JPH05250656A - 磁気記録媒体 - Google Patents

磁気記録媒体

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JPH05250656A
JPH05250656A JP7634392A JP7634392A JPH05250656A JP H05250656 A JPH05250656 A JP H05250656A JP 7634392 A JP7634392 A JP 7634392A JP 7634392 A JP7634392 A JP 7634392A JP H05250656 A JPH05250656 A JP H05250656A
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JP
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magnetic
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binder
resin
magnetic recording
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JP7634392A
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English (en)
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Keiji Koga
啓治 古賀
Junichi Sato
純一 佐藤
Akinori Nishizawa
明憲 西沢
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TDK Corp
Original Assignee
TDK Corp
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】 【構成】 化7で示される単位を有するポリパラビニル
フェノール系の樹脂の少なくとも一種に、下記化8で示
される燐酸エステルの少なくとも一種を添加して磁性層
のバインダーとする。 【効果】 膜厚が薄く、均一であり、高い耐久が得られ
機械的強度が高くしかも表面粗度が低い磁性層が形成で
き、ヘッド浮上量を低くすることができる。しかも、磁
性粒子の配向度が高く、角型比が高く、記録・再生時の
S/N比が大きく、記録密度が高い。 【化7】 【化8】

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、磁気記録媒体、特にハ
ードタイプの磁気ディスクの改良に関する。
【0002】
【従来の技術】コンピュータなどの外部記憶装置に用い
られる磁気ディスク装置には、剛性基板上に磁性層を設
層したハードタイプの磁気ディスクが用いられている。
ハードタイプの磁気ディスクに記録再生を行なう磁気ヘ
ッドとしては、各種浮上型磁気ヘッドが用いられてい
る。
【0003】近年、これらの磁気ディスク装置は大容量
化、小型化にともない高記録密度化が急速に進展してい
る。そのため、記録媒体である磁気ディスクでは高密度
化に対応するために磁性層の高保磁力化、薄層化、平滑
化が進められており、磁気ヘッドではギャップ部の狭間
隙化、高飽和磁束密度化、およびスライダーの低浮上化
が行なわれている。
【0004】従来、ハードタイプの磁気ディスクは、磁
性粉とバインダとを含有する磁性塗料を塗布して形成さ
れる塗布型磁性層を有する塗布型磁気ディスクが一般的
である。塗布型磁気ディスクは、通常磁性塗料をスピン
コートした後、配向、硬化等を行なって製造されてお
り、磁性粉としては、信頼性が高いことからγ−Fe2
3 系磁性粉末が多く用いられている。
【0005】また、このような塗布型磁気ディスクに組
み合わされる浮上型磁気ヘッドとしては、モノリシック
タイプやコンポジットタイプのフェライト型磁気ヘッ
ド、薄膜型磁気ヘッド等が用いられている。
【0006】しかし、従来の塗布型磁気ディスクでは磁
