JPH0421930B2 - - Google Patents
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- JPH0421930B2 JPH0421930B2 JP56050122A JP5012281A JPH0421930B2 JP H0421930 B2 JPH0421930 B2 JP H0421930B2 JP 56050122 A JP56050122 A JP 56050122A JP 5012281 A JP5012281 A JP 5012281A JP H0421930 B2 JPH0421930 B2 JP H0421930B2
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Classifications
-
- G—PHYSICS
- G11—INFORMATION STORAGE
- G11B—INFORMATION STORAGE BASED ON RELATIVE MOVEMENT BETWEEN RECORD CARRIER AND TRANSDUCER
- G11B5/00—Recording by magnetisation or demagnetisation of a record carrier; Reproducing by magnetic means; Record carriers therefor
- G11B5/62—Record carriers characterised by the selection of the material
- G11B5/72—Protective coatings, e.g. anti-static or antifriction
- G11B5/725—Protective coatings, e.g. anti-static or antifriction containing a lubricant, e.g. organic compounds
Landscapes
- Magnetic Record Carriers (AREA)
- Lubricants (AREA)
Description
本発明は、磁気デイスク媒体等の磁気記録媒体
に係り、特に超高密度記録に適し、耐久性、耐摩
耗性が高く高信頼性の磁気記録媒体を作成する製
造方法に関するものである。 一般に情報処理装置の外部記憶装置として使用
される磁気デイスク装置用の磁気記録媒体は、情
報量の増加に伴つて増々記録密度の向上と高信頼
性が要求されている。 記録密度の向上に関しては、磁気デイスクの表
面に付着する磁気膜の高保磁力化、高磁束密度化
等の磁気特性の改善と、磁性膜自体の薄膜化、更
には電磁変換特性を向上させるための磁気ヘツド
と磁気記録媒体の磁性膜の間隔(以下スペーシン
グと称する。)を挾くし、スペーシング・ロスを
小さくする必要があるため、磁性膜面は表面あら
さ、突起等をなくした平滑性の良い事が要求され
ている。 このような高記録密度化を指向した磁気デイス
クとしては、従来より一般的に使用されている磁
性粉とバインダを含む、塗布型の磁性膜から、バ
インダを含まない連続的な磁性膜(連続磁性媒
体)が磁気蓄積エネルギーが高く有利である事か
ら鉄や鉄コバルト系合金を真空中、アルゴンガス
あるいはアルゴンガス中に酸素を混合した雰囲気
中で、スパツタ法や、蒸着法により非磁性基板上
に連続的に付着させたフエライト酸化物磁性膜
(以下フエライト酸化膜と称する。)、金属磁性膜
が種々の方法で提案されている。 また電着法による磁性膜の作成も従来より一般
に行なわれている。これらの方法で作成された磁
気記録媒体は高記録密度媒体とし優れた特性を有
するものが得られており、特にフエライト酸化物
膜は材質的にも硬く、また腐食性が良く磁気記録
媒体としては非常に良好なものとして評価されて
いる。 このように従来より磁性膜としての特性は非常
に良好となつており、このようにして出来た磁気
記録媒体は実際の使用条件に耐うるように磁気ヘ
ツドの摺動に対する充分な耐久性、耐摩耗性を向
上させるための磁性膜表面に処理を施す事が重要
な課題となつている。 すなわち、磁気デイスク装置においては通常動
作時においては磁気記録媒体の磁性膜面上を磁気
ヘツドが浮上し、磁気ヘツドは直接磁性膜と接触
することはないが記録密度の向上に伴つてスペー
シングを小さくするために低浮上量化が必要とな
り、また最近は磁気デイスク媒体の回転開始時
と、停止時に磁気ヘツドが磁気記録媒体と摺動接
触する形式、すなわちコンタクトスタートストツ
プ(以下CSS方式と称する。)方式が採用される
ようになつているため充分な耐久性と耐摩耗性が
要求されるようになつている。 このような磁気記録媒体の耐久性、耐摩耗性を
向上させる方法として従来より以下の方法が採用
されている。 1つの方法は、磁気記録媒体上に直接潤滑膜を
形成して磁気ヘツドと磁気記録媒体との摺動に対
する摩擦を小さくする方法が行なわれている。 例えば磁気デイスク表面に潤滑剤として
