JPH05254925A - クロム固溶スピネルよりなるクリンカー並びにそれを用いて得られる耐火物 - Google Patents
クロム固溶スピネルよりなるクリンカー並びにそれを用いて得られる耐火物Info
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- JPH05254925A JPH05254925A JP4083381A JP8338192A JPH05254925A JP H05254925 A JPH05254925 A JP H05254925A JP 4083381 A JP4083381 A JP 4083381A JP 8338192 A JP8338192 A JP 8338192A JP H05254925 A JPH05254925 A JP H05254925A
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Abstract
められ、しかもクロムの含有によって生ずる焼結性の低
下、公害、原料コスト高騰等の問題が可及的に軽減乃至
は排除されてなる、クロム固溶スピネルよりなるクリン
カー並びにそれを用いて得られる耐火物を提供するこ
と。 【構成】 MgOを10〜60重量%含み、Cr2 O3
が0.05〜20重量%含有され、Cr2 O3 とAl2
O3 との合計含有量が40〜90重量%とされ、更に原
料に由来する不可避の不純物が5重量%以下である化学
組成を有し、且つクロムの固溶したマグネシアアルミナ
系スピネル結晶相、又は少量のペリクレース結晶を含む
クロム固溶のマグネシアアルミナ系スピネル結晶相の何
れかを有している。
Description
ラグに対する高耐侵食性、及び高耐熱衝撃性を備えた、
耐火材料となるクリンカー、並びにそれを用いて得られ
る耐火物に関するものである。
鉄、製鋼用の耐火物には、1400〜1600℃以上の
高温に耐え、容積変化が小さく、スラグ等による侵食作
用に対して抵抗性を有することが要求されている。
いるものとして、塩基性耐火物が用いられており、その
中でも、特に、高耐火特性を有するマグネシア耐火物
が、好適に使用されてきている。しかしながら、かかる
マグネシア耐火物は、熱に対する容積変化が大きいた
め、熱衝撃に弱く、高温の溶銑や溶鋼等と接触せしめら
れた際に、熱的スポーリングが発生し易いという欠点が
存するのであり、またその結晶粒界へ、スラグが容易に
浸透するため、熱膨張差によって構造的スポーリングも
発生し易いといった欠点をも、有しているのである。
鉄、製鋼用等の、優れた耐火物を与え得る耐火材料の開
発が進められている。そして、そのような耐火材料とし
て、マグネシアにアルミナを添加し、これを高温焼成す
ることによって得られるマグネシアアルミナ系スピネル
クリンカーが注目され、これを用いて得られる製鉄、製
鋼用の耐火物が、種々提案されてきている。
おいては、1mm以下のマグネシアアルミナ系スピネルク
リンカー5〜40重量%、アルミナクリンカー50〜9
0重量%、アルミナセメント3〜25重量%からなるア
ルミナ−スピネル質耐火物が明らかにされ、また特開平
3−60460号公報には、MgO:9.95〜18.
