JPH05254989A - 炭素クラスタ−の高純度単結晶成長法 - Google Patents

炭素クラスタ−の高純度単結晶成長法

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JPH05254989A
JPH05254989A JP4088197A JP8819792A JPH05254989A JP H05254989 A JPH05254989 A JP H05254989A JP 4088197 A JP4088197 A JP 4088197A JP 8819792 A JP8819792 A JP 8819792A JP H05254989 A JPH05254989 A JP H05254989A
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JP
Japan
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crystal growth
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single crystal
temperature
carbon
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JP4088197A
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English (en)
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Koichi Kitazawa
宏一 北澤
Toshishige Araki
敏成 荒木
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Tokyo Gas Co Ltd
Original Assignee
Tokyo Gas Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 炭素クラスタ−の高純度の大型単結晶を得
る。 【構成】 反応管1の一部を蒸発領域Aと定め、該蒸発
領域Aに炭素クラスター原料2を高真空で封入し、該蒸
発領域Aと離れて結晶成長領域Bを定め、前記蒸発領域
Aを前記結晶成長領域Bより高温で加熱して炭素クラス
ター原料2を蒸発させるとともに、前記結晶成長領域B
をほぼ一定時間ごとにほぼ一定温度だけ繰り返して昇温
させるようにした。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は炭素クラスターの高純度
単結晶成長法に関する。
【0002】
【従来技術】最近、多数(60以上)の炭素原子が球殻
状に結合して閉殻構造をなすかご型炭素クラスター
(「フラーレン」とも呼ばれる)が注目されており、中
でも炭素原子数が60のクラスター(C60)は、12個
の五員環と20個の六員環とで囲まれたかご型球状の空
洞分子でその外観がサッカーボールに似ており、研究お
よび応用の対象となっている。かご型炭素クラスターに
は炭素原子だけから成るもののほかに、球殻内に金属や
その他の原子または分子を閉じ込めた形で存在するもの
もあり、特に前者は金属内包フラーレンと呼ばれてい
る。
【0003】ところでこのようなかご型炭素クラスター
の化学的、物理的性質を分析するには大型の単結晶を用
いることが必要であるが、これまでC60に関しては薄膜
や粉末結晶を用いた研究が主であった。これはC60の大
型単結晶を製造する方法が確立していないためであると
考えられる。
【0004】一方、かご型炭素クラスターは、非線形光
学材料、半導体材料、太陽電池、発光素子、超伝導体、
強磁性体、触媒などへの応用が研究開発されており、こ
の面からも大型の単結晶の成長法の確立が望まれてい
る。
【0005】ところで、従来かご型炭素クラスターの単
結晶を得る方法としては昇華法と溶媒蒸発法が知られて
いる。昇華法はかご型炭素クラスターの粗精物を真空中
で過熱して蒸発気化させ、冷却部で固化させる方法で、
たとえば次の文献に提案されている。
【0006】P.A.Heiney;J.E.Fisc
her; A.R.McGhie;W.J.Romanow; A.M.Denenstein;J.P.McCaul
ey; Jr.,A.B.Smith、IIIらによる Phys.Rev.Lett.、66(22)2911
(1991) 一方、溶媒蒸発法はかご型炭素クラスターをベンゼン、
トルエン、二硫化炭素などの有機溶媒に溶かした後、溶
媒のみをゆっくりと揮発させる方法で、再結晶法とも呼
ばれており、たとえば次の文献に提案されている。 (1)菊地耕一、斉藤英樹、鈴木信三、池本勲、阿知波
洋次らによる日本化学会第一回C60総合シンポジウム講
演要旨集1991年9月6日 第68頁 (2)N.A.Fortune;K.Murata;
F.Iga; Y.Nishihara;K.Kikuchi; S.Suzuki;I.Ikemoto;Y.Achi
baらによる Physica C 第185頁−第189頁 425
(1991)
【0007】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、昇華法
では、高純度の結晶は得られるものの、結晶の大きさは
ミクロンオーダーで、物性の測定に適した大きな結晶を
作ることは困難である。その上、この方法で結晶を成長
させるためには長い時間を要する。
【0008】また、溶媒蒸発法では、ミリメートルオー
ダーの比較的大きい結晶が得られるが、結晶の内部に溶
媒が残留したり、あるいはその溶媒の蒸発にともない結
晶表面の光沢が失われるため光学的測定に用いることが
できない。
【0009】本発明は上記の点にかんがみてなされたも
ので、比較的短時間でかご型炭素クラスターの高純度大
型単結晶を得る方法を提供することを目的とするもので
ある。
【0010】なお、本発明でいうかご型炭素クラスター
には球殻内に金属元素の他の原子又は分子を内包したも
のも包含する。
【0011】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため
に、本発明においては、反応管の蒸発領域の加熱温度を
結晶成長領域の加熱温度より高くし、さらに、結晶成長
領域をほぼ一定時間ごとにほぼ一定温度だけ繰り返し昇
温させるようにした。
【0012】
【作用】蒸発領域と結晶成長領域との間に温度勾配を設