性膜表面の平滑性が十分でないために、磁気ヘッドの浮
上量(磁気ディスク表面と浮上型磁気ヘッド浮揚面との
距離)を小さくすることが出来なかった。また、γ−F
2-O3 系磁性粉末は保磁力が300〜800Oe程度と
低いため、高性能な浮上型磁気ヘッドと組み合わせて
も、記録密度を顕著に向上させることは困難であった。
【0007】そこで、磁性膜の表面平滑性に優れ、磁性
膜の薄層化が可能で、かつ磁性膜の保磁力が大きく出来
る、スパッタ法やめっき法等により設層される連続薄膜
型の磁性層を有する薄膜型磁気ディスクが用いられるよ
うになっている。
【0008】薄膜型磁気ディスクとしては、Al 系のデ
ィスク状金属板にNi−P下地層をめっきにより設層す
るか、あるいはこの金属板表面を酸化してアルマイトを
形成したものを基板とし、この基板上にCr層、Co−
Ni等の金属磁性層、さらにC等の保護潤滑膜をスパッ
タ法により順次設層して構成されるものが一般的であ
る。
【0009】このような薄膜型磁気ディスクは電磁変換
特性に優れ、高密度記録が可能であるが、磁性層の表面
エネルギーが高く、硬度が低く、かつ潤滑層の形成が困
難なため耐久性が低く、CSS(コンタクト・スタート
・ストップ)の繰り返しにより磁性層に傷が発生し易
い。また、ディスクと磁気ヘッドとの間の吸着が生じ易
く、摩擦抵抗が大きくなり、信頼性が十分ではない。そ
して、これらの問題は、浮上型磁気ヘッドの浮上量(磁
気ディスク表面と浮上型磁気ヘッド浮揚面との距離)が
小さくなるほど顕著となる。
【0010】さらに、薄膜型磁気ディスクは、磁性層構
成材料が一般に高価であり、しかも磁性層形成に真空槽
などの高価な装置を必要とするため、安価に製造するこ
とが困難である。また、薄膜型磁気ディスクは多層膜構
造であるために、成膜工程が複雑でかつ時間がかかるた
め、生産性および量産性が低く、このためさらにコスト
が高くなる。
【0011】このような事情から生産性や量産性が高
く、耐久性や信頼性が高い塗布型磁気ディスクにおい
て、磁性膜の表面の高平滑化、磁性膜の薄層化、高保磁
力化等の改良が種々研究されている。
【0012】塗布型磁気ディスクの磁性膜を高保磁力化
するためには、磁性粉として強磁性金属微粒子や六方晶
系フェライト微粒子などが用いられる。
【0013】塗布型磁気ディスクに用いるバインダーと
しては、例えば、フェノール樹脂、エポキシ樹脂、ブチ
ラール樹脂(特公昭49−15404号公報)、および
メラミン樹脂、アクリル樹脂(特公昭49−13110
1号公報)、ビニル樹脂(特開昭53−104202号
公報)、ホルマール樹脂、アセテート樹脂(特公昭57
−44712号公報)等が提案されている。
【0014】しかしながら、特に磁性粉として高保磁力
の強磁性金属微粒子や六方晶系フェライト微粒子を用い
る場合、微粒子が凝集し易いために、磁性塗料の分散が
難しく、このような公知のバインダーでは、磁性層の薄
層化および高平滑化を同時に行うことは困難であった。
さらには、上記に加え、磁性膜の平滑化および薄層化に
ともなう、磁気ディスクの耐久性やヘッドとの摩耗抵抗
が著しく悪化し、それを防止するための十分な磁性膜の
強度を得ることができなかった。また、磁性層の均質性
に欠け、磁性粉の配向が不十分となるため磁性膜の磁気
特性、特に角形比が低く良好な電磁変換特性が得られな
い等の問題点があった。
【0015】
【発明が解決しようとする課題】本発明の主たる目的
は、磁性膜厚が薄く、磁性膜の強度も高く、かつ磁性膜
表面の平滑性に優れ、すぐれた耐久性を示し、良好な磁
気特性と、電磁変換特性と、高信頼性とを有し、高密度
記録が可能な塗布型磁気ディスクを提供することにあ
る。
【0016】
【課題を解決するための手段】このような目的は、下記
(1)〜(9)の本発明により達成される。
【0017】(1) 非磁性基体上に、磁性粒子とバイ
ンダーとを含有する磁性塗料を塗布して形成された磁性
層を有する磁気記録媒体において、前記バインダーが下
記化4で示される単位を有するポリパラビニルフェノー
ル系樹脂の少なくとも一種と、下記化5で示される燐酸