KryToxAD(デユポン社商標)の稀釈液を塗布す
る事により、記録媒体表面が滑性となり、磁気ヘ
ツドの摺動に対して、摩耗を小さくし、耐摩耗性
を向上させる事が行なわれている。 磁気記録媒体の表面、すなわち磁性膜面の平滑
性が非常に良好なため磁気ヘツドが記録媒体に吸
着する現象が発生してしまう。ここで吸着とは磁
気ヘツドがデイスク面に付着する現象を意味す
る。この吸着は潤滑剤を介在物とする一種の接着
でありCSS方式においては摺動接触時にステツク
スリツプ(Stick−slip)を伴なうため、短時間
においてヘツドクラツシユを誘発させ、磁気ヘツ
ドの破損、磁性表面にキズを付ける等の原因とな
つている。 このように磁気記録媒体表面に潤滑剤を塗布す
る事は摩擦力を低下させるが、逆に吸着現象を生
じさせるために記録媒体表面の耐摩耗性を向上さ
せる事にはそれほど大きな効果を上げる事が出来
なかつた。 尚このヘツドステイツクは潤滑剤を薄く磁気記
録媒体上に塗布する事により軽減出来るが、逆に
摩擦力の低下という面から考えるとそれほどの効
果が期待出来ず、またこの潤滑剤の膜厚のコント
ロールは、膜厚の可変範囲が小さいために再現
性、製造性に欠け量産工程においては不可能に近
いものである。 また磁気記録媒体表面の耐摩耗性を向上させる
ための他の方法として、磁性膜上に保護膜を形成
する方法が従来より金属磁性膜で行なわれ多くの
保護膜材が提案されている。 しかし、一般に金属磁性膜の場合の保護膜は耐
摩耗性の他に耐食性を向上させる目的も兼ねてお
り、300Å以下の保護膜では、保護膜にピンホー
ルが生じるために耐食性に対する効果が期待出来
ないため通常は400Å〜800Åの膜厚の保護膜使用
している。 またこの保護膜の上に潤滑剤を塗布する事も行
なわれている。確かに保護膜の耐摩耗性は実用レ
ベルにまで達するが上述したようにこのような膜
厚の大きい保護膜を使用すると、スペーシングロ
スが問題となり、本来の磁性膜の性能を発揮する
事が出来なかつた。 また仮に保護膜を耐食性を考えずに薄くしたと
しても保護膜が400Å以下においては著るしく耐
摩耗性が低下してしまう欠点があつた。 従つて本発明は上記欠点を解消した新規な磁気
記録媒体の製造方法を提供する事を目的とするも
のでこの目的は、磁性膜の形成されたデイスク表
面に、滑性を有する30Å〜200Åの無機化合物薄
膜を形成し、更にその表面に潤滑剤膜を形成し、
しかる後その表面の拭き取りを行なつて磁気記録
媒体を作成する事を特徴とする磁気記録媒体の製
造方法により達成する事が出来る。 すなわち、本発明は量産工程において潤滑剤の
膜厚(塗布量)コントロールが容易に行なえる如
く、無機化合物薄膜を30〜200Åの厚さに設けた
ものである。 以下実施例を基に本発明を説明する。 第1図は、本発明に係る磁気記録媒体の特性を
示すもので、横軸に無機化合物薄膜(SiO2)の
膜厚、縦軸に摺動回数を示す。 摺動回数は磁気記録媒体(円板状)表面上にア
ルミナから成るヘツドスライダ(テーパフラツト
型)を配置し、媒体を低速で回転させ(周速40〜
80cm/S)る加速した摩耗試験で媒体表面にキズ
が生じる迄のヘツド通過回数を示す。ヘツドの荷
重は20g/mm2である。 したがつて摺動回数大なるほど耐摩耗性が良い
ことを示す。 第1図中実線で示したものはクライトツクス
(Kry Tox)143AD(デユポン社商標)の稀釈液
を磁性膜上に設けられたSiO2膜上に潤滑剤とし
て塗布したもので、破線は無潤滑時を示す。 また各線幅は測定値のバラツキを示す。 図から明らかなように潤滑時、無潤滑時にかか
わらず磁性膜上に設けられたSiO2膜が厚ければ
厚いほど耐摩耗性は良く、SiO2膜が薄くなるに
つれて耐摩耗性が低下する。また一般に潤滑時よ
りも無潤滑時の方が耐摩耗性は劣る。 ここで注目しなければならない事は、SiO2膜
の膜厚が300Å付近の耐摩耗性である。SiO2膜厚
が300Å付近の耐摩耗性は測定値で大きなバラツ
キが生じる。 また大きな特徴は潤滑時においてバラツキが大
きくなり、ある測定においては無潤滑時を下回る
測定値も出る事である。このような300Å付近に
おける大きさバラツキはSiO2の薄膜化に伴ない
SiO2の膜強度がいちじるしく低下するとともに
潤滑による吸着の影響が加わつたからと考えられ
る。 現在実用のレベルの耐摩耗性としては、この加
速試験において摺動回数N=2000以上であること
が必要である。なお、この値はCSS2万回以上に
耐えることを確認している。この条件を安定に満
足する点は、潤滑時においてSiO2膜厚が400Å以
上である。 次にSiO2の膜厚が300Å付近の詳細な測定を行
つたことろ第2図のような結果となつた。なお、
図中の縦線は測定値のバラツキを示す。 ここで注目すべきことは、SiO2の膜厚が300Å
で第1図と同様に摺動回数Nが最低となり、300
Å以下においては逆にバラツキが小さくなり耐摩
耗性も向上し、また300Å以上においても、当然