5重量%、Al2 O3 :80重量%以上、90重量%未
満、CaO:0.05〜1.50重量%の化学組成を有
する、マグネシアアルミナ系スピネルクリンカーまたは
ペリクレース結晶を含むマグネシアアルミナ系スピネル
クリンカー並びにそれらを用いて得られる耐火物が開示
されている。そして、それら公報には、何れも、そのよ
うな耐火物が、スラグに対して高い耐侵食性を有するも
のであることが示されている。
来のマグネシアアルミナ系スピネルよりなるクリンカー
を用いて得られる耐火物においては、それら公報に開示
の耐火物の如く、ペリクレース結晶を含んでいても、ま
たアルミナクリンカーと組み合わされても、或いはまた
その組成がより緻密化されても、その化学組成からし
て、高塩基性を示すCaOが主成分であるスラグに対す
る耐侵食性の向上には、自ずから限界があることが明ら
かとなった。
ける溶鉱炉や製鋼炉等の発達による使用条件の過酷化に
伴う、スラグに対する耐侵食性の、より一層の向上の要
望には、到底、応えることが出来なかったのである。
優れた工業材料としては、高融点(2265℃)を有す
る三酸化二クロム(Cr2 O3 )が、よく知られてい
る。また、このCr2 O3 のスラグに対する抵抗性を示
すものとしては、スラグの主成分であるCaO及びSi
O2 と、Cr2 O3 とから成る鉱物相の状態を、その組
成と温度との関係で示した、「Phase Diagr
ams for Ceramists」(The Am
erican Ceramic Society.In
c.発行)のFig.651「CaO−Cr2 O3 −S
iO2 系」の耐火物における相平衡状態図が、知られて
いる。また、そこには、「CaO−Al2O3 −SiO
2 系」、「CaO−MgO−SiO2 系」等の耐火物に
おける、各々の相平衡状態図も、併せて記載されてい
る。これら相平衡状態図を図1乃至図3に示した。
O−SiO2 系に対してCr2 O3を用いた耐火物は、
耐火物の一般的な使用温度である1600℃での固体の
溶融化領域が、CaO−SiO2 系に対してAl2 O3
やMgOを用いた耐火物に比して、1/7〜1/10と
遙に小さな領域となっている。即ち、Cr2 O3 は、耐
火物への侵食作用が大きいスラグ成分であるCaOやS
iO2 に対して、Al2 O3 やMgOよりも、高温での
化学的抵抗性に優れているのである。
とを用いて高温焼成して得られる、緻密組織を有するマ
グネシアクロム煉瓦が、スラグに対して高耐侵食性を示
す耐火物として、従来より広く使用されてきている。
3 が、耐火材料のスラグに対する耐侵食性の向上に寄与
するものであることが、推察される。それ故、そのよう
なCr2O3 を用いて、製鉄、製鋼用耐火物を製造すれ
ば、耐火特性に優れ、スラグに対して高耐侵食性を有す
る耐火物が得られることが考えられる。
して用い、耐火物を製造する場合にあっては、常法で
は、Cr2 O3 の緻密な焼結体を得ることが困難である
こと、またCr2 O3 が、人体への有害物質である6価
クロムへの変化が容易であること、更に工業材料として
は、かかるCr2 O3 が非常に高価であること等、数多
くの問題が存するのである。それ故、そのようなCr2
O3 を原料として用い、しかもそれに付随する問題を、
何等惹起せしめることなく、製鉄、製鋼用の耐火物を製
造することは、今まで、全く行なわれていないのであ
る。
景にして為されたものであって、その解決すべき課題と
するところは、マグネシアアルミナ系スピネルの有する
特性と、クロムの有する特性とを生かし合うことによ
り、スラグに対する耐侵食性を有利に向上せしめ、しか
もクロムを原料として含むことによって惹起される問題
を可及的に軽減乃至は排除せしめてなる、クロム固溶ス
ピネルよりなるクリンカー、並びにそれを用いて得られ
る耐火物を提供することにある。
課題を解決すべく、種々検討を行なった。そして、前述
の「Phase Diagrams for Cera
