JPH05255125A - 徐放性製剤およびその製法 - Google Patents

徐放性製剤およびその製法

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JPH05255125A
JPH05255125A JP4044136A JP4413692A JPH05255125A JP H05255125 A JPH05255125 A JP H05255125A JP 4044136 A JP4044136 A JP 4044136A JP 4413692 A JP4413692 A JP 4413692A JP H05255125 A JPH05255125 A JP H05255125A
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drug
release
matrix
sustained
hydroxypropylmethylcellulose
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JP4044136A
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Koichiro Tawara
浩一郎 田原
Toshiaki Nishihata
利明 西畑
Shigeharu Yokohama
重晴 横浜
R Nixon Philip
フィリップ・アール・ニクソン
W Skorg John
ジョン・ダブリュー・スコーグ
A White Brent
ブレント・エイ・ホワイト
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Upjohn Co
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    • AHUMAN NECESSITIES
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 所望の放出特性が実現できるポリマーマトリ
ックス型徐放剤およびその製法を提供する。 【構成】 ヒドロキシプロピルメチルセルロースを主た
る基剤とする、所定の関係式に従って、薬物が放出され
る徐放性製剤。放出の制御はヒドロキシプロピルメチル
セルロースの置換度や平均分子量を調節し、さらに水溶
性添加剤を適宜配合することにより行われる。かかる徐
放性製剤は、部分湿式造粒法、即ち、薬物を結合剤を用
いて湿式造粒した後に乾燥して薬物顆粒とする方法を採
用し、しかる後にヒドロキシプロピルメチルセルロース
および水溶性成分を混合し、打錠することによって得ら
れる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、ポリマーマトリックス
型徐放性製剤およびその製法、さらに詳しくは、薬物の
放出が、基剤としてのヒドロキシプロピルメチルセルロ
ース(HPMC)の形成するポリマーマトリックスの膨
潤性及び崩壊性を制御することによって所望のものに調
節できるポリマーマトリックス型徐放性製剤およびその
製法に関する。
【0002】
【従来の技術】薬物を製剤技術により徐放ないしは溶出
制御することによって、投与時の血中薬物濃度を適正レ
ベルに長時間保つことで、臨床上の投与回数を減じ、ま
た、急激な薬物血中濃度の上昇を抑制し、副作用の発現
を抑える方法がある。この方法は、その服用の簡便さか
ら、特に経口投与製剤において有用性が示されている。
【0003】また、ヒドロキシプロピルメチルセルロー
スを基剤とする徐放性製剤が従来から知られているがこ
れらはいずれも直接打錠法によって製造されるものしか
報告されていない[ジェイ・イー・ホーガン(J.E.Hoga
n),ドラッグ・ディベロップメント・アンド・インダス
トリアル・ファルマシー(Drug Dev.Ind.Pharam.),1
5,975(1989)参照]。かかる直接打錠法によ
る製造は、工程が簡便である反面、徐放化の対象となる
薬物の物性に依存し、1)混合性悪化、2)混合末の流
動性悪化、3)打錠時の障害(臼杵への接着、錠剤硬度
不良等)がしばしば観察される。これらの現象は、特に
対象となる薬物の1錠中含量が高くなるにつれて顕著に
現れる。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】前記したごとく徐放性
製剤は有用なものであるが、従来、徐放化の対象となる
薬物の物性に依存せず、従ってより広く適応できる製剤
設計概念は機構論的裏付けによって確立されていなかっ
た。本発明の課題は、特に、ヒドロキシプロピルメチル
セルロースを主たる基剤とするマトリックス型経口徐放
性製剤において、かかる確立を図り、所望の放出特性を
任意に付与できる製剤を提供することにある。
【0005】また、本発明のもう1つの課題は、従来の
直接打錠法によって生じる種々の障害を解決し、徐放化
の対象となる薬物の物性に依存せず、1錠中の薬物含量
が高い場合でも前記した混合性の悪化等が回避できる、
より広い薬物に対して適用できる技術としての徐放性製
剤の製法を提供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】ヒドロキシプロピルメチ
ルセルロースは非イオン性セルロースエーテルであり、
置換基としてメトキシル基及びヒドロキシプロポキシル
