JPH05252059A - 適応型フィルタを用いた整流帰還高周波回路装置 - Google Patents

適応型フィルタを用いた整流帰還高周波回路装置

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JPH05252059A
JPH05252059A JP4047066A JP4706692A JPH05252059A JP H05252059 A JPH05252059 A JP H05252059A JP 4047066 A JP4047066 A JP 4047066A JP 4706692 A JP4706692 A JP 4706692A JP H05252059 A JPH05252059 A JP H05252059A
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Masami Osaki
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 互いに近接した多数の狭帯域チャネルによる
音声、データ等の通信で各チャネルの伝送帯域を鋭く遮
断するための整流帰還増幅において大幅の帯域減衰を施
したときの温度等の動作条件の変化による伝送帯域特性
の変化を防止するために、 【構成】 整流帰還を適応型フィルタを介して行ない、
そのフィルタの帯域特性を温度等の動作条件に応じて変
化させるとともに、そのデータ処理をディジタル信号処
理により迅速に行ない、 【効果】 各チャネルの通信を間欠的に繰返しても、通
信再開の都度、即時に所定の伝送帯域特性に定着し、デ
ータ相関の有無により混信妨害を判別して安定動作を乱
されないように制御する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、互いに近接した多数の
狭帯域チャネルによる音声、データ等の反復通信におけ
る各チャネルの伝送帯域を鋭く遮断する整流帰還高周波
回路装置に関し、特に、温度等の動作条件の変化に適応
して、反復通信再開の都度、即時に適正な伝送帯域特性
に定着し得るようにしたものである。
【0002】
【従来の技術】例えば、プレストーク式の音声通信やデ
ータ通信等においては、互いに近接した多数の狭帯域伝
送チャネルが割当てられており、したがって、各伝送チ
ャネルにおいては、相互の混信妨害を避けるために、そ
れぞれの伝送帯域の両側を鋭く遮断する必要がある。そ
のために、この種の通信機においては、一般に、送信出
力高周波信号の一部を分岐して整流検波した包絡線信号
を、適切な帯域特性の低域通過フィルタを介し、適切な
利得で帰還して伝送帯域の両側を鋭く遮断し得る整流帰
還を施して所要の狭帯域伝送特性が得られるようにして
いる。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、この種
の通信の利用が近年著しく増加し、割当られた多数の伝
送チャネルが、空チャネルなしに、すべて現実に使用さ
れるようになったので、狭い保護帯域を介して隣接する
狭帯域伝送チャネル間の混信妨害が現実に問題となって
来た。したがって、かかる隣接チャネル間の混信妨害を
除去するために、従来採用している整流帰還の帰還量を
増大させて伝送帯域両側の減衰率を著しく増大させる必
要が生じて来た。
【0004】しかしながら、かかる高帰還率の整流帰還
により所要の狭帯域伝送特性を得ている場合には、例え
ば間欠送信の再開直後と引続く通信期間とでは、わずか
であっても、各回路素子の温度や印加電圧が変化し、そ
の変化が高率の整流帰還によって得ている伝送帯域特性
を変化させるために、例えばプレストークの開始直後に
上述した隣接チャネル混信妨害が増大するなどの通信障
害が増大し、かかる通信障害の排除、特に、送信再開時
の伝送帯域特性の変化による隣接チャネル妨害の排除
が、従来、解決を要する課題となっていた。
【0005】
【課題を解決するための手段】本発明の目的は、上述し
た従来の課題を解決し、整流帰還により急峻な遮断特性
の狭帯域伝送特性を得、例えば間欠通信の再開直後にも
所要の伝送帯域特性を保持し得るようにした整流帰還高
周波回路装置を提供することにある。
【0006】すなわち、本発明整流帰還高周波回路装置
は、高周波信号回路の出力高周波信号を整流検波した包
絡線信号を少なくとも低域通過フィルタを介して前記高