mists」のFig.4570「MgO−Cr2 O3
−Al2 O3 」において、Al3+イオンとCr3+イオン
との置換により、クロムがマグネシアアルミナ系スピネ
ルの結晶構造中に組み入れられ、固溶体を形成すること
が示されている点に着目し、そのようなクロムの固溶し
たマグネシアアルミナ系スピネルからなるものを、製
鉄、製鋼用の耐火材料として使用すべく、鋭意研究を重
ねたのである。
O3 と特定量のMgO,Al2 O3及びそれらの原料か
ら由来する不可避の不純物とからなり、且つクロムの固
溶したマグネシアアルミナ系スピネル、又は少量のペリ
クレース結晶を含むクロム固溶のマグネシアアルミナ系
スピネルよりなるクリンカー並びにそれを用いて得られ
る耐火物が、熱的安定性が高く、結晶粒子が大きく、且
つ焼結により緻密な組織を有し、しかもクロムの6価ク
ロムへの変化が有利に阻止された安全なものであり、そ
の上、スラグに対して、従来のものよりも高い耐侵食性
を発揮するものであることを、本発明者らは、見い出し
たのである。
て完成されたものであって、その特徴とするところは、
MgO:10〜60重量%、Cr2 O3 :0.05〜2
0重量%、Cr2 O3 とAl2 O3 の合計量:40〜9
0重量%、不純物:5重量%以下の化学組成を有し、且
つクロムの固溶したマグネシアアルミナ系スピネル、又
は少量のペリクレース結晶を含むクロム固溶のマグネシ
アアルミナ系スピネルよりなるクリンカーにある。
りなるクリンカーにあっては、有利には、その見掛気孔
率が20%以下となるようにされ、更にクロムの固溶し
たマグネシアアルミナ系スピネルの平均結晶径が、好ま
しくは10μm以上となるようにされることとなる。
〜60重量%、Cr2 O3 :0.05〜20重量%、C
r2 O3 とAl2 O3 の合計量:40〜90重量%、不
純物:5重量%以下の化学組成を有し、且つクロムの固
溶したマグネシアアルミナ系スピネル、又は少量のペリ
クレース結晶を含むクロム固溶のマグネシアアルミナ系
スピネルを有するクリンカーを耐火材料として用いてな
る耐火物をも、その特徴とするものである。
ネルよりなるクリンカー並びにそれを用いて得られる耐
火物は、クロムの固溶したマグネシアアルミナ系スピネ
ル、または少量のペリクレース結晶を含むクロム固溶の
マグネシアアルミナ系スピネルからなるものであり、特
に、クロムの固溶したマグネシアアルミナ系スピネル結
晶相を有することによって、スラグに対して、高い耐侵
食性を発揮するのものなのである。
において、その主成分組成物は、Cr2 O3 、MgO及
びAl2 O3 とから構成されるものであるが、MgOの
含有量は10〜60重量%とされ、同時にCr2 O3 と
Al2 O3 の合計含有量が40〜90重量%とされる必
要がある。
理論化学組成は、MgO:28.3重量%、Al
2 O3 :71.7重量%である。それ故、28.3重量
%を越えて、過剰に添加せしめられたMgOは、Al2
O3 との間でスピネル結晶を生成し得ず、クロムを殆ど
固溶しないペリクレース結晶として析出する。そのた
め、MgOの含有量が増大すれば、それに伴って、クロ
ムを殆ど固溶しないペリクレース結晶が増加し、また逆
にクロムを固溶するマグネシアアルミナ系スピネル結晶
の生成量が減少してしまうのである。そして、MgOが
60重量%を越えて多量に含有せしめられることになる
と、即ち、Cr2 O3 とAl2 O3 の合計含有量が40
%未満となると、クロムの固溶するマグネシアアルミナ
系スピネル結晶の生成量が、著しく低下し、目的とする
クリンカー並びに耐火物のスラグに対する耐侵食性も、
低下してしまうのである。また、かかるクリンカーにお
いて、MgOが10重量%未満、同時にCr2 O3 とA
l2 O3 の合計含有量が90%を越えて含有せしめられ
ることになると、MgOとの間でスピネル結晶を生成し
得ない、過剰のAl2 O3 によって、コランダム結晶が
析出し、この場合にあっても、クロムの固溶するマグネ