ながら耐摩耗性が向上する点である。 これらの理由は以下によるものと考えられる。 SiO2の膜厚が300Å以上の場合にはSiO2の膜強
度が大きいため、例え吸着が発生してもキズつき
にくいと考えられる。 またSiO2の膜厚が300Å以下の場合、SiO2膜厚
が薄く、膜強度が小さいにもかかわらず耐摩耗性
が安定し、向上しているのは吸着の発生が抑えら
れるためと考えられる。 すなわち、吸着は潤滑剤を介在物とする、ヘツ
ドと媒体の接着現象であつて、潤滑剤の媒体への
塗布量を調整してやれば防止出来る。ここで問題
なのは潤滑剤の媒体への付着力である。 第1表に記載されているように一般の潤滑剤は
フエライトなどの磁性膜よりもSiO2などの無機
化合物に対する方が付着力が大きいことはぬれ性
が良いことからも明らかである。 従つて、磁性膜上に無機化合物を点在させたも
のに対して潤滑剤を塗布させた後十分に拭きとり
を行なえば無機化合物表面にのみ潤滑剤を残す事
が可能となる。 よつて磁気膜上を設けられる無機化合物の点在
量を増せば当然潤滑剤の塗布量が増し、また逆に
無機化合物の点在量を減らせば潤滑剤の塗布量を
減らす事が出来る。この無機化合物の点在量は
SiO2の膜厚のコントロールによつて行なう事が
出来る。 すなわち、SiO2の膜厚が300Å以下になるとす
でにSiO2膜は磁性膜上に連続して付着している
のではなく網状〜島状に付着しているものと考え
られる。 従つて、上述したように潤滑剤の塗布量のコン
トロールが可能となる。よつて第2図に示すよう
にSiO2の膜厚が300Å以下では潤滑剤の塗布量が
コントロールされて最適の塗布量となり吸着がな
くなり、かつ潤滑剤のすべりの効果より耐摩耗性
を向上させる事が出来る。 このように本発明者らは、このような発想より
保護膜と称されるような比較的厚いSiO2膜を設
けなくとも、潤滑剤を最適な塗布量にコントロー
ルし、十分耐摩耗性が得られるSiO2の膜厚を見
い出し、この膜厚は30〜200Åが最適値である事
発見したもので、スペーシングロスを大幅に改善
する事を可能としつつ実用上十分な耐摩耗性を得
る事に成功したものである。
に係り、特に超高密度記録に適し、耐久性、耐摩
耗性が高く高信頼性の磁気記録媒体を作成する製
造方法に関するものである。 一般に情報処理装置の外部記憶装置として使用
される磁気デイスク装置用の磁気記録媒体は、情
報量の増加に伴つて増々記録密度の向上と高信頼
性が要求されている。 記録密度の向上に関しては、磁気デイスクの表
面に付着する磁気膜の高保磁力化、高磁束密度化
等の磁気特性の改善と、磁性膜自体の薄膜化、更
には電磁変換特性を向上させるための磁気ヘツド
と磁気記録媒体の磁性膜の間隔(以下スペーシン
グと称する。)を挾くし、スペーシング・ロスを
小さくする必要があるため、磁性膜面は表面あら
さ、突起等をなくした平滑性の良い事が要求され
ている。 このような高記録密度化を指向した磁気デイス
クとしては、従来より一般的に使用されている磁
性粉とバインダを含む、塗布型の磁性膜から、バ
インダを含まない連続的な磁性膜(連続磁性媒
体)が磁気蓄積エネルギーが高く有利である事か
ら鉄や鉄コバルト系合金を真空中、アルゴンガス
あるいはアルゴンガス中に酸素を混合した雰囲気
中で、スパツタ法や、蒸着法により非磁性基板上
に連続的に付着させたフエライト酸化物磁性膜
(以下フエライト酸化膜と称する。)、金属磁性膜
が種々の方法で提案されている。 また電着法による磁性膜の作成も従来より一般
に行なわれている。これらの方法で作成された磁
気記録媒体は高記録密度媒体とし優れた特性を有
するものが得られており、特にフエライト酸化物
膜は材質的にも硬く、また腐食性が良く磁気記録
媒体としては非常に良好なものとして評価されて
いる。 このように従来より磁性膜としての特性は非常
に良好となつており、このようにして出来た磁気
記録媒体は実際の使用条件に耐うるように磁気ヘ
ツドの摺動に対する充分な耐久性、耐摩耗性を向
上させるための磁性膜表面に処理を施す事が重要
な課題となつている。 すなわち、磁気デイスク装置においては通常動
作時においては磁気記録媒体の磁性膜面上を磁気
ヘツドが浮上し、磁気ヘツドは直接磁性膜と接触
することはないが記録密度の向上に伴つてスペー
シングを小さくするために低浮上量化が必要とな
り、また最近は磁気デイスク媒体の回転開始時
と、停止時に磁気ヘツドが磁気記録媒体と摺動接
触する形式、すなわちコンタクトスタートストツ
プ(以下CSS方式と称する。)方式が採用される
ようになつているため充分な耐久性と耐摩耗性が
要求されるようになつている。 このような磁気記録媒体の耐久性、耐摩耗性を
向上させる方法として従来より以下の方法が採用
されている。 1つの方法は、磁気記録媒体上に直接潤滑膜を
形成して磁気ヘツドと磁気記録媒体との摺動に対
する摩擦を小さくする方法が行なわれている。 例えば磁気デイスク表面に潤滑剤として
KryToxAD(デユポン社商標)の稀釈液を塗布す
る事により、記録媒体表面が滑性となり、磁気ヘ