周波信号回路の入力側に帰還することにより当該高周波
信号回路の入出力周波数特性を制御する回路装置におい
て、前記低域通過フィルタの通過帯域特性を当該回路装
置の動作状態に適応して変化させることにより、前記高
周波信号回路の入出力周波数特性を当該回路装置の動作
状態に適応させることを特徴とするものである。
【0007】
【実施例】以下に図面を参照して実施例につき本発明を
詳細に説明する。まず、音声送信機に適用した場合の例
について、一般の整流帰還高周波回路装置の概略構成を
図1に示す。図1に示す概略構成の整流帰還音声送信機
においては、入力高周波搬送波信号を、減衰器などの利
得制御器1を介し、変調器2に導いて音声信号により例
えば振幅変調を施したうえで、電力増幅器3に供給して
得た被変調高周波出力信号を分波器4を介しアンテナ5
に供給して送出すとともに、分波器4から得た一部の高
周波出力信号を検波器6に導き、整流検波して得た包絡
線信号を、適切な利得の増幅器7および所要の伝送帯域
を平坦な通過帯域とする低域通過フィルタ8を順次に介
し、利得制御器1に適切な帰還率で帰還して入力高周波
信号の利得を制御し、所要伝送帯域外で適切な傾斜の減
衰特性が得られるようにする。
【0008】しかして、この種の通信においては、図2
に模式的に示すように、多数の狭帯域伝送チャネルが狭
い保護帯域を介して順次に隣接しており、各チャネルの
伝送帯域特性としては、図2に実線で示すように、極め
て急峻な帯域外減衰特性を必要とするので、上述のよう
に整流帰還により所要の伝送帯域特性が得られるように
している。
【0009】すなわち、例えば図1に示した音声送信機
の高周波信号入力端からアンテナ5に到る高周波信号伝
送回路自体は、例えば図3(a) に示すように、数百KHz
程度まで平坦な広帯域特性にしておき、かかる広帯域高
周波伝送回路に整流帰還を施して、例えば図3(b) に示
すように、例えば5KHz とする所要伝送帯域外で、従来
は、例えば 100〜200KHzまでに 20 〜30dBの減衰が得ら
れるようにしていた。
【0010】しかしながら、前述したように、近来この
種の通信の利用が増大し、現実に隣接チャネル間の混信
が問題となる状態にあっては、例えば図3(c) に示すよ
うに、整流帰還により、所要伝送帯域外では、例えば30
0KHzまでに60dB程度の極めて急峻な大幅の減衰が得られ
るように、整流帰還の帰還量を増大させる必要が生じて
いる。
【0011】一方、かかる大量の帰還によって所要の伝
送帯域外減衰特性を得ている状態で、例えば整流帰還回
路中のフィルタ8を構成する回路素子の定数が例えば温
度変化により変化し、その結果として、フィルタ8の伝
送帯域特性が変化した場合には、例えば、図3(c) に点
線で示すように、各チャネルの現実の伝送帯域特性が広
がり、忽ち隣接チャネル間の混信妨害が増大することに
なる。特に、例えばプレストーク式のトランスシーバな
どにおいては、間欠的に行なわれる送信再開の都度、送
信再開の当初と引続く送信期間とでは、送信回路近傍の
温度が変化し、安定した送信期間に所要の伝送帯域特性
が得られるように調整してあっても、送信再開直後には
現実の伝送帯域に変化が生ずることになる。
【0012】本発明整流帰還高周波回路装置において
は、上述した送信再開直後の伝送帯域の変化など、回路
素子の動作温度や印加電圧など動作条件の変化による伝
送帯域特性の変化を他の伝送帯域調整手段の同一動作条
件の変化に対応した特性乃至定数の変化により相殺除去
して、例えば間欠送信の全期間を通じ、所要の伝送帯域
特性が安定確実に保持されるようにするために、例えば
図4に示すように、動作条件の変化に対応して特性が変
化する伝送帯域調整手段として適応型フィルタを整流帰
還回路に介挿する。
【0013】図4に示す概略構成の本発明整流帰還高周
波回路装置においては、入力高周波搬送波信号を、減衰
器などの利得制御器1を介し、高周波回路9に導いて例
えば増幅、変調など所定所望の信号処理を施し、その処
理済み高周波出力信号を分波器4を介して出力端から取
出すとともに、分波器4から得た一部の高周波出力信号
を検波器6に導き、整流検波を施して高周波出力信号の
包絡線信号を取出す。
【0014】図4に示す本発明回路装置においては、図
1に示した一般の整流帰還高周波回路装置におけると同
様に、検波器6からの整流検波出力包絡線信号を、上述
した適応型フィルタ10、すなわち、例えばトランスバー