エステルの少なくとも一種とを含む磁気記録媒体。
【0018】
【化4】
【0019】
【化5】
【0020】(2) 前記ポリパラビニルフェノール系
樹脂の総含有量が、前記バインダーの全樹脂成分に対し
20wt% 以上である上記(1)の磁気記録媒体。
【0021】(3) 前記バインダーは、さらに下記化
6で示される単位を有するエポキシ系樹脂の少なくとも
一種を含む上記(1)または(2)の磁気記録媒体。
【0022】
【化6】
【0023】(4) 前記ポリパラビニルフェノール系
樹脂の総含有量が前記バインダーの全樹脂成分に対し2
0〜80wt% であり、かつ前記エポキシ系樹脂の総重量
が前記バインダーの全樹脂成分に対して20〜80wt%
である上記(3)の磁気記録媒体。
【0024】(5) 前記燐酸エステルの総含有量が、
前記バインダーの全樹脂成分100重量部に対し5〜1
00重量部である上記(1)ないし(4)のいずれかの
磁気記録媒体。
【0025】(6) 前記磁性層の表面粗さ(Ra)が
5nm以下である上記(1)ないし(5)のいずれかの磁
気記録媒体。
【0026】(7) 前記磁性層の厚さが0.6μm 以
下である上記(1)ないし(6)のいずれかの磁気記録
媒体。
【0027】(8) 前記非磁性基体が剛性のディスク
体である上記(1)ないし(7)のいずれかの磁気記録
媒体。
【0028】(9) 前記磁性粒子が六方晶系フェライ
ト粒子である上記(1)ないし(8)のいずれかの磁気
記録媒体。
【0029】
【作用】本発明の磁気記録媒体は、非磁性基板上に、強
磁性微粒子と所定のバインダーとを含有する磁性層を有
する。磁性膜形成に用いる磁性塗料は、上記した磁性微
粒子と、所定の樹脂と、所定の燐酸エステル類と、その
他の添加物とを溶剤と混練して調整される。本発明の組
成を用いることにより、強磁性粒子を均質に分散した磁
性塗料を得ることが出来る。そして、この磁性塗料を基
板上に塗布することにより表面平滑性が優れ、かつ非常
に薄層な磁性塗膜を形成することが出来る。
【0030】さらに、磁性塗膜に硬化処理を施すことに
より、強度の大きい、耐久性の優れた磁性塗膜が得られ
る。加えて、均質な磁性塗膜を形成でき、しかも磁性粒
子を充分に配向でき高い角形比が得られる。従って本発
明の磁気記録媒体は、ヘッドの浮上量を小さくすること
ができ、記録密度が高く、また、CSS耐久性が高く、
さらに浮上型磁気ヘッドとの吸着が生ずることがなく、
ヘッドとの擦抵抗が小さい磁気ディスクとすることがで
きる。
【0031】前記のポリパラビニルフェノール系樹脂と
燐酸エステル類との併用によって、このような効果が生
じる理由については必ずしも明らかではないが、ポリパ
ラビニルフェノール系樹脂に対し、前記の燐酸エステル
類が選択的にすぐれた硬化作用を示すか、あるいは磁性
粒子の触媒活性を選択的に低下させるからであると考え
られる。
【0032】
【具体的構成】以下、本発明の具体的構成について詳細
に説明する。
【0033】本発明で用いるバインダーは、ポリパラビ
ニルフェノール系樹脂と、燐酸エステル類とを含有して
いる。
【0034】本発明で用いるポリパラビニルフェノール
系樹脂は、前記の化5で示される単位を有する置換また
は非置換のポリパラビニルフェノール樹脂である。ま
た、ポリパラビニルフェノール系樹脂としては、パラビ
ニルフェノールとメチルメタクリレート等との共重合体
であってもよい。共重合体の場合はパラビニルフェノー
ルが60モル%程度以上存在すればよい。なお、Xの平
均置換率pが0でないときは、1〜2であることが好ま
しい。このとき、特にXはメチロール基、メチル基、エ
チル基等の炭素類1〜4のアルキル基が好ましい。
【0035】また、ポリパラビニルフェノール系樹脂は
直鎖状あるいは分岐鎖を有する分子構造のものでよく、
その平均分子量は3000〜50000程度であること
が好ましい。平均分子量が小さすぎると十分な磁性膜の
強度を得ることができなくなってくる。また平均分子量
が大きすぎると溶剤に対する溶解性が悪くなり、均質な
磁性塗料を得ることができなくなってくる。
【0036】このようなポリパラポリビニルフェノール