ツドの摺動に対して、摩耗を小さくし、耐摩耗性
を向上させる事が行なわれている。 磁気記録媒体の表面、すなわち磁性膜面の平滑
性が非常に良好なため磁気ヘツドが記録媒体に吸
着する現象が発生してしまう。ここで吸着とは磁
気ヘツドがデイスク面に付着する現象を意味す
る。この吸着は潤滑剤を介在物とする一種の接着
でありCSS方式においては摺動接触時にステツク
スリツプ(Stick−slip)を伴なうため、短時間
においてヘツドクラツシユを誘発させ、磁気ヘツ
ドの破損、磁性表面にキズを付ける等の原因とな
つている。 このように磁気記録媒体表面に潤滑剤を塗布す
る事は摩擦力を低下させるが、逆に吸着現象を生
じさせるために記録媒体表面の耐摩耗性を向上さ
せる事にはそれほど大きな効果を上げる事が出来
なかつた。 尚このヘツドステイツクは潤滑剤を薄く磁気記
録媒体上に塗布する事により軽減出来るが、逆に
摩擦力の低下という面から考えるとそれほどの効
果が期待出来ず、またこの潤滑剤の膜厚のコント
ロールは、膜厚の可変範囲が小さいために再現
性、製造性に欠け量産工程においては不可能に近
いものである。 また磁気記録媒体表面の耐摩耗性を向上させる
ための他の方法として、磁性膜上に保護膜を形成
する方法が従来より金属磁性膜で行なわれ多くの
保護膜材が提案されている。 しかし、一般に金属磁性膜の場合の保護膜は耐
摩耗性の他に耐食性を向上させる目的も兼ねてお
り、300Å以下の保護膜では、保護膜にピンホー
ルが生じるために耐食性に対する効果が期待出来
ないため通常は400Å〜800Åの膜厚の保護膜使用
している。 またこの保護膜の上に潤滑剤を塗布する事も行
なわれている。確かに保護膜の耐摩耗性は実用レ
ベルにまで達するが上述したようにこのような膜
厚の大きい保護膜を使用すると、スペーシングロ
スが問題となり、本来の磁性膜の性能を発揮する
事が出来なかつた。 また仮に保護膜を耐食性を考えずに薄くしたと
しても保護膜が400Å以下においては著るしく耐
摩耗性が低下してしまう欠点があつた。 従つて本発明は上記欠点を解消した新規な磁気
記録媒体の製造方法を提供する事を目的とするも
のでこの目的は、磁性膜の形成されたデイスク表
面に、滑性を有する30Å〜200Åの無機化合物薄
膜を形成し、更にその表面に潤滑剤膜を形成し、
しかる後その表面の拭き取りを行なつて磁気記録
媒体を作成する事を特徴とする磁気記録媒体の製
造方法により達成する事が出来る。 すなわち、本発明は量産工程において潤滑剤の
膜厚(塗布量)コントロールが容易に行なえる如
く、無機化合物薄膜を30〜200Åの厚さに設けた
ものである。 以下実施例を基に本発明を説明する。 第1図は、本発明に係る磁気記録媒体の特性を
示すもので、横軸に無機化合物薄膜(SiO2)の
膜厚、縦軸に摺動回数を示す。 摺動回数は磁気記録媒体(円板状)表面上にア
ルミナから成るヘツドスライダ(テーパフラツト
型)を配置し、媒体を低速で回転させ(周速40〜
80cm/S)る加速した摩耗試験で媒体表面にキズ
が生じる迄のヘツド通過回数を示す。ヘツドの荷
重は20g/mm2である。 したがつて摺動回数大なるほど耐摩耗性が良い
ことを示す。 第1図中実線で示したものはクライトツクス
(Kry Tox)143AD(デユポン社商標)の稀釈液
を磁性膜上に設けられたSiO2膜上に潤滑剤とし
て塗布したもので、破線は無潤滑時を示す。 また各線幅は測定値のバラツキを示す。 図から明らかなように潤滑時、無潤滑時にかか
わらず磁性膜上に設けられたSiO2膜が厚ければ
厚いほど耐摩耗性は良く、SiO2膜が薄くなるに
つれて耐摩耗性が低下する。また一般に潤滑時よ
りも無潤滑時の方が耐摩耗性は劣る。 ここで注目しなければならない事は、SiO2膜
の膜厚が300Å付近の耐摩耗性である。SiO2膜厚
が300Å付近の耐摩耗性は測定値で大きなバラツ
キが生じる。 また大きな特徴は潤滑時においてバラツキが大
きくなり、ある測定においては無潤滑時を下回る
測定値も出る事である。このような300Å付近に
おける大きさバラツキはSiO2の薄膜化に伴ない
SiO2の膜強度がいちじるしく低下するとともに
潤滑による吸着の影響が加わつたからと考えられ
る。 現在実用のレベルの耐摩耗性としては、この加
速試験において摺動回数N=2000以上であること
が必要である。なお、この値はCSS2万回以上に
耐えることを確認している。この条件を安定に満
足する点は、潤滑時においてSiO2膜厚が400Å以
上である。 次にSiO2の膜厚が300Å付近の詳細な測定を行
つたことろ第2図のような結果となつた。なお、
図中の縦線は測定値のバラツキを示す。 ここで注目すべきことは、SiO2の膜厚が300Å
で第1図と同様に摺動回数Nが最低となり、300
Å以下においては逆にバラツキが小さくなり耐摩
耗性も向上し、また300Å以上においても、当然
ながら耐摩耗性が向上する点である。 これらの理由は以下によるものと考えられる。 SiO2の膜厚が300Å以上の場合にはSiO2の膜強
