JPH0524961A - 堆肥発酵槽 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】 混合物の投入及び取り出し用の機械装置の大
がかり化を防止し、且つ堆積場に通気するブロアの消費
電力を小さくする。 【構成】 収納された混合物に空気を供給する通気装置
が設けられた堆肥発酵槽において、前記通気装置を、前
記発酵槽内の上下方向に沿って配設され周面に多数の孔
を有する複数の通気パイプにより構成し、前記通気パイ
プを上下移動する移動装置を設けた。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明は、槽内に収納された混合
物に空気を供給する通気装置を備え、堆肥を製造する堆
肥発酵槽に関する。

【０００２】

【従来の技術】一般に、人や動物などの汚物、団地汚水
等の有機汚泥から堆肥を処理生産するには、ウッドチッ
プなどの水分調整材及び発酵促進材（微生物）を、有機
汚泥に混合し、この混合物を一次発酵槽内で所定の含水
率（例えば、約７０％）で所定日数の間発酵させ、次い
で二次発酵槽内で順次発酵熟成させたのち、発酵後の混
合物中からウッドチップなどをふるい機により分離して
得られる。また、発酵・熟成時には、所定量の酸素が必
要であることから、混合物内に空気を供給するために各
発酵室内に通気装置が設けられている。

【０００３】従来の通気装置としては、例えば、周面に
多数の通気孔を有する複数の通気パイプが発酵室内に立
設配置され、各通気パイプの上端開口をキャップにより
閉止する一方、下端開口を発酵槽の底部に形成された供
給室に連通しておき、この供給室から送風機により各通
気パイプへ送給された空気が、各パイプの通気孔から発
酵槽内の混合物へ供給されるようになっている。

【０００４】

【発明が解決しようとする課題】ところが、上記従来の
通気装置によれば、通気パイプが発酵槽の床面に直立固
定されているために、発酵槽内に混合物を均一に堆積さ
せるのにベルトコンベアなどが必要となる一方、混合物
を発酵槽内から取り出すには、予め発酵槽内の底面を開
閉可能な扉状に設けておき、この扉を開けて混合物を下
方へ落とし込んだり、或いはスクリュウコンベアを用い
て混合物を発酵槽外へ掻き出したりするなど混合物の投
入及び取り出し用の機械装置が大がかりとなりコストが
嵩むという問題があった。また、従来、混合物を二次発
酵させる堆積場では、空気を堆積場の下方に形成された
供給室からブロアによって送給しているために、堆積し
た高さが２．５〜３ｍになると混合物の上部までの送気
の距離が長くなることから混合物中での通気抵抗が大き
くなり、これに伴って送気用のブロアの消費電力が相当
に大きくならざるを得ないという問題もあった。

【０００５】そこで、本発明は、混合物の投入及び取り
出し用の機械装置の大がかり化を防止でき、且つ堆積場
に通気するブロアの消費電力を小さくできる堆肥発酵槽
を提供することを目的としている。

【０００６】

【課題を解決するための手段】上記の問題点を解決する
ために、本発明の堆肥発酵槽は、収納された混合物に空
気を供給する通気装置が設けられた堆肥発酵槽におい
て、前記通気装置を、前記発酵槽内の上下方向に沿って
配設され周面に多数の孔を有する複数の通気パイプによ
り構成し、前記通気パイプを上下移動する移動装置を設
けた構成とされている。

【０００７】

【作用】したがって、通気パイプを発酵槽内で上下方向
に移動させることができるので、混合物の投入時や取り
出し時にショベルカーが使用できる。例えば、発酵槽内
へ混合物を投入する場合は、まず始めに移動装置を駆動
して全ての通気パイプを上方へ移動させておく。次に混
合物をショベルカーで発酵槽の奥部へ奥壁に沿って一列
に所定の高さまで積み上げていき、積み終わったら堆積
した混合物に沿った通気パイプの奥側の一列を移動装置
により下方へ降ろす。これを手前方向へ順次繰り返すこ
とで発酵槽内に混合物を均一に堆積させることができ
る。また、発酵槽から混合物を取り出す場合には、まず
通気パイプの手前側の一列まで堆積している混合物をシ
ョベルカーで取り出し、次に通気パイプの手前側の一列
を移動装置により上方へ移動させる。これを奥方向へ順
次繰り返すことで発酵槽から混合物を取り出すことがで
きる。また、本発明の堆肥発酵槽を堆積場に用いること
により送気用のブロアの消費電力を少なくすることがで
きる。

【０００８】

【実施例】以下に本発明の一実施例を図面に基づき説明
する。本実施例では、発酵槽１は図１〜３に示すように
直方体状に形成され、混合物を搬入出するための開閉ド
ア５が発酵槽１の正面手前に設けられており、この発酵
槽１が必要に応じて複数段に積層されている。