系樹脂の市販品の具体的例としては、マルカリンカ−M
−S2P、M−S3P、M−S4P、M−H1P、M−
H3F(丸善石油化学社製)等が挙げられる。
【0037】このようなポリパラビニルフェノール樹脂
は、バインダーの全樹脂成分に対し、20wt% 以上、一
般に20〜100wt% 、特に20〜80wt% 含有され
る。少なすぎると、磁性塗料の十分な分散性が得られ
ず、平滑な薄層の磁性層が得られなくなってくる。また
特に後述のエポキシ系樹脂をさらに添加すれば磁性層の
強度はさらに向上し、耐久性がさらに高くなる。
【0038】ポリパラビルニフェノール系樹脂と併用し
てより好ましい結果の得られるエポキシ系樹脂は前記化
6で示される単位を有するエポキシ系樹脂である。な
お、化6の両末端には通常エポキシ基を有する。
【0039】エポキシ系樹脂は平均分子量1000〜6
000程度であることが好ましい。平均分子量が小さす
ぎると磁性層の硬化性が悪化し、磁性膜の強度が低下し
てくる。また大きすぎると磁性塗料の分散性が悪化して
くる。
【0040】このようなエポキシ系樹脂の具体的な例と
しては、エピコート1004、1007、1009、1
010(油化シェルエポキシ社製)、アラルダイト60
84、6097、6099(チバガイギー社製)、DE
R664、667(ダウコーニング社製)等の市販品が
挙げられる。
【0041】このようなエポキシ系樹脂は、バインダー
の全樹脂成分に対し20〜80wt%含有されることが好
ましい。少なすぎると、磁性膜の強度の向上効果が低下
し、十分な耐久性が得にくくなる。また多すぎると磁性
塗料の分散性が悪化し、平滑な薄層の磁性層が得られな
くなる。
【0042】さらにバインダー中には、メラミン系樹
脂、レゾール型またはノボラック型のフェノール系樹
脂、ブチラール系樹脂、ホルマール系樹脂、尿素系樹
脂、フェノキシ系樹脂、超高分子量エポキシ系樹脂、ア
クリル系樹脂等のその他の樹脂を含まれてもよい。ただ
し、その総計は40wt% 以下、特に30wt% 以下である
ことが好ましい。
【0043】燐酸エステル類は前記化5に示される単位
を有する化合物である。
【0044】式中、R1 は端素数2〜28の置換または
非置換の脂肪族炭化水素残基、アリール基、またはアシ
ル基を表わす。脂肪族炭化水素残としては、飽和または
不飽和の直鎖または分岐鎖状のアルキル基、アルケニル
基などが挙げられる。アリール基としてはフェノール、
オクチルフェノール、ノニルフェノールの残基などが挙
げられる。アシル基としては飽和または不飽和の直鎖ま
たは分岐鎖脂肪族の残基などが挙げられる。
【0045】また、式中、R2 は端素数2〜4のアルキ
レン基を表わし、qはアルキレンオキサイドの平均付加
モル数を表わし、1〜30を表わす。さらに、式中、m
は燐酸に対するノニオンの付加モル数を表わし、1〜2
を表わす。ノニオンの付加モル数1のモノエステルおよ
び付加モル数2のジエステルは単独でも両者が混合され
た状態でもよいので、mは1〜2であってよい。
【0046】なお、上記燐酸エステル類はアルカリ金属
類、アルカリ土類金属塩、アンモニウム塩、有機アミン
塩などの塩の形態であってもよい。
【0047】燐酸エステルの具体的な例としては、フェ
スファノールRE−610、RE960、RM710、
RP710、RS610、GB520(東邦化学工業社
製)などが挙げられる。
【0048】このような燐酸エステル類は、バインダー
の全樹脂成分100重量部に対し5〜100重量部含有
されるのが望ましい。少なすぎると、硬化処理を施した
後の磁性塗膜の架橋が十分進行せず、良好な耐久性が得
られない。さらに磁性塗料の均質性が不十分となり、磁
性膜の良好な磁気特性も得られない。
【0049】本発明において、磁性層の厚さは0.6μ
m 以下とすることができる。このため、磁性層の厚さが
この範囲を超えて、十分なオーバーライト特性が得られ
にくくなったり、特に短波長記録において飽和記録が困
難となり厚み損失が増大して、高密度記録が困難となる
ことが解消する。磁性層の厚さの下限には特に制限はな
いが、十分な再生出力およびS/Nを確保するためには