サルフィルタなどのように、多段構成の伝送特性決定素
子それぞれの係数を可調整にして外部からの制御信号に
より変化させ、所要の動作条件に適応して伝送特性を変
化させ得るようにしたフィルタに、要すれば前後にアナ
ログ・ディジタル(A/D)変換器およびディジタル・
アナログ(D/A)変換器を配置したものに供給して動
作条件に対応した伝送帯域特性に適応させたうえで、適
切な利得の増幅器7を介して利得制御器1を帰還制御す
る。
【0015】図4に示す本発明回路装置においては、か
かる従来とほぼ同様の伝送帯域特性の整流帰還制御を行
なうとともに、検波器6からの整流検波出力包絡線信号
をデータ分析器11にも導き、外部から供給する動作温
度、印加電圧などの動作条件データとともに包絡線信号
の例えば波形ひずみ、周波数成分含有率、信号対ノイズ
比等の所要データを分析し、その分析結果の動作状態デ
ータ、例えば安定動作時に回路装置全体の所定所望の伝
送帯域特性が得られる動作状態に対応したデータを記憶
器12に一旦記憶させる。
【0016】ついで、例えばプレストーク式音声送信に
おける次の送信再開当初における同様の動作状態データ
を比較器13に供給するとともに、記憶器12から取出した
安定時の動作状態データも比較器13に供給して相互に比
較する。比較器13における互いに異なる動作状態乃至動
作時点における動作状態データの相互比較の結果を判定
器14に供給し、両者間に回路装置全体の伝送帯域特性を
修正すべき有意の差が認められ、もしくは、認められな
かったときには、その判定結果を係数設定器15に供給
し、適応型フィルタ10における各伝送特性決定素子それ
ぞれの係数を、その有意の差に応じて修正し、もしく
は、修正しないことにより全体の伝送帯域特性を所定所
望の特性に常時保持する。
【0017】なお、上述のように適応動作をする本発明
回路装置において、仮に、出力端から例えば混信などに
よる不所望の高周波信号が侵入した場合には、当然に、
検波器6からの包絡線信号の信号波形が安定動作時とは
著しく相違することになる。上述したように、例えばフ
レストーク式音声送信の再開当初における温度などの動
作条件が安定動作時と相違する場合には、その動作条件
の相違は比較的軽微であるので、比較器13における動作
状態データの比較の結果については、両者間にある程度
の相関が認められるも、混信妨害波の混入による動作状
態データは安定動作時の動作状態データとは著しく相違
してほとんど相関が認められなくなる筈である。
【0018】したがって、図4に示す概略構成の本発明
回路装置においては、比較器13における動作状態データ
の比較の結果、両者間に相関なしと判定された場合には
かかる混信妨害によって全体の伝送帯域特性が乱される
のを回避するために、例えば係数設定器15を不動作にし
て適応型フィルタ10の伝送特性修正機能を停止させるな
どの緊急処理を施す。
【0019】一方、図4に示した概略構成による本発明
回路装置全体の伝送帯域特性の適応修正は、例えばプレ
ストーク式間欠送信の再開の都度、極めて迅速に行なっ
て送信再開の当初から所定所望の伝送帯域特性によって
安定動作をするようにする必要があり、上述した動作状
態データの処理はリアルタイムで極めて迅速に行なう必
要がある。
【0020】本発明回路装置においては、かかる動作状
態データの迅速処理を達成するために、かかるデータ処
理に従来一般に用いられていたデータの順次処理を行な
うマイクロプロセッサに替えて、ディジタル信号処理装
置、すなわち、いわゆる DSP(Digital Signal Processo
r)を採用し、例えば図5に概略を示すように構成する。
【0021】しかして、この種ディジタル信号処理装置
(DSP)は、所要複数個のランダムアクセスメモリ
(RAM)およびリードオンメモリ(ROM)を備えて
各段階のディジタル演算回路との間を多ビットのデータ
バスで連結し、所要のデータ処理を可及的並列に行なう
ことにより、一般のマイクロプロセッサに比して格段に
迅速にデータ処理を完了し得るようにしたものの総称で
あり、本発明回路装置に適用する場合には、図4に示し
た概略構成において鎖線で囲んで示す適応型フィルタ1
0、データ分析器11、記憶器12、比較器 (相関器)13 、
判定器14および係数設定器15をすべてディジタル回路化
してディジタル信号処理装置(DSP)17の形態に再構
成し、その前後にアナログ・ディジタル変換器(A/