度が大きいため、例え吸着が発生してもキズつき
にくいと考えられる。 またSiO2の膜厚が300Å以下の場合、SiO2膜厚
が薄く、膜強度が小さいにもかかわらず耐摩耗性
が安定し、向上しているのは吸着の発生が抑えら
れるためと考えられる。 すなわち、吸着は潤滑剤を介在物とする、ヘツ
ドと媒体の接着現象であつて、潤滑剤の媒体への
塗布量を調整してやれば防止出来る。ここで問題
なのは潤滑剤の媒体への付着力である。 第1表に記載されているように一般の潤滑剤は
フエライトなどの磁性膜よりもSiO2などの無機
化合物に対する方が付着力が大きいことはぬれ性
が良いことからも明らかである。 従つて、磁性膜上に無機化合物を点在させたも
のに対して潤滑剤を塗布させた後十分に拭きとり
を行なえば無機化合物表面にのみ潤滑剤を残す事
が可能となる。 よつて磁気膜上を設けられる無機化合物の点在
量を増せば当然潤滑剤の塗布量が増し、また逆に
無機化合物の点在量を減らせば潤滑剤の塗布量を
減らす事が出来る。この無機化合物の点在量は
SiO2の膜厚のコントロールによつて行なう事が
出来る。 すなわち、SiO2の膜厚が300Å以下になるとす
でにSiO2膜は磁性膜上に連続して付着している
のではなく網状〜島状に付着しているものと考え
られる。 従つて、上述したように潤滑剤の塗布量のコン
トロールが可能となる。よつて第2図に示すよう
にSiO2の膜厚が300Å以下では潤滑剤の塗布量が
コントロールされて最適の塗布量となり吸着がな
くなり、かつ潤滑剤のすべりの効果より耐摩耗性
を向上させる事が出来る。 このように本発明者らは、このような発想より
保護膜と称されるような比較的厚いSiO2膜を設
けなくとも、潤滑剤を最適な塗布量にコントロー
ルし、十分耐摩耗性が得られるSiO2の膜厚を見
い出し、この膜厚は30〜200Åが最適値である事
発見したもので、スペーシングロスを大幅に改善
する事を可能としつつ実用上十分な耐摩耗性を得
る事に成功したものである。
【表】
第3図は磁性膜上に設けられたSiO2の膜厚と
フエライトヘツドとの摩擦係数(μk)の関係を
示す図である。 図中○印は、SiO2の膜上が無潤滑で・印は潤
滑時を示す。なおこの潤滑は前述したKry
Tox143ADを使用した場合である。 この図から明らかなように潤滑時はSiO2の膜
厚30Å以上で摩擦係数(μk)=0.15〜0.19と小さ
い値が得られた。SiO2の膜厚が30Å〜100Åの範
囲ではSiO2膜のみの滑性だけでは摩擦係数(μk)
は0.2以下にはならないが潤滑剤を併用する事に
よりμk=0.15〜0.19と少なくする事が出来る。 別表は磁気記録媒体上のSiO2の膜厚と潤滑剤
の塗布の有無による磁気ヘツドと磁気記録媒体と
の摩擦係数、耐CSS性、特性変化率及びSiO2成膜
のスパツタ条件を示したものである。 本発明に該当する試料番号は3〜9であり30〜
200ÅのSiO2の膜厚について別表の如き測定結果
を得た。なお、別表の試料番号3〜12の耐CSS性
の測定値は上欄が最小値であり、下欄が最大値で
ある。 表より明らかなように本発明のSiO2の膜厚で
潤滑剤を塗布した場合、耐CSS性が良好であり、
またスペーシングロス(特性変化率)もほぼ0%
であり非常に良好な結果を得た。特にSiO2の膜
厚が50〜200Åの場合、測定値の下限値でも耐
CSS性が20000回以上であり、非常に良好な結果
を得た。一方、SiO2の膜厚が30Åの場合、測定
値の最大値がほぼ20000回に達成する程度である
が、SiO2の膜厚膜が0または300Å以上の場合に
比べれば、非常に良好な結果である。 また、潤滑剤AはKry Tox 143AD(デユポン
社商標)であり、潤滑剤BはK1000(キヤニオン
プロダクト社商標)であり、いずれも磁気記録媒
体の潤滑剤として一般的に用いられているもので
ある。この潤滑剤の相違により耐CSS性は若干相
違するが、SiO2の膜厚が30〜200Åの場合、いず
れの潤滑剤を用いても良好な結果を得た。 さらに、SiO2の形成方法、SiO2の下の層の材
質や膜厚により耐CSS性が変わることが予想され
るが、本発明ではSiO2の膜厚が300Å以下の場合
SiO2膜が網状〜島状となり潤滑剤の塗布量のコ
ントロールが可能になると考えられ、SiO2膜の
形成方法やSiO2膜の下の層の条件が若干変わつ
たとしても、SiO2の膜厚が300Å以下であれば、
耐CSS性は大きく変わるものでないと考えられ
る。 以上のように本発明では磁性膜上に30〜200Å
のSiO2を形成し、その上に潤滑剤を塗布する事
によりスペーシングロスがなく、また耐摩耗性が
良好な磁気記録媒体を提供出来る。 尚本発明では、フエライト酸化磁性膜をスパツ
タで形成したものについて説明したがこれに限ら
ず電着法や、スパツタは蒸着法で形成される金属
磁性膜でも耐食性が要求されないデイスク、又腐
食のないデイスク更には防食処理が施されたデイ
スクに対しては二酸化けい素等の表面に滑性を付
与する膜とデイスク表面との密着性(結合力)が