基を有する。日本薬局方によると、各置換基の置換度に
応じて、2910 (メトキシル基; 28−30%、ヒ
ドロキシプロポキシル基; 7−12%)、2906
(メトキシル基;27−30%、ヒドロキシプロポキシル
基; 4−7.5%)および、2208(メトキシル基;
19−24%、ヒドロキシプロポキシル基; 4−12
%)と分類され、その平均分子量の指標として、水溶液
の粘度が示されている。また、一般にその性質として、
ヒドロキシプロピルメチルセルロースは親水性及び高粘
性であるため、高い保水性を有する。ヒドロキシプロピ
ルメチルセルロースを経口徐放性製剤の基剤として応用
する場合、前記特性が薬物放出性へ与える影響を明らか
にすることが、製剤設計概念の確立にとって必要不可欠
である。
【0007】そこで、本発明者らは、1)製剤に含まれ
るヒドロキシプロピルメチルセルロースの置換度変化に
よるポリマーマトリックスの膨潤性及び崩壊性の制御、
及び、薬物放出特性 2)製剤に含まれるヒドロキシプ
ロピルメチルセルロースの粘度変化によるポリマーマト
リックスの膨潤性及び崩壊性の制御、及び、薬物放出特
性 3)ヒドロキシプロピルメチルセルロースの形成す
るマトリックスに乳糖などの高い水溶性成分を配合分散
させることによるポリマーマトリックスの膨潤性及び崩
壊性の制御、及び、薬物放出特性を明らかにするために
鋭意研究を進めてきた。
【0008】その結果、ポリマーマトリックスを形成す
る基剤としてヒドロキシプロピルメチルセルロースを用
いる場合において、その置換度や平均分子量を適宜選択
し、要すれば水溶性添加剤(乳糖等)等を配合して、一
定の関係式に従って薬物を放出できるようにすると、所
望の放出性を任意に実現できる徐放性製剤が得られると
いう知見を得た。
【0009】本発明は、かかる知見に基づいてなされた
ものであり、ヒドロキシプロピルメチルセルロースを主
たる基剤とし、以下の関係式;
【数3】 [式中、Csは薬物の溶解度、Aはマトリックスの単位
容積中に存在する全薬物量、VIはマトリックス内有効
容積、Qdはt時間後の薬物放出量、Sqは全表面積、D
はマトリックス中の薬物の拡散係数、τは毛細管系の曲
路率、Qtは全薬物放出量、Qoは1錠中に含まれる薬物
含量、k2は見掛けの薬物顆粒からの薬物の放出速度定
数を意味する]に従って薬物を放出するポリマーマトリ
ックス型徐放性製剤を提供するものであり、本発明によ
り、意図した薬物放出特性の実現が可能となる。
【0010】まず、本発明で用いる徐放化の対象となる
生理活性薬物は特に限定されるものではなく、従来の技
術と同様に、生体に投与された際の薬物血中濃度の有効
域と安全域の近い薬物、頻煩な投与に困難を伴う薬物の
場合に特に顕著な効果が奏される。有効域と安全域の極
めて近い薬物の代表例としては、キサンチン誘導体であ
るテオフィリン及びアミノフィリン等が挙げられる。ま
た、頻煩な投与が困難な薬物としては、向精神薬(メタ
ンスルホン酸アジナゾラムU−41123F(アップジ
ョン社商品番号)、U−78875(アップジョン社商
品番号)、アルプラゾラム(U−31889(アップジ
ョン社商品番号))、トリアゾラム(U−33030
(アップジョン社商品番号))、U−93385(アッ
プジョン社商品番号))等が挙げられる。
【0011】また、高水溶性薬物、例えば、合成局所麻
酔剤(プロカインアミド)、解熱性鎮痛剤(サリチル酸ナ
トリウム、アスピリン、サリチルアミド、エトキシベン
ズアミド、ザザピリン、アスピリンアルミニウム、サイ
チル酸メチル、エテンザミド、アンチピリン、スルピリ
ン、アミノピリン、フェニルブタゾン、イソプロピルア
ンチピリン、アセトアニリド、フェナセチン、アセトア
ミノフェン、イブプロフェン、フルルビプロフェン)等
も用いられる。一方、難水溶性薬物、例えば、血栓溶解
作用剤(イタジグレル(U−53059(アップジョン
社商品番号)))、抗悪性腫瘍剤(メノガリル(U−520
47(アップジョン社商品番号))、ブロピリミン(U−
54461S(アップジョン社商品番号)))及びビタミ
ン剤(補酵素型ビタミンB12)等も用いることができ
る。
【0012】さらに、本発明の徐放技術は、直接人体へ
の適応を目的とするものではないが、食品の保存料とし
て広く用いられているパラオキシ安息香酸エステル類
(パラオキシ安息香酸メチル、パラオキシ安息香酸エチ
ル、パラオキシ安息香酸プロピル、パラオキシ安息香酸
イソプロピル、パラオキシ安息香酸ブチル、及びパラオ
キシ安息香酸イソブチル)に対しても適応でき、本発明
を適用してかかる化合物を徐放化した防腐剤、その他動
物用医薬品、農薬(除草剤、防虫剤、防黴剤)等も本発
明の徐放性製剤に含まれる。
【0013】本発明においては、これらの薬物の1種の
みならず2種以上を含有させて徐放化の対象とでき、そ
の量は徐放化の目的等に応じて適宜選択できる。
【0014】本発明の製剤では、ヒドロキシプロピルメ
チルセルロースを基剤の主成分として配合する。このヒ
ドロキシプロピルメチルセルロースを、その置換度(メ
トキシル基、ヒドロキシプロポキシル基)及び平均分子
量(粘度グレード)に応じて選択することにより徐放性を
調節することができる。また、乳糖、白乳、D−マンニ
トール、D−ソルビトールのような水溶性成分を配合
し、ヒドロキシプロピルメチルセルロースとの配合比を
変化させることによって徐放性を調節することもでき