0.05μm 以上とすることが好ましい。なお、磁性層
厚さの好ましい範囲は0.08〜0.5μm である。
【0050】また、磁性層の表面粗さRa(JIS B
0601)は5nm以下検出限まで低下させることがで
きる。磁性層表面のRaが大きすぎると、ヘッドの浮上
量を十分に小さくすることができず、空隙損失が増大す
るため、高密度記録が困難となってくる。
【0051】本発明の磁気記録媒体の磁性膜の保磁力は
700Oe以上とするのが好ましい。保磁力が小さすぎる
と、十分な電磁変換特性が得られず高密度記録が困難と
なってくる他高い再生出力が得られなくなってくる。磁
性層の保磁力は、組み合わせる磁気ヘッドの性能を考慮
し、十分なオーバーライト特性が得られる範囲とすれば
よいので、その上限には特に制限はないが、通常300
0Oe以下とすることが好ましい。なお磁性層の保磁力の
特に好ましい範囲は、800〜2000Oeである。
【0052】磁性膜に用いる磁性微粒子には特に制限は
ないが、強磁性金属微粒子や六方晶系フェライト微粒子
が好ましい。強磁性金属微粒子や六方晶系フェライトを
用いれば高い記録密度と、高い記録・再生感度が得られ
る。この場合、用いる強磁性金属粒子および六方晶系フ
ェライト微粒子には特に制限はないが、前記のような磁
気特性が得られるように選択することが好ましい。
【0053】強磁性金属微粒子としては、Fe,Co,
Niの単体、これらの合金またはこれらの単体および合
金に、Cr,Mn,Co,Ni,さらにはZn,Cu,
Zr,Al,Ti,Bi,Ag,Pt等を添加した強磁
性金属微粒子が使用できる。これらの金属にB,C,S
i,P,N等の非金属元素を少量添加したものであって
もよく、Fe4 N等、一部窒化されたものであってもよ
い。さらに、強磁性金属微粒子は、退食性、耐候性の向
上のために、表面に酸化物の皮膜を有するものであって
もよい。このような酸化物としては強磁性金属粒子を構
成する金属の酸化物、Al23 等の各種セラミックス
が好ましい。
【0054】強磁性金属微粒子の形状に特に制限はない
が、粒子の寸法は目的とする磁性層の構成に応じて選定
すればよいが、通常、長径0.15〜0.30μm 程
度、針状比6〜10程度のものを用いることが好まし
い。なお、強磁性金属微粒子を用いる場合は、α−Fe
OOH(Goethite)を還元する方法など公知の各種方法
により製造すればよく、また、市販のものを用いてもよ
い。
【0055】六方晶系フェライト微粒子の使用はさらに
好ましい結果を与える。六方晶系フェライト微粒子とし
ては、バリウムフェライトやストロンチウムフェライト
等の酸化物微粒子がある。バリウムフェライトとしては
BaFe1219等の六方晶系バリウムフェライトやバリ
ウムフェライトのBa,Feの一部をCa,Sr,P
b,Co,Ni,Ti,Cr,Zn,In,Mn,C
u,Ge,Nb,Zr,Snその他の金属から選ばれる
一種以上で置換したもの等が挙げられる。また、ストロ
ンチウムフェライトとしては、六方晶系ストロンチウム
フェライトSrFe1219、あるいはこれを上記に準じ
て置換したものであってもよい。
【0056】この場合、磁化量増大や温度特性改善のた
め、六方晶系フェライトの表面をスピネル型フェライト
で変性したものでもよい。さらに、耐候性・分散性向上
のために、これらの粒子の表面に酸化物や有機化合物の
皮膜を有するものであってもよい。六方晶系フェライト
微粒子の寸法は、目的とする磁性層の構成に応じて選定
すればよいが、電磁変換特性上、平均粒径が0.15μ
m 以下、特に0.02〜0.10μm 程度、板状比2以
上、特に3〜10程度であるものが好ましい。
【0057】なお、六方晶系フェライト微粒子の製法と
しては、セラミック法、共沈−焼成法、水熱合成法、フ
ラックス法、ガラス結晶化法、アルコキシド法、プラズ
マジェット法等があり、本発明ではいずれの方法を用い
てもよい。これらの方法の詳細については小池吉康、久
保修共著、“セラミックス18(1983)No. 10”
等を参照することができる。
【0058】このような磁性粒子100重量部あたり、