D)16およびディジタル・アナログ変換器(D/A)18
を配置する。
【0022】
【発明の効果】以上の説明から明らかなように、本発明
によれば、互いに近接した多数の狭帯域伝送チャネルに
よる音声、データ等の間欠通信における各チャネルの伝
送帯域外に尖鋭な遮断を施すための整流帰還回路で大量
の帰還率による整流帰還を行なって大幅の帯域減衰を施
しても、動作温度など動作条件の変化に拘わりなく、間
欠伝送の当初から全伝送期間を通して所定所望の伝送帯
域特性による安定動作を達成することができ、近接した
隣接チャネル間においても混信妨害を皆無にし得る、と
いう格別顕著な効果を挙げることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】整流帰還高周波回路装置一般の概略構成の例を
示すブロック線図である。
【図2】多数の狭帯域伝送チャネルを近接配置した音
声、データ等の通信におけるチャネル配置の例を模式的
に示す線図である。
【図3】(a) は高周波回路装置本来の伝送帯域特性の例
を示す特性曲線図であり、(b)は従来の整流帰還を施し
た伝送帯域特性の例を示す特性曲線図であり、(c) は本
発明による整流帰還を施した伝送帯域特性の例を示す特
性曲線図である。
【図4】本発明整流帰還高周波回路装置の概略構成の例
を示すブロック線図である。
【図5】同じくその概略構成の他の例を示すブロック線
図である。
【符号の説明】
1 利得制御器 2 変調器 3 電力増幅器 4 分波器 5 アンテナ 6 検波器 7 増幅器 8 低域通過フィルタ(LPF) 10 適応型フィルタ 11 データ分析器 12 記憶器 13 比較器 (相関器) 14 判定器 15 係数設定器 16 アナログ・ディジタル変換器 (A/D) 17 ディジタル信号処理装置(DSP) 18 ディジタル・アナログ変換器(D/A)

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 高周波信号回路の出力高周波信号を整流
    検波した包絡線信号を少なくとも低域通過フィルタを介
    して前記高周波信号回路の入力側に帰還することにより
    当該高周波信号回路の入出力周波数特性を制御する回路
    装置において、前記低域通過フィルタの通過帯域特性を
    当該回路装置の動作状態に適応して変化させることによ
    り、前記高周波信号回路の入出力周波数特性を当該回路
    装置の動作状態に適応させることを特徴とする整流帰還
    高周波回路装置。
  2. 【請求項2】 前記高周波信号回路を高周波増幅器とし
    た請求項1記載の整流帰還高周波回路装置。
  3. 【請求項3】 前記高周波信号回路を変調回路および変
    調出力増幅回路とした請求項1記載の整流帰還高周波回
    路装置。
  4. 【請求項4】 帰還回路に記憶回路を備えて前記回路装
    置が直近に中止した動作のデータを記憶し、当該直近に
    中止した動作のデータと次に開始した動作のデータとを
    比較した結果に応じて前記低域通過フィルタの通過帯域
    特性を制御することにより、前記高周波信号回路の入出
    力周波数特性を当該回路装置の直近の動作状態における
    入出力周波数特性に復帰させるようにした請求項1乃至
    3のいずれかに記載の整流帰還高周波回路装置。
  5. 【請求項5】 前記帰還回路に記憶した当該回路装置の
    直近の動作状態における動作のデータと次の動作状態に
    おける動作のデータとの相関の有無を判別し、それらの
    動作のデータに相関がないと判別したときには、次の動
    作状態における動作のデータは前記高周波信号回路の出
    力側に混入した外来不所望の高周波信号に基づくものと
    して、当該次の動作状態における動作を中止するように
    した請求項4記載の整流帰還高周波回路装置。
  6. 【請求項6】 複数個の記憶手段を用いてデータの並列
    処理を行なうディジタル信号処理装置を備えて前記動作
    のデータを処理することにより、前記高周波信号回路の
    入出力周波数特性の制御をリアルタイムで迅速に行ない
    得るようにした請求項5記載の整流帰還高周波回路装
    置。
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