シアアルミナ系スピネル結晶の生成量が減少してしまう
のである。
により得られる耐火物は、その主要成分の一つとして、
Cr2 O3 を含有することにより、マグネシアアルミナ
系スピネル結晶の結晶構造中において、Al3+イオンの
一部とCr3+イオンとが置換されて、スラグに対して化
学的抵抗性の大きいクロムが固溶せしめられるのであ
る。そして、それによって、スラグに対する耐侵食性
が、有利に高められ、その結果、反応変質部の生成も少
なくなり、構造的スポーリングの発生をも、抑制され、
またクロムの6価クロムへの変化が有効に阻止され、更
には焼結性の向上が図られ得るのである。しかるに、そ
のような効果を、充分に享受するためには、Cr2 O3
が、0.05〜20重量%、好ましくは0.05〜10
重量%の範囲内で含有せしめられていなければならな
い。Cr2 O3 の含有量が、0.05重量%よりも少な
いと、目的とするクリンカー及び耐火物において、スラ
グに対する耐侵食性の効果的な向上が、望めなくなって
しまい、また高価なCr2 O3 が、20重量%を越えて
含有せしめられることになると、経済的に実用的でなく
なるといった問題が惹起されるのである。
は、Fe2 O3 ,TiO2 ,CaO,K2 O,Na
2 O,SiO2 等の各種酸化物の如き不純物を含有する
ことが許容され得るが、そのような不純物の含有量は、
その合計が5重量%以下とされていなければならない。
溶したマグネシアアルミナ系スピネル、又は少量のペリ
クレース結晶を含むクロム固溶のマグネシアアルミナ系
スピネルよりなるクリンカーにあっては、見掛気孔率が
20%以下の緻密組織を有する粒子からなるものが好ま
しい。更に、それらクロムの固溶したマグネシアアルミ
ナ系スピネル結晶において、その平均結晶径は、有利に
は、10μm以上、より有利には、20μm以上となる
ようにされていることが望ましいのである。けだし、そ
れらによって、目的とするクリンカー及び耐火物のスラ
グに対する耐侵食性が、より向上せしめられることとな
るからである。
りなるクリンカーは、有利には、以下の如き方法によっ
て製造され得るものである。
〜60重量%、Cr2 O3 :0.05〜20重量%、C
r2 O3 とAl2 O3 の合計量:40〜90重量%、原
料に由来する不可避の不純物:5重量%以下となるよう
に、それぞれ、MgO原料、Al2 O3 原料、Cr2 O
3 原料を配合せしめる。
の原料は、焼成後に上記の如き化学組成を与え得るもの
であれば、特に限定されるものではない。即ち、従来よ
りクリンカーまたは耐火物の原料として公知のものが、
何れも使用され得るのであって、例えば、MgO原料と
しては、市販のマグネシアクリンカー、水酸化マグネシ
ウム並びにそれを加熱処理して得られる酸化マグネシウ
ム、天然マグネサイト並びにそれを加熱処理して得られ
る酸化マグネシウム、各種マグネシウム塩等が挙げら
れ、またAl2 O3 原料としては、市販のアルミナクリ
ンカー、バイヤー法により製造された水酸化アルミニウ
ム並びにそれを加熱処理して得られた酸化アルミニウ
ム、天然ボーキサイト及びその焼成物、各種アルミニウ
ム塩等が用いられ得るのである。そして更に、Cr2 O
3 原料としては、三酸化二クロムや各種クロム塩類等が
使用され得るのである。また、それら原料を配合するに
際しては、必ずしもそれらから1種類ずつを選択して用
いる必要はなく、それぞれの原料を2種類以上組み合わ
せて使用しても、何等差し支えないのである。
合せしめるのであるが、その後の加熱処理において、焼
結がより容易となり、また焼結体内の組織が均質となる
ために、好ましくは50μm以下、より好ましくは15
μm以下となるまで、この配合物を粉砕混合せしめるこ
ととなる。また、かくして得られる粉砕混合物の平均粒
径が50μmを越える場合にあっては、最終的に得られ
るクリンカーの粒子の嵩密度が低くなってしまうのであ
り、焼成によって、見掛気孔率が20%以下の焼結体が
