炭素数1〜20
の範囲の2価の有機基を表す。〕 ここで、R2 の具体例としては、−Cq 2q−(qは1
〜20の整数)、および、−(Cq 2qO)s −Cr
2r−(qは2〜10の整数、rは2〜10の整数、sは
1〜9の整数、q×s+r≦20)の一般式で表される
もの、たとえば、メチレン基、エチレン基、トリメチレ
ン基、テトラメチレン基、ペンタメチレン基、ヘキサメ
チレン基、ヘプタメチレン基、オクタメチレン基、ノナ
メチレン基、デカメチレン基、ドデカメチレン基、ヘキ
サデカメチレン基、オクタデカメチレン基、プロピレン
基、エチルエチレン基、2−メチルテトラメチレン基、
3−メチルテトラメチレン基などの直鎖状または分岐状
のC数1〜20のアルキレン基;上に例示したアルキレ
ン基における炭素鎖の任意の位置の炭素間に酸素原子が
入った構造を有する、C数1〜20のオキシアルキレン
基などがある。
【0017】上記一般式中のpは0、1または2であ
る。ただし、一般式ではpは0または1である。この
発明の反応性有機珪素化合物は、どのような方法により
製造されてもよいが、この発明の製造方法により作られ
ると、OH含有反応性有機化合物が高転化率で反応し、
容易かつ低廉に得ることができる。
【0018】この発明の製造方法においては、化合物
(I)と化合物(II)の反応時の仕込みモル比が重要で
ある。その範囲は、化合物(I)と(II)のモル比が
6:1〜0.8:1の範囲でなければならない。このモ
ル比が6:1よりも大きい〔化合物(I)の割合が過剰
である〕と、生産性が悪くなり、経済性の低下をきたす
上に、生成物中の成分B〜Dの組成比が極端に低くな
り、反応性ポリマー等の高機能性高分子合成用原料とし
て適さない。これは、成分B〜Dが少ない反応性有機珪
素化合物を共重合させるとZO基がなくなり、反応性ポ
リマーにならないからである。また、そのモル比が0.
8:1より小さいと〔化合物(II)の割合が過剰であ
る〕と、化合物(II)の転化率が上がらず、95%未満
しか進行しなくなり、(II)の残留による製品の純度低
下や、(II)の回収や除去に伴う煩雑な操作と経済性の
悪化の問題を生じ、不適当である。
【0019】上記仕込みモル比の決定にあたり、上述の
反応は、複雑な平衡反応の組み合わせからなるため、発
明者らは試行錯誤の結果到達したのである。この発明の
反応性有機珪素化合物の組成比が上述した範囲である理
由は次のとおりである。成分Aが50モル%未満だと成
分B、CまたはDの組成が高くなりすぎ、重合等に用い
ると、ゲル化が起こりやすくなるという問題がある。成
分Aが95モル%超か、または、成分Bが5モル%未満
だと、成分B、CまたはDの組成が小さくなりすぎ、こ
れら反応性有機珪素化合物を用いて得られる高分子化合
物中に重合性二重結合基やエポキシ基等の反応性基を導
入するだけの反応性官能基量がなくなるという問題があ
る。成分Bが40モル%超だとそのまま重合等に用いる
と架橋が起こりやすくなるという問題がある。成分Cは
必ずしも存在する必要はないが、10モル%超だとその
まま重合等に用いるとゲル化が起こりやすくなるという
問題がある。成分Dも必ずしも含まれている必要はない
が、2モル%超だとそのまま重合等に用いるとゲル化が
起こりやすくなるという問題がある。ただし、成分A、
B、CおよびDの合計量は100モル%である。
【0020】この発明の反応性有機珪素化合物は、機能
性高分子化合物(反応性ポリマー、樹脂改質剤、無機フ
ィラーの分散剤、カップリング剤、塗料等)を合成する
ための原料モノマーとして重合に用いられるという用途
に広く利用可能であるが、用途はここに挙げたものに限
定されない。この発明において化合物(I)として使用
されるものは、たとえば、テトラメトキシシラン、テト
ラエトキシシラン、テトライソプロポキシシラン、テト
ラブトキシシラン、メチルトリメトキシシラン、メチル
トリエトキシシラン、フェニルトリメトキシシラン、フ
ェニルトリエトキシシラン、シクロヘキシルトリペント
キシシラン、ジメチルジメトキシシラン、ジメチルジエ