る。その他、通常の製剤の場合と同様に、賦型剤、結合
剤、滑沢剤、安定化剤等を適宜配合することができる。
【0015】このような成分の選択、配合は、前記関係
式に従う薬物の放出が得られるように行う。これは、所
定の薬物についての溶出試験をくり返して行うことによ
り、容易に行うことができる。
【0016】以下、本発明のヒドロキシプロピルメチル
セルロースを主たる基剤とするポリマーマトリックス型
経口徐放錠の製法を説明する。本発明の製法は「部分湿
式造粒法」と称することができ、これは、徐放化の対象
となる薬物を、トウモロコシデンプン、ヒドロキシプロ
ピルセルロース等の結合剤を用いて湿式造粒を施した後
乾燥し、薬物顆粒を得る方法である。得られた顆粒にさ
らにヒドロキシプロピルメチルセルロースおよび水溶性
成分を加えて製剤化する。かかる造粒工程を採用するこ
とにより、第一に徐放の対象となる薬物の物性に基づく
圧縮成型時の障害がマスクされ、第二に徐放の対象とな
る薬物の分散性が高められ、これにより、対象となる薬
物の適応範囲を極めて広汎に拡大することが可能とな
る。
【0017】また、この顆粒は目的に応じて、適宜意図
した平均粒子径及び粒度分布をもつものに整粒でき、こ
の顆粒に対してヒドロキシプロピルメチルセルロース及
び乳糖等の水溶性成分を所望の放出が得られる配合比率
で添加する。この際、混合物の流動性及び成型性を改善
する目的で公知の軽質ケイ酸アルミニウム及びステアリ
ン酸マグネシウム等の滑沢剤を適宜配合することができ
る。
【0018】これらの成分を十分に混合分散せしめ、次
いで打錠機によって、所望の重量の圧縮錠剤とする。圧
縮条件は、徐放の対象となる薬物の種類、配合量、ヒド
ロキシプロピルメチルセルロース及び乳糖等の水溶性成
分との配合比率等に応じて適宜選択できる。このような
部分湿式造粒法を用いることによる、前記関係式に従っ
て薬物を放出する徐放性製剤の製法も本発明範囲内のも
のである。
【0019】かくして得られる本発明の製剤における薬
物溶出特性としては、以下の2つの機構に基づくものが
挙げられる。即ち、1)薬物の放出が主にマトリックス
内への溶媒の進入、マトリックス内での薬物の溶解及び
引き続く拡散によって制御される場合、2)薬物の放出
が主にマトリックスの崩壊及び引き続く薬物顆粒からの
放出によって制御される場合である。
【0020】今回、製剤に含まれるヒドロキシプロピル
メチルセルロースの置換度変化がポリマーマトリックス
膨潤性つまり薬物放出特性の1)に与える影響、また、
マトリックスの崩壊性つまり薬物放出特性の2)に与え
る影響が明らかになった。即ち、基本物性として製剤中
におけるヒドロキシプロピルメチルセルロース2910
及びヒドロキシプロピルメチルセルロース2208は比
較的高い保水性を有し、前記薬物放出機構の1)を意図
する場合に有効である。一方、製剤中におけるヒドロキ
シプロピルメチルセルロース2906は比較的速い崩壊
性を示し、前記薬物放出機構の2)を意図する場合に有
効である。また、平均分子量(パラメータとしては粘度
グレード)の変化が薬物放出特性に与える影響も明らか
になった。即ち、基本物性として製剤中におけるヒドロ
キシプロピルメチルセルロース高粘度グレードは高い保
水性を有し、前記薬物放出機構の1)を意図する場合に
有効である。一方、製剤中におけるヒドロキシプロピル
メチルセルロース低粘度グレードは速い崩壊性を示し、
前記薬物放出機構の2)を意図する場合において有効で
ある。さらに、ヒドロキシプロピルメチルセルロースの
形成するマトリックスに乳糖などの高い水溶性成分を配
合することによって起こる影響についても明らかになっ
た。即ち、前記薬物放出機構1)を意図した場合、マト
リックス内水路の拡大によって薬物の放出速度は上昇
し、前記薬物放出機構2)を意図した場合マトリックス
崩壊性の促進によって放出速度は上昇する。このヒドロ
キシプロピルメチルセルロースと乳糖などの高い水溶性
成分との配合比率と放出速度との関係にある範囲で線形
性が見られることが判明し、これらの知見に基づいて、
所望の放出速度を実現するための、これらの配合比率が
予測可能になった。
【0021】また、徐放の対象となる薬物自体について
は、その溶解性及び錠剤中での薬物量が最も大きな薬物
放出性への影響要因であることが判明した。即ち、膨潤
したヒドロキシプロピルメチルセルロースマトリックス
内環境において薬物が十分溶解可能な状態であれば、前
記薬物放出機構の1)が支配的となり、膨潤したヒドロ
キシプロピルメチルセルロースマトリックス内環境にお
いて薬物が十分溶解できない状態であれば、前記薬物放
出機構の2)が支配的となる。具体的には、薬物の溶解
度(Cs)、1錠中薬物量(A)およびマトリックス中
有効容積(VI)によって、1)VIs>AおよびVI
S≦A、2)VIS<<Aに応じて放出機構が定まるこ
ととなる。これらの知見に基づいて前記の関係式が導か
れた。
【0022】かくして、本発明の徐放性製剤は、配合成
分やその量等によって放出特性を制御でき、経口投与に
際しては、消化管内において、製剤設計に基づいた放出
特性を示す。
【0023】
【実施例】以下に実施例を挙げて本発明をさらに詳しく
説明する。実施例1 メタンスルホン酸アジナゾラム5gに対してトウモロコ
シデンプン14g、ヒドロキシプロピルセルロース1g
を添加し、部分湿式造粒を施した。この顆粒に対して乳