【０００９】上記発酵槽１内には、槽内に堆積された混
合物に空気（酸素）を供給する通気装置２が設けられて
いる。この通気装置２は、図１及び図３に示すように、
７本の通気ダクト６と多数の通気パイプ７とから構成さ
れている。上記通気ダクト６は、図４に示すように、断
面円形パイプ形状に形成されており、その周面を開閉ド
ア５方向へ向け、発酵槽１の上部において互いに所定間
隔を保ち平行に且つ水平に配設されている。上記各通気
ダクト６の下部には、図１に示すように、断面円形の多
数の通気パイプ７の上端が各々所定間隔を保って連通接
続され、さらに図３に示すように、発酵槽１の底面に対
して角度を有し発酵槽１の底面近傍まで配設されてい
る。これらの通気パイプ７は、図１及び図３に示すよう
に小孔８を多数備えており、これらの小孔８の数はパイ
プ下部に近寄るに従って多くなるよう設けられている。
上記通気ダクト６に接続された各通気パイプ７の下端は
キャップにより閉塞されている。なお、発酵槽１の奥壁
３２は、通気パイプ７の傾斜と同じ角度を有する斜面に
形成されている。

【００１０】上記各通気ダクト６は、図２に示すよう
に、各々交互にフレキシブルな連結チューブ１１により
給気ダクト９又は排気ダクト１０に連通されている。こ
れらの給排気ダクト９，１０は、図２及び図３に示すよ
うに、切換え装置１２と熱交換器１３とを介して給気ブ
ロア１４又は排気ブロア１５に接続されている。この切
換え装置１２は、例えば、ボディ内に摺動移動可能に設
けられた弁体と、この弁体に設けられた切換え通路と、
弁体を移動させる電磁コイルとからなる電磁式切換え弁
により構成され、制御装置のプログラムに基づいて所定
時間毎に自動的に切換え動作を行ない、給気ダクト９或
いは排気ダクト１０の一方を交互に給気ブロア１４又は
排気ブロア１５に接続する構成となっている。上記熱交
換器１３により、給気ダクト９より発酵槽１内に噴出さ
れる空気の温度を発酵に適した温度に保つことができ、
より一層の発酵の促進を図ることができる。

【００１１】このような通気装置では、給気ダクト９が
給気ブロア１４に接続された場合には、例えば７本の通
気ダクト６の内４本の通気ダクト６に連通された通気パ
イプ７が給気側となり、これら各通気パイプ７の小孔８
から発酵槽１内へ空気が噴出される。他方、残りの３本
の通気ダクト６は排気ダクト１０を通じて排気ブロア１
５に接続されるので、３本の通気ダクト６に連通された
通気パイプ７が排気側となり、発酵槽１内の空気が吸入
される。したがってこの状態では、各通気ダクト６間の
通気パイプ７間で空気が略横向きに通流される。反対
に、給排気が切換えられると給気側と排気側が逆転した
状態で同様に横向きに空気が通流される。このように複
数の通気パイプの間で給気と排気とが行なわれるので、
通気パイプ間に堆積している混合物中へ確実に空気が送
給でき、さらに給気と排気とが交互に切換えられるの
で、給気側と排気側の酸素量の均衡が図られる。

【００１２】上記通気ダクト６の両端部は、図１に示す
ように、通気装置２を発酵槽１内で上下移動させるため
の移動装置３に支持されている。この移動装置３は、図
５〜７に示すように、端板２８、長さを等しく成形した
２本のアーム１８，１９、支持板２２、ガイドレール１
６及び駆動部３３から構成されている。上記端板２８
は、通気ダクト６の両端部に取り付けられており、２本
のアーム１８，１９の各一端と端板２８の両端とが枢軸
２３，２４により各々回動可能に軸支されている。他
方、２本のアーム１８，１９の各他端は、支持板２２に
同様にして枢軸２５，２６により各々回動可能に軸支さ
れており、図６の二点鎖線に示すように、支持板２２に
対して通気ダクト６が平行移動可能となっている。端板
２８と支持板２２との間にはバネ２７が取り付けてあ
り、通常時には端板２８が支持板２２側に付勢されてい
る。上述したような２本のアーム、４本の枢軸及びバネ
により弾性状平行リンク機構（逃げ機構４）が構成され
ている。

【００１３】ガイドレール１６は、断面コ字状に形成さ
れ、図１及び図３に示すように、発酵槽１の両側壁３
１，３１の上部に弧を描くように設けられており、図４
及び図７に示すように、このガイドレール１６の溝内側
面に、支持板２２の背面側の両端部に突設されたスライ
ド１７，１７が溝に沿って移動可能に嵌合されている。