得られない恐れがあるところからも、かかる粉砕混合物
の平均粒径が、上記の如き範囲内となるようにされてい
ることが望ましい。なお、この粉砕混合においては、従
来より公知の装置が、何れも用いられ得るのであり、ま
た湿式若しくは乾式の何れの方法をも、採用され得るの
である。
に対して、その粉砕混合手法に応じた一般的な方法にて
造粒操作を施し、造粒物を得る。即ち、それら粉砕混合
物のうち、ボールミル等に水と共に投入され、湿式にて
粉砕混合せしめられて得られる泥漿は、フィルタープレ
ス等にて脱水後、押出成形機等によってペレット状に造
粒される。また、乾式粉砕混合方法により得られる乾燥
混合物は、転動造粒機等によって、乾式にて造粒される
こととなる。
した後、空気中で、ロータリーキルン、トンネルキル
ン、シャフトキルン等の一般的な焼成設備にて、クロム
がマグネシアアルミナ系スピネル結晶に、充分に固溶す
るまで加熱処理して、焼結体を得る。なお、この加熱処
理は、一般に、1700℃〜1950℃の温度範囲にて
行なわれる。また、この加熱処理において、有利には、
それら造粒物が、クロム固溶スピネル結晶の平均径が1
0μm以上、より有利には20μm以上となり、且つ見
掛気孔率が20%以下の緻密組織を有するようになるま
で、加熱、焼結せしめられる。
が、それぞれクロムの固溶したマグネシアアルミナ系ス
ピネル結晶、又はクロムを固溶しない、少量のペリクレ
ース結晶を含むクロム固溶のマグネシアアルミナ系スピ
ネル結晶よりなるものとなり、以て、本発明に係るクロ
ム固溶スピネルよりなるクリンカーが得られることとな
る。なお、以上では、焼結法による、本発明の特徴を有
するクリンカーの製造手法について、詳述してきたが、
本発明は、クロム固溶のスピネル組成に関するものであ
って、この焼結法により得られるものに限定されるもの
では、決してなく、電融法等、その他の製造手法によっ
ても、本発明に従うクロム固溶スピネル及びコランダム
よりなるクリンカーが製造し得るものである。
有利には、以下の如き方法に従うこととなる。
スピネルよりなるクリンカーに対して、通常の手法に
て、粉砕、整粒操作を施し、それにより、かかるクリン
カーの粉末又は粒状物を得る。そして、その得られた粉
末又は粒状物を耐火材料として用い、それらを所定の形
状に成形し、更に必要に応じて、加熱、焼結せしめるこ
とによって、煉瓦等の耐火物を得るのである。
得られる本発明に係るクリンカーに対して、必要に応じ
てセメントやバインダー等を配合し、不定形耐火物とし
た後、該不定形耐火物に対して、スタンプ成形法や振動
成形法等の操作を施すものがあり、そして最終的に、こ
れを所定の形状に成形することによって、所望の耐火製
品を得るのである。
られる耐火材料としては、本発明に従うクリンカーの粉
末又は粒状物のみからなることが最も望ましいが、該ク
リンカーと一般的な耐火材料とを粒度配合せしめ、配合
耐火材料として、使用しても良い。その際、一般的な耐
火材料として、本発明に従うクリンカーよりも安価な耐
火材料や、該クリンカーでは得られない特性を有する耐
火材料等を選択、使用すれば、本発明に係るクリンカー
のみによって得られる耐火物よりも、安価で、広範囲に
わたる特性を有する耐火物が得られるのである。但し、
そのような配合耐火材料にあっては、スラグに対して高
い耐侵食性を有する耐火物を得るために、本発明に従う
クリンカーの粉末又は粒状物を、少なくとも5重量%以
上含んでいることが望ましい。
は、例えばアルミナ質耐火材料やスピネル質耐火材料が
挙げられる。具体的には、アルミナ質耐火材料として
は、高アルミナ質岩類の焼成物、ボーキサイト類の仮焼
物若しくは焼成物、ダイアスポアー類、シリマナイト
類、合成ムライト、溶融アルミナ、焼結アルミナ、活性
アルミナ、酸化アルミニウム、ばんど頁岩等が用いられ
得、またスピネル質耐火材料としては、海水マグネシア
クリンカー、マグネサイト鉱及びその焼成物、溶融又は
焼結したマグネシア質材料、電融若しくは焼結したスピ