トキシシラン等のアルコキシシラン化合物;テトラアセ
トキシシラン、メチルトリアセトキシシラン、フェニル
トリアセトキシシラン等のアセトキシシラン化合物;ジ
フェニルジヒドロキシシラン等のシラノール化合物を挙
げることができる。
【0021】この発明において化合物(II)として使用
されるものは、上記一般式で示される化合物、たとえ
ば、アルコール類、フェノール類および不飽和カルボン
酸であり、上記一般式においてZが上記一般式(z−
1)〜(z−8)で示される化合物が好ましい。このよ
うな化合物(II)の具体例を示すと下記のとおりであ
る。 CH2 =C(CH3 )−COOCH2 CH2 OH CH2 =C(CH3 )−COOCH2 CH2 CH2 OH CH2 =C(CH3 )−COOCH2 CH(CH3 )O
H CH2 =C(CH3 )−COOCH2 CH2 CH2 CH
2 OH CH2 =C(CH3 )−COOCH2 CH2 OCH2
2 OH CH2 =CH−COOCH2 CH(CH3 )OH CH2 =CH−COOCH2 CH2 CH2 CH2 OH CH2 =CH−CH2 −OH CH2 =CH−CH2 CH2 OCH2 CH2 OH CH2 =C(CH3 )−CONHCH2 CH2 OH CH2 =CH−CONHCH2 CH2 OH CH2 =CH−COOCH2 CH2 OH CH2 =CH−COOH CH2 =C(CH3 )−COOH 上記化合物(I)と(II)の反応は好ましくは液相で行
う。これは、通常用いる条件下では液相での反応が制御
しやすく、効率も高いからである。反応条件下において
反応混合物が液状であれば溶媒を用いる必要は必ずしも
ないが、固体の場合や液体の場合でも必要に応じて溶媒
に溶解して反応を行うこともできる。ここで使用される
溶媒としては、反応の進行に悪影響を与えない限り特に
制限なく使用できるが、たとえば、トルエン、キシレン
等の芳香族炭化水素系溶媒;ヘキサン、ヘプタン、オク
タン等の脂肪族炭化水素系溶媒;クロロホルム、塩化メ
チレン、ジクロロエタン等のハロゲン化炭化水素系溶
媒;テトラヒドロフラン、ジオキサン、n−ブチルエー
テル等のエーテル系溶媒;メチルエチルケトン、メチル
イソブチルケトン等のケトン系溶媒が使用できる。
【0022】また、上記化合物(I)と(II)の反応の
際には、用いる原料および生成物の物性によっては重合
禁止剤等の添加物を存在させることもできる。ただし、
交換反応の際に反応系に水が存在すると、珪素化合物
(I)が有するR3 O基の加水分解および縮合が生じる
ため、水を極力存在させない方が好ましく、存在したと
しても1000ppm以下に抑えることが好ましい。
【0023】上記化合物(I)と(II)の反応には、通
常、平衡をずらして反応速度を速めるという理由から触
媒が使用される。この発明において用いる触媒とは、酸
性および/または塩基性を有し、アルコキシシラン類の
アルコキシ基を交換するという反応に用いられる物質で
あれば特に限定されないが、例示すると以下のものが挙
げられる。
【0024】(a)イオン交換樹脂 アンバーライト15、アンバーライト200C、アンバ
ーリスト15(以上、ローム・アンド・ハース社製);
ダウエックスMWC−1−H、ダウエックス88、ダウ
エックスHCR−W2(以上、ダウ・ケミカル社製);
レバチットSPC−108、レバチットSPC−118
(以上、バイエル社製);ダイヤイオンRCP−150
H(三菱化成社製);スミカイオンKC−470、デュ
オライトC−433、デュオライト−464(以上、住
友化学工業社製);ナフィオン−H(デュポン社製)な
どの陽イオン交換樹脂;アンバーライトIRA−40
0、アンバーライトIRA−45(以上、ローム・アン
ド・ハース社製)などの陰イオン交換樹脂。
【0025】(b)プロトン酸基を含有する基が表面に
結合されている無機固体 Zr(O3 PCH2 CH2 SO3 H)2 、Th(O3
CH2 CH2 COOH)2 など。 (c)ヘテロポリ酸 コバルトタングステン酸、リンモリブデン酸など。