バインダーは、10〜100重量部、特に10〜50の
範囲で用いられる。
【0059】本発明に使用されるディスク状の基板は、
例えば、アルミニウム、アルミニウム合金等の金属、ガ
ラス、セラミックス、エンジニアリングプラスチックス
等の各種非磁性材料により構成すればよい。ディスク基
板の寸法は、用途等に応じて適宜選択すればよいが、通
常、外径65〜130mm程度、内径20〜40mm程度、
厚さ0.8〜1.9mm程度である。また、基板のRaは
0.5〜10nm程度とする。
【0060】ディスク基板の表面は、アルマイト等の陽
極酸化膜、クロム酸等の酸化膜、Ni−P−Cu等の無
電解めっき膜、カップリング剤、硬化性樹脂などで処理
されていてもよい。
【0061】磁性塗料に用いる溶剤に特に制限はなく、
シクロヘキサノン、イソホロン等のケトン系、イソプロ
ピルアルコール、ブチルアルコール等のアルコール系、
エチルセロソルブ酢酸セロソルブ等のセロソルブ系、ト
ルエン等の芳香族系等の各種溶剤を目的に応じて選択す
ればよい。
【0062】磁性塗料中の溶剤の含有率に特に制限はな
いが、磁性微粒子100重量部に対し、300〜700
重量部程度とすることが好ましい。磁性塗料には、必要
に応じα−Al23 等の研磨剤、シリコーンオイル等
の潤滑剤、その他の各種添加剤を添加してもよい。
【0063】このような磁性塗料は、ポリッシングによ
り表面平滑化された剛性基板表面に塗布される。この場
合、磁性塗料の塗布方法に特に制限はないが、均一な塗
布が容易にできることから、スピンコート法を用いるこ
とが好ましい。また、スピンコート後に引き続いて、デ
ィスク基板内周部で強度が増加した磁界中での磁性塗膜
のレベリングを併用するのが好ましい。
【0064】スピンコートの際の回転数や回転時間等
は、磁性層の厚さに応じて適宜設定すればよいが、振り
切り時の回転数は1000rpm 以上、より好ましくは2
000〜10000rpm が好ましい。回転数が小さすぎ
ると、0.6μm 以下の磁性層を形成するのが困難とな
ってくる。また、回転時間は2秒以上、より好ましくは
5〜30秒が好ましい。短すぎると、厚さ0.6μm 以
下の磁性層を形成するのが困難となってくる。ただし、
あまり長すぎると塗膜表面の特にディスク内周部が乾燥
し、十分なレベリング効果が得られなくなってくるばか
りでなく、磁性粒子の配向性も悪くなってくる。
【0065】また、磁性塗料の粘度は100〜1000
cps 程度となることが好ましい。磁性塗料を塗布した後
は、溶剤蒸気中にて、磁界を印加した状態で、基板を回
転させて塗膜のレベリングを行なうことが好ましい。な
お、レベリング用の装置とスピンコート用の装置とを兼
用し、スピンコートとレベリングとを溶剤蒸気中にて行
なってもよい。
【0066】その後、磁性層の硬化を行う。硬化は窒素
気流中等の不活性雰囲気中で行なうことが好ましい。硬
化温度は100〜300℃程度、硬化時間は0.5〜2
0時間程度とする。なお、本発明では、硬化後のRaを
小さくできるため、ポリッシングにより磁性層のRaを
5nm以下とすることができる。
【0067】磁性層を研磨後、磁性層表面に液体潤滑剤
を塗布し、磁性層中に含浸させることが好ましい。用い
る液体潤滑剤に特に制限はないが、潤滑性が良好である
ことから、フッ素を含む有機化合物を含有する液体潤滑
剤を用いることが好ましい。液体潤滑剤の塗布方法に制
限はなく、例えば、ディップ法、スピンコート法等を用
いればよい。
【0068】液体潤滑剤の含浸後、バニッシングを行な
うことにより、磁気ディスク表面の平滑性をさらに向上
させることが好ましい。なお、このような液体潤滑剤
は、磁性塗料に含有させてもよい。
【0069】
【実施例】以下、本発明の具体的実施例を示し、本発明
をさらに詳細に説明する。 実施例1 下記のとおり磁性塗料を調製した。 バリウムフェライト磁性粉 100重量部 保磁力 :900Oe 飽和磁化: 60emu/g 粒径 :0.05μm 板比 :3 α−Al23 5重量部 表1に示すバインダー樹脂 (合計量) 20重量部 表1に示す添加化合物 (合計量) 5重量部 シクロヘキサノン 175重量部 イソホロン 175重量部 上記組成物をボールミル中にて140時間混合、分散さ