良ければ適用する事が可能である。 また、表面に滑性を付与する膜としては、滑性
を有し、デイスク表面との密着性が良く、しかも
表面潤滑剤を強固に付着させ得る無機化合物であ
れば二酸化けい素膜(SiO2)に限らず、表1に
示したアルミナ(Al2O3)膜、チツ化けい素
(Si3N4)膜も効果がある。これは、無機化合物
の膜厚が300Å以下になると、すでに無機化合物
の膜は磁性膜上に連続して付着しているものでは
なく網状〜島状に付着するものであり、このよう
に無機化合物の膜が網状〜島状となることにより
潤滑剤の塗布量のコントロールが可能となるため
であると考えられる。 更に二酸化けい素−アルミナ−酸化ベリリウム
(SiO2−Al2O3−BeO)膜を同時に使用出来る。
また潤滑剤も種々使用可能である。 <実施例> 〔〕 フエライト酸化磁性膜の形成:アルミナ基
板表面を硫酸浴を用いて陽極処理し、アルマイ
ト層を1〜2μmの厚さに形成した後この基板
を洗浄し、コバルトを含む鉄を主成分とするタ
ーゲツトを用いて80%アルゴン(Ar)、20%酸
素(O2)雰囲気中でスパツターし、基板表面
に0.2μmのヘマタイト(α−Fe2O3)を形成し
た。 これを還元雰囲気中で熱処理し、マグネタイ
ト(Fe3O4)に変換し、更に大気中熱処理して
ヘマタイト(γ−Fe2O3)のフエライト酸化磁
性膜を形成した。 〔〕 二酸化けい素膜の形成:フエライト酸化膜
上に二酸化けい素をターゲツトとして100%ア
ルゴン(Ar)又は80%アルゴン(Ar)−20%
酸素(O2)雰囲気でスパツタリングにより形
成した。条件は別表に示す。 〔〕 潤滑剤膜の形成:スピンコーテイングによ
り回転しているデイスクに潤滑剤AとしてKry
Tox 143AD(デユポン社商標)、潤滑剤Bとし
てK1000(キヤニオンプログクト社商標)を塗
布し、次に油脂分を含まない紙をとりつけた回
転パツドで表面を拭き取り潤滑剤膜を形成し
た。 潤滑剤の塗布は二酸化けい素膜の形成後デシ
ケータ内に20時間放置後行なつた。 <実験方法> (1) 耐CSS性の試験は第4図に示すサイクルの繰
り返しによるCSS試験でデイスク面に傷が生じ
る迄のCSS回数で示した。傷の確認は目視によ
る。 試験は、試料番号1、2について内周、外周2
回行なつた。また、試料番号3〜12について複数
個の試料を用意し、さらに各試料について内周、
外周2回行なつた。別表の耐CSS性の測定値は試
料番号1、2の場合平均値であり、試料番号3〜
12の場合上欄が最小値を下欄が最大値を示す。 また、使用したヘツドは、3.2±0.2gの荷重の
ウインチエスタータイプ、テーパフエライト型
Mn−Zuフエライトのヘツドで試験毎に新しいヘ
ツドを用いた。 電磁変換性の変化率(特性変化率)は別表の試
料No.2の二酸化けい素膜がない時の孤立波出力を
1とした時の出力差を%で示した。 尚、特性の測定に使用したヘツドは浮上量0.2μ
m(周速40m/s)のテーパーフラツト型Mn−
Znフエライトヘツドで常に同一のヘツドを使用
し、同一の条件で測定した。 また摩擦係数はフエライトヘツドと磁気記録媒
体の摺動直後の摩擦係数(μk)を示す。別表に
おける摩擦係数の値は5回の平均値である。尚
SiO2の膜厚は、スパツタレートより換算したも
のであり、また厚さ200Å以下では完全な連続膜
ではないと考えられるがここでは被着量を総面積
で除した平均形状膜厚を指すものである。
フエライトヘツドとの摩擦係数(μk)の関係を
示す図である。 図中○印は、SiO2の膜上が無潤滑で・印は潤
滑時を示す。なおこの潤滑は前述したKry
Tox143ADを使用した場合である。 この図から明らかなように潤滑時はSiO2の膜
厚30Å以上で摩擦係数(μk)=0.15〜0.19と小さ
い値が得られた。SiO2の膜厚が30Å〜100Åの範
囲ではSiO2膜のみの滑性だけでは摩擦係数(μk)
は0.2以下にはならないが潤滑剤を併用する事に
よりμk=0.15〜0.19と少なくする事が出来る。 別表は磁気記録媒体上のSiO2の膜厚と潤滑剤
の塗布の有無による磁気ヘツドと磁気記録媒体と
の摩擦係数、耐CSS性、特性変化率及びSiO2成膜
のスパツタ条件を示したものである。 本発明に該当する試料番号は3〜9であり30〜
200ÅのSiO2の膜厚について別表の如き測定結果
を得た。なお、別表の試料番号3〜12の耐CSS性
の測定値は上欄が最小値であり、下欄が最大値で
ある。 表より明らかなように本発明のSiO2の膜厚で
潤滑剤を塗布した場合、耐CSS性が良好であり、
またスペーシングロス(特性変化率)もほぼ0%
であり非常に良好な結果を得た。特にSiO2の膜
厚が50〜200Åの場合、測定値の下限値でも耐
CSS性が20000回以上であり、非常に良好な結果
を得た。一方、SiO2の膜厚が30Åの場合、測定
値の最大値がほぼ20000回に達成する程度である
が、SiO2の膜厚膜が0または300Å以上の場合に
比べれば、非常に良好な結果である。 また、潤滑剤AはKry Tox 143AD(デユポン