【0026】(d)イソポリ酸 ニオブ酸、タンタル酸、モリブデン酸など。 (e)単元系金属酸化物 アルミナ、クロミア、ジルコニア、CaO、MgO、T
2 3 など。 (f)複合系金属酸化物 シリカ−アルミナ、シリカ−マグネシア、シリカ−ジル
コニア、ゼオライト類など。
【0027】(g)粘土鉱物 酸性白土、活性白土、モンモリロナイト、カオリナイト
など。 (h)無機酸および/または有機酸 塩酸、硝酸、硫酸、燐酸、蟻酸、酢酸、プロピオン酸、
シュウ酸、p−トルエンスルホン酸など。
【0028】(i)アミノ基含有化合物 トリエチルアミン、トリプロピルアミンなど。 (j)アルカリ金属水酸化物および/または有機アルカ
リ金属化合物 水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、ナトリウムメトキ
シド、カリウムエトキシド、カリウム−t−ブトキシド
など。
【0029】これらの触媒のうち、少なくとも1種を用
いて化合物(I)と化合物(II)を反応させる。中でも
反応系に不溶な物質(いわゆる、固体触媒)は、反応終
了後に容易に除去でき、しかも、系外へ完全に除去でき
るため、反応終了後における、反応生成物の組成比を安
定にしうる点で好ましいものである。反応を行うに際し
ては、バッチ式に行うこともできるし、固定床中に担持
した触媒を用いて流通式に行うこともできる。触媒使用
量は、化合物(I)と(II)の合計重量に対し、通常
0.001〜15重量%使用すれば十分である。反応の
際に副生するR3−OHを逐次反応系外に除去する方
が、反応の進行に好ましい。
【0030】反応温度は、原料および生成物の物性や安
定性に応じて適宜選択されるが、通常、10〜200℃
の範囲で行うことが好ましい。反応時の圧力は1×10
-3〜7600Torrの範囲が好ましい。反応時間は特に制
限はないが、化合物(II)の転化率が95%以上となる
時間が好ましく、選択した条件にもよるが、通常、反応
時間は10時間以内である。
【0031】反応終了後、触媒は反応系外へ除去する方
が、反応生成物の組成比を安定にしうる点で好ましい。
反応系に不溶な固体触媒を使用した時は、濾過や遠心分
離等により除去する。一方、反応系に溶解する触媒を使
用した時は、生成した反応性有機珪素化合物が溶解する
非極性溶媒、たとえば、ベンゼン、トルエン、キシレン
等の芳香族炭化水素類;n−ヘキサン、シクロヘキサン
等の脂肪族炭化水素類;四塩化炭素、クロロホルム、塩
化メチレン等のハロゲン化炭化水素類等に反応液を溶解
してなる溶液中に酸または塩基を添加して触媒を中和
し、生成した塩を濾過したりあるいは水で抽出したりし
た後、脱水処理を行って使用した非極性溶媒を留去する
方法や陽または陰イオン交換樹脂により触媒を除去する
方法等がとられる。
【0032】この発明の反応性有機珪素化合物は、OH
含有反応性有機化合物が高転化率で反応しているが、珪
素化合物のような原料の未反応物、溶剤、あるいは、副
生物が残存していてもよい。
【0033】
【作用】反応性有機珪素化合物において、成分Aが50
〜95モル%の範囲内、成分Bが5〜50モル%の範囲
内、成分Cが0〜10モル%の範囲内、かつ、成分Dが
0〜2モル%の範囲内であると機能性高分子化合物の合
成、樹脂の改質に安定して使用できる。
【0034】上記化合物(I)と(II)を、化合物(I
I)1モルに対して化合物(I)6〜0.8モルの割合
で反応させることにより、上記特定の組成を有する反応
性有機珪素化合物が得られる。しかも、OH含有反応性
有機化合物の転化率が非常に高い。
【0035】
【実施例】以下に、この発明の具体的な実施例および比
較例を示すが、この発明は下記実施例に限定されない。 (実施例1)テトラメトキシシラン400g(2.63
モル)と2−ヒドロキシエチルメタクリレート171g
(1.31モル)の中にアンバーリスト15(ローム・
アンド・ハース・ジャパン社製の陽イオン交換樹脂)3