ネルクリンカー等が採用され得るのである。
その他に、粘土、炭化珪素、微粉状シリカ、黒鉛、各種
バインダー等の副資材を含むことも許容され得る。そし
て、特に、副資材として含有せしめられるバインダー
は、通常の耐火物製造工程において用いられるものであ
れば、如何なるものであっても差し支えない。即ち、ア
ルミナセメント等の水硬性セメント、燐酸ソーダや珪酸
ソーダ等のアルカリ金属塩、燐酸アルミや硫酸マグネシ
ウム等のアルカリ土類金属塩、各種無定形シリカ、正燐
酸等の無機系バインダー、フェノール樹脂及びフラン樹
脂等の有機系バインダー、タールやピッチ系の炭素結合
材、更にはパルプ廃液や苦汁等が、かかる配合材料に含
有されることが許容され得るのである。
クリンカーを耐火材料として含み、製鉄、製鋼用として
優れた特性を発揮し得る耐火物となる。なお、かかる本
発明に従う耐火物は、高耐火特性及び高耐侵食性を有す
るところから、セメント及び石灰焼成キルン用として
も、充分に使用可能である。
発明を更に具体的に明らかにすることとするが、本発明
が、そのような実施例の記載によって、何等の制約をも
受けるものでないことは、言うまでもないところであ
る。また、本発明には、以下の実施例の他にも、更には
上記の具体的記述以外にも、本発明の趣旨を逸脱しない
限りにおいて、当業者の知識に基づいて種々なる変更、
修正、改良等を加え得るものであることが、理解される
べきである。
2 O3 原料として、それぞれ、市販の仮焼アルミナ、水
酸化マグネシウム、三酸化二クロムを用い、それらを各
々異なる量にて、しかも焼結後の理論化学組成が、本発
明の範囲内となるように配合せしめた。そして、その得
られた配合物を、それぞれ、実施例1、実施例2、実施
例3、実施例4、実施例5とした。また、クロムの添加
効果を明らかにするために、三酸化二クロムを用いず
に、水酸化マグネシウムと仮焼アルミナのみを、それぞ
れ異なる量で配合せしめ、かくして得られる配合物を、
各々比較例1、比較例2、比較例3とした。それら実施
例1乃至5及び比較例1乃至3の焼結後の理論化学組成
を、それぞれ下記表1に示す。
に投入し、更に水を加えて、湿式法により粉砕、混合を
行ない、それぞれの泥漿を得た。そして、かくして得ら
れた泥漿をボールミル中から取り出し、フィルタープレ
スによって脱水した後、それらを押出成形機により、ペ
レット状に造粒成形した。次いで、その得られた造粒物
を乾燥し、その後かかる造粒物に対して、ガス炉にて1
700℃〜1900℃の加熱温度で、それぞれ30分間
の加熱処理を施し、目的とするクリンカーである加熱処
理粒子を得た。そして、それら加熱処理粒子の加熱温度
別の物理特性、即ち見掛比重、嵩比重、見掛気孔率及び
吸水率について、それぞれ測定した。実施例1〜5の加
熱処理粒子の物理特性の測定結果と、それぞれの構成鉱
物とを下記表2に、また比較例1〜3の加熱処理粒子の
物理特性の測定結果と、それぞれの構成鉱物とを下記表
3に示す。なお、これらの物理特性は、「JIS R2
205−7耐火煉瓦の見掛気孔率、吸水率及び比重の測
定方法」に準じて行なった。また、構成鉱物は、X線回
折測定機を用い、各結晶相の同定を行って求めた。下記
表2及び3中、Spは、スピネル結晶を、Peは、ペリクレ
ース結晶を、それぞれ表す。
結後の化学組成が、MgO:10〜60重量%、Cr2
O3 :0.05〜20重量%、Cr2 O3 とAl2 O3
の合計量:40〜90重量%、不純物:5重量%以下と
なるように、MgO原料、Cr2 O3 原料及びAl2 O
3 原料の各原料を配合し、それによって得られる配合物
を粉砕、混合せしめ、更にその得られた混合物を造粒し
て、その後その造粒物を、1700℃乃至は1900℃
にて加熱処理することによって、クロムの固溶するマグ
ネシアアルミナ系スピネル結晶またはペリクレース結晶
を含むクロム固溶のマグネシアアルミナ系スピネル結晶
よりなり、且つ見掛気孔率が20%以下の緻密な組織を
有する焼結体が得られた。
