JPH0525290Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 ［考案の目的］ （産業上の利用分野） 本考案は自動車用空気調和装置に組込まれたド
アを開閉するためのドア開閉用リンク機構に関す
る。

（従来の技術） 自動車用空気調和装置内を構成するインテーク
ユニツト、及びヒータユニツトには、インテーク
ドア等の種々のドアが組込まれている。このよう
なドアはダンパーとも言われ、車室内に吹出され
る空気の内外気の切換えや、吹出口の位置の切換
や、温度の調整等を行なうために用いられている
ものである。

このようなドアは、マニユアル式の空気調和装
置にあつては実開昭60−189413号公報に示される
ように車両に組付けられたコントロールレバー等
を操作することによつて、ドアに取付けられたレ
バーを前記コントロールレバー及びケーブルを介
して開閉される。また、オートエアコンと言われ
るタイプの空気調和装置にあつては、前記コント
ロールケーブル等を操作することによつて、モー
タやアクチユエータを介して前記ドアを開閉する
ようにしている。

（考案が解決しようとする問題点） 従来のドア開閉用のリンク機構にあつては、人
手の操作によるケーブル、或いはモータないしア
クチユエータ等の駆動源からの作動を直接ドアに
伝達するようにしているために、ドアがケース等
の固定壁に当たると、その際にドアと固定壁との
衝突音が発生することがある。

このような衝突音が発生すると、自動車用空気
調和装置の静粛化が達成されつつある今日では、
相対的にその衝突音が目立つことになり、車両の
走行フイーリングが良好とならないという問題点
があつた。

本考案は上記従来技術の問題点に鑑みてなされ
たものであり、自動車用空気調和装置に組込まれ
た種々のドアの開閉動作時に、ドアが固定壁に衝
突しても衝突音が発生しないようにすることを目
的とする。

［考案の構成］ （問題点を解決するための手段） 上記目的を達成するための本考案は、ドアと一
体となつたドア軸にレバーを当該レバーの一端部
で固定し、前記レバーの他端部に一端部で係合さ
れた連結リンクを、当該連結リンクの他端部で駆
動リンクに揺動自在にピン結合し、前記駆動リン
クをピンにより固定部材に揺動自在に取付けると
共に当該駆動リンクに駆動手段を連結し、前記連
結リンクの他端部と前記駆動リンクとの間に、前
記連結リンクを弾発力により前記駆動リンクに対
して所定の基準位置となるようにすると共にこの
弾発力と前記ドアの開閉動作時に前記駆動リンク
の回動動作により揺動される前記連結リンクの揺
動動作によつて加えられる新たな弾発力とによ
り、この新たな弾発力が加えられた後、前記連結
リンクを前記駆動リンクに対して所定の基準位置
となるように揺動させて前記ドアを閉じるばね部
材を取付けてなるドア開閉用リンク機構である。

（作用） ドアを駆動する駆動手段とドアとは、駆動リン
クとこれに揺動自在にピン結合された連結リンク
とを介して連結されている。駆動リンクには駆動
リンクに対して所定基準位置となるようにばね部
材によつて弾発力が付与されている。このよう
に、駆動リンクと連結リンクはばね部材を介して
係合されており、ドアを開閉させるために駆動手
段により駆動リンクを揺動させると、連結リンク
が駆動リンクに対して揺動する。つまり駆動リン
クの移動は連結リンクを介して間接的にドアに伝
達される。また連結リンクが駆動リンクに対して
揺動させられると、連結リンクにはばね部材から
この連結リンクを所定の基準位置に戻そうとする
新たな弾発力が付与される。そしてこれらの弾発
力により連結リンクを駆動リンクに対して所定基
準位置に揺動させることにより、ドアをゆつくり
と最終的な閉位置に移動させる。したがつてドア
を固定壁に衝突させる際、ドアと固定壁との衝突
による衝突音の発生が防止される。