糖/ヒドロキシプロピルメチルセルロース2910 4
000cpsを配合比0.47の割合で添加し、190
mgの錠剤重量中5mgメタンスルホン酸アジナゾラム
を含有する本発明の徐放性製剤を500錠作成した。
【0024】実施例2 メタンスルホン酸アジナゾラム5gに対してトウモロコ
シデンプン14g、ヒドロキシプロピルセルロース1gを
添加し、部分湿式造粒を施した。この顆粒に対して乳糖
/ヒドロキシプロピルメチルセルロース2208 40
00cpsを配合比0.47の割合で添加し、190mgの錠
剤重量中5mgメタンスルホン酸アジナゾラムを含有する
本発明の徐放性製剤を500錠作成した。
【0025】実施例3 メタンスルホン酸アジナゾラム5gに対してトウモロコ
シデンプン14g、ヒドロキシプロピルセルロース1gを
添加し、部分湿式造粒を施した。この顆粒に対して乳糖
/ヒドロキシプロピルメチルセルロース2906 40
00cpsを配合比0.47の割合で添加し、190mgの錠
剤重量中5mgメタンスルホン酸アジナゾラムを含有する
本発明の徐放性製剤を500錠作成した。
【0026】実施例4 メタンスルホン酸アジナゾラム5gに対してトウモロコ
シデンプン14g、ヒドロキシプロピルセルロース1gを
添加し、部分湿式造粒を施した。この顆粒に対して乳糖
/ヒドロキシプロピルメチルセルロース2910 50
cpsを配合比0.47の割合で添加し、190mgの錠剤重
量中5mgメタンスルホン酸アジナゾラムを含有する本発
明の徐放性製剤を500錠作成した。
【0027】実施例5 メタンスルホン酸アジナゾラム15gに対してトウモロ
コシデンプン14g、ヒドロキシプロピルセルロース1g
を添加し、部分湿式造粒を施した。この顆粒に対して乳
糖/ヒドロキシプロピルメチルセルロース2910 4
000cpsを配合比0.61の割合で添加し、200mgの
錠剤重量中15mgメタンスルホン酸アジナゾラムを含有
する本発明の徐放性製剤を500錠作成した。
【0028】実施例6 メタンスルホン酸アジナゾラム15gに対してトウモロ
コシデンプン14g、ヒドロキシプロピルセルロース1g
を添加し、部分湿式造粒を施した。この顆粒に対して乳
糖/ヒドロキシプロピルメチルセルロース2910 4
000cpsを配合比0.47の割合で添加し、200mgの
錠剤重量中15mgメタンスルホン酸アジナゾラムを含有
する本発明の徐放性製剤を500錠作成した。
【0029】実施例7 メタンスルホン酸アジナゾラム15gに対してトウモロ
コシデンプン14g、ヒドロキシプロピルセルロース1g
を添加し、部分湿式造粒を施した。この顆粒に対して乳
糖/ヒドロキシプロピルメチルセルロース2910 4
000cpsを配合比0.35の割合で添加し、200mgの
錠剤重量中15mgメタンスルホン酸アジナゾラムを含有
する本発明の徐放性製剤を500錠作成した。
【0030】実施例8 メタンスルホン酸アジナゾラム15gに対してトウモロ
コシデンプン14g、ヒドロキシプロピルセルロース1g
を添加し、部分湿式造粒を施した。この顆粒に対して乳
糖/ヒドロキシプロピルメチルセルロース2910 4
000cpsを配合比0.25の割合で添加し、200mgの
錠剤重量中15mgメタンスルホン酸アジナゾラムを含有
する本発明の徐放性製剤を500錠作成した。
【0031】実施例9 メタンスルホン酸アジナゾラム10gに対してトウモロ
コシデンプン14g、ヒドロキシプロピルセルロース1g
を添加し、部分湿式造粒を施した。この顆粒に対して乳
糖/ヒドロキシプロピルメチルセルロース2910 4
000cpsを配合比0.47の割合で添加し、200mgの
錠剤重量中15mgメタンスルホン酸アジナゾラムを含有
する本発明の徐放性製剤を500錠作成した。
【0032】実施例10 メタンスルホン酸アジナゾラム20gに対してトウモロ
コシデンプン14g、ヒドロキシプロピルセルロース1g
を添加し、部分湿式造粒を施した。この顆粒に対して乳
糖/ヒドロキシプロピルメチルセルロース2910 4
000cpsを配合比0.47の割合で添加し、200mgの
錠剤重量中15mgメタンスルホン酸アジナゾラムを含有
する本発明の徐放性製剤を500錠作成した。
【0033】実施例11 メタンスルホン酸アジナゾラム30gに対してトウモロ
コシデンプン14g、ヒドロキシプロピルセルロース1g
を添加し、部分湿式造粒を施した。この顆粒に対して乳
糖/ヒドロキシプロピルメチルセルロース2910 4
000cpsを配合比0.47の割合で添加し、200mgの
錠剤重量中15mgメタンスルホン酸アジナゾラムを含有
する本発明の徐放性製剤を500錠作成した。
【0034】実施例12 塩酸プロカイン15gに対してトウモロコシデンプン1
4g、ヒドロキシプロピルセルロース1gを添加し、部分
湿式造粒を施した。この顆粒に対して乳糖/ヒドロキシ
プロピルメチルセルロース2910 4000cpsを配
合比0.47の割合で添加し、200mgの錠剤重量中1
5mg塩酸プロカインを含有する本発明の徐放性製剤を5
00錠作成した。
【0035】実施例13 アセトアミノフェン15gに対してトウモロコシデンプ
ン14g、ヒドロキシプロピルセルロース1gを添加し、
部分湿式造粒を施した。この顆粒に対して乳糖/ヒドロ
キシプロピルメチルセルロース2910 4000cps
を配合比0.47の割合で添加し、200mgの錠剤重量
中15mgアセトアミノフェンを含有する本発明の徐放性