gを触媒として加え(この時、水分はカールフィッシャ
ー法で検出されなかった。)、200Torrの圧力下で8
0℃まで2時間かけて昇温し、留出する液体がほとんど
なくなるまで同温度で2時間保持した。このとき、2−
ヒドロキシエチルメタクリレートの転化率は98.0重
量%であった。その後、反応液を室温まで冷却して濾過
し、反応液からアンバーリスト15を除去した。この濾
液から10Torrの圧力下に過剰のテトラメトキシシラン
を留去し、反応性有機珪素化合物(1)292.2gを
製造した。この反応性有機珪素化合物(1)を高速液体
クロマトグラフィー(HPLC)により分析すると、単
官能性成分Aであるメタクリロキシエトキシトリメトキ
シシラン220.4g(0.880モル、81.98モ
ル%)、二官能性成分Bであるビス(メタクリロキシエ
トキシ)ジメトキシシラン62.3g(0.178モ
ル、16.64モル%)、三官能性成分Cであるトリス
(メタクリロキシエトキシ)メトキシシラン6.8g
(0.015モル、1.42モル%)、四官能性成分D
であるテトラキス(メタクリロキシエトキシ)シラン
0.1g(0.0002モル、0.02モル%)を含ん
でいた。なお、反応性有機珪素化合物(1)には、未反
応原料であるテトラメトキシシラン、2−ヒドロキシエ
チルメタクリレートおよびメタノールがそれぞれ0.9
g、1.6gおよび0.1g含まれていた。
【0036】実施例1で用いた原材料(化合物(I)、
化合物(II)および触媒)、化合物(II)の転化率、製
造された反応性有機珪素化合物の成分A〜D組成、およ
び、製品取得量を表1に示した。 (実施例2〜6)化合物(I)、(II)および触媒とし
て表1および2に示すものを用いたこと以外は実施例1
と同じ操作を繰り返し、反応性有機珪素化合物(2)〜
(7)を製造した。結果を表1および2に示した。な
お、交換反応の際には、反応系に水分はカールフィッシ
ャー法で検出されなかった。
【0037】
【表1】
【0038】
【表2】
【0039】(実施例7)アンバーリスト15をジャケ
ットのついたカラム(内径1cm、長さ25cm)に充填
し、内部にはトルエンを満たしておき、ジャケットに温
水を流し、内温が60℃になるようにした。この中へ、
テトラエトキシシラン114.6g(0.55モル)、
2−ヒドロキシエチルメタクリレート13.0g(0.
1モル)およびトルエン100gの混合液を5g/分の
速度で通液した(この時、水分はカールフィッシャー法
で検出されなかった。)。該混合液がすべてカラムを通
過した後にトルエン50gを通液して洗浄し、流下液を
集めて、反応性有機珪素化合物(7)274.5gを製
造した。このときの2−ヒドロキシエチルメタクリレー
トの転化率は99.1重量%であった。この反応性有機
珪素化合物(7)をHPLCで分析すると、単官能性成
分Aであるメタクリロキシエトキシトリエトキシシラン
25.20g(0.0862モル、93.6モル%)、
二官能性成分Bであるビス(メタクリロキシエトキシ)
ジエトキシシラン1.89g(0.0050モル、5.
4モル%)、三官能性成分Cであるトリス(メタクリロ
キシエトキシ)エトキシシラン0.43g(0.000
9モル、0.3モル%)、四官能性成分Dであるテトラ
キス(メタクリロキシエトキシ)シラン0.001g
(0.000002モル、0.002モル%)を含んで
いた。なお、反応性有機珪素化合物(7)には、トルエ
ン147.1g、テトラエトキシシラン95.2g、2
−ヒドロキシエチルメタクリレート0.1gおよびエタ
ノール4.6gが含まれていた。
【0040】(比較例1)テトラメトキシシラン15
2.2g(1モル)と2−ヒドロキシエチルメタクリレ
ート260.3g(2モル)を用いて実施例1と同様の
操作を繰り返し、比較反応性有機珪素化合物(1)34
2.2gを得た。その結果、2−ヒドロキシエチルメタ
クリレートの転化率は85.1%であった。この比較反
応性有機珪素化合物(1)をHPLCによって分析する
と、メタクリロキシエトキシトリメトキシシラン79.