（実施例） 以下、図示する本考案の一実施例について説明
する。

第１図は本考案の一実施例に係るドア開閉用リ
ンク機構を示す斜視図であり、このドア１は図示
しないインテークユニツト内に組付けられたイン
テークドアであり、このドア１はドア軸２に固定
されており、このドア軸２を中心として所定の角
度の範囲で回動し、その開閉端で固定壁であるユ
ニツトのケース内面に衝突することになる。この
ドア軸２は図示しないインテークユニツトのケー
スに両端部が支持されている。尚、符号１ａはド
ア１の外周部に貼着されたシール材である。

このドア軸２の一端には図示するように、レバ
ー３がその一端部で固定されている。このレバー
３には一端部近傍から他端部に向けて長手方向に
沿う長孔４が形成されている。固定部材となる図
示しないユニツトケースには、ドア１を開閉駆動
するための駆動リンク５がピン６により揺動自在
に取付けられている。

前記レバー３の長孔４に係合するピン７を一端
に有する連結リンク８が、前記レバー３に対して
その他端部で係合している。この連結リンク８は
その他端部でピン９により、駆動リンク５に対し
て揺動自在に結合されている。

図示実施例にあつては、駆動リンク５には溝部
１０が形成されており、この溝部１０の中に連結
リンク８の他端部が位置している。そして、この
溝部１０の内壁と連結リンク８の他端部側壁との
間には、この連結リンク８が駆動リンク５に対し
て所定の基準位置、例えば連結リンク８の長手方
向中心軸が駆動リンク５の長手方向中心軸と一致
する位置となるように、連結リンク８に対して所
定の弾発力を付与するためにのばね部材１１が２
つ取付けられている。これらのばね部材１１は、
一端部が駆動リンク５に固定され、他端部が駆動
リンク５の溝部１０の内面に沿つて摺動し得るよ
うになつている。尚、連結リンク８が駆動リンク
５に対して揺動する範囲は、連結リンク８の長手
方向中心軸を中心として第２図Ａ中に符号αで示
されている。

駆動リンク５には、駆動手段としてのケーブル
１２が接続されており、このケーブル１２を図示
しないコントロールレバー等を作動することによ
つて、駆動リンク５は、ピン６を中心に揺動する
ことになる。尚、アクチユエータ等の駆動源によ
つてドア１を開閉作動する場合には、ケーブル１
２に代えて所定の駆動源を駆動リンク５に接続す
る。

尚、図示実施例にあつては、レバー３に長孔４
を形成し、連結リンク８の一端部にピン７を取付
けるようにして、レバー３と連結リンク８との係
合を行なわせているが、レバー３にピン７を固定
し、連結リンク８に長孔４を形成するようにして
も良い。

次に、上記構成のドア開閉用リンク機構の作動
状態について説明する。

第２図Ａはドア１が回動端に向けて回動動作を
行なつている状態におけるリンク機構の作動状態
を示す。この状態におけるドア１の位置は第３図
Ａの位置に相当する。このような回動途中にあつ
ては、ドア１の回動抵抗によつて駆動リンク５の
回動が第２図Ａに示すように、先行することにな
る。また、第２図Ａに示されるように、連結リン
ク８が駆動リンク５に対して図中下向きに揺動す
ると、下側のばね部材１１が変形されるので、連
結リンク８にはばね部材１１からさらに大きな弾
発力が新たに付与される。