けることにより、単結晶の成長を促進する。
【0013】結晶成長領域の温度を間欠的に高めること
により、結晶成長領域に生成される微細な結晶核を選択
的に消失せしめ、大きな結晶のみを残してそれらの成長
を促して大きな単結晶を成長させる。
【0014】
【実施例】以下、図面を参照して本発明を説明する。
【0015】図1は本発明による炭素クラスターの高純
度単結晶成長法を実施する装置の概略構成を示す。
【0016】石英製反応管1のなかに高真空下で約20
0℃〜300℃で溶媒ガスを除去した炭素クラスタ−原
料2すなわち原料フラ−レンを置き、管1を封止する。
反応管1の外側には、高温の蒸発領域Aを形成する加熱
炉3と低温の結晶成長領域Bを形成する加熱炉4とを配
置し、両加熱炉3および4はコントローラ6により独立
して温度制御されるようになっている。
【0017】さて、コントローラ6を介して図2に示す
ように反応管1の高温蒸発領域Aを約600℃に加熱
し、低温の結晶成長領域Bを約500℃に加熱し、加熱
炉4にヒートパルスPを加えて結晶成長領域Bの温度を
約2〜2.5時間ごとに10〜20分間だけ約50℃上
昇させると、蒸発領域Aにおかれた原料フラ−レン2は
次第に昇華し、結晶成長領域Bで結晶化し、結晶成長領
域Bには直径約1mmの生成炭素クラスター単結晶5が
得られる。
【0018】本発明において結晶成長領域Bの温度を一
定時間ごとに上昇させるために加熱炉4にヒートパルス
を加えると、結晶の成長過程において生成される結晶核
のうち微細な結晶核は消失し、大きな結晶核のみが残
る。
【0019】これは、微細な結晶核は単位体積あたり、
より大きな表面過剰エネルギーを有し、このため温度上
昇により選択的に昇華して消失するためである。よっ
て、後続する成長過程では残された少数の大きな結晶の
みが更に成長して大きくなる。
【0020】しかしながら、時間の経過とともに、再び
微細な結晶核の生成が起きるので、更にまた短時間の温
度上昇を行って、これらを除くプロセスを繰り返す。
【0021】また、本発明の方法では高真空下で結晶成
長がなされるため、原料フラーレンの分離精製過程で混
入した有機溶媒分子を含む不純物が除かれ、高純度の結
晶が得られる。
【0022】さて、本発明者らはC60/C70混合粉末か
ら液体クロマトグラフィーによってC60を単離し、これ
を原料としてC60の単結晶を成長させる実験を行った。
【0023】C60粉末を原料フラーレン2として反応管
1内に入れて真空封じし、温度勾配を周期的に変化させ
約1週間成長させたところ最大0.5×1.5×0.6
〜1.6mm程度のC60単結晶が得られるとももに、次
のような重大な点に気がついた。 (1)C60の昇華温度すなわち蒸発領域Aの温度が57
0℃以上で初めて結晶の成長にとって充分な速度が得ら
れた。この温度は630℃を越すと結晶の成長が速過ぎ
てしまうので好ましくない。 (2)結晶成長領域Bの温度は470℃以下になるとC
60の結晶成長速度が遅過ぎて核成長が著しく起こり、大
きな単結晶を成長させることが困難になる。しかし、こ
の温度が530℃を越すと蒸気圧が大きくなり過ぎて実
質上結晶が成長しなくなる。 (3)核生成を起こさせないように時折結晶化温度(結
晶成長領域Bの温度)を上昇させることが必要である
が、そのためのヒートパルスは30℃〜60℃の範囲が
有効である。
【0024】次に本発明者らは実験により得られたC60
の大型単結晶の硬度を結晶の(100)、(111)面
についてビッカース硬度計を用いてテストした結果、硬
度は14.4と17.6であり、純金の30に比べると
約1/2の柔らかい結晶であることがわかった。
【0025】一方、本発明者らは上記実験で得られたC
60について交流法による比熱測定を行った。その結果図
3に示すような結果が得られ、温度260°K付近にλ
型の鋭いピークが観測され、ヒステリシスはこれまで報
告されたものに比較してかなり小さく、1K程度以下で
あった。転移温度も数K高くなっている。これは得られ
たC60単結晶の純度が非常に高いことを示している。
【0026】本発明により得られたC60単結晶が高純度
であることを示すもう1つの実験データとして温度上昇
に伴う次のような重量比較の結果を示すことができる。
従来の単結晶成長法の1つである溶媒蒸発法で得られた
単結晶は100℃以上でC60とほぼ等比モルの溶媒(ベ
ンゼン、CS2 など)の量に相当する程大量の重量減少
が認められたが、本発明により得られた単結晶では30
0℃までは全く重量変化がない(400℃以上になって
始めてC60そのものの昇華が始まる)。このことは本発
明の方法で得られたものは純度の高いことを示してい
る。
【0027】なお、上記実施例は球殻内に金属元素の他
の原子又は分子を内包しないものに関するものである。
金属内包フラ−レンの場合は温度条件が異なる可能性が
ある。
【0028】
【発明の効果】結晶成長領域の温度を間欠的に高めるこ
とにより、結晶成長領域に生成される微細な結晶核を選
択的に消失させ、大きな結晶のみを残し、それらの成長
を促進させて単結晶を成長させるようにしたので、直径
が1mm以上の大きな高純度の単結晶を比較的短時間に
得ることができる。
【0029】本発明の方法により、高純度で比較的大き
な単結晶が得られるので、炭素クラスターの物性解析が
一層前進するとともに、超電導、強磁性など材料面での
大きな発展が期待できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明による炭素クラスターの高純度単結晶成
長法を実施するための装置の概略構成を示す略図であ
る。
【図2】本発明による炭素クラスターの高純度単結晶成
長法における温度制御を示す図である。
【図3】本発明方法により得られたC60単結晶の比熱測
定結果を示す図である。
【符号の説明】
1 反応管 2 炭素クラスタ−原料 3 蒸発領域の加熱炉 4 結晶成長領域の加熱炉 5 生成炭素クラスタ−単結晶 6 コントローラ A 蒸発領域 B 結晶成長領域
─────────────────────────────────────────────────────
【手続補正書】
【提出日】平成4年4月23日
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0027
【補正方法】変更
【補正内容】
【0027】なお、上記実施例は球殼内に金属その他の
原子又は分子を内包しないものに関するものである。金
属内包フラーレンの場合は温度条件が異なる可能性があ
る。