製剤を500錠作成した。
【0036】実施例14 テオフィリン15gに対してトウモロコシデンプン14
g、ヒドロキシプロピルセルロース1gを添加し、部分湿
式造粒を施した。この顆粒に対して乳糖/ヒドロキシプ
ロピルメチルセルロース2910 4000cpsを配合
比0.47の割合で添加し、200mgの錠剤重量中15m
gテオフィリンを含有する本発明の徐放性製剤を500
錠作成した。
【0037】実施例15 パラオキシ安息香酸メチル15gに対してトウモロコシ
デンプン14g、ヒドロキシプロピルセルロース1gを添
加し、部分湿式造粒を施した。この顆粒に対して乳糖/
ヒドロキシプロピルメチルセルロース2910 400
0cpsを配合比0.47の割合で添加し、200mgの錠剤
重量中15mgパラオキシ安息香酸メチルを含有する本発
明の徐放性製剤を500錠作成した。
【0038】実施例16 パラオキシ安息香酸エチル15gに対してトウモロコシ
デンプン14g、ヒドロキシプロピルセルロース1gを添
加し、部分湿式造粒を施した。この顆粒に対して乳糖/
ヒドロキシプロピルメチルセルロース2910 400
0cpsを配合比0.47の割合で添加し、200mgの錠剤
重量中15mgパラオキシ安息香酸エチルを含有する本発
明の徐放性製剤を500錠作成した。
【0039】実施例17 パラオキシ安息香酸プロピル15gに対してトウモロコ
シデンプン14g、ヒドロキシプロピルセルロース1gを
添加し、部分湿式造粒を施した。この顆粒に対して乳糖
/ヒドロキシプロピルメチルセルロース2910 40
00cpsを配合比0.47の割合で添加し、200mgの錠
剤重量中15mgパラオキシ安息香酸プロピルを含有する
本発明の徐放性製剤を500錠作成した。
【0040】実施例18 U−78875 15gに対してトウモロコシデンプン
14g、ヒドロキシプロピルセルロース1gを添加し、部
分湿式造粒を施した。この顆粒に対して乳糖/ヒドロキ
シプロピルメチルセルロース2910 4000cpsを
配合比0.47の割合で添加し、200mgの錠剤重量中
15mgU−78875を含有する本発明の徐放性製剤を
500錠作成した。
【0041】実施例19 アルプラゾラム1.5gに対してトウモロコシデンプン
14g、ヒドロキシプロピルセルロース1gを添加し、
部分湿式造粒を施した。この顆粒に対して乳糖/ヒドロ
キシプロピルメチルセルロース2910 4000cp
sを配合比0.47の割合で添加し、186.5mgの錠
剤重量中1.5mgアルプラゾラムを含有する本発明の
徐放性製剤を500錠作成した。
【0042】実施例20 トリアゾラム1.5gに対してトウモロコシデンプン1
4g、ヒドロキシプロピルセルロース1gを添加し、部
分湿式造粒を施した。この顆粒に対して乳糖/ヒドロキ
シプロピルメチルセルロース2910 4000cps
を配合比0.47の割合で添加し、186.5mgの錠剤
重量中1.5mgトリアゾラムを含有する本発明の徐放
性製剤を500錠作成した。
【0043】実施例21 イブプロフェン1.5gに対してトウモロコシデンプン
14g、ヒドロキシプロピルセルロース1gを添加し、
部分湿式造粒を施した。この顆粒に対して乳糖/ヒドロ
キシプロピルメチルセルロース2910 4000cp
sを配合比0.47の割合で添加し、186.5mgの錠
剤重量中1.5mgイブプロフェンを含有する本発明の
徐放性製剤を500錠作成した。
【0044】実施例22 U−78875 1.5gに対してトウモロコシデンプ
ン14g、ヒドロキシプロピルセルロース1gを添加
し、部分湿式造粒を施した。この顆粒に対して乳糖/ヒ
ドロキシプロピルメチルセルロース2910 4000
cpsを配合比0.47の割合で添加し、186.5mg
の錠剤重量中1.5mgU−78875を含有する本発
明の徐放性製剤を500錠作成した。
【0045】以下の実験により、本発明製剤の徐放効果
及び製剤設計概念をさらに詳しく説明する。 実験1 ヒドロキシプロピルメチルセルロースの置換度
変化及び粘度グレードによる薬物溶出特性への影響 実施例1〜実施例4で得られた本発明製剤につき検討し
た。メタンスルホン酸アジナゾラム(U−41123F
(アップジョン社商品番号))を徐放化の対象薬物と
し、ヒドロキシプロピルメチルセルロース2910 4
000cps、ヒドロキシプロピルメチルセルロース22
08 4000cps、及びヒドロキシプロピルメチルセ
ルロース2906 4000cpsのそれぞれを主たる基
剤とした徐放錠を前記した方法によって製造し、ヒドロ
キシプロピルメチルセルロースの製剤中での基本物性が
メタンスルホン酸アジナゾラム溶出特性に与える影響を
検討した。また、粘度グレードの放出特性への影響はヒ
ドロキシプロピルメチルセルロース2910 50cps
を主たる基剤とした徐放錠によって比較検討した。尚、
処方中に存在するヒドロキシプロピルメチルセルロース
の配合比率はいずれについても60.5%の一定に保っ
た。各ヒドロキシプロピルメチルセルロースが形成する
マトリックスの膨潤性(保水率)及び崩壊性(崩壊率)は、
錠剤を一定時間溶出液に浸した後の錠剤の湿重量及び乾
重量から以下の式1、2に従って算出した。 保水率=(湿重量−乾重量)/湿重量X100 (式1) 崩壊率=(初期乾重量−乾重量)/初期乾重量 (式2) ここに、初期乾重量は浸潤前の錠剤重量を示す。
【0046】図1は、各ヒドロキシプロピルメチルセル