処理粒子のうち、本発明の特徴を有し、クロム固溶スピ
ネルまたはペリクレースを含むクロム固溶スピネルより
なるクリンカーとなった、実施例1〜5における190
0℃での加熱処理粒子と、クロムの固溶しないスピネル
よりなるクリンカーとなった、比較例1〜3における1
900℃での加熱処理粒子とを用い、それらを、それぞ
れ粉砕せしめ、粉砕物を得た。次いで、それら粉砕物
と、一般的な耐火材料として焼結アルミナ粉砕物とを用
い、下記表4に示される如き配合割合と粒度分布とをも
って、それぞれ配合せしめ、各々異なる配合物を得た。
それら配合物のうち、実施例1〜5を単独で用いて得ら
れたものを実施例6〜9とし、更に実施例1及び4に対
して、それぞれ焼結アルミナ粉砕物を添加せしめて得た
配合耐火材料を、各々実施例10及び11とした。ま
た、比較例1〜3を単独で用いて得られたものを、それ
ぞれ比較例4〜6とし、更に比較例1及び3に対して、
それぞれ焼結アルミナを添加せしめて得た配合耐火材料
を、各々比較例7及び8とした。
アムスラー型耐圧試験機にかけ、1t/cm2 の圧力にて
50mmφ×50mmHの円筒状の成形体を、それぞれ、作
製した。その後、それら成形体に対して、ガス炉にて1
900℃の加熱温度で、それぞれ30分間の加熱処理を
施し、耐火物たる加熱処理体を得た。そして、それら耐
火物たる加熱処理体の見掛気孔率を、それぞれ測定し
た。その結果を下記表5に示す。なお、それらの見掛気
孔率は、クリンカーの見掛気孔率を測定した手法と同様
の手法により行なった。
を明らかにするために、それぞれの耐火物の中心部を、
深さ:20mm、直径:10mmの大きさにくり抜き、そう
してできた穴の中に、下記表6に示す如き化学組成を有
する所定量のスラグを、それぞれ投入し、その状態で1
600℃にて2時間の加熱処理を施した。しかる後、そ
れら耐火物を、スラグが投入された穴を縦に二分するよ
うに切断して、該耐火物とスラグとの反応状態、即ち該
耐火物のスラグの侵食作用による亀裂の発生状態及び該
耐火物におけるスラグの平均浸透深さを測定した。そし
て、それらの測定結果と、その測定結果から判断され
る、スラグとの反応性に対する評価結果とを併せて、下
記表7に示した。なお、かかる表7の評価結果におい
て、○は良好、△は可、×は不可を示し、また△と×
は、スラグとの反応性において、実質的に不良であるこ
とを表す。
gOを10〜60重量%の量にて含み、Cr2 O3 が
0.05〜20重量%含有され、Cr2 O3 とAl2 O
3 との合計量が40〜90重量%とされ、更に原料に由
来する不可避の不純物が5重量%以下である化学組成よ
りなり、そして、クロムの固溶するスピネル、または少
量のペリクレース結晶を含むクロム固溶のスピネルから
なるクリンカーを耐火材料として含む耐火物は、スラグ
の侵食作用による亀裂の発生が、一つの例を除いて、全
く見られないのである。また、そのような本発明に従う
耐火物は、耐火材料として、クロムの固溶しないスピネ
ルからなるクリンカーを含む耐火物と比較して、スラグ
の平均浸透深さが、約1/2或いはそれ以下の値となっ
ている。これは、かかる表7の評価結果にて示される如
く、本発明に係るクロム固溶スピネルクリンカーを耐火
材料として含む耐火物が、クロムを固溶しないそれより
も、スラグとの反応性、即ちスラグに対する耐侵食性に
おいて、優れた特性を発揮するものであることが証明さ
れる結果となっている。
に係るクロムの固溶したマグネシアアルミナ系スピネ
ル、又は少量のペリクレース結晶を含むクロム固溶のマ
グネシアアルミナ系スピネルよりなるクリンカーは、何
れも、そのマグネシアアルミナ系スピネル結晶に、スラ
グに対する化学的抵抗性の大きいクロムを固溶してなる
ものであるため、そのようなクリンカーを用いて得られ
る耐火物にあっては、スラグに対しての耐侵食性が、従
来のものに比して、著しく高められることとなったので
ある。
を用いて得られる耐火物にあっては、クロムが、それら