2g(0.316モル、35.8モル%)、ビス(メタ
クリロキシエトキシ)ジメトキシシラン120.7g
(0.345モル、39.1モル%)、トリス(メタク
リロキシエトキシ)メトキシシラン86.5g(0.1
93モル、21.8モル%)、テトラキス(メタクリロ
キシエトキシ)シラン16.1g(0.0294モル、
3.3モル%)を含んでいた。なお、比較反応性有機珪
素化合物(1)には、2−ヒドロキシエチルメタクリレ
ート35.5g、テトラメトキシシラン4.0gおよび
メタノール0.2gが含まれていた。
【0041】(試験例1)攪拌機、滴下口、温度計、冷
却管およびN2 ガス導入口を備えた1リットルのガラス
製反応器に有機溶剤としてトルエン400gを入れ、N
2 ガスを導入しながらトルエンを110±2℃の温度に
調整した。ついで、攪拌しながら、実施例1で得られた
反応性有機珪素化合物(1)100g、ラジカル重合開
始剤として2,2’−アゾビスイソブチロニトリル6.
0gを混合した溶液を滴下口より1時間かけて滴下し
た。滴下後も同温度で1時間攪拌を続けた後、2,2’
−アゾビスイソブチロニトリル0.4gを30分おきに
2回添加し、更に2時間加熱して共重合を行い、数平均
分子量が6,500の含珪素反応性ポリマー(1)がト
ルエンに溶解した溶液(S1 )を製造した。該溶液(S
1 )10gをアルミニウムカップに採取し、150℃で
6時間真空乾燥してトルエンおよび残存モノマーを留去
して不揮発分量を調べたところ、1.92gであった。
すなわち、該溶液(S1 )中の含珪素反応性ポリマー
(1)の濃度は19.2重量%であり、重合率は96%
であった。
【0042】ついで、含珪素反応性ポリマー(1)中の
重合可能な不飽和基の反応性を確認するため、以下の方
法で調べた。攪拌機、温度計、冷却管およびN2 ガス導
入口を備えた200mlの4つ口フラスコに含珪素反応性
ポリマー(1)のトルエン溶液(S1 )40g、メチル
メタクリレート30g、トルエン40gおよびラジカル
重合開始剤として2,2’−アゾビスイソブチロニトリ
ル2.0g混合し、N 2 ガスを導入しながら攪拌し、9
0℃で加熱したところ、系全体がゲル化した。このこと
から含珪素反応性ポリマー(1)に重合可能な不飽和基
が存在していることがわかった。
【0043】(試験例2〜7)試験例1において、反応
性有機珪素化合物(1)の代わりに実施例2〜7で得ら
れた反応性有機珪素化合物(2)〜(7)を用いて試験
例1と同様にして含珪素反応性ポリマー(2)〜(7)
がトルエンに溶解した溶液(S2 )〜(S7 )を得た。
また、得られた含珪素反応性ポリマー(2)〜(7)中
の重合可能な不飽和基の反応性を確認するため、試験例
1と同様に行ったところ、系全体がゲル化した。このこ
とから、含珪素反応性ポリマー(2)〜(7)に重合可
能な不飽和基が存在していることがわかった。
【0044】(試験例8−a)試験例1において、反応
性有機珪素化合物(1)100gを用いる代わりにメチ
ルメタクリレート280g、ラウリルメタクリレート1
00g、実施例1で得られた反応性有機珪素化合物
(1)20gを用い、ラジカル重合開始剤として2,
2’−アゾビスイソブチロニトリル6gを用いた以外は
試験例1と同様にして重合率97%、数平均分子量1
2,000の含珪素反応性ポリマー(8)がトルエンに
溶解してなる溶液(S8 )を得た。また、得られた含珪
素反応性ポリマー(8)中の反応性を確認するため、試
験例1と同様にして行ったところ、系全体がゲル化し
た。このことから含珪素反応性ポリマー(8)に重合可
能な不飽和基が存在していることがわかった。
【0045】(試験例8−b)メチルメタクリレート1
00重量部と、試験例8−aで調製した含珪素反応性ポ
リマー(8)のトルエン溶液(S8 )10重量部を混合
攪拌しながら、水酸化アルミニウム(昭和電工株式会社
製、商品名「ハイジライトH−320」、平均粒径9μ
m)300重量部を添加したところ、添加直後から減粘