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 反応管の一部を蒸発領域と定め、該蒸発
    領域に炭素クラスター原料を高真空で封入し、該蒸発領
    域と離れて結晶成長領域を定め、前記蒸発領域を前記結
    晶成長領域より高温で加熱して炭素クラスター原料を蒸
    発させるとともに、前記結晶成長領域をほぼ一定時間ご
    とにほぼ一定温度だけ繰り返して昇温させることを特徴
    とする炭素クラスターの高純度単結晶成長法。
  2. 【請求項2】 前記蒸発領域の温度が570℃から63
    0℃の間であり、前記結晶成長領域の温度が470℃か
    ら530℃の間である請求項1に記載の炭素クラスター
    の高純度単結晶成長法。
  3. 【請求項3】 前記結晶成長領域の昇温温度幅が30℃
    から60℃の間である請求項2に記載の炭素クラスター
    の高純度単結晶成長法。
  4. 【請求項4】 炭素クラスターがその閉殻構造内部に金
    属原子または分子を内包する誘導体である請求項1に記
    載の炭素クラスターの高純度単結晶成長法。
  5. 【請求項5】 前記金属原子がアルカリ金属原子である
    請求項4に記載の炭素クラスターの高純度単結晶成長
    法。
JP4088197A 1992-03-12 1992-03-12 炭素クラスタ−の高純度単結晶成長法 Withdrawn JPH05254989A (ja)

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Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2020218386A1 (ja) * 2019-04-24 2020-10-29 昭和電工株式会社 潤滑油組成物、その製造方法及び真空装置
US11932820B2 (en) 2019-04-24 2024-03-19 Resonac Corporation Lubricating oil composition and method for producing lubricating oil composition

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