ロースを主たる基剤とした徐放錠の湿重量及び乾重量の
経時変化を示す。2910 4000cps、2208
4000cpsの場合には、湿重量が上昇し、乾重量の低
下は比較的遅いことが示される。一方、2906 40
00cps、2910 50cpsの場合には、一過的に湿重
量が上昇した後低下し、乾重量は比較的速く低下するこ
とが示される。
【0047】図2は、式1、2から算出した保水率及び
崩壊率を経時的に示すものである。図2より、保水率は
置換度の影響よりも粘度グレードの影響が大きいことが
示された。即ち、ヒドロキシプロピルメチルセルロース
の平均分子量が大きいほど保水性が高く、平均分子量
が、製剤とした際のマトリックスの膨潤性を支配してい
ることが明らかとなった。また、崩壊率の変化から、崩
壊性を決定するマトリックスの分子間力はメトキシル
基、ヒドロキシプロポキシル基の置換バランスおよび平
均分子量によって支配されることが明らかとなった。
【0048】ここで示されたヒドロキシプロピルメチル
セルロースのマトリックス形成時の基本特性より、前記
した薬物放出機構の1)即ち、拡散制御型の放出機構を
意図する場合は、2910または2208の高粘度グレ
ードを基剤として選択すべきであり、また、薬物放出機
構の2)即ち、崩壊制御型の崩壊機構を意図する場合
は、2906、2910または2208の低粘度グレー
ドを基剤として選択すべきである。
【0049】実験2 ヒドロキシプロピルメチルセルロ
ースと乳糖との配合比率変化による薬物放出性制御 実施例5〜実施例8で得られた本発明の製剤につき検討
した。本実験においてはメタンスルホン酸アジナゾラム
を徐放化の対象薬物として含むヒドロキシプロピルメチ
ルセルロースを主たる基剤とする徐放錠に高水溶性成分
として乳糖を種々の割合で配合することによって、4段
階の放出特性(溶出速度)を有する製剤を製造した。乳糖
/ヒドロキシプロピルメチルセルロースの処方中配合比
は0.25から0.60まで変化させた。図3より、乳糖
/ヒドロキシプロピルメチルセルロースの配合比が高く
なるにつれて溶出が促進され、配合比の変化によって薬
物放出制御が可能であることが明らかとなった。また、
図4に示したように、薬物溶出速度を平均溶出時間とし
て評価すると乳糖/ヒドロキシプロピルメチルセルロー
ス配合比との間に良好な相関性が見られ、このことは、
逆に意図する溶出速度から乳糖/ヒドロキシプロピルメ
チルセルロース配合比率が予測し得ることを意味する。
【0050】実験3 薬物力価変化による薬物放出特性
への影響 実施例1及び実施例9〜実施例11で得られた本発明の
製剤につき検討した。本実験においてはメタンスルホン
酸アジナゾラムを徐放化の対象薬物として、ヒドロキシ
プロピルメチルセルロース2910 4000cpsの形
成するマトリックスからの薬物放出性への1錠中薬物力
価の変化による影響を検討した。以下の表1に示すよう
に、本実施例1及び実施例9から実施例11で得られた
本発明の製剤では1錠中薬物力価に影響を極端に受けな
いことが明らかとなった。但し、本関係が成立する条件
として、前述した薬物の溶解度(Cs)、1錠中薬物量
(A)及びマトリックス中有効容積(VI)によって、VI
s>>Aなる環境が整っている場合に限定されるものと
考えられる。
【0051】
【表1】
【0052】実験4 徐放化の対象となる薬物の溶解度
の薬物放出特性への影響 実施例1及び実施例12〜実施例18で得られた本発明
の製剤につき検討した。本実験ではマトリックス形成の
主たる基剤としてヒドロキシプロピルメチルセルロース
2910 4000cpsを採用し、種々の溶解度を有
するモデル化合物の溶出特性を検討した。モデル化合物
としては、メタンスルホン酸アジナゾラム(日本薬局方
崩壊試験第2液に対する溶解度;0.59mg/ml)、塩酸
プロカイン(日本薬局方崩壊試験第2液に対する溶解度;
453mg/ml)、アセトアミノフェン(日本薬局方崩壊試
験第2液に対する溶解度;18.9mg/ml)、テオフィリ
ン(日本薬局方崩壊試験第2液に対する溶解度;10.6m
g/ml)、パラオキシ安息香酸メチル(日本薬局方崩壊試
験第2液に対する溶解度;3.11mg/ml)、パラオキシ
安息香酸エチル(日本薬局方崩壊試験第2液に対する溶
解度;1.27mg/ml)、パラオキシ安息香酸プロピル(日
本薬局方崩壊試験第2液に対する溶解度;0.53mg/m
l)及びU−78875(日本薬局方崩壊試験第2液に対
する溶解度;0.07mg/ml)について検討した。
【0053】図5に示すように、同一組成のマトリック
スからの薬物溶出特性は、その対象となる薬物自身の溶
解性によって著しく影響を受けることが明らかである。
この現象をより明確にするため、薬物自身の溶解度に対
してその平均放出時間をとると図6に示した関係が得ら
れ、この関係をより一般的に表現すると、図7の関係が
導かれる。即ち、対象となる薬物の溶解性及びその1錠
中での薬物量を定めると、本発明製剤が意図する薬物放
出機構はおのずと決定され、従って、前記したようにそ
の放出機構に適したヒドロキシプロピルメチルセルロー
スの置換度及び平均分子量(粘度グレード)が選択され得
るものである。このように、簡便にかつ、短時間に最適
処方を選択できる観点から、本発明の製剤及びその製法
は有用である。
【0054】薬物放出の機構 次に、本発明の製剤における薬物の放出が従う関係式に