効果が見られ、その時のスラリーの粘度は7ポイズであ
った。そのまま、攪拌を2時間続けた後、再び粘度を測
定したところスラリーの粘度は4ポイズであった。一
方、含珪素反応性ポリマー(8)のトルエン溶液
(S8 )を用いない系について同様の操作を行ったとこ
ろ、スラリー化ができず、水酸化アルミニウムが凝集塊
となって攪拌できない状態であった。このことより、含
珪素反応性ポリマー(8)は、無機フィラーの分散効果
を有していることがわかった。
【0046】(試験例8−c)表面がアルマイト加工さ
れ、更に、フッ素系の離型剤を塗布した2枚のAl板に
8mm角の四フッ化エチレン樹脂(デュポン社の商品名
「テフロン」)板を挟み、シーリング材で目止めして、
その中へ試験例8−bで調製したスラリー(粘度4ポイ
ズ)415重量部にt−ブチルパーオクトエート0.2
重量部を添加してよく混合したスラリーを注入した。注
入物を脱泡後、63℃の恒温槽中で2時間加熱し、更
に、130℃で4時間加熱した。得られた注型板を日本
工業規格(JIS)K−6911に従ってアイゾット衝
撃値(ノッチなし)を測定したところ、3.6kgcm/cm
2 であった。一方、含珪素反応性ポリマー(8)のトル
エン溶液(S8 )の代わりに湿潤分散剤としてビック・
ケミー・ジャパン社製のW−980を0.8重量部添加
して同様に行ったところ、重合前のスラリーの粘度は
1.6ポイズであり、また、注型板のアイゾット衝撃値
は1.8kgcm/cm2 であった。このことより含珪素反応
性ポリマー(8)はカップリング効果も有していること
がわかった。
【0047】(試験例9−a)試験例1において、反応
性有機珪素化合物(1)100gを用いる代わりにメチ
ルメタクリレート100g、ブチルアクリレート60
g、実施例4で得られた反応性有機珪素化合物(4)4
0gを用い、ラジカル重合開始剤として2,2’−アゾ
ビスイソブチロニトリル8gを用いた以外は試験例1と
同様にして重合率95%、数平均分子量7,200の含
珪素反応性ポリマー(9)がトルエンに溶解してなる溶
液(S9 )を得た。また、得られた含珪素反応性ポリマ
ー(9)中の反応性を確認するため、試験例1と同様に
して行ったところ、系全体がゲル化した。このことから
含珪素反応性ポリマー(9)に重合可能な不飽和基が存
在していることがわかった。
【0048】(試験例9−b)試験例9−aで調製した
含珪素反応性ポリマー(9)のトルエン溶液(S9 )を
アセトニトリルで再沈精製して含珪素反応性ポリマー
(9)を得た。この含珪素反応性ポリマー(9)30重
量部、光重合開始剤としてイルガキュア651(日本チ
バ・ガイギー社製、2,2−ジメトキシ−2−フェニル
アセトフェノン)5重量部をメチルメタクリレート70
重量部に溶解させてなる溶液をガラス板にスピンコート
(500rpm 、5秒)し、すぐにポリエチレンテレフタ
レートフィルムをガラス板の上にかぶして窒素雰囲気下
で紫外線を2秒間照射して被膜を得た。紫外線ランプ入
力は120W/cmであった。
【0049】得られた被膜の水に対する接触角は81°
であり、JIS K−5400に準拠した碁盤目剥離試
験による被膜のガラス基板に対する密着性は100/1
00であった。一方、含珪素反応性ポリマー(9)を用
いずに同様にして被膜を合成したところ、得られた被膜
の水に対する接触角は67°であり、ガラス基板に対す
る密着性は30/100であった。このことより、含珪
素反応性ポリマー(9)は最終的に得られる被膜に撥水
性を付与することができ、しかも、ガラス基板との密着
性を向上させることがわかった。
【0050】(比較試験例1)試験例1において、反応
性有機珪素化合物(1)の代わりに比較例1で得られた
比較反応性有機珪素化合物(1)100gを用いたこと
以外は同様にして共重合を行ったところ、滴下終了後に
ゲル化が生じた。
【0051】
【発明の効果】この発明の反応性有機珪素化合物を重合
に供すれば、得られる高分子化合物は反応性基を有する