の結晶構造中に固溶せしめられて使用されるため、人体
に対して有害である6価クロムへの変化が有効に阻止さ
れて、クロムの使用に対する安全性が確保され得るので
あり、また通常の操作による焼結が、容易に為され得る
こととなったのである。しかも、かかるクリンカー並び
に耐火物においては、それら結晶構造中に固溶せしめら
れるクロムの含有量が可及的に少なくされているところ
から、高価なクロムの使用に伴う原料コストの高騰を
も、有利に抑え得るのである。
クリンカーが、平均結晶径が10μm以上で、見掛気孔
率が20%以下の緻密な組織となるようにされることに
よって、かかるクリンカーを用いて得られる耐火物のス
ラグに対する耐侵食性が、より向上せしめられることと
なるのである。
ける相平衡状態図である。
ける相平衡状態図である。
相平衡状態図である。
Claims (4)
- 【請求項1】 MgO:10〜60重量%、Cr
2 O3 :0.05〜20重量%、Cr2 O3 とAl2 O
3 の合計量:40〜90重量%、不純物:5重量%以下
の化学組成を有し、且つクロムの固溶したマグネシアア
ルミナ系スピネル、又は少量のペリクレース結晶を含む
クロム固溶のマグネシアアルミナ系スピネルからなるこ
とを特徴とするクロム固溶スピネルよりなるクリンカ
ー。 - 【請求項2】 見掛気孔率が20%以下である請求項1
に記載のクロム固溶スピネルよりなるクリンカー。 - 【請求項3】 前記クロムの固溶したマグネシアアルミ
ナ系スピネルの平均結晶径が10μm以上である請求項
1または請求項2に記載のクロム固溶スピネルよりなる
クリンカー。 - 【請求項4】 MgO:10〜60重量%、Cr
2 O3 :0.05〜20重量%、Cr2 O3 とAl2 O
3 の合計量:40〜90重量%、不純物:5重量%以下
の化学組成を有し、且つクロムの固溶したマグネシアア
ルミナ系スピネル、又は少量のペリクレース結晶を含む
クロム固溶のマグネシアアルミナ系スピネルを有するク
リンカーを耐火材料として用いてなることを特徴とする
耐火物。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP08338192A JP3257820B2 (ja) | 1992-03-05 | 1992-03-05 | クロム固溶スピネルよりなるクリンカー並びにそれを用いて得られる耐火物 |
Applications Claiming Priority (1)
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JP08338192A JP3257820B2 (ja) | 1992-03-05 | 1992-03-05 | クロム固溶スピネルよりなるクリンカー並びにそれを用いて得られる耐火物 |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH05254925A true JPH05254925A (ja) | 1993-10-05 |
JP3257820B2 JP3257820B2 (ja) | 2002-02-18 |
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ID=13800848
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
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Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP3257820B2 (ja) |
-
1992
- 1992-03-05 JP JP08338192A patent/JP3257820B2/ja not_active Expired - Fee Related
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