ついて説明する。崩壊しないマトリックスからの薬物の
放出は、Higuchiによって提唱された理論式[ティ・ヒ
グチ(T.Higuchi)、ジャーナル・オブ・ファルマシュー
ティカル・サイエンス(J.Pharm.Sci.),52,114
5(1989)参照]に従うと想定できる。
【数4】 ここに、Qd;t時間後の薬物放出量 D;マトリックス中の薬物の拡散係数 τ;毛細管系の曲路率 A;マトリックスの単位容積中に存在する全薬物量 Cs;薬物の溶解度 VI;マトリックス内有効容積 Sq;全表面積 を示す。
【0055】従って、薬物の放出がマトリックス製剤の
崩壊前に起こる場合、次の結論に達する(図7参照)。
まず、マトリックスの単位容積中に存在する全薬物量
(A)とマトリックス内有効容積(VI)および薬物の
溶解度(Cs)により、以下の場合に分ける。 (a)VIs>Aおよび(b)VIs≦A 即ち、マトリックス中の薬物が侵入してくる溶出液に即
時溶解する場合(a)と一部が溶解するだけの(b)に
分ける。 (a)の場合、即ち、VIsがAに比較し十分に大きい
ことから、式Iは以下の式IIに置き換えられる。
【数5】 この場合、マトリックス内の薬物は溶解度に達すること
なく侵入してきた溶出液に速やかに溶解し、引き続き拡
散によって放出する。即ち、溶出液のマトリックスへの
侵入後、薬物の溶出は薬物の拡散係数(D)のみによっ
て制御される。
【0056】(b)の場合、即ち、Aが大きいか、また
は、Csが小さくて、VIs<Aの場合、式Iは次の式I
IIに書き換えられる。
【数6】 この場合、薬物の放出は薬物の溶解度(Cs)および拡
散係数(D)によって制御される。また、薬物の放出速
度は、溶出液のマトリックスへの侵入速度とマトリック
スの崩壊速度の間を示す。
【0057】薬物の溶解度が極めて低い場合、または薬
物含量が極めて高い場合(c)、即ち、マトリックス内
に侵入する溶出液に対する薬物の溶解部分が極めて少な
い場合は、薬物の放出はマトリックス内での溶解より
も、マトリックスの崩壊が薬物放出の原動力となる。 (c)VIs<<A 即ち、薬物はマトリックス内で溶解せず、薬物顆粒がマ
トリックスの崩壊によって放出され、引続き薬物顆粒か
らの放出が引き起こる。時間Tn-1およびTnにおけるマ
トリックス内への薬物の残存率はそれぞれ以下の式IV、
式Vによって示される。 WR(Tn-1)/Wt=(1−k1n-13 式IV WR(Tn)/Wt=(1−k1n3 式V ここで、WR(Tn-1)およびWR(Tn)は時間Tn-1
よびTnにマトリックス内に残存する薬物量、Wtは初期
の全薬物量、また、k1は見掛けのマトリックス崩壊定
数を示す。従って、時間Tn-1からTnにおけるマトリッ
クスの崩壊にともなう薬物顆粒の放出量(XR)は次式
で表される。 XR=WR(Tn-1)−WR(Tn) Wt{(1−k1n-13−(1−k1n3} 式VI また、マトリックスから崩壊によって放出した薬物顆粒
からの薬物の放出量(QR)はHixson Crowellの立方根
則[エイ・ダブリュー・ヒクソンおよびジェイ・エイチ
・クロウェル(A.W.Hixon and J.H.Crowell),インド・
エング・ケム(Ind.Eng.Chem.),23,923(193
1)参照]に従う。 QR=XR{1−(1−k2t)3} 式VII ここで、k2は見掛けの薬物顆粒からの放出速度定数を
示す。従って、全薬物放出量(Qt)は以下の式に従
う。 Qt=ΣQR=ΣXR{1−(1−k2t)3} 式VIII 式VIIIから分かるように放出速度はマトリックスの崩壊
に伴う薬物顆粒からの放出速度に依存するものである。
薬物の薬物顆粒からの放出速度がマトリックス崩壊速度
と比較して、著しく遅い場合、式VIIIは以下のように表
現される。 Qt=Qo{1−(1−k2t)3} 式IX ここで、Qoは1錠中に含まれる薬物量を示す。以上の
理論を模式的に図示すると図8の関係が導かれる。即
ち、(a)、(b)の薬物溶解度の変曲点(Cs')は
式Iにおいて、 (2A−VIs')Cs'=0 式X を満足するものである。このことから、この変曲点は、 Cs'=2A/VI 式XI によって定義され、マトリックス組成が一定、即ち、V
Iが一定であれば薬物含量によって、その変曲点は比例
的に変化する。この関係を模式的に示すと図8のように
なる。即ち、徐放化の対象となる薬物の基本特性として
の溶解度および薬物含量が決定されることによってその
放出特性は予測可能である。特に、図8は実施例に示し
た乳糖/ヒドロキシプロピルメチルセルロース配合比
(0.47)について示した。従って、乳糖/ヒドロキシ
プロピルメチルセルロース配合比が変化する場合、即
ち、処方中の乳糖含量が大きくなると、式XI中VIは大
きくなり、変曲点CS'は小さいほうにシフトする。また
逆に、処方中のヒドロキシプロピルメチルセルロース含
量が大きくなると、式XI中VIは小さくなり、変曲点
S'は大きいほうにシフトする。
【0058】薬物放出機構からの放出特性予測 これまでに示したのは錠剤重量200mg中15mg
(主薬含量7.5%)である。図8に示す平均放出時間
と主薬の溶解度および含量の関係から、難水溶性薬物
(溶解度0.1mg/ml)の薬物を例示する。錠剤重
量200mg中1.5mg(主薬含量0.75%)のU−
78875を含む製剤は、図9の放出特性を有する錠剤
となる。同様に、アルプラゾラム、トリアゾラム、イブ