社商標)であり、潤滑剤BはK1000(キヤニオン
プロダクト社商標)であり、いずれも磁気記録媒
体の潤滑剤として一般的に用いられているもので
ある。この潤滑剤の相違により耐CSS性は若干相
違するが、SiO2の膜厚が30〜200Åの場合、いず
れの潤滑剤を用いても良好な結果を得た。 さらに、SiO2の形成方法、SiO2の下の層の材
質や膜厚により耐CSS性が変わることが予想され
るが、本発明ではSiO2の膜厚が300Å以下の場合
SiO2膜が網状〜島状となり潤滑剤の塗布量のコ
ントロールが可能になると考えられ、SiO2膜の
形成方法やSiO2膜の下の層の条件が若干変わつ
たとしても、SiO2の膜厚が300Å以下であれば、
耐CSS性は大きく変わるものでないと考えられ
る。 以上のように本発明では磁性膜上に30〜200Å
のSiO2を形成し、その上に潤滑剤を塗布する事
によりスペーシングロスがなく、また耐摩耗性が
良好な磁気記録媒体を提供出来る。 尚本発明では、フエライト酸化磁性膜をスパツ
タで形成したものについて説明したがこれに限ら
ず電着法や、スパツタは蒸着法で形成される金属
磁性膜でも耐食性が要求されないデイスク、又腐
食のないデイスク更には防食処理が施されたデイ
スクに対しては二酸化けい素等の表面に滑性を付
与する膜とデイスク表面との密着性(結合力)が
良ければ適用する事が可能である。 また、表面に滑性を付与する膜としては、滑性
を有し、デイスク表面との密着性が良く、しかも
表面潤滑剤を強固に付着させ得る無機化合物であ
れば二酸化けい素膜(SiO2)に限らず、表1に
示したアルミナ(Al2O3)膜、チツ化けい素
(Si3N4)膜も効果がある。これは、無機化合物
の膜厚が300Å以下になると、すでに無機化合物
の膜は磁性膜上に連続して付着しているものでは
なく網状〜島状に付着するものであり、このよう
に無機化合物の膜が網状〜島状となることにより
潤滑剤の塗布量のコントロールが可能となるため
であると考えられる。 更に二酸化けい素−アルミナ−酸化ベリリウム
(SiO2−Al2O3−BeO)膜を同時に使用出来る。
また潤滑剤も種々使用可能である。 <実施例> 〔〕 フエライト酸化磁性膜の形成:アルミナ基
板表面を硫酸浴を用いて陽極処理し、アルマイ
ト層を1〜2μmの厚さに形成した後この基板
を洗浄し、コバルトを含む鉄を主成分とするタ
ーゲツトを用いて80%アルゴン(Ar)、20%酸
素(O2)雰囲気中でスパツターし、基板表面
に0.2μmのヘマタイト(α−Fe2O3)を形成し
た。 これを還元雰囲気中で熱処理し、マグネタイ
ト(Fe3O4)に変換し、更に大気中熱処理して
ヘマタイト(γ−Fe2O3)のフエライト酸化磁
性膜を形成した。 〔〕 二酸化けい素膜の形成:フエライト酸化膜
上に二酸化けい素をターゲツトとして100%ア
ルゴン(Ar)又は80%アルゴン(Ar)−20%
酸素(O2)雰囲気でスパツタリングにより形
成した。条件は別表に示す。 〔〕 潤滑剤膜の形成:スピンコーテイングによ
り回転しているデイスクに潤滑剤AとしてKry
Tox 143AD(デユポン社商標)、潤滑剤Bとし
てK1000(キヤニオンプログクト社商標)を塗
布し、次に油脂分を含まない紙をとりつけた回
転パツドで表面を拭き取り潤滑剤膜を形成し
た。 潤滑剤の塗布は二酸化けい素膜の形成後デシ
ケータ内に20時間放置後行なつた。 <実験方法> (1) 耐CSS性の試験は第4図に示すサイクルの繰
り返しによるCSS試験でデイスク面に傷が生じ
る迄のCSS回数で示した。傷の確認は目視によ
る。 試験は、試料番号1、2について内周、外周2
回行なつた。また、試料番号3〜12について複数
個の試料を用意し、さらに各試料について内周、
外周2回行なつた。別表の耐CSS性の測定値は試
料番号1、2の場合平均値であり、試料番号3〜
12の場合上欄が最小値を下欄が最大値を示す。 また、使用したヘツドは、3.2±0.2gの荷重の
ウインチエスタータイプ、テーパフエライト型
Mn−Zuフエライトのヘツドで試験毎に新しいヘ
ツドを用いた。 電磁変換性の変化率(特性変化率)は別表の試
料No.2の二酸化けい素膜がない時の孤立波出力を
1とした時の出力差を%で示した。 尚、特性の測定に使用したヘツドは浮上量0.2μ
m(周速40m/s)のテーパーフラツト型Mn−
Znフエライトヘツドで常に同一のヘツドを使用
し、同一の条件で測定した。 また摩擦係数はフエライトヘツドと磁気記録媒
体の摺動直後の摩擦係数(μk)を示す。別表に
おける摩擦係数の値は5回の平均値である。尚
SiO2の膜厚は、スパツタレートより換算したも
のであり、また厚さ200Å以下では完全な連続膜
ではないと考えられるがここでは被着量を総面積
で除した平均形状膜厚を指すものである。
第1図は、SiO2の膜厚と摺動回数関係を示す
図、第2図は、本発明に係るSiO2の膜厚におけ
る摺動回数関係を示す図、第4図は磁気記録媒体
の回転の開始と停止を繰り返す際の条件を示す
図、第3図はSiO2の膜厚と摩擦係数の関係を示
す図である。