第２図Ｂは駆動リンク５が駆動終了端部まで回
動した状態を示す図であり、この状態にあつて
は、駆動リンク５に対して連結リンク８が回動し
たままであり、ドア１はまだ回動終了端にまで回
動しておらず、その直前の位置となつている。こ
の状態におけるドア１の回動状態は第３図Ｂの通
りである。その後に、ばね部材１１の弾発力によ
つて、第２図Ｃに示すように、連結リンク８の長
手方向中心軸と駆動リンク５の長手方向中心軸と
が一致するように、つまりこれらのリンク８，５
が相互に基準位置となるように、連結リンク８は
駆動リンク５に対して揺動することになる。この
状態におけるドア１の回動状態を示すと第３図Ｃ
の通りである。このように、ばね部材１１の弾発
力によつて連結リンク８を駆動リンク５に対して
所定の基準位置に移動させることにより、最終的
にドア１を閉じるようになつているので、駆動手
段の動作速度等とは無関係にゆつくりとドア１を
閉じることができる。したがつてドア１の開閉動
作の際に、ドア１と固定壁との衝突により発生す
る衝突音を防止できる。またドア１が固定壁に衝
突する際、ばね部材１１の弾発力はドア１に貼着
されたシール材（弾性部材）１ａによつて吸収さ
れ、ドア１が固定壁、つまりインテークユニツト
のケース内面Ｓに接触する際には、ゆつくりと締
まることになる。また、シール材（弾性部材）１
ａによつてリンク５，８にも荷重が加わることに
なり、これによつて、ばね部材１１が変形するこ
とになる。そして、この変形が元に戻ることによ
つて、ドア１のシール材１ａがゆつくりとケース
内面Ｓに当たるため、これによつても衝突音の発
生を防止できる。したがつて、ドア１の開閉動作
の際には、ドア１が固定壁に衝突することによる
衝突音の発生がなくなる。

図示実施例はドア１として、インテークドアの
場合を示したが、このドア以外に自動車用空気調
和装置における種々のドアに本考案を適用するこ
とが可能である。

［考案の効果］ 以上述べたように、本考案によれば、ドアと一
体となつたドア軸にレバーを当該レバーの一端部
で固定し、前記レバーの他端部に一端部で係合さ
れた連結リンクを、当該連結リンクの他端部で駆
動リンクに揺動自在にピン結合し、前記駆動リン
クをピンにより固定部材に揺動自在に取付けると
共に当該駆動リンクに駆動手段を連結し、前記連
結リンクの他端部と前記駆動リンクとの間に、前
記連結リンクが前記駆動リンクに対して所定の基
準位置となるように前記連結リンクに対して弾発
力を付与するばね部材を取付けたので、ドアを回
動させるために、駆動リンクを回動端の位置にま
で回動させても、ばね部材を介して駆動リンクに
接する連結リンクは駆動リンクに対して揺動して
おり、ドアは最終的な閉位置にまで達していな
い。したがつて、この後ばね部材の弾発力により
ドアを徐々に回動させることにより衝突音を発生
させることなくドアを固定壁に接触させることが
できる。これにより、自動車用空気調和装置がよ
り静粛な作動を行なうようになつた。

【図面の簡単な説明】

第１図は本考案の一実施例に係るドア開閉用リ
ンク機構を示す斜視図、第２図Ａ〜Ｃは第１図に
示すリンクの作動状態を示す正面図、第３図Ａ〜
Ｃは第１図に示すドアの回動状態を示す正面図で
ある。 １……ドア、２……ドア軸、３……レバー、４
……長孔、５……駆動リンク、６……ピン、７…
…ピン、８……連結リンク、９……ピン、１１…
…ばね部材、１２……駆動手段。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. ドア１と一体となつたドア軸２にレバー３を当
   該レバー３の一端部で固定し、前記レバー３の他
   端部に一端部で係合された連結リンク８を当該連
   結リンク８の他端部で駆動リンク５に揺動自在に
   ピン結合し、前記駆動リンク５をピン６により固
   定部材に揺動自在に取付けると共に当該駆動リン
   ク５に駆動手段１２を連結し、前記連結リンク８
   の他端部と前記駆動リンク５との間に、前記連結
   リンク８を弾発力により前記駆動リンク５に対し
   て所定の基準位置となるようにすると共にこの弾
   発力と前記ドア１の開閉動作時に前記駆動リンク
   ５の回動動作により揺動される前記連結リンク８
   の揺動動作によつて加えられる新たな弾発力とに
   より、この新たな弾発力が加えられた後、前記連
   結リンク８を前記駆動リンク５に対して所定の基
   準位置となるように揺動させて前記ドア１を閉じ
   るばね部材１１を取付けてなるドア開閉用リンク
   機構。