プロフェン等はこの製剤によって、表2に示す放出特性
を示す。
【表2】
【0059】実験5 ビーグル犬におけるヒドロキシプ
ロピルメチルセルロースを用いた徐放性製剤からの薬物
吸収実験 以下の実験では、薬物としてメタンスルホン酸アジナゾ
ラム15mgを含有する実施例1で得られた本発明製剤及
び対照製剤として同様にメタンスルホン酸アジナゾラム
15mgを含有する速放型製剤をビーグル犬に経口投与後
の血漿中メタンスルホン酸アジナゾラム濃度を経時的に
測定した。図10に各製剤投与後のメタンスルホン酸ア
ジナゾラム血漿中濃度推移を表す。これらから、血中最
高薬物濃度(Cmax)は速放型製剤では130ng/mlに対
して、本発明製剤では43.1ng/mlと約1/3の値を
示した。また、常法に従って算出した平均吸収時間(M
AT)は速放型製剤では0.87時間であるのに対して本
発明製剤では7.12時間と約8倍の吸収時間の延長を
達成するに至った。このことから、本発明製剤によって
薬物血中濃度の製剤的制御が可能であり、薬物血中濃度
の急激な上昇を抑制し、副作用の発現を抑える目的、ま
た、臨床上投与回数を減じる目的で使用可能であること
を証明するものである。
【0060】
【発明の効果】本発明により、主薬の放出特性を任意に
制御できるヒドロキシプロピルメチルセルロースを基剤
とするポリマーマトリックス型徐放剤およびその優れた
製法が提供される。
【図面の簡単な説明】
【図1】 ヒドロキシプロピルメチルセルロースを主た
る基剤とした本発明の徐放剤の重量の経時変化を示すグ
ラフであり、図1(a)は湿重量、図1(b)は乾重量
の経時変化を示す。
【図2】 本発明の徐放剤の徐放特性を示すグラフであ
り、図2(a)は保水率の経時変化を示し、図2(b)
は崩壊率の経時変化を示す。
【図3】 本発明の徐放剤からの薬物の放出の経時変化
を示すグラフであり、図3(a)はpH1.2の日本薬
局方11局崩壊液、図3(b)はpH4.0の0.1Mリ
ン酸緩衝液、図3(c)はpH6.8の日本薬局方11
局崩壊液の場合を示す。
【図4】 乳糖/HPMC配合比と平均溶出時間との関
係を示すグラフである。
【図5】 種々の溶解度を有する薬物の溶出特性を示す
グラフであり、図5(a)は塩酸プロカイン、アセトア
ミノフェン、テオフィリンの場合、図5(b)はパラオ
キシ安息香酸メチル、パラオキシ安息香酸エチル、パラ
オキシ安息香酸プロピルの場合、図5(c)はメタンス
ルホン酸アジナゾラム、U−78875の場合を示す。
【図6】 薬物溶解度と平均溶出時間の関係を示すグラ
フである。
【図7】 薬物溶解度と平均溶出時間の関係を示すグラ
フである。
【図8】 溶解度−平均溶出時間の関係における変曲点
が薬物含量によって変化するところを模式的に示すグラ
フである。
【図9】 溶解度(0.1mg/ml)の薬物1.5mg
を含む徐放性製剤からの放出曲線を示すグラフである。
【図10】 ビーグル犬における血漿中メタンスルホン
酸アジナゾラム濃度の経時変化を示すグラフである。
フロントページの続き (72)発明者 横浜 重晴 東京都多摩市桜ヶ丘3丁目4−3 (72)発明者 フィリップ・アール・ニクソン アメリカ合衆国49002ミシガン州ポーテイ ジ、シェリー・ドライブ1378番 (72)発明者 ジョン・ダブリュー・スコーグ アメリカ合衆国49002ミシガン州ポーテイ ジ、コーラ10810番 (72)発明者 ブレント・エイ・ホワイト アメリカ合衆国49002ミシガン州ポーテイ ジ、ケルバーレ・アベニュー1416番

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 ヒドロキシプロピルメチルセルロースを
    主たる基剤とし、以下の関係式に従って薬物を放出する
    ポリマーマトリックス型徐放性製剤。 【数1】 [式中、Csは薬物の溶解度、Aはマトリックスの単位
    容積中に存在する全薬物量、VIはマトリックス内有効
    容積、Qdはt時間後の薬物放出量、Sqは全表面積、D
    はマトリックス中の薬物の拡散係数、τは毛細管系の曲
    路率、Qtは全薬物放出量、Qoは1錠中に含まれる薬物
    含量、k2は見掛けの薬物顆粒からの薬物の放出速度定
    数を意味する]
  2. 【請求項2】 該薬物がメタンスルホン酸アジナゾラ
    ム、アルプラゾラムまたはトリアゾラムである請求項1
    記載の徐放性製剤。
  3. 【請求項3】 薬物を、結合剤を用いて湿式造粒し、乾
    燥して顆粒とし、該顆粒とヒドロキシプロピルメチルセ
    ルロースと水溶性成分とを混合し、次いで打錠して、ヒ
    ドロキシプロピルメチルセルロースを主たる基剤とする
    以下の関係式に従って薬物を放出するポリマーマトリッ
    クス型徐放性製剤とすることを特徴とする徐放性製剤の
    製法。 【数2】 [式中、Csは薬物の溶解度、Aはマトリックスの単位
    容積中に存在する全薬物量、VIはマトリックス内有効
    容積、Qdはt時間後の薬物放出量、Sqは全表面積、D
    はマトリックス中の薬物の拡散係数、τは毛細管系の曲
    路率、Qtは全薬物放出量、Qoは1錠中に含まれる薬物
    含量、k2は見掛けの薬物顆粒からの薬物放出速度定数
    を意味する]
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