図、第2図は、本発明に係るSiO2の膜厚におけ
る摺動回数関係を示す図、第4図は磁気記録媒体
の回転の開始と停止を繰り返す際の条件を示す
図、第3図はSiO2の膜厚と摩擦係数の関係を示
す図である。
【表】
Claims (1)
- 1 磁性膜の形成されたデイスク表面に、滑性を
有する30〜200Åの無機化合物薄膜を形成し、さ
らに無機化合物薄膜表面に潤滑剤を塗布し、しか
る後表面の拭き取りを行なつて、磁気記録媒体を
作成することを特徴とする磁気記録媒体の製造方
法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP56050122A JPS57167131A (en) | 1981-04-03 | 1981-04-03 | Magnetic recording medium |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP56050122A JPS57167131A (en) | 1981-04-03 | 1981-04-03 | Magnetic recording medium |
Related Child Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP24926487A Division JPS63119019A (ja) | 1987-10-02 | 1987-10-02 | 磁気ディスク媒体 |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPS57167131A JPS57167131A (en) | 1982-10-14 |
JPH0421930B2 true JPH0421930B2 (ja) | 1992-04-14 |
Family
ID=12850313
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP56050122A Granted JPS57167131A (en) | 1981-04-03 | 1981-04-03 | Magnetic recording medium |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JPS57167131A (ja) |
Families Citing this family (6)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
US4542071A (en) * | 1983-07-14 | 1985-09-17 | International Business Machines Corporation | Lubricated magnetic recording disk |
JPH0661130B2 (ja) * | 1983-10-28 | 1994-08-10 | 株式会社日立製作所 | 垂直磁気記録媒体とその製造方法 |
JP2892588B2 (ja) * | 1984-11-26 | 1999-05-17 | 株式会社 日立製作所 | 磁気記録媒体の製造方法 |
JPS61126627A (ja) * | 1984-11-26 | 1986-06-14 | Hitachi Ltd | 磁気記録媒体 |
JPS62229526A (ja) * | 1985-12-27 | 1987-10-08 | Akai Electric Co Ltd | 磁気記録媒体 |
JPS62200524A (ja) * | 1986-02-26 | 1987-09-04 | Hoya Corp | 磁気記録媒体 |
Citations (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JPS5255603A (en) * | 1975-10-31 | 1977-05-07 | Nec Corp | Magnetic memory element and production of same |
-
1981
- 1981-04-03 JP JP56050122A patent/JPS57167131A/ja active Granted
Patent Citations (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JPS5255603A (en) * | 1975-10-31 | 1977-05-07 | Nec Corp | Magnetic memory element and production of same |
Also Published As
Publication number | Publication date |
---|---|
JPS57167131A (en) | 1982-10-14 |
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