せた。なお、表1では、樹脂等を製品名で記したがその
結果は表3、表4に示される。
【0070】このようにして得られた磁性塗料を3.5
インチ径のディスク状アルミ基板の両面にスピンコート
法により振り切り時の回転数4000rpm 、時間10秒
にて塗布を行った。
【0071】そして、空気中にシクロヘキサノン蒸気を
存在させた雰囲気中にて、棒状のNS対向磁石を配した
レベリング装置を用いてディスクを回転させ、室温23
℃にて塗膜のレベリングを行なった。この場合、磁性塗
料中の磁界強度は、ディスク面の最外周部が970G 、
最内周部が1530G であり、シクロヘキサノンの温度
は35℃とした。また、レベリング時のディスクの回転
数は1000rpm 、時間は20秒とした。
【0072】次に、対向磁石を配した配向装置により、
ディスク円周方向に配向処理を行なった後、塗料を乾燥
させた。配向磁界は、ディスク面にて3000G 、回転
数200rpm 、配向時間は45秒とした。
【0073】次に窒素気流中、200℃で3時間硬化処
理を行なった後、テープ研磨装置により研磨テープWA
8000(日本ミクロコーティング社製)を用いて研磨
量が約0.05μm となるように研磨を行ない、磁性層
の平滑化処理を行なった。
【0074】次いで、ディスクを洗浄し、濃度0.2%
のフルオロカーボン系潤滑剤フォンブリンAM2001
(AUSIMONT社製)のフロン溶液をディップ法に
より塗布し、含浸させ、磁気ディスクサンプルNo. 1〜
15を作製した。
【0075】これらの各サンプルNo. 1〜15について
平均膜厚t、表面粗さRaを測定した。また、振動試料
型磁力計(VSM)を用い、角形比Sを、最大印加磁界
10kGで測定した。なお、磁性層の厚さは、あらかじめ
被測定ディスクに磁性層の無い領域を設け、触針式表面
粗さ計(タリステップ)を用いてその場所の段差から求
め、表面粗さRaはJIS B 0601に記載されて
いる方法にて求めた。結果は表1に示されるとおりであ
る。
【0076】さらに、各サンプルに対して浮上型磁気ヘ
ッドを搭載した磁気ディスク装置にて記録・再生を行な
って下記の測定を行なった。まず、ヘッドの浮上量(グ
ライドハイト)の測定を、下記のようにして行なった。
すなわちあらかじめディスクの回転数とヘッド浮上量と
の関係のわかったモノリシックタイプのフェライト製磁
気ヘッドにアコースティックエミッション(AE)セン
サーを取付け、サンプルディスクの回転数を高速から低
速へと変化させ、AEセンサーの出力が検出されたとき
のディスクの回転数から求めた浮上量をグライドハイト
とした。ディスクの回転数とヘッドの浮上量との関係
は、石英製ディスクを回転させてディスク表面に磁気ヘ
ッドを浮上させ、回転数を変化させた時のヘッド浮上量
を石英製ディスクの裏面側から白色光を浮上型磁気ヘッ
ドのギャップ部に照射し、その反射光とディスク表面か
らの反射光との干渉を検出して測定した。
【0077】また、電磁変換特性の測定を行った。すな
わち、ギャップ長0.6μm のモノリシックタイプのセ
ンダストMIGヘッドを用い、ヘッド浮上量をサンプル
ディスクのグライドハイトの1.2倍に設定してディス
クサーティファイア(プロクイップ社製)を用いて測定
した。
【0078】このような条件で、まず、記録密度D50
を測定した。すなわち、記録周波数を変化させ、再生出
力のP−P(peak to peak)値が孤立波再
生出力P−P値の50%まで減少したときの記録周波数
から記録密度D50を求めた。
【0079】また、オーバーライド特性(O/W)は、
1F信号(1.65MHz )に2F信号(3.3MHz )を
重ね書きしたときの1F信号の減衰量で評価し、これは
スペクトラムアナライザ(ヒューレットパッカード社
製)で測定した。この際の磁気ディスクの回転数は36
00rpm とした。
【0080】さらに、S/N比を、ディスクの最内周で
下記のとおり測定した。すなわち、記録周波数3.3MH
z で書き込んだ後、再生出力(Vrms)を10MHz の帯域