【００１４】上記駆動部３３は、ホイスト２０とワイヤ
２１とからなり、支持板２２の上端に取り付けられたワ
イヤ２１をガイドレール１６の延長上に設けられたホイ
スト２０で巻取ることにより、支持板２２がガイドレー
ル１６に沿って発酵槽１内を上部へ移動し、これに伴っ
て通気ダクト６が上方へ移動する。さらに、前記逃げ機
構４により、混合物が堆積されることで圧縮され僅かに
移動しても通気パイプ７全体が平行に移動することがで
きるので、通気パイプ７と混合物との間に隙間が生ぜず
空気漏れを防止することができる。なお、本実施例で
は、上記駆動部３３としてホイストを用いたが、ギアド
モーターや油圧シリンダー或いは手動式などでもよい。

【００１５】このように本実施例によれば、通気パイプ
７を各横一列毎に上下方向へ移動することができるの
で、混合物の搬入出時にショベルカー等を用いることが
でき、混合物の投入及び取り出し用の機械装置の大がか
り化を防止することができる。

【００１６】例えば、発酵槽１内へ混合物を投入する場
合は、まず始めに移動装置３を駆動して全ての通気パイ
プ７を上方へ移動させておく。次に混合物をショベルカ
ーで発酵槽１の奥部へ奥壁３２に沿って一列に所定の高
さまで積み上げていき、積み終わったら堆積した混合物
に沿った通気パイプ７の奥側の一列を移動装置３により
下方へ降ろす。これを手前方向へ順次繰り返すことで発
酵槽１内に混合物を均一に堆積させることができる。ま
た、発酵槽１から混合物を取り出す場合には、まず通気
パイプ７の手前側の一列まで堆積している混合物をショ
ベルカーで取り出し、次に通気パイプ７の手前側の一列
を移動装置３により上方へ移動させる。これを奥方向へ
順次繰り返すことで発酵槽１から混合物を取り出すこと
ができる。そして、本発明の堆肥発酵槽は堆積場にも利
用でき、通気装置を用いることで送気用のブロアの消費
電力を少なくすることができる。

【００１７】次にその他の実施例について順次図面に基
づき説明する。まず図８に示した第２実施例による通気
パイプの移動装置では、ガイドレール１６の曲がりに沿
って複数のプーリ２９が配設されることにより、通気ダ
クト６とホイスト２０との間に張られたワイヤ或いはチ
ェーンがスムーズに導かれ、通気パイプ７の上下方向へ
の移動が滑らかになる。

【００１８】図９に示した第３実施例による通気パイプ
の移動装置では、通気ダクト６に取り付けられた支持板
２２の基端部を支点３０とし、発酵槽１の両側壁３１，
３１に上下揺動可能に支持されたものである。

【００１９】

【発明の効果】以上説明したように本発明によれば、各
通気パイプを上下方向へ移動できるようにしたので、通
気パイプが混合物の搬入出の作業時にじゃまとならなく
なり、これにより従来のようなベルトコンベアやスクリ
ュウコンベアを用いることなくショベルカーで混合物の
搬入出が可能となるため、混合物の投入及び取り出し用
の機械装置の大がかり化が防止できコストを低減するこ
とができる。また、通気パイプが上下移動可能なので、
堆積場でも通気装置を利用することが可能となり、これ
により混合物中での通気抵抗を小さくすることができ、
送気用のブロアの消費電力を少なくし維持費の低減を図
ることができる。さらに、アジローダーを設けた発酵槽
でも、通気パイプをアジローダーの通過部分だけ自動的
に上下移動させ撹拌のじゃまとならないようにすること
で通気装置を利用することが可能となる。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明の一実施例に係り、堆肥発酵槽を示す図
２中のI−I矢視断面図である。

【図２】図１中のII−II矢視断面図である。

【図３】図２中のIII−III矢視断面図である。

【図４】通気パイプを示す要部拡大斜視図である。

【図５】移動装置を示す正面図である。

【図６】移動装置を示す右側面図である。

【図７】移動装置を示す平断面図である。

【図８】本発明の第２実施例に係り、移動装置を示す概
略図である。

【図９】本発明の第３実施例に係り、移動装置を示す概
略図である。

【符号の説明】

１ 発酵槽 ２ 通気装置 ３ 移動装置 ４ 逃げ機構 ６ 通気ダクト ７ 通気パイプ ８ 小孔 １６ ガイドレール １８，１９ アーム ２０ ホイスト ２１ ワイヤ ２２ 支持板 ２３，２４，２５，２６ 枢軸 ２８ 端板

Claims (1)

1. 【特許請求の範囲】 【請求項１】 収納された混合物に空気を供給する通気
   装置が設けられた堆肥発酵槽において、 前記通気装置を、前記発酵槽内の上下方向に沿って配設
   され周面に多数の孔を有する複数の通気パイプにより構
   成し、前記通気パイプを上下移動する移動装置を設けた
   ことを特徴とする堆肥発酵槽。