反応性ポリマーとなり、無機フィラーの分散、カップリ
ング剤、塗料、樹脂改質剤等に有用である。この発明の
製造方法によれば、原料、特にOH含有反応性有機化合
物の高転化率のもと、容易かつ低廉に、この発明の反応
性有機珪素化合物を製造できる。この結果、機能性材料
を容易に得ることができ、機能性高分子合成に極めて有
用である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.5 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 C08F 220/56 MNG 7242−4J 230/08 MNU 7242−4J C08K 5/54 KCD 7242−4J (72)発明者 富久 大成 大阪府吹田市西御旅町5番8号 株式会社 日本触媒中央研究所内

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 下記一般式で表される単官能性成分A
    を50〜95モル%、および、下記一般式で表される
    二官能性成分Bを5〜50モル%含む(ただし、AとB
    の合計は100モル%である。)反応性有機珪素化合
    物。 R4 p Si(OR3)3-p (OZ)1 … R4 p Si(OR3)2-p (OZ)2 … 〔R3 は、水素原子、C数1〜20のアルキル基、C数
    1〜20の置換アルキル基、C数5〜10のシクロアル
    キル基、C数5〜20の置換シクロアルキル基、C数6
    〜20のアリール基、C数6〜20の置換アリール基、
    C数7〜20のアラルキル基、C数7〜20の置換アラ
    ルキル基、C数1〜20のアシル基およびC数1〜20
    の置換アシル基から選ばれる1種の基であり、R3 が1
    分子中に複数ある場合、複数のR3 は互いに同一であっ
    ても少なくとも1つが異なってもよい。R4 はC数1〜
    20の範囲の1価の有機基を示す。Zは重合性二重結合
    基またはエポキシ基を有する炭素数22以下の有機基で
    あり、Zが1分子中に複数ある場合、複数のZは互いに
    同一であっても少なくとも1つが異なってもよい。pは
    0,1または2である。〕
  2. 【請求項2】 下記一般式で表される三官能性成分C
    を10モル%以下、および、下記一般式で表される四
    官能性成分Dを2モル%以下の割合(ただし、A、B、
    CおよびDの合計は100モル%である。)で含む請求
    項1記載の反応性有機珪素化合物。 R4 p Si(OR3)1-p (OZ)3 … Si (OZ)4
  3. 【請求項3】 一般式: R4 p Si(OR3)4-p … 〔R3 は、水素原子、C数1〜20のアルキル基、C数
    1〜20の置換アルキル基、C数5〜10のシクロアル
    キル基、C数5〜20の置換シクロアルキル基、C数6
    〜20のアリール基、C数6〜20の置換アリール基、
    C数7〜20のアラルキル基、C数7〜20の置換アラ
    ルキル基、C数1〜20のアシル基およびC数1〜20
    の置換アシル基から選ばれる1種の基であり、R3 が1
    分子中に複数ある場合、複数のR3 は互いに同一であっ
    ても少なくとも1つが異なってもよい。R4 はC数1〜
    20の範囲の1価の有機基を示す。pは0,1または2
    である。〕で示される珪素化合物(I)と一般式: Z−OH … 〔Zは重合性二重結合基またはエポキシ基を有する炭素
    数22以下の有機基である。〕で示されるOH含有反応
    性有機化合物(II)を、化合物(II)1モルに対して化
    合物(I)6〜0.8モルの割合で反応させて請求項1
    または2記載の反応性有機珪素化合物を得る製造方法。
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