の交流電圧計にて測定した。次に、このトラックで直流
消去を3回行なった後、交流電圧計で再生出力(VDC
ms)を測定した。そして、S/N比を数1から求め
た。
【0081】
【数1】
【0082】さらに、摩擦係数μはANSI規格に基づ
き測定した。ヘッド荷重は7.5g、相対速度は5mm/se
cとした。
【0083】さらに、CSS耐久性(コンタクト・スタ
ート・ストップ)を測定した。CSS耐久性の測定に
は、ヘッド荷重7.5g 、浮上量0.11μm のモノリ
シックヘッドを用いた。
【0084】CSSの1サイクルは、静止時間10秒→
立ち上がり時間5秒→定常回転の時間10秒→立ち下が
り時間30秒とし、定常状態のディスクの回転数は36
00rpm とした。また、CSSはディスク中心から22
mmの位置で行った。
【0085】そして、ディスクの摩擦係数が0.6以上
になったときのCSSサイクル数で評価した。
【0086】また、磁性層の耐溶剤性を調べた。すなわ
ち、綿棒にアセトンを浸し、ディスク表面を半径方向に
10回こすり、傷の程度を目視により下記の基準で評価
した。 ○ 基板下地が見えない。 △ 基板下地が見える程度の傷が発生する。 × 磁性膜がすべて溶解する。 これらの結果は表1、表2に示されるとおりである。表
1、表2により本発明の効果が明らかである。
【0087】
【表1】
【0088】
【表2】
【0089】
【表3】
【0090】
【表4】
【0091】
【発明の効果】本発明によれば、膜厚が薄く、均一であ
りその強度が高く、、しかも表面粗度が低い磁性層が形
成できる。従ってヘッド浮上量を低くすることができ、
高い耐久性が得られる。
【0092】加えて、本発明によれば、磁性粒子の配向
度が高く、角形比が高い磁性層が形成でき、記録・再生
時のS/N比が大きくかつ記録密度の大きい磁気ディス
クが実現する。
【0093】すなわち、高密度記録が可能で高い信頼性
を有する磁気ディスクが低コストで得られる。

Claims (9)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 非磁性基体上に、磁性粒子とバインダー
    とを含有する磁性塗料を塗布して形成された磁性層を有
    する磁気記録媒体において、 前記バインダーが下記化1で示される単位を有するポリ
    パラビニルフェノール系樹脂の少なくとも一種と、下記
    化2で示される燐酸エステルの少なくとも一種とを含む
    磁気記録媒体。 【化1】 【化2】
  2. 【請求項2】 前記ポリパラビニルフェノール系樹脂の
    総含有量が、前記バインダーの全樹脂成分に対し20wt
    % 以上である請求項1の磁気記録媒体。
  3. 【請求項3】 前記バインダーは、さらに下記化3で示
    される単位を有するエポキシ系樹脂の少なくとも一種を
    含む請求項1または2の磁気記録媒体。 【化3】
  4. 【請求項4】 前記ポリパラビニルフェノール系樹脂の
    総含有量が前記バインダーの全樹脂成分に対し20〜8
    0wt% であり、かつ前記エポキシ系樹脂の総重量が前記
    バインダーの全樹脂成分に対して20〜80wt% である
    請求項3の磁気記録媒体。
  5. 【請求項5】 前記燐酸エステルの総含有量が、前記バ
    インダーの全樹脂成分100重量部に対し5〜100重
    量部である請求項1ないし4のいずれかの磁気記録媒
    体。
  6. 【請求項6】 前記磁性層の表面粗さ(Ra)が5nm以
    下である請求項1ないし5のいずれかの磁気記録媒体。
  7. 【請求項7】 前記磁性層の厚さが0.6μm 以下であ
    る請求項1ないし6のいずれかの磁気記録媒体。
  8. 【請求項8】 前記非磁性基体が剛性のディスク体であ
    る請求項1ないし7のいずれかの磁気記録媒体。
  9. 【請求項9】 前記磁性粒子が六方晶系フェライト粒子
    である請求項1ないし8のいずれかの磁気